JP3416960B2 - 熱線遮蔽ガラス - Google Patents

熱線遮蔽ガラス

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JP3416960B2 JP22101292A JP22101292A JP3416960B2 JP 3416960 B2 JP3416960 B2 JP 3416960B2 JP 22101292 A JP22101292 A JP 22101292A JP 22101292 A JP22101292 A JP 22101292A JP 3416960 B2 JP3416960 B2 JP 3416960B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高い可視光線透過率と
低い可視光線反射率を有し、かつ、太陽輻射エネルギー
を効果的に遮蔽するガラスに関し、とりわけ自動車や建
築物の窓ガラスとして有用な熱線遮蔽性を有するガラス
に関する。
【0002】
【従来の技術】高い可視光線透過率を有し、太陽輻射エ
ネルギーの一部を遮蔽するガラスとしては、ガラス板の
上に透明誘電体膜、Ag等の貴金属膜、透明誘電体膜が
順次被覆されたものが知られている。この構成は、貴金
属膜の有する赤外線反射性能を利用するものであって、
優れた熱線遮蔽性能を示すが、反面化学的、機械的耐久
性が不足しているので、膜を保護する形で、合せガラ
ス、複層ガラスとして利用されるのが一般的である。
【0003】このような耐久性を改善したものとして
は、ガラス板の上に透明誘電体膜、金属窒化物膜、透明
誘電体膜が順次被覆されたものが開示されている(SP
IE.vol.324(1982)p.52)。そして、
前記の窒化物の膜は赤外線に対して反射性を示すもので
あって、化学周期律表第4A族の、化学的に安定なチタ
ニウム、ジルコニウム、ハフニウム、第6A族のクロム
などの窒化物が知られており、これらの金属窒化物膜の
上に保護膜を形成した2層構成の被膜、あるいは両側を
透明誘電体で挟んだ三層構成の被膜をガラス板上に形成
した熱線遮蔽ガラスが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来の技
術のうち、銀(Ag)の代わりに金属窒化膜を用いるタ
イプの熱線遮蔽ガラスは化学的、機械的耐久性が改善さ
れていて、単板での使用が可能となるものの、熱線遮蔽
特性が低下してしまうという問題点があった。また、銀
のような貴金属の膜や金属窒化物の膜は、いずれも可視
光線の領域で吸収係数が2以上であり、そのため強い光
吸収を有する。このため高い可視光線透過率と高い熱線
遮蔽率(すなわち低い日射光線透過率)を両立させる熱
線遮蔽ガラスを得る被膜材料としては、必ずしも満足の
いく膜材料ではなかった。
【0005】本発明は、単板で利用できる耐久性を有
し、かつ、優れた熱線遮蔽特性を兼ね備えた熱線遮蔽ガ
ラス、特に、自動車用窓ガラスとして好適な高い可視光
線透過率、低い可視光線反射率、および低い日射光線透
過率を有する熱線遮蔽ガラスを提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記従来の問題点を解決
するために、本発明は近赤外線領域で屈折率が高く、可
視光線領域で光吸収が小さい膜材料を研究した結果得ら
れたものであって、本発明の第1は、高屈折率材料から
なる被膜と低屈折率材料からなる被膜が交互に2層以上
積層された熱線遮蔽膜がガラス基板上に設けられた熱線
遮蔽ガラスであって、前記高屈折率材料からなる被膜が
可視光線と近赤外線の波長領域において異常分散性の屈
折率を有し、かつ、可視光線波長域での吸収係数が1以
下の光吸収性を有する熱線遮蔽ガラスであって、前記高
屈折率材料からなる被膜を酸化クロムの被膜とする、あ
るいは、前記低屈折率材料からなる被膜を、二酸化珪
素、酸窒化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム
の膜、あるいはこれらを組み合わせた複合膜や複層膜の
いずれかとした熱線遮蔽ガラスである。
【0007】本発明の第1は、上記波長領域で異常分散
性の屈折率を有し、かつ、可視光線波長域での吸収係数
が1以下である被膜を高屈折率材料からなる被膜として
用いることに特徴がある。これにより、可視光線領域の
反射率を低く保ったまま(透過率を高く保ったまま)、
赤外線領域での反射率を効果的に高める(透過率を下げ
る)ことができる。
【0008】ここで、屈折率の異常分散性を有すると
は、屈折率と波長の関係において、長波長側(赤外線領
域)での屈折率が短波長側(可視光線領域)での屈折率
よりも大きいことを意味する。これに対し正常分散性を
有するとは、屈折率が波長の増大と共に低下することを
いう。
【0009】 従って 、屈折率が正常分散性を有する被膜
は、赤外線領域での屈折率は、可視光線領域での屈折率
よりも小さな値をもつ。異常分散性を有し、かつ、可視
光線波長域で吸収係数が1以下の高屈折率材料からなる
被膜と、正常分散性の低屈折率材料からなる被膜を用い
ると赤外線領域での屈折率の差がきわめて大きな膜の
せが得られるとともに、可視光線領域での光の
干渉による反射率増加が効果的に抑制される。
【0010】 従って、本発明により得られる高屈折率材
料と低屈折率材料を交互に積層し、屈折率差に基づく光
学干渉作用を利用して赤外線領域の反射率を高めた熱
線遮蔽ガラスは、効果的に赤外線領域での反射率を高
め、日射光線透過率を小さくすることができる。前記可
視光線波長域での吸収係数が0.6以下の異常分散性の
被膜を用いることは、可視光線透過率を高くした状態
で、日射光線透過率を低くする上で好ましい。
【0011】本発明の前記高屈折率材料からなる被膜お
よび前記低屈折率材料からなる被膜の厚みは、それらの
光学膜厚が近赤外領域における設計波長のほぼ1/4と
なるように定めることができる。光学膜厚が設計波長の
1/4である高屈折率材料からなる被膜および低屈折率
材料からなる被膜の積層体を基本構造とし、その基本構
造を繰り返し設けた公知の多層干渉フルタの構造とす
ることができる。また、基本構造の繰り返しの上に
らに光学膜厚が設計波長の1/8の低屈折率材料からな
る被膜を最上層の被膜として設けることができる。
【0012】本発明に用いることができる異常分散性を
有し、可視光線領域で吸収係数が1以下の被膜として
は、可視光線で光吸収を示す酸化クロム被膜を例示する
ことができる。これらの膜は、銀(Ag)等の貴金属膜
や、金属窒化物の膜とは異なり、数10kΩ以上の高い
抵抗値を有するので、電磁波との相互作用が小さいとい
う特徴を有する。
【0013】また、本発明に用いることができる低屈折
率材料からなる被膜としては、屈折率が1.4〜2.1
の、二酸化珪素、酸窒化珪素、酸化アルミニウムの膜
が、また、優れた耐薬品性が要求される場合には、酸化
ジルコニウムの膜が、さらに、優れた耐摩耗性と耐薬品
性の両方が要求される場合には、前記した膜を組み合わ
せた複合膜や複層膜が選ばれる。
【0014】本発明の第2は、ガラス基板上に第1層と
して可視光線と近赤外線域との波長域において異常分散
性の屈折率を有し、かつ、可視光線波長域での屈折率が
1.5以上吸収係数が1以下の物理的膜厚が10〜50
nmの被膜が被覆され、前記第1層の上に可視光線域で
の屈折率が1.4〜2.1で物理的膜厚が30〜80n
mの透明誘電体膜が第2層として被覆された熱線遮蔽ガ
ラスであって、前記第1層を酸化クロムの被膜とする、
あるいは、前記透明誘電体膜を、二酸化珪素、酸窒化珪
素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムの膜、あるい
はこれらを組み合わせた複合膜や複層膜、酸化タンタ
ル、炭化珪素と炭化ジルコニウム複合物の酸窒化膜のい
ずれかとする熱線遮蔽ガラスである。
【0015】前記ガラス基板と前記第1層の間に介在す
るように可視光線波長域での屈折率が1.8〜2.1
で物理的膜厚が100nmを越えない透明誘電体膜を設
けることは、可視光線領域での透過率を高く、赤外線領
域での透過率を低くし、さらに透過色調が無彩色(ニュ
ートラル)とする上で好ましい。かかる被膜構成を有す
る熱線遮蔽ガラスは自動車用窓ガラスとして特に好適
に用いられる。
【0016】本発明の第2のガラス板上に第2層として
被覆される膜の屈折率厚み、およびガラス基板と第1
層の間に介在させるようにして設けられる層は、上記の
範囲内である必要がある。上記範囲内にすることによ
り、可視光線に対して高透過率で、太陽光線に含まれる
近赤外域の波長の熱線に対して高い遮蔽率を有するよ
うにすることができる。また、熱線遮蔽ガラスの色調
を、用いるガラス板のそれとあまり変わらないものとす
ることができる。
【0017】 上記第1層、第2層およびガラス基板と第
1層の間に介在させて設ける層の厚みは、それぞれ単独
に定められるものでなく、互いに関連して可視光線透過
率や熱線遮蔽性能を考慮して定められる。前記範囲内で
各層の膜の屈折率と厚みを調整することにより、自動車
の窓ガラスとして要求される可視光線透過率が70%以
上という高透過率の熱線遮蔽ガラスとすることができ
る。
【0018】 本発明の第2は、第1層として屈折率が可
視光線と近赤外線域との波長域において異常分散性の屈
折率を有し、かつ、可視光線波長域での吸収係数が1以
下である被膜を用いることに特徴がある。これにより、
可視光線領域での反射率を低く保ったまま、日射光線の
透過率を効果的に低下させることができる。すなわち本
発明の第2においても、屈折率の異常分散性とは、前記
したように屈折率に波長依存性があり、かつ、長波長側
(赤外線領域)での屈折率が短波長側(可視光線領域)
での屈折率よりも大いことを意味する。
【0019】 本発明の第2においては、前記したように
第1層として異常分散性の屈折率を示し、可視光線領域
で屈折率が1.5以上で吸収係数が1以下の光吸収性の
ある被膜を用いているので、可視光線透過率を高く保っ
たまま、熱線遮蔽性をく、かつ、熱線遮蔽ガラスの色
調を基板ガラスのそれと変えないようにすることができ
る。第1層の膜の厚みが10nmより小さくても、50
nmより大きくても、さらに第2層の膜の厚みが30n
mより小さくても、80nmより大きくても、高い可視
光線透過率と低い日射光線透過率を保とうとした場合、
熱線遮蔽ガラスの透過色調がガラス基板とは異なった色
合いを帯びてしまう。
【0020】 また、ガラス基板と第1層の間に介在させ
る第3層の厚みが100nmより小さくすることによ
り、前記第1層と第2層とが被覆された膜構成の熱線遮
蔽ガラスと同様の色調が得られる。また、第1層、第2
層およびガラス基板と第1層の間に適時介在させる第3
層の膜の屈折率および厚みを前記範囲内で定めることに
より、熱線遮蔽ガラスの色調を基板のそれとほとんど変
わらないようにしたまま、高い熱線遮蔽性能を実現する
ことができるのである。
【0021】 本発明の第2における屈折率が1.4〜
2.1の透明誘電体膜材料として、二酸化珪素、酸窒化
珪素、酸化アルミニウムの膜が、また、優れた耐薬品性
が要求される場合には、酸化ジルコニウムの膜が、さら
に、優れた耐摩耗性と耐薬品性の両方が要求される場合
には、前記した膜を組み合わせた複合膜や複層膜が選ば
れる。酸化タンタルや、炭化珪素と炭化ジルコニウム複
合物の酸窒化膜は、単層でも優れた耐摩耗性と耐薬品性
を兼ね備えた膜として利用することができる。
【0022】 本発明の第2の屈折率が1.8〜2.1の
透明誘電体膜とすることができる材料は、特に限定され
ないが、酸化スズ、酸化ジルコニウム、窒化珪素、酸化
タンタルのうち少なくとも1種からなる膜を例示するこ
とができる。
【0023】 前記したように耐久性を向上させる目的
で、光学特性を大きく変えない条件で、第2層の上に保
護膜を形成してもよい。そのような保護膜としては、
、ジルコニウム、タンタル、ビスマス、ニオブおよび
シリコンの群から選ばれた1種と、酸素と窒素とを含む
非晶質膜、あるいは、タンタル、アルミニウム、ニオブ
およびニッケルからなる群から選ばれた1種と、シリコ
ンと、酸素と窒素とを含む非晶質膜、シリコンと炭素と
酸素と窒素とを含む非晶質膜を例示することができる。
【0024】 本発明に用いられる光吸収性の酸窒化クロ
ム膜および酸化クロム膜は、銀(Ag)等の貴金属膜
や、金属窒化物の膜とは異なり、数10kΩ以上の高い
抵抗値を有するので、電磁波との相互作用が小さいとい
う特徴を有する。
【0025】 本発明の熱線遮蔽膜の各層の膜はいずれ
も、公知のスパッタリング法やアーク蒸着法やイオンプ
レーティング法などにより被覆することができる。
【0026】
【作用】本発明の第1の高屈折率材料からなる被膜と低
屈折率材料からなる被膜が交互に積層された熱線遮蔽膜
の高屈折材料からなる被膜には、可視光線と近赤外線領
域の波長領域において異常分散性の屈折率を有し、か
つ、可視光線の波長域での屈折率が1.5以上で吸収係
数が1以下の光吸収性を有する被膜を用いているので、
光学干渉作用により可視光線透過率を高く保持したま
ま、太陽輻射エネルギーを効果的に反射(すなわち日射
光線透過率を小さく)することができる。特に自動車用
の窓ガラスとして好適な70%以上の可視光線透過率
低い日射光線透過率とを有する熱線遮蔽ガラスとす
ることができる。
【0027】 本発明の第2においては、可視光線と近赤
外線領域の波長領域において異常分散性の屈折率を有
し、可視光線の波長域での屈折率が1.5以上で吸収係
数が1以下の光吸収性を有する被膜の第1層と、屈折率
と膜厚が選ばれた透明誘電体膜からなる第2層との光学
干渉作用により、可視光線透過率を高く保持したまま、
太陽輻射エネルギーを効果的に反射(すなわち日射光線
透過率を小さく)することができる。
【0028】 ガラス基板と第1層の間に介在する被膜
は、3層の光学干渉作用により、自動車用の窓ガラスと
して好適な高い可視光線透過率と低い日射光線透過率と
ニュートラルな透過色調を併せ有する熱線遮蔽ガラスと
することができる。
【0029】
【実施例】以下に本発明を実施例、参考実施例および比
較例に基づいて説明する。図1は、本発明の第1の熱線
遮蔽ガラスの一実施例の部分断面図である。熱線遮蔽ガ
ラス1は、ガラス板10の上に第1層として異常分散性
の屈折率を有し、可視光線波長域における吸収係数が1
以下の高屈折率材料からなる被膜11が被覆され、その
上に第2層として低屈折率材料からなる被膜12が被覆
され、その上に第1層と同じ材料からなる被膜13と、
第2層と同じ材料からなる被膜14が被覆されてできて
いる。
【0030】 図2は、本発明の第2の熱線遮蔽ガラスの
一実施例の部分断面図である。熱線遮蔽ガラス2は、ガ
ラス基板10の上に屈折率が1.7〜2.1の範囲にあ
る透明誘電体膜21が被覆され、この被膜の上に異常分
散性の屈折率を有し、かつ、可視光線波長域における光
の吸収係数が1以下の酸化クロムからなる被膜22が被
覆され、この被膜の上に屈折率が1.4〜2.1の範囲
にある透明誘電体からなる被膜23が被覆されている。
【0031】 図3は、本発明の参考実施例2により製作
したサンプル2と、従来の技術により製作された比較サ
ンプル4、5の分光透過率特性と分光反射率特性を示し
たものである。
【0032】 また、第4図および第5図は、本発明の熱
線遮蔽ガラスに用いた可視光線と近赤外線の波長領域に
おいて異常分散性の屈折率を有し、かつ、可視光線波長
域における屈折率が1.5以上で吸収係数が1以下の被
膜の屈折率nと吸収係数kの波長依存性を示す図であ
る。
【0033】(参考 実施例1 508×127mm( 20インチ×5インチサイズの
マグネトロンスパッタカソードを有するスパッタリング
装置の第一のカソードに金属クロムを、第二のカソード
に二酸化珪素(石英ガラス)を、それぞれターゲットと
して設置した。
【0034】 表面を清浄にした100×100mmの大
きさの厚み4mmの透明(着色していない)フロート板
ガラスをスパッタリング装置の真空槽内の基板ホルダー
にセットした後、真空槽内を5×10-4Paまで排気し
た。
【0035】 その後、窒素ガスを1584×10 -9 3
/s(95sccmと酸素ガスを83.3×10 -9
3 /s(5sccmの流量で真空槽に導入し、スロッ
トルバルブを用いて真空槽内の圧力を1Paに調節し
た。そして、金属クロムカソードに2Aの電流を投入し
てスパッタリングを開始した。そして、金属クロムター
ゲットの上方を500mm/minの速度で基板ホルダ
ーを移動させて、約21nmの厚みの酸窒化クロム被膜
をガラス基板上に成膜した。
【0036】 次に、再度真空槽内を5×10-4Paまで
排気した後、アルゴンガスを1500×10 -9 3 /s
90sccmと酸素ガスを166.7×10 -9 3
/s(10sccmの流量で真空槽に導入し、スロッ
トルバルブを用いて圧力を0.4Paに調節した。その
後、石英ガラスターゲットに3kwの電力を投入してス
パッタリングを開始した。そして、石英ガラスターゲッ
トの上方を50mm/minの速度で基板ホルダーを往
復移動させて、酸窒化クロム被膜の上に、約198nm
の二酸化珪素被膜を形成した。
【0037】 同様の手順を繰り返して、最終的に4mm
厚ガラス基板上に酸窒化クロム(21nm)/二酸化珪
素(198nm)/酸窒化クロム(28nm)/二酸化
珪素(100nm)という4層被膜を形成した。
【0038】 このようにして得られたガラス(サンプル
1)の膜構成と熱線遮蔽性能をそれぞれ表1、表2に示
す。可視光線透過率70.4%、日射光線透過率47.
3%、可視光線反射率11.7%という優れた熱線遮蔽
性能を有していた。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】(参考実施例2 参考 実施例1と同様のスパッタリング装置を用いた。第
一のカソードには金属スズを、第二のカソードには金属
クロムをターゲットとして設置した。清浄にした3.5
mm厚みのブロンズ色フロート板ガラス(日本板硝子
(株)製商品名ブロンズペーン)を基板としてセットし
た。
【0042】 真空槽に導入するガスを、1667×10
-9 3 /s(100sccmの流量の酸素ガスとし
て、スロットルバルブにより真空槽内の圧力を0.4P
aに調節した。そして、金属スズのカソードに2Aの電
流を投入してスパッタリングを開始した。その後、金属
スズターゲットの上方を300mm/minの速度でガ
ラス基板を移動させ、約45nmの厚みの酸化スズの被
膜を形成した。
【0043】 次に、再度真空槽を5×10-4Paまで排
気した後、真空槽に導入するガスを、1584×10 -9
3 /s(95sccmの窒素と83.3×10 -9 3
/s(5sccmの酸素の混合ガスとして、スロット
ルバルブにより、真空槽内の圧力を1Paに調節した。
そして、金属クロムのカソードに3Aの電流を投入して
スパッタリングを開始した。
【0044】 その後、ターゲットの上方を500mm/
minの速度でガラス基板を移動させ、約33nmの厚
みの酸窒化クロムの膜を形成した。さらに、第一層を成
膜したのと同様の方法で、酸窒化クロム被膜の上に約6
6nmの酸化スズの被膜を形成した。
【0045】 このようにして得られたガラス(サンプル
2)の膜構成と熱線遮蔽性能をそれぞれ表1、表2に示
す。可視光線透過率71.8%、日射光線透過率51.
1%、可視光線反射率6.6%という優れた熱線遮蔽性
能を有していた。サンプル2の分光透過率および分光反
射率曲線を図3に示す。
【0046】 図3から明らかなように、サンプル2は、
後に比較例で述べる比較サンプル4、比較サンプル5に
比べて、近赤外線波長領域で反射率が大きく(図3
(b)に示される)、近赤外線波長領域で透過率が低い
(図3(a)で示される)ことから、はるかに優れた熱
線遮蔽性能を有していることがわかる。
【0047】 さらに、紫外線領域(400nm以下の波
長)での透過率の低減が顕著に認められることが挙げら
れる。紫外線透過率の低減は、内装品の劣化の防止、日
焼けの防止の目的に対して有効である。
【0048】 参考 実施例に示したサンプル2が、この
ような紫外線遮蔽性能を有する理由は明確ではないが、
後述する光学定数(屈折率nと吸収係数k)の紫外線領
域での値が関係しているものと考えられる。
【0049】( 実施例1) 参考 実施例2と同様のスパッタリング装置を用いた。第
一のカソードには金属スズを、第二のカソードには金属
クロムをターゲットとして設置した。清浄にした3.5
mm厚みのブロンズ色フロート板ガラスを基板としてセ
ットした。
【0050】 真空槽に導入するガスを、1667×10
-9 3 /s(100sccmの流量の酸素ガスとし
て、スロットルバルブにより真空槽内の圧力を0.4P
aに調節した。そして、金属スズのカソードに2Aの電
流を投入してスパッタリングを開始した。その後、金属
スズターゲットの上方を280mm/minの速度でガ
ラス基板を移動させ、約48nmの厚みの酸化スズの被
膜を形成した。
【0051】 次に、再度真空槽を5×10-4Paまで排
気した後、再度真空槽に酸素ガス1667×10 -9 3
/s(100sccmを導入して、スロットルバルブ
により真空槽内の圧力を0.77Paに調節した。そし
て、金属クロムのカソードに3Aの電流を投入してスパ
ッタリングを開始した。
【0052】 その後、ターゲットの上方を550mm/
minの速度でガラス基板を移動させ、約29nmの厚
みの光吸収性の酸化クロムの膜を形成した。さらに、第
一層を成膜したのと同様の方法で、この酸化クロム被膜
の上に約62nmの酸化スズの被膜を形成した。
【0053】 このようにして得られたガラス(サンプル
3)の膜構成と熱線遮蔽性能をそれぞれ表1、表2に示
す。可視光線透過率71.3%、日射光線透過率55.
1%、可視光線反射率8.8%という優れた熱線遮蔽性
能を有していた。
【0054】(参考 実施例3) 508×127mm( 20インチ×5インチサイズの
マグネトロンスパッタカソードを有するスパッタリング
装置のカソードに金属クロムをターゲットとして設置し
た。表面を清浄にした100×100mmの大きさの厚
み2mmのフロート板ガラスをスパッタリング装置の真
空槽内の基板ホルダーにセットした後、真空槽内を5×
10-4Paまで排気した。
【0055】 その後、窒素ガスを1584×10 -9 3
/s(95sccm、酸素ガスを83.3×10 -9
3 /s(5sccmの流量で真空槽に導入し、スロッ
トルバルブを用いて真空槽内の圧力を1Paに調節し
た。そして、カソードに1Aの電流を投入してスパッタ
リングを開始した。その後、ターゲットの上方を300
mm/minの速度で基板ホルダーを移動させて、約3
5nmの厚みの酸窒化クロムを基板上に成膜した。
【0056】 このようにして得られた酸窒化クロム被膜
(サンプル4)の光学定数を、分光エリプソメータを用
いて測定した結果を図4(屈折率n)および図5(吸収
係数k)に示す。屈折率nは波長が長くなるに従って増
大し、波長800nm以上の近赤外線領域で急激に増大
する異常分散性を示していることがわかった。
【0057】 一方、吸収係数kは小さい値で、着色は少
なく、透明性の高い膜であった。この膜と同一の膜が
参考実施例1,2でそれぞれサンプル1,2を得るのに
用いられている。このため、優れた熱線遮蔽性能を示し
ていることがわかる。
【0058】( 実施例2 後述する比較例5と同様の方法で、約30nmの厚みの
酸化クロムの膜をガラス基板上に形成した。但し、真空
槽内の圧力は、スロットルバルブの調整により約0.7
7Paとした。
【0059】 このようにして得られた光吸収性酸化クロ
ム膜(サンプル5)の光学定数を測定した結果を図4、
図5に示す。吸収係数kは比較例5と同様に小さな値で
あったが、屈折率nの波長依存性が比較例5とは全く異
なり、実施例4と同様な異常分散性を示していることが
わかった。
【0060】 本実施例は、実施例1でサンプル3を得た
際に吸収性酸化クロムを成膜した条件であり、これがサ
ンプル3の優れた熱線遮蔽性能の原因であることがわか
った。このように、酸化クロム膜は、被膜を形成する際
の条件によって、屈折率の波長依存性が異常分散性とな
ったり、正常分散性となったりすることがわかった。
【0061】(参考 実施例4) 参考 実施例2に示したのと全く同様の方法で、2.1m
m厚みの透明フロート板ガラス上に62nmの厚みの酸
化スズ、33nmの厚みの酸窒化クロム、66nmの厚
みの酸化スズの被膜を順次形成した。この3層被膜付透
明板ガラスと、2.1mm厚みのブロンズ着色ガラス
を、透明プラスチックフィルム(約0.3mm厚みのポ
リビニルブチラール)を介して貼り合わせて合せガラ
スとした。
【0062】 このようにして得られたサンプル6の光学
特性を測定したところ、可視光線透過率は74.4%、
日射光線透過率は58.9%、可視光線反射率は7.1
%という優れた熱線遮蔽ガラスであることがわかった。
【0063】 比較のために、既に実用に供されていると
ころの、ITO膜(約40nm)/Ag膜(約10n
m)/ITO膜(約40nm)という構成の3層被膜を
利用した合せ熱線遮蔽ガラスの特性を示すと、可視光
線透過率は73.3%、日射光線透過率は54.5%、
可視光線反射率は10.5%である。サンプル6の日射
光線透過率の方がやや高いが、ほぼ遜色のない値であ
り、電磁波が透過する合せ熱線遮蔽ガラスとなること
が判明した。
【0064】( 比較例1 参考 実施例1と同様の508×127mm(20インチ
×5インチサイズのマグネトロンスパッタカソードを
有するスパッタリング装置の第一のカソードに金属チタ
ンを、第二のカソードに二酸化珪素(石英ガラス)を、
それぞれターゲットとして設置した。
【0065】 表面を清浄にした100×100mmの大
きさの厚みの透明4mmのフロート板ガラスをスパッタ
リング装置の真空槽内の基板ホルダーにセットした後、
真空槽内を5×10-4Paまで排気した。
【0066】 その後、酸素ガスを1667×10 -9 3
/s(100sccmの流量で真空槽に導入し、スロ
ットルバルブを用いて真空槽内の圧力を0.4Paに調
節した。そして、金属チタンカソードに6Aの電流を投
入してスパッタリングを開始した。そして、金属チタン
ターゲットの上方を50mm/minの速度で基板ホル
ダーを3回往復移動させて、約105nmの厚みの酸化
チタン被膜をガラス基板上に成膜した。
【0067】 次に、再度真空槽内を5×10-4Paまで
排気した後、アルゴンガスを1500×10 -9 3 /s
90sccmと酸素ガスを166.7×10 -9 3
/s(10sccmの流量で真空槽に導入し、スロッ
トルバルブを用いて圧力を0.4Paに調節した。その
後、石英ガラスターゲットに3kwの電力を投入してス
パッタリングを開始した。
【0068】 そして、石英ガラスターゲットの上方を5
0mm/minの速度で基板ホルダーを往復移動させ
て、酸化チタン被膜の上に、約197nmの二酸化珪素
被膜を形成した。
【0069】 同様の手順を繰り返して、最終的に4mm
厚のガラス基板上に酸化チタン(105nm)/二酸化
珪素(197nm)/酸化チタン(105nm)/二酸
化珪素(98nm)の4層被膜を形成した。
【0070】 このようにして得られたガラス(比較サン
プル1)の膜構成と熱線遮蔽性能をそれぞれ表1、表2
に示す。このサンプルは公知の膜材料の中で、最も屈折
率の差が大きいものの組せで優れた熱線遮蔽性能
が得られているものである。可視光線透過率87.4
%、日射光線透過率69.6%、可視光線反射率8.3
%という熱線遮蔽性能を有していた。
【0071】 参考 実施例1で得たサンプル1と比較し
て、日射光線透過率が高い、すなわち熱線遮蔽性能が劣
ることがかる。同様の4層の被膜を4mmの厚みのブ
ロンズ色フロート板ガラスに形成して、全体的に透過率
を下げた比較サンプル2でも、可視光線透過率77.2
%、日射光線透過率57.4%、可視光線反射率6.5
%であり、参考実施例1で得たサンプル1の熱線遮蔽性
能の方がはるかに優れていることがわかる。
【0072】( 比較例2 参考 実施例2と同様のスパッタリング装置を用いた。第
一のカソードには金属スズを、第二のカソードには金属
クロムをターゲットとして設置した。清浄にした3.5
mm厚みのブロンズ色フロート板ガラスを基板としてセ
ットした。
【0073】 真空槽に導入するガスを、1667×10
-9 3 /s(100sccmの流量の酸素ガスとし
て、スロットルバルブにより真空槽内の圧力を0.4P
aに調節した。そして、金属スズカソードに2Aの電流
を投入してスパッタリングを開始した。
【0074】 その後、金属スズターゲットの上方を22
5mm/minの速度でガラス基板を移動させ、約61
nmの厚みの酸化スズの被膜を形成した。次に、再度真
空槽を5×10-4Paまで排気した後、真空槽に導入す
るガスを、1667×10 -9 3 /s(100scc
の窒素ガスとして、スロットルバルブにより真空槽
内の圧力を0.4Paに調節した。そして、金属クロム
のカソードに1Aの電流を投入してスパッタリングを開
始した。
【0075】 その後、金属クロムのターゲットの上方を
1500mm/minの速度でガラス基板を移動させ、
約4nmの厚みの窒化クロムの膜を形成した。さらに、
第一層を成膜したのと同様の方法で、窒化クロム被膜の
上に約65nmの酸化スズの被膜を形成した。
【0076】 このようにして得られたガラス(比較サン
プル3)の膜構成と熱線遮蔽性能をそれぞれ表1、表2
に示す。可視光線透過率62.0%、日射光線透過率5
1.2%、可視光線反射率10.8%という熱線遮蔽性
能を有していた。
【0077】 しかし、可視光線透過率が約62%と低い
値であるので、これを70%以上に改善した比較サンプ
ル4を作成した。可視光線透過率を70%以上とするた
めには、第2層の窒化クロムの膜厚は約0.5nmとし
なければならなかった。
【0078】 比較サンプル4の膜構成と光学特性をそれ
ぞれ表1、表2、図3に示す。日射光線透過率は62.
8%であり、参考実施例2で得たサンプル2と比較した
場合、熱線遮蔽性能が劣っていることがわかる。
【0079】( 比較例3 参考 実施例2と同様のスパッタリング装置を用いた。第
一のカソードには金属スズを、第二のカソードには金属
クロムをターゲットとして設置した。清浄にした3.5
mm厚みのブロンズ色フロート板ガラスを基板としてセ
ットした。
【0080】 真空槽に導入するガスを、1667 -9 3
/s(100sccmの流量の酸素ガスとして、スロ
ットルバルブにより真空槽内の圧力を0.4Paに調節
した。そして、金属スズのカソードに2Aの電流を投入
してスパッタリングを開始した。
【0081】 その後、金属スズターゲットの上方を27
5mm/minの速度でガラス基板を移動させ、約49
nmの厚みの酸化スズの被膜を形成した。次に、再度真
空槽を5×10-4Paまで排気した後、再度真空槽に酸
素ガス1667×10 -9 3 /s(100sccm
導入して、スロットルバルブにより真空槽内の圧力を
0.4Paに調節した。そして、金属クロムのカソード
に3Aの電流を投入してスパッタリングを開始した。
【0082】 その後、ターゲットの上方を600mm/
minの速度でガラス基板を移動させ、約27nmの厚
みの酸化クロムの膜を形成した。さらに、第一層を成膜
したのと同様の方法で、酸化クロム被膜の上に約64n
mの酸化スズの被膜を形成した。
【0083】 このようにして得られたガラス(比較サン
プル5)の膜構成と熱線遮蔽性能をそれぞれ表1、表2
および図3に示す。可視光線透過率71.3%、日射光
線透過率60.5%、可視光線反射率8.0%という熱
線遮蔽性能を有していた。実施例で得たサンプル3と
比較すると熱線遮蔽性能が劣っていることがわかる。
【0084】( 比較例4 参考 実施例と同一のスパッタリング装置を用いた。表
面を清浄にした100×100mmの大きさの厚み2m
mのフロート板ガラスをスパッタリング装置の真空槽内
の基板ホルダーにセットした後、真空槽内を5×10-4
Paまで排気した。
【0085】 その後、窒素ガスを1667×10 -9 3
/s(100sccmの流量で真空槽に導入し、スロ
ットルバルブを用いて真空槽内の圧力を0.4Paに調
節した。そして、カソードに1Aの電流を投入してスパ
ッタリングを開始した。その後、ターゲットの上方を5
00mm/minの速度で基板ホルダーを移動させて、
約40nmの厚みの窒化クロムを基板上に成膜した。
【0086】 このようにして得られた窒化クロム膜(比
較サンプル6)の光学定数を、分光エリプソメータを用
いて測定した結果を図4(屈折率n)および図5(吸収
係数k)に示す。屈折率nは波長が長くなるに従って増
大するが、可視光線領域での吸収係数kが大きな値であ
ること、すなわち着色が大きく不透明であることがわか
る。
【0087】( 比較例5 真空槽に導入するガスを1667×10 -9 3 /s(
00sccmの酸素ガスとした以外は、比較例4と全
く同じ方法でガラス基板上に約30nmの厚みの酸化ク
ロムを成膜した比較サンプル7を作成した。
【0088】 比較サンプル7の光学定数を、分光エリプ
ソメータを用いて測定した結果を図4、図5に示す。吸
収係数kが小さいため着色は少なく、透明であるが、屈
折率nは波長の増大とともに減少する正常分散性を示し
ていた。
【0089】 上記に説明した本願発明の熱線遮蔽ガラス
の光学的特性の特徴を従来の技術により得られるものと
まとめて図6に示す。
【0090】サンプル1は、比較サンプル1にべて可
視光線透過率が自動車用の窓ガラスとして必要な70%
以上を有しながら、日射透過率が約20%以上低くなっ
ている。すなわち、熱線が効果的に遮蔽されているので
ある(矢印Aの改良)。
【0091】 比較サンプル3は、日射透過率が50%台
と低くすなわち熱線遮蔽性が良好であるが、可視光線透
過率が約62%と低いすなわち暗いガラスである。こ
のガラスはサンプル2およびサンプル3で示されるよう
可視光線透過率が70%以上の明るいガラスに改良
される(矢印Bの改良)。
【0092】 比較サンプル4および比較サンプル5は、
可視光線透過率が70%以上の明るいガラスであるが、
日射透過率が60%以上の熱線遮蔽特性を有する。この
ガラスはサンプル2および3で示されるように、可視光
線透過率を低下させることなく、日射透過率が約55%
と約5%以上改良されている(矢印Cの改良)
【0093】
【発明の効果】本発明によれば、従来の技術の膜材料を
用いた熱線遮蔽ガラスでは、光学特性のうち、日射透過
率を低くすること(熱線遮蔽性をよくすること)と可視
光線透過率を高くすることとは、トレードオフの強い関
係にあり、可視光線透過率を高くし、同時に日射透過率
を低くすることは困難であった。
【0094】 本発明の熱線遮蔽ガラスは、熱線遮蔽膜を
構成する被膜に可視光線と近赤外線領域の波長において
異常分散性の屈折率を有し、かつ、可視光線の波長域で
の吸収係数が1以下の光吸収性を有するものを用いてい
るので、前記のトレードオフの関係が弱められている。
【0095】 これにより、高い可視光線透過率を維持し
つつ、低い日射透過率の熱線遮蔽ガラスとすることがで
きるまた本発明の熱線遮蔽ガラスは、単板で使用できる
耐久性を有しているため、自動車のサイドガラスやリア
ガラスとして用いることができる。
【0096】 さらに、従来用いられているガラスよりも
優れた熱線遮蔽性能と可視光線透過率を併せ有するの
で、車内を明るくした状態で外部より流入する熱量を低
減することができる。これにより快適性を高め、また冷
房に要する負荷を小さくすることができる。
【0097】 さらに、本発明の熱線遮蔽ガラスは、従来
の貴金属を利用するものに比べ、はるかに電気抵抗が大
きく、アンテナ線を組み込んだ自動車用窓ガラスとして
用いても、アンテナの受信感度を低下させることがな
く、また、自動車電話、携帯電話の受信を妨げることも
ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の熱線遮蔽ガラスの一実施例の部
分断面図である。
【図2】本発明の第2の熱線遮蔽ガラスの一実施例の部
分断面図である。
【図3】サンプル2、比較サンプル4および比較サンプ
ル5の分光透過率と分光反射率を示す図である。
【図4】サンプル4、5および比較サンプル6、7の屈
折率nの波長依存性を示す図である。
【図5】サンプル4、5および比較サンプル6、7の吸
収係数kの波長依存性を示す図である。
【図6】本発明の熱線遮蔽ガラスの光学特性の改良点を
説明する図である。
【符号の説明】 1、2・・・本発明の熱線遮蔽ガラス 10・・・ガラス基板 11、13、22・・・可視光線と近赤外線の波長領域
において異常分散性の屈折率を有し、かつ、可視光線の
波長域での屈折率が1.5以上吸収係数が1以下の光吸
収性を有する被膜 12、14・・・低屈折率材料からなる被膜 21、23・・・屈折率が1.8〜2.1の透明誘電体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 室町 隆 大阪府大阪市中央区道修町3丁目5番11 号 日本板硝子株式会社内 (72)発明者 川口 淳 大阪府大阪市中央区道修町3丁目5番11 号 日本板硝子株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−64940(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C03C 15/00 - 23/00 B32B 1/00 - 35/00

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高屈折率材料からなる被膜と低屈折率材料
    からなる被膜が交互に2層以上積層された熱線遮蔽膜が
    ガラス基板上に設けられた熱線遮蔽ガラスにおいて、 前記高屈折率材料からなる被膜が酸化クロムの被膜であ
    り、可視光線と近赤外線領域の波長において異常分散性
    の屈折率を有し、かつ、可視光線の波長域での吸収係数
    が1以下の光吸収性を有することを特徴とする熱線遮蔽
    ガラス。
  2. 【請求項2】高屈折率材料からなる被膜と低屈折率材料
    からなる被膜が交互に2層以上積層された熱線遮蔽膜が
    ガラス基板上に設けられた熱線遮蔽ガラスにおいて、 前記高屈折率材料からなる被膜が可視光線と近赤外線領
    域の波長において異常分散性の屈折率を有し、かつ、可
    視光線の波長域での吸収係数が1以下の光吸収性を有
    し、 前記低屈折率材料からなる被膜が、二酸化珪素、酸窒化
    珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムの膜、ある
    いはこれらを組み合わせた複合膜や複層膜のいずれかで
    あることを特徴とする熱線遮蔽ガラス。
  3. 【請求項3】前記熱線遮蔽膜は、前記高屈折率材料から
    なる被膜および前記低屈折率材料からなる被膜の光学膜
    厚をそれぞれ近赤外線領域の設計波長の1/4とした2
    層積層体を基本構造としたとき、その基本構造の繰り返
    しからなる請求項1または2に記載の熱線遮蔽ガラス。
  4. 【請求項4】ガラス基板上に第1層として可視光線と近
    赤外線領域の波長において異常分散性の屈折率を有し、
    かつ、可視光線波長域での屈折率が1.5以上、吸収係
    数が1以下の物理的膜厚が10〜50nmである酸化ク
    ロムの被膜が被覆され、前記第1層の上に可視光線領域
    での屈折率が1.4〜2.1で物理的膜厚が30〜80
    nmの透明誘電体膜が第2層として被覆された熱線遮蔽
    ガラス。
  5. 【請求項5】ガラス基板上に第1層として可視光線と近
    赤外線領域の波長において異常分散性の屈折率を有し、
    かつ、可視光線波長域での屈折率が1.5以上、吸収係
    数が1以下の物理的膜厚が10〜50nmの被膜が被覆
    され、 前記第1層の上に可視光線領域での屈折率が1.4〜
    2.1で物理的膜厚が30〜80nmの透明誘電体膜が
    第2層として被覆され、 前記透明誘電体膜は、二酸化珪素、酸窒化珪素、酸化ア
    ルミニウム、酸化ジルコニウムの膜、あるいはこれらを
    組み合わせた複合膜や複層膜、酸化タンタル、炭化珪素
    と炭化ジルコニウム複合物の酸窒化膜のいずれかである
    熱線遮蔽ガラス。
  6. 【請求項6】前記ガラス基板と前記第1層の間に介在す
    るように可視光線波長域での屈折率が1.8〜2.1で
    物理的膜厚が100nmを越えない透明誘電体膜が設け
    られた請求項4または5に記載の熱線遮蔽ガラス。
  7. 【請求項7】前記ガラス基板と前記第1層の間に介在す
    るように設けられた透明誘電体膜は、酸化スズ、酸化ジ
    ルコニウム、窒化珪素、酸化タンタルのうち少なくとも
    1種からなる膜である請求項6に記載の熱線遮蔽ガラ
    ス。
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