JP3415980B2 - ゴルフクラブヘッド - Google Patents

ゴルフクラブヘッド

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、中空部を有する金
属製のゴルフクラブヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】中空部を有する金属製のゴルフクラブヘ
ッドに於て、非常に薄い壁を有すると共に体積が大きな
いわゆる「デカヘッド」は、一般に、ほぼ均一の肉厚を
有しており、ボールの打撃時に、金属性の壁が割れたり
座屈し易いという欠点があった。そのため、従来、打撃
する面(フェース面)から発生する衝撃波を伝搬、分散
させてヘッドの割れや座屈を防止するために、強度不足
の壁部の厚みを大きくしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述のように
強度不足の壁部の厚みを大きくすると、ヘッド重量が大
きくなるため、壁部の厚みを大きくするにも限界があ
り、ヘッドの割れや座屈を有効に防止することができな
かった。また、打撃の際に、トウ寄りにボールが当たる
とフックになり、かつ、ヒール寄りにボールが当たると
スライスになるという欠点があった。
【0004】そこで、本発明は、インパクト時の衝撃に
耐え得る十分な強度を有すると共に、軽量構造であり、
かつ、打球の方向安定性が良いゴルフクラブヘッドを提
供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに本発明に係るゴルフクラブヘッドは、中空部を有す
る金属製のゴルフクラブヘッドに於て、正面から見て、
シャフト軸心と直交する傾斜線とフェース面に凹設され
た複数本のフェースライン溝との成す角度をθとしたと
きに、上記傾斜線に対して、上記フェースライン溝と反
対側に角度θだけ傾斜する複数本のリブを、フェース壁
部の内面に形成したものである。
【0006】また、本発明に係るゴルフクラブヘッド
は、中空部を有する金属製のゴルフクラブヘッドに於
て、正面から見て、フェース面に凹設された複数本のフ
ェースライン溝と30°〜90°の角度を成す複数本のリブ
を、フェース壁部の内面に形成したものである。
【0007】なお、リブが、フェース壁部の内面から上
壁部の内面及び底壁部の内面にわたって、連続状に形成
されているのが好ましい。また、リブの突出高さ寸法が
1mm〜2mmとされ、幅寸法が1mm〜2mmとされ、相互間
隔寸法が5mm〜15mmとされているも望ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、実施の形態に基き本発明を
詳説する。
【0009】図1〜図5は本発明に係るゴルフクラブヘ
ッドの実施の一形態を示し、このゴルフクラブヘッド9
は、ロストワックス鋳造法による中空部を有する金属製
のゴルフクラブヘッドであって、フェース壁部1の内面
から上壁部2の内面及び底壁部3の内面にわたって、リ
ブ4…が、連続状に形成されている。
【0010】具体的には、図1に示すように、正面から
見て、シャフト軸心L───ネック部6に図示省略のシ
ャフトを差し込んだときのそのシャフトの軸心───と
直交する傾斜線Iとフェース面1aに凹設された複数本
のフェースライン溝5…との成す角度をθとしたとき
に、傾斜線Iに対して、フェースライン溝5と反対側に
角度θだけ傾斜する複数本のリブ4…を、フェース壁部
1の内面に形成する。
【0011】また、リブ4…の相互間隔寸法Pを、5mm
〜15mmとする。かつ、リブ4…の幅寸法Wを、1mm〜2
mmとする。
【0012】また、図3と図4に示すように、上壁部2
の内面のリブ4…と底壁部3の内面のリブ4…は、上方
から見て、相互に反対方向へ傾斜する。かつ、各リブ4
…の上端部と下端部は、夫々、上壁部2の前後方向中間
部と底壁部3の前後方向中間部付近にまで伸びている。
また、上壁部2と底壁部3に於て、長いリブ4と短いリ
ブ4が交互に並ぶ。
【0013】さらに、図6の拡大断面図に示すように、
リブ4の突出高さ寸法Hを、1mm〜2mmとする。
【0014】なお、このゴルフクラブヘッドの材質とし
ては、ステンレス、チタン、タングステン、銅合金等の
金属が挙げられるが、それら以外の金属を用いてもよ
い。
【0015】しかして、上述のように構成したことによ
り、このゴルフクラブヘッドによれば、インパクト時の
フェースからのボールの衝撃波を分散させて、壁部の割
れや座屈を防止できる。
【0016】即ち、フェースにボールが当たることによ
る衝撃は、各壁部に伝わるが、リブ4…によりその衝撃
に対する応力が緩和される。従って、ヘッド体積が大き
く、かつ、壁部の肉厚が小さく設定されたいわゆる「デ
カヘッド」としても、インパクトの衝撃に耐え得る大き
な強度が得られる。
【0017】ところで、従来の(中空部を有する金属製
の)ゴルフクラブヘッドは、図9と図10に示すように、
ヘッド30の壁部内面にリブは形成されておらず、壁部の
肉厚が略均一であった。そして、図9の如く水平なフェ
ースライン溝31…があるので、フェース壁部32の剛性分
布は正面から見て左右対称であった。
【0018】即ち、フェース壁部32の剛性が等しい点を
結んで成る等高線33…を描いてみると、その等高線33…
は左右水平方向に長い楕円状となり、スウィートエリア
もその等高線33…と同様の左右水平方向に長い楕円状と
なる。なお、等高線33…は、中央へゆくほど剛性が小さ
くなることを示す。言い換えれば、中央へゆくほど撓み
やすい。
【0019】上記のような従来のゴルフクラブヘッド30
では、スウィートスポットでのインパクト時は、ボール
にロフト角によるバックスピンがかかるのみとなるが、
トウ寄りに当たるとフックになり、逆にヒール寄りに当
たるとスライスになる。
【0020】これに対し、本発明のゴルフクラブヘッド
では、図7に示すように、フェース壁部1の剛性が等し
い点を結んで成る等高線10…は、前記傾斜線Iに沿って
傾斜する楕円状となり、スウィートエリアもその等高線
10…と同様の傾斜した楕円状となる。
【0021】また、図11に示すように、一般のゴルファ
ーによる打点V…の分布は、シャフト軸心Lと直交する
傾斜線Iに沿って傾斜する楕円状であり、スウィートス
ポットSからトウ側に外れるとトウ側上部に当たる傾向
にあり、ヒール側に外れるとヒール側下部に当たる傾向
にある。
【0022】このことを鑑みて本ゴルフクラブヘッドと
従来のゴルフクラブヘッドを比較すると、図7の如く、
本ゴルフクラブヘッドにてトウ側上部の打点Aにて打撃
した場合と、図9の如く、従来のゴルフクラブヘッドに
てトウ側上部の上記打点Aと同一の打点A′にて打撃し
た場合とでは、本ゴルフクラブヘッドの方が、従来のも
のよりも内側の等高線10上にて打撃することとなる。
【0023】即ち、本ゴルフクラブヘッドの方が、スウ
ィートエリアのより中央(スウィートスポット)に近い
位置で打撃することとなる。これにより、トウ寄りにボ
ールが当たった場合でも中央(スウィートスポット)寄
りに力が働いてフック回転し難くなる。
【0024】また、図7の如く、本ゴルフクラブヘッド
にてヒール側下部の打点Bにて打撃した場合と、図9の
如く、従来のゴルフクラブヘッドにてヒール側下部の上
記打点Bと同一の打点B′にて打撃した場合とでは、本
ゴルフクラブヘッドの方が、従来のものよりも内側の等
高線10上にて打撃することとなる。
【0025】即ち、本ゴルフクラブヘッドの方が、スウ
ィートエリアのより中央(スウィートスポット)に近い
位置で打撃することとなる。これにより、ヒール寄りに
ボールが当たった場合でも中央(スウィートスポット)
寄りに力が働いてスライス回転し難くなる。
【0026】従って、本発明のゴルフクラブヘッドによ
れば、スウィートスポットをトウ寄り又はヒール寄りに
外れて打撃した場合でも、打球が左右に振れ難くなり、
打球の方向性のバラツキを改善できる。
【0027】次に、図8は、他の実施の形態を示し、リ
ブ4…は、フェースライン溝5…と30°〜90°の角度θ
1 を成す(図例は約60°)。ここで、リブ4…がフェー
スライン溝5…に対して成す角度θ1 は、そのリブ4…
がトウ側へ向かって上り傾斜となる場合の角度のことで
あり、リブ4…がトウ側へ向かって下り傾斜となる場合
の角度は除外する。
【0028】このゴルフクラブヘッドでは、剛性分布を
示す楕円状の等高線10…の傾斜角度が、図11に示した一
般ゴルファーによる打点分布を示す楕円の傾斜角度に近
いので、前述の理由と同様の理由により、図9と図10の
従来のゴルフクラブヘッドに比して、打球の方向性が良
くなる。
【0029】なお、リブ4…がフェースライン溝5…と
30°未満の角度θ1 を成す場合、又は、リブ4…がフェ
ースライン溝5…と90°よりも大きい角度θ1 を成す場
合では、フェース壁部1の剛性分布を示す楕円が、図11
に示した一般ゴルファーの打点分布から大きく外れるた
め、方向性の改善が図れなくなってしまう。
【0030】また、リブ4の高さ寸法Hを1mm未満とす
ると補強効果が低くなる。また、リブ4の相互間隔寸法
Pを15mmよりも大きくすると補強効果が低くなる。ま
た、リブ4の幅寸法Wを1mm未満とした場合も補強効果
が低くなる。
【0031】また、リブ4の高さ寸法Hを2mmよりも大
きくすると重量が大きくなり過ぎて本来の軽量補強の意
味がなくなる。リブ4の相互間隔寸法Pを5mm未満とし
ても重量が大きくなり過ぎる。また、リブ4の幅寸法W
を2mmよりも大きくした場合も重量が大きくなり過ぎ
る。
【0032】なお、上述のゴルフクラブヘッドはウッド
型であるが、中空部を有する金属製のゴルフクラブヘッ
ドであれば、アイアン型とするも自由である。
【0033】また、リブ4…は、少なくともフェース壁
部1の内面に形成されていれば良く、例えば、フェース
壁部1の内面にのみリブ4…を設けるも自由である。ま
た、フェース壁部1の内面と上壁部2の内面にリブ4…
を設け、かつ、底壁部3の内面にはリブ4…を設けない
のも好ましい場合があり、フェース壁部1の内面と底壁
部3の内面にリブ4…を設け、かつ、上壁部2の内面に
はリブ4…を設けないのも望ましい場合がある。
【0034】
【実施例】次に、試作クラブを作成して実験を行った。
具体的には、次の表1に示すような、本発明の実施例
のゴルフクラブと、従来例のゴルフクラブを作成し
た。
【0035】
【表1】
【0036】なお、全ての試作クラブ(実施例、
及び、従来例)について、クラブ総重量 285g、長さ11
43mm、ヘッド体積 250cm3 、溝角21°とし、かつ、ヘッ
ドの材質をチタンとした。また、ヘッド重量指数は大き
い方が重い。
【0037】しかして、上記実施例と従来例のゴ
ルフクラブについて、インパクト耐久指数と左右の方向
性指数を測定した。その結果を次の表2に示す。
【0038】
【表2】
【0039】なお、インパクト耐久指数とは、ロボット
による試打での耐久性(通常は1000回にて合格)であ
り、数値が大きい方が耐久性が良い。また、左右の方向
性指数も、数値が大きい方が左右の方向性が良い。
【0040】上記表2から明らかなように、本発明の実
施例のゴルフクラブ(ヘッド)は、従来例に比し
て、インパクト耐久指数が 1.5〜 3.0倍となっている。
また、実施例のゴルフクラブ(ヘッド)は、従来
例に比して、ヘッド重量指数が1.05〜1.20倍となってい
る。さらに、実施例のゴルフクラブ(ヘッド)
は、従来例に比して、左右の方向性指数が1.03〜1.10倍
となっている。
【0041】このことから、本発明のゴルフクラブヘッ
ドは、従来例に比して、比較的小さな重量増加により、
インパクトの衝撃に対する耐久性が飛躍的に高くなると
言える。
【0042】また、本発明のゴルフクラブヘッドは、従
来例に比して、スウィートスポットをトウ寄り又はヒー
ル寄りに外れて打撃した場合でも、打球が左右に振れ難
くなり、打球の方向性が良いと言える。
【0043】
【発明の効果】本発明は上述の構成により、次のような
著大な効果を奏する。
【0044】請求項1記載のゴルフクラブヘッドによれ
ば、壁部の肉厚が小さい軽量構造としても、インパクト
時の衝撃に対する耐久強度を十分に大きくすることがで
きる。従って、非常に薄い壁部を有すると共に大きな体
積を有するいわゆる「デカヘッド」として最適である。
また、スウィートスポットよりもトウ寄り又はヒール寄
りでボールを打撃しても、ボールのフック回転やスライ
ス回転を効果的に抑えることができ、打球の方向のバラ
ツキを小さくすることができる。
【0045】請求項2記載のゴルフクラブヘッドによれ
ば、壁部の肉厚が小さい軽量構造としても、インパクト
時の衝撃に対する耐久強度を十分に大きくすることがで
きる。従って、非常に薄い壁部を有すると共に大きな体
積を有するいわゆる「デカヘッド」として最適である。
また、スウィートスポットよりもトウ寄り又はヒール寄
りでボールを打撃しても、ボールのフック回転やスライ
ス回転を抑えることができ、打球の方向のバラツキを小
さくすることができる。
【0046】請求項3記載のゴルフクラブヘッドによれ
ば、請求項1又は2記載のものと同様の効果を奏すると
共に、インパクト時の衝撃に対する耐久性が一層優れ
る。
【0047】請求項4記載のゴルフクラブヘッドによれ
ば、請求項1,2又は3記載のものと同様の効果を奏す
ると共に、ヘッド重量の増加を、スイングに悪影響が出
ない程度に抑えることができると共に、インパクト時の
衝撃に対する強度を飛躍的に大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示す正面図である。
【図2】断面正面図である。
【図3】平面図である。
【図4】断面平面図である。
【図5】断面側面図である。
【図6】要部拡大断面側面図である。
【図7】フェース壁部の剛性分布説明図である。
【図8】他の実施の形態を示す正面図である。
【図9】従来例のフェース壁部の剛性分布を説明する正
面図である。
【図10】従来例の断面側面図である。
【図11】一般ゴルファーの打点分布説明図である。
【符号の説明】
1 フェース壁部 1a フェース面 2 上壁部 3 底壁部 4 リブ 5 フェースライン溝 7 中空部 H 突出高さ寸法 I 傾斜線 L シャフト軸心 W 幅寸法 P 相互間隔寸法 θ1 角度
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A63B 53/04

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中空部7を有する金属製のゴルフクラブ
    ヘッドに於て、正面から見て、シャフト軸心Lと直交す
    る傾斜線Iとフェース面1aに凹設された複数本のフェ
    ースライン溝5…との成す角度をθとしたときに、上記
    傾斜線Iに対して、上記フェースライン溝5…と反対側
    に角度θだけ傾斜する複数本のリブ4…を、フェース壁
    部1の内面に形成したことを特徴とするゴルフクラブヘ
    ッド。
  2. 【請求項2】 中空部7を有する金属製のゴルフクラブ
    ヘッドに於て、正面から見て、フェース面1aに凹設さ
    れた複数本のフェースライン溝5…と30°〜90°の角度
    θ1 を成す複数本のリブ4…を、フェース壁部1の内面
    に形成したことを特徴とするゴルフクラブヘッド。
  3. 【請求項3】 リブ4…が、フェース壁部1の内面から
    上壁部2の内面及び底壁部3の内面にわたって、連続状
    に形成されている請求項1又は2記載のゴルフクラブヘ
    ッド。
  4. 【請求項4】 リブ4…の突出高さ寸法Hが1mm〜2mm
    とされ、幅寸法Wが1mm〜2mmとされ、相互間隔寸法P
    が5mm〜15mmとされている請求項1,2又は3記載のゴ
    ルフクラブヘッド。
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