JP3414082B2 - 繊維強化プラスチック製部材 - Google Patents

繊維強化プラスチック製部材

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JP3414082B2
JP3414082B2 JP29399995A JP29399995A JP3414082B2 JP 3414082 B2 JP3414082 B2 JP 3414082B2 JP 29399995 A JP29399995 A JP 29399995A JP 29399995 A JP29399995 A JP 29399995A JP 3414082 B2 JP3414082 B2 JP 3414082B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は圧縮負荷に対する耐
性の大きい繊維強化プラスチック製部材に関する。さら
に詳しくは、部材を軽量化しつつ、圧縮負荷に対する耐
性を高めた繊維強化プラスチック製部材に関する。
【0002】
【従来の技術】繊維強化プラスチック(以下、FRPと
略す)は、単位重さ当たりの引張強度が著しく高いこと
から、スポーツ用部材をはじめ、軽量化が求められる部
材に広く使用されている。しかしながら、単位重量当た
りの圧縮強度については、他材料よりも著しく高いとは
いえず、このため、軽量化を目的とした、圧縮力を受け
る部材へのFRPの適用は限定されたものになってい
た。このような、FRPの引張と圧縮強度のアンバラン
スを解消するために、FRPを構成する材料、すなわち
補強繊維やマトリックス樹脂の種類を変更する、具体的
には補強繊維の形状、内部構造、または伸度、弾性率な
どの物性を変更したり、マトリックス樹脂の伸度、弾性
率などの物性を変更したりして、FRPの圧縮強度の向
上を目的として長年検討がなされてきたが、実際上FR
Pの圧縮強度の向上幅はわずかにとどまっているのが現
状である。
【0003】一方、構成する材料を変更する技術以外
の、FRPの圧縮強度を向上するための技術としては、
圧縮荷重を受ける方向に補強繊維をより多く、より真直
に配列するという程度のものであった。また従来は、繊
維を荷重方向以外の方向に配列させることは、荷重方向
以外の方向の強度を向上させはするものの、荷重方向の
圧縮強度の向上につながるとは考えられていなかった。
そればかりか、圧縮方向以外に繊維を配列させること
は、部材の重量増加となるため、極力避けられてさえい
た。
【0004】例えば補強繊維が軸方向に配列した円筒体
において、曲げ変形が生じた場合、曲がった円筒体の凹
側と凸側にそれぞれ、ほぼ等しい圧縮応力と引張応力が
生じる。曲げ変形による円筒断面の円環形状が扁平化し
たり、軸方向に変形したりする、いわゆる座屈が生じな
ければ、材料の圧縮強度が引張強度よりも低い場合に
は、円筒は圧縮側で圧縮破壊するが、釣竿のように円筒
径に対して肉厚の薄い円筒では、座屈が生じやすく、こ
れを防止するために補強繊維が軸方向とほぼ直角方向に
配列した層を円筒の内側と外側に配置することが一般に
行われている(例えば特開平5−304860号公
報)。しかし、これにより座屈は防止することはできて
も、FRPとしての圧縮強度は高くないため、釣竿の曲
げ強度を大きなものとすることはできなかった。
【0005】また、例えば大型建築物や天井クレーンな
どの大型構造物などに用いるトラス部材は、従来ほとん
どが炭素鋼や低合金鋼あるいはアルミ合金等からなる金
属製であったが、軽量化による建築物の大型化や組立時
の作業性向上等を目的として、トラス部材の素材とし
て、FRPの使用が検討されるようになってきた(例え
ば特開昭61−142241号公報)。
【0006】このようなトラス部材は、通常、筒形やI
形のFRP製の梁材の両端に、継手等の機械要素と連結
され、軸力等を伝達する金属製の連結部材を取り付けた
構造になっているが、梁材としては、軸線に直行する平
面で切断した断面における異方性がなく、軸力などがい
ずれの方向にも均等に伝達されるように、円筒体が多用
されている。このようなトラス部材は、多岐に亘る条件
で使われるのだが、作用する外力はおおよそ軸力(すな
わち、軸方向の引張荷重と圧縮荷重)に限定されること
が多い。この軸力に対する強度は、梁材と連結部材の双
方に要求される。梁材と連結部材との間で力を伝達する
構造に関する発明は、例えば特開昭61−142241
号公報に開示されている。しかし、梁材と連結部材との
間で力を伝達する構造については高強度化できても、梁
材自身の圧縮強度を十分に高めることができていなかっ
たのが現状である。
【0007】本発明者らは、かかる現状に鑑みて、補強
繊維が一方向に配列した一方向FRP材料の破壊過程を
入念に観察するなど、鋭意検討の結果、一方向FRP材
料の破壊が荷重方向と垂直方向の変形抵抗に依存するこ
とを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、部材
の圧縮強度、または圧縮強度が支配的である部材の強度
を著しく向上させた繊維強化プラスチック製部材を提供
することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を達
成するために次の構成を有する。すなわち、補強繊維と
マトリックス樹脂とからなる層が積層してなる繊維強化
プラスチック製部材であって、次の少なくとも1つの
[A]層と、該[A]層の両面に隣り合って[B]層を
有し、θの絶対値が50°〜70°の範囲内であり、か
つ少なくとも片側の[B]層の厚みと[A]層の厚みと
の比が、0.02〜0.085の範囲内であることを特
徴とする繊維強化プラスチック製部材である。
【0010】 [A]層:補強繊維が実質的に一方向に配列した層 [B]層:[A]層の補強繊維の配列方向に対して配列
角度θで補強繊維が配列した層
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の繊維強化プラスチック部
材について、以下詳細に説明する。
【0012】FRP製部材の圧縮強度を最大にするため
には、荷重を負担する役割を果たす補強繊維を荷重方向
に配列させる必要がある。しかし、補強繊維を荷重方向
の一方向にのみ配列させた積層板の破壊過程を顕微鏡や
高速カメラなどで入念に観察すると、部材の全体破壊は
荷重と直角方向への変形により始まることがわかった。
【0013】すなわち、補強繊維を荷重方向に配列させ
た場合には、荷重方向と垂直方向の弾性率と強度が低下
して横方向への割れ、曲がり(屈曲)などが生じたり、
剪断弾性率も低下するため、横方向への剪断ずれが生じ
たりして、本来発現すべき圧縮強度が発現しない。
【0014】このような横方向への割れ、曲がり、剪断
ずれ、などの変形を抑制するために、補強繊維が実質的
に一方向に配列した層(以下[A]層という)の両面
を、[A]層の補強繊維の配列方向に対して配列角度θ
で補強繊維が配列した層(以下[B]層という)であっ
て、θの絶対値が50°〜70°、好ましくは55°〜
65°の範囲である層でサンドイッチ補強するのであ
る。
【0015】[A]層の両面に[B]層が存在すること
により、[B]層が存在しない場合に比べて、部材全体
の厚みを大きくすることなく、部材の圧縮強度を著しく
向上させることができるのである。
【0016】[B]層におけるθの絶対値が小さ過ぎる
と、[B]層に作用する応力(圧縮応力と剪断応力な
ど)が大きくなり[A]層より先に[B]層から破壊が
始まってしまい、部材の圧縮強度が低下する。また、
[B]層におけるθの絶対値が大きすぎると、[B]層
の剪断剛性が低下して部材全体が剪断ずれにより破壊し
てしまう。
【0017】[A]層中の補強繊維は、好ましくは、炭
素繊維、アラミド繊維、金属繊維から選ばれる少なくと
も1種の繊維であり、その長繊維、短繊維が一方向に配
列したものである。中でも、荷重方向に繊維を最も効率
よく配列することができるため、長繊維であることが望
ましい。
【0018】[B]層の補強繊維も、好ましくは、炭素
繊維、アラミド繊維、金属繊維から選ばれる少なくとも
1種の繊維であり、その長繊維、短繊維が一方向に配列
したものである。中でも、繊維含有量が高くでき、
[B]層に要求される[A]層の横方向への変形の軽減
を最も薄い厚みで満たすことができるため、長繊維であ
ることが望ましい。
【0019】[A]層および[B]層に用いるマトリッ
クス樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル
樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂などの熱硬
化性樹脂、ナイロン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリイミ
ド樹脂などの熱可塑性樹脂を用いることができる。
【0020】なお、[B]層としては、補強繊維が実質
的に一方向に配列した層でも良いし、θを前記範囲内と
した層単位が複数連続して積層してなっていても良い。
【0021】[B]層としては、補強繊維が配列角度θ
で実質的に一方向に配列した層と、補強繊維が配列角度
−θで実質的に一方向に配列した層からなっていること
が好ましい。この場合が補強繊維が配列角度θで配列し
た層の厚みと、補強繊維が配列角度−θで層の厚みが実
質的に等しいことがより好ましい。ここで配列角度の正
負符号は、角度の測定方向が逆回転方向であることを意
味する。
【0022】[A]層の少なくとも片側での[B]層の
厚みと[A]層の厚みの比は、0.02〜0.085で
あることが必要である。すなわち、[B]層自体は殆ど
圧縮荷重を負担しないので、この比が大き過ぎると、部
材全体としての断面積および重量が増し、部材としての
圧縮強度および単位重量当たりの圧縮強度が[A]層だ
けの時よりも低くなる一方、小さ過ぎると、前記の圧縮
破壊を引き起こす原因となる[A]層の変形を防止でき
ない。
【0023】なお、ここでいう層の厚みとは、部材の中
央を[A]層の補強繊維の配列方向と垂直な面で厚み方
向に切断し、その断面を鏡面研磨後、顕微鏡観察(50
倍)して得られる写真像から読みとった層の平均的厚み
のことである。
【0024】また、[B]層の厚みは、[A]層の両面
で実質的に等しいことが好ましい。これは、[A]層に
対して対称的とすることにより、[A]層の応力分布を
均一にして部材の強度をより一層向上させ、部材の非対
称な変形を防止することができるためである。
【0025】[B]層の補強繊維は[A]層の層内中心
面に対して鏡面対称に配列していることが一層好まし
い。
【0026】また、圧縮応力を受ける方向に多くの補強
繊維が配列していた方が圧縮強度の絶対値としては大き
くなるので、部材中で実質的に同一方向に配列した
[A]層の厚みの総和と部材の積層方向厚みの比は0.
5以上であることが好ましい。
【0027】本発明のFRP製部材は、各種部材として
利用できるが、圧縮荷重を受けやすく、部材の圧縮強度
が全体破壊を支配することが多いパネル材や円筒体の部
材であることが好ましい。円筒体部材の場合、円筒体肉
厚方向に積層され、[A]層の補強繊維の配列方向を、
円筒体の軸方向に実質的に一致させることにより、著し
く高い強度を有する円筒体が得られる。
【0028】本発明のFRP製部材を円筒体として適用
する場合には、あまりに薄肉の円筒体では、圧縮破壊以
前に座屈破壊する可能性があり部材の高い圧縮強度を反
映できない場合もあるので、円筒内径(D)に対する肉
厚(t)の比(t/D)が0.05以上、好ましくは
0.1以上の円筒体として用いることが好ましい。ま
た、t/Dが大きくなり過ぎると中実の円柱体に近付
き、部材の軽量化効果が薄れることもあるので、t/D
は0.5以下であることが好ましい。なお、座屈が発生
する荷重は曲げ弾性率が高いほど向上するので、補強繊
維としては前記した補強繊維の中でも、炭素繊維を用い
るのが好ましい。
【0029】このようなFRP製円筒体を製造する方法
としては、公知の種々の方法があり、例えば、シートワ
インディング法、テープワインディング法、フィラメン
トワインディング法、あるいはプルトルージョン法等が
使用できる。
【0030】また、円筒体部材の中でも、特に部材とし
ての軽量化が要求される、釣竿部材、ゴルフシャフト、
トラス部材の梁材、航空機胴体の外板などの円筒体部材
であることがより好ましい。
【0031】釣竿としては、一本竿、複数本の円筒部材
を継ぎ合わせてなる継竿もしくは引出竿、または竿尻に
継ぎ足して使用する長さ調製竿などが具体的に挙げられ
る。また、ここでいう釣竿である円筒体にはテーパーが
ついていてもよい。
【0032】本発明のFRP製部材を釣竿として用いる
時には、円筒径に対する肉厚の比の上記条件を満たすた
め、継竿や引出竿などの複数本の円筒体からなる釣竿に
おいては、穂先部分の円筒体よりも手元に近い部分の円
筒体や、一本竿の場合には磯竿用円筒体に好適に用いら
れる。特に複数本の円筒体からなる竿においては、竿の
継ぎ本数が多くなればなるほど、また円筒体の剛性(か
たさ)が低ければ低いほど、竿がしなった場合に、穂先
に近い円筒体には圧縮応力よりも引張応力の方がより大
きく作用する場合があるため、手元に近い円筒体、たと
えば継竿においては3番手(穂先から3番目)より手元
側の円筒体について本発明を採用することにより、より
安定して本発明の効果が認められるので好ましい。
【0033】本発明のFRP製部材を釣竿として適用す
る場合には、軽量化と釣竿の調子(曲げ弾性率)を高く
することを両立する目的から、本発明に用いる補強繊維
としては、前記した補強繊維の中でも炭素繊維がより一
層好ましく適用される。
【0034】また、本発明のFRP製部材はトラス部材
の梁材としても適用できる。
【0035】本発明のFRP製部材をトラス部材の梁材
として適用する場合には、それを構成するFRPは引張
強度と引張弾性率が高く密度が小さいことが好ましく、
本発明に用いる補強繊維としては、前記した補強繊維の
中でも炭素繊維がより一層好ましく適用される。
【0036】本発明のFRP製部材をトラス部材の梁材
として適用する場合には、マトリックス樹脂としては、
前記したマトリックス樹脂の中でも、エポキシ樹脂また
はフェノール樹脂が好ましい。エポキシ樹脂は、補強繊
維との接着性能や成形性に優れ、フェノール樹脂は燃え
難く、燃焼による有毒ガスが発生しにくいことから、難
燃性がより強く要求されるトラス部材においては特に好
適である。
【0037】また、本発明のFRP製部材をトラス部材
の梁材として適用する場合には、座屈荷重は円筒内径に
対する梁材の長さが大きくなると低下する場合があるの
で、梁材の長さは円筒内径の25倍以下であることが好
ましい。また、円筒内径に対する梁材の長さが小さ過ぎ
ると、トラス部材として用いる継手重量のトラス部材全
体重量に対する割合が増加し、構造物としての軽量化が
満足されない場合もあるので、梁材の長さは円筒内径の
3倍以上であることが好ましい。
【0038】
【実施例】
(実施例1〜3)[A]層として、エポキシ樹脂(東レ
(株)社#3631)中に長繊維の炭素繊維(東レ
(株)社製“トレカ”T800H)を一方向に配列させ
た炭素繊維強化プリプレグ(プリプレグの厚み=約0.
14mm、繊維重量含有率=67.6%)を8枚一方向
に積層し、[B]層として、エポキシ樹脂(東レ(株)
社#3631)中に長繊維の炭素繊維(東レ(株)社製
“トレカ”T800H)を一方向に配列させた炭素繊維
強化プリプレグ(プリプレグの厚み=約0.09mm、
繊維重量含有率=67.6%)をその配列角度を[A]
層の補強繊維の配列方向に対して50°、60°、70
°と変更して、[A]層の両側に1枚ずつ積層した後、
これをオートクレーブ中180℃で2時間硬化させて、
板状の繊維強化プラスチック製部材を作製した。このよ
うにして作製した板から試験片を切り出し、ASTMD
−695に従って[A]層の補強繊維配列方向の圧縮試
験を行った。試験片全体の重量および厚み、[A]層お
よび[B]層の厚み、ならびに[B]層の繊維配列角度
とともに圧縮強度の値を表1に示す。
【0039】(比較例1)実施例1において、[A]層
に用いるプリプレグの厚みを約0.1mm、積層枚数を1
3枚とし、かつ[B]層であるプリプレグを積層しなか
った以外は、実施例1と同様に試験片を作製して圧縮強
度を測定した。試験片全体の重量および厚み、[A]層
および[B]層の厚み、ならびに[B]層の繊維配列角
度とともに圧縮強度の値を表1に示す。
【0040】(比較例2〜4)実施例1〜3において、
[A]層に用いるプリプレグの厚みを約0.1mm、積層
枚数を11枚とし、かつ[B]層に用いるプリプレグの
厚みを約0.1mmとした以外は、実施例1〜3と同様に
試験片を作製して圧縮強度を測定した。試験片全体の重
量および厚み、[A]層および[B]層の厚み、ならび
に[B]層の繊維配列角度とともに圧縮強度の値を表1
に示す。
【0041】(比較例5、6)実施例1において、
[B]層の補強繊維の配列角度を[A]層の補強繊維の
配列方向に対して40°、80°と変更した以外は実施
例1と同様にして硬化させて、板状の繊維強化プラスチ
ック製部材を作製し、さらに実施例1と同様にして試験
片を作製して圧縮強度を測定した。試験片全体の重量お
よび厚み、[A]層および[B]層の厚み、ならびに
[B]層の繊維配列角度とともに圧縮強度の値を表1に
示す。
【0042】(実施例4)実施例2において、[B]層
に用いるプリプレグの厚みを約0.025mmに変更した
以外は実施例2と同様にして試験片を作製して圧縮強度
を測定した。試験片全体の重量および厚み、[A]層お
よび[B]層の厚み、ならびに[B]層の繊維配列角度
とともに圧縮強度の値を表1に示す。
【0043】(比較例7)実施例2において、[B]層
に用いるプリプレグの厚みを約0.020mmに変更した
以外は実施例2と同様にして試験片を作製して圧縮強度
を測定した。試験片全体の重量および厚み、[A]層お
よび[B]層の厚み、ならびに[B]層の繊維配列角度
とともに圧縮強度の値を表1に示す。
【0044】
【表1】 表1において、B/Aは、[B] 層片側厚みと[A] 層厚み
との比、A/Tは、[A] 層厚みの総和と部材積層方向厚
みとの比を表わす。
【0045】(実施例5〜7)[A]層として、エポキ
シ樹脂(東レ(株)社#3631)中に長繊維の炭素繊
維(東レ(株)社製“トレカ”T800H)を一方向に
配列させた炭素繊維強化プリプレグ(プリプレグの厚み
=約0.10mm、繊維重量含有率=67.6%)を1
2枚一方向に積層し、[B]層として、エポキシ樹脂
(東レ(株)社#3631)中に長繊維の炭素繊維(東
レ(株)社製“トレカ”T800H)を一方向に配列さ
せた炭素繊維強化プリプレグ(プリプレグの厚み=約
0.025mm、繊維重量含有率=67.6%)をその
配列角度を[A]層の補強繊維の配列方向に対して±5
0°、±60°、±70°と変更して、[A]層の両側
に2枚づつ、[A]層の中央面に対して鏡面対称となる
ように積層した後、実施例1と同様にして硬化させて、
板状の繊維強化プラスチック製部材を作製し、さらに実
施例1と同様にして試験片を作製して圧縮強度を測定し
た。試験片全体の重量および厚み、[A]層および
[B]層の厚み、ならびに[B]層の繊維配列角度とと
もに圧縮強度の値を表2に示す。
【0046】(比較例8、9)実施例5において、
[B]層の補強繊維の配列角度を[A]層の補強繊維の
配列方向に対して40°、80°と変更し、[B]層の
[A]層側と反対側に、[B]層に用いたプリプレグと
同様のものを、その配列角度を[A]層の補強繊維の配
列方向に対して−40°、−80°と変更して積層した
以外は実施例5と同様にして試験片を作製して圧縮強度
を測定した。試験片全体の重量および厚み、[A]層お
よび[B]層の厚み、ならびに[B]層の繊維配列角度
とともに圧縮強度の値を表2に示す。
【0047】(実施例8〜10)実施例5において、
[A]層として、エポキシ樹脂(東レ(株)社#363
1)中に長繊維の炭素繊維(東レ(株)社製“トレカ”
M30S)を一方向に配列させた炭素繊維強化プリプレ
グ(プリプレグの厚み=約0.1mm、繊維重量含有率
=67.0%)を12枚一方向に積層したものを用いた
以外は、実施例5と同様にして試験片を作製し、圧縮強
度を測定した。試験片全体の重量および厚み、[A]層
および[B]層の厚み、ならびに[B]層の繊維配列角
度とともに圧縮強度の値を表2に示す。
【0048】(比較例10)エポキシ樹脂(東レ(株)
社#3631)中に長繊維の炭素繊維(東レ(株)社製
“トレカ”M30S)を一方向に配列させた炭素繊維強
化プリプレグ(プリプレグの厚み=約0.1mm、繊維
重量含有率=67.0%)を13枚一方向に積層した
後、実施例1と同様に硬化させ、試験片を作製して圧縮
強度を測定した。試験片全体の重量および厚み、[A]
層および[B]層の厚み、ならびに[B]層の繊維配列
角度とともに圧縮強度の値を表2に示す。
【0049】(比較例11、12)[A]層として用い
るプリプレグを、エポキシ樹脂(東レ(株)社#363
1)中に長繊維の炭素繊維(東レ(株)社製“トレカ”
M30S)を一方向に配列させた炭素繊維強化プリプレ
グ(プリプレグの厚み=約0.1mm、繊維重量含有率
=67.0%)に変更した以外は、比較例8、9と同様
にして試験片を作製し、圧縮強度を測定した。試験片全
体の重量および厚み、[A]層および[B]層の厚み、
ならびに[B]層の繊維配列角度とともに圧縮強度の値
を表2に示す。
【0050】
【表2】 表2において、B/Aは、[B] 層片側厚みと[A] 層厚み
との比、A/Tは、[A] 層厚みの総和と部材積層方向厚
みとの比を表わす。
【0051】(実施例11)長さ1.0mのテーパー付
き円筒体を5本繋いでなる5mの釣竿で、3番手(穂先
から3番目)の円筒体を次のようにして構成した釣竿を
作製した。なお、1番手、2番手、4番手、5番手の円
筒体は肉厚2mmのスチール製であり、1番手、2番手
の円筒体は10/1000、4番手、5番手の円筒体は
3/1000のテーパー付き円筒体である。
【0052】エポキシ樹脂(東レ(株)社#2500)
中に長繊維の炭素繊維(東レ(株)社製“トレカ”M5
0J)を一方向に配列させた炭素繊維強化プリプレグ
(プリプレグの厚み=約0.17mm、繊維重量含有率
=68.5%)を材料として用いた。これを3/100
0のテーパー付きマンドレルに、[B]層として繊維配
列方向がマンドレル軸方向に対して60°の角度となる
ように捲回し、つづいて[A]層として繊維配列方向が
マンドレル軸方向になるように捲回し、さらに[B]層
として繊維配列方向がマンドレル軸方向に対して60°
の角度となるように捲回した。その後、オートクレーブ
により、3気圧の圧力下で120℃2時間硬化後、マン
ドレルを引き抜いて、片側内径が20mm、他端内径が
23mm、長さ1mの円筒体を得た。繊維重量含有率は
68.5%、肉厚は2.5mm、円筒長さ中央部での円
筒内径は21.5mmであり、[B]層の片側厚みと
[A]層の厚みの比は0.080であった。作製した3
番手釣竿の透視図を図3に示す。
【0053】この釣竿の穂先に重りを直接釣り下げる方
法で、竿の(曲げ)強さ試験を行った結果、4番手に近
い3番手部分で破壊し、破壊時の荷重は21kgであっ
た。 (実施例12)[A]層の中央面に対して鏡面対称にな
るように、[B]層として軸方向と60°との角度をな
す方向に配列させたプリプレグと軸方向と−60°との
角度をなす方向に配列させたプリプレグを積層して円筒
とした以外は、実施例11と同様にして3番手釣竿を作
製した。繊維重量含有率は68.5%、肉厚は2.5m
m、円筒長さ中央部での円筒内径は21.5mmであ
り、[B]層の片側厚みと[A]層の厚みの比は0.0
80であった。
【0054】竿の(曲げ)強さ試験の結果、3番手部分
で破壊し、破壊時の荷重は31kgであった。
【0055】(比較例13)[B]層として、補強繊維
が竿の軸方向に対して10°に配列するようにした以外
は、実施例11と同様にして釣竿を作製した。繊維重量
含有率は68.5%、肉厚は2.5mm、円筒長さ中央
部での円筒内径は21.5mmであり、[B]層の片側
厚みと[A]層の厚みの比は0.080であった。
【0056】竿の(曲げ)強さ試験の結果、3番手部分
で破壊し、破壊時の荷重は6kgであった。
【0057】(比較例14)[B]層として、補強繊維
が竿の軸方向に対して40°に配列するようにした以外
は、実施例11と同様にして釣竿を作製した。繊維重量
含有率は68.5%、肉厚は2.5mm、円筒長さ中央
部での円筒内径は21.5mmであり、[B]層の片側
厚みと[A]層の厚みの比は0.080であった。
【0058】竿の(曲げ)強さ試験の結果、3番手部分
で破壊し、破壊時の荷重は9kgであった。
【0059】(比較例15)[B]層として、補強繊維
が竿の軸方向に対して90°に配列するようにした以外
は、実施例11と同様にして釣竿を作製した。繊維重量
含有率は68.5%、肉厚は2.5mm、円筒長さ中央
部での円筒内径は21.5mmであり、[B]層の片側
厚みと[A]層の厚みの比は0.040であった。
【0060】竿の(曲げ)強さ試験の結果、3番手部分
で破壊し、破壊時の荷重は15kgであった。
【0061】(実施例13)実施例11において、プリ
プレグの捲回量を変更して[B]層の片側厚みと[A]
層の厚みの比が0.042となるようにした以外は、実
施例11と同様の3番手釣竿を作製した。
【0062】竿の(曲げ)強さ試験の結果、3番手部分
で破壊し、破壊時の荷重は36kgであった。
【0063】(実施例14)実施例12において、プリ
プレグの捲回量を変更して[B]層の片側厚みと[A]
層の厚みの比が0.042となるようにした以外は、実
施例12と同様の3番手釣竿を作製した。
【0064】竿の(曲げ)強さ試験の結果、3番手部分
で破壊し、破壊時の荷重は44kgであった。
【0065】(実施例15〜17)東レ(株)社製炭素
繊維“トレカ”T700SC−12Kを12本引き揃
え、エポキシ樹脂に含浸しながら、フィラメントワイン
ド法により、外径80mm、長さ1500mmのマンド
レルにその軸方向に対して±θ1=±50°、±60
°、±70°の角度で2回、[A]層として0°の角度
で26回、さらに±θ2=±50°、±60°、±70
°の角度で1回巻き付けた。
【0066】しかる後、マンドレルを回転させながら9
0℃で2時間、120℃で120分間加熱してエポキシ
樹脂を硬化させ、マンドレルを引き抜き、両端部を切断
して長さ800mm、外径104mm、内径80mm、
重さ約4kgのFRP製円筒を得た。
【0067】次に、上記FRP製円筒梁の両端に、図4
に示すように、外径120mm、長さ40mmのスチー
ル製円柱に外径105mm、内径79mm、深さ10m
mの同心円状キー溝を付けた円管のキー溝に、FRP円
筒を10mm挿入してエポキシ系接着剤で接合し、連結
した。
【0068】しかる後、スチール製円管の両端をインス
トロン万能試験機械により、平面平行板で圧縮して、圧
縮破壊試験をした。負荷速度は2mm/minとした。
試験の結果などを表3に示す。
【0069】(比較例16〜18)実施例13におい
て、±θ1=0°、±40°、±80°および±θ2=
0°、±40°、±80°とした以外は実施例13と同
様にして、FRP製円筒を作製し、圧縮破壊試験をし
た。試験の結果などを表3に示す。
【0070】(実施例18)[A]層の巻付けを28
回、外側の±θ2での巻き付けを1回に変更した以外は
実施例16と同様にしてFRP製円筒を作製し、圧縮破
壊試験をした。試験の結果などを表3に示す。
【0071】(比較例19)[A]層を22層、内側の
±θ1での巻き付けを2回、外側の±θ2での巻き付け
を2回に変更した以外は実施例16と同様にしてFRP
製円筒を作製し、圧縮破壊試験をした。試験の結果など
を表3に示す。
【0072】(比較例20)外側の±θ2を±30°と
した以外は実施例16と同様にしてFRP製円筒を作製
し、圧縮破壊試験をした。試験の結果などを表3に示
す。
【0073】
【表3】 表3において、( )内は、[A] 層厚みに対する比を表
わす。
【0074】(実施例19)長さ1.0mのテーパー付
き円筒体を5本繋いでなる5mの釣竿で、3番手(穂先
から3番目)の円筒体を次のようにして構成した釣竿を
作製した。なお、1番手、2番手、4番手、5番手の円
筒体は肉厚1mmのスチール製であり、1番手、2番手
の円筒体は10/1000、4番手、5番手の円筒体は
3/1000のテーパー付き円筒体である。
【0075】エポキシ樹脂(東レ(株)社#2500)
中に長繊維の炭素繊維(東レ(株)社製“トレカ”M5
0J)を一方向に配列させた炭素繊維強化プリプレグ
(プリプレグの厚み=約0.07mm、繊維重量含有率
=68.5%)を材料として用いた。これを3/100
0のテーパー付きマンドレルに、[B]層として繊維配
列方向がマンドレル軸方向に対して60°の角度となる
ように捲回し、つづいて[A]層として繊維配列方向が
マンドレル軸方向になるように捲回し、さらに[B]層
として繊維配列方向がマンドレル軸方向に対して60°
の角度となるように捲回した。その後、オートクレーブ
により、3気圧の圧力下で120℃2時間硬化後、マン
ドレルを引き抜いて、片側内径が20mm、他端内径が
23mm、長さ1mの円筒体を得た。繊維重量含有率は
69.5%、肉厚は1.0mm、円筒長さ中央部での円
筒内径は21.5mmであり、[B]層の片側厚みと
[A]層の厚みの比は0.080であった。作製した3
番手釣竿の透視図を図2に示す。
【0076】この釣竿の穂先に重りを直接釣り下げる方
法で、竿の(曲げ)強さ試験を行った結果、4番手に近
い3番手部分で破壊し、破壊時の荷重は8kgであっ
た。
【0077】(実施例20)[A]層の中央面に対して
鏡面対称になるように、[B]層として軸方向と60°
との角度をなす方向に配列させたプリプレグと軸方向と
−60°との角度をなす方向に配列させたプリプレグを
積層して円筒とした以外は、実施例19と同様にして3
番手釣竿を作製した。繊維重量含有率は68.5%、肉
厚は1.0mm、円筒長さ中央部での円筒内径は21.
5mmであり、[B]層の片側厚みと[A]層の厚みの
比は0.080であった。
【0078】竿の(曲げ)強さ試験の結果、3番手部分
で破壊し、破壊時の荷重は12kgであった。
【0079】(比較例21)[B]層として、補強繊維
が竿の軸方向に対して10°に配列するようにした以外
は、実施例19と同様にして釣竿を作製した。繊維重量
含有率は68.5%、肉厚は1.0mm、円筒長さ中央
部での円筒内径は21.5mmであり、[B]層の片側
厚みと[A]層の厚みの比は0.080であった。
【0080】竿の(曲げ)強さ試験の結果、3番手部分
で破壊し、破壊時の荷重は3kgであった。
【0081】(比較例22)[B]層として、補強繊維
が竿の軸方向に対して40°に配列するようにした以外
は、実施例19と同様にして釣竿を作製した。繊維重量
含有率は68.5%、肉厚は1.0mm、円筒長さ中央
部での円筒内径は21.5mmであり、[B]層の片側
厚みと[A]層の厚みの比は0.080であった。
【0082】竿の(曲げ)強さ試験の結果、3番手部分
で破壊し、破壊時の荷重は4kgであった。
【0083】(比較例23)[B]層として、補強繊維
が竿の軸方向に対して90°に配列するようにした以外
は、実施例19と同様にして釣竿を作製した。繊維重量
含有率は68.5%、肉厚は1.0mm、円筒長さ中央
部での円筒内径は21.5mmであり、[B]層の片側
厚みと[A]層の厚みの比は0.040であった。
【0084】竿の(曲げ)強さ試験の結果、3番手部分
で破壊し、破壊時の荷重は6kgであった。
【0085】(実施例21)実施例19において、プリ
プレグの捲回量を変更して[B]層の片側厚みと[A]
層の厚みの比が0.042となるようにした以外は、実
施例19と同様の3番手釣竿を作製した。
【0086】竿の(曲げ)強さ試験の結果、3番手部分
で破壊し、破壊時の荷重は14kgであった。
【0087】(実施例22)実施例20において、プリ
プレグの捲回量を変更して[B]層の片側厚みと[A]
層の厚みの比が0.042となるようにした以外は、実
施例20と同様の3番手釣竿を作製した。
【0088】竿の(曲げ)強さ試験の結果、3番手部分
で破壊し、破壊時の荷重は18kgであった。
【0089】
【発明の効果】本発明によれば、これまで引張強度より
も低いとされてきた繊維強化プラスチック製部材の圧縮
強度を部材の重量増加を伴うことなく著しく向上させる
ことが可能となる。より具体的には、部材の重量増加を
伴うことなく、圧縮強度または曲げ強度の向上した釣
竿、トラス部材の梁材などの円筒体を提供できる。これ
により、特にトラス部材においては、これまでにない超
大型構造物を設計することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様である繊維強化プラスチッ
ク製平板部材を模式的に各層分割して示した図である。
【図2】本発明の一実施態様である繊維強化プラスチッ
ク製平板部材を模式的に各層分割して示した図である。
【図3】本発明の一実施態様である繊維強化プラスチッ
ク製釣竿部材の一部切り取り斜視図である。
【図4】本発明の一実施態様である繊維強化プラスチッ
ク製円筒体梁材にスチール製円管を連結した圧縮強度測
定用試験片の平面図である。
【図5】図4の円筒体梁材のX−X´面での断面図であ
る。
【符号の説明】
1.[A]層 2.[B]層 3.円筒軸方向 4.補強繊維配列方向 5.FRP製円筒梁材 6.キー溝付きスチール製円管 7.接着剤層
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI E04C 3/28 A01K 87/00 630A (56)参考文献 特開 平6−225669(JP,A) 特開 平5−7444(JP,A) 実開 平1−90360(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 B29B 11/16,15/08 - 15/14 C08J 5/04 - 5/10,5/24 B29C 70/00 - 70/88 A01K 87/00 E04C 3/28

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】補強繊維とマトリックス樹脂とからなる層
    が積層してなる繊維強化プラスチック製部材であって、
    次の少なくとも1つの[A]層と、該[A]層の両面に
    隣り合って[B]層を有し、θの絶対値が50°〜70
    °の範囲内であり、かつ少なくとも片側の[B]層の厚
    みと[A]層の厚みとの比が、0.02〜0.085の
    範囲内であることを特徴とする繊維強化プラスチック製
    部材。 [A]層:補強繊維が実質的に一方向に配列した層 [B]層:[A]層の補強繊維の配列方向に対して配列
    角度θで補強繊維が配列した層
  2. 【請求項2】[B]層の厚みが[A]層の両側で実質的
    に等しいことを特徴とする請求項1記載の繊維強化プラ
    スチック製部材。
  3. 【請求項3】[B]層の補強繊維の配列方向が、[A]
    層の中心層面に対して鏡面対称であることを特徴とする
    請求項1に記載の繊維強化プラスチック製部材。
  4. 【請求項4】部材中で実質的に同一方向に配列した
    [A]層の厚みの総和と部材の積層方向厚みの比が0.
    5以上であることを特徴とする請求項1記載の繊維強化
    プラスチック製部材。
  5. 【請求項5】繊維強化プラスチック製部材が円筒体であ
    り、[A]の補強繊維の配列方向が円筒軸方向であるこ
    とを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の繊維強
    化プラスチック製部材。
  6. 【請求項6】円筒体の肉厚と内径との比が0.04〜
    0.5であることを特徴とする請求項5記載の繊維強化
    プラスチック製部材。
  7. 【請求項7】円筒体が釣竿であることを特徴とする請求
    項5記載の繊維強化プラスチック製部材。
  8. 【請求項8】円筒体がトラス部材の梁材であることを特
    徴とする請求項5記載の繊維強化プラスチック製部材。
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