JP3412024B2 - ダイオキシン類の低減剤及びそれを用いるダイオキン類の低減方法 - Google Patents

ダイオキシン類の低減剤及びそれを用いるダイオキン類の低減方法

Info

Publication number
JP3412024B2
JP3412024B2 JP20911699A JP20911699A JP3412024B2 JP 3412024 B2 JP3412024 B2 JP 3412024B2 JP 20911699 A JP20911699 A JP 20911699A JP 20911699 A JP20911699 A JP 20911699A JP 3412024 B2 JP3412024 B2 JP 3412024B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dioxins
fermp
aerobic
reducing agent
dioxin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP20911699A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001029915A (ja
Inventor
正一 山村
晋二郎 金沢
敬介 笠原
Original Assignee
株式会社 山有
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=16567563&utm_source=google_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JP3412024(B2) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by 株式会社 山有 filed Critical 株式会社 山有
Priority to JP20911699A priority Critical patent/JP3412024B2/ja
Publication of JP2001029915A publication Critical patent/JP2001029915A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3412024B2 publication Critical patent/JP3412024B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W30/00Technologies for solid waste management
    • Y02W30/40Bio-organic fraction processing; Production of fertilisers from the organic fraction of waste or refuse

Landscapes

  • Fire-Extinguishing Compositions (AREA)
  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Processing Of Solid Wastes (AREA)
  • Fertilizers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ダイオキシン類を
含む被処理物質からダイオキシン類の含量を低減させる
ことができるダイオキシン類の低減剤及びそれを使用し
て被処理物質からダイオキシン類の含量を低減させる方
法に関する。
【0002】ダイオキシン類は、ガンや奇形、免疫不全
などの原因物質とされていて、ダイオキシン類による環
境汚染は、健康に関わる重要な社会問題としてクローズ
アップされている。ダイオキシン類は、難分解性の有機
塩素系化合物であり、ポリ塩化ジベンゾ・パラ・ダイオ
キシン類〔PCDDs〕の総称である。ダイオキシン類
は、化学物質の中では最も毒性が高く、なかでも、2,
3,7,8−四塩化ダイオキシン〔TCDDs〕の毒性
は、きわめて高いことが知られている。
【0003】ダイオキシン類は、自動車の排気ガスや紙
パルプの塩素漂白処理過程、農薬の合成過程などにおい
ても生成するが、主として、産業廃棄物の焼却によって
発生する。その場合、発生したダイオキシン類の一部は
焼却炉の煙突から煙に付着して大気中へ放出され、一部
は焼却灰の中に残存するが、ダイオキシン類はきわめて
分解しにくい性質であるため、焼却炉の稼働に伴って、
各地の大気中や水中や広範な土壌環境からダイオキシン
類が検出されることになり、その発生の抑止と発生量の
低減対策如何は、いまや重要な社会問題とされている。
また過去に生じた焼却灰にはダイオキシン類が多量に含
まれているので棄て場がなく、いたずらに放置され、又
は倉庫などに密閉保管されており、その処置を如何する
かも大きな問題である。
【0004】
【従来の技術】従来から、ダイオキシン類の抑止・低減
策として、いくつかの方法が提案されている。例えば、
焼却炉の煙に付着して拡散するダイオキシン類を抑制す
る方策としては、焼却炉の適正負荷運転、すなわち安定
した良好な燃焼の継続が必要であるとされ、一般的に
は、 800℃以上で24時間連続焼却がよいとされている
が、必ずしも厳守されていない。現在は24時間連続し
て運転できない焼却炉は順次廃止されて、ダイオキシン
類を抑制可能な連続炉に統合されつつあり、また排ガス
処理として、バグフィルタなどを取り付けて、ダイオキ
シン類を捕捉・除去する方法が実施されている。さら
に、産業廃棄物の焼却によって生ずる焼却灰のダイオキ
シン含量の低減策についても、種々研究がなされている
が、前記のとおり、ダイオキシン類は難分解性の有機塩
素系化合物であるため、光分解法、超臨界処理法などの
物理化学的手法による分解法が研究されており、その一
部は実施されている。最近では、微生物を用いて廃棄物
を分解する方法が提案されて、特開平6-319532、同6-31
9533、同8-229385、同9-224657、同10-256895 、同11-1
14373 などとして公開されている。しかしながら、決定
的に有効な手法はまだ見いだされていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような状況に鑑
み、本発明は、農薬、土壌、焼却灰などダイオキシン類
を含む各種物質からダイオキシン類を簡単に低減でき
る、新規にして有効なダイオキシン類の低減剤とその使
用方法を提供するものである。また本発明は、有機廃棄
物を焼却したときに生ずる焼却灰中のダイオキシン類含
量を大幅に低減するのに適したダイオキシン類の低減剤
とその使用方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を達成するた
めに、本発明のうち請求項1に記載する発明は、工業技
術院生命工学工業技術研究所に寄託している受託番号 F
ERMP-15085、 FERMP-15086、 FERMP-15087、 FERMP-155
36、 FERMP-15537、 FERMP-15538、 FERMP-15539、 FER
MP-15540、 FERMP-15541、及び FERMP-15542よりなる群
から選択された少なくとも1種の好気性超高温菌又はそ
の混合菌体もしくこれらの培養物を有効成分とするダイ
オキシン類の低減剤である。
【0007】 また、本発明のうち請求項に記載する発
明は、請求項に記載の少なくとも1種の好気性超高温
菌又はその混合菌体もしくこれらの培養物を添加した有
機物原料を通気発酵させて製した好気性発酵完熟肥料か
らなるダイオキシン類の低減剤である。
【0008】 さらに本発明のうち請求項に記載する発
明は、請求項1又は2に記載のダイオキシン類の低減剤
を添加した有機物原料と、ダイオキシン類を含む被処理
物質とを混合又は接触させて通気発酵を行ない、被処理
物質のダイオキシン類含量を低減させることを特徴とす
るダイオキシン類の低減方法である。
【0009】 さらに本発明のうち請求項に記載する発
明は、請求項に記載の被処理物質が、有機廃棄物を焼
却した焼却灰であるダイオキシン類の低減方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るダイオキシン
類の低減剤及びそれを用いるダイオキシン類の低減方法
について、詳細に説明する。尚、本発明の全説明におい
て、「%」や「部」の表示は、特に断らない限り、それ
ぞれ「重量%」、「重量部」を表す。
【0011】 まず、本発明において、ダイオキシン類の
低減剤の有効成分とする好気性超高温菌及びその混合菌
体について説明する。本発明に係るダイオキシン類の低
減剤は、至適温度を85℃以上となる好気性超高温菌又
はその混合菌体もしくはこれらの培養物を有効成分とす
る。至適温度を85℃以上とする好気性超高温菌という
のは、活動に最適な温度帯が85℃以上である好気性超
高温菌のことをいい、本発明では、好気性超高温菌その
ものの他、その2種以上の混合菌体もしくはこれらの菌
体の培養物を使用することでもさしつかえない。尚、本
発明においては、好気性菌が発酵活動をなし得る温度帯
に応じて、55℃未満で活動するものを中温菌、55℃
以上75℃未満で活動するものを高温菌、75℃以上で
活動するものを超高温菌と称する。本発明のダイオキシ
ン類の低減剤は、至適温度を85℃以上とする好気性超
高温菌か又はその超高温菌を少なくとも1種以上含む混
合菌体もしくはそのの培養物である必要があり、超高温
菌であっても嫌気性のものや84℃未満の超高温菌、高
温菌、中温菌、又はこれらの混合菌体を使用しても、所
期の効果を上げることはできない。
【0012】 本発明において、至適温度を85℃以上と
する好気性超高温菌の中で使用できる菌は、本発明者ら
が鹿児島県姶良郡牧園町の霧島火山帯の土壌から見いだ
して特許出願中であり、バチルス属、ミクロコッカス属
又は放線菌に属し、現在工業技術院生命工学工業技術研
究所に寄託している受託番号 FERMP-15085、 FERMP-150
86、 FERMP-15087、 FERMP-15536、 FERMP-15537、 FER
MP-15538、 FERMP-15539、 FERMP-15540、 FERMP-1554
1、及び FERMP-15542よりなる群から選択された菌体の
うち少なくとも1種の好気性超高温菌又はその混合菌体
もしくはこれらの培養物である。
【0013】 本発明に使用する好気性超高温菌又はその
混合菌体の培養物は、例えば以下のようにして製造す
る。すなわち、85℃以上を至適温度とする任意の好気
性超高温菌を含む土壌を採取して、これに蔗糖溶液等を
加えて高温下で通気しながら発酵させて菌体を培養し、
このものを有機廃棄物等の有機物原料、例えば生汚泥と
混合して高温下でさらに通気しながら発酵させて、好気
性超高温菌の培養物とする。本発明では、この好気性超
高温菌の培養物をダイオキシン類の低減剤の有効成分と
してそのまま用いてもよいが、通常この培養物は好気性
発酵肥料の原料に添加して使用されるので、本発明にお
いても、上記のようにして製した好気性超高温菌の培養
物を発酵槽内の有機物原料、例えば、生汚泥などの有機
廃棄物に添加して、空気を送り込んで通気発酵を進行さ
せ、好気性発酵完熟肥料を製造することができ、そのよ
うにした場合には、その好気性発酵完熟肥料は、本発明
に係るダイオキシン類の低減剤そのものとしても、また
本発明に係るダイオキシン類の低減剤の有効成分として
も使用できる。
【0014】 本発明に係るダイオキシン類の低減剤とし
て好適に使用できる好気性発酵完熟肥料の製造例につい
て詳しく説明する。まず、有機物原料、例えば生汚泥に
前記のような好気性超高温菌又はその混合菌体の培養物
を高温下で混合する。混合比率は、有機物原料70〜8
0部に対して超高温菌の培養物20〜30部が好まし
い。この混合物を発酵槽に入れて空気を吹き込みながら
通気発酵を行なう。このようにすると、最初は常温であ
った混合物が1日ないし数日後には85℃以上の温度と
なる。この温度に2〜5日間放置して発酵を継続させた
後切り返しを行なう。以後はこの放置発酵と切り返しを
3〜5回繰り返して行ない、およそ20〜50日間、好
気性発酵を続けると、全体がさらさらした乾燥状態のも
のとなる。この乾燥物を、所要により篩い分けして、好
気性発酵完熟肥料として製了する。このものは、茶色の
顆粒状ないし粉末状を呈しており、このまま有用な有機
肥料として使用できる。
【0015】 上記のようにして製した本発明に係るダイ
オキシン類の低減剤すなわち好気性発酵完熟肥料は、超
高温菌の菌体を約10億も含んでいるので、本発明にお
いては、超高温菌の培養物として反復使用できる。すな
わち、本発明における好気性発酵完熟肥料は、同じ発酵
槽で前回に製造した好気性発酵完熟肥料を「好気性超高
温菌の培養物」として使用することによって、同じ発酵
槽の中で繰り返し製造を続けることができる。この場
合、好気性発酵の開始に必要な有機物原料の水分含量は
35%から75%程度、好ましくは40%から70%程
度であるから、例えば、本発明により製了した完熟状態
の好気性発酵肥料を好気性超高温菌の培養物として30
部使用する場合その水分含量は30%程度であるから、
有機物原料として各種活性汚泥に発生した濃縮汚泥や脱
水パンケーキを70部添加すると、発酵開始に必要な水
分状態を得ることができる。
【0016】 すなわち、製了した完熟状態の好気性発酵
肥料を発酵槽から取り出して包装等の次工程に移す際
に、その一部を好気性超高温菌の培養物として発酵槽内
に残留させ、その上に主原料である有機廃棄物等の有機
物原料を投入して次回の原料を構成し、この原料構成に
よる発酵を繰り返し行なうことができ、そのようにした
場合には、各回の発酵によって得られる好気性発酵完熟
肥料は、本発明のダイオキシン類の低減剤としてそのま
ま使用できるとともに、本発明のダイオキシン類の低減
剤の有効成分としても使用できる。
【0017】 本発明においては、ダイオキシン類の低減
剤すなわち好気性発酵完熟肥料を製造するための有機物
原料として、どのような有機物でも使用できるが、省資
源の見地から、主として有機廃棄物を使用するのが好ま
しい。本発明でいう有機廃棄物とは、わら、落ち葉、
糠、籾殻、樹皮、切端材、おが屑、皮等の植物廃棄物、
家畜類や家禽類の糞尿、動物の屍体とその臓物、血液、
羽毛、魚介類とその臓物等の動物廃棄物、し尿、各種の
汚泥、下水のスラッジ、都市ごみ、食用廃油、食品廃棄
物等の生活廃棄物ないし産業廃棄物の他、通常の堆肥や
有機質肥料の原料となるもの及び有機質肥料の原料とし
て処理できる全ての有機性物質を含む。本発明では、有
機物原料として、下水汚泥などを主原料とすることがで
きるが、上記の有機廃棄物の1種又は2種以上を組み合
せて使用してさしつかえない。
【0018】 本発明に係るダイオキシン類の低減剤すな
わち好気性発酵完熟肥料の製造に使用する発酵槽は、屋
根を有する建屋の中に1槽又は複数の槽として設けられ
る場合が多い。この場合の発酵槽は「発酵ヤード」等と
称されるものも含み、通常の堆肥生産の場合と同様にコ
ンクリート等の仕切り壁によって、例えば1区画を幅5
m×長さ15m×高さ3m程度の、有機物原料を内部に
堆積させ発酵させるのに適当な容積に区画したものが好
ましい。発酵槽の下部には、外気を取り入れるための送
風管を1本又は複数本敷設する。具体的には、空気噴出
孔を下向きに貫設させた送風管を、発酵槽の床面の近傍
に敷設するか又は発酵槽の床面に凹所を設け、その凹所
内に敷設するとよい。送風管は複数本を並列に敷設して
もよく、また発酵槽の床面又は凹所の床面にそって縦横
に組み合わせて敷設してもよい。
【0019】 好気性発酵完熟肥料の製造に使用する空気
供給手段は、例えば送風機と送風管及びその両者の間を
連結するダクトで構成され、送風機は外部から空気を取
り込んでこれをダクトを通して送風管に送り込み、送風
管の空気噴出孔から有機物原料内へ噴出させる。尚、送
風機と送風管の間に空気加熱機やサーモスタットを設置
して、送風機が取り込んだ空気を加熱して所定の高温空
気とし、これを有機物原料に供給するようにしてもよ
い。好気性発酵完熟肥料の製造においては、有機物原料
の性状によっては常時連続的に通気する必要はなく、間
歇的に通気するようにして差し支えない。
【0020】 本発明では、上記のようにして製した好気
性超高温菌又はその混合菌体もしくはこれらの培養物の
有効成分をダイオキシン類の低減剤として使用する。好
気性超高温菌又はその混合菌体の培養物としては、上記
のようにして製した好気性発酵完熟肥料を用いることが
できる。さらに、上記のようにして製した好気性発酵完
熟肥料は、ダイオキシン類の低減剤そのものとすること
もできる。
【0021】 次に、本発明に係るダイオキシン類の低減
剤の使用方法、すなわち本発明に係るダイオキシン類の
低減剤を用いて、ダイオキシン類を含む被処理物質から
ダイオキシン類の含量を低減させる方法について説明す
る。本発明に係るダイオキシン類の低減剤は、ダイオキ
シン類を含む被処理物質として、農薬、除草剤、農作
物、化学品、土壌、焼却灰などあらゆる種類のものに使
用できるが、最も効果的な使用例は、有機廃棄物などを
焼却した後に生ずる焼却灰に用いてそのダイオキシン濃
度を大幅に低減させることである。すなわち、本発明に
係るダイオキシン類の低減剤及びその使用方法によれ
ば、被処理物質が焼却灰の場合、1回の処理につきダイ
オキシン含量の平均減少率は25〜35%程度である。
また、この処理を長時間又は繰り返し行なうことによっ
て、ダイオキシン類の減少率をさらに大幅に向上させる
ことができる。
【0022】 本発明においては、ダイオキシン類の低減
剤を添加した有機物原料と被処理物質とを混合するか又
は両者を接触させて、その中に空気を送り込み、通気発
酵を継続させることによって、被処理物質に含まれてい
るダイオキシン類の含量を低減させる。ダイオキシン類
の低減剤を添加した有機物原料と被処理物質とを混合す
るとは、文字どおり、両者を混合させ、かつダイオキシ
ン類の低減剤の中に生息している超高温菌が被処理物質
に対して自由に活動できる状態にすることをいう。また
ダイオキシン類の低減剤を添加した有機物原料と被処理
物質を接触させるとは、ダイオキシン類の低減剤を添加
した有機物原料の上に被処理物質を載置するとか又はダ
イオキシン類の低減剤を添加した有機物原料の中被処理
物質を埋設させるとかの適宜の方法によって、両者を接
触させ、かつダイオキシン類の低減剤の中に生息してい
る超高温菌が被処理物質に対して自由に活動できる状態
にすることをいう。
【0023】
【試験例1】《焼却灰の処理試験》 <試験方法> 微生物のみが通過できる、孔径25μm のナイロンメッシ
ュを張った厚さ 1mmの正方形の容器(縦12.5mm×横12.5
mm)に産業廃棄物の焼却灰を封入し、この容器を固液分
離する前の下水道汚泥に浸漬し、引き上げて、そのまま
公共下水汚泥の脱水ケーキと返送汚泥コンポスト(下記
の種菌を含む)との混合物の中に埋め込んだ。この混合
物に空気を送り込みながら、この状態で45日間放置し
た。焼却灰は、試験の前(NO.1焼却灰)と試験の後(N
O.2焼却灰)について、株式会社関西総合環境センター
(大阪市中央区)に依頼して、それぞれダイオキシン類
の濃度を測定し、表1と表2の結果を得た。<種菌の調
整>鹿児島県姶良郡牧園町の霧島火山帯の硫黄地帯の37
〜40℃の土壌とその付近の水田の青苔が生育している土
壌とを混合し、これに蔗糖を 500〜1000倍量の水に溶解
した蔗糖水溶液を土壌混合物 1m3当り 3〜4L加え、40〜
60℃で30〜50日間放置して培養した。この培養物をいく
つかのロットに分けて生汚泥と混合し、空気を吹き込み
ながら通気発酵を行ない、85℃以上の発酵温度が得られ
たロットを種菌(好気性超高温菌の培養物)とした。
【0024】
【表1】《試験前における焼却灰のダイオキシン類の濃
度》
【0025】
【表2】《試験後における焼却灰のダイオキシン類の濃
度》
【0026】《表1と表2の注釈》 1.単位の「ng/g」は乾燥重量当り。 2.毒性等量係数は、国際毒性等価係数(WHO/ICPS,1988)
を適用。 3.毒性等量とは、毒性等価係数を用いて、2,3,7,8-T4C
DD の毒性に換算したもの。 4.定量下限値:四〜五塩素化物 0.0008ng/g 六〜七塩素化物 0.002ng/g 八塩素化物 0.004ng/g 5.数値を記入していないのは定量下限値未満を表す。 6.表示は原則として2桁とするが、合計の算出には丸
めを行なっていない数値を用いているため、表示上の数
値を合計しても一致しない場合がある。 7. 計量の方法は「ダイオキシン類標準測定分析マニュ
アル(平成9年1月:厚生省生活衛生局水道環境部環境
整備課)」による。
【0027】 《表1と表2の所見》 0.48ng-TEQ/gであった焼却灰のダイオキシン濃度が、コ
ンポスト中で45日間経過させることで、0.36ng-TEQ/gと
なった。したがって、本処理によって、ダイオキシン類
の濃度が25%減少させることができる。特に本処理に
よって、最も毒性が強いとされている2,3,7,8−
T4 CDD(四塩化ダイオキシン)の濃度が、0.035ng-
TEQ/g から0.022ng-TEQ/g と33%も低減していること
は注目に値する。
【0028】
【実施例1】《焼却灰の処理方法の一例》 試験例1において調整した種菌の培養物30部を85℃
の温度を維持しつつ生汚泥70部に添加して混合し、通
気手段を備えた発酵槽に投入した。この混合物に空気を
吹き込んで通気発酵を開始させ、温度が低下したらショ
ベルローダを使用して切り返しを行なって発酵を継続さ
せ、発酵開始後45日目に、さらさらした乾燥状態の好
気性発酵完熟肥料を得た。得られた完熟肥料の約3分の
2量を発酵槽から取り出して有機肥料製品とし、残りは
発酵槽内に残留させ、製品として取り出したのと等量の
し尿パンケーキを添加混合して発酵を再開し、2回目の
好気性発酵完熟肥料を製した。同様にして3回目の発酵
を開始する前に、完熟肥料の残留物とし尿パンケーキの
混合物にくぼみを作っておいて、このくぼみの上に産業
廃棄物の焼却灰(ダイオキシン濃度0.50ng-TEQ/g)を投
入した。その焼却灰の表面にも完熟肥料を被せた。この
ような状態にして、空気を送り込み、発酵を開始させ
た。切り返しは行わずに、静置状態のまま30日間経過
した後、表面に被せた完熟肥料を除き、焼却灰を取り出
してダイオキシン農度を測定したところ、0.45ng-TEQ/g
であった。処理後の焼却灰は、肥料として安心して再使
用することができた。
【0029】
【実施例2】《焼却灰の処理装置の一例》 図1は、被処理物質のダイオキシン類含量を低減させる
処理装置の一例の概念図である。図1において、Aは有
機物原料としての都市下水汚泥であり、Xはその脱水タ
ンクで、下部にモーターで開閉するダンパーMxを有し
ている。またYは被処理物質としての焼却灰Bの集積タ
ンク、Zは実施例1で使用した種菌の培養物Cの集積タ
ンクであり、それぞれ下部にモーターで開閉するダンパ
ーMy、Mzを有している。脱水タンクXに集められた
下水汚泥A中の水分は脱水機aによって脱水され排水管
bを通して除去される。濃縮された下水汚泥Aは適量ご
とにダンパーMxを開いて配管Eに投下し、回転してい
る混合押出機Dによって配管E中を進行させる。集積タ
ンクY、同Z中の焼却灰Bと種菌の培養物Cもそれぞれ
適量ごとにダンパーMy、Mzを開いて配管Eに投下さ
れ、混合押出機Dによって配管Eを進行する。すなわ
ち、配管E中において下水汚泥Xと焼却灰Bと種菌の培
養物Cとが適量ごとに十分に混合されて混合物Qとな
る。混合物Qは、ダンパーF1 、F2 を有する開口K1
、K2 から仕切り壁O1 、O2 、O3 によって区画さ
れている2基の発酵槽にそれぞれ上方から投入され、堆
積する。各発酵槽の床面Nの下には、それぞれ通気口S
1 、S2 が設けてあり、通気口S1 、S2 は床下に埋設
してある送気管Rに連通している。送気管Rには空気ブ
ロアJと空気加熱機I、同吸熱機Gが付設されている。
空気加熱機Iと同吸熱機Gは冷媒配管L1 、同L2 によ
って連結されている。尚、HPはヒートポンプ、Hは吸
熱機Gのドレン抜きバルブである。したがって、ブロア
Jによって取り込まれた空気は適宜の温度に加熱され、
送気管Rを介して通気口S1 、同S2 から各発酵槽内に
送り込まれる。 各発酵槽内には、発酵が終了した完
熟肥料Pの一部を残留させてあるので、混合物Qはその
上へ投入され山積み状態となって堆積する。適量の混合
物Qが投入されたらダンパーMx、My、Mzを閉めて
混合物Qの投入を中止し、適宜の温度に加熱した空気を
送気管Rを介して通気口S1 、S2から各発酵槽内に送
り込む。空気は、発酵槽の通気口S1 、同S2 から各完
熟肥料Pを通して混合物Qにも送られ、完熟肥料P中の
超高温菌と混合物Q中の種菌(超高温菌)が働いて、発
酵が開始される。通常のとおり、切り返しを行ないなが
ら発酵を続けると、混合物Qと完熟肥料Pは混合され、
良質の好気性発酵完熟肥料として仕上げることができ
る。尚、各発酵槽は、1基ごとに発酵開始時期をずらし
て発酵を行なうと、全体として連続的に処理を続けるこ
とができる。
【0030】
【発明の効果】以上、詳しく説明のとおり、本発明に係
るダイオキシン類の低減剤及びそれを用いるダイオキシ
ン類の低減方法は、きわめて簡単に、被処理物質のダイ
オキシン類の含量を1回の処理によって25〜35%程
度も減少させることができる。特に本発明によれば、最
も毒性の高い2,3,7,8−四塩化ダイオキシン〔T
CDDs〕の含量を30%以上も減少させることができ
る。したがって、本発明に係るダイオキシン類の低減剤
とその使用方法によって、例えば、焼却灰を処理するこ
とにより、焼却灰のダイオキシン類の含量を大幅に低減
させることができるので、処理後の焼却灰は、安心して
廃棄するか又は再使用できる。このように本発明は、難
分解性のダイオキシン類を簡単な方法によって容易に減
少させることができるので、生活不安の根源であるダイ
オキシン問題を解決することができ、国民の健康維持の
上から、すこぶる有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】被処理物質のダイオキシン類を低減させる処理
装置の一例の概念図である。
【符号の説明】
A 下水汚泥(有機物原料) a 脱水機 B 焼却灰(被処理物質) b 排水管 C 種菌の培養物 D 混合押出機 E 配管 F1 開口K1 のダンパー F2 開口K2 のダンパー G 空気吸熱機 H ドレン抜きバルブ HP ヒートポンプ I 空気加熱機 J 空気ブロア K1 開口 K2 開口 L1 冷媒配管 L2 冷媒配管 Mx 脱水タンクXのダンパー My 集積タンクYのダンパー Mz 集積タンクZのダンパー N 発酵槽の床 O1 発酵槽の仕切り壁 O2 発酵槽の仕切り壁 O3 発酵槽の仕切り壁 P 残留完熟肥料 Q 混合物 R 送気管 S1 発酵槽の通気口 S2 発酵槽の通気口 X 下水汚泥A(有機物原料)の脱水タンク Y 焼却灰B(被処理物質)の集積タンク Z 種菌の培養物Cの集積タンク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C05F 11/08 C12M 1/00 H 17/00 C12N 1/00 C12M 1/00 C12R 1:01 (C12N 1/00 B09B 3/00 A C12R 1:01) ZABE (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B09B 3/00 - 5/00 B09C 1/00 - 1/10 C12N 1/00 - 7/08 A62D 3/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 工業技術院生命工学工業技術研究所に寄
    託している受託番号 FERMP-15085、 FERMP-15086、 FER
    MP-15087、 FERMP-15536、 FERMP-15537、 FERMP-1553
    8、 FERMP-15539、 FERMP-15540、 FERMP-15541、及び
    FERMP-15542よりなる群から選択された少なくとも1種
    の好気性超高温菌又はその混合菌体もしくこれらの培養
    物を有効成分とするダイオキシン類の低減剤。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の少なくとも1種の好気
    性超高温菌又はその混合菌体もしくこれらの培養物を添
    加した有機物原料を通気発酵させて製した好気性発酵完
    熟肥料からなるダイオキシン類の低減剤。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載のダイオキシン類
    の低減剤を添加した有機物原料と、ダイオキシン類を含
    む被処理物質とを混合又は接触させて通気発酵を行な
    い、被処理物質のダイオキシン類含量を低減させること
    を特徴とするダイオキシン類の低減方法。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の被処理物質が、有機廃
    棄物を焼却した焼却灰であるダイオキシン類の低減方
    法。
JP20911699A 1999-07-23 1999-07-23 ダイオキシン類の低減剤及びそれを用いるダイオキン類の低減方法 Expired - Lifetime JP3412024B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20911699A JP3412024B2 (ja) 1999-07-23 1999-07-23 ダイオキシン類の低減剤及びそれを用いるダイオキン類の低減方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20911699A JP3412024B2 (ja) 1999-07-23 1999-07-23 ダイオキシン類の低減剤及びそれを用いるダイオキン類の低減方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001029915A JP2001029915A (ja) 2001-02-06
JP3412024B2 true JP3412024B2 (ja) 2003-06-03

Family

ID=16567563

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP20911699A Expired - Lifetime JP3412024B2 (ja) 1999-07-23 1999-07-23 ダイオキシン類の低減剤及びそれを用いるダイオキン類の低減方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3412024B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4746798B2 (ja) * 2001-01-30 2011-08-10 高砂熱学工業株式会社 汚染物の浄化方法及び浄化装置
JP4759470B2 (ja) * 2006-08-10 2011-08-31 株式会社スズキファーム 下水汚泥の処理方法
JP6048638B2 (ja) * 2012-02-28 2016-12-21 龍 新家 廃油の有害物質分解処理方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2001029915A (ja) 2001-02-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Epstein et al. A forced aeration system for composting wastewater sludge
CN106495945B (zh) 一种利用城市污泥快速制备土壤改良剂的方法
CN109182193A (zh) 微生物菌剂及其制备方法和应用
Saludes et al. Characterization of dairy cattle manure/wallboard paper compost mixture
CN202482231U (zh) 有机固体废弃物好氧发酵制肥装置
CN106746428A (zh) 一种高温好氧发酵污泥处理方法及装置
CN107058153A (zh) 一种生物除臭复合菌剂及其制备方法和应用
CN109851451A (zh) 一种用含水率百分之八十污泥生产有机复合肥及制造方法
CN110090851A (zh) 一种用高温快速处理城市生活垃圾及衍生物的制造方法
CN109796113A (zh) 一种高速处理含水率百分之八十的污泥及衍生物制造方法
CN206417986U (zh) 一种高温好氧发酵污泥处理装置
Majumdar et al. Emission of methane and carbon dioxide and earthworm survival during composting of pharmaceutical sludge and spent mycelia
CN113083869A (zh) 一种餐厨垃圾处理方法
CN105820976A (zh) 一种污泥堆肥噬热微生物菌剂及应用
CN102727920B (zh) 纸泥及城市生活垃圾生物质环保再生能源除臭剂及制备方法
JP3412024B2 (ja) ダイオキシン類の低減剤及びそれを用いるダイオキン類の低減方法
JP3706097B2 (ja) 有機廃棄物発酵処理システム
Duan et al. Innovations in design and operation of aeration devices for composting and vermicomposting
JP3672986B2 (ja) 有機廃棄物処理用チップ
CN109158403A (zh) 生活垃圾生物高温干化处理方法
CN212354211U (zh) 一种移动式有机固体废弃物处理装置
JP3638010B2 (ja) 堆肥化施設から発生する臭気ガスの処理方法と装置
CN112299897A (zh) 一种畜禽粪污的无害化处理及有机肥生成方法
JP2001172094A (ja) 生ゴミ処理方法及び生ゴミ処理装置
KR100322670B1 (ko) 공서 배양균을 주재로한 바이오칩 및 이를 이용한 음식물쓰레기의 토양화 방법

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3412024

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R154 Certificate of patent or utility model (reissue)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R154

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110328

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130328

Year of fee payment: 10

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130328

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150328

Year of fee payment: 12

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term