JP3410500B2 - 椅子型マッサージ機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は背もたれ内にマッサージ
機構を内蔵している椅子型マッサージ機に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】椅子の背もたれ内にマッサージ機構を内
蔵させるとともに、このマッサージ機構における施療子
を上下動自在とすることで、首や肩から腰に至るまでを
施療することができるようにしたものは従来より各種の
ものが提供されているが、この種のマッサージ機の背も
たれの中央部は、上記施療子が背もたれ前面に配した布
地を介して人体背面に施療を与える部分であるために、
通常の椅子として使用する場合、背もたれにもたれた人
体の荷重は、背もたれの両側だけで支持することにな
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】この時、背もたれの両
側に夫々背芯を内蔵させて、これら背芯によって人体背
面の両側を支えていたのであるが、この背芯の幅を広く
とって、人体背面の両側を支える面積を大きくとると、
施療子から人体背面が離れてしまい、十分なマッサージ
を与えることができなくなる上に、人体の腰の部分にお
ける左右の施療面積が小さくなってしまう。背芯の幅を
狭くすれば、施療子による人体背面のマッサージは十分
に行えるものの、身体が細い人は背もたれに落ち込んで
しまい、通常の椅子としての使用感がきわめて悪いもの
となる。

【０００４】また、通常の椅子として使用する時は、マ
ッサージ機構における施療子が身体に当たらない位置に
移動させるのであるが、従来のマッサージ機では、施療
子が少し身体に当たってしまうものが多く、施療子が完
全に身体に当たることがないようにしたものでは、施療
子をその位置まで移動させるための機構が複雑となって
いる。

【０００５】本発明はこのような点に鑑み為されたもの
であり、その主たる目的とするところは施療子による施
療範囲を広くとることができるとともに背もたれへの身
体の落ち込みを招くこともない椅子型マッサージ機を提
供するにあり、また他の目的とするところは、通常の椅
子としての使用時に、身体に当たることがない位置への
施療子の収納を容易に行うことができるマッサージ機を
提供するにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】しかして本発明は、背も
たれ内に上下動自在な施療子を備えたマッサージ機構を
配した椅子型マッサージ機において、背もたれの前面の
両側下部に夫々背芯を配設するとともに、これら背芯を
上部幅が下部幅より広く且つ背もたれ中央部側の背面に
溝を有したものとして、一対の背芯間の間隔が上部より
下部で広く且つ中央部側で背芯を撓みやすくしているこ
とに特徴を有している。このものにおいて、背もたれの
上部左右にクッションを配設するとともに、これらクッ
ションの背後にマッサージ機構における施療子の収納ス
ペースを形成することも好ましい。

【０００７】

【作用】本発明の第１の特徴とするところによれば、腰
位置での施療範囲を広くとることができるとともに、背
芯上部によって人体が背もたれ内に落ち込んでしまうこ
とを防ぐことができ、第２の特徴とするところによれ
ば、施療子を人体に当たることがないところに容易に移
動させることができる。

【０００８】

【実施例】以下本発明を図示の実施例に基づいて詳述す
ると、このマッサージ機は、図３及び図４に示すよう
に、座部１０の両側にひじ掛け１１を備えるとともに座
部１０の後端側にマッサージ機構２を収納した背もたれ
１２がリクライニング自在に連結されたもので、この背
もたれ１２の前面側には、布地からなる表カバー１３が
配設されているとともに、上部両側に夫々上部クッショ
ン１４，１４が、両側に背受クッション１５，１５が配
されており、背もたれ１２の背面側には裏カバー１６が
取り付けられている。また、図５に示すように、背もた
れ１２はその内部にパイプにて枠組みされたフレーム３
０を備えるとともに、フレーム３０の両側にレール１４
とラック１５とを備えている。

【０００９】マッサージ機構２は冷却ファン付きのモー
タ２０や減速機及びクラッチを納めたギアケース２４等
を備えるとともに両側に上記レール１４内を転動するこ
ろ２３とラック１５に噛合するピニオン２２を備えて、
モータ２０によるピニオン２２の回転駆動によって上下
に自走するもので、モータ２０にて回転駆動される駆動
軸２９に一対の輪状の施療子２１，２１が偏心且つ傾斜
した状態で取り付けられており、施療子２１，２１がモ
ータ２０によって回転する時、上記表カバー１３を通じ
て椅子に座って背もたれ１２にもたれている人体背面に
対してマッサージを行う。図中２５はこのマッサージ機
構２の背面側を覆うように取り付けられるカバーで、上
下両面には多数の空気孔２６が設けられている。モータ
２０の冷却ファンによって、下方から吸い込んだ空気を
上方へ吹き出すことで、マッサージ機構２の冷却を行え
るようにしているわけであり、上下動自在となっている
マッサージ機構２の冷却を効率よく行うことができるよ
うに、前記裏カバー１６は、図６に示すように、その中
央部が上下方向のほぼ全長にわたってメッシュ１７で形
成されている。メッシュ１７を伸縮性のある材質で形成
すれば、図７に示すように、上下動自在となっているマ
ッサージ機構２が位置する部分だけメッシュ１７の部分
の幅が広くなるために、効果的な冷却と、メッシュ１７
を通じたほこりの内部への侵入や不必要な弛みの発生の
防止の両方を同時に行うことができる。

【００１０】さて、この椅子型マッサージ機の背もたれ
１２の前面両側の背受けクッション１５，１５の背方側
には、図１に示すように、夫々背芯４０，４０が納めら
れている。この背芯４０は、図２に示すように、上部の
幅が下部より広くて、両背芯４０，４０間の間隔が上部
で狭く、下部で広くなるようになっている。また、背芯
４０における背もたれ１２の中央部側となる部分の厚み
が薄くなっているとともに、この部分の背面側に縦方向
に走る複数本の溝４１を備えて、中央部側が背もたれ２
の両側よりも撓みやすくなっている。

【００１１】背芯４０の下部幅が狭くなっているため
に、施療子２１によって腰の施療を行う時、広範囲の施
療を行えるものであり、背芯４０の上部幅は広くなって
いるために、身体の細い人でも背もたれ１２に落ち込む
ようなことなく支えることができるものであり、また背
芯４０の中央部側が撓みやすくなっているために、上部
幅を広くしたとはいえ、施療子２１から身体が離れてし
まって効果的な施療を行うことができないという事態を
招くことがないものである。なお、背芯４０の上部側が
広いということは、この部分での施療範囲が狭くなって
しまうことになるが、この部分での施療範囲を広くとる
と、却って悪影響を与える力を人体に与えることになる
ために、何ら問題はない。

【００１２】また、背もたれ１２の上部両側に配された
上部クッション１４，１４の背方には図１に示すよう
に、両者にまたがる上部芯４３が配されているのである
が、この上部芯４３はその中央下部が切り欠かれてお
り、上部クッション１４の背後に上部芯４３が存在しな
いところが形成されている。この部分は椅子型マッサー
ジ機を通常の椅子として使用する時に施療子２１，２１
を収納するための部分で、この位置に施療子２１を移動
させれば、施療子２１は人体の頭部両側に位置すること
になり、施療子２１が人体に当たることがない。また、
施療子２１をこの位置に移動させるために特別な機構は
不要である。

【００１３】なお、上記実施例では、マッサージ機構２
として、輪状の施療子２１，２１を備えたものを示した
が、図８に示すような施療子２１を備えたものであって
もよい。この施療子２１は、駆動軸２９に対して偏心且
つ傾斜した状態で固着された輪状部材５０に中程が遊転
自在となるように取り付けられたアーム５１の先端に設
けられたもので、駆動軸１と平行に配された回転軸５３
には、複数個の回転板５４が固着されており、回転板５
４間にクランク軸５５が架設されている。そして、クラ
ンク軸５５に一端を回動自在に取り付けたリンク５６の
他端が、上記アーム５１の他端に自在継手５７を介して
連結されている。

【００１４】駆動軸１を回転させた場合には、一端の動
きがリンク５６及びクランク軸５５で規制されているア
ーム５１は、輪状部材５０の偏心成分及び傾斜成分で上
下左右に振られるものであり、これに伴ってアーム５１
先端の施療子２１はもみマッサージに適した動きを行
う。そして、クランク軸５５をその軸回りに回転させた
時には、リンク５６を介してアーム５１の他端を上下に
振るために、アーム５１先端に設けられた施療子２１に
たたきマッサージのための上下の往復動を行わせる。ま
た回転軸５３のまわりにクランク軸５５を回転させる
と、施療子２１の背もたれ１２前面側への突出量が変化
するために、マッサージの強弱調整を行うことができ
る。

【００１５】なお、クランク軸５５における一対のアー
ム５１，５１が連結されるところを互いに逆方向に偏心
させているのは、上記たたきマッサージが一対の施療子
２１，２１において交互になされるようにするためであ
るが、このようにクランク軸５５を形成した場合、駆動
軸１の回転でもみマッサージを行う時、一対の施療子２
１，２１の位置が少しずれてしまうことになり、もみマ
ッサージの際、左右の施療子２１で異なるマッサージが
なされてしまうことになる。

【００１６】この場合、図９に示すように、クランク軸
５５を左右別々に形成して両者をセンターガイド５８で
連結するとともに、一方のクランク軸５５ａとセンター
ガイド５８とをねじ結合とし、他方のクランク軸５５ｂ
とセンターガイド５８とをキー５９で固定して、たたき
マッサージの際にはクランク軸５５ａの回転でセンター
ガイド５８及びクランク軸５５ｂが共に回転するように
上記ねじ結合部がロックされるようにし、もみマッサー
ジの際には、センターガイド５８及びクランク軸５５ｂ
をベルトやギア等を利用して別途動力で半回転させてね
じ結合部を緩めて、両クランク軸５５ａ，５５ｂの偏心
方向が同一となるようにするとよい。両クランク軸５５
ａ，５５ｂの偏心方向をずらすことによって、左右の施
療子２１，２１によるもみ力を調整することもできる。

【００１７】図１０及び図１１は、マッサージ機構２の
背面と上下面を覆っているカバー２５の両側に、フレー
ム３０及びこのフレーム３０に付設されたレール１４を
通す切欠２８を設けるとともに、マッサージ機構２の前
面下部に前面カバー４９を配したものを示している。こ
の前面カバー４９は、マッサージを受けようとして椅子
に座る利用者の背を受けて、利用者の背が背もたれ１２
内に落ち込むのを防ぐと同時に、マッサージ機構２にお
ける施療子２１以外の突起物が利用者の背中に当たるこ
とを防ぐものであり、また背もたれ１２の正面から内部
に手を差し込んだりすることもできなくする上に、自走
するマッサージ機構２から導出されている電源コードや
操作器８との接続コード等のケーブルが噛み込むことを
防ぐ。カバー２５の切欠２８にフレーム３０を通してい
るのも、このケーブルの噛み込み防止のためである。

【００１８】

【発明の効果】以上のように本発明においては、背もた
れの前面の両側下部に夫々背芯を配設するとともに、こ
れら背芯を上部幅が下部幅より広く且つ背もたれ中央部
側の背面に溝を有したものとして、一対の背芯間の間隔
が上部より下部で広くしているために、腰位置での施療
範囲を広くとることができるとともに、背芯上部によっ
て人体が背もたれ内に落ち込んでしまうことを防ぐこと
ができるものであり、また中央部側で背芯を撓みやすく
しているために、施療子から人体が離れてしまうことも
ないものである。

【００１９】また、請求項２の発明においては、請求項
１の発明による作用効果に加えて、上部左右に配したク
ッションの背後にマッサージ機構における施療子の収納
スペースを形成しているために、施療子を人体に当たる
ことがないところに容易に移動させることができるもの
である。

【図面の簡単な説明】

【図１】一実施例の正面図である。

【図２】同上の背芯を示すもので、(a)は正面図、(b)は
側面図、(c)は背面図、(d)は水平断面図、(e)は拡大水
平断面図である。

【図３】同上の斜視図である。

【図４】同上の側面図である。

【図５】(a)は同上の分解斜視図、(b)は同上の水平断面
図である。

【図６】同上の背面図である。

【図７】(a)(b)は共に同上の他例の背面図である。

【図８】別のマッサージ機構の水平断面図である。

【図９】同上のクランク軸の断面図である。

【図１０】同上の他例の斜視図である。

【図１１】同上の斜視図である。

【符号の説明】

１２ 背もたれ １４ 上部クッション ２１ 施療子 ４０ 背芯

フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−31663（ＪＰ，Ａ) 特開 平３−244459（ＪＰ，Ａ) 特開 平２−119860（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A61H 15/00 A61H 7/00 A47C 7/40

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 背もたれ内に上下動自在な施療子を備え
   たマッサージ機構を配した椅子型マッサージ機におい
   て、背もたれの前面の両側下部に夫々背芯を配設すると
   ともに、これら背芯を上部幅が下部幅より広く且つ背も
   たれ中央部側の背面に溝を有したものとして、一対の背
   芯間の間隔が上部より下部で広く、且つ中央部側で背芯
   を撓みやすくしていることを特徴とする椅子型マッサー
   ジ機。
2. 【請求項２】 背もたれの上部左右に配したクッション
   の背後にマッサージ機構における施療子の収納スペース
   を形成していることを特徴とする請求項１記載の椅子型
   マッサージ機。