JP3410178B2 - 牛プロスタグランジンF2α受容体 - Google Patents

牛プロスタグランジンF2α受容体

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JP3410178B2 JP29179693A JP29179693A JP3410178B2 JP 3410178 B2 JP3410178 B2 JP 3410178B2 JP 29179693 A JP29179693 A JP 29179693A JP 29179693 A JP29179693 A JP 29179693A JP 3410178 B2 JP3410178 B2 JP 3410178B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、牛プロスタグランジンF
容体蛋白およびそれをコードするDNAに関するもので
ある。更に詳しくは、本発明は、牛プロスタグランジン
受容体蛋白をコードするDNA、該DNAを含有
する発現ベクター、該発現ベクターを含有する形質転換
体、並びに該形質転換体を培養することにより該受容体
を製造する方法に関するものである。さらに、本発明
は、このようにして製造された牛プロスタグランジンF
受容体に関するものである。
【0002】プロスタグランジンFはプロスタグラ
ンジンE2と共に1960年代初期に最初に単離された
プロスタグランジンの1つであることから「古典的プロ
スタグランジン」と呼ばれている。豚や羊から抽出され
た平滑筋収縮物質や「irin」と名付けられたウサギ
虹彩から抽出された平滑筋収縮物質がプロスタグランジ
ンFと判明して以来、プロスタグランジンFが子
宮、気管と気管支、腸管や血管などの平滑筋を収縮させ
ることがよく知られている。数多くの動物において、プ
ロスタグランジンFが卵巣の黄体退縮に重要な役割
をもつことは20年以上も前から良く知られている。さ
らに、プロスタグランジンFは静止期のスイス3T
3細胞のDNA合成や細胞増殖を引き起こし、中枢神経
系では痛みに関わっている。このように、プロスタグラ
ンジンFは様々の組織において細胞膜表面の受容体
を介して多彩な生物学的作用を誘発する。プロスタグラ
ンジンFが平滑筋収縮作用を持つことから、臨床に
おいても、陣痛誘発や帝王切開後の子宮収縮促進、腸管
の蠕動運動の亢進に用いられている。最近、黄体細胞を
含めて数多くの細胞において、プロスタグランジンF
がイノシトールリン脂質代謝を介して細胞内Ca2+
濃度を上昇させることが報告されているが、プロスタグ
ランジンF受容体の分子構造はほとんど分かってい
ない。黄体はプロスタグランジンF受容体が非常に
多く、種々の動物種のプロスタグランジンF結合活
性に関する研究はほとんどすべてこの黄体を用いて行な
われてきた。
【0003】本発明者らは、プロスタグランジンF
受容体の分子的性質を明らかにし、中枢並びに末梢での
プロスタグランジンFの多彩な作用、特に受精、着
床、妊娠等の生殖生理の研究をさらに押し進めると共
に、妊娠や女性生殖器疾患の治療において、副作用の少
ないプロスタグランジンF受容体に特異的なアゴニ
スト、アンタゴニストの開発を含め、重要な知見を得る
ことを目的として研究を行い、ポリメラーゼ連鎖反応と
クロスハイブリダイゼーション法を用い牛プロスタグラ
ンジンF受容体cDNAをクローニングし、その塩
基配列を決定すると共に、該受容体の薬理学的性質、そ
のmRNAの組織分布を明らかにした。具体的には、最
近、プロスタグランジンFが属するプロスタノイド
受容体が相次いで報告されていることから、それらの塩
基配列をもとにポリメラーゼ連鎖反応を行ない牛黄体に
特異的なDNA断片を取り出し、それをプローブにして
牛黄体cDNAライブラリーから牛プロスタグランジン
受容体をコードするcDNAをクローニングし、
かつその配列を決定することに成功し、本発明を完成し
た。
【0004】即ち、本発明の第一の目的は、牛プロスタ
グランジンF受容体をコードするDNAを提供する
ものである。また本発明は、該牛プロスタグランジンF
受容体をコードするDNAを含有する発現ベクター
を提供するものである。さらに、本発明は、該発現ベク
ターで形質転換された、牛プロスタグランジンF
容体を産生し得る形質転換体を提供するものである。更
に本発明は、該形質転換体を培養し、培養物から牛プロ
スタグランジンF受容体を単離することからなる牛
プロスタグランジンF受容体の製造方法、およびこ
の方法によって製造された牛プロスタグランジンF
受容体を提供するものである。
【0005】本発明の牛プロスタグランジンF受容
体をコードするDNAの配列は図1および図2に記載さ
れている。本発明者らは牛卵巣黄体からmRNAを抽出
して精製し、このmRNAを鋳型にしてcDNAを合成
した。すでにクローニングされているプロスタノイド受
容体の塩基配列を精査して共通する塩基配列を見いだ
し、そのオリゴヌクレオチドをプライマーとしてポリメ
ラーゼ連鎖反応を行なって、牛卵巣黄体に特異的なDN
A断片(SN463)を得た。一方、5〜6キロベース
の大きさに分画した牛黄体由来のcDNAにEcoRI
アダプターを付加した後、λ―ZAPIIファージDN
AのEcoRI切断部位に結合させ、cDNAライブラ
リーを作製した。このようにして得られた牛黄体ファー
ジを大腸菌株XL―1blueに感染させ、15cmプ
レートにいれた寒天培地中で培養した後、ニトロセルロ
ース膜にブロットして32Pで標識したSN463をプロ
ーブにして厳しい条件でハイブリダイゼーションを行な
った。その結果、牛プロスタグランジンF受容体を
コードするcDNAを含む単一組換λ―ZAPIIファ
ージクローン、それに由来するプラズミドpBS−bP
GF2α(BC2211)を得た。pBS−bPGF2
α(BC2211)が組み込まれている大腸菌(Esche
richia coli K12)XL―1blue/pBS−bP
GF2αは、受託番号:FERM P−13968号と
して寄託されている(寄託日:平成5年11月17
日)。pBS−bPGF2α(BC2211)から牛プ
ロスタグランジンFcDNAフラグメントを切り出
して動物細胞発現ベクターpEF―BOSに組み込み、
牛プロスタグランジンF受容体蛋白を発現し得るベ
クターpEF・BOS―bPGF2αを製造した。pE
F・BOS―bPGF2αが組み込まれている大腸菌
(Escherichia coli K12)DH5α/pEF・BO
S―bPGF2αは、受託番号:FERM P−139
69号として寄託されている(寄託日:平成5年11月
17日)。pBS−bPGF2α(BC2211)の制
限酵素地図、およびpEF・BOS―bPGF2αの構
築模式図および制限酵素地図を図3に示す。
【0006】この様にして得られた形質転換体培養物か
ら牛プロスタグランジンF受容体を発現する細胞を
調製し、後述の如く特異的結合能(図5a)および細胞
内情報物質の合成促進能(図5b)を有する牛プロスタ
グランジンF受容体を得た。
【0007】以下に実施例を挙げ、本発明をさらに詳し
く説明する。尚、以下の実施例は単なる例示にすぎず、
如何なる意味においても本発明を限定するものではな
い。
【0008】実施例 1 牛プロスタグランジンF
受容体cDNAのクローニング (A)ポリメラーゼ連鎖反応に用いるオリゴヌクレチド
のデザイン これまで知られているプロスタノイド受容体(いずれも
7回膜貫通型受容体)、マウスEP1、EP2、EP3
牛EP3、牛TXA2、ヒトTXA2受容体の膜貫通部分
III、IV、VI、VIIの塩基配列をもとにして、
最も共通性のある領域を選びポリメラーゼ連鎖反応に用
いるプライマーのデザインを行なった。以下に示すプラ
イマー用のオリゴヌクレオチドの合成はDNA合成機
(Applied Biosystems社製)を用い
て行なった。 センスのプライマー: III: (GC)(TC)G(GC)CATG(GA)(GC)C(ATG)(TC)(AGC)GAGCG IV: CA(AG)T(AG)(GC)CC(GTC)GG(GC)(AT)C(GTC)TGGTG(T
C)TT アンチセンスのプライマー: VIA: T(GC)(GC)AGCAGAT(GC)A(AG)C(AG)(AC) VIB: (AC)(AC)CAT(AG)AT(GC)CCCAG(GT)AGCTG VIIA: ATCCTGGACCC(CA)TGG(AG)T(GT)TACATCCT VIIB: TGGC(CT)(AT)C(AGC)(TC)(GT)GAACCAGAT(TC)CT (上記配列式において、()はそこに記載されているヌ
クレオチドのいずれかが選択されることを示す。)
【0009】(B)ポリメラーゼ連鎖反応による鋳型c
DNAの増複 プロスタグランジンF受容体が多く発現しているこ
とが知られている黄体とその対照として殆ど発現してい
ないと思われる牛心臓と副腎髄質ノンクロマフィン細胞
からmRNAを調製してそれを鋳型にしてcDNAを作
製した。牛黄体の場合には、Pharmacia LK
B Biotechnology社製の精製キットで得
られたmRNA2μgを鋳型に用い、オリゴ(dT)1
7をプライマーとして逆転写酵素反応により0.4μg
のcDNAを得た。この一部のcDNA20ngを鋳型
にし、上記のセンスプライマーとアンチセンスプライマ
ーの可能なかぎりの組み合わせでポリメラーゼ連鎖反応
を行なって牛黄体cDNAを増幅した。ポリメラーゼ連
鎖反応は95℃1分、48℃ 2分、72℃2分の条件
で25回行なった。牛黄体特異的DNAを得るために、
すでにクローニングされている牛TXA2受容体、受容
体牛EP3受容体およびマウスEP1受容体cDNAをプ
ローブにして牛黄体、心臓、ノンクロマフィン細胞cD
NAのポリメラーゼ連鎖反応産物のサザンブロット解析
を行なった。その結果、センスIVとアンチセンスVI
Bをプライマーにして増複して得られたcDNA断片S
N463(230塩基)が黄体に特異的であることが分
かった。このSN463断片は牛TXA2受容体と塩基
にして55%、アミノ酸にして36%の相同性を有し
た。ポリメラーゼ連鎖反応産物はInvitrogen
社製のTAクローニングキットを用いて直接PCR―I
Iベクターに組み込みその青白発色反応で陽性クローン
を選択した。予想する塩基の大きさを持つ陽性クローン
の塩基配列をApplied Biosystems社
製DNA塩基配列解析装置モデル737―Aにより決定
した。
【0010】(C)牛プロスタグランジンF受容体
cDNAのクローニング 牛黄体mRNA2μgを鋳型にしてBethesda
Research Laboratories社製のス
ーパスクリプト(キット)を用いてcDNAを合成した
後、長いDNAを得るために庶糖密度勾配遠心を行なっ
た。5〜6キロベースの大きさを含むcDNA画分の両
平滑末端にPromega社製アダプターライゲーショ
ンキットを用いてEcoRIアダプターを付加した後、
Stratagene社製のλ―ZAPIIファージD
NAのEcoRI切断部位にT4DNAリガーゼを用い
て結合させ、cDNAライブラリーを作製した。この組
換えファージDNAをStratagene社製ギガパ
ックIIゴールドキットを用いて試験管内パッケージン
グし、感染性ファージ粒子とした。このようにして得ら
れたcDNAを含むλ―ZAPIIファージを大腸菌株
XL―1blueに感染させ、15cmプレートにいれ
た寒天培地中で培養した。Schleicher &
Schuell社製ニトロセルロース膜BA―85にフ
ァージDNAをブロットした後、32Pで標識したSN4
63をプローブにして厳しい条件でハイブリダイゼーシ
ョンを行なった。56万のファージライブラリーから1
5個の陽性クローンを選択した。陽性ファージクローン
をヘルパーファージR408と大腸菌に共感染させるこ
とによりファージDNAからpBluescriptプ
ラスミドDNAを回収した。そのうち2キロベース以上
の長いインサートを持つ3つのクローンBC2211、
BC3111、BC4111の塩基配列をApplie
d Biosystems社製DNA塩基配列解析装置
モデル 737―A により決定した。
【0011】実施例 2 牛プロスタグランジンF
受容体をコードするcDNAを発現し得る発現ベクター
の構築 図3aは単離した牛プロスタグランジンF受容体c
DNAを含むプラスミドクローンpBS−bPGF2α
(BC2211)の制限酵素地図である。次に図3bに
示す哺乳動物細胞発現ベクターpcDM8に伸長因子E
F―1αのプロモーターを含む領域を組み込んだpEF
―BOS(0.1μg)のNotI部位に、プロスタグ
ランジンF受容体の蛋白翻訳領域を含むpBS−b
PGF2α(BC2211)由来の2.2キロベースの
EcoRIDNAの断片をEcoRI―NotIアダプ
ターを用いて組み込み、牛プロスタグランジンF
容体蛋白を発現し得るベクターpEF・BOS―bPG
F2αを構築した。このときの挿入様式は図3cに示す
ようにEF―1αのプロモーターの下流に牛プロスタグ
ランジンF受容体cDNAの翻訳開始コドン(AT
G)が接続されているものである。
【0012】実験例 3 発現ベクターを挿入した形質
転換体の調製および該形質転換体を培養して得られる牛
プロスタグランジンF受容体の特性化 (a)カエルの卵による電気生理学的手法による特性化 クローンpBS−bPGF2α(BC2211)DNA
をNotIとSalI部位で切断した後、Julius
らの方法(Science 241、558―564
(1988))に従って試験管内でT7RNAポリメラ
ーゼまたはT3RNAポリメラーゼを用いてRNAを合
成し、得られたRNAを約1μg/μlになるように濃
度を合わせた後カエルの卵に50ngずつ注入した。摂
氏18度で22―27時間卵を培養した後、カエルの卵
を反応容器に移した。カエルの卵の膜電位を―60mV
に固定した後、潅流液中に10μMの牛プロスタグラン
ジンFを加えると図4Cに示すような内向きのCa2+
依存性Cl-電流がpBS−bPGF2α(BC221
1)より調製されたセンスRNAを注入した場合にのみ
認められた。一方アンチセンスRNAを注入した場合
(図4a)やBC2211より短いクローンBC411
1のセンスRNA を注入した場合(図4b)には内向
き電流の変化は認められなかったことから、pBS−b
PGF2α(BC2211)がプロスタグランジンF
受容体をコードするDNAを有していることが分か
った。
【0013】(b)哺乳動物細胞COS―7での特性化 15cmの培養皿に培養したサル培養細胞COS―7細
胞(1X106細胞/プレート)に1プレートあたり5
μgのpEF・BOS―bPGF2αをDEAE―デキ
ストラン法(Cullen,B.R.,Methods
Enzymol.152:684―704,198
7)によりトランスフェクションした。発現するプロス
タグランジンF受容体の特性を[3H]プロスタグラ
ンジンF結合試験(図5a)およびプロスタグラン
ジンFによる細胞内イノシトールリン酸の産生(図
5b)で調べた。まず膜上に発現している[3H]プロ
スタグランジンF結合活性を以下の方法で調べた
(Negishiら、J.Biol.Chem.26
2:12077―12084、1987)。48時間培
養後に、COS―7細胞の細胞膜を調製した後、反応は
100mM NaClを含む10mMリン酸緩衝液(p
H6.0)100μl中で5nM[3H]プロスタグラ
ンジンFと様々の濃度の非標識プロスタグランジン
を25―40μgの細胞膜に加えて23℃で1時間行な
った。細胞膜に結合した[3H]プロスタグランジンF
を結合していないものと分けるためにWhattm
an GF/Bフィルター(直径2.5cm)で反応液
を漉過した。フィルターを氷冷した上記のリン酸バッフ
ァー(pH6.0)5mlで3回洗浄した後、漉紙の上
の放射能を液体シンチレーションカウンターで測定し
た。結果を図5aに示す。[3H]プロスタグランジン
結合活性はプロスタグランジンF、D2、E2
トロンボキサンA2のアゴニストSTA2の順で阻害さ
れ、プロスタグランジンI2のアゴニスト、シカプロス
トでは全く抑制されなかった。この結果は以前に種々の
黄体において報告された結果とよく一致した。トランス
フェクションしていないCOS―7細胞には[3H]プ
ロスタグランジンFの結合は認められなかった。プ
ロスタグランジンFによるイノシトールリン酸の産
生実験については次の如く行った。6ウエル培養皿にC
OS―7細胞(5X104細胞/ウエル)を播種して1
日後、myo−[3H]イノシトール(37kBq/プ
レート)とイノシトールを含まないダルベッコの改良イ
ーグル培地(DMEM)で10%透析胎児ウシ血清存在
下に細胞を24時間ラベルした。細胞を洗浄後、10m
MLiCl存在下に、37℃で種々の濃度のプロスタグ
ランジンFによる刺激を10分間行った。反応は終
濃度0.5%トリクロロ酢酸により停止させ、ジエチル
エーテルでトリクロロ酢酸を除去し、pHの中和後、B
io−Rad AG1X8カラムによりイノシトールモ
ノリン酸、イノシトールビスリン酸、イノシトールトリ
スリン酸をそれぞれ5mMテトラホウ酸二ナトリウム/
180mMギ酸ナトリウム、0.1Mギ酸/0.4Mギ
酸アンモニウム、および0.1Mギ酸/1.0Mギ酸ア
ンモニウムにより段階的に溶出し、それぞれの溶出液の
放射能を測定した。その結果、トランスフェクションし
たCOS―7細胞ではプロスタグランジンFの用量
に依存してイノシトールリン酸の産生を促進したが、ト
ランスフェクションしていないCOS―7細胞ではその
促進はみられなかった(図5b)。
【0014】本発明者らは、以上のようにして牛プロス
タグランジンF受容体cDNAをクローン化し、牛
プロスタグランジンF受容体を発現するベクターを
構築し、この牛プロスタグランジンF受容体の分子
的性質を調べた。この牛プロスタグランジンF受容
体cDNA(BC2211)は2222塩基からなり、
牛プロスタグランジンF受容体蛋白をコードする1
086塩基のほか、5’および3’末端側に24と11
12塩基の翻訳されない部分を含んでいる。またこのプ
ロスタグランジンF受容体は分子量40、983の
362アミノ酸残基からなる蛋白であることがわかった
(図1および図2)。牛プロスタグランジンF受容
体のアミノ酸配列には7個の疎水性領域が存在し、G蛋
白共役型受容体であることがわかった。N末端側に2つ
の糖鎖が結合する可能性のある部位が存在し、C末端側
にはプロテインキナーゼでリン酸化されうる4つのセリ
ン/スレオニン残基が存在する。また第7膜貫通部分に
ある第291番目のアルギニン残基はプロスタノイド受
容体に共通してみとめられ、プロスタグランジンF
の1位のカルボン酸を認識するものと考えられている。
第3細胞内ループおよび第3細胞外ループが非常に小さ
いのはプロスタグランジンF受容体の特徴である。
このcDNAクローンはプロスタグランジンF受容
体分子の機能とその発現調節に有用であろう。さらに、
プロスタグランジンF受容体の分子構造をもとに、
プロスタグランジンF受容体に特異的な拮抗薬や副
作用のない部位特異的な作動薬の開発に役立つと思われ
る。
【0015】さらに、本発明者らは、ノ−ザンブロット
解析により牛プロスタグランジンF受容体mRNA
の組織分布を調べた(図6)。牛プロスタグランジンF
受容体mRNAに相当する5kbのバンドが、黄体
に多量に発現していることが判明したが、黄体のない卵
巣や他の組織では見つからなかった。リボプローブを用
いて牛卵巣組織のin situハイブリダイゼーショ
ンを行なうと、ノ−ザンブロット解析の結果と一致して
黄体細胞の細胞質に特異的に陽性反応が認められたが、
黄体の他の細胞では見られなかった(図7)。プロスタ
グランジンF受容体は直接黄体に作用してプロゲス
テロンの産生を抑制し黄体退縮を引き起こす内因性物質
としてよく知られている。プロスタグランジンF
容体の分布の組織化学的な解析は生殖生理機能だけでな
く、中枢神経系や末梢系の生理機能や病態生理の理解を
増進させるものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 牛プロスタグランジンF受容体cDNA
(BC2211)の塩基およびアミノ酸配列の模式図。
【図2】 牛プロスタグランジンF受容体cDNA
(BC2211)の塩基およびアミノ酸配列の模式図。
【図3】 牛プロスタグランジンF受容体蛋白をコ
ードしうるcDNApBS−bPGF2α(BC221
1)の制限酵素地図(a)およびpEF―BOS(b)
より作製したpEF・BOS―bPGF2αの模式図
(c)。
【図4】 単離した牛プロスタグランジンF受容体
cDNA(BC2211)より試験管内で転写されたR
NAをカエルの卵に注入した後、10μMに反応して見
られた電流変化を示すグラフ。カエルの卵に注入したm
RNAの種類と量:(a)BC2211のアンチセンス
mRNA、3.5ng、(b)BC4111のセンスm
RNA、4.3ng、(c)BC2211のセンスmR
NA、1.7ng。
【図5】 牛プロスタグランジンF受容体cDNA
(BC2211)を導入されたCOS―7細胞の細胞膜
の[3H]プロスタグランジンF結合活性を示すグラ
フ(a)とプロスタグランジンFのイノシトールリ
ン酸産生に対する濃度応答曲線を示すグラフ(b)。白
丸は牛プロスタグランジンF受容体cDNA(BC
2211)を導入されたCOS―7細胞、黒丸は牛プロ
スタグランジンF受容体cDNA(BC2211)
を導入されていないCOS―7細胞。
【図6】 ノ−ザンブロットによる牛臓器とノンクロマ
フィン細胞におけるプロスタグランジンF受容体m
RNAの分布を撮影した写真の模写図である。 1) 肝臓、2) 黄体のない卵巣、3) 子宮、
4) 脾臓、5) 大腸、6) 小腸、7) 肺、8)
大動脈、 9) 大脳、10) 小脳、11) 胃、1
2) 黄体、13) 副腎髄質のノンクロマフィン細
胞。
【図7】 リボプローブによる牛卵巣におけるプロスタ
グランジンF受容体のin situハイブりダイ
ゼーションの結果を撮影した写真の模写図であり、a)
は黄体/アンチセンスRNAプローブ、b)は黄体顆粒
膜細胞/アンチセンスRNAプローブ、c)は黄体/セ
ンスRNAプローブを表す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C12R 1:19) C12N 15/00 ZNAA (C12P 21/02 C12R 1:19) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) SwissProt/PIR/GeneS eq GenBank/EMBL/DDBJ/G eneSeq BIOSIS/WPI(DIALOG) PubMed

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の式: 【化1】 【化2】 において、 アミノ酸番号1−362で示されるアミノ酸配列から
    なるタンパク質、またはアミノ酸番号1−362で示
    されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ
    酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からな
    り、かつプロスタグランジンFαとの結合活性を有す
    るタンパク質、 をコードするDNA。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のDNAを含有する発現
    ベクター。
  3. 【請求項3】 プラズミドpBS−bPGF2αである
    請求項2に記載の発現ベクター。
  4. 【請求項4】 プラズミドpEF・BOS―bPGF2
    αである請求項2に記載の発現ベクター。
  5. 【請求項5】 請求項2〜4のいずれかに記載の発現ベ
    クターを含有する形質転換体。
  6. 【請求項6】 大腸菌株XL1−blue/pBS―b
    PGF2αである請求項5に記載の形質転換体。
  7. 【請求項7】 大腸菌株DH5α/pEF・BOS―b
    PGF2αである請求項5に記載の形質転換体。
  8. 【請求項8】 請求項5〜7のいずれかに記載の形質転
    換体を培地中で培養し、得られた培養物から牛プロスタ
    グランジンFα受容体を単離することからなる牛プロ
    スタグランジンFα受容体の製造方法。
  9. 【請求項9】 以下の式: 【化3】 【化4】 において、 アミノ酸番号1−362で示されるアミノ酸配列から
    なるタンパク質、またはアミノ酸番号1−362で示
    されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ
    酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からな
    り、かつプロスタグランジンFαとの結合活性を有す
    るタンパク質、 である、単離された牛プロスタグランジンFα受容
    体。
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