JP3409747B2 - 送風機用羽根車 - Google Patents

送風機用羽根車

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JP3409747B2
JP3409747B2 JP25014399A JP25014399A JP3409747B2 JP 3409747 B2 JP3409747 B2 JP 3409747B2 JP 25014399 A JP25014399 A JP 25014399A JP 25014399 A JP25014399 A JP 25014399A JP 3409747 B2 JP3409747 B2 JP 3409747B2
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志明 鄭
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、送風機の羽根車
の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に軸流ファン又は斜流ファン等の送
風機用の羽根車1の羽根3,3・・・には、例えば図7
および図8に示すように、通常羽根外周縁からハブ2側
にかけて厚さが一定の1枚の平板に適当な曲率を与えた
だけの薄翼構造のものが多く用いられている。その理由
は、同構造では、羽根3,3・・・全体の断面積が小さ
いために材料費が僅少になり、特に量産する場合におい
ては製造コストを相当に低減できる長所を有するためで
ある。しかし、その反面、同構造のものは正圧面3c,
3c・・・側はともかく、羽根前縁3a,3a・・・か
ら羽根後縁3b,3b・・・方向にかけて負圧面3d,
3d・・・側での剥離が大きく、それによって生じる羽
根3,3・・・周囲の流れの乱れが原因で発生する空気
力学的な騒音が大きい問題がある。
【0003】そこで、空気力学的な性能を向上させる目
的で、例えば図9に示すように、上記のような送風機用
羽根車1の羽根3,3・・・に肉厚の大きい厚翼構造
(所謂エアフォイル構造)を採用することも行われてい
る。
【0004】このような厚翼構造の羽根の場合、羽根前
縁3aから後縁3b方向に十分な肉厚を有するために羽
根3の前縁3a部に所定の曲率半径を持つことができる
ようになり、該曲率半径によって上述した負圧面3d側
にコアンダ効果(気流が物体の表面に沿ってスムーズに
流れる特性)が発生し、気流が羽根表面に沿ってスムー
ズに流れるようになり、上述のような気流の剥離を抑え
ることができる。その結果、空力性能が向上し、騒音の
低減につながる。しかし、従来のものは、このような厚
翼構造にした場合にも、上記羽根前縁3a部の曲率半径
は、例えば図10に示すように、羽根外周縁から取付基
部であるハブ2側にかけて一定の曲率半径に設定されて
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記図10
のように羽根前縁3a部の曲率半径を羽根外周縁からハ
ブ2側まで一定にした場合、羽根3の取付けおよび支持
強度を得るために、少なくとも羽根3の根元部での厚さ
は、その他の部分以上に厚くしなければならない。その
結果、羽根根元部での前縁3a部の曲率半径が特に大き
くなり、最終的に、該根元部以外の前縁3a部の曲率半
径が大きいことと合わせて、羽根3全体の材料が一層増
大することになり、送風機の製造コストが大きく上昇す
る欠点がある。
【0006】また、以上のような軸流または斜流型送風
機の羽根車1が空気調和機等に適用される場合に、ハブ
2の上流側にモータとモータを本体ケーシングに対して
支持固定するモータ台が存在することがある。このよう
な場合、モータとモータ台を通過する部分の気流が乱れ
やすいので、該乱れた気流がハブ2近くの羽根根元部付
近に向かって流れるようになる。その結果、ハブ2側と
それ以外の所で羽根3に向かう気流の性質が相違するよ
うになる。したがって、羽根前縁3a部の曲率半径を羽
根外周縁からハブ2側にかけて同一の曲率半径とするこ
とは、空力性能の面から見ると決して最適とは言えな
い。
【0007】本願各発明は、上記のような従来の厚翼構
造の羽根の問題点に鑑み、空気力学的騒音が少なくて空
気力学的な性能は従来のものと変わらず、しかも翼断面
積が全体として従来のものよりも小さく、その材料費を
有効に低減することができるようにした送風機用羽根車
を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本願各発明は、上記の目
的を達成するために、それぞれ次のような課題解決手段
を備えて構成されている。
【0009】(1) 請求項1の発明 この発明の送風機用羽根車は、モータの駆動軸に固定さ
れるハブ2の外周面に複数枚の厚翼構造の羽根3,3・
・・を所定の角度で一体化してなる送風機用羽根車にお
いて、上記羽根3,3・・・前縁部3a,3a・・・の
曲率半径Rを、外周縁側からハブ2に近づくにつれて、
複数段階で次第に大きくなるようにしたことを特徴とす
る送風機用羽根車。
【0010】このように構成すると、羽根外周縁からハ
ブ2に近くなる部分の厚さを従来のものに比べて小さく
することができ、しかも根元部側での厚さは、より十分
に大きくすることができるようになるから、厚翼構造
(エアフォイル構造)の送風機用羽根車の羽根3,3・
・・の性能と強度を落とすことなく、羽根3,3・・・
全体の使用材料量を最少限のものにすることができる。
【0011】その結果、軽量化することが可能となるた
め、モータの駆動力が小さくて済み、電力費用をも節減
することができる。
【0012】また、ハブ2に近づくにつれ、羽根前縁3
a,3a・・・の曲率半径を次第に大きくしているの
で、例えば当該送風機を空気調和機に適用した場合に、
ハブ2近くでは、大きな曲率半径を持ってモータとモー
タ台による乱れた気流に対して効果的に対応することが
できるようになる。すなわち、モータおよびモータ台に
よる乱れた気流があっても、羽根3,3・・・表面上の
剥離が発生しにくくなる。
【0013】その結果、送風機自体の性能向上と騒音低
減につながる。
【0014】(2) 請求項2の発明 この発明の送風機用羽根車は、上記請求項1の発明の構
成における送風機が、軸流送風機であることを特徴とし
ている。
【0015】したがって、この発明の構成では、送風機
として、例えばプロペラファン等の軸流送風機を採用し
た場合に、上記請求項1の発明と同様の作用を有効に得
ることができる。
【0016】(3) 請求項3の発明 この発明の送風機用羽根車は、上記請求項1の発明の構
成における送風機が、斜流送風機であることを特徴とし
ている。
【0017】したがって、この発明の構成では、送風機
として、例えば斜流ファン等の斜流送風機を採用した場
合に、上記請求項1の発明と同様の作用を有効に得るこ
とができる。
【0018】
【発明の効果】以上の結果、本願各発明の送風機用羽根
車によると、厚翼構造の送風機用羽根車の羽根の空力性
能を有効に向上させながら、しかも羽根強度を落とすこ
となく、材料費を可及的に低減することができる高性能
で低コストな送風機の提供が可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】(参考例) 図1〜図4は、本願発明の参考例に係る送風機用羽根車
およびその羽根部の構成を示している。
【0020】この参考例の送風機用羽根車は、羽根車自
体としては例えば前述の図7に示すようなプロペラファ
ン等軸流型のものが採用されているが、その場合におい
て当該羽根車の各羽根3,3・・・が、例えば図1〜図
4に示すように、それぞれ厚翼構造(エアフォイル構
造)をなし、しかも、その前縁3a,3a・・・部分の
曲率半径Rが羽根外周縁(チップ)側では小さく、他方
ハブ2側(根元部側)では大きく形成され、同曲率半径
Rが羽根外周縁からハブ2側にかけてR1〜R5(図3お
よび図4(a)〜(e)参照)とリニアな変化状態で次
第に大きくなるように構成されている(R1<R2<R3
<R4<R5)。
【0021】このような構成によると、ハブ2側根元部
と羽根外周縁との間の羽根3,3・・・が主に仕事をす
る半径方向位置での羽根前縁3a,3a・・・部の曲率
半径Rを、性能を下げることなく、最小限の値にするこ
とができる。そして、ハブ2側に近づくにつれ、羽根前
縁3a,3a・・・部の曲率半径RをR1〜R5と次第に
大きくして行き、ハブ2で羽根3,3・・・全体の強度
を実現するために必要な大きさの曲率半径にすることが
できる。
【0022】このようにすると、羽根外周縁からハブ2
に近くなる部分の厚さを従来のものに比べて小さくする
ことができ、しかも根元部側での厚さは十分に大きくす
ることができるから、厚翼構造(エアフォイル構造)の
送風機用羽根車の羽根3,3・・・の性能と強度を落と
すことなく、羽根3,3・・・全体の使用材料量を最少
限にすることができる。
【0023】その結果、軽量化することが可能となるた
め、モータの駆動力が小さくて済み、電力費をも節減す
ることができる。
【0024】また、ハブ2に近づくにつれ、羽根前縁3
a,3a・・・の曲率半径を次第に大きくしているの
で、例えば当該送風機を空気調和機の室外機に適用した
ような場合に、ハブ2近くでは、大きな曲率半径を持っ
てモータとモータ台による乱れた気流に対して効果的に
対応することができるようになる。すなわち、モータお
よびモータ台による乱れた気流があっても、羽根3,3
・・・表面上の剥離が発生しにくくなる。
【0025】その結果、送風機自体の性能向上と騒音低
減につながる。
【0026】(実施の形態1) 次に図5は、本願発明の実施の形態1に係る送風機用羽
根車の羽根部の構成を示している。
【0027】以上の参考例の構成では、羽根前縁3a部
の曲率半径Rを羽根3の外周縁からハブ2側にかけて次
第に大きくするに際し、羽根外周縁からハブ2側根元部
付近まで連続的に曲率半径Rを大きくするように構成し
たが、これは例えば図5に示すように、本願発明の実施
の形態1として、羽根外周縁からハブ2側中間付近まで
の曲率と同中間付近からハブ2側根元部付近までの曲率
の絶対値を変えて、2段階(複数段階)に曲率を大きく
するようにし、外周縁側に比較してハブ2側の羽根前縁
3a部分の厚さを相対的により厚くして、材料費を節減
しながらも羽根3の剛性をより一層強化するように構成
することもできる。
【0028】(実施の形態2) 次に図6は、本願発明の実施の形態2に係る送風機用羽
根車の羽根部の断面構成を示している。
【0029】この実施の形態のものは、例えば図6に示
すように、上記参考例および実施の形態1における厚翼
構造の羽根3,3・・・として、羽根3本体の内部を全
体として必要な剛性が得られる可及的に広い範囲で中空
にし、可及的な軽量化を図った中空厚翼羽根を採用した
ことを特徴としている。
【0030】このような中空厚翼羽根の場合には、上記
参考例および実施の形態1の作用効果に加えて、さらに
大きく材料を節減することができ、より軽量化すること
が可能であるため、よりモータの駆動力が小さくて済
み、さらに電力費を節減することができる。
【0031】(他の実施の形態) なお、以上の参考例および実施の形態では、本願発明を
プロペラファン等軸流送風機の羽根車に適用した場合に
ついて説明したが、本願発明は斜流ファン等斜流型送風
機の羽根車に対して適用した場合にも同様の作用効果を
得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の参考例に係る送風機用羽根車の羽根
部の構成を示す斜視図である。
【図2】同羽根部の側面図である。
【図3】同羽根部の正面図である。
【図4】同羽根部の図3中に示す各切断部での断面構造
を対比して示す図である。
【図5】本願発明の実施の形態1に係る送風機用羽根車
の羽根部の構成を示す側面図である。
【図6】本願発明の実施の形態2に係る送風機用羽根車
の羽根部の構成を示す断面図である。
【図7】従来一般の送風機用羽根車の構成を示す正面図
である。
【図8】同羽根車の羽根前縁部の構成を示す側面図であ
る。
【図9】同従来の羽根車の羽根部の改良例の構成を示す
断面図である。
【図10】同改良例の羽根の前縁部の構成を示す側面図
である。
【符号の説明】
1は送風機用羽根車、2はハブ、3は羽根、3aは前
縁、3bは後縁、3cは正圧面、3dは負圧面、4は中
空部、Rは曲率半径である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F04D 29/38 F04D 29/32

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 モータの駆動軸に固定されるハブ(2)
    の外周面に複数枚の厚翼構造の羽根(3),(3)・・
    ・を所定の角度で一体化してなる送風機用羽根車におい
    て、上記羽根(3),(3)・・・前縁部(3a),
    (3a)・・・の曲率半径(R)を、外周縁側からハブ
    (2)に近づくにつれて、複数段階で次第に大きくなる
    ようにしたことを特徴とする送風機用羽根車。
  2. 【請求項2】 送風機が、軸流送風機であることを特徴
    とする請求項1記載の送風機用羽根車。
  3. 【請求項3】 送風機が、斜流送風機であることを特徴
    とする請求項1記載の送風機用羽根車。
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