JP3408873B2 - スポット溶接部の強度特性に優れた溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方法 - Google Patents
スポット溶接部の強度特性に優れた溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方法Info
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Description
特性に優れた常温非時効深絞り用溶融亜鉛メッキ鋼板と
その製造方法に関する。本発明が係わる冷延鋼板とは、
自動車、家庭電気製品、建物などの用途にプレス成形を
して使用されるものであり、防錆のために溶融メッキお
よび合金化溶融メッキなどの表面処理を施した鋼板であ
る。
り、極低炭素鋼の溶製が容易になった現在、良好な加工
性を有する極低炭素鋼板の需要は益々増加しつつある。
このような極低炭素鋼板は、一般的にTiおよびNbの
うち少なくとも一種を含有することはよく知られてい
る。すなわち、TiおよびNbは、鋼中の侵入型固溶元
素(C,N)と強い引力の相互作用を持ち、炭窒化物を
容易に形成する。したがって、侵入型固溶元素の存在し
ない鋼(IF鋼:Interstitial Frcc
Steel)が得られる。IF鋼は、歪時効性や加工
性を劣化させる原因となる侵入型固溶元素を含まないの
で、非時効で極めて良好な加工性を有する特徴がある。
さらに、TiやNbの添加は粗大化しやすい極低炭素鋼
の熱間圧延板の結晶粒径を細粒化し、冷延焼鈍板の深絞
り性を改善する重要な役割も持つ。しかし、TiやNb
を添加した極低炭素鋼は次のような問題を有する。第一
に、製造コストが高くつく点である。すなわち、極低炭
素化のための真空処理コストに加え高価なTiやNbの
添加を必要とするからである。第二に、極低炭素鋼にT
iやNbを添加すると溶融亜鉛メッキ性が劣化したり合
金化が進みすぎ過合金になる問題がある。第三に製品板
に固溶CやNが残存しないので、二次加工脆化が発生し
たり塗装焼き付け硬化が消失したりする。第四に、Ti
やNbは強い酸化物形成元素であり、これらの酸化物が
表面品質を劣化させたりする。
で、従来からTiやNbを添加しない極低炭素鋼の開発
を目的に数多くの研究開発が行われてきた。例えば特開
昭63−83230号公報、特開昭63−72830号
公報、特開昭59−80724号公報、特開昭60−1
03129号公報、特開平1−184251号公報、特
開昭58−141355号公報、特開平6−93376
号公報、などはその例である。これらはすべて、Tiや
Nbを含まない極低炭素鋼板のプレス成形性と係わるr
値や伸びなどの特性、および塗装焼き付け硬化特性(B
H特性)に注目したものである。しかし、これらの鋼板
はプレス成形後にスポット溶接して自動車などの部品に
供されるので、スポット溶接後の継ぎ手強度特性が十分
確保されていることが大前提となる。特公平5−573
30号公報においては、TiとNbを複合添加した極低
炭素鋼のスポット溶接部の疲労特性を改善する技術を開
示している。しかし、TiやNbを添加しない極低炭素
鋼板は、スポット溶接時に加えられた熱により一層異常
粒成長が生じ易く、スポット溶接部の継ぎ手強度が不十
分となる欠点があるが、これを防止する技術について
は、従来においては全く知見がない。
な添加元素を使用しない極低炭素鋼をベースに、優れた
深絞り性を維持しつつ、溶融亜鉛メッキ性に優れ良好な
スポット溶接強度特性も兼ね備えた溶融亜鉛メッキ鋼板
およびその製造方法を確立することが、本発明が解決し
ようとする課題である。
炭窒化物形成元素を使用しない単純な極低炭素鋼板にお
いては、軟質化しすぎるためスポット溶接時に電極から
の加圧により鋼板が容易に変形し電極と鋼板あるいは鋼
板間の接触抵抗が低下しすぎ、適正溶接電流範囲が狭く
高電流側にシフトすることが判明した。これは溶接機を
大型にする欠点がある。この問題を解決する手段とし
て、Pを添加する方法を見い出した。なぜならば、P添
加により安価かつ効率的に鋼板を高強度化しかつ電気抵
抗率を増大することが可能となり、低電流側に溶接電流
をシフトすることが可能となるからである。一方、Ti
やNbを添加しない極低炭素鋼板では、スポット溶接時
にHAZ部に異常粒成長が生じ易く、溶接部継ぎ手強度
が低下する問題が発生する。この問題を解決すべく鋭意
研究を重ねた結果、PとBを一定以上複合添加すること
に著効のある新知見を見い出した。また、その効果を十
分に発揮するためには、(1)B/N>1に調整し、固
溶Bを存在させること、(2)極微量のTiと/あるい
はNbを存在させること、(3)熱間圧延の仕上げ終了
後できる限り速やかに急冷し熱延板の結晶粒を微細化し
かつ焼鈍後の調質圧延をC量との関係で制御すること、
さらには、(4)冷延圧下率を高い値に設定すること、
が望ましいことが判明した。
いて構築されたものであり、その要旨とするところは以
下のとおりである。 (1)重量%で、 C :0.0001〜0.0026% Si:1.2%以下 Mn:0.03〜3.0% P :0.02〜0.15% S :0.0010〜0.020% Al:0.0050〜0.1% N :0.0001〜0.0080% B :0.0001〜0.0030% および残部Feおよび不可避的不純物よりなる化学成分
のスラブを(Ar3−100)℃以上の温度で熱間圧延
を仕上げ、その直後1.5s以内に50℃/s以上の冷
却速度で750℃以下まで冷却し500〜750℃で巻
取り、70%以上の圧延率で冷間圧延を行い、焼鈍温度
が600〜900℃のインライン焼鈍型連続溶融亜鉛メ
ッキ設備で溶融メッキを行い、その後、合金化処理を施
した後に調質圧延を行うか、あるいは合金化処理を施さ
ずにメッキ後に調質圧延を行うにあたり、その圧下率を
Cを含有炭素量(重量%)とした場合に1.5×(1−
400×C)%以上、かつ2080×(C−0.001
5)%以上とすることを特徴とするスポット溶接部の強
度特性に優れた溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方法。 (2)(1)に記載の化学成分で、B/N>1を特徴と
するスポット溶接部の強度特性に優れた深絞り用溶融亜
鉛メッキ鋼板の製造方法。 (3)(1)に記載の化学成分にTi:0.0002〜
0.0015%、Nb:0.0002〜0.0015%
のうちの少なくとも1種以上を含むことを特徴とするス
ポット溶接部の強度特性に優れた深絞り用溶融亜鉛メッ
キ鋼板の製造方法。
法において、冷延圧下率を84%以上とすることを特徴
とするスポット溶接部の強度特性に優れた深絞り用溶融
亜鉛メッキ鋼板の製造方法にある。
明する。図1、図2および図3は、本発明において特に
重要なPとBの添加がスポット溶接性に及ぼす影響につ
いて調べた結果を示す。本実験においては、C:約0.
0013%、Si:0.01%、Mn:0.15%、
P:0.003〜0.18%、S:0.008%、A
l:0.075%、N:0.0018%、B:0.00
01〜0.0040%を添加した単純な極低炭素鋼板を
用いた。スポット溶接性は、RWMA(Resista
nce welder Manufacutures′
Association)推奨値を参考にして、4.5
mmφのCF型の電極を使用し、200kgfの加圧力
で行い、通電時間は12Hzである。適正溶接電流範囲
は、ナゲット径が4×t1/2 (t:板厚(mm))以上
となる電流(適正溶接電流下限値)からチリが発生する
電流(適正溶接電流上限値)までの範囲である。
した材料を用いた。実験室的に加熱温度が1150℃、
仕上げ温度が930℃、仕上げ後0.7s以内に約70
℃/sで700℃まで冷却しこの温度で巻取り相当の熱
処理を施こす熱間圧延を行った。板厚6.0mmの熱延
板を0.8mmまで冷間圧延し、ゼンジマー方式の合金
化溶融亜鉛メッキプロセスをシミュレートした。最高到
達温度は、750℃であり、合金化処理時間は520℃
−15sである。また、調質圧延の圧下率は、1.2%
である。
とともに適正溶接電流範囲は広くなり、低電流側へシフ
トする。Pの添加量が0.02%以上であれば、適正溶
接電流範囲が従来材と同等レベルとなる新知見を得た。
また、溶接電流が7.5kAの場合に得られた図2およ
び図3から明らかなように、PとBを適正な組み合わせ
以上に添加するとHAZ部の硬度が従来材以上のレベル
に達するので、スポット溶接部の継ぎ手強度が確保され
るという、TiやNbを添加しない極低炭素鋼板の工業
化にとって極めて重要な新知見を得た。ここで、従来材
とは、現在多用されている一般的なTiとBを添加した
極低炭素冷延鋼板を意味する。
溶接性を改善する金属学的理由は次のように考えられ
る。Pは、置換型固溶元素のなかでは原子半径がFeよ
り著しく小さい元素であるので、効果的に電気抵抗を上
昇させる。その結果、適正溶接電流範囲が拡大し、低電
流側にシフトする。また、Pは、固溶体強化を効率的に
生じたり、粒界との相互作用が大きいため、粒界移動を
抑制する働きもある。その結果、HAZ部の硬度が上昇
したものと考えた。さらに、Bとの複合添加効果につい
ては、理由は必ずしも明らかでないが、スポット溶接後
の冷却過程におけるγ→α変態界面にPとBが偏析し、
Pは既に述べたように界面の移動速度の低下を、またB
はCとの相互作用によりCの拡散を抑制し、γ→α変態
を低温側にシフトさせた結果、HAZ部の焼き入れ性が
向上し硬度が著しく上昇したものと推察した。
御することが、TiやNbを添加しない極低炭素鋼板の
課題である非時効性とスポット溶接部の継ぎ手強度の確
保に極めて重要であるという新知見を得た。まず、本発
明の基礎となった実験結果について説明する。図4は、
時効性とスポット溶接時の適正溶接電流下限値におよぼ
すC量と調質圧延条件との関係を示す。本実験において
は、C量を0.0003〜0.0030%の範囲で変化
させ、Si:0.01%、Mn:0.15%、P:0.
03%、S:0.008%、Al:0.075%、N:
0.0018%、B:0.0010%を含有する単純な
極低炭素鋼板を用いた。実験室的に溶製した上記試料を
熱間圧延した。熱延加熱温度は1150℃、仕上げ温度
は920℃であり、0.5s以内に70℃/sで急冷
し、700℃で巻取った。板厚6.0mmの熱延板を酸
洗後0.8mmまで冷間圧延(圧下率=87%)し、ゼ
ンジマー方式の連続合金化溶融メッキプロセスをシミュ
レートした。最高加熱温度は750℃であり、合金化条
件は、520℃−12sである。圧下率を変化させて調
質圧延を施した。
1hの促進時効後の引張試験における降伏点伸び(YP
−El)を用いた。また、スポット溶接性の指標とし
て、適正溶接電流下限値を用いた。溶接条件は、既に述
べた条件と同一である。図から明らかなように、非時効
性を確保するためには圧下率を0.3%以上と2080
×(C−0.0015)%以上の領域で囲まれた範囲に
そしてC量を0.0026%以下に制御する必要があ
る。またスポット溶接適正電流下限値は、圧下率を1.
5×(1−400×C)%以上に制御することにより低
く抑えることができるので、スポット溶接設備の大容量
化や消費電力の増加を防止することが可能となる。全C
量が増加すると固溶C量も増加するため、非時効化に必
要な圧下率は増加するものと考えられる。また、スポッ
ト溶接適正電流下限値は、材料の降伏強度(YP)と関
係し、YPの低下とともに高電流にシフトするので、軟
質の極低C材ほど調質圧延の圧下率を増加させることが
好ましいと考えられる。
件を上述のように限定する理由についてさらに説明す
る。 C:Cは製品の材質特性を決定する極めて重要な元素で
ある。C量が上限の0.0026%超となると、調質圧
延の圧下率を制御してももはや常温非時効でなくなるの
で、上限を0.0026%とする。一方、C量が0.0
001%未満となると、二次加工脆化が発生する。ま
た、製鋼技術上極めて到達困難な領域であり、コストも
著しく上昇する。したがって、下限は0.0001%と
する。 Si:Siは安価に強度を上昇する元素であるが、1.
2%超となると溶融亜鉛メッキ性の低下などの問題が生
じるので、その上限を1.2%とする。
るに有効な元素である。また、Tiなどを添加しない本
願発明鋼では、MnがSを固定するので、Mnは熱間圧
延時の割れを防止する役割を持つ。低Mn化は従来から
r値の向上に好ましいと言われているが、Mn量が0.
03%未満では、熱間圧延時に割れが生じる。したがっ
て、Mn量の下限を0.03%とする。一方、Mnは、
本願発明のようにPを添加した極低炭素鋼の熱間圧延板
結晶粒の細粒化に効果的である知見を得た。これは、両
元素が熱力学的にはAr3 温度に対して相殺する方向に
働き、かつ両元素ともγからαへの変態を速度論的に遅
らせるためと思われる。したがって、Mn量を著しく増
加させると一般的にはr値が著しく劣化するが、本願発
明のようにP量が0.02%以上の極低炭素鋼では3%
まで添加してもそれほど劣化せず、さらにPとMnの適
切な添加によりZn−Feの合金化反応速度を制御でき
るという有益な知見も得た。以上の理由から、Mn量の
上限は3%とする。
る元素として知られており、その添加量は狙いとする強
度レベルに応じて変化する。さらに、TiやNbを添加
しない極低炭素鋼の熱間圧延板の結晶粒径は一般的に粗
粒化するが、0.01%以上のPの添加により顕著に細
粒化する効果を持つ。さらに、既に述べたようにスポッ
ト溶接性の確保にはPの添加量は、図1に示したように
0.02%以上とする。したがって、P量の下限値は
0.02%とする。一方、添加量が0.15%超となる
と、冷間圧延性の劣化、二次加工脆化などが発生するの
で、P量の上限は0.15%とする。また、既に述べた
ように多量のPを添加した場合の合金化反応速度の低下
は、Mnとの共存でかなり緩和が可能である。
01%未満になると製造コストが著しく上昇するので、
これを下限値とする。一方、0.020%超になるとM
nSが数多く析出しすぎ加工性が劣化するので、これを
上限値とする。 Al:Alは脱酸調整に使用するが、0.005%未満
では安定して脱酸することが困難となる。一方、0.1
%超になるとコスト上昇を招く。したがって、これらの
値を下限値および上限値とする。 N:Nは低い方が好ましい。しかし、0.0002%未
満にするには著しいコスト上昇を招くので、これを下限
値にする。一方、0.0080%以上になると加工性が
著しく劣化するので0.0080%をN量の上限値とす
る。
保するために必須な元素である。その効果を発揮するた
めには、0.0001%以上の添加が必要である。0.
0001%未満ではHAZ部の組織微細化には不十分で
ある。また、0.0030%超になると添加コストの上
昇やスラブ割れや材質劣化の原因となるので、これを上
限とする。さらに、Bの添加量はB/N>1が好まし
い。これは、HAZ部の組織微細化には、オーステナイ
ト域でBNを形成しない固溶状態のBが効果的であるか
らである。
は高価なこれらの元素は添加しないが、本発明者らが鋭
意検討を加えた結果、Ti、Nbの少なくとも1種の元
素が極微量の0.0002〜0.0015%存在する
と、スポット溶接性あるいはr値で代表される材質が改
善されることも判明した。改善効果は0.0002%未
満では見られず、一方、添加量を安定的に0.0015
%超とするためには、工業的実生産においては添加コス
トが上昇するのでこれを上限とする。
r3 −100)℃以上の温度で仕上げる。また、Tiや
Nbを添加しない極低炭素鋼においては仕上げ後1.5
s以内に50℃/s以上の冷却速度で750℃以下の温
度まで急冷すると熱間圧延板の結晶粒径が細粒化し、最
終製品板の深絞り性とスポット溶接性が向上するので、
好ましい。特に、0.5s以内の急冷が好ましい。巻き
取り温度は、750℃超となると、酸洗性が劣化したり
コイルの長手方向で材質が不均一となり、さらに巻き取
り中に異常粒成長を生じるので、これを上限値とする。
一方、500℃未満となると熱間圧延板でのAlNの析
出が不十分となるので、製品板の加工性が劣化する。し
たがって、これを下限値とする。
的から、圧下率は70%以上とする。本発明が対象とす
る極低炭素鋼板の場合には、圧下率を84%以上にする
とr 45が著しく向上し、r値の面内異方性が低減しかつ
組織が微細化しスポット溶接性が向上するので、この条
件は特に好ましい。 連続溶融亜鉛メッキ:ゼンジマー方式の連続溶融亜鉛メ
ッキ設備で、軟化焼鈍、溶融亜鉛メッキ、および必要に
応じて合金化処理を行う。焼鈍温度は600〜900℃
とする。焼鈍温度が600℃未満では、再結晶は不十分
であり、製品板の加工性が問題となる。焼鈍温度の上昇
とともに加工性は向上するが、900℃超では高温すぎ
て板破断や板の平坦度が悪化する。また、加工性も劣化
する。溶融亜鉛メッキ、および合金化処理は通常のもの
とする。
低炭素鋼板の非時効性とスポット溶接性を同時に確保す
るためには、調質圧延の圧下率を適正範囲に制御するこ
とがポイントである。非時効性は、圧下率を0.3%以
上と2080×(C−0.0015)%以上とC量が
0.0026%以下の領域で囲まれた範囲に制御するこ
とにより確保できる。また、スポット溶接性は、圧下率
を1.5×(1−400×C)%以上に制御し、スポッ
ト溶接適正溶接電流下限値の上昇を防止することによ
り、確保できる。かくして、本発明は新思想と新知見に
基づいて構築されたものであり、本発明によればTiや
Nbなどの高価な元素を添加せずとも、スポット溶接性
に優れた常温非時効深絞り用冷延鋼板が得られる。
熱し、920℃で熱間圧延を仕上げ、5.5mmの熱延
板としたのち0.7s以内に70℃/sで冷却し、70
0℃で巻取った。ついで、85%の圧下率の冷間圧延を
施し0.8mm厚としたのち、加熱速度10℃/sで最
高到達温度である760℃まで加熱し、約10℃/sで
冷却し、460℃で慣用の溶融亜鉛メッキ(浴中Al濃
度:0.1%)を行ない、さらに加熱して520℃−2
0sの合金化処理後、約10℃/sで室温まで冷却し
た。さらに、圧下率が1.2%の調質圧延を行い、性能
評価を行った。すなわち、各鋼板の機械的諸特性、最小
溶接電流および溶接強度について調べた結果を表2に示
す。スポット溶接条件は既に述べた条件で行い、溶接強
度は溶接電流が7.5kAの時の値で評価した。表1か
ら明らかなように、本発明鋼はスポット溶接性に優れた
常温非時効深絞り性用合金化溶融亜鉛メッキ鋼板とな
る。さらに、本発明により塗装焼き付け硬化性(BH
性)も付与できる。これに反し、本発明の範囲を逸脱し
た鋼においては、スポット溶接性(鋼F、C)やr
45(鋼F、G)、さらに100℃−1h後のYP−El
(鋼F)に問題がある。また、鋼Aの組成からなる連鋳
スラブを上記した条件で熱間圧延するにあたり、本発明
の条件を逸脱し、表3に示したように仕上げから急冷開
始までの時間を2sと長くした場合(鋼A−2)、およ
び急冷の冷却速度が15℃/sと遅い場合(鋼A−3)
には、本発明材(鋼A−1)と比較し、r値、特にr45
が劣った。
ン内焼鈍の連続合金化溶融亜鉛メッキまで行い、続いて
調質圧延の圧下率を0.5〜3.0%まで種々変化させ
た後、各鋼板の機械的諸特性、スポット溶接適正溶接電
流下限値および溶接強度について調べた。その結果を表
4に示す。スポット溶接条件は既に述べた条件で行い、
溶接強度は溶接電流が7.5kAの時の値で評価した。
表3から明らかなように、調質圧延の圧下率を本発明の
適正範囲に制御することにより、非時効性とスポット溶
接性の両立が可能である。
iやNbなどの高価な元素を添加せずとも、スポット溶
接性に優れた深絞り性用溶融亜鉛メッキ鋼板が得られ、
非時効性を保ちつつBH性も付与できる。本発明は、従
来技術と比較し安価で、かつ従来材と同等以上の利用特
性を有する鋼板およびその製造を提供するばかりでな
く、高価な元素の地球資源を確保したり、あるいは本発
明による高強度鋼板の利用により軽量化が達成でき地球
環境保全にも寄与するものと考えられ、その効果は著し
い。
示す図、
よぼすPとBの影響を示す図、
よびBとの関係を示す図、
性(100℃−1h後のYP−El)におよぼす全C量
と調質圧延の圧下率との影響を示す図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 重量%で、 C :0.0001〜0.0026% Si:1.2%以下 Mn:0.03〜3.0% P :0.02〜0.15% S :0.0010〜0.020% Al:0.0050〜0.1% N :0.0001〜0.0080% B :0.0001〜0.0030% および残部Feおよび不可避的不純物よりなる化学成分
のスラブを(Ar3−100)℃以上の温度で熱間圧延
を仕上げ、その直後1.5s以内に50℃/s以上の冷
却速度で750℃以下まで冷却し500〜750℃で巻
取り、70%以上の圧延率で冷間圧延を行い、焼鈍温度
が600〜900℃のインライン焼鈍型連続溶融亜鉛メ
ッキ設備で溶融メッキを行い、その後、合金化処理を施
した後に調質圧延を行うか、あるいは合金化処理を施さ
ずにメッキ後に調質圧延を行うにあたり、その圧下率を
Cを含有炭素量(重量%)とした場合に1.5×(1−
400×C)%以上、かつ2080×(C−0.001
5)%以上とすることを特徴とするスポット溶接部の強
度特性に優れた溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方法。 - 【請求項2】 請求項1に記載の化学成分で、B/N>
1を特徴とするスポット溶接部の強度特性に優れた深絞
り用溶融亜鉛メッキ鋼板の製造方法。 - 【請求項3】 請求項1に記載の化学成分にTi:0.
0002〜0.0015%、Nb:0.0002〜0.
0015%のうちの少なくとも1種以上を含むことを特
徴とするスポット溶接部の強度特性に優れた深絞り用溶
融亜鉛メッキ鋼板の製造方法。 - 【請求項4】 請求項1〜3の製造方法において、冷延
圧下率を84%以上とすることを特徴とするスポット溶
接部の強度特性に優れた深絞り用溶融亜鉛メッキ鋼板の
製造方法。
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JPH08120402A JPH08120402A (ja) | 1996-05-14 |
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