JP3404763B2 - ピッチチェンジ効果付与装置 - Google Patents

ピッチチェンジ効果付与装置

Info

Publication number
JP3404763B2
JP3404763B2 JP08791892A JP8791892A JP3404763B2 JP 3404763 B2 JP3404763 B2 JP 3404763B2 JP 08791892 A JP08791892 A JP 08791892A JP 8791892 A JP8791892 A JP 8791892A JP 3404763 B2 JP3404763 B2 JP 3404763B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
signal
delay
transmission means
change
delay time
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP08791892A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH05257468A (ja
Inventor
孝郎 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yamaha Corp
Original Assignee
Yamaha Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yamaha Corp filed Critical Yamaha Corp
Priority to JP08791892A priority Critical patent/JP3404763B2/ja
Publication of JPH05257468A publication Critical patent/JPH05257468A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3404763B2 publication Critical patent/JP3404763B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Electrophonic Musical Instruments (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】この発明は、電子楽器、電気楽
器、あるいは映画、演劇での音響効果装置などにおいて
利用できるピッチチェンジ効果付与装置に関し、特に、
ウェーブガイドネットワークを使用してピッチチェンジ
効果を付与するようにしたものに関する。 【0002】 【従来の技術】ピッチチェンジ機能を持つエフェクター
は従来から知られている。楽音信号やその他の音信号を
シフトレジスタあるいはランダムアクセスメモリ等から
なる遅延手段によって遅延し、その遅延時間(すなわち
遅延出力取り出し位置)を一定の変化レートで連続的に
変化させることにより、該変化レートに応じたピッチ変
化をつけるようにしたものである。一方、特開昭63−
40199号公報には、ウェーブガイドネットワークを
使用した信号プロセッサが開示されている。そこにおい
ては、管楽器あるいは弦楽器等自然楽器の物理的発音メ
カニズムを非線形素子とウェーブガイドネットワークの
組み合わせによってシミュレートすることにより楽音合
成を行なう技術が示されている。また、音響ルームやコ
ンサートホールなど自然の音響空間における物理的残響
メカニズムをウェーブガイドネットワークによってシミ
ュレートすることにより残響効果を付与する技術が示さ
れている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】従来のピッチチェンジ
エフェクターは、単に入力した音信号のピッチを変更で
きるだけのものでしかなかったため、面白みにかけてい
た。また、音色変化などその他の効果を付与しようとす
る場合は、そのための効果付与装置を別途に設けなけれ
ばならなかった。一方、ウェーブガイドネットワークを
使用した公知の信号プロセッサ技術においては、自然楽
器の物理的発音メカニズムをシミュレートした楽音合成
音源技術及び自然の音響空間における物理的残響メカニ
ズムをシミュレートした残響効果付与技術が開示されて
いるが、別途の音源システムにおいて生成された楽音信
号あるいは生演奏された音信号などを導入して、該音信
号のピッチを変化させる効果やその音色をコントロール
する効果などを付与することについては何も示されてい
ない。この発明は上述の点に鑑みてなされたもので、入
力した信号のピッチを変化させることができるのみなら
ず、その音色的特徴をも適宜制御できるようにしたピッ
チチェンジ効果付与装置を提供しようとするものであ
る。 【0004】 【課題を解決するための手段】 この発明に係るピッチ
チェンジ効果付与装置は、入力した信号に対して可変の
遅延時間を施して出力する複数の信号伝送手段と、前記
信号伝送手段のうち所定のもの同士を接続し、接続され
た該信号伝送手段から出力される信号に所定の演算処理
を施し、その演算結果を該信号伝送手段に入力する1又
は複数の信号散乱用ジャンクションとによって構成され
るネットワークを複数系列具備し、更に、前記ネットワ
ークを構成する複数の信号伝送手段のうち少なくとも1
つの前記信号伝送手段における前記遅延時間を所望のピ
ッチチェンジ量に応じた変化レートで時間的に変化させ
遅延時間設定データを各系列のネットワーク毎に位相
を異ならせて出力すると共に、前記遅延時間設定データ
の変化が不連続となる点の近傍において所定区間ゼロと
なるクロスフェード信号を各系列のネットワーク毎に出
力する遅延制御手段と、前記遅延制御手段から出力され
るクロスフェード信号に基づいて前記複数系列のネット
ワーク各々から出力される信号を混合出力するクロスフ
ェード手段とを具えたものである。 【0005】 【作用】信号伝送手段において、その信号遅延時間を所
望のピッチチェンジ量に応じた変化レートで時間的に変
化させると、その遅延出力側に得られる信号の波形周期
が該変化レートに応じて圧縮若しくは拡張されることと
なり、該変化レートに応じたピッチ変化が施される。例
えば、変化レートの傾きが負の場合つまり遅延時間を短
くする方向に変化させた場合、その遅延出力側に得られ
る信号の波形周期が圧縮され、ピッチが高くなる。変化
レートの傾きが正の場合つまり遅延時間を長くする方向
に変化させた場合はその逆にピッチが低くなる。 【0006】 一方、信号伝送手段と信号散乱用ジャン
クションとによりウェーブガイドネットワークが構成さ
れており、そこにおける信号遅延時間と演算係数の設定
に応じて、物理的共振及び信号散乱の特性がシミュレー
トされる。そのようなウェーブガイドネットワークにお
いて、信号伝送手段すなわちウェーブガイドは、信号遅
延時間に対応する長さの音響管における音波の伝送特性
をシミュレートしており、信号遅延時間に対応する共振
特性を示す。従って、該ウェーブガイドネットワークに
導入された音信号に対して所望の音響的広がり感のある
音色的特徴を付与することができる。また、上述のよう
に信号遅延時間を時間的に変化させることにより、共振
特性が変化し、ピッチの変更に伴って音色を変化させる
こともできる。従って、ピッチチェンジ効果に付随して
音響的広がり感のある音色制御効果を付加することがで
き、従来得られなかった斬新なピッチチェンジ効果を得
ることができる。この発明によれば、遅延制御手段で
は、遅延時間設定データを各系列のネットワーク毎に位
相を異ならせて出力すると共に、前記遅延時間設定デー
タの変化が不連続となる点の近傍において所定区間ゼロ
となるクロスフェード信号を各系列のネットワーク毎に
出力し、クロスフェード手段では、前記遅延制御手段か
ら出力されるクロスフェード信号に基づいて前記複数系
列のネットワーク各々から出力される信号を混合出力す
るようにしている。これにより、遅延時間設定データの
変化が不連続となることにより発生するおそれのあるノ
イズを除去若しくは減少させることができる。また、ウ
ェーブガイドネットワークは全体として閉鎖ループとな
っているので、もしノイズが発生した場合、該ノイズの
影響はやや長く残ることになるが、この発明では、クロ
スフェード信号はノイズ発生の原因となる不連続点の近
傍で所定区間ゼロとなるようにしてあるので、ノイズの
影響を確実に除去又は減少させることができる。 【0007】複数の信号伝送手段のうち少なくとも1つ
においてピッチチェンジのための信号遅延時間の変調を
行なうことは、極めて有意義な発想であり、従来知られ
た楽音合成用及び残響用のウェーブガイドネットワーク
技術には見られなかったものである。すなわち、少なく
とも1つの信号伝送手段においてピッチチェンジのため
の処理を施すことにより、ネットワークを通る音信号の
ピッチを変化させることができ、その一方で他の残りの
信号伝送手段においてはピッチチェンジのための処理に
拘束されることなく、所望の音色的特徴を付与するため
の処理を施すことがきるので、1つの効果付与装置にお
いてピッチチェンジ効果の付与と音色効果の付与の両方
を効果的に達成することができる。 【0008】また、前記遅延制御手段では、前記複数の
信号伝送手段におけるそれぞれの遅延時間をそれぞれ個
別の変化レートで変化させるようにしてもよい。その場
合は、多重的なピッチチェンジ効果を付与することがで
きる。また、ウェーブガイドにおいて信号伝送手段は進
行波信号と反射波信号のための双方向の信号遅延ライン
を有しているが、この双方向の信号遅延ラインのうち両
方又は一方においてピッチチェンジのための信号遅延時
間の時変動制御を施してよい。 【0009】また、前記信号伝送手段は、所定のサンプ
リングクロック周期に従って遅延動作を行なうものであ
り、該サンプリングクロック周期未満の端数を持つ遅延
時間が設定された場合は、サンプリングクロック周期に
同期する2つの遅延出力信号を該端数に応じて補間する
ことにより、該設定された遅延時間に対応する出力信号
を発生するようにしてもよい。これにより、ウェーブガ
イドネットワークのシステム規模を大きくすることな
く、精度を上げることができる。特に、この発明のよう
に、遅延時間の時変動制御を行なう場合に、制御可能な
遅延時間の分解能を補間によって上げることは、滑らか
な変化を得る上で極めて有利である。 【0010】 【実施例】以下、この発明の一実施例を添付図面に基づ
き詳細に説明する。図1はこの発明に係るピッチチェン
ジ効果付与装置の一実施例を機能的に示すブロック図で
ある。この実施例では、ピッチチェンジ効果を付与する
ためのウェーブガイドネットワークWGN1〜WGN3
を3系列具備している。1つのウェーブガイドネットワ
ークWGN1について説明すると、入力した信号に対し
て可変の遅延時間を施して出力する複数の信号伝送手段
(すなわちウェーブガイド)PA1〜PA3と、該信号
伝送手段PA1〜PA3のうち所定のもの同士を接続
し、接続された該信号伝送手段から出力される信号に所
定の演算処理を施し、その演算結果を該信号伝送手段に
入力する複数の信号散乱用ジャンクションJA1,JA
2を具備している。他のウェーブガイドネットワークW
GN2,WGN3も同様に構成されている。なお、3つ
のウェーブガイドネットワークWGN1〜WGN3を設
けた理由は、追って説明するようにノイズ対策のためで
ある。基本的には、1つのウェーブガイドネットワーク
WGN1によってピッチチェンジ効果が実現できる。 【0011】遅延制御部10は、操作者の選択若しくは
設定に応じて、少なくとも1つの前記信号伝送手段PA
1〜PA3における信号遅延時間を所望のピッチチェン
ジ量に応じた変化レートで時間的に変化させる制御を行
なうものである。一例として、各ウェーブガイドネット
ワークWGN1〜WGN3における中央の信号伝送手段
PA2,PB2,PC2の遅延時間設定データDa2,D
b2,Dc2を、時間的に変化制御して発生することが可能
となっている。勿論、他の信号伝送手段における遅延時
間設定データDa1〜Dc3を、この遅延制御部10から、
時間的に変化制御して発生するようにすることも可能で
ある。 【0012】パラメータ供給部11は、各ウェーブガイ
ドネットワークWGN1〜WGN3で使用する演算係数
及び遅延時間設定データ等のパラメータを供給するもの
である。例えば、遅延時間設定データに関して一例を説
明すると、遅延制御部10では発生しない遅延時間設定
データDa1〜Dc3を、このパラメータ供給部11から供
給するようにすればよい。パラメータ供給部11で供給
する各種パラメータは、操作者の選択若しくは設定に応
じて可変されるようになっていてもよいし、若しくは固
定であってもよい。また、遅延制御部10におけるピッ
チチェンジ効果の選択若しくは設定に連動して、パラメ
ータ供給部11で供給する各種パラメータが可変される
ようになっていてもよい。 【0013】入力されたディジタル楽音信号TSin
は、各ウェーブガイドネットワークWGN1〜WGN3
の任意のポイント、例えば、ジャンクションJA1,J
B1,JC1内の適宜のポイントで各ウェーブガイドネ
ットワークWGN1〜WGN3にそれぞれパラレルに導
入される。この楽音信号TSinは、それぞれのウェー
ブガイドネットワークWGN1〜WGN3において、所
定の変化レートで時間的に変化する遅延時間設定データ
Da2,Db2,Dc2に従って(すなわち中央の信号伝送手
段PA2,PB2,PC2の部分で)ピッチチェンジが
施される。また、それぞれのウェーブガイドネットワー
クWGN1〜WGN3における各種パラメータの設定に
応じて定まる特性で適宜の音色制御効果が該楽音信号に
対して付与される。こうして、音色制御効果を伴うピッ
チチェンジ効果が楽音信号に対して付与される。各ウェ
ーブガイドネットワークWGN1〜WGN3の任意のポ
イント、例えば、ジャンクションJA2,JB2,JC
2内の適宜のポイントから、効果付与済みの楽音信号を
取り出すようにしてよい。各ウェーブガイドネットワー
クWGN1〜WGN3から出力される楽音信号に対して
クロスフェード用の乗算器MA,MB,MCでクロスフ
ェード係数CFa,CFb,CFcがそれぞれ乗算さ
れ、これらの乗算結果が加算器AD1で合計される。 【0014】乗算器MX1は効果付与されていない楽音
信号TSinを入力し、これに係数M1を乗算する。ま
た、乗算器MX2は前記加算器AD1から与えられる効
果付与済みの楽音信号を入力し、これに係数M2を乗算
する。両乗算器MX1,MX2の出力が加算器AD2で
加算され、該加算器AD2の出力がこのピッチチェンジ
効果付与装置の出力楽音信号TSoutとして出力され
る。乗算器MX1,MX2の係数M1,M2の一方を+1
に設定し、他方を0に設定すれば、ピッチチェンジ効果
付与されていない楽音信号とピッチチェンジ効果付与さ
れた楽音信号のどちらか一方を選択的に出力することが
できる。また、両係数M1,M2を0以外の適宜の値に設
定すると、ピッチチェンジ効果付与されていない楽音信
号とピッチチェンジ効果付与された楽音信号を適宜のレ
ベル比率でミキシングしたものを出力することができ、
これによってピッチチェンジ効果とのハーモニーバラン
スを制御することもできるので、制御性に富むものとな
る。 【0015】次に各部の具体例について説明する。ウェ
ーブガイドネットワークの基本的な構成それ自体は公知
であるが、実施例の理解を深めるために、1つの信号散
乱用ジャンクションJA1とそれに接続された2つの信
号伝送手段PA1,PA2の基本的な構成例を図2に示
し、これにつき説明する。このような1つの信号散乱用
ジャンクションJA1とそれに接続された2つの信号伝
送手段PA1,PA2からなるウェーブガイドネットワ
ークは、図3に示すような径φ1,φ2の異なる2つの管
PP1,PP2を接続してなる音響管における物理的共
振特性をシミュレートするものである。各信号伝送手段
PA1,PA2は、各管PP1,PP2内を伝播する空
気圧力波の伝送遅延をシミュレートする双方向伝送回路
であり、進行波信号を伝送するための遅延回路DF1,
DF2と、反射波信号を伝送するための遅延回路DR
1,DR2とをそれぞれ具備している。 【0016】信号伝送手段PA1の遅延回路DF1,D
R1における遅延時間Z-a1は管PP1の長さL1に対
応して設定され、同様に、信号伝送手段PA2の遅延回
路DF2,DR2における遅延時間Z-a2は管PP2の
長さL2に対応して設定される。各遅延回路DF1,D
R1,DF2,DR2は可変遅延回路であり、それぞれ
においてシミュレートしようとする管PP1,PP2の
長さL1,L2に応じた遅延時間設定データDa1,D
a2が与えられ、該データDa1,Da2に応じてそれぞ
れの遅延時間Z-a1,Z-a2が可変設定される。 【0017】例えば、遅延時間設定データDa1,Da2
とそれに対応する管の長さL1,L2は、下記式のよう
な相関性を持つ。 Da1=(L1/V)×fs …(1) ここで、Vは音速(340m/sec)、fsはサンプリン
グ周波数であり、1サンプリングクロックが1遅延クロ
ックに対応するものとしている。この場合、遅延時間設
定データDa1は、所望の遅延時間に対応する遅延クロ
ック数を示している。 【0018】信号散乱用ジャンクションJA1は、径φ
1,φ2の異なる2つの管PP1,PP2の接続部分にお
ける信号の散乱をシミュレートするものである。ここ
で、M11,M12は乗算器、A11,A12は減算
器、Aj1は加算器である。信号伝送手段PA1の遅延
回路DF1から出力された進行波信号が乗算器M21に
入力され、そこで係数a1が乗算される。また、信号伝
送手段PA2の遅延回路DR2から出力された反射波信
号が乗算器M12に入力され、そこで係数b1が乗算さ
れる。乗算器M11,M12の出力が加算器Aj1で加
算される。すなわち、ジャンクションJA1に入力され
る信号に所定の係数a1,b1をそれぞれ乗算して、これ
らを加算器Aj1で加算する。加算器Aj1の加算結果
は、減算器A11,A12にそれぞれ与えられる。減算
器A11では、加算器Aj1の加算結果から遅延回路D
F2から与えられた反射波信号が減算され、その減算結
果が進行波信号として信号伝送手段PA2の進行波用の
遅延回路DF2に入力される。減算器A12では、加算
器Aj1の加算結果から遅延回路DF1から与えられた
進行波信号が減算され、その減算結果が反射波信号とし
て信号伝送手段PA1の反射波用の遅延回路DR1に入
力される。 【0019】ジャンクションJA1における演算の係数
a1,b1は、管PP1,PP2の接続部分に流入する空
気圧力波の大きさの配分を示すものであり、管PP1,
PP2の径φ1,φ2(すなわち断面積)の相関関係に従
って決定される。なお、図2のジャンクションJA1に
おける乗算器M13〜M17と加算器A13,A14
は、入力楽音信号TSinをネットワーク内に導入する
ためのものである。 【0020】図1におけるウェーブガイドネットワーク
WGN1は、3つの管のそれぞれに対応する双方向の信
号伝送手段PA1,PA2,PA3を、信号散乱用ジャ
ンクションJA1,JA2を介して相互に接続し、これ
ら3つの管を順次接続して成る音響管における物理的共
振特性をシミュレートするものである。残りの信号伝送
手段PA3と信号散乱用ジャンクションJA2は、図2
に示したものと同様の基本構成からなっていてよく、従
って、ウェーブガイドネットワークWGN1は図2に示
したような基本構成を順次接続してなる構成からなって
いる。ただし、ジャンクションJA1に設けられた信号
導入用の乗算器M13〜M17と加算器A13,A14
は、ジャンクションJA2では不要であり、その代わり
に、後述するように信号取り出し用の回路が適宜付加さ
れる。そして、シミュレートしようとするそれぞれの管
の長さに応じた遅延時間設定データDa1,Da2,Da
3がそれぞれの信号伝送手段PA1,PA2,PA3に
与えられてそれぞれの遅延時間を可変設定し、また、シ
ミュレートしようするそれぞれの管の径に応じた演算係
数a1,b1,a2,b2がそれぞれの信号散乱用ジャンク
ションJA1,JA2に供給されるようになっている。 【0021】ウェーブガイドネットワークWGN1の終
端部は、音響管の終端部における圧力波の反射又は損失
をシミュレートするための終端回路からなっている。図
1の例では、乗算器ME1とME2によって終端回路が
構成されている。音響管の出口端をシミュレートする乗
算器ME2は、最後の信号伝送手段PA3から出力され
る進行波信号を入力し、これに係数C2を乗算し、その
乗算結果を信号伝送手段PA3に対して反射波信号とし
て入力する。音響管の入口端をシミュレートする乗算器
ME1は、信号伝送手段PA1から出力される反射波信
号を入力し、これに係数C1を乗算し、その乗算結果を
信号伝送手段PA1に対して進行波信号として入力す
る。係数C1,C2は、音響管の終端部すなわち入口端及
び出口端での反射又は損失をシミュレートするための係
数であり、−1から+1までの範囲で任意に与えられ
る。例えば、開口端をシミュレートする場合は−1で与
えられ、位相反転させる。また、閉口端をシミュレート
する場合は+1で与えられる。 【0022】図2に示された楽音信号導入用の回路につ
いて説明すると、ジャンクションJA1において、入力
楽音信号TSinは、各乗算器M13〜M17で係数に
応じてそれぞれレベル制御され、前述の信号散乱用演算
処理に使用される加算器Aj1,減算器A11,A12
と、進行波信号入力側に設けられた加算器A13と、反
射波信号入力側に設けられた加算器A14の箇所に導入
される。なお、入力楽音信号TSinは、減算器A1
1,A12に対しては加数入力に与えられる。各乗算器
M13〜M17の係数は、例えば0から+1までの範囲
の任意の値が可変設定される。ある1つの乗算器M13
〜M17の係数を+1に設定し、残りを0に設定すれ
ば、楽音信号TSinを導入する1つの導入点を選択す
ることができる。また、各乗算器M13〜M17の各係
数を0以外の適宜の値に設定すると、それぞれの導入点
に対して、該係数に応じてそれぞれ設定されたレベルで
該楽音信号TSinを導入することができる。 【0023】入力楽音信号TSinの導入位置は、ウェ
ーブガイドネットワークWGN1によってシミュレート
される一連の音響管モデルにおける振動音源の位置及び
該音源波の放射方向に対応している。この例の場合、ジ
ャンクションJA1によってシミュレートされる管接続
部の近傍に振動音源が位置し、加算器A13に入力する
場合はジャンクションの少し手前から進行波方向に音源
波を放射し、減算器A11に入力する場合はジャンクシ
ョンを少し出た位置から進行波方向に音源波を放射し、
加算器A14に入力する場合はジャンクションの少し手
前から反射波方向に音源波を放射し、減算器A12に入
力する場合はジャンクションを少し出た位置から反射波
方向に音源波を放射し、加算器Aj1に入力する場合は
ジャンクションの位置から進行波方向及び反射波方向の
両方に音源波を放射することがシミュレートされる。ど
の位置に入力楽音信号TSinを導入するかによって、
該楽音信号TSinに対する効果のかかり具合を微妙に
制御することができる。 【0024】図4は、ジャンクションJA2における出
力信号の取り出し例を示すものである。ジャンクション
JA2において、乗算器M21,M22,加算器Aj
2,減算器A21,A22は、ジャンクションJA1に
おける乗算器M11,M12,加算器Aj1,減算器A
11,A12と同様の信号散乱用演算処理のための回路
である。ジャンクションJA2における進行波信号入力
側及び出力側、反射波信号入力側及び出力側、並びに加
算器Aj2の出力側の合計5つの取り出し点から出力信
号を取り出すために乗算器M23〜M27が設けられて
いる。各取り出し点から取り出された信号は各乗算器M
13〜M17で係数に応じてそれぞれレベル制御され、
加算器A23で合計されて出力される。 【0025】上述と同様に、各乗算器M23〜M27の
係数は、例えば0から+1までの範囲の任意の値が可変
設定することができ、ある1つの乗算器M23〜M27
の係数を+1に設定し、残りを0に設定すれば、1つの
取り出し点から出力信号を取り出すことができる。ま
た、各乗算器M23〜M27の各係数を0以外の適宜の
値に設定すると、それぞれの取り出し点から該係数に応
じてそれぞれ設定されたレベルで出力信号を取り出すこ
とができ、これらを加算器A23で合計した信号が出力
信号となる。これにより、効果のかかり具合の微妙に異
なる楽音信号を選択的に取り出すことができる、又はそ
れぞれ可変設定されたレベルで取り出して混合すること
ができるので、制御性に富むものとなる。図5は、或る
1つの信号伝送手段PA1〜PA3における1つの遅延
ライン(進行波信号又は反射波信号の一方のための遅延
ライン)の一例を機能的に示している。なお、図5で
は、図2の信号伝送手段PA2における進行波信号のた
めの遅延回路DF2に対応する遅延ラインであると仮定
して、遅延時間設定データとしてDa2を入力すること
が示されている。図5において信号遅延回路12は入力
信号をサンプリングクロックパルスPsに従うクロック
時間ごとに順次遅延するものであり、外部より入力され
る遅延時間設定データDa2によってその遅延時間を可
変制御する(つまり入力から出力に至るまでの遅延クロ
ック数を可変制御する)ことができるものである。つま
り、入力WAに与えられた信号をサンプリングクロック
パルスPsに従って順次シフトし、その出力取り出し位
置RAが遅延時間設定データDa2によって可変制御さ
れる直列シフトレジスタと等価であると考えてよい。 【0026】この場合、信号遅延回路12では、サンプ
リングクロックパルスPsの1周期未満の遅延は行なえ
ない。これに対して、遅延時間設定データDa2は、信
号遅延時間を細かな値で時間的に変動させて精度の良い
ピッチチェンジを行なうことができるようにするため
に、サンプリングクロックパルスPsの1周期未満の端
数を小数部kとして含んでいる。そこで、信号遅延回路
12では、遅延時間設定データDa2の整数部の値に応
じてその出力取り出し位置RAを決定し、該整数部の値
に対応する遅延時間が施された信号Aを出力すると共
に、それよりも1サンプリングクロック周期だけ長い遅
延時間が施された信号Bを出力し、この2つの遅延出力
信号A,Bを該遅延時間設定データDa2の端数つまり
小数部kの値に応じて補間するようにしている。 【0027】すなわち、信号遅延回路12から取り出し
た2つの遅延出力信号A,Bをそれぞれ乗算器13,1
4に入力して遅延時間設定データDa2の小数部kを補
間係数として乗算し、その乗算結果と遅延出力信号Aを
加減算器15に入力して、「(1−k)A+kB」なる
直線補間演算を実行する。これにより、サンプリングク
ロックパルスPsの1周期未満の端数を含む遅延時間設
定データDa2に応じて精度のよい信号遅延を行なうこ
とができる。このような信号遅延の補間により、ウェー
ブガイドネットワークのシステム規模を大きくすること
なく、すなわち遅延クロックの周波数を高速化すること
なく、精度を上げることができる。従って、信号遅延時
間を細かな値で時間的に変動させて精度の良いピッチチ
ェンジを行なうような場合に極めて有利である。加減算
器15の出力はこの遅延ラインの出力信号として出力さ
れる。その際に、乗算器16により適宜の係数を乗算し
てレベル制御できるようにすれば、信号損失を適宜シミ
ュレートすることができる。また、この遅延ラインに適
宜のローパスフィルタLPFを挿入してもよく、そうす
れば、信号の遅延特性のみならず、フィルタ係数によっ
て制御可能な任意の周波数特性を持つ信号損失特性をも
シミュレートすることができる。 【0028】次に、遅延制御部10の具体例について図
6により説明する。ピッチチェンジセレクタ20は、ピ
ッチチェンジ効果の選択を行なうためのものであり、操
作者による操作子等の選択操作に応じてピッチチェンジ
指定データPCDを出力する。ピッチチェンジセレクタ
20の構成は、スライド操作子やホイール操作子あるい
はペダル操作子等の多段階または連続的操作データを出
力することが可能な操作子の操作情報をそのまま出力す
る構成、あるいは数値データ設定・選択スイッチにより
設定・選択された数値データを出力する構成、あるいは
スイッチ操作に応じてメモリあるいはデコーダ等からデ
ータを発生する構成、あるいは適宜のインタフェース回
路を介して外部から適宜のピッチチェンジ指定データを
取り込む構成など適宜に構成してよい。なお、ピッチチ
ェンジ指定データPCDは、所望の一定のピッチチェン
ジ量を指定する定数であってもよいし、ビブラート、グ
ライド等の時間的ピッチ変化を指定する時間関数であっ
てもよい。また、ピッチチェンジ効果の付与された信号
と付与されていない信号の混合比率を制御する前述の係
数M1,M2がこのピッチチェンジセレクタ20から出力
されるようになっていてもよい。 【0029】変化レートデータ発生部21は、ピッチチ
ェンジ指定データPCDに基づいて指定されたピッチ変
化量に対応する変化レートデータCRTを発生するもの
である。一例を示すと、ピッチチェンジ指定データPC
Dは±1オクターブの範囲で所望のピッチ変化量を指定
できるようになっており、変化レートデータCRTは、
±1オクターブの範囲で指定されるピッチ変化量に対応
して、−1.00から+0.50の範囲の値を示す数値デ
ータからなる。すなわち、変化レートデータCRTは、
+1オクターブのピッチ変化量(つまり2倍ピッチ)に
対応して数値−1.00を示し、ピッチ変化量0に対応
して数値0.00を示し、+1オクターブから0の範囲
のピッチ変化量に対応して数値−1.00から0.00の
範囲の負の小数値を示し、−1オクターブのピッチ変化
量(つまり1/2ピッチ)に対応して数値+0.50を
示し、0から−1オクターブの範囲のピッチ変化量に対
応して数値0.00から0.50の範囲の正の小数値を示
す。 【0030】アドレス情報発生部22は、変化レートデ
ータCRTによって示された数値に対応する変化レート
で変化するアドレス情報を発生するものである。例え
ば、サンプリングクロックPsに従って変化レートデー
タCRTを繰り返しアキュムレートするアキュムレータ
を含んでおり、そのアキュムレート値がアドレス情報と
して出力される。ここで発生されるアドレス情報は信号
遅延時間に対応しており、遅延時間設定データDa2,
Db2,Dc2として、各ウェーブガイドネットワークW
GN1〜WGN3の信号伝送手段PA2,PB2,PC
2にそれぞれ供給される。変化レートデータCRTが小
数を含む値であるから、このアドレス情報すなわち遅延
時間設定データDa2,Db2,Dc2は整数部と小数部
を含む値であり、遅延時間0に対応する値0から最大遅
延時間に対応する値MAXの範囲で繰り返し変化する。
図7はアドレス情報すなわち遅延時間設定データDa
2,Db2,Dc2の時間的変化の一例を示しており、
(a)は変化の傾きが負であり、ピッチを高くする場合
に対応している。(b)は変化の傾きが正であり、ピッ
チを低くする場合に対応している。この変化の傾きつま
り変化レートがピッチ変化量に対応している。 【0031】遅延時間設定データDa2を時間的に変化
させることによりピッチ変化が生じる点について説明す
ると、図7の(a)のように変化の傾きが負の場合は、
図5における取り出し位置RAが入力位置WAの方に徐
々に近づくことになり、出力波形のサンプリングポイン
トを先読みしていくことと等価となり、出力波形の周期
がその変化レートに応じて圧縮されることとなり、該変
化レートに応じてピッチが高くなるピッチ変化が施され
る。一方、図7の(b)のように変化の傾きが正の場合
は、図5における取り出し位置RAが入力位置WAから
徐々に離れることになり、出力波形のサンプリングポイ
ントを補間しながらゆっくり読むことと等価となり、出
力波形の周期がその変化レートに応じて拡張されること
となり、該変化レートに応じてピッチが低くなるピッチ
変化が施される。 【0032】このように、ウェーブガイドネットワーク
WG1において遅延時間設定データDa2を時間的に変
化させることにより該ネットワークを通る楽音信号のピ
ッチを変化させることができる。一方、ウェーブガイド
ネットワークWG1においては、その信号伝送手段PA
1,PA2,PA3における信号遅延時間と信号散乱用
ジャンクションJA1,JA2における演算係数a1,
b1,a2,b2の設定に応じて、共振及び信号散乱の特
性がシミュレートされ、該特性に応じた音色的特徴を楽
音信号に付与することができる。従って、楽音信号にピ
ッチチェンジ効果を付与できるのみならず、同時に音色
制御効果も付与できる。しかも、遅延時間設定データD
a2の時間的変化により共振特性が時間的に変化するの
で、ピッチチェンジに連動した音色制御を施すことがで
きる。すなわち、図3のような音響管モデルを想定する
と、遅延時間設定データDa2の時間的変化により管の
長さL2が時間的に伸び縮みする状態をシミュレートし
ていることと等価となり、周波数特性を時変動させる効
果を得ることができる。 【0033】ところで、アドレス情報すなわち遅延時間
設定データDa2は、図7に示すように、0から最大値
MAXの範囲での増加又は減少を繰り返すので、最大値
MAXから0への切り替わり時点又は0から最大値MA
Xへの切り替わり時点で変化が不連続になり、ノイズが
生じる。そのようなノイズを除去あるいは減少するため
に、複数系列のウェーブガイドネットワークWGN1〜
WGN3でパラレルにピッチチェンジを行なうようにし
ている。すなわち、アドレス情報発生部22から発生す
る各系列のアドレス情報すなわち遅延時間設定データD
a2,Db2,Dc2は、図8に一例を示すように、変化
レートは共通であって、各系列で同じピッチチェンジ効
果を付与するものであるが、その変化の位相がそれぞれ
ずれている(例えば120度づつずれている)。これに
より、各ウェーブガイドネットワークWGN1〜WGN
3の系列では、上記の不連続点が順次ずれるようになっ
ている。そこで、クロスフェード波形発生部23によ
り、各系列の不連続点の近傍でゼロとなるような特性で
クロスフェード波形CFa,CFb,CFcを各系列毎
に発生し、これを各系列の出力側に設けられた乗算器M
A,MB,MCに乗算係数として入力するようにしてい
る。これらの乗算器MA,MB,MCの出力を加算器A
D1で合計することにより、不連続点でのノイズを排除
し、均一なピッチチェンジが施された信号を得ることが
できる。なお、不連続点でのノイズ排除の目的のみなら
ば、各ウェーブガイドネットワークWGN1〜WGN3
におけるその他の演算パラメータは全て共通に設定し
て、同じ音色制御効果が得られるようにしておいてよ
い。勿論、それに限らず、各ウェーブガイドネットワー
クWGN1〜WGN3におけるその他の演算パラメータ
を適宜異ならせてもよい。このウェーブガイドネットワ
ークは全体として閉鎖ループとなっており、従来のピッ
チチェンジャーと比べて発生したノイズの影響はやや長
く残る。そこでクロスフェード波形はノイズ発生の近傍
でゼロとなる区間がしばらく続くようにしてある。これ
に限らず、ゼロとなる区間が一瞬である三角波を等を用
いてもよい。この場合ややノイズを排除しきれないが、
本発明の目的を達するには十分である。これら以外に
も、クロスフェード波形を適宜の非直線的な形状に設定
してノイズを減少させてよい。 【0034】なお、上述では、各信号伝送手段PA2,
PA2,PC2における進行波信号と反射波信号のため
の信号遅延ラインの遅延時間設定データDa2,Db2,
Dcが共通であり、両方の遅延ラインでピッチチェンジ
のための信号遅延時間の時変動制御を共通に施してい
る。しかし、これら限らず、進行波信号遅延設定データ
と反射波信号遅延時間設定データの時変動特性(つまり
変化レート)を異ならせてもよいし、一方の遅延時間の
みを時変動させ、他方は時変動させないようにしてもよ
い。また、1つのウェーブガイドネットワークWGN1
における複数の信号伝送手段PA1,PA2,PA3の
それぞれの遅延時間をそれぞれ個別の変化レートで変化
させるようにしてもよい。このようにすることで、複雑
なゆらぎをもった特殊なピッチチェンジ効果を付与でき
る。 【0035】また、ウェーブガイドネットワークWGN
1〜WGN3の系列数は3に限定されず、複数であれば
よい。もし、ノイズの発生を気にしないか、あるいはピ
ッチチェンジを行なう期間が短くてよいならば、1系列
でもかまわない。ノイズの発生を防ぐには2系列以上が
望ましいが、系列が多すぎても音色が均一化してきて面
白味を失うので、5系列程度までが最も好適である。ま
た、各ウェーブガイドネットワークWGN1〜WGN3
における信号伝送手段PA1〜PA3,PB1〜PB
3,PC1〜PC3の数は3に限らず、いくつでもよい
のは勿論である。また、ジャンクションにおける接続形
態も単純な直列接続型に限らず、マルチブランチ型であ
ってもよい。 【0036】図示の各実施例は機能図として示されてい
るものであり、これらの機能図のようにハードウェア回
路を構成するようにしてもよいし、マイクロコンピュー
タによるソフトウェア処理によって構成することもでき
るのは勿論である。また、ウェーブガイドネットワーク
における信号遅延ラインの機能(すなわち信号伝送手段
の機能)はランダムアクセスメモリ(RAM)によって
も実現することができ、該ウェーブガイドネットワーク
における各種演算及び信号処理はディジタル信号プロッ
セッサ(DSP)によっても実行することができる。ラ
ンダムアクセスメモリを信号遅延処理のために使用する
場合は、既に知られているように、サンプルタイミング
毎に信号を順次遅延するためには、ランダムアクセスメ
モリに対する信号の書込みアドレスをサンプルタイミン
グ毎に順次ずらしていけばよく、所望時間の信号遅延を
実現するには、その遅延時間に相当するアドレス数だけ
書込みアドレスよりずれたアドレスを読出しアドレスと
して指定して信号の読み出しを行なえばよい。その場
合、書込みアドレスの順次シフトに対応して読出しアド
レスも順次ずらす。 【0037】ところで、ランダムアクセスメモリの読み
書きアドレスはプログラムの実行に従って指定されるの
で、読み書きアドレスを絶えずずらすように処理するこ
とはプログラムに負担を強いることになる。そこで、プ
ログラム処理では常に同じ書込みアドレスを固定的に指
定するようにし、かつ、読出しアドレスは遅延時間設定
データの整数値によって指示されるアドレス数だけ書込
みアドレスからずれたアドレスを指定するようにして、
読み書き処理プログラムの負担を軽減するようにすると
よい。その場合、ディジタル信号プロセッサ内におい
て、サンプルタイミング毎にアドレスカウント値を順次
ずらしていくカウント処理をハードウェア的に行ない、
プログラム処理において固定的に指定される書込みアド
レスと遅延時間設定データに応じて可変制御される読出
しアドレスをこのカウント値によってオフセットするこ
とにより、事実上、ランダムアクセスメモリの書込みア
ドレスと読出しアドレスがサンプルタイミング毎に順次
ずらされるようにすることができる。なお、この発明の
ピッチチェンジ効果付与装置は、外部から電気的音信号
を入力してそれに対してピッチチェンジ効果を付与する
単体のエフェクターとして構成してもよいし、あるい
は、電子楽器等に内蔵してもよいのは勿論である。 【0038】 【発明の効果】以上の通り、この発明によれば、信号伝
送手段と信号散乱用ジャンクションとにより構成された
ウェーブガイドネットワークに音信号を導入し、該信号
伝送手段における信号遅延時間を所望のピッチチェンジ
量に応じた変化レートで時間的に変化させるようにした
ので、該音信号のピッチを変化させることができると共
に、同時に該音信号に対して所望の音響的広がり感のあ
る音色的特徴を付与することができる。従って、ピッチ
チェンジ効果に付随して音響的広がり感のある音色制御
効果を付加することができ、従来得られなかった斬新な
ピッチチェンジ効果を得ることができるという優れた効
果を奏する。 【0039】 この発明によれば、遅延制御手段では、
遅延時間設定データを各系列のネットワーク毎に位相を
異ならせて出力すると共に、前記遅延時間設定データの
変化が不連続となる点の近傍において所定区間ゼロとな
るクロスフェード信号を各系列のネットワーク毎に出力
し、クロスフェード手段では、前記遅延制御手段から出
力されるクロスフェード信号に基づいて前記複数系列の
ネットワーク各々から出力される信号を混合出力するよ
うにしている。これにより、遅延時間設定データの変化
が不連続となることにより発生するおそれのあるノイズ
を除去若しくは減少させることができる。また、ウェー
ブガイドネットワークは全体として閉鎖ループとなって
いるので、もしノイズが発生した場合、該ノイズの影響
はやや長く残ることになるが、この発明では、クロスフ
ェード信号はノイズ発生の原因となる不連続点の近傍で
所定区間ゼロとなるようにしてあるので、ノイズの影響
を確実に除去又は減少させることができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】この発明に係るピッチチェンジ効果付与装置の
一実施例を示す機能的ブロック図。 【図2】図1のウェーブガイドネットワークにおける信
号伝送手段と信号散乱用ジャンクションの一例を示す機
能的ブロック図。 【図3】図2によってシミュレートされる音響管の物理
的モデルを示す断面図。 【図4】図1のウェーブガイドネットワークにおける出
力取り出し手段を具備した信号散乱用ジャンクションの
一例を示す機能的ブロック図。 【図5】ウェーブガイドネットワークの信号伝送手段に
おける遅延ラインの一例を示す機能的ブロック図。 【図6】図1における遅延制御部の一例を示すブロック
図。 【図7】図6において発生されるアドレス情報すなわち
遅延時間設定データの時間的変化の一例をピッチを高く
する場合と低くする場合について示すデータ波形図。 【図8】図6において発生される各系列毎のアドレス情
報すなわち遅延時間設定データの時間的変化の一例とそ
れぞれに対応するクロスフェード波形の一例について示
すデータ波形図。 【符号の説明】 WGN1〜WGN3…ウェーブガイドネットワーク、P
A1〜PA3,PB1〜PB3,PC1〜PC3…信号
伝送手段、JA1,JA2,JB1,JB2,JC1,
JC2…信号散乱用ジャンクション、10…遅延制御
部、11…パラメータ供給部、TSin…入力楽音信
号、TSout…出力楽音信号、PA1〜PC3…信号
伝送手段、JA1〜JC2…信号散乱用ジャンクショ
ン、DF1,DF2…進行波信号を伝送するための遅延
回路、DR1,DR2…反射波信号を伝送するための遅
延回路。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G10H 1/00 - 7/00 G10K 15/04 302

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 入力した信号に対して可変の遅延時間を
    施して出力する複数の信号伝送手段と、前記信号伝送手
    段のうち所定のもの同士を接続し、接続された該信号伝
    送手段から出力される信号に所定の演算処理を施し、そ
    の演算結果を該信号伝送手段に入力する1又は複数の信
    号散乱用ジャンクションとによって構成されるネットワ
    ークを複数系列具備し、更に、 前記ネットワークを構成する複数の信号伝送手段のうち
    少なくとも1つの前記信号伝送手段における前記遅延時
    間を所望のピッチチェンジ量に応じた変化レートで時間
    的に変化させる遅延時間設定データを各系列のネットワ
    ーク毎に位相を異ならせて出力すると共に、前記遅延時
    間設定データの変化が不連続となる点の近傍において所
    定区間ゼロとなるクロスフェード信号を各系列のネット
    ワーク毎に出力する遅延制御手段と 前記遅延制御手段から出力されるクロスフェード信号に
    基づいて前記複数系列のネットワーク各々から出力され
    る信号を混合出力するクロスフェード手段と を具えたピ
    ッチチェンジ効果付与装置。
JP08791892A 1992-03-10 1992-03-10 ピッチチェンジ効果付与装置 Expired - Fee Related JP3404763B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP08791892A JP3404763B2 (ja) 1992-03-10 1992-03-10 ピッチチェンジ効果付与装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP08791892A JP3404763B2 (ja) 1992-03-10 1992-03-10 ピッチチェンジ効果付与装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05257468A JPH05257468A (ja) 1993-10-08
JP3404763B2 true JP3404763B2 (ja) 2003-05-12

Family

ID=13928306

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP08791892A Expired - Fee Related JP3404763B2 (ja) 1992-03-10 1992-03-10 ピッチチェンジ効果付与装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3404763B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH05257468A (ja) 1993-10-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0583043B1 (en) Tone generation system
US4984276A (en) Digital signal processing using waveguide networks
US5448010A (en) Digital signal processing using closed waveguide networks
JPH0769701B2 (ja) 楽音波形信号形成装置
US5502277A (en) Filter device and electronic musical instrument using the filter device
US5825899A (en) Audio data processing apparatus
JPH0778679B2 (ja) 楽音波形信号形成装置
JP3097398B2 (ja) 残響効果付与装置
JP3404763B2 (ja) ピッチチェンジ効果付与装置
JP2508339B2 (ja) 楽音波形信号形成装置
JP3347338B2 (ja) 楽音合成装置
JPH0535277A (ja) 電子楽器
JP3084908B2 (ja) 残響効果付与装置
JP3084907B2 (ja) 残響効果付与装置
JP3225582B2 (ja) 効果付与装置
JP2905904B2 (ja) 電子楽器の信号処理装置
JP3085801B2 (ja) 変調信号発生装置
JP2674595B2 (ja) 楽音波形信号形成装置
JP3217739B2 (ja) デジタルフィルタ装置及びデジタルフィルタ方法
AU631697B2 (en) Digital signal processing using closed waveguide networks
CN113678194A (zh) 滤波器效果赋予装置、电子乐器以及电子乐器的控制方法
JPH07121183A (ja) 電子楽器の音源装置
JPH03177898A (ja) 電子楽器
Takala et al. An Integer System for Virtual Audio Reality
JPH03255499A (ja) 管体シミュレーション装置

Legal Events

Date Code Title Description
S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313532

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090307

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees