JP3403914B2 - 処理装置 - Google Patents

処理装置

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JP3403914B2
JP3403914B2 JP06356697A JP6356697A JP3403914B2 JP 3403914 B2 JP3403914 B2 JP 3403914B2 JP 06356697 A JP06356697 A JP 06356697A JP 6356697 A JP6356697 A JP 6356697A JP 3403914 B2 JP3403914 B2 JP 3403914B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は金属や有機溶剤等の
化学物質を含有した土壌より該化学物質を回収する処理
装置に関し、特に、土壌を分級して化学物質を濃縮した
分画を取得し、該分画より化学物質を回収する処理装置
に関する。 【0002】 【従来の技術】従来より、重金属類や有機溶剤等の化学
物質を含む土壌を処理する技術として、種々の方法が提
案されてきた。例えば、土壌を掘削して廃棄し、新たな
土壌と置換する方法、掘削した土壌に添加物を加えて重
金属の沈澱物を生成させたり、該添加物中に重金属を取
り込ませた後、該沈殿物あるいは添加物を土壌から回収
する方法、セメント、硫化ソーダあるいは硫酸鉄等の重
金属を不溶化する物質により重金属を土壌中に固定化す
る方法あるいは化学物質が拡散しないよう土壌中に遮水
シートを設ける方法である。また、土壌を湿式洗浄した
後、洗浄液に溶解した重金属等を沈澱・濾過して土壌よ
り回収する方法や、土壌中の重金属が正に帯電すること
に着目し、電気的エネルギーや磁力等を用いて、土壌よ
り重金属を回収する方法も提案されている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
提案には多くの問題が残されている。 【0004】すなわち、環境中より土壌を掘削して廃棄
する場合には、広範囲にわたって土壌を掘削しなければ
ならないため、処理の効率およびコストの面で大きな問
題があった。また、廃棄すべき土壌を残らず環境中より
掘削するのも容易ではなく、掘削した土壌を収容する容
器が必要であるため、廃棄場所を確保したり、廃棄場所
より化学物質が環境中へ漏出しないよう保管しなければ
ならず、長期にわたり廃棄場所を監視して環境への影響
を確認するのはコストの面で大きな問題があった。さら
に、土壌に添加剤を添加した場合には、環境に対する添
加剤の影響を考慮しなければならず、また、土壌中に重
金属等を固定化する技術は、未だ研究段階であり、土壌
中における重金属等の長期にわたる固定化を保証するデ
ータが少ないことから、酸性雨等の影響により土壌の酸
性度が変化して固定化した重金属等が地下水系へ溶出す
る危険性が否定できないという問題があった。さらに、
化学物質が拡散しないよう土壌中に配置する遮水シート
については、該遮水シートの耐久性について長期的な評
価が十分得られていないという問題があった。また、一
般に、土壌は負電荷に帯電しているため、正電荷を帯び
た重金属を容易に吸着してしまうことから、土壌を湿式
洗浄した後、洗浄液に溶解した重金属を沈澱・濾過する
方法では、重金属の除去が完全に行うのは困難であると
いう問題があった。さらに、電気的エネルギーや磁力を
使った方法は、土壌からの重金属等の回収に大きな成果
を挙げてきたが、土壌中において水銀は偏在が激しく、
また、水銀の性質上、イオン化することが困難であるこ
とから、電気的エネルギーや磁力による処理が期待でき
ないという問題があった。 【0005】本発明は上記従来例に鑑みてなされたもの
で、金属や有機溶剤等の化学物質を含有した土壌より、
該化学物質を確実に回収するとともに、経済性にも優れ
た処理装置を提供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明に係る処理装置
は、化学物質を含有した土壌を乾燥ガスにより土粒子の
沈降速度に基づいて分級し、前記化学物質を濃縮した分
画を取得する手段と、前記取得した分画より前記化学物
質を分離する手段と、前記分離した化学物質を回収する
手段とを具備したことを特徴としている。 【0007】 【0008】 【0009】本発明に係る処理装置においては、化学物
質を含有した土壌を土粒子の沈降速度に基づいて分級す
ることにより、化学物質を濃縮した分画を取得すること
ができ、該分画より化学物質の分離および回収を実行す
るので、化学物質を土壌より確実に回収することが可能
となる。また、化学物質を濃縮した分画を取得すること
により、処理する土壌の容積を減容することができるの
で、化学物質を経済的に回収することが可能となる。 【0010】一般に、土壌は多数の土粒子から構成され
るが、国際土壌学会法によれば、土粒子を粒子径にした
がって以下のように分類している。すなわち、礫(粒子
径が2.0 mm以上の粒子)、粗砂(粒子径が2.0 〜0.2 mm
の粒子)、細砂(粒子径が0.2 〜0.02mmの粒子)、シル
ト(粒子径が0.02〜0.002 mmの粒子)および粘土(粒子
径が0.002 以下の粒子)である。本発明者らは、土壌中
に含まれる化学物質の大部分が細粒径、具体的には、粒
子径が75μm以下の土粒子に吸着しやすい特性を持ち、
土壌中に含まれる化学物質の70〜80%は該粒子径の土粒
子とともに存在することに鑑みて本発明に至ったもので
ある。通常、土壌中の水の中では、溶質は解離してイオ
ンとなっており、土粒子は表面に正または負の荷電を持
っている。荷電量としては、負電荷が正電荷の約10倍ほ
ど多いので、土粒子は全体として負に帯電することにな
る。荷電の発生のメカニズムとしては、大きく2つが認
められており、1つは、モンモリロナイトに代表される
2:1型結晶性粘土鉱物で、珪酸四面体層のSi4+がAl3+
に置換されていたり、アルミナ八面体層のAl3+がMg2+
るいはFe2+に置換されたときに生じる永久荷電である。
また、他の1つは、結晶性、非結晶性を問わず、粘土鉱
物の端面に生じるSiやAlが水酸基と結合することにより
生じる変位荷電である。変位荷電はpHにより変化し、pH
が高いと負荷電量が増加し、正荷電量は減少する。ま
た、変位荷電はイオン濃度によっても変化し、イオン濃
度が高くなると正および負の電荷量はともに増加する。
したがって、土壌のpHおよびイオン濃度を制御すること
により、土粒子の表面に発生する正または負の荷電を調
整することもできる。 【0011】土壌中では、上記メカニズムによって生じ
る荷電と溶質の解離したイオンとの間に静電気的な力が
働いて、負電荷には陽イオン、正電荷には陰イオンが吸
着され、溶質が土粒子の表面に吸着される。なお、吸着
には、他種のイオンがくると離脱してしまう可逆的吸着
と、吸着が極めて強力で他種のイオンがきてもほとんど
離脱の起こらない不可逆的吸着とがある。土壌による陽
イオンの吸着量は、土粒子の内部表面のスターン層内の
イオン量と拡散二重層内のイオン量とを加えた量になる
が、拡散二重層の厚さは、イオン濃度が高いほど、価数
の高い陽イオンほど小さくなる傾向がある。なお、拡散
二重層における陰イオンについては、負の吸着あるいは
排除が行われることになる。静電気的な力で土粒子にイ
オンが吸着している場合、他種のイオンがくると吸着し
ていたイオンが離脱し、新しく現れたイオンが代わって
吸着するイオン交換が起こる。イオン交換は、イオン種
ごとに吸着力が異なるために生じるが、同じ価数のイオ
ンの間でも異なっている。例えば、一価のアルカリ陽イ
オンの吸着性は、以下の通りである。 【0012】Cs+ >Rb+ > K+ >Na+ >Li+ これは、イオン半径が大きいほど、イオンの周囲に引き
つける水分子の数が少なく、その分、粘土等の表面の負
電荷との間で静電気的な力が強く作用するからである。
また、1価のイオンと2価のイオンとの間では、2価の
イオンの方が吸着力が強い。 【0013】また、陰イオンの吸着性は、以下の通りで
ある。 【0014】SiO 4 4->PO3 3->SO4 2->Cl- >NO3 - イオン交換は、上記したイオン種の吸着性の大きさや、
イオン濃度、粘土鉱物の種類によっても変動するが、こ
れらの要素を制御すれば、土粒子の表面に吸着するイオ
ン種を交換することができる。 【0015】上述したように、粒子径が75μm以下の土
粒子に吸着しやすい特性を持ち、土壌中に含まれる化学
物質の70〜80%は該粒子径の土粒子とともに存在する理
由として、粒子径の小さな土粒子は吸着がおこる表面の
面積(表面積)が大きいことが挙げられる。例えば、1g
の土粒子が持つ表面積は、砂質土で数 m2 、粘質土では
100 m2 、ベントナイトでは 500 m2 、モンモリロナイ
トでは 810 m2 を示す。したがって、粒子径が75μm以
下の土粒子には、上記メカニズムによる吸着が強く作用
し、土壌の分級により化学物質を濃縮できると考えられ
る。また、土壌中の水銀は、微粒子の状態で存在するこ
とが多いため、土壌を分級することにより濃縮が可能で
あると考えられる。さらに、有機溶剤に関しては、粘質
土に吸着したり、有機物に溶解して粘質土に吸着した
り、あるいはフライアッシュにように土粒子に埋蔵され
たりといった形態が考えられるが、いずれにしても粒子
径が75μm以下の土粒子に濃縮される傾向が強いので、
土壌を分級することにより濃縮が可能である。 【0016】本発明において、化学物質を含有した土壌
を土粒子の大きさに基づいて分級し、前記化学物質を濃
縮した分画を取得する手段としては、分級に際し、土壌
の団粒構造を破壊して土粒子の単粒の大きさによる分級
を実行する目的から、土壌に超音波等による物理的な振
動を与えたり、土壌を直接粉砕した後に、フィルタ等を
通過させたり、あるいは、容器に導入して振動を与える
方法等を挙げることができる。フィルタを通過させた場
合には、フィルタの径にしたがって土壌は分級されるこ
ととなる。また、容器に導入して振動を与えた場合に
は、粒径の小さな土粒子ほど容器の上層に移動し、粒径
の大きな土粒子ほど容器の下層に移動することとなるの
で、適当な分画のみを取り出すことで土壌を分級するこ
とができる。上述したように、土壌中の化学物質の大部
分は、粒子径が75μm以下の土粒子とともに存在するの
で、例えば、化学物質を含む土壌を掘削後、粉砕してフ
ィルタを通過させることにより、A:75μm以下、B:
75〜 300μm、C:300μ以上、の粒子径により分級す
れば、Aの分画に化学物質が濃縮されることとなる。土
壌を粉砕する場合には、団粒構造の破壊が容易になるこ
とから、粉砕中の土壌が60℃程度になるように加熱して
土壌中の水分を蒸発させながら粉砕すると好ましい。ま
た、土壌を60℃程度に加熱することにより、土壌に含ま
れた有機溶剤等が気化することも予想されるので、発生
した蒸気をフィルター等に導入して浄化処理した後、大
気に放出することが望ましい。この場合、土壌の分級と
ともに沸点の低い有機溶剤等を土壌より分離、回収する
ことが可能となる。なお、分級した土壌の各分画、例え
ば、上記A〜Cの分画について、各々、化学物質の含有
量を分析し、分画Aにほとんどの化学物質が含まれてい
ることを確認した後、該化学物質の分析値が環境基準値
以下である分画は掘削前の場所に埋め戻される。上述し
たように、環境基準値以上の化学物質に汚染されている
のは、分画Aであることがほとんどである。 【0017】また、本発明において、化学物質を含有し
た土壌を土粒子の沈降速度に基づいて分級し、前記化学
物質を濃縮した分画を取得する手段としては、流体中で
強制的に土壌を流動化し、土粒子の沈降速度、換言すれ
ば、土粒子の流体中に浮遊する時間の差を用いて土壌を
分級する手段を挙げることができる。なお、流体中で強
制的に土壌を流動化した際、団粒構造はほぼ破壊されて
土粒子の単粒を得ることができる。ここで、粘性流体中
における粒子の沈降速度は以下の式により算出すること
ができる。 【0018】v=2(ρ−ρ0 )gr2 /9η (ここで、 v:沈降速度、ρ:土粒子の密度、ρ0 :媒
質の密度、 g:重力加速度、 r:土粒子を球とした場合
の半径、η:媒質の粘性率である) すなわち、流体中で強制的に土壌を流動化したのち、静
止した流体中で土壌を放置すれば、上記式に示したよう
に、土粒子は各々の沈降速度によって流体中を沈降する
ので、必要な分画、例えば、粒子径が75μm以下の土粒
子を分画することができる。また、流体の流れを適宜設
定することにより、例えば、75μm程度以下の粒子径の
土粒子は流体中を漂うが、粒子径が75μm程度を越える
土粒子は沈降流体中を沈降するようにでき、沈降した土
粒子を流体中より排除することにより、土壌を分画する
ことができる。例えば、A:75μm以下、B:75〜 300
μm、C: 300μ以上、の粒子径により分級して分画を
得れば、Aの分画に土粒子とともに化学物質が濃縮され
ることとなる。流体としては、各種の液体および気体を
適用することが可能であり、団粒構造の破壊が容易にな
ることから、例えば、乾燥空気等の乾燥ガスを挙げるこ
とができる。一般に、砂等の土粒子は、含水率がおよそ
20%から30%程度であり、また、透水係数が大きいこと
から、長時間にわたり重金属等の化学物質が土粒子の表
面あるいは土粒子間の隙間に滞留している割合は低い。
これに対し、粒子径の小さなシルトや粘土等の土粒子
は、砂礫と比較すると透水係数も小さく、地層中では長
時間にわたり水が滞留するようになる。特に、粘土の含
水率は80%以上に達することもあるため、土壌より水分
を除去すれば、土粒子間の粘着力を弱めることになる。
また、水銀等のように、土壌中で微粒子の形態で存在す
る化学物質は、土壌を乾燥ガスと接触させ、団粒構造を
とっているシルトや粘土等の結着性を弱めることによっ
て、土粒子から容易に分離可能となる。さらに、水銀を
除く他の金属は、イオン化して土壌中に存在しているこ
とが多いが、水銀等のように常温で液体であり、表面張
力が大きな化学物質は土壌中でも微粒子を形成しやす
い。その上、水銀を含む化合物は硫化物などを除いてき
わめて溶解度積が小さく、他のイオンと結合するのも困
難である。そこで、乾燥ガスを用いて、シルトや粘土等
の土粒子の結合力を弱めることにより、土粒子および団
粒構造中に散在している水銀等の微粒子を土壌から取り
出し易くする。なお、乾燥空気が60℃程度になるように
加熱して土壌中の水分を蒸発させながら分級してもよ
い。乾燥空気を加熱することにより、土壌より水分を除
去する効率が高まるが、一方で、土壌に含まれた有機溶
剤等が気化することも予想されるので、この場合には、
上述したように、発生した蒸気をフィルター等に導入し
て浄化処理した後、大気に放出することが望ましく、土
壌の分級とともに沸点の低い有機溶剤等を土壌より分
離、回収することが可能となる。さらに、化学物質の分
析値が環境基準値以下である分画は掘削前の場所に埋め
戻すことが可能である。 【0019】本発明において、取得した分画より化学物
質を分離する手段としては、分画の周囲の温度および圧
力を制御することにより、分離対象となる化学物質の特
性に基づいて、取得した分画より化学物質を分離する手
段を挙げることができる。例えば、取得した分画の周囲
の圧力を減圧するとともに、温度を上昇させることによ
り、特定の化学物質を分離することができる。 【0020】一般に、蒸気圧と温度との関係は、クラペ
イロン−クラウジウスの簡易式により示すことができ
る。 【0021】ln(P/Pa)= A−(B/( T/K))−ClnT (ここで、 P:圧力(Pa)、 A、 B、 C:物質に依存す
る定数、 T:温度( K)) 例えば、取得した分画から
の分離対象が水銀の場合には、 A=29.19 、 B=7710、
C=0.84であるので、これを上記式に代入すると、圧力
が1torrにおける水銀の気化温度は400k、圧力が10-3to
rrにおける水銀の気化温度は293kとなる。なお、水銀の
沸点は 629.58kであるので、大気圧下、温度を 629.58k
まで上昇させれば水銀を気化させることが可能である
が、大気圧の下で温度を水銀の沸点まで上昇させるよ
り、圧力を低下させて処理温度を低下するほうがコスト
が安くなり操作も容易となる。すなわち、分画の周囲の
圧力を下げることにより、化学物質は大気圧下における
沸点よりも低温で気化するので、有機溶剤や重金属等の
化学物質、特に、水銀等の常温で液体である化学物質は
極めて高効率に気化することが可能となり、温度制御も
容易となる。具体的には、真空に近い密閉容器内で分画
を加熱することにより蒸気圧の高い金属を選択的に気化
させ、後述するように、再び冷却して析出する金属を回
収するものであり、真空中では金属の沸点が下がるた
め、常圧での沸点よりはるかに低い温度で高純度の金
属、例えば、Zn、Pb、Cd、Sb、Se、Te、Sr等の金属がそ
れぞれ回収でき、複数の金属の分離・回収は、密閉容器
内の圧力と温度を変えることで蒸発させる金属を変え、
かつ各蒸発金属ごとに冷却回収容器を準備することで、
容易に実施することができる。なお、分離対象が水銀の
場合、最適な処理条件は、分画の周囲の温度を 320〜37
5k、圧力を10-1〜10-2torrに調節するとよい。 【0022】さらに、取得した分画より化学物質を分離
する手段として、取得した分画に対し外部から超音波や
高周波により振動エネルギーを与えることにより、土粒
子間の結合をさらに弱めたり、土粒子の表面に付着ある
いは吸着している金属等の化学物質を剥離する手段を挙
げることができる。特に、水銀等の金属は、取得した分
画中の土粒子よりも比重が大きいため、該分画より容易
に分離することができる。また、分画中の土粒子に吸着
している他の金属化合物等については、周囲の雰囲気に
水蒸気等を混入させる等してイオン化し、水蒸気の内部
にトラップすることにより、分画中の土粒子より分離す
ることができる。さらに、該分画に対して化学的な処理
を実施する手段を挙げることができる。例えば、取得し
た分画にキレート剤を添加して金属をトラップしたり、
溶媒による抽出により有機溶剤等を分離することができ
る。さらに、分画より水銀を分離する場合には、水銀を
500℃以下で加熱して酸化水銀に変化させた後、ヨウ化
カリウム水溶液を添加して酸化水銀をヨウ化水銀カリウ
ムに変化させ、ヨウ化水銀イオンとして分離することが
できる。以下に、反応式を示す。 【0023】Hg+1/2O2 →HgO HgO + 4KI+ H2 O → K 2HgI 4 +2KOH K 2HgI 4 →2K+ + HgI4 2- なお、水銀は、ヨウ化水銀イオンの形態とすることで、
後述するように、電気的な処理が可能となる。ここで、
分画より水銀を分離する場合について、以下に詳述す
る。 【0024】分画した土壌の加熱は、分画内に存在する
粒子状の水銀を酸化させ、酸化水銀に変化させることを
目的として実施されるが、土壌を加熱するにあたり、揮
発性の高い水銀が揮発して大気中に拡散することのない
よう留意することが必要である。したがって、取得した
分画を加熱するにあたり、加熱温度は、水銀の揮発およ
び拡散が抑制され、かつ酸化水銀の生成が十分に速い範
囲であることが好ましく、 100℃から 500℃の温度範囲
であることが好ましい。また、 300℃から 400℃の温度
範囲とすればさらに好ましい。この理由は、前記温度を
下回る場合には、水銀の酸化速度が非常に遅くなるため
に処理に時間がかかり、一方、前記温度を上回る場合に
は、一度生成した酸化水銀が再度水銀と酸素とに分解す
ることにより水銀の揮発速度が急激に高まるので、大気
中への拡散の危険性が飛躍的に大きくなるからである。
分画を加熱するにあたり、加熱方法は特に限定されない
が、公知の各種加熱装置を用いることが可能である。例
えば、棒状あるいは板状の電熱ヒータ等を分画の内部に
埋設して加熱してもよいし、ロータリーキルン等により
分画の撹拌も同時に行えばさらに好ましい。なお、加熱
に際しては、揮発した水銀が大気中へ拡散しないよう、
処理する分画を密閉シートで覆うことが好ましい。次
に、加熱後の分画を 100℃以下に冷却した後、ヨウ化カ
リウム水溶液を添加することにより、上記化学式に示し
たように、生成した酸化水銀がヨウ化水銀カリウムとな
ってイオン化する。ヨウ化カリウムは、上記化学式から
も明らかなように、分画中における水銀の総量に対して
化学量論的に最低4倍のモル数が必要である。また、実
際に分画を処理する場合には、さらに、化学量論的に要
求されるモル数の数倍以上のモル数となるヨウ化カリウ
ムを含む水溶液を添加することが好ましい。なお、上記
した反応式に基づいて水銀を分離する場合には、分級し
た分画を用いれば処理に要する土壌の容積を減容するこ
とができるので好ましいが、オンサイトで実行すること
もでき、オンサイトで上記した反応式に基づき水銀を分
離する場合には、揮発した水銀が大気中へ拡散しないよ
う、処理する分画を密閉シートで覆うことが好ましい。
また、ヨウ化カリウム水溶液を添加する場合には、水銀
化合物が環境中に拡散しないよう、事前に遮水壁を難透
水層まで設けておくことが好ましい。 【0025】さらに、本発明において、分離した化学物
質を回収する手段としては、例えば、取得した分画の周
囲の圧力を減圧するとともに、温度を上昇させて特定の
化学物質を分離した場合には、金属を含む蒸気を冷却し
て該金属を回収したり、化学物質を含む蒸気を活性炭等
の吸着物質でトラップしたり、さらに、化学物質を含む
蒸気をキレート樹脂を母体とするマトリクスと接触さ
せ、該マトリクスの中で化学物質を選択的に吸着させる
ことができる。また、分画に対し外部から超音波や高周
波により振動エネルギーを与えることにより、土粒子の
表面に付着あるいは吸着している金属等の化学物質を分
離した場合にも、活性炭やキレート剤に化学物質を吸着
させる方法をとることができ、水蒸気にトラップしてイ
オン化した金属等を含む場合には、活性炭やキレート剤
にトラップした化学物質を吸着することができる。さら
に、回収する対象が水銀であり、上述したように化学的
に水銀をイオン化した場合には、電気的な処理により水
銀を回収することができる。すなわち、イオン化した水
銀を含む分画あるいは土壌中に電界を生成し、該電界に
したがってイオン化した水銀を濃縮して回収することが
できる。具体的には、例えば、分画中あるいは土壌中に
直流電源と電気回路を介して接続した陽極および陰極を
設置して直流電流を流し、電気的エネルギーにより負電
荷のヨウ化水銀イオンを陽極周辺に濃縮する。濃縮した
水銀を回収除去する方法はとくに限定はされず、公知の
方法を適宜用いることができる。また、分画中あるいは
土壌中の水銀は陽極の近傍に濃縮されており、単純に土
壌を掘削して除去することも容易である。なお、Nernst
の式から明らかなように、ヨウ化水銀イオンに限らず、
他の金属イオンおよび金属を含有するイオンの移動は、
分画あるいは土壌のpHに大きく依存するので、電極周
辺、例えば、ヨウ化水銀イオンの移動の場合には、特に
陽極に水を供給して分画あるいは土壌のpHを最適化する
ことにより、陽極あるいは陽極のごく近傍に水銀を集め
て回収することができる。換言すれば、分画あるいは土
壌のpHを調整することで、電極の近傍に集めて回収する
金属種を調整することも可能である。上記した反応式に
より生成したヨウ化水銀イオンを電気的に回収した場合
には、分画あるいは土壌のpHは水酸化カリウムによりア
ルカリ性となる。濃度の希薄な水酸化カリウムは、ほと
んど土壌あるいは環境に負荷を与えないが、必要に応じ
て水洗浄、あるいは場合によっては炭酸ガス、希硫酸、
希塩酸等の酸性物質を添加することにより、アルカリ性
に傾いた土壌を中和してもよい。特に、オンサイトにお
ける中和には、環境に対して負荷を与えることのないよ
う注意する必要がある。 【0026】なお、本願第1および第2の発明におい
て、化学物質とは、土壌中に含まれる水銀、金および白
金等の金属、銅、カドミウム、クロム、アルミニウム、
亜鉛、鉛、鉄、ニッケル、砒素、錫およびウラン等を具
備した金属化合物およびトリクロロエチレン( TCE)等
の有機溶剤等の物質の総称であり、その存在形態は何等
制限されるものではない。 【0027】 【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明につい
て詳細に説明する。なお、各図面において同一の構成に
は同一の符号を付し、図面ごとの説明は省略することと
する。 【0028】図1は、本発明による処理装置の構成を模
式的に示した図である。 【0029】図1において、分級装置1は、粉砕部2お
よび分級部3を有しており、粉砕部2は、直径 1m、深
さ 0.8mで、自動的に開閉可能な底部を備えたスタンプ
ミルである。粉砕部2は、周囲に配置された電熱線4、
内部に配置された水分測定センサ5および電熱線4と水
分測定センサ5とを制御する制御装置6により内部の温
度を約60℃に保つとともに、粉砕部2内の土壌の水分が
0〜 5%になるまで処理を実行するように制御されてい
る。粉砕部2に投入された土壌が乾燥および粉砕される
と、粉砕部2の底部が自動的に開口して土壌は分級部3
へ移動する。分級部3には、 300μm以上、 300〜75μ
mおよび75μm以下の3種類の粒子径により土壌を分級
し、3つの分画を取得することができるように2種類の
篩7aおよび7bが配置されている。分級部3に投入さ
れた土壌は、一定の振動を受けながら2つの篩を通過す
ることにより、粒子径が 300μm以上の土粒子を主成分
とする分画Aを備えた分級槽8c、粒子径が 300〜75μ
mの土粒子を主成分とする分画Bを備えた分級槽8b、
粒子径が75μm以下の土粒子を主成分とする分画Cを備
えた分級槽8aに分級される。通常は、分級槽8a〜8
cから各々サンプリングを行い、予め設定した化学物質
について含有量を調査する。設定した化学物質のすべて
について環境基準値を下回った分画は、これ以上の処理
を要しないので、掘削した場所に埋め戻したり埋め立て
に用いたりすることが可能である。上述したように、土
壌中の化学物質、例えば、水銀等の各種の金属、金属化
合物および有機溶剤等は、粒子径が75μm以下の土粒子
を主成分とする分画に濃縮される傾向があるので、通常
は、粒子径が75μm以下の土粒子を主成分とする分画8
Cを処理すれば、土壌中の大部分の化学物質を分離・回
収することが可能となる。 上述した調査により処理が
必要と判断された分画、例えば、粒子径が75μm以下の
土粒子を主成分とする分画Cは、続いて容器9の内部で
回転可能なロータリー部10に投入される。容器9は、
内部の圧力を減圧した状態に保持可能であり、容器9に
は、該容器9の内部を減圧するとともに化学物質の蒸気
を排気する排気装置11、容器9内の温度およびロータ
リー部10の回転を制御するための調整部12が設置さ
れている。そして、容器9の内部の温度は 300〜 1000
k、圧力は 760〜10-6torrの範囲で調節可能である。し
たがって、例えば、容器9の内部の温度を、大気圧下、
629.58kにまで上昇させることにより、水銀を気化させ
ることが可能だが、容器9内の温度を水銀の沸点まで上
昇させるより、容器9の内部の圧力を減圧して水銀の沸
点を低下させれば経済的であり操作も容易である。な
お、ロータリー部10の回転数は、10〜30 rpmの範囲で
調節可能であり、容器9で処理する土粒子の量および処
理速度に基づいて適宜調節可能となっている。また、排
気装置11は、容器9内の圧力に影響を与えず、発生し
た蒸気を容器9から冷却器13を介して清浄機14に排
気可能なように制御されている。排気装置11により排
気された化学物質の蒸気は、10℃前後に調節された冷却
器13により冷却されて液化した後、清浄機14に導入
される。そして、蒸気に含まれていた化学物質は、活性
炭15a〜15cにより回収される。ここで、活性炭1
5a〜15cは、各々、有機溶剤用、重金属用および水
銀用の3種類に分かれて設置されているため、それぞれ
異なる化学物質を回収することが可能である。なお、複
数の金属の分離および回収を実施する場合には、容器9
内の圧力と温度を変えることで蒸発させる金属を変え、
かつ各金属ごとに冷却器13および清浄機14を準備し
て蒸気を導入すれば、複数の金属の分離および回収を容
易に実施することができる。以上のように、図1に示し
た処理装置によれば、土壌より金属、金属化合物あるい
は有機溶剤等の化学物質を効率よく、安全に回収するこ
とが可能である。また、クラペイロン−クラウジウスの
簡易式に基づき、回収する対象となる化学物質に最適な
条件を設定することにより、化学物質の種類によらず、
該化学物質を土壌より効率よく回収することができる。
さらに、処理を要する土壌の容積を減容するとともに処
理温度を低く維持できるので、土壌より金属、金属化合
物あるいは有機溶剤等の化学物質を経済的に回収するこ
とが可能となる。 【0030】また、図2は、本発明による他の処理装置
の構成を模式的に示した図である。図2において、投入
口17に投入された土壌は、送風機18から送られた約
100℃の乾燥空気が流れる傾斜管19に吸引されると分
離層20内に拡散するように導入される。分離層20内
において、傾斜管19より導入された土壌は、ほぼ土粒
子にまで解離されるとともに、該土粒子の密度および粒
子径により分離層20内を上昇する高さに分布が生じ
る。すなわち、乾燥空気とともに分離層20内に送られ
てきた土壌は、傾斜を有する傾斜管19内を上昇するた
め、傾斜管19の出口から分離槽20の空間に拡散する
と同時に、ほぼ放物線を描きながら運動を始める。この
とき、砂礫や粒子径の大きい砂等は、頂点に達した後に
自由落下に近いスピードで運動を続けるが、粒子径の小
さなシルトや粘土等は、乾燥空気の流れを制御すること
により分離槽20の空間内を漂うようになる。したがっ
て、分離槽20の下層部には、砂礫や粒子径の大きい砂
等の粒子径の大きな粒子を回収する廃棄ダクト21を設
け、一方、分離槽20の上層部には、粒子径の小さなシ
ルトや粘土等の土粒子を吸引できる吸引ダクト22およ
び吸引ダクト23を設けて粒子径の小さな土粒子を分離
する。砂礫や粒子径の大きい砂等の粒子径はほぼ 300μ
m以上あるので、掘削した領域に再び戻したり、埋め立
てに用いたりすことができる。なお、廃棄ダクト21と
ともに配置されたコンベア24により、砂礫や粒子径の
大きい砂等は分離槽20より確実に外部に排出される。
吸引ダクト22および吸引ダクト23より振動槽25に
供給された土粒子は、振動装置26より発生し周波数が
25000 Hzの超音波の振動によって振動エネルギーを与え
られ、振動槽25から沈降槽27に向かう間に、僅かに
残存する土粒子間の結合を弱めたり、土粒子の表面に付
着している金属等の化学物質を剥離する。特に、水銀
は、表面張力が大きく土壌中でも粒子径の細かい微小な
粒子を形成する傾向が強いので、水銀の粒子を土粒子の
内部から排出する目的で振動エネルギーを与えると大き
な効果がある。振動槽25を通過した粒子の中で、水銀
等の金属は、土粒子よりも比重が大きいため、流体中を
通過させると沈降も早い。そこで、沈降槽27の前段
に、イノミジ酢酸型のキレート樹脂を母体とした吸着体
28を配置することにより、選択的に水銀を吸着させて
回収することができる。なお、イオン化して土粒子中に
存在する金属あるいは金属錯体等については、振動槽2
5に水蒸気等を導入することにより水蒸気中にトラップ
し、また、有機溶剤等については、振動槽25に無極性
溶媒等を導入することにより無極性溶媒中にトラップ
し、等沈降槽27に活性炭等を配置して吸着させること
により分離・回収を実行することができる。そして、化
学物質の回収された土粒子は、脱水等の処理の後、掘削
した地点や埋め立て場所等に移動することができる。以
上のように、図2に示した処理装置によれば、土壌より
金属、金属化合物あるいは有機溶剤等の化学物質を効率
よく、安全に回収することが可能である。また、流体の
種類、流れの方向および流れの速度等を、回収する対象
となる化学物質に最適な条件となるように設定すること
により、化学物質の種類によらず、該化学物質を土壌よ
り効率よく回収することができる。さらに、処理を要す
る土壌の容積を減容するとともに処理温度を低く維持で
きるので、土壌より金属、金属化合物あるいは有機溶剤
等の化学物質を経済的に回収することが可能となる。ま
た、土壌を掘削した場合には、掘削した土壌を元の地点
に埋め戻すことも容易となる。 【0031】また、図3は、本発明による他の処理装置
の構成を模式的に示した図である。図3に示した処理装
置は、図2に示した処理装置で用いた振動装置26の代
わりに、不図示の外部電源と接続された遠隔制御装置2
9および遠隔制御装置29と接続された高周波発生器3
0が設けられた点が異なっている。 【0032】図3に示した処理装置においては、吸引ダ
クト22および吸引ダクト23より振動槽25に供給さ
れた土粒子は、高周波発生器30より交流200V電源を用
いて発生し周波数が30000 Hzの高周波の振動によって振
動エネルギーを与えられ、振動槽25から沈降槽27に
向かう間に、僅かに残存する土粒子間の結合を弱めた
り、土粒子の表面に付着している金属等の化学物質を剥
離する。そして、沈降槽27の前段に、イノミジ酢酸型
のキレート樹脂を母体とした吸着体28を配置すること
により、例えば、水銀を選択的に吸着させて回収するこ
とができる。なお、イオン化して土粒子中に存在する金
属あるいは金属錯体等については、上述したように、振
動槽25に水蒸気等を導入することにより水蒸気中にト
ラップし、また、有機溶剤等については、振動槽25に
無極性溶媒等を導入することにより無極性溶媒中にトラ
ップし、沈降槽27に活性炭等を配置して吸着させるこ
とにより分離・回収を実行することができる。そして、
化学物質の回収された土粒子は、脱水等の処理の後、掘
削した地点や埋め立て場所等に移動することができる。
以上のように、図3に示した処理装置によれば、土壌よ
り金属、金属化合物あるいは有機溶剤等の化学物質を効
率よく、安全に回収することが可能である。また、流体
の種類、流れの方向および流れの速度等を、回収する対
象となる化学物質に最適な条件となるように設定するこ
とにより、化学物質の種類によらず、該化学物質を土壌
より効率よく回収することができる。さらに、処理を要
する土壌の容積を減容するとともに処理温度を低く維持
できるので、土壌より金属、金属化合物あるいは有機溶
剤等の化学物質を経済的に回収することが可能となる。
また、土壌を掘削した場合には、掘削した土壌を元の地
点に埋め戻すことも容易となる。 【0033】さらに、図4は、本発明による他の処理装
置の構成を模式的に示した図である。 図4において、
投入口31より分離槽32に投入された土壌は、フィル
タ33により保持されるとともに、送風機34から送ら
れた約 100℃の乾燥空気により分離槽32内を下部から
上部に向かって流動する。分離槽32内の下部から上部
に向かって上昇した土壌は、乾燥空気により分離槽32
内を拡散してほぼ土粒子にまで解離され、該土粒子の密
度および粒子径により分離槽32内の位置に分布を生じ
る。すなわち、砂礫や粒子径の大きな砂等は分離槽32
の下部に成層し、シルトや粘土等の微粒子は乾燥空気に
より分離槽32の上部に移行して漂うことになる。すな
わち、土壌は、分離槽32内で、例えば、粒子径が 300
μm以上の土粒子を主成分とする分画35c、粒子径が
300〜75μmの土粒子を主成分とする分画35b、粒子
径が75μm以下の分画35aに分級される。なお、送風
機34から送られる乾燥空気の流量は、調節弁36によ
り制御可能となっている。そして、分離槽32の上部に
移行した分画35aより、粒子径の小さなシルトや粘土
等の土粒子は排出管37を経て振動槽38に流入する。
また、分画35bや分画35cにおける砂礫や粒子径の
大きい砂等の粒子径はほぼ 300μm以上あるので、掘削
した領域に再び戻したり、埋め立てに用いたりすことが
できる。排出管37を経て振動槽38に供給された土粒
子は、振動装置26より発生し周波数が25000 Hzの超音
波の振動によって振動エネルギーを与えられ、振動槽2
5内で僅かに残存する土粒子間の結合を弱めたり、土粒
子の表面に付着している金属等の化学物質を剥離した
後、排出管39より沈降槽40に導入される。一方、粒
子径の大きな土粒子を含む空気は、回収管41を通じて
分離槽32に還流される。ところで、水銀は、表面張力
が大きく土壌中でも粒子径の細かい微小な粒子を形成す
る傾向が強いので、水銀の粒子を土粒子の内部から排出
する目的で振動エネルギーを与えると大きな効果があ
る。そして、沈降槽40の前段に配置したイノミジ酢酸
型のキレート樹脂を母体とした吸着体28により、例え
ば、水銀を選択的に吸着させて回収することができる。
化学物質が除去された土壌は、回収弁42の開閉により
回収槽43に回収される。なお、イオン化して土粒子中
に存在する金属あるいは金属錯体等については、導入管
44を通じて振動槽38に水蒸気等を導入することによ
り水蒸気中にトラップし、また、有機溶剤等について
は、振動槽38に無極性溶媒等を導入することにより無
極性溶媒中にトラップし、沈降槽40に活性炭等を配置
して吸着させることにより分離・回収を実行することが
できる。そして、化学物質の回収された土粒子は、脱水
等の処理の後、掘削した地点や埋め立て場所等に移動す
ることができる。以上のように、図4に示した処理装置
によれば、土壌より金属、金属化合物あるいは有機溶剤
等の化学物質を効率よく、安全に回収することが可能で
ある。また、流体の種類、流れの方向および流れの速度
等を、回収する対象となる化学物質に最適な条件となる
ように設定することにより、化学物質の種類によらず、
該化学物質を土壌より効率よく回収することができる。
さらに、処理を要する土壌の容積を減容するとともに処
理温度を低く維持できるので、土壌より金属、金属化合
物あるいは有機溶剤等の化学物質を経済的に回収するこ
とが可能となる。また、土壌を掘削した場合には、掘削
した土壌を元の地点に埋め戻すことも容易となる。 【0034】また、図5は、本発明による他の処理装置
の構成を模式的に示した図である。図5(a)におい
て、分級装置1は、図1に示したものと同一であり、分
級装置1により分級した分画について調査した後、処理
が必要と判断された分画、例えば、粒子径が75μm以下
の土粒子からなる分画は処理槽45に導入され、電源4
6に接続されたシーズヒータ47aおよび47bにより
100〜 500℃まで加熱する。続いて、加熱処理により、
酸化水銀( HgO)を生成した分画には、ヨウ化カリウム
を含む水溶液が添加されるとともに、図5(b)に示し
たように、直流電源48と接続された陽極49および陰
極50により電流が流される。分画中に生成したヨウ化
水銀イオンは、電流にしたがって陽極49およびその近
傍に濃縮されて回収されることとなる。なお、分画の加
熱は、シーズヒータ47aおよび47bにより実施する
ことができ、分画全体を均一に加熱することが可能であ
ることから、例えば、ロータリーキルンを用いて加熱す
ることができる。また、図5(b)において、陽極49
および陰極50の周囲に給水することにより、分画8a
のpHを一定に保持してヨウ化水銀イオンの移動効率を高
めることができる。以上のように、図5に示した処理装
置によれば、土壌より水銀、金および白金等の金属から
なる化学物質を効率よく、安全に回収することが可能で
ある。さらに、処理を要する土壌の容積を減容するとと
もに処理温度を低く維持できるので、土壌より水銀、金
および白金等の金属からなる化学物質を経済的に回収す
ることが可能となる。 【0035】 【実施例】 (実施例1)ある地域の5つのポイント(ポイントA〜
ポイントE)において、各々土壌を500gサンプリング
し、図1に示した処理装置に設けられた分級装置1によ
り土壌を分級した。すなわち、分級装置1に各ポイント
の土壌を投入し、粉砕部2のスタンプミルを作動しなが
ら電熱線4の電源を入れた。水分測定センサーによる
と、初期の水分量は28%であったが、15分後には水分測
定センサーの表示が 3.5%になった。そこで、土壌の粉
砕および乾燥を確認し、粉砕部2の底部を開口して分級
部3に導入した。次いで、分級部3に設置した2種類の
篩7aおよび7bにより、以下の3つの分画に分級し
た。なお、分級部3には、振動発生機により振動が付与
され、効果的な土壌の分級が実行された。そして、 分画A:土粒子の粒子径が 300μm以上、 分画B:土粒子の粒子径が 300〜75μm、 分画C:土粒子の粒子径が75μm以下、 の3つの分画を取得した後、分画A〜Cの各々について
測定を行ったところ、以下に示す結果を得ることができ
た。 【0036】 【表1】 【表2】【表3】 【表4】 【表5】 表1〜表5より明らかなように、化学物質の60〜90%
は、土粒子の粒子径が75μm以下の分画Cに存在してい
た。なお、水銀に関しては、分画Cにおいて超微粒子と
なって混在している可能性も大きい。また、各分画ごと
に、各々の環境基準値(平成3年8月23日環境庁告示
第46号、乾土 1kgにつき、Hg:3mg以下、Pb:600mg以
下、Cd:9mg以下、 As:50mg以下である。また、検液1Lに
つき、TCE:0.03mg以下、 cis-1,2- ジクロロエチレン:
0.04mg以下である。なお、検液1Lの作製には、土壌が 5
0g必要である)と各化学物質の測定値とを比較したとこ
ろ、環境基準値を超える化学物質を含んだ分画は、 ポイントA:分画B、分画C ポイントB:分画C ポイントC:分画C ポイントD:分画C ポイントE:分画C であった。 【0037】そこで、上記以外の分画については以降の
処理は行わず、上記分画のみを用いて、図1に示した処
理装置により後処理を行った。すなわち、本実施例にお
いてサンプリングされた地域においては、土壌中におけ
る分画A、分画Bおよび分画Cの存在比は6:3:1で
あったので、後処理に要した処理量は、500(g/サン
プル)× 5(サンプル)=2500gから、 500(g/サン
プル)×3/10+( 500(g/サンプル)×1/10)× 5=
400gとなった。したがって、後処理に要する土壌の処
理量を80%減少することができた。 【0038】ここで、後処理の条件を、水銀を例として
説明する。 【0039】はじめに、容器9内の圧力を 5×10-2torr
に減圧し、容器9内の温度を370kに設定した。また、容
器9内のロータリー部10の回転数は30 rpmとした。次
いで、容器9内で発生した水銀蒸気は排気装置11によ
り排気され、10℃前後に調節された冷却器13により冷
却されて液化した後、清浄機14に導入し水銀を活性炭
15cにより吸着・回収した。なお、排気装置11には
ガス流量計を設置して水銀蒸気の流量を随時観測した。
ガス流量計の観測の結果、上記分画を容器9内に投入
後、90分間経過した後には流量は0L/minとみなせたので
水銀の気化処理を終了した。流量計の積算流量は5200 L
となった。容器9内の圧力は 5×10-2torr、内部温度37
0K、上記分画中の水銀2412mg( 1.2×10-2 mol)である
ので、発生する水銀蒸気は5500 Lとなる。したがって、
上記分画中の水銀95%を回収することができた。 【0040】また、活性炭を交換し、 容器9内の温度: 800および550k 容器9内の圧力:10-5および10-4torr の条件で鉛およびカドミウムの各々について回収を行っ
た。さらに、トリクロロエチレンおよびシス -1,2-ジク
ロロエチレンについては特に条件を設定せず、上記条件
の中で処理を行った。その結果、上記分画中より、鉛、
カドミウム、トリクロロエチレンおよびシス -1,2-ジク
ロロエチレンについて、各々、94%、95%、99%および
99%を回収することができた。 【0041】(実施例2)水銀汚染が確認されたある地
域の土壌より重金属および有機溶剤の回収を行った。は
じめに、土壌中の水銀の含量を測定したところ、約800p
pm(乾土1 kgに対して水銀 800mgを含有)の水銀が検出
された。該土壌から、図1に示した処理装置により水銀
の回収を行った。すなわち、分級装置1に土壌5 Kg(湿
土)を投入し、粉砕部2のスタンプミルを作動しながら
電熱線4の電源を入れた。水分測定センサーによると、
初期の水分量は32%であったが、15分後には水分測定セ
ンサーの表示が 3.5%になった。そこで、土壌の粉砕お
よび乾燥を確認し、粉砕部2の底部を開口して分級部3
に導入した。次いで、分級部3に設置した2種類の篩7
aおよび7bにより、以下の3つの分画に分級した。な
お、分級部3には、振動発生機により振動が付与され、
効果的な土壌の分級が実行された。そして、 分画A(2 kg) :土粒子の粒子径が 300μm以上、 分画B(1 kg) :土粒子の粒子径が 300〜75μm、 分画C(0.35kg):土粒子の粒子径が75μm以下、 の3つの分画を取得した後、分画A〜Cの各々について
測定を行ったところ、以下に示す結果を得ることができ
た。 【0042】 【表6】 分画Aについては以降の処理は行わず、分画Bおよび分
画Cを用いて、図1に示した処理装置により後処理を行
った。すなわち、本実施例においてサンプリングされた
地域においては、後処理に要した処理量は、 5kgから、
1.35kgとなった。したがって、後処理に要する土壌の処
理量を73%減少することができた。 【0043】ここで、後処理の条件を、水銀を例として
説明する。 【0044】はじめに、容器9内の圧力を 5×10-2torr
に減圧し、容器9内の温度を370kに設定した。また、容
器9内のロータリー部10の回転数は30 rpmとした。次
いで、容器9内で発生した水銀蒸気は排気装置11によ
り排気され、10℃前後に調節された冷却器13により冷
却されて液化した後、清浄機14に導入し水銀を活性炭
15cにより吸着・回収した。なお、排気装置11には
ガス流量計を設置して水銀蒸気の流量を随時観測した。
ガス流量計の観測の結果、上記分画を容器9内に投入
後、90分間経過した後には流量は0L/minとみなせたので
水銀の気化処理を終了した。流量計の積算流量は1800 L
となった。容器9内の圧力は 5×10-2torr、内部温度37
0K、上記分画中の水銀 796mg( 4×10-3 mol)であるの
で、発生する水銀蒸気は1845 Lとなる。したがって、上
記分画中の水銀98%を回収することができた。 【0045】また、活性炭を交換し、 容器9内の温度:800k 容器9内の圧力:10-5torr の条件で鉛の回収を行った。さらに、トリクロロエチレ
ンおよびシス -1,2-ジクロロエチレンについては特に条
件を設定せず、上記条件の中で処理を行った。その結
果、上記分画中より、鉛、トリクロロエチレンおよびシ
ス -1,2-ジクロロエチレンについて、各々、96%、99%
および 100%を回収することができた。 【0046】(実施例3)ある領域の土壌を予めボーリ
ングしてサンプルを分析したところ、半径1m、高さ3mの
範囲内に重金属類が局在しており、該半径よりも大きい
領域では環境基準値よりも重金属の含有量が低いことが
判明した。なお、該範囲の土壌中における水銀の濃度は
約50 ppmである。また、地表から約2mの深さまでは粘土
層、さらに、深さ約2m〜3mまではシルト層、さらに深さ
の深い領域では砂礫が多くなる地層の構成も明らかされ
た。 【0047】はじめに、掘削機を用いて、該領域におけ
る重金属の局在領域を含む半径1m、深さ3mの土壌を掘り
起こし、該土壌(23000kg:湿土)を図2に示した処理装
置の分離槽20内に投入した。投入した土壌は、送風機
18から送られた約 100℃の乾燥空気が流れる傾斜管1
9(流量:30L/min)に吸引されると分離槽20内に拡散
するように導入され、分離槽20内の下部から上部に向
かって上昇した後、砂礫や粒子径の大きい砂等の粒子径
の大きな粒子は廃棄ダクト21に回収され、一方、粒子
径の小さなシルトや粘土等の土粒子は吸引ダクト22お
よび吸引ダクト23により吸引されて振動槽25に供給
された。なお、廃棄ダクト21に回収された土粒子から
は、ほとんど重金属類が検出されなかったため、掘削し
た領域に再び戻した。次に、振動槽25に供給された土
粒子は、振動装置26より発生し周波数が25000 Hzの超
音波の振動によって振動エネルギーを与えられ、振動槽
25から沈降槽27に向かう間に土粒子より水銀の微粒
子が分離された。分離された水銀は、土粒子よりも比重
が大きいため流体中を通過する際の沈降が早く、沈降槽
27の前段に配置されたイノミジ酢酸型のキレート樹脂
を母体とする吸着体28により選択的に吸着することに
より回収することができた。吸着体28により回収され
た水銀量より水銀の回収量を算出したところ、本実施例
では約95%の水銀を回収することができた。 【0048】(実施例4)ある領域の土壌を予めボーリ
ングしてサンプルを分析したところ、半径1.5m、高さ3m
の範囲内に重金属類が局在しており、該半径よりも大き
い領域では環境基準値よりも重金属の含有量が低いこと
が判明した。なお、該範囲の土壌中における水銀の濃度
は約120 ppm である。また、地表から約2mの深さまでは
粘土層、さらに、深さ約2m〜3mまではシルト層、さらに
深さの深い領域では砂礫が多くなる地層の構成も明らか
された。 【0049】はじめに、掘削機を用いて、該領域におけ
る重金属の局在領域を含む半径1.5m、深さ3mの土壌を掘
り起こし、該土壌(50000kg:湿土)を図3に示した処理
装置の分離槽20内に投入した。投入した土壌は、送風
機18から送られた約 100℃の乾燥空気が流れる傾斜管
19(流量:30L/min)に吸引されると分離槽20内に拡
散するように導入され、分離槽20内の下部から丈夫に
向かって上昇した後、砂礫や粒子径の大きい砂等の粒子
径の大きな粒子は廃棄ダクト21に回収され、一方、粒
子径の小さなシルトや粘土等の土粒子は吸引ダクト22
および吸引ダクト23により吸引されて振動槽25に供
給された。なお、廃棄ダクト21に回収された土粒子か
らは、ほとんど重金属類が検出されなかったため、掘削
した領域に再び戻した。次に、振動槽25に供給された
土粒子は、高周波発生器30より発生し周波数が25000
Hzの高周波の振動によって振動エネルギーを与えられ、
振動槽25から沈降槽27に向かう間に土粒子より水銀
の微粒子が分離された。分離された水銀は、土粒子より
も比重が大きいため流体中を通過する際の沈降が早く、
沈降槽27の前段に配置されたイノミジ酢酸型のキレー
ト樹脂を母体とする吸着体28により選択的に吸着する
ことにより回収することができた。吸着体28により回
収された水銀量より水銀の回収量を算出したところ、本
実施例では約96%の水銀を回収することができた。 【0050】(実施例5)ある領域の土壌を予めボーリ
ングしてサンプルを分析したところ、半径1m、高さ3.5m
の範囲内に重金属類が局在しており、該半径よりも大き
い領域では環境基準値よりも重金属の含有量が低いこと
が判明した。なお、該範囲の土壌中における水銀、鉛、
カドミウムの濃度は各々、約200 、1200および20 ppmで
ある。また、地表から約2mの深さまでは粘土層、さら
に、深さ約2m〜3.5mまではシルト層、さらに深さの深い
領域では砂礫が多くなる地層の構成も明らかされた。 【0051】はじめに、掘削機を用いて、該領域におけ
る重金属の局在領域を含む半径1m、深さ3.5mの土壌を掘
り起こし、該土壌(25000kg:湿土)を図4に示した処理
装置の分離槽32内に投入口31より投入した。投入口
31より分離槽32に投入された土壌は、フィルタ33
により保持されるとともに、送風機34から送られた約
100℃の乾燥空気(流量: 100L/min)により分離槽32
内を下部から上部に向かって流動し、ほぼ土粒子にまで
解離された。そして、砂礫や粒子径の大きな砂等は分離
槽32の下部に成層し、シルトや粘土等の微粒子は乾燥
空気により分離槽32の上部に分画35aとして移行し
漂った。次に、分離槽32の上部に移行した分画35a
より、粒子径の小さなシルトや粘土等の土粒子は排出管
37を経て振動槽38に流入する。なお、分画35bや
分画35cにおける砂礫や粒子径の大きい砂等の粒子径
はほぼ 300μm以上あり、測定の結果、環境基準値を越
える濃度の重金属は検出されなかったので、掘削した領
域に再び戻すことができた。排出管37を経て振動槽3
8に供給された土粒子は、振動装置26より発生し周波
数が25000 Hzの超音波の振動によって振動エネルギーを
与えられ、土粒子より水銀等の微粒子が分離された。続
いて、導入管44より振動槽38に高温水蒸気が導入さ
れ、土粒子に付着した重金属類等をイオン化して内部に
取り込んだ。分離された水銀は、土粒子よりも比重が大
きいため流体中を通過する際の沈降が早く、沈降槽40
に配置されたイノミジ酢酸型のキレート樹脂を母体とす
る吸着体28により選択的に吸着することにより回収す
ることができた。吸着体28により回収された水銀量よ
り水銀の回収量を算出したところ、本実施例では約92%
の水銀を回収することができた。一方、高温水蒸気にト
ラップされた重金属類は、沈降槽40に別に配置された
活性炭に吸着することにより回収することができた。活
性炭により回収された吸着量より鉛およびカドミウムの
回収量を算出したところ、本実施例では各々約96%およ
び98%の鉛およびカドミウムを回収することができた。 【0052】(実施例6)実施例1により、分級装置1
が土壌を適格に分級することが明らかとなっていたの
で、図5に示した装置を用いて、水銀の分離および回収
に係るモデル実験を実施した。 【0053】すなわち、図5(a)に示すように、30×
30×30mの処理槽45に、水銀を 30ppm含有した土壌
(湿土)を30000t入れ、U字型のシーズヒータ47aお
よび47bを4ケ所に、等間隔に差込むとともに処理槽
45に蓋をして加熱した。なお、土壌の加熱は、約 400
℃で 8時間行った。土壌の加熱後、土壌が室温となるま
で放冷し、土壌中の水銀の総量に対して10倍量に相当す
るヨウ化カリウムを2Lの水に溶解して土壌に添加した。
次に、図5(b)に示すように、処理槽45の壁面とほ
ぼ同じ大きさのカーボン電極を、陽極49および陰極5
0が向い合うよう、壁面に沿って設置した。そして、直
流電源48により 30V/mの定電圧で3A/m2の電流を流
し、1週間にわたり電気的な処理を行った。その結果、
陽極49より5cm以上離れた領域における土壌中の水銀
の濃度は3ppm以下となっていたが、陽極49の近傍 5cm
の領域における土壌中の水銀の濃度は178ppmであった。
したがって、陽極49の近傍 5cmの領域の土壌を除去す
ることにより、全土壌中より大部分の水銀を回収するこ
とができた。 【0054】(実施例7)直流電源48により 30V/mの
定電圧で5A/m2 の電流を流し、2週間にわたり電気的な
処理を行った以外は、実施例6と同様にして、水銀を20
0ppm含有した土壌(湿土)より水銀の回収を試みた。そ
の結果、陽極49より 5cm以上離れた領域における土壌
中の水銀の濃度は3ppm以下となっていたが、陽極49の
近傍 5cmの領域における土壌中の水銀の濃度は 1200ppm
であった。したがって、陽極49の近傍 5cmの領域の土
壌を除去することにより、全土壌中より大部分の水銀を
回収することができた。 【0055】(実施例8)図5に示した装置を用いて、
実施例6と同様のモデル実験を実施した。 【0056】すなわち、図5(a)に示すように、30×
30×30mの処理槽45に、水銀を 30ppm含有した土壌
(湿土)を30000t入れ、U字型のシーズヒータ47aお
よび47bを4ケ所に、等間隔に差込むとともに処理槽
45に蓋をして加熱した。なお、土壌の加熱は、約 300
℃で36時間行った。土壌の加熱後、土壌が室温となるま
で放冷し、土壌中の水銀の総量に対して15倍量に相当す
るヨウ化カリウムを2Lの水に溶解して土壌に添加した。
次に、図5(b)に示すように、処理槽45の壁面とほ
ぼ同じ大きさのカーボン電極を、陽極49および陰極5
0が向い合うよう、壁面に沿って設置し、直流電源48
により 20V/mの定電圧で3A/m2 の電流を流し、4週間に
わたり電気的な処理を行った。その結果、陽極49より
5cm以上離れた領域における土壌中の水銀の濃度は3ppm
以下となっていたが、陽極49の近傍 5cmの領域におけ
る土壌中の水銀の濃度は177ppmであった。したがって、
陽極49の近傍 5cmの領域の土壌を除去することによ
り、全土壌中より大部分の水銀を回収することができ
た。 【0057】(実施例9)ロータリーキルンに水銀を 3
0ppm含有した土壌(湿土)を10000t入れ、約 400℃で 2
時間の加熱を行った。土壌の加熱後、土壌が室温となる
まで放冷するとともに、土壌を処理槽45に移動した。
そして、土壌中の水銀の総量に対して10倍量に相当する
ヨウ化カリウムを2Lの水に溶解して土壌に添加した。次
に、図5(b)に示すように、直流電源48により 30V
/mの定電圧で3A/m2 の電流を流し、1週間にわたり電気
的な処理を行った。その結果、陽極49より 5cm以上離
れた領域における土壌中の水銀の濃度は3ppm以下となっ
ていたが、陽極49の近傍5cmの領域における土壌中の
水銀の濃度は178ppmであった。したがって、陽極49の
近傍 5cmの領域の土壌を除去することにより、全土壌中
より大部分の水銀を回収することができた。 【0058】(実施例10)ロータリーキルンに水銀を
30ppm含有した土壌(湿土)を10000t入れ、約 250℃で
4時間の加熱を行った以外は、実施例9と同様にして、
土壌(湿土)より水銀の回収を試みた。その結果、陽極
49より 5cm以上離れた領域における土壌中の水銀の濃
度は3ppm以下となっていたが、陽極49の近傍 5cmの領
域における土壌中の水銀の濃度は178ppmであった。した
がって、陽極49の近傍 5cmの領域の土壌を除去するこ
とにより、全土壌中より大部分の水銀を回収することが
できた。(比較例1)ロータリーキルンに水銀を 30ppm
含有した土壌(湿土)を10000t入れ、約 800℃で 8時間
の加熱を行った。そして、ロータリーキルンの出口に凝
縮器を接続して冷却水を循環させた。その結果、ロータ
リーキルンにより処理された土壌における水銀の濃度は
平均して5ppmとなった。 【0059】(比較例2)ロータリーキルンに水銀を 3
0ppm含有した土壌(湿土)を10000t入れ、約 400℃で 8
時間の加熱を行った。そして、ロータリーキルンの出口
に凝縮器を接続して冷却水を循環させた。その結果、ロ
ータリーキルンにより処理された土壌における水銀の濃
度は平均して 15ppmとなった。 【0060】ここで、実施例6〜実施例10、比較例1
および比較例2の実施条件および結果を表7に示す。 【0061】 【表7】【0062】 【発明の効果】以上、詳述したように、本発明に係る処
理装置によれば、化学物質を含有した土壌を土粒子の大
きさに基づいて分級することにより、化学物質を濃縮し
た分画を取得し、該分画より化学物質の分離および回収
を実行することができるので、土壌より化学物質を容易
かつ確実に回収する処理装置を提供することができる。 【0063】また、化学物質を濃縮した分画を取得する
ことにより、処理する土壌の容積を減容することができ
るので、化学物質を経済的に回収する処理装置を提供す
ることができる。 【0064】さらに、本発明に係る処理装置によれば、
化学物質を含有した土壌を土粒子の沈降速度に基づいて
分級することにより、化学物質を濃縮した分画を取得
し、該分画より化学物質の分離および回収を実行するこ
とができるので、土壌より化学物質を容易かつ確実に回
収する処理装置を提供することができる。 【0065】また、化学物質を濃縮した分画を取得する
ことにより、処理する土壌の容積を減容することができ
るので、化学物質を経済的に回収する処理装置を提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明による処理装置の構成を模式的に示した
図である。 【図2】本発明による処理装置の他の構成を模式的に示
した図である。 【図3】本発明による処理装置の他の構成を模式的に示
した図である。 【図4】本発明による処理装置の他の構成を模式的に示
した図である。 【図5】本発明による処理装置の他の構成を模式的に示
した図である。 【符号の説明】 1……分級装置 2……粉砕部 3……分級部
4……電熱線 5……水分測定センサ 6……制御装置 7a、7
b……篩 8a〜8c……分級槽 9……容器 10……ロー
タリー部 11……排気装置 12……調整部 13……冷却
機 14……清浄機 15a〜15c……活性炭 16……回転軸 17
……投入口 18……送風機 19……傾斜管 20……分離槽 21……廃棄ダクト 22、23……吸引ダクト 24……コンベア 25……振動槽 26……振動
装置 27……沈降槽 28……吸着体 29……遠隔制
御装置 30……高周波発生器 31……投入口 32……
分離槽 33……フィルタ 34……送風機 35a〜35
c……分画 36……調節弁 37……排出管 38……振動槽
39……排出管 40……沈降槽 41……回収管 42……回収弁 43……回収槽 44……導入管 45……処理槽
46……電源 47a、47b……シーズヒータ 48……直流電源
49……陽極 50……陰極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 忠内 仁弘 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株式会社東芝 横浜事業所内 (72)発明者 五反田 武志 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株式会社東芝 横浜事業所内 (72)発明者 金澤 悟史 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株式会社東芝 横浜事業所内 (72)発明者 原田 一成 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株式会社東芝 横浜事業所内 (72)発明者 親里 直彦 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株式会社東芝 横浜事業所内 (72)発明者 北村 英夫 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株式会社東芝 横浜事業所内 (72)発明者 小松 出 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株式会社東芝 横浜事業所内 (56)参考文献 特開 平2−302700(JP,A) 特開 平7−185513(JP,A) 特開 平6−233977(JP,A) 特表 平3−502424(JP,A) 特表 平11−501861(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B09C 1/00 - 1/10 G21F 9/28 B07B 7/00

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 化学物質を含有した土壌を乾燥ガスによ
    り土粒子の沈降速度に基づいて分級し、前記化学物質を
    濃縮した分画を取得する手段と、前記取得した分画より
    前記化学物質を分離する手段と、前記分離した化学物質
    を回収する手段と、を具備したことを特徴とする処理装
    置。
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