JP3403716B2 - 温度制御装置 - Google Patents
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Description
熱媒体の温度や、負荷自体の温度を、所定の温度に調整
する温度制御装置に関する。
においては、温度制御を行うことが必須条件であり、種
々の温度制御装置が使用されている。温度制御装置のな
かには、ブライン供給装置を利用したものがある。この
種のブライン供給装置は、液晶パネルなどの負荷として
のワークが配置される負荷回路に、温度を調整した熱媒
体つまりブラインを供給し、ワークの温度を設定温度に
維持している。
には、ブラインの温度を所定の温度に調整する一次回路
と、ワークに供給されるブラインを目標温度に調整する
二次回路と、一次回路から二次回路に混合されるブライ
ンの流量を調整するバルブと、を有するブライン供給装
置が示されている。この装置では、ワークの温度が設定
温度よりも上昇した場合には、バルブが開かれ、温度の
低い一次回路のブラインが、所定の流量だけ、二次回路
のブラインに混合される。これにより、ワークに供給さ
れるブラインの温度を下げ、ワークの温度を設定温度に
まで下げている。
御対象である例えば上記のようなバルブを操作する場合
には、PID制御や、2つのPID制御を組み合わせた
カスケード制御が広く採用されている。PID制御によ
って良好な制御結果を得るためには、P(比例帯)、I
(積分時間)、D(微分時間)の各パラメータ(PID
定数)を最適値にチューニングする必要がある。PID
定数は、装置を試運転しながら、トライアンドエラーに
より決定される。
された操作量の変化量ΔMVと、温度の変化量ΔPVと
は、通常、比例しない。このため、制御すべき温度範囲
において、1セットのPID定数のみでは、良好な制御
結果を得ることができない。したがって、制御すべき温
度範囲を複数個に分割し、分割された温度範囲ごとにP
ID定数が決定されている。複数セットのPID定数を
決定するのに伴ない、チューニング作業が煩雑になり、
長時間を要するという問題がある。
のみで、温度を精度よく制御し得る温度制御装置を提供
することを目的とする。
の本発明は、各請求項ごとに次のように構成される。
整する一次回路と、負荷に供給される第2熱媒体を目標
温度に調整する二次回路と、第2熱媒体に混合される、
または、第2熱媒体との間で熱交換される第1熱媒体の
流量を調整する弁部材と、第2熱媒体の現在の供給温度
を検出する供給温度検出部と、第2熱媒体の目標温度、
第2熱媒体の現在の供給温度、および、予め設定された
1セットのPID定数に基づいて、前記弁部材の操作量
を演算するPID演算部と、前記PID演算部で演算さ
れた操作量を補正して補正操作量を演算する補正演算部
と、補正操作量に基づいて前記弁部材の作動を制御する
制御部と、を有し、補正操作量に基づいて前記弁部材の
作動を制御することにより、操作量の変化量を、第2熱
媒体の現在の供給温度の変化量に比例させたことを特徴
とする温度制御装置。
算される補正係数k(0≦k≦1)は、 k=1−(Pt1−PV1)/(PV2−PV1) ここに、 PV1:第2熱媒体の使用温度の下限値 PV2:第2熱媒体の使用温度の上限値 Pt1:第2熱媒体の現在の供給温度 n :第2熱媒体の供給温度が上限値PV2であると
きの操作量を制限する定数 で定義されることを特徴とする。
(S))を設定する設定部をさらに有することを特徴と
する上記(1)に記載の温度制御装置。
度検出部と、負荷の設定温度を設定する設定部と、負荷
の設定温度、負荷の現在の温度、および、第2熱媒体の
現在の供給温度に基づいて、第2熱媒体の目標温度を演
算する目標温度演算部と、をさらに有する上記(1)に
記載の温度制御装置。
温度、負荷に接触する第2熱媒体の温度、または、負荷
を通過した第2熱媒体の戻り温度を測定することによ
り、負荷の現在の温度を検出することを特徴とする上記
(3)に記載のワーク温度制御装置。
する第1熱媒体の温度を、第2熱媒体の目標温度よりも
低い温度に調整する上記(1)に記載の温度制御装置。
する加熱部をさらに有する上記(1)に記載の温度制御
装置。
ゼロまたは最大にする開閉バルブ、または、第1熱媒体
の流量を連続的に変化させる流量制御バルブである上記
(1)に記載の温度制御装置。
を参照しつつ説明する。
ブライン供給装置の一実施形態を示す構成図である。
0は、負荷としてのワークWが配置される負荷回路20
に接続されている。ブライン供給装置10は、ブライン
(第1熱媒体)の温度を所定の温度に調整する一次回路
11と、ワークWに供給されるブライン(第2熱媒体)
を目標温度に調整する二次回路12と、一次回路11と
二次回路12とを接続する連絡通路13と、連絡通路1
3に設けられた弁部材14と、を含んでいる。一次回路
11には比較的低温のブラインが循環し、二次回路12
には比較的高温のブラインが循環する。一次回路11中
のブラインの一部が、連絡通路13を通って、二次回路
12中のブラインに混合される。弁部材14の開閉制御
により、一次回路11から二次回路12に混合されるブ
ラインの流量が調整され、ワークWに供給されるブライ
ンの供給温度が調整される。温度調整されたブラインに
より、ワークWの温度が調整される。ブライン供給装置
10の作動は、コントローラ70により制御される。ブ
ラインとしては、例えば、フッ素系ブライン、冷水、純
水、冷媒などが用いられ、ワークWに応じたブラインが
選択される。
インを貯留するブラインタンク41と、ブラインを循環
する第1ポンプ42と、熱交換器43と、開閉弁44
と、を含んでいる。これらの構成機器は、複数の配管4
5a〜45dによって接続されている。ブラインタンク
41は、蓋がされて大気が流通しないが、圧力容器とし
ての規制を受けない、いわゆる半密封構造を有する。第
1ポンプ42は、一次回路11でブラインを循環させれ
ばよいため、その配置位置は図示のようにブラインタン
ク41と熱交換器43との間に限られるものではない。
例えば熱交換器43の出口側の配管45cに配置しても
よい。ブラインは、熱交換器43に供給される冷却材と
の間で熱交換して、冷却される。冷却されたブラインの
温度Pt4を検出する温度センサ84が、熱交換器43
の出口側の配管45cに設けられている。本実施形態に
おけるワークWの設定温度は比較的低温(例えば、40
℃〜60℃)であり、冷却材として冷媒を使用してい
る。冷却材は、冷凍機50により冷却される。
するコンプレッサ51と、冷却水が流通する凝縮器52
と、膨張弁53と、蒸発器として機能する熱交換器43
と、を有する。ブラインの温度Pt4は、熱交換器43
に流入する冷媒の温度を調整することにより調整され
る。冷媒の温度は、冷凍機50の容量を制御することに
より調整される。冷凍機50の容量制御は、ホットガス
流量を制御することにより行われる。冷凍機50には、
コンプレッサ51の出口側と膨張弁53の出口側とを連
通するホットガスバイパス配管54と、ホットガスバイ
パス配管54の途上に配置される容量調整弁55および
第1電磁弁56と、凝縮器52の出口から膨張弁53に
至る配管の途上に配置される第2電磁弁57と、が設け
られている。第1、第2電磁弁56、57のそれぞれ
は、一方が閉のときには他方が開かれ、一方が開のとき
には他方が閉じられる。第1電磁弁56が開かれると、
コンプレッサ51により圧縮された比較的高温のガス状
冷媒は、容量調整弁55およびホットガスバイパス配管
54を通り、膨張弁53により断熱膨張されて比較的低
温となった冷媒に混合される。膨張弁53の出口側に流
下するホットガス流量は、容量調整弁55の設定値およ
び第1電磁弁56の開時間により定まる。第1、第2電
磁弁56、57の開閉の結果、熱交換器43に流入する
冷媒の温度が調整され、熱交換器43で冷却されるブラ
インが所定の温度に調節される。コントローラ70は、
ブラインの温度Pt4が、ワークWに供給されるブライ
ンの目標温度SV(S)よりも所定温度(例えば、8
℃)だけ低くなるように、第1、第2電磁弁56、57
を開閉制御する。
クWの設定温度に応じて適宜選択することができる。例
えば、ワークWの設定温度が比較的高温の場合には、冷
却材として冷水を使用してもよい。
ヒータ(加熱部に相当する)61と、ブラインを循環す
る第2ポンプ62と、負荷回路20にブラインを供給す
る供給ポート63と、負荷回路20を通過したブライン
が戻される戻りポート64と、を含んでいる。これらの
構成機器は、複数の配管65a〜65dによって接続さ
れている。二次回路12は、配管65dから分岐する配
管65eを介して、ブラインタンク41に接続されてい
る。一次回路11から弁部材14を介して二次回路12
に混合された量に等しい量のブラインが、配管65eを
介して、ブラインタンク41に戻される。電気ヒータ6
1によりブラインを加熱して、ワークWの温度を所望の
温度にまで迅速に高めることができる。加熱部は、電気
ヒータ61に限られず、ブラインを加熱する機能を有す
る限りにおいて適宜選択できる。また、第2ポンプ62
は、二次回路12でブラインを循環させればよいため、
その配置位置は図示のようにヒータ61で加熱されたブ
ラインを送り出す位置に限られるものではない。例え
ば、ヒータ61の入口側の配管65aに配置してもよ
い。このブライン供給装置10は、その稼動途中におい
て、ブラインの流量を変化させない形態となっている。
このため、第2ポンプ62には、一定流量のブラインを
送り出すことが可能なタイプのポンプが使用される。但
し、ブライン供給装置10に要求される種々のスペック
に応じるため、ブライン流量の設定値を変更できるポン
プを使用してもよい。
との間に設けられている。連絡通路13に設けられた弁
部材14は、一次回路11と二次回路12との間の連通
をオン−オフする電磁弁である。ワークWに供給するブ
ラインの温度を下げる場合には、弁部材14が開かれ、
一次回路11を循環するブラインの一部が、連絡通路1
3を通って、ヒータ61の入口側に導かれる。
次回路12に導く形態では、ブライン供給装置10に含
まれるブラインの全量を冷却する必要がなく、二次回路
12のブラインは必要以上に冷却されない。このため、
ヒータ61で再度加熱する際の、エネルギーロスを可及
的に低減でき、ブライン供給装置10を効率良く運転で
きる。一次回路11のブライン温度Pt4を目標温度S
V(S)よりも低い温度に調整しているので、ワークW
の温度上昇が大きいときでも、供給温度Pt1を直ぐに
低くして、ワークWの温度を迅速に下げることができ
る。
いは恒温装置などに組み込まれる。例えば、負荷回路2
0は、液晶パネル用のガラス基板に薄膜を形成する成膜
装置30に組み込まれる。この場合、ガラス基板がワー
クWに相当する。
れる入口配管21と、ワークWが収納されるチャンバ2
2と、戻りポート64に接続される出口配管23と、を
有する。ワークWは、プレート24の上にマウントされ
る。チャンバ22に供給されたブラインによりプレート
24が加熱/冷却され、ワーク温度が設定温度に調整さ
れる。
荷を加えるプロセス側の外部熱源31が設けられてい
る。外部熱源31は、例えば、電気ヒータ32から構成
され、電源33から所定の電流・電圧が印加される。ワ
ークWは、電気ヒータ32で発生したジュール熱が加え
られ、温度が上昇する。なお、「プロセス側の外部熱源
31」とは、製造や検査などを行うときに、ワークWに
熱を加える機能を有する装置の総称であり、電気ヒータ
32に限定されるものではない。
インの現在の供給温度Pt1を検出する供給温度センサ
81が設けられている。負荷回路20には、ワークWの
現在の温度Pt2を検出するワーク温度センサ82が設
けられている。供給温度センサ81が供給温度検出部に
相当し、ワーク温度センサ82が負荷温度検出部に相当
する。温度センサ81、82、84は、測温抵抗体や熱
電対などから構成されている。プレート24の温度はワ
ーク温度Pt2にほぼ等しいことから、図示例では、プ
レート24の温度を測定することにより、ワーク温度P
t2を検出している。
御するコントローラ70の構成を示すブロック図であ
る。
ンサ81、82、84が接続され、ブライン供給温度P
t1、ワーク温度Pt2、一次回路11のブライン温度
Pt4の各検出信号が入力される。CPU71にはさら
に、設定部72と、目標温度演算部73と、PID演算
部74と、補正演算部75と、ROM76と、RAM7
7と、タイマ78とが接続される。設定部72は、例え
ばテンキーなどの入力装置から構成され、ワークWの設
定温度SV(R)を設定する。目標温度演算部73は、
ワーク設定温度SV(R)、ワーク温度Pt2、およ
び、ブライン供給温度Pt1に基づいて、ワークWに供
給するブラインの目標温度SV(S)を演算する。PI
D演算部74は、ブラインの目標温度SV(S)、ブラ
イン供給温度Pt1、および、予め設定された1セット
のPID定数(P、IおよびD)に基づいて、電磁弁1
4用の操作量MVをPID演算する。PID演算部74
はまた、電気ヒータ61用のPID定数に基づいて、電
気ヒータ61用の操作量mvをPID演算する。補正演
算部75は、PID演算部74で演算された操作量MV
を補正して、補正操作量MV’を演算する。そして、C
PU71は、補正操作量MV’を電磁弁14に出力し、
電磁弁14の作動を制御する。CPU71は、操作量m
vを電気ヒータ61のSSR(ソリッドステートリレ
ー)などのスイッチング素子に出力し、電気ヒータ61
の作動を制御する。CPU71は、冷凍機50の容量制
御のために、第1、第2電磁弁56、57に制御信号を
出力する。ROM76には、操作量MVに乗算される補
正係数の関係式の他、ブライン供給装置10の動作を制
御するのに必要な各種パラメータやプログラムなどが記
憶される。また、RAM77には、PID演算に必要な
PID定数などが記憶される。
33が接続され、電源33から電気ヒータ32への電力
供給に応じたオン、オフ信号や、電気ヒータ32に供給
した電力の出力値信号が入力される。
能や、成膜装置30の仕様などに基づき、シミュレーシ
ョンにより求められる。ブライン供給装置10を工場か
ら出荷するときには、求めたPID定数が設定される。
但し、ブライン供給装置10および成膜装置30の全体
の動特性を正確にシミュレーションすることは事実上不
可能である。このため、最終的なPID定数は、ブライ
ン供給装置10および成膜装置30の全体の試運転を行
いながら、トライアンドエラーにより決定される。決定
されたPID定数は、RAM77に記憶される。
れる補正係数k(0≦k≦1)と、ブライン供給温度P
t1との関係を示すグラフである。
供給温度Pt1に反比例する。補正係数kは、次式によ
り定義される。
(PV2−PV1) ここに、 PV1:ブラインの使用温度の下限値 PV2:ブラインの使用温度の上限値 Pt1:ブラインの現在の供給温度 n :ブラインの供給温度が上限値PV2であるとき
の操作量MVを制限する定数 である。
まり、上限値PV2はワークWの上限温度から定まる。
ワークWの下限温度および上限温度は、成膜装置30の
仕様の一つである。ワークWの下限温度から上限温度ま
での温度範囲で、ワークの温度を制御できなければなら
ない。したがって、冷凍機50の冷却能力は、ブライン
の循環流量、ワークWの下限温度、負荷回路20での発
熱量などに基づいて決定され、電気ヒータ61の加熱能
力は、ブラインの循環流量、ワークWの上限温度などに
基づいて決定される。
あるときは(Pt1=PV1)、補正係数kは「1」に
セットされ、PID演算された電磁弁14の操作量MV
と、補正後の補正操作量MV’とは等しい。一方、ブラ
イン供給温度Pt1が上限値PV2であるときは(Pt
1=PV2)、補正係数kは、k=1−(1−n)=n
より、「n」にセットされる。この「n」は、ブライン
の供給温度Pt1が上限値PV2であるときに、電磁弁
14の開作動時間を制限するための値である。
ながら説明する。説明の簡略化のためにブラインを水と
する。下限値PV1を10℃、上限値PV2を90℃と
する。一次回路11の水温Pt4を0℃に固定し、この
ときの冷凍機50の冷却能力を1500kcal/hr
とする。負荷回路20での発熱量を1500kcal/
hr、第2ポンプ62によりワークWに供給される水の
流量を10リットル/minとする。また、電磁弁14
を通って二次回路12に混合される水の流量をxリット
ル/min、配管65dから配管65eを通ってタンク
41に戻される水の流量をxリットル/min、配管6
5dから配管65aに戻ってくる水の流量をy(=10
−x)リットル/minとする。
00[kcal/hr]/(60[min/hr]×1
0[リットル/min]×1[kcal/(リットル・
℃)])=2.5[℃]である。
るとき、水温を10℃にするために必要な0℃の水の流
量xは、x[リットル/min]×0[℃]+y[リッ
トル/min]×(10+2.5)[℃]=10[リッ
トル/min]×10[℃]より、x=2[リットル/
min]となる。
D)は、ブラインの使用温度の下限値PV1を基準にし
て決定されている。具体的には、電磁弁14用のPID
定数は、ブラインの使用温度が下限値PV1であるとき
に、電磁弁14の操作量MVが100%(全開)とな
り、冷凍機50が定格運転で作動するように決定されて
いる。上記の数値例では、水の使用温度が下限値PV1
の10℃であるときに、電磁弁14は、100%の操作
量MVが加えられ、全開となる。このときに水が2リッ
トル/minで流れるように、連絡通路13および電磁
弁14の仕様(例えば、口径)が定められる。
℃であるとき、水温を90℃にするために必要な0℃の
水の流量xは、x[リットル/min]×0[℃]+y
[リットル/min]×(90+2.5)[℃]=10
[リットル/min]×90[℃]より、x=0.27
[リットル/min]となる。
トル/min]×100[%]/2[リットル/mi
n]=13.5[%]と演算されたならば、上記の流量
を実現することができる。具体的には、水の使用温度が
下限値PV1であるときの比例帯Pの値に対して、1/
0.135=7.4倍の比例帯Pの値を使用すれば、上
記の流量を実現することができる。
るときを基準に決定した1セットのPID定数を使用す
るため、水の使用温度が90℃であるときの操作量MV
は13.5%にならず、100%になる。これでは、0
℃の水の流量が多すぎるため、ワークWに供給される水
温を目標温度の90℃に制御することができない。この
ため、電気ヒータ61による加熱量が増加し、エネルギ
ーのロスになる。しかも、92.5℃の多量の水がタン
ク41に戻るため、冷凍機50のコンプレッサ51がオ
ーバーロードする結果となる。
あるときの操作量MVを制限するために、「n」に、
0.27[リットル/min]/2[リットル/mi
n]=0.135をセットする。
次のように温度制御がなされる。供給温度Pt1が下限
値PV1の10℃であるときは(Pt1=PV1)、補
正係数k=1−(Pt1−PV1)(1−0.135)
/(PV2−PV1)=1となる。このため、操作量M
Vが100%であると演算されれば、電磁弁14に実際
に加えられる補正操作量MV’も100[%]×k=1
00[%]であるので、2リットル/minの水が電磁
弁14を流れ、水温が10℃に制御される。また、冷凍
機50は、定格の1500kcal/hrの冷却能力を
発揮する。
あるときは(Pt1=PV2)、補正係数k=1−(P
t1−PV1)(1−0.135)/(PV2−PV
1)=0.135となる。このため、操作量MVが10
0%であると演算されても、電磁弁14に実際に加えら
れる補正操作量MV’は100[%]×k=13.5
[%]であるので、0.27リットル/minの水が電
磁弁14を流れ、水温が90℃に制御される。また、冷
凍機50は、オーバーロードすることなく、定格の15
00kcal/hrの冷却能力を発揮する。
乗算した補正操作量MV’で電磁弁14を制御すること
により、操作量MVの変化量ΔMVが、水の供給温度P
t1の変化量ΔPVに比例する。換言すれば、1セット
のPID定数のみで、10℃〜90℃の温度範囲内にお
いて、水の供給温度Pt1を所望の温度に調整できる。
また、操作量MVが100%のときには、冷凍機50の
冷却能力は、10℃〜90℃の温度範囲内においては水
温に関係なく、一定の1500kcal/hrになる。
したがって、冷凍機50のオーバーロードを防止できる
という効果も奏する。
ID演算された操作量MVに補正係数kを乗算した補正
操作量MV’により、電磁弁14の作動を制御する。こ
の制御により、操作量MVの変化量ΔMVが、ブライン
供給温度Pt1の変化量ΔPVに比例する。このこと
は、ブラインの使用温度の下限値PV1から上限値PV
2までの温度範囲内において、1セットのPID定数の
みで、ブライン供給温度Pt1を所望の温度に調整でき
ることを意味する。
しない理由は、電気ヒータの場合には、操作量mvの変
化量Δmvと、電気ヒータ61を通過したブライン温度
の変化量とが、温度に関係なく、ほぼ比例関係にあるか
らである。もちろん、電磁弁14の場合と同じように、
操作量mvに補正係数を乗算した補正操作量で電気ヒー
タ61の作動を制御してもよい。
る定値制御を適用すると、本実施形態では、ワークWに
よっては時定数が1時間以上になるケースが多く、事実
上使用できない。このように時定数が大きい系の場合に
は、カスケード制御が一般に採用されている。カスケー
ド制御は、目標値が時間とともに変わる追値制御の一つ
である。
設定値とする第1温度調節器と、ブラインの供給温度を
制御する第2温度調節器との2台の温度調節器が必要で
ある。第1温度調節器の設定値は固定されている。第1
温度調節器は、固定された設定値とワーク温度との偏差
に基づいてPID演算し、操作量を出力する。一方、第
2温度調節器は、第1温度調節器から出力された操作量
が設定値として入力され、PID演算して操作量を出力
する。このようにカスケード制御では、2台の温度調節
器によるPID演算を使用する方式であるため、各温度
調節器に1セットのPID定数を設定しただけでは、ブ
ライン供給温度を精度よく制御することはできない。こ
のため、ブラインの使用温度範囲を例えば8個に分割
し、分割された温度範囲ごとに、各温度調節器のPID
定数を決定しなければならない。そして、ワークの設定
温度に応じて、各温度調節器のPID定数を変更しなけ
ればならない。
易に変更することはできない。このため、ワークWに対
して加熱および冷却が繰り返され、その都度、設定温度
を大きくかつ頻繁に変更しなければならないブライン供
給装置に、カスケード制御を採用することは事実上でき
ない。さらに、上述したように、最終的なPID定数は
トライアンドエラーにより決定しなければならないの
で、温度制御の精度を高めるためにPID定数のセット
数を増やせば増やすほど、決定作業は煩雑になり長時間
を要することになる。
置10は、上述したように、ブラインの使用温度の下限
値PV1から上限値PV2までの温度範囲を、1セット
のPID定数のみでカバーすることできる。したがっ
て、ワークWの設定温度が大きくかつ頻繁に変更される
場合に適用して好適な制御となる。また、1セットのP
ID定数のみを決定すればよいため、決定作業を比較的
簡単、かつ、短時間で行うことが可能となる。
トを参照しつつ、本実施形態の作用を説明する。図6
は、本実施形態による温度変化例を概念的に示す図であ
る。
0の電源がオンされると(S11)、ユーザによるワー
ク設定温度SV(R)の入力を受け付ける(S12)。
ワーク設定温度SV(R)がセットされ、運転スイッチ
が押下されると(S13:YES)、第1、第2ポンプ
42、62が始動する(S14)。ブラインは、各ポン
プ42、62により、一定流量で、一次回路11および
二次回路12内を流れる。また、コントローラ70は、
コンプレッサ51をモータ駆動して冷凍機50を運転し
(S15)、電気ヒータ61をオンする(S16)。
度Pt1を検出し、ワーク温度センサ82ワーク温度P
t2を検出する(S17)。
(R)とワーク温度Pt2との偏差dt=SV(R)−
Pt2を演算する(S18)。コントローラ70は、ブ
ラインの目標温度SV(S)の初期値を、SV(S)=
Pt1+dt=Pt1+(SV(R)−Pt2)より、
決定する(S19)。
御のために、第1、第2電磁弁56、57を開閉制御
し、ホットガス流量を制御する(S20)。熱交換器4
3出口側のブライン温度Pt4は、目標温度SV(S)
よりも所定温度(例えば、8℃)だけ低い温度に調整さ
れる。
ライン目標温度SV(S)、ブライン供給温度Pt1、
および、電磁弁14用の1セットのPID定数に基づい
て、電磁弁14の操作量MVをPID演算する(S2
1)。コントローラ70はまた、電気ヒータ61用のP
ID定数に基づいて、電気ヒータ61の操作量mvもP
ID演算する(S21)。
の操作量MVに補正係数kを乗算し、補正操作量MV’
を演算する(S22)。この補正操作量MV’が電磁弁
14に出力され、電磁弁14が開閉制御される(S2
3)。コントローラ70は、電気ヒータ61の操作量m
vを補正しない。この操作量mvが電気ヒータ61に出
力され、電気ヒータ61の作動が制御される(S2
4)。
給温度Pt1が目標温度SV(S)に到達したか否かを
判断する(S25)。具体的には、SV(S)−Pt1
の絶対値が、許容誤差αより小さいか否かが判断され
る。許容誤差αは、例えば、0.1〜0.2℃である。
ントローラ70は、ブライン供給装置10の運転が継続
されているか否かを判断する(S30)。運転継続中の
ときには(S30:YES)、ステップS20〜S25
が繰り返され、運転が中止されたときには(S30:N
O)、処理が終了する。
(S)に調整されている場合には(S25:YES)、
コントローラ70は、ワーク温度Pt2がワーク設定温
度SV(R)に到達したか否かを判断する(S26)。
具体的には、SV(R)−Pt2の絶対値が、許容誤差
βより小さいか否かが判断される。許容誤差βは、例え
ば、0.1〜0.2℃である。
ントローラ70は、現在のブラインの目標温度SV
(S)を維持したまま、ブライン供給装置10の運転が
継続されているか否かを判断する(S30)。運転継続
中のときには(S30:YES)、ステップS20〜S
26が繰り返され、運転が中止されたときには(S3
0:NO)、処理が終了する。
(R)に調整されていない場合には(S26:NO)、
ワーク温度Pt2がワーク設定温度SV(R)よりも低
いか否かを判断する(S27)。
(R)よりも高い場合には(S27:NO)、ブライン
の目標温度SV(S)を、例えば0.1℃低い温度にセ
ットし直す(S28)。逆に、ワーク温度Pt2がワー
ク設定温度SV(R)よりも低い場合には(S27:Y
ES)、ブラインの目標温度SV(S)を、例えば0.
1℃高い温度にセットし直す。その後、処理はステップ
S30に進み、ブライン供給装置10の運転が継続され
ているときには(S30:YES)、ステップS20〜
S29が繰り返され、運転が中止されたときには(S3
0:NO)、処理が終了する。
化させることなく、温度情報のみでワーク温度を制御し
ているため、ブラインとワークWとの間の熱交換量が急
激に変化することがない。したがって、ワーク温度にハ
ンチング現象が生じにくく、ワークWを設定温度に調整
する制御の安定性を高めることができる。例えば、温度
変化±0.5℃の高精度に、ワークWの温度を制御でき
た。
正係数kを乗算した補正操作量MV’で電磁弁14を開
閉制御している。この制御により、操作量の変化量ΔM
Vが、ブラインの供給温度Pt1の変化量ΔPVに比例
する。したがって、ブラインの使用温度の下限値PV1
から上限値PV2までの広い温度範囲内において、1セ
ットのPID定数のみで、ブラインの供給温度を所望の
目標温度に調整できる。この結果、1セットのPID定
数のみで、ワークWを設定温度に調整することが可能と
なる。1セットのPID定数を決定すればよいため、そ
の決定作業が簡単になる。また、ユーザ自身が、ワーク
Wの設定温度を簡単に変更することができる。
路11のブラインを電磁弁14を介して二次回路12の
ブラインに混合しているため、第1熱媒体および第2熱
媒体は、同じ物質である。本発明はこの場合に限定され
ず、弁部材により、第2熱媒体との間で熱交換される第
1熱媒体の流量を調整する形態にも適用できる。この場
合には、第1熱媒体と第2熱媒体との間で熱交換を行う
熱交換器が設置され、第1熱媒体および第2熱媒体に異
なる物質を使用することができる。
ともに変わる追値制御に本発明を適用した実施形態につ
いて説明したが、第2熱媒体の目標温度SV(S)が一
定である定値制御に本発明を適用してもよい。この場合
にも、PID定数の値を1セットだけ設定することによ
り、第2熱媒体の使用温度の下限値PV1から上限値P
V2までの広い温度範囲内のうち、固定された所望の目
標温度に、第2熱媒体の供給温度を調整できる。
したプレート24の温度をワーク温度センサ82により
測定することにより検出しているが、ワークWの現在温
度の検出はこの場合に限定されるものではない。図6に
示したように、ワークWの現在温度と負荷回路20から
戻されるブラインの戻り温度との間には、一定の相関関
係がある。したがって、図7に示すブライン供給装置1
0Aのように、戻り温度センサ83を戻り配管65dに
設け、負荷回路20から戻されるブラインの戻り温度P
t3を測定し、この温度Pt3に基づいてワークWの現
在温度を求めてもよい。この他にも、ワーク温度センサ
82をワークWに直接接触させ、ワークW自体の現在温
度を検出してもよい。さらに、ワークWに接触するブラ
インの温度を測定して、ワークWの現在温度を検出して
もよい。
たは最大にする開閉バルブである電磁弁14を例示した
が、弁部材は、第1熱媒体の流量を連続的に変化させる
流量制御バルブであってもよい。
発明によれば、PID演算された操作量MVに補正係数
kを乗算して補正した補正操作量MV’に基づいて弁部
材の作動を制御することにより、操作量の変化量ΔMV
が、第2熱媒体の供給温度の変化量ΔPVに比例する。
したがって、第2熱媒体の使用温度の下限値から上限値
までの広い温度範囲内において、1セットのPID定数
のみで、第2熱媒体の供給温度を所望の温度に調整でき
る。この結果、1セットのPID定数のみで、負荷を設
定温度に調整することが可能となる。1セットのPID
定数を決定すればよいため、その決定作業を簡単に行う
ことができ、ユーザ自身が、負荷の設定温度を簡単に変
更することが可能となる。
体の目標温度が一定である定値制御に適用して好適な温
度制御装置となる。
体の目標温度が時間とともに変わる追値制御に適用して
好適な温度制御装置となる。
の温度、負荷に接触する第2熱媒体の温度、または、負
荷を通過した第2熱媒体の戻り温度を測定することによ
り、負荷の現在の温度を検出し、請求項1に記載の効果
を得る。
に記載の効果に加えてさらに、第1熱媒体の温度を第2
熱媒体の目標温度よりも低い温度に調整しているので、
負荷の温度上昇が大きいときでも、第2熱媒体の目標温
度を直ぐに低くして、負荷の温度を迅速に下げることが
できる。
に記載の効果に加えてさらに、加熱部により第2熱媒体
を加熱して、負荷の温度を所望の温度にまで迅速に高め
ることができる。
開閉バルブまたは流量制御バルブのいずれであっても、
請求項1に記載の効果を得る。
給装置の一実施形態を示す構成図である。
ーラの構成を示すブロック図である。
(0≦k≦1)と、ブライン供給温度Pt1との関係を
示すグラフである。
図である。
負荷の現在温度を検出する実施形態を示す構成図であ
る。
Claims (7)
- 【請求項1】 第1熱媒体の温度を所定の温度に調整す
る一次回路(11)と、 負荷(W)に供給される第2熱媒体を目標温度(SV
(S))に調整する二次回路(12)と、 第2熱媒体に混合される、または、第2熱媒体との間で
熱交換される第1熱媒体の流量を調整する弁部材(1
4)と、 第2熱媒体の現在の供給温度(Pt1)を検出する供給
温度検出部(81)と、 第2熱媒体の目標温度(SV(S))、第2熱媒体の現
在の供給温度(Pt1)、および、予め設定された1セ
ットのPID定数に基づいて、前記弁部材(14)の操
作量(MV)を演算するPID演算部(74)と、 前記PID演算部(74)で演算された操作量(MV)
を補正して補正操作量(MV’)を演算する補正演算部
(75)と、 補正操作量(MV’)に基づいて前記弁部材(14)の
作動を制御する制御部(71)と、を有し、前記補正演算部(75)において操作量(MV)に乗算
される補正係数k(0≦k≦1)は、 k=1−(Pt1−PV1)(1−n)/(PV2−P
V1) ここに、 PV1:第2熱媒体の使用温度の下限値 PV2:第2熱媒体の使用温度の上限値 Pt1:第2熱媒体の現在の供給温度 n :第2熱媒体の供給温度が上限値PV2であると
きの操作量を制限する定数 で定義され、 補正操作量(MV’)に基づいて前記弁部材(14)の
作動を制御することにより、操作量(MV)の変化量
(ΔMV)を、第2熱媒体の現在の供給温度(Pt1)
の変化量(ΔPV)に比例させたことを特徴とする温度
制御装置。 - 【請求項2】 第2熱媒体の目標温度(SV(S))を
設定する設定部(72)をさらに有することを特徴とす
る請求項1に記載の温度制御装置。 - 【請求項3】 負荷の現在の温度(Pt2)を検出する
負荷温度検出部(82)と、 負荷の設定温度(SV(R))を設定する設定部(7
2)と、 負荷の設定温度(SV(R))、負荷の現在の温度(P
t2)、および、第2熱媒体の現在の供給温度(Pt
1)に基づいて、第2熱媒体の目標温度(SV(S))
を演算する目標温度演算部(73)と、をさらに有する
請求項1に記載の温度制御装置。 - 【請求項4】 前記負荷温度検出部(82)は、負荷
(W)自体の温度、負荷(W)に接触する第2熱媒体の
温度、または、負荷(W)を通過した第2熱媒体の戻り
温度を測定することにより、負荷の現在の温度(Pt
2)を検出することを特徴とする請求項3に記載の温度
制御装置。 - 【請求項5】 前記一次回路(11)は、前記弁部材
(14)を通過する第1熱媒体の温度を、第2熱媒体の
目標温度(SV(S))よりも低い温度に調整する請求
項1に記載の温度制御装置。 - 【請求項6】 前記二次回路(12)は、第2熱媒体を
加熱する加熱部(61)をさらに有する請求項1に記載
の温度制御装置。 - 【請求項7】 前記弁部材(14)は、第1熱媒体の流
量をゼロまたは最大にする開閉バルブ、または、第1熱
媒体の流量を連続的に変化させる流量制御バルブである
請求項1に記載の温度制御装置。」である。
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