JP3402672B2 - 透析発酵法 - Google Patents

透析発酵法

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JP3402672B2 JP18614093A JP18614093A JP3402672B2 JP 3402672 B2 JP3402672 B2 JP 3402672B2 JP 18614093 A JP18614093 A JP 18614093A JP 18614093 A JP18614093 A JP 18614093A JP 3402672 B2 JP3402672 B2 JP 3402672B2
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【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、透析発酵法、詳しくは
陽極と陰極の間に陽イオン交換膜と陰イオン交換膜とを
交互に配置してなる電気透析槽の脱塩室に発酵液を供給
して、該発酵液中の発酵生成物を上記電気透析槽の濃縮
室に分離し、電気透析槽の脱塩室より排出される透析処
理液を再度発酵に使用する透析発酵法に関する。 【0002】 【従来の技術】微生物工業において、発酵による目的物
の生産性を向上させる方法として、電気透析槽の脱塩室
に発酵液を供給して、該発酵液中の発酵生成物を上記電
気透析槽の濃縮室に分離し、電気透析槽の脱塩室側より
排出される透析処理液を再度発酵に使用する透析発酵法
が知られている(特開昭63−148979号公報、特
開平2−13386号公報、特開平2−283289号
公報等)。この方法は、発酵液からの目的物質の分離が
きわめて迅速に、かつ容易に行え、しかも、発酵生成物
が分離された透析処理液を再度発酵に使用することによ
り、発酵生成物の発酵液中への過度の蓄積による微生物
の生育阻害といった害をうけることなく効率的に発酵を
行うことができる。 【0003】 【発明が解決しようとしている課題】ところで、こうし
た電気透析を利用した透析発酵法を実施する場合におい
て、前記透析処理液を再度発酵に使用する際には、発酵
における目的物質の生成量を低下させないために、発酵
により消費された分の微生物の生育に必要な培地成分を
該透析処理液に新たに補給しなければならない。しかし
て、こうした培地成分の中には、生育のエネルギー源或
いは細胞の主要構成成分として大量に消費される炭素
源、窒素源、リン酸源等の他に、必要量は少量ながら微
生物の生理作用に重要な役割を果たす金属元素がある。
この金属元素を具体的に示せば、培地液中で一価陽イオ
ンとなるカリウムの他、同じく培地液中で二価陽イオン
となるカルシウム、鉄、マンガン、亜鉛、銅、コバル
ト、モリブデン等の種々の金属元素がある。 【0004】こうした金属元素は、上記した通り微生物
の生育に要求される必要量は少量であり発酵中に消費さ
れる量は僅かにすぎないが、発酵液の電気透析時におい
て多くの量が発酵液から発酵生成物と共に分離される。
従って、上記したように発酵に再使用する透析処理液に
新たに培地成分を補給する際には、炭素源、窒素源、リ
ン酸源等と共にこの各種の金属元素もある程度補給しな
ければ、該透析処理液を発酵に再使用しても目的物質の
充分な生成能力が維持できない。しかして、こうした透
析処理液に補給する金属元素のうち、培地液中で一価陽
イオンとなるカリウムは、通常、リン酸二水素カリウム
もしくはリン酸一水素カリウム等の形態で透析処理液に
加えられるリン酸源、または培地のPH調節剤として加
えられるカリウム塩等により補われるため、特に留意し
なくても補給される。従って、この培地成分の補給に際
し、前記の炭素源、窒素源、リン酸源等の他に新たに別
に加えなければならない金属元素は、主には前記例示し
たような培地液中で二価陽イオンとなる金属元素であ
る。 【0005】ところが、培地成分において、こうした二
価陽イオンとなる金属元素は、前記の如く多種類であ
り、こうした金属元素を個別に補給することは極めて煩
雑である。また、かかる金属元素を、該金属元素があま
ねく含有される酵母エキス等の添加により補給すること
も、比較的高価な試薬である該酵母エキスの使用量の増
大につながり経済的でない。 【0006】以上の背景から本発明は、透析発酵法にお
いて、電気透析槽の脱塩室側より排出される透析処理液
を再度発酵に使用するに際し、新たに二価陽イオンとな
る種々の微量金属元素を補給しなくても、発酵における
目的物質の充分な生成能力が維持される方法を提供する
ことを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するため鋭意研究を続けてきた。その結果、透
析発酵法に適用する電気透析槽として、特定の陽イオン
交換膜を採用したものを用いることにより、上記の課題
が解決できることを見いだし本発明を提案するに至っ
た。 【0008】即ち、本発明は、陽極と陰極の間に陽イオ
ン交換膜と陰イオン交換膜とを交互に配置してなる電気
透析槽の脱塩室に発酵液を供給して、該発酵液中の発酵
生成物を上記電気透析槽の濃縮室に分離し、電気透析槽
の脱塩室より排出される透析処理液を再度発酵に使用す
る透析発酵法において、電気透析槽に配置する陽イオン
交換膜として、少なくとも一方の膜表層部に陰イオン交
換基が存在する陽イオン交換膜を使用することを特徴と
する透析発酵法である。 【0009】本発明において発酵は、発酵生成物が電解
質であるものであれば、公知のどのような発酵にも適用
することが出来る。例えば、グルタミン酸発酵、リジン
発酵、バリン発酵、オルチニン発酵、スレオニン発酵、
イソロイシン発酵等のアミノ酸発酵;イノシン酸発酵、
グアニル酸発酵等の核酸発酵;クエン酸発酵、フマール
酸発酵、グルコン酸発酵、乳酸発酵、コハク酸発酵、酢
酸発酵、リンゴ酸発酵などの有機酸発酵などが挙げられ
る。 【0010】また、本発明における発酵で用いる微生物
の種類、培地の組成、培養温度、発酵液のpH、通気攪
拌の程度などの培養上の諸条件は、上記した種々の発酵
において適用される公知の条件が何等制限無く採用され
る。 【0011】この際使用する培地としては、主炭素源の
他、窒素源、無機物その他の生育促進物質を程よく含有
する培地ならば合成培地または天然培地のいずれでも使
用可能である。電気透析を行う際に、イオン交換膜の目
詰まり、劣化などが生じて電圧が異常に上昇して電流効
率が低下することを防止する観点からは、合成培地を用
いることが望ましい。 【0012】例えばよく用いる炭素源としては、シュク
ロース、ガラクトース、フラクトース、グルコース、デ
ンプン、マルトース、キシロース、ラクトース等の糖
類;メタノール、エタノール、n−プロピルアルコー
ル、グリセリン等のアルコール類;n−パラフィン等の
鎖状炭化水素などがあり、これらを混合して使用する場
合もある。窒素源としては、ポリペプトン、アンモニ
ア、硫安、硝安、塩安、リン安、尿素、酢酸アンモニウ
ム、クエン酸アンモニウム等の無機若しくは有機窒素化
合物が使用される。通常はこれらに、リン酸源、カリウ
ム源、マグネシウム源、硫黄源としてこれらの金属塩、
例えば上記リン酸源及びカリウム源であればリン酸二水
素カリウム、リン酸一水素カリウム等を加える。さら
に、ビオチン、チアミン、酵母エキス等の生育促進物質
やpH調節剤として炭酸カルシウム、苛性ソーダを加え
ることもある。また、可逆的に酸化還元を受ける物質を
培地中に存在させておくことは好ましい態様である。こ
のような物質としては、鉄、マンガン、銅、亜鉛、コバ
ルトなどの金属がある。これらの物質の使用量として
は、特に制限されないが、発酵生産量を勘案すると、一
般に発酵液中に1mg〜1000mg/リットルの範囲
で使用することが好ましい。 【0013】本発明において、発酵で使用する微生物と
しては、菌体の培養液をそのまま、または公知の方法で
菌体を固定化したもの等を何等制限されることなく使用
できる。 【0014】本発明の最大の特徴は、以上のような発酵
を電気透析を利用した透析発酵法により行うに際し、電
気透析槽に配置する陽イオン交換膜として、少なくとも
一方の膜表層部に陰イオン交換基が存在する陽イオン交
換膜を用いた点にある。このように透析発酵法に適用す
る電気透析槽の陽イオン交換膜として上記のような特定
の構造にあるイオン交換膜を用いた場合、電気透析にお
いて、発酵の必要成分である二価の金属イオン等が発酵
液から分離されることが防止され、結果として、得られ
る透析処理液は再度発酵に使用しても目的物質の生成能
力が高く維持される。 【0015】本発明において、上記の少なくとも一方の
膜表層部に陰イオン交換基が存在する陽イオン交換膜
は、かかる構造のイオン交換膜として公知のものが何等
制限されることなく使用される。具体的には、特公昭6
0−43857号公報、特公昭62−5179号公報、
特開昭62−205135号公報等により公知である。
こうした陽イオン交換膜の陽イオン交換基としては、ス
ルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基、硫酸エステ
ル基、リン酸エステル基等やこれらのイオン交換基の複
数種類を併用させたものが挙げられる。また、この陽イ
オン交換膜の膜表層部に存在させる陰イオン交換基とし
ては、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、4
級アンモニウム基、さらにこれらのイオン交換基の複数
種類を併用させたものが挙げられる。こうした陰イオン
交換基の存在量は、特に制限されるものではないが、一
般的には0.0001〜1.0meq/gであるのが好
ましい。なお、この陽イオン交換膜は、重合型、縮合
型、均一型、不均一型の別なく、また、補強心材の有無
や、炭化水素系のもの、ふっ素系のもの、材料・製造方
法に由来する陽イオン交換膜の種類、型式などの別なく
如何なるものであっても良い。さらに、2N−食塩水溶
液を5A/dm2の電流密度で電気透析し、電流効率が
70%以上の実質的に陽イオン交換膜として機能するも
のであれば、一般に両性イオン交換膜と称されるもので
あっても本発明の陽イオン交換膜として使用できる。本
発明において、この陽イオン交換膜は、通常、イオン交
換容量が0.1〜20meq/g好適には0.5〜3.
0meq/gであり、また、 【0016】 【数1】 【0017】のものを使用するのが好ましい。 【0018】本発明において、好適に使用される少なく
とも一方の膜表層部に陰イオン交換基が存在する陽イオ
ン交換膜を例示すれば、例えば以下の製造方法により得
られるものが挙げられる。即ち、布基材とスチレン/ジ
ビニルベンゼン重合体からなる高分子膜状物をクロルス
ルホン酸/硫酸混合溶液へ浸漬してベンゼン環にスルホ
ニルクロライド基を導入し、ついでこの膜状物の表面で
スルホニルクロライドとポリエチレンイミン等の多価の
アミノ基を有するポリアミンとを結合させ、さらに、膜
の内部のスルホニルクロライド基を水酸化ナトリウム溶
液で加水分解させて得たものである。 【0019】また、他のものとして、3価の3級アミン
であるペンタメチルイミノビスプロピルアミンを3倍量
のクロルメチルスチレンと反応させて第4級アンモニウ
ム塩基とビニルベンジル基とを3固有する化合物を得、
ついで、この化合物の水溶液中に陽イオン交換膜を浸漬
し陽イオン交換膜の表面部分に該化合物を吸着させ、さ
らに、膜表面のビニル基を重合させて得たものが挙げら
れる。 【0020】一方、本発明において、発酵液の電気透析
に用いる陰イオン交換膜は、特に限定されず、公知の陰
イオン交換膜を用いることが出来る。例えば、1級アミ
ノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、4級アンモニウム
基、さらにこれらのイオン交換基が複数混在した陰イオ
ン交換膜を使用できる。また、該陰イオン交換膜は、重
合型、縮合型、均一型、不均一型の別なく、また、補強
心材の有無や、炭化水素系のもの、ふっ素系のもの、材
料・製造方法に由来する陰イオン交換膜の種類、型式な
どの別なく如何なるものであっても良い。さらに、2N
−食塩溶液を5A/dm2の電流密度で電気透析し、電
流効率が70%以上の実質的に陰イオン交換膜として機
能するものであれば、一般に両性イオン交換膜と称され
るものであっても本発明の陰イオン交換膜として使用で
きる。 【0021】なお、本発明において陽イオン交換膜及び
陰イオン交換膜は、紫外線、アルコール、界面活性剤、
殺菌剤、酸、塩基、塩や熱などによって滅菌処理が可能
でかつ洗浄操作が行えるものが好ましい。 【0022】次に、本発明において、上記説明した陽イ
オン交換膜及び陰イオン交換膜が設置される電気透析槽
は、陽極と陰極の間に陽イオン交換膜と陰イオン交換膜
が交互配置されてなる構造の公知の電気透析槽が何等制
限なく使用できる。図1に、本発明で用いられる電気透
析槽の代表的態様の模式図を示す。即ち、図1は陽極3
と陰極4との間に陰イオン交換膜(A)と陽イオン交換
膜(C)を交互に配置した電気透析槽である。この電気
透析槽では陽極側から陽極室1、濃縮室5、脱塩室6、
濃縮室5、脱塩室6、陰極室2に分かれている。そし
て、発酵槽11は電気透析槽の脱塩室タンク9と連結し
ている。 【0023】こうした構造の電気透析槽において、発酵
液の電気透析は、まず、発酵槽11で培養された発酵液
が脱塩室6に導かれ、次いで、該脱塩室6において発酵
生成物が陰陽イオン交換膜を通過して濃縮室5へと移動
することにより行われる。この時、発酵液は、電気透析
槽の目詰まりを防ぐ意味から、あらかじめ限外ろ過また
はマイクロろ過または遠心分離により不溶性懸濁物を除
き、清澄な状態としておくのが好ましい。 【0024】一方、透析処理液は発酵槽11に回収され
る。濃縮室5に移動した発酵生成物は、濃縮室5に循環
されている濃縮液とともに濃縮液タンク8に回収され
る。なお、発酵槽11から電気透析槽への発酵液の供給
は、発酵槽11において一定時間発酵を行うごとに該発
酵槽11から発酵液を断続的に電気透析槽へ供給しても
良いし、発酵槽11から発酵液の一部を連続的に電気透
析槽へ供給し、発酵と電気透析とが並行して行われるよ
うにしても良い。また、図1では、発酵槽11と電気透
析槽とが独立して設けられており、発酵と電気透析が別
個の槽で行われているが、これら二つの槽を兼用して、
発酵を脱塩室およびまたは陰極室の中で行うこともでき
る。 【0025】前記図1に示した電気透析槽において陽極
3としては、白金、黒鉛、ニッケル等が、また陰極4と
しては白金、鉄、ステンレス鋼、ニッケル等が好適に用
いられる。陽極液1、および陰極液2には、公知のもの
が用い得るが、一般には陰・陽極液として硫酸、硫酸ナ
トリウム、苛性ソーダの水溶液が用いられる。また陰極
液を用いないで、発酵液を陰極室に通じることもでき
る。 【0026】本発明において、こうした電気透析槽によ
る発酵液の透析は、特に制限されるものではなく、公知
の電気透析の運転条件で実施することができる。一般に
は電圧が0.1ボルトから5ボルト/セル、電流密度が
0.1から20アンペア/dm2の範囲から選択されて
行われる。なお、透析発酵を長期に渡って連続運転する
場合、セル電圧が上昇することがあるが、この時は、電
気透析槽内を界面活性剤、殺菌剤、酸、塩基、塩、酸化
剤、還元剤、発泡剤などによって滅菌処理や洗浄操作を
行うことによって、電気透析性能の劣化を最小限にする
ことができる。 【0027】 【発明の効果】通常、電気透析を利用した透析発酵法で
は、透析処理液を、発酵により消費された炭素源、窒素
源、リン酸源を補給しながら再度発酵に使用したとして
も、電気透析において微生物の生育に必要な二価の金属
イオンが発酵液より分離されるため、目的物質の生成能
力が除除に低下してくる。ところが、電気透析槽に配置
される陽イオン交換膜として前記したような少なくとも
一方の膜表層部に陰イオン交換基が存在する特定の陽イ
オン交換膜を用いる本発明の透析発酵法によれば、電気
透析時においてこうした発酵液からの二価金属イオンの
分離消失が防止されるため、結果として、透析処理液を
再度発酵に使用してもその目的物質の生成能力は高く維
持される。 【0028】また、本発明の透析発酵法によれば、電気
透析により濃縮された発酵生成物中に混入する多価金属
イオンの濃度が減少するので、発酵生成物の精製が容易
となる。更に特筆すべきは、同様に発酵生成物中に混入
する発酵液中の炭素源、アミノ酸などの栄養源の濃度も
著しく減少させることが出来る。 【0029】 【実施例】本発明を更に具体的に説明するために下記に
実施例及び比較例を挙げて説明するが、本発明はこれら
の実施例に限定されるものではない. 実施例1 種菌として、L−乳酸生産菌であるラクトバチラス・デ
ルプルツキーIF03534を用いた。グルコース10
g/l、ポリペプトン50g/l,酵母エキス5g/l
からなる液体培地(pH7.0)10mlを中型試験管
に分注し、121℃、15分間高圧蒸気滅菌を行った。
これに種菌を1白金耳接種し、45℃で24時間静置培
養を行った。この培養液10mlを100mlの同様に
滅菌したグルコース10g/l、ポリペプトン10g/
l、酵母エキス5g/l、酢酸ナトリウム10g/lか
らなる液体培地(pH6.8)に接種し、45℃で15
時間静置培養することで種母を調整した。 【0030】本培養の培地としては、グルコース100
g/l、酵母エキス20g/l、ポリペプトン8g/
l、リン酸二水素カリウム0.3g/l、硫酸マグネシ
ウム0.5g/lを用いた。20リットル容ガラス製発
酵槽に上記の培地10リットルを分注し、滅菌後、室温
まで冷却したところで前記種母1リットルを接種し、p
Hを苛性ソーダ水溶液で6に調製しながら45℃で静か
に攪はんし培養を2日間行った。 【0031】この発酵液を遠心分離して清澄な溶液を
得、この液を電気透析に供した。この液の成分を表1
(電気透析前)に示した。 【0032】本発明に使用する陽イオン交換膜を以下の
ようにして得た。まず、3価の3級アミンであるペンタ
メチルイミノビスプロピルアミン20.1g(0.1m
ol)とクロルメチルスチレン46g(0.3mol)
をメタノール200ml中にて48時間反応させ、第4
級アンモニウム塩基とビニルベンジル基を各3固有する
化合物を得た。この化合物の1000ppmを含む水溶
液中に徳山曹達社製陽イオン交換膜ネオセプタCM−1
を30℃で2時間浸漬し、ついで、窒素雰囲気下、重合
開始剤として過硫酸カリウムおよび亜硫酸ナトリウムを
それぞれ1000ppmになるように加え10時間激し
く攪はんした。このようにして陽イオン交換膜を得た。
なお、この陽イオン交換膜は、イオン交換容量が2.2
0meq/gであり、膜表層部の陰イオン交換性物質の
存在量は0.04meq/gであり、 【0033】 【数2】 【0034】は0.10であった。 【0035】陰イオン交換膜は徳山曹達社製陰イオン交
換膜ネオセプタAMXを使用した。電気透析槽は徳山曹
達社製電気透析槽TS−2(有効膜面積:2dm2
枚)を使用した。陰イオン交換膜10枚、陽イオン交換
膜11枚を交互に積層して電気透析槽とした。濃縮室に
11.2g/lの乳酸ナトリウム液0.72リットル
を、脱塩室に上記した遠心分離して得た清澄な発酵液を
5リットル給液した。電流密度は3アンペア/dm
2で、2時間通電した。電気透析後の液量、成分を表1
(電気透析後実施例1)に示した。濃縮室の液量は2.
0リットルに増加し、乳酸ナトリウムの濃度は224g
/l、マグネシウム濃度は15ppm、グルコース、ア
ミノ酸の濃度はそれぞれ、0.52g/l、0.22g
/lであった。 【0036】透析処理液である上記の脱塩室溶液に水、
グルコース、リン酸二水素カリウム、硫酸マグネシウム
を添加して、それぞれ濃度が、グルコース100g/
l、リン酸二水素カリウム0.3g/l、硫酸マグネシ
ウム0.5g/lになるように再調整して本培地とし、
該脱塩室溶液を再度発酵に供した。20リットル容ガラ
ス製発酵槽に上記の培地10リットルを分注し、前記種
母1リットルを接種し、pHを苛性ソーダ水溶液で6に
調製しながら45℃で静かに攪はんし培養を2日間行っ
た。 【0037】この発酵液を遠心分離して清澄な溶液を
得、この液の中の乳酸ナトリウム濃度を測定したとこ
ろ、該濃度は108g/lであり、培地の乳酸製造能力
はほとんど低下していなかった。 【0038】比較例1 実施例1で陽イオン交換膜としてネオセプタCM−1を
使用した以外は、同一の操作を行い脱塩室中の乳酸ナト
リウム濃度が32.3g/lになるまで電気透析した。
このときの濃縮室、脱塩室の液量、成分を表1(電気透
析後比較例1)に示した。濃縮室のマグネシウム濃度は
180ppmであり、実施例に比べて著しく多かった。
また、グルコース、アミノ酸も、実施例に比べて濃縮室
への漏洩が多かった。 【0039】透析処理液である上記の脱塩室溶液に水、
グルコース、リン酸二水素カリウム、硫酸マグネシウム
を添加して濃度が、グルコース100g/l、リン酸二
水素カリウム0.3g/l、硫酸マグネシウム0.5g
/lになるように再調整して本培地とし、該脱塩室溶液
を再度発酵に供した。20リットル容ガラス製発酵槽に
上記の培地10リットルを分注し、前記種母1リットル
を接種し、pHを苛性ソーダ水溶液で6に調製しながら
45℃で静かに攪はんし培養を2日間行った。 【0040】この発酵液を遠心分離して清澄な溶液を
得、この液の中の乳酸ナトリウム濃度を測定したとこ
ろ、該濃度は96g/lしかなかった。 【0041】 【表1】【0042】実施例2 種菌として、クエン酸生産能を有するキャンディダ・ギ
ヤマンディIFO 0566を用いた。シュクロース5
0g/l、アスパラギン2.5g/l、リン酸二水素カ
リウム0.4g/l、硫酸マグネシウム0.5g/lか
らなる液体培地に斜面培地から1白金耳接種し、30℃
で2日間振とう培養後遠心分離によって集菌した。 【0043】本培養の培地としては、シュクロース10
0g/l、塩化アンモニウム4g/l、リン酸二水素カ
リウム0.4g/l、硫酸マグネシウム0.5g/l、
酵母エキス1g/lからなる液体培地を用い、これに菌
体1gを接種し、30℃、200rpmの通気攪はんを
行い苛性ソーダ水溶液を加えることでpHを5.0に制
御しながら4日間発酵を行った。 【0044】この発酵液を遠心分離して清澄な溶液を
得、この液を電気透析に供した。この液の成分を表2
(電気透析前)に示した。 【0045】陽イオン交換膜は以下のようにして得た。
ポリ塩化ビニル布基材とスチレン/ジビニルベンゼン重
合体を主成分とする高分子膜状物を、クロルスルホン酸
/硫酸(1:1)混合溶液へ40℃、30分浸漬してベ
ンゼン環にスルホニルクロライド基を導入した。その
後、硫酸で順次希釈し水洗してスルホニルクロライド基
を有する高分子膜状物を得た。ついで、この膜状物を1
0%ポリエチレンイミン水溶液中に25℃で24時間浸
漬し、スルホニルクロライド基とポリエチレンイミンと
を結合させた。そして、膜の内部のスルホニルクロライ
ド基を10%水酸化ナトリウム水溶液で加水分解させて
陽イオン交換膜を得た。なお、この陽イオン交換膜は、
イオン交換容量が2.00meq/gであり、膜表層部
の陰イオン交換性物質の存在量は0.05meq/gで
あり、 【0046】 【数3】 【0047】は0.12であった。 【0048】陰イオン交換膜は徳山曹達社製陰イオン交
換膜ネオセプタAMXを使用した。 【0049】電気透析槽は徳山曹達社製電気透析槽TS
−2(有効膜面積:2dm2/枚)を使用した。陰イオ
ン交換膜10枚、陽イオン交換膜11枚を交互に積層し
て電気透析槽とした。濃縮室に8.6g/lのクエン酸
ナトリウム液を、脱塩室に上記した遠心分離して得た清
澄な発酵液を給液した。電流密度は3アンペア/dm2
で、2時間通電した。電気透析後の液量、成分を表2
(電気透析後実施例2)に示した。 【0050】透析処理液である上記の脱塩室溶液に水、
シュクロース、塩化アンモニウム、リン酸二水素カリウ
ム、硫酸マグネシウムを添加して濃度が、シュクロース
100g/l、塩化アンモニウム4g/l、リン酸二水
素カリウム0.4g/l、硫酸マグネシウム0.5g/
lとなるように再調整して本培地とし、該脱塩室溶液を
再度発酵に供した。これに菌体1gを接種し、30℃、
200rpmの通気攪はんを行いpHを苛性ソーダ水溶
液を加えることで5.0に制御しながら4日間発酵を行
った。 【0051】この発酵液を遠心分離して清澄な溶液を
得、この液の中のクエン酸ナトリウム濃度を測定したと
ころ、該濃度は88g/lであり、培地のクエン酸製造
能力はほとんど低下していなかった。 【0052】比較例2 実施例2で陽イオン交換膜としてポリエチレンイミン処
理をしていないものを使用した他は、同一の操作を行っ
た。脱塩室溶液中のクエン酸ナトリウム濃度が、12.
4g/lになるまで電気透析した。このときの濃縮室、
脱塩室の液量、成分組成を表2(電気透析後比較例2)
に示した。濃縮室のマグネシウム濃度は188ppmで
あり、実施例に比べて著しく多かった。また、グルコー
ス、アミノ酸も、実施例に比べて濃縮室への漏洩が多か
った。 【0053】透析処理液である上記の脱塩室溶液に水、
シュクロース、塩化アンモニウム、リン酸二水素カリウ
ム、硫酸マグネシウムを添加して濃度が、シュクロース
100g/l、塩化アンモニウム4g/l、リン酸二水
素カリウム0.4g/l、硫酸マグネシウム0.5g/
lとなるように再調整して本培地とし、該脱塩室溶液を
再度発酵に供した。これに菌体1gを接種し、30℃、
200rpmの通気攪はんを行いpHを苛性ソーダ水溶
液を加えることで5.0に制御しながら4日間発酵を行
った。 【0054】この発酵液を遠心分離して清澄な溶液を
得、この液の中のクエン酸ナトリウム濃度を測定したと
ころ、該濃度は76g/lしかなかった。 【0055】 【表2】
【図面の簡単な説明】 【図1】図1は、本発明の透析発酵に使用する電気透析
槽の代表的態様の模式図である。 【符号の説明】 1 陽極室(液) 2 陰極室(液) 3 陽極 4 陰極 5 濃縮室 6 脱塩室 7 電極液タンク 8 濃縮液タンク 9 脱塩液タンク 10直流電源 11発酵槽 C 陽イオン交換膜 A 陰イオン交換膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−148979(JP,A) 特開 昭62−205135(JP,A) 特開 昭54−158388(JP,A) 特開 昭56−50933(JP,A) 特開 昭52−136985(JP,A) 特開 平4−71483(JP,A) 特開 平4−171001(JP,A) 化学装置(1982),Vol.24,N o.6,p.31−39 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 1/00 C12M 1/00 C12P 1/00 - 11/00 C02F 1/42 JICSTファイル(JOIS)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】陽極と陰極の間に陽イオン交換膜と陰イオ
    ン交換膜とを交互に配置してなる電気透析槽の脱塩室に
    発酵液を供給して、該発酵液中の発酵生成物を上記電気
    透析槽の濃縮室に分離し、電気透析槽の脱塩室より排出
    される透析処理液を再度発酵に使用する透析発酵法にお
    いて、電気透析槽に配置する陽イオン交換膜として、少
    なくとも一方の膜表層部に陰イオン交換基が存在する陽
    イオン交換膜を使用することを特徴とする透析発酵法。
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化学装置(1982),Vol.24,No.6,p.31−39

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