JP3401557B2 - 光触媒を用いた汚染物質除去方法 - Google Patents

光触媒を用いた汚染物質除去方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光触媒を用いた汚
染物質除去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光触媒により、実用レベルで処理できる
排水は限られている。これは、多くの有害物質に対して
現在の光触媒の処理効率が十分でないことによる。効率
向上の方法として、光触媒への白金の担持や不純物のド
ーピングがあるがその効果は不十分であり、また後者は
安定した結果が得られていない。
【0003】
【発明が解決しょうとする課題】本発明は、有害物質の
分解効率が高く、長時間使用できる高機能光触媒を用い
たカチオン基を有する汚染物質を除去する方法を提供す
ることを目的とする。
【0004】
【課題の解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意研究を重ねた結果、水中で正電荷を持っ
ている有害物質の多いことが解った。このような正電荷
を有する有害物質を効率よく分解するには、光触媒に有
害物質をできるだけ近づければ良いことを見いだして本
発明を完成させるに至った。すなわち、アニオン基を有
するポリマーで、TiO2の球状光触媒の表面を部分的に被
覆することにより、正荷電を持つ有害物質に対して、大
きな光触媒機能を示すことを見出し、この知見に基づき
本発明をなすに至った。本発明の汚染物質を除去する方
において、球状光触媒の表面をアニオン基を有するポ
リマーで部分的に被覆するには、アニオン基を有するポ
リマーを溶剤に溶解させ、濃度を薄くすることにより、
溶剤を揮発させて乾燥させたとき、TiO2の球状光触媒の
表面のところどころにポリマーが絡み付いた状態を作り
出すことが出来る。TiO2の光触媒の全体をアニオン基を
有するポリマーで被覆してしまうと、光と水が同時に触
媒の周りに存在する機会が少なくなるため、触媒の一部
は、露出していることが必要である。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明で用いる光触媒は、二酸化
チタンである。光触媒は、粉末状でも、粉末を固定化し
たものでも、また、ゾル−ゲル法や蒸着法で調製したフ
ィルム状でも用いることができる。これらの光触媒と、
アニオン基を有するポリマーと溶剤とを混合し、撹拌し
た後、乾燥するか、フィルム等の上に光触媒を固定した
ものに、アニオン基を有するポリマーを溶解した溶液を
塗布し乾燥させる。アニオン基を有するポリマーとして
は、ペルフルオロスルホン酸とポリテトラフルオロエチ
レンの共重合体(ナフィオンデュポン社商品名)、フレ
ミオン(旭硝子<株>商品名)、ポリスチレンスルフォ
ン酸、ポリビニールスルフォン酸等があげられるが、光
触媒の分解に対して強い抵抗力があるため、ペルフルオ
ロスルホン酸とポリテトラフルオロエチレンの共重合体
(ナフィオン)が好ましい。ポリマーは、線状のものが
好ましく、水に不溶性で有機溶剤に可溶性であることが
必要であり、分子量は500,000〜1,000,0
00程度が好ましい。アニオン基を有するポリマーの使
用量は、光触媒粉末1gに対して、5重量%溶液の0.05
〜5 mlの割合が好ましく、0.1〜0.4 mlがさらに好まし
い。また、固定化光触媒に対しては、表面積20cm2
り、5重量%溶液の0.1〜1 mlが好ましく、0.1〜0.3 ml
がさらに好ましい。混合および塗布は均一になるように
行い、その後、室温で乾燥する。
【0006】本発明で用いる光触媒は、正イオンを有す
る有害物質に効果的である。例えばアミン化合物やイミ
ン、ピリジン化合物およびそれらの塩等にとくに有効で
ある。本発明で用いる光触媒を用いて、水中に含まれる
これらの化合物を高い効率で分解することができる。分
解処理は、処理対象の排水を光触媒と接触させて、紫外
光を照射することにより行うことができる。本発明で用
いる光触媒の適用対象は、水中の有害物質のみならず、
気体状のアミン類等の有害気体をもその対象とするもの
である。照射光源としては、好ましくは380 nmより短波
長の光を含む光源を用い、このようなものとして例え
ば、低圧又は高圧水銀灯、キセノンランプ、ハロゲンラ
ンプ、ブラックライト、太陽光などがあげられる。本発
で用いる光触媒が何故効率よく正イオンを有する有機
物を分解することができるのか、その機構は正確には解
っていないが、光触媒の表面上にあるポリマーのアニオ
ン基が、正イオンを有する有機物を光触媒に引きつけ、
至近距離で光触媒が放つ水酸基ラジカルが、効率よく正
イオンを有する有機物を攻撃できるためであると考えら
れる。
【0007】本発明の実施の形態をまとめると以下のと
おりである。 (1) アニオン基を有するポリマーで、TiO 2 の球状光
触媒の表面を部分的に被覆した高機能性光触媒を、カチ
オン基を有する汚染物質を含む水に入れて、380nm
より短波長の光を含む光源からの光を照射し、カチオン
を分解することにより、水中のカチオン基を有する汚染
物質を除去する方法。 (2) アニオン基を有するポリマーで、TiO 2 の球状光
触媒の表面を部分的に被覆した高機能性光触媒を、カチ
オン基を有する汚染物質を含む空気に触れさせ、高機能
性光触媒に380nmより短波長の光を含む光源からの
光を照射し、カチオンを分解することにより、空気中の
カチオン基を有する汚染物質を除去する方法。 (3) 前記高機能性光触媒が、TiO 2 光触媒1gに対し
て、アニオン基を有するポリマー5重量%溶液0.1m
l〜0.4mlで処理したTiO 2 光触媒である上記1又は
上記2に記載されたカチオン基を有する汚染物質を除去
する方法。 (4) アニオン基を有するポリマーがペルフルオロス
ルホン酸とポリテトラフルオロエチレンの共重合体であ
る上記3に記載されたカチオン基を有する汚染物質を除
去する方法。 (5) TiO 2 光触媒が基板上に固定化されている上記1
又は上記2に記載されたカチオン基を有する汚染物質を
除去する方法。
【0008】実施例 次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明する
が、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。 実施例1 5重量%のペルフルオロスルホン酸とポリテトラフルオ
ロエチレンの共重合体(ナフィオン)溶液の0.2 mlにメ
タノールを1ml加え、これを2gの二酸化チタン粉末
(平均粒径0.15μm)と混合した後に、室温で一昼夜
乾燥した。このペルフルオロスルホン酸とポリテトラフ
ルオロエチレンの共重合体(ナフィオン)を被覆した二
酸化チタンの2gを、除草剤パラコートの10-4 mol l-1
(26 ppm)溶液の500 ml中に懸濁させた。この懸濁液を
液の中央に設置した6Wのブラックライトで照射した。
最初、光触媒なしに、120分間懸濁液を攪拌することに
より、初期濃度の10%が減少した。この後、光照射を開
始して、20分後に75%が分解し、90分で100%が分解し
た。比較のために行った、ペルフルオロスルホン酸とポ
リテトラフルオロエチレンの共重合体(ナフィオン)を
被覆しない二酸化チタンでは20分で25%、60分で55%が
分解したのみであった。
【0009】実施例2 二酸化チタン2gに対して、ペルフルオロスルホン酸と
ポリテトラフルオロエチレンの共重合体(ナフィオン)
溶液が2mlである他は、実施例1と同様の実験を行っ
た。最初に、光照射を行わずに、120分間攪拌すること
により、初期濃度の50%が減少した。これは吸着による
と思われる。この後、5分間の照射で、3%のみが検出
された。
【0010】実施例3 パラコートの代わりに、10-4 mol l-1のエチルアミン
(6.9 ppm)について、実施例1と同様の実験を行っ
た。5分間の照射で55%が分解し、10分間で80%が分解
した。ペルフルオロスルホン酸とポリテトラフルオロエ
チレンの共重合体(ナフィオン)を被覆しない二酸化チ
タンでは、5分間では分解はほとんど起らず、10分間で
20%が分解したのみであった。
【0011】実施例4 45×45 mmのガラス板上にゾルゲル法で調製した二酸化
チタン薄膜に、5重量%のペルフルオロスルホン酸とポ
リテトラフルオロエチレンの共重合体(ナフィオン)溶
液の0.2 mlを0.5 mlのメチルアルコールで稀釈して、均
一に塗布した後に、室温で24時間乾燥した。この乾板を
50(横)×50(縦)×10(厚さ)mmのパイレックスガラ
ス製のセルに入れ、10-4 mol l-1のパラコート溶液15
mlを加えて、500Wの高圧水銀灯で照射した。最初、光
照射無しの90分間の攪拌で、10%が減少した。次で、光
照射を行い、60分間で初期濃度の75%が減少した。
【0012】実施例5 ペルフルオロスルホン酸とポリテトラフルオロエチレン
の共重合体(ナフィオン)被覆膜の安定性を調べるため
に、パラコートの代わりに脱イオン水を用いて、実施例
1と同様の実験を行った。光照射なしの27時間で、4.5×
10-5 mol l-1の硫酸イオンと3ppmのTOCが検出さ
れ、これは51時間まで、ほぼ変化がなかった。硫酸イオ
ンは二酸化チタンより、またTOCはペルフルオロスル
ホン酸とポリテトラフルオロエチレンの共重合体(ナフ
ィオン)中の不純物より生じたものと思われる。この
後、19日まで連続して光照射を行い、適当な時間間隔で
サンプリングを行った。硫酸イオンは変化なく、TOC
はやや減少した。この結果は、この時間内ではペルフル
オロスルホン酸とポリテトラフルオロエチレンの共重合
体(ナフィオン)が安定であることを示している。
【0013】実施例6 繰り返し用いた時の本光触媒の再現性を確認するため
に、実施例1の実験が終了後に、光触媒を回収して、新
しいパラコート溶液を加え、同様の条件で光照射を行っ
た。これを5回繰り返し、各回で分解効率を測定した結
果、光触媒の効率の劣化は見られなかった。
【0014】
【発明の効果】本発明のカチオン基を有する汚染物質を
除去する方法は、有効であることが確かめられた。ま
た、本発明で用いる高機能性光触媒は、効率良く正電荷
をもつ有機物を分解することが確認された。さらに、こ
光触媒自身の効率は、長時間に亘って低下することが
ないことも確認された。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C09K 3/00 B01D 53/36 J

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アニオン基を有するポリマーで、TiO 2
    球状光触媒の表面を部分的に被覆した高機能性光触媒
    を、カチオン基を有する汚染物質を含む水に入れて、3
    80nmより短波長の光を含む光源からの光を照射し、
    カチオンを分解することにより、水中のカチオン基を有
    する汚染物質を除去する方法。
  2. 【請求項2】 アニオン基を有するポリマーで、TiO 2
    球状光触媒の表面を部分的に被覆した高機能性光触媒
    を、カチオン基を有する汚染物質を含む空気に触れさ
    せ、高機能性光触媒に380nmより短波長の光を含む
    光源からの光を照射し、カチオンを分解することによ
    り、空気中のカチオン基を有する汚染物質を除去する方
    法。
  3. 【請求項3】 前記高機能性光触媒が、TiO 2 光触媒1g
    に対して、アニオン基を有するポリマー5重量%溶液
    0.1ml〜0.4mlで処理したTiO 2 光触媒である請
    求項1又は請求項2に記載されたカチオン基を有する汚
    染物質を除去する方法。
  4. 【請求項4】 アニオン基を有するポリマーがペルフル
    オロスルホン酸とポリテトラフルオロエチレンの共重合
    体である請求項3に記載されたカチオン基を有する汚染
    物質を除去する方法。
  5. 【請求項5】 TiO 2 光触媒が基板上に固定化されている
    請求項1又は請求項2に記載されたカチオン基を有する
    汚染物質を除去する方法。
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