JP3398921B2 - 蓄電池内部抵抗測定装置 - Google Patents

蓄電池内部抵抗測定装置

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好孝 紺屋
和夫 高野
輝道 高崎
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株式会社エヌ・ティ・ティ ファシリティーズ
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、蓄電池の内部抵抗を求
める蓄電池内部抵抗測定装置の測定精度向上に関するも
のである。 【0002】 【従来の技術】図4は蓄電池の使用例を示すシステム構
成図である。この図において、10は商用電源、20は
整流器、30は蓄電池、40は負荷である。整流器20
は入力端子と出力端子とを備えており、その入力端子に
は商用電源10が接続され、出力端子には蓄電池30と
負荷40とが並列に接続される。整流器20は商用電源
10から交流電力を受電し、それを直流電力に変換し
て、蓄電池30を充電するとともに負荷40に給電す
る。また、商用電源10の停電時と、整流器20の故障
時と、負荷40の過負荷時とには、蓄電池30が放電す
ることによって、瞬断することなく負荷40に給電し続
ける。 【0003】一般に蓄電池は、単電池又は単位電池を何
個か直列に接続した組電池の形態で使用する。公称電圧
2V/セルの鉛蓄電池を例にとると、単電池24個(2
4セル)を直列に接続して48V系組電池として使用し
たり、6セル構成の単位電池9個(54セル)を直列に
接続して100V系組電池として使用したりする。図4
の蓄電池30も組電池である。 【0004】周知のとおり、蓄電池は経年劣化によって
実容量が次第に低下し、ついには寿命に達して使用に耐
えなくなる。図4のシステムにおいて、経年劣化によっ
て蓄電池30の実容量が低下すると、商用電源10の停
電時等に負荷40への給電ができなくなる場合がある。
従って、システムの信頼性を確保するためには、蓄電池
の劣化状況を定期的に把握し、劣化した蓄電池があれば
新品に交換するということが重要になる。 【0005】蓄電池の劣化状況を把握する方法としては
様々な方法が提案されているが、有力な方法の一つとし
て蓄電池の内部抵抗を測定するという方法がある。一般
に、劣化した蓄電池は内部抵抗が大きくなるためであ
る。そこで、蓄電池の内部抵抗を測定する装置がいくつ
か提案されている。 【0006】図5は従来の蓄電池内部抵抗測定装置の構
成を示すブロック図である。この図において、100は
蓄電池内部抵抗測定装置であり、31は蓄電池内部抵抗
測定装置100の測定対象となる蓄電池である。蓄電池
内部抵抗測定装置100は装置本体101と接続手段1
10とで構成され、さらに装置本体101は電圧測定手
段120と、電流発生手段130と、演算・制御手段1
40と、操作・表示手段150とを備えている。なお、
測定対象となる蓄電池31は、単電池又は単位電池でな
ければならない場合が多い。 【0007】接続手段110は装置本体101を蓄電池
31の端子に接続するためのものであり、少なくとも陽
極電路と陰極電路とを備えている。実際には、蓄電池3
1の内部抵抗が極めて小さいので、四端子測定を行うた
めに陽極電圧電路と、陽極電流電路と、陰極電圧電路
と、陰極電流電路とを備えている場合が多い。 【0008】電圧測定手段120は接続手段110を通
じて蓄電池31の端子電圧を測定し、電流発生手段13
0は接続手段110を通じて蓄電池31に電流を流す。
演算・制御手段140は蓄電池内部抵抗測定装置100
の各部の動作を制御するとともに、その動作に必要とな
る演算を行う。また、操作・表示手段150は蓄電池内
部抵抗測定装置100を操作するための操作入力と、蓄
電池内部抵抗測定装置100の測定結果を表示するため
の表示出力とを処理する。 【0009】図6は従来の蓄電池内部抵抗測定装置の動
作手順を示すフローチャートである。測定を行うには、
まず人が接続手段110を蓄電池31の端子に接続し、
次に操作・表示手段150を操作する。すると、演算・
制御手段140が操作・表示手段150における操作入
力を受けて、蓄電池内部抵抗測定装置100の各部の動
作を以下のように制御する。 【0010】まず、電圧測定手段120によって蓄電池
31の端子電圧を測定し、これをV1として記憶する。
次に、電流発生手段130によって蓄電池31に所定の
電流Iを流す。この状態で所定の時間だけ待機した後、
再び電圧測定手段120によって蓄電池31の端子電圧
を測定し、これをV2として記憶する。電流発生手段1
30はV2の測定後に電流Iを停止させる。演算・制御
手段140は、まずV2−V1を求めてこれをΔVと
し、次にΔVの絶対値をIで除して蓄電池31の内部抵
抗Rを求める。求めたRは操作・表示手段150にて表
示する。 【0011】電流発生手段130によって蓄電池31に
流す電流は、充電電流であっても放電電流であってもか
まわない。充電電流であった場合は蓄電池31の端子電
圧は過渡的に上昇するのでV1<V2(ΔV>0)とな
り、放電電流であった場合は逆に下降するのでV1>V
2(ΔV<0)となる。いずれにしても、電流Iを流す
ことによって、内部抵抗Rに比例した電圧変化分ΔVが
蓄電池31の端子電圧に現れるので、ΔVを測定するこ
とでRを求める。電流Iが放電電流であった場合の、従
来の蓄電池内部抵抗測定装置の動作波形図を図7に示
す。 【0012】 【発明が解決しようとする課題】前述した従来の技術で
は、所定の電流Iを流す前の蓄電池31の端子電圧V1
と、所定の電流Iを流している時の蓄電池31の端子電
圧V2とを測定し、V2−V1を求めてこれをΔVと
し、ΔVの絶対値をIで除して蓄電池31の内部抵抗R
を求めていた。すなわち、ΔVは電流Iを流すことによ
って内部抵抗Rに発生する電圧変化分であるという論理
に基づいていた。 【0013】ここで、蓄電池31の端子電圧に何らかの
原因でリップル成分が重畳していると、電流Iを流すこ
とによって内部抵抗Rに発生する電圧変化分に加え、電
流Iに無関係なリップル成分が、ΔVに含まれて測定さ
れることになる。蓄電池31の端子電圧にリップル成分
が重畳していた場合の、従来の蓄電池内部抵抗測定装置
の動作波形図を図8に示す。この場合、V2−V1で求
められるΔVは、電圧変化分ΔV1とリップル成分ΔV
2とのベクトル和になる。このΔVの絶対値をIで除し
た値は、求めるべきRの値とは異なってしまうことにな
る。 【0014】蓄電池は図4に示したように整流器又は負
荷に接続されて使用されるが、蓄電池に重畳するリップ
ル成分は接続される整流器又は負荷の種類によって異な
る。例えば、通信用電源システムにおいては、リップル
成分を極力少なくすべくスイッチング整流器が接続され
るため、前述した従来の技術でも実用上十分な精度で蓄
電池の内部抵抗を測定できた。しかしながら、サイリス
タ整流器が接続されたり、負荷としてインバータが接続
された場合は、蓄電池に無視できない大きさのリップル
成分が重畳するため、前述した従来の技術では蓄電池の
内部抵抗を正確には測定できないという問題点があっ
た。 【0015】本発明の目的は、第1の蓄電池と直列接続
された第2の蓄電池の端子電圧を測定する第2の電圧測定
手段を備えてリップル成分を別途測定し、演算・制御手
段にてリップル成分を除去する演算を行うことにより、
測定精度を向上させた蓄電池内部抵抗測定装置を提供す
ることにある。 【0016】 【課題を解決するための手段】前述の目的を達成するた
め、本発明では第2の蓄電池の端子に接続するための第
2の接続手段と、第2の接続手段を通じて第2の蓄電池
の端子電圧を測定する第2の電圧測定手段と、電流発生
手段130によって第1の蓄電池31に電流を流した上
で第1の電圧測定手段120によって第1の蓄電池31
の端子電圧を測定するとともに、第2の電圧測定手段に
よって第2の蓄電池の端子電圧を測定し、第1の電圧測
定手段120で測定された第1の蓄電池31の端子電圧
の変化分ΔVを、第2の電圧測定手段で測定された第2
の蓄電池の端子電圧の変化分によって減算補正すること
により、第1の蓄電池31の内部抵抗を求める演算・制
御手段140とを備えることとした。 【0017】 【作用】本発明による蓄電池内部抵抗測定装置では、第
1の電圧測定手段120と電流発生手段130とが第1
の接続手段110を通じて第1の蓄電池31の端子に接
続され、第2の電圧測定手段が第2の接続手段を通じて
第2の蓄電池の端子に接続される。そして、まず電流発
生手段130が第1の蓄電池31に所定の電流Iを流す
前の、第1の蓄電池31の端子電圧V1及び第2の蓄電
池の端子電圧を、第1の電圧測定手段120及び第2の
電圧測定手段が各々測定する。次に、電流発生手段13
0が第1の蓄電池31に所定の電流Iを流している時
の、第1の蓄電池31の端子電圧V2及び第2の蓄電池
の端子電圧を、第1の電圧測定手段120及び第2の電
圧測定手段が各々測定する。演算・制御手段140は、
第1の電圧測定手段120で測定された第1の蓄電池3
1の端子電圧の変化分ΔVを、第2の電圧測定手段で測
定された第2の蓄電池の端子電圧の変化分によって減算
補正することにより、第1の蓄電池31の内部抵抗Rを
求める。 【0018】 【実施例】以下、本発明の実施例について、図面を参照
して説明する。 【0019】図1は本発明を実施した蓄電池内部抵抗測
定装置の構成を示すブロック図である。この図におい
て、図5と共通するものについては同じ符号を付し、説
明を省略する。なお、31は第1の蓄電池であって図5
の蓄電池31と共通するものであり、110は第1の接
続手段であって図5の接続手段110と共通するもの、
120は第1の電圧測定手段であって図5の電圧測定手
段120と共通するものである。いずれも、説明のため
に「第1の」という言葉を付加したにすぎない。 【0020】図1において、32は第1の蓄電池31と
共に同一の組電池に属する蓄電池であって、蓄電池内部
抵抗測定装置100の第2の測定対象となる蓄電池であ
る。蓄電池内部抵抗測定装置100は装置本体101と
第1の接続手段110との他に第2の接続手段111を
備え、さらに装置本体101は第1の電圧測定手段12
0と電流発生手段130と演算・制御手段140と操作
・表示手段150との他に、第2の電圧測定手段121
を備えている。第2の接続手段111は装置本体101
を第2の蓄電池32の端子に接続するためのものであ
り、陽極電路と陰極電路とを備えている。第2の電圧測
定手段121は第2の接続手段111を通じて第2の蓄
電池32の端子電圧を測定する。 【0021】図2は本発明を実施した蓄電池内部抵抗測
定装置の動作手順を示すフローチャートである。測定を
行うには、まず人が第1の接続手段110を第1の蓄電
池31の端子に接続し、さらに第2の接続手段111を
第2の蓄電池32の端子に接続して、操作・表示手段1
50を操作する。すると、演算・制御手段140が操作
・表示手段150における操作入力を受けて、蓄電池内
部抵抗測定装置100の各部の動作を以下のように制御
する。 【0022】まず、第1の電圧測定手段120によって
第1の蓄電池31の端子電圧を測定すると同時に、第2
の電圧測定手段121によって第2の蓄電池32の端子
電圧を測定し、前者をV1、後者をV3として記憶す
る。次に、電流発生手段130によって第1の蓄電池3
1に所定の電流Iを流す。この状態で所定の時間だけ待
機した後、再び第1の電圧測定手段120によって第1
の蓄電池31の端子電圧を測定すると同時に、再び第2
の電圧測定手段121によって第2の蓄電池32の端子
電圧を測定し、前者をV2、後者をV4として記憶す
る。電流発生手段130はV2及びV4の測定後に電流
Iを停止させる。演算・制御手段140は、まずV2−
V1及びV4−V3を各々求め、前者をΔV、後者をΔ
V2とする。次にΔV−ΔV2を求めてこれをΔV1と
し、ΔV1の絶対値をIで除して第1の蓄電池31の内
部抵抗Rを求める。求めたRは操作・表示手段150に
て表示する。 【0023】図3は本発明を実施した蓄電池内部抵抗測
定装置の動作波形図である。V4−V3で求められるΔ
V2は、V3の測定時すなわちV1の測定時からV4の
測定時すなわちV2の測定時までの間に、第2の蓄電池
32の端子電圧に重畳したリップル成分である。第1の
蓄電池31と第2の蓄電池32とは同一の組電池に属す
るので、重畳するリップル成分はほとんど同じ値を示
す。従って、V1の測定時からV2の測定時までの間に
第1の蓄電池31の端子電圧に重畳したリップル成分
を、ΔV2で近似することができる。 【0024】一方、V2−V1で求められるΔVは、所
定の電流Iを流したことによって第1の蓄電池31の内
部抵抗Rに発生した電圧変化分と、前述したリップル成
分ΔV2とのベクトル和になる。すなわち、電圧変化分
をΔV1とすると、ΔV=ΔV1+ΔV2である。従っ
て、ΔVの絶対値をIで除した値は、求めるべきRの値
とは異なってしまうことになる。そこで、ΔV−ΔV2
にてΔV1を求め、ΔV1の絶対値をIで除して第1の
蓄電池31の内部抵抗Rを求める。 【0025】 【発明の効果】本発明によれば、蓄電池の内部抵抗を求
める時に、蓄電池の端子電圧に重畳しているリップル成
分を除去する演算を行うため、蓄電池の内部抵抗を正確
に測定することが可能になる。特に、蓄電池に接続され
る整流器又は負荷の種類によっては、従来の技術では蓄
電池の内部抵抗を事実上測定できない場合すらあったた
め、本発明による測定精度向上の効果は極めて大きくな
る。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明蓄電池内部抵抗測定装置の構成を示すブ
ロック図 【図2】本発明蓄電池内部抵抗測定装置の動作手順を示
すフローチャート 【図3】本発明蓄電池内部抵抗測定装置の動作波形図 【図4】蓄電池の使用例を示すシステム構成図 【図5】従来の蓄電池内部抵抗測定装置の構成を示すブ
ロック図 【図6】従来の蓄電池内部抵抗測定装置の動作手順を示
すフローチャート 【図7】従来の蓄電池内部抵抗測定装置の動作波形図 【図8】蓄電池の端子電圧にリップル成分が重畳してい
た場合の、従来の蓄電池内部抵抗測定装置の動作波形図 【符号の説明】 31 第1の蓄電池 32 第2の蓄電池 100 蓄電池内部抵抗測定装置 101 装置本体 110 第1の接続手段 111 第2の接続手段 120 第1の電圧測定手段 121 第2の電圧測定手段 130 電流発生手段 140 演算・制御手段 150 操作・表示手段
フロントページの続き (72)発明者 道永 勝久 京都市南区吉祥院西ノ庄猪之馬場町1番 地 日本電池株式会社内 (72)発明者 紺屋 好孝 東京都港区六本木一丁目4番33号 株式 会社エヌ・ティ・ティ ファシリティー ズ内 (72)発明者 高野 和夫 東京都港区六本木一丁目4番33号 株式 会社エヌ・ティ・ティ ファシリティー ズ内 (72)発明者 高崎 輝道 東京都港区六本木一丁目4番33号 株式 会社エヌ・ティ・ティ ファシリティー ズ内 (56)参考文献 特開 平3−249582(JP,A) 特開 昭57−207445(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01R 31/36 G01R 27/08

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】第2の蓄電池に直列接続された第1の蓄電
    池の内部抵抗を求める蓄電池内部抵抗測定装置であっ
    て、前記蓄電池内部抵抗測定装置は、前記第1の蓄電池
    の端子電圧を測定する第1の電圧測定手段と、前記第1
    の蓄電池に電流を流す電流発生手段と、前記第2の蓄電
    池の端子電圧を測定する第2の電圧測定手段と、第1の
    蓄電池の内部抵抗を求める演算・制御手段とを備え、先
    ず第1の蓄電池の端子電圧V1と第2の蓄電池の端子電
    圧V3とを測定し、次いで電流発生手段で第1の蓄電池
    に電流Iを流した状態で、第1の蓄電池の端子電圧V2
    と第2の蓄電池の端子電圧V4とを測定し、前記測定値
    からV2−V1=ΔVとし、V4−V3=ΔV2とし、
    ΔV−ΔV2=ΔV1とし、ΔV1の絶対値をIで除し
    た値を第1の蓄電池の内部抵抗として演算・制御するよ
    う構成したことを特徴とする蓄電池内部抵抗測定装置。
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