JP3398235B2 - ゴルフ用スパイクシューズ - Google Patents
ゴルフ用スパイクシューズInfo
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ゴルフ用スパイクシュ
ーズに関するものであり、さらに詳しくは、衝撃吸収性
が優れ、かつスパイクの突き上げが少なく、疲れが少な
いゴルフ用スパイクシューズに関するものである。 【0002】 【従来の技術】ゴルフ用スパイクシューズは、靴底にス
パイク(鋲)を取り付けたものであり、このスパイクシ
ューズは、スパイクレスシューズに比べて、動きに対す
る安定感はあるものの、長時間使用した時にスパイクの
突き上げを感じたり、衝撃吸収性が悪く、足が疲れやす
いという欠点がある。これは、スパイクシューズでは、
スパイクの耐久性を確保するために、靴底に弾性率の高
い材料を使用しているためである。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明
は、スパイクシューズとしての機能を損なうことなく、
スパイクレスシューズと同等の優れた衝撃吸収性を有
し、かつスパイクの突き上げが少なく、疲れが少ないゴ
ルフ用スパイクシューズを提供することを目的とする。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明は、ゴルフ用スパ
イクシューズの地面に接する下底の全部または少なくと
もスパイクの周辺部を、昇温速度2℃/分で測定される
周波数10Hzでの動的粘弾性の温度分散曲線におい
て、動歪0.04%における−30℃での損失係数(t
anδ)が0.2〜0.5で、複素弾性率(E* )が3
00〜2500kgf/cm2 の物性を持つ材料で厚さ
0.5〜5mmに形成することによって、上記目的を達
成したものである。 【0005】図面を参照しつつ、本発明をより具体的に
説明すると、本発明者は、図1および図2に示すよう
に、靴底1のスパイク5の埋設固定部材4の上下に配置
する上底2および下底3の粘性/弾性要素の比(=ta
nδ)と複素弾性率(E* )とをさまざまな構成バラン
スで作製したゴルフ用スパイクシューズの特性を評価す
ることにより、埋設固定部材4の上側に配置する上底2
よりも埋設固定部材4の下側に配置して地面に接する下
底3の周波数10Hzで−30℃の損失係数(tan
δ)と複素弾性率(E* )とを上記のように損失係数
(tanδ)が0.2〜0.5で、かつ複素弾性率(E
* )が300〜2500kgf/cm2 という特定のバ
ランスに調整し、それに基づいて、衝撃吸収性が優れ、
かつスパイクの突き上げが少なく、疲れが少ないゴルフ
用スパイクシューズが得られることを見出し、本発明を
完成したのである。 【0006】本発明においては、下底の全部または少な
くともスパイクの周辺部を、上記損失係数(tanδ)
が0.2〜0.5で、かつ複素弾性率(E* )が300
〜2500kgf/cm2 の物性を持つ材料で形成する
が、その下底の全部または少なくともスパイクの周辺部
とは、図面を参照しつつ説明すると、次の通りである。 【0007】図3〜図4は、それぞれゴルフ用スパイク
シューズの底面図であり、これらの図において、細い斜
線を施したところが、上記損失係数(tanδ)が0.
2〜0.5で、かつ複素弾性率(E* )が300〜25
00kgf/cm2 の物性を持つ材料で形成された部分
である。図3では下底3の全体が上記特定材料で形成さ
れ、図4では下底3のうちスパイク5の周辺部31が上
記特定材料で形成されている。 【0008】そして、本発明は、スパイクが埋込み式の
ゴルフ用スパイクシューズ、スパイクが取替え式のゴル
フ用スパイクシューズのいずれにも適用することができ
る。これを図1および図2により説明すると次の通りで
ある。 【0009】図1および図2はそれぞれ本発明に係るゴ
ルフ用スパイクシューズの靴底の要部を示す断面図であ
り、図1は埋込み式のスパイクを用いた場合を示し、図
2は取替え式のスパイクを用いた場合を示している。 【0010】図1に示す埋込み式のスパイク5は、断面
形状で、軸部5aがテーパー状になった略T字状をして
おり、その軸部5aの上部が下底3を突き抜け、頭部5
bが上底2内に設けられた埋設固定部材4に固定されて
いる。一方、図2に示す取替え式のスパイク5では、中
間に鍔部5cがあり、その鍔部5cの上面が下底3の下
面に接触し、頭部5bも軸状でその外周面にネジ(図示
せず)が切られていて、上底2内に設けられた埋設固定
部材4にネジ止めで固定されている。そして、本発明の
ゴルフ用スパイクシューズでは、その下底3の全部また
は少なくともスパイクの周辺部が上記損失係数(tan
δ)が0.2〜0.5で、かつ複素弾性率(E* )が3
00〜2500kgf/cm2 の物性を持つ材料で形成
される。 【0011】本発明においては、下底の全部または少な
くともスパイクの周辺部を形成する材料に関して、その
損失係数(tanδ)が0.2〜0.5であることを必
要としているが、これは、複素弾性率(E* )との関係
にもよるが、損失係数(tanδ)が0.2より小さい
場合は、衝撃吸収性が悪く、スパイクの突き上げ感を抑
制する効果が充分でなく、損失係数(tanδ)が0.
5より大きくなると摩耗性が低下するからであり、この
損失係数(tanδ)は特に0.2〜0.3であること
が好ましい。 【0012】また、本発明においては、下底の全部また
は少なくともスパイクの周辺部を形成する材料に関し
て、その複素弾性率(E* )が300〜2500kgf
/cm2 であることを必要としているが、これは、損失
係数(tanδ)との関係にもよるが、複素弾性率(E
* )が2500kgf/cm2 より大きい場合、衝撃吸
収性が悪く、スパイクの突き上げ感を抑制する効果が充
分でないからであり、複素弾性率(E* )が300kg
f/cm2 より小さくなると耐久性が悪くなるからであ
る。 【0013】本発明においては、上記損失係数(tan
δ)および複素弾性率(E* )を測定する際の条件とし
て、周波数10Hz、温度−30℃という条件を選んで
いるが、これは次の理由によるものである。 【0014】ゴルフ用スパイクシューズの靴底の変形周
波数、特に下底の変形周波数は、きわめて大きいと考え
られるが、粘弾性測定装置において測定可能な周波数領
域は102 Hz程度までである。そこで、高分子粘弾性
体における周波数−温度換算法則により、ゴルフ用スパ
イクシューズの実用状態を低周波−低温に変換する可能
性を確認したところ、周波数10Hz、温度−30℃で
の損失特性と衝撃吸収性との間に高度な相関関係がある
ことが判明したので、本発明では、損失係数(tan
δ)および複素弾性率(E* )の測定を周波数10H
z、温度−30℃という条件下で行うようにしたのであ
る。そして、上記損失係数(tanδ)を動歪0.04
%の場合のものとしているのは、地面との接地面で起こ
る靴底の動歪を再現しているという理由によるものであ
り、必ずしもこれによらなくてもよい。 【0015】本発明のゴルフ用スパイクシューズの下底
の全部または少なくともスパイクの周辺部を形成する特
定材料は、各種のゴム、エラストマーまたはそれらの混
合物を基材として構成され、上記損失係数(tanδ)
が0.2〜0.5、複素弾性率(E* )が300〜25
00kgf/cm2 という物性を持つようにするために
は、ガラス転移点(Tg)が−30℃よりも低いゴム、
エラストマーを用いることが好ましいが、上記物性を持
ち得るものであれば、その材質は特に限定されるもので
ない。例えば、上記ゴルフ用スパイクシューズの下底の
全部または少なくともスパイクの周辺部を形成する特定
材料の基材としては、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチ
レンブタジエンゴムなどのゴムや、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体、シリコーンゴムなどのエラストマーが単独
でまたは2種以上の混合物として用いられる。 【0016】本発明においては、ゴルフ用スパイクシュ
ーズの下底の全部または少なくともスパイクの周辺部を
損失係数(tanδ)が0.2〜0.5で、かつ複素弾
性率(E* )が300〜2500kgf/cm2 という
物性を持つ特定の材料で形成するが、その厚さは0.5
〜5mmにすることが必要である。そして、上記特定材
料で形成される部分は、ソリッド(中実)のものだけで
なく、発泡体であってもよい。 【0017】ゴルフ用スパイクシューズを構成する他の
構成部材、例えば、靴底の上部に設けられる本体部分
(つまり、足を入れる部分)、上底、埋設固定部材、ス
パイクなどは、特に特定のものが要求されることはな
く、各種のものが使用可能で、もちろん、従来同様のも
のも使用することができる。 【0018】 【実施例】つぎに、実施例を挙げて本発明をより具体的
に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例のみに限
定されるものではない。 【0019】実施例1〜6および比較例1〜2 下底の全部または少なくともスパイクの周辺部を後で詳
細を示す〜の材料で形成し、それ以外は従来同様の
構成でゴルフ用スパイクシューズを作製した。 【0020】すなわち,上底には発泡密度0.8のエチ
レン−酢酸ビニル共重合体の発泡体を用い、埋設固定部
材には硬質ウレタンを用い、スパイクにはモリト(株)
製で埋込み式のものを用いている。これらは実施例1〜
6、比較例1〜2とも共通している。 【0021】ゴルフ用スパイクシューズの評価は、衝撃
吸収性とスパイクの突き上げ感により行った。それらの
評価方法は次の通りである。 【0022】衝撃吸収性: 50人のテスターにゴルフ用スパイクシューズを履か
せ、コンクリート上で50cmの高さから跳んだり、歩
行して、その衝撃吸収性を次の5段階により評価させ、
比較例1の総得点を100としたときの指数で示す。 【0023】評価基準: 5 : 非常に良い 4 : 良い 3 : 普通 2 : 悪い 1 : 非常に悪い 【0024】スパイクの突き上げ感: 50人のテスターにゴルフ用スパイクシューズを履か
せ、ハーフ(9ホール)ラウンド後にコンクリート上を
30分間歩かせて、足の裏にスパイクの突き上げ感があ
るか否かを評価させる。評価結果の表示方法は次の通り
である。 【0025】評価基準: ◎ : 45人以上がスパイクの突き上げを感じない。 ○ : 40人以上がスパイクの突き上げを感じない。 △ : 25人以上がスパイクの突き上げを感じない。 × : スパイクの突き上げを感じないものが24人以
下である。 【0026】上記〜の材料の使用部位、損失係数
(tanδ)、複素弾性率(E* )、衝撃吸収性〔指数
(比較例1を100としたときの指数)〕、スパイクの
突き上げ感を表1〜表2に示す。なお、表1は実施例1
〜5に関して示し、表2は実施例6と比較例1〜2に関
して示す。表中の使用部位を示すA、Bはそれぞれ次の
通りである。 【0027】A : 下底の全部 B : 下底のスパイクの周辺部 【0028】また、表中の損失係数(tanδ)と複素
弾性率(E* )は、周波数(昇温速度2℃/分で測定さ
れる周波数)10Hz、−30℃で測定したものであ
り、損失係数(tanδ)は動歪0.04%におけるも
のである。 【0029】 【表1】【0030】 【表2】 【0031】ゴム: スチレンブタジエンゴム(スチレン/ブタジエン=30
/70)〔日本ゼオン(株)製の9157〕とブタジエ
ンゴム〔日本合成ゴム(株)製のBR11〕との重量比
30:70の混合物を基材とし、この基材100重量部
に対して、炭酸マグネシウム30重量部、ミネラル油2
0重量部、加硫促進剤3重量部および硫黄2重量部を配
合したゴム組成物を90℃で射出成形したものであっ
て、その厚みは2mmである。 【0032】ゴム: スチレンブタジエンゴム(スチレン/ブタジエン=30
/70)〔日本ゼオン(株)製の9157〕とブタジエ
ンゴム〔日本合成ゴム(株)製のBR11〕との重量比
70:30の混合物を基材とし、この基材100重量部
に対して、炭酸マグネシウム30重量部、ミネラル油2
0重量部、加硫促進剤3重量部および硫黄2重量部を配
合したゴム組成物を90℃で射出成形したものであっ
て、その厚みは2mmである。 【0033】発泡EVA: 発泡密度0.8のエチレン−酢酸ビニル共重合体の発泡
体であって、その厚みは2mmである。 【0034】ゴム: 天然ゴム(3号)とスチレンブタジエンゴム(スチレン
/ブタジエン=30/70)〔日本ゼオン(株)製の9
157〕とブタジエンゴム〔日本合成ゴム(株)製のB
R11〕との重量比30:35:35の混合物を基材と
し、この基材100重量部に対して、ニップシールVN
3〔商品名、日本シリカ工業(株)製のシリカ〕50重
量部、ミネラル油20重量部、加硫促進剤3重量部およ
び硫黄1.5重量部を配合したゴム組成物を90℃で射
出成形したものであって、その厚みは2mmである。 【0035】発泡(ゴム+EVA) エチレンプロピレンゴム〔住友化学工業(株)製のEP
505〕とエチレン−酢酸ビニル共重合体〔東ソー
(株)製のウルトラセン(商品名)〕との重量比50:
50の混合物を基材とする発泡密度0.6の発泡体であ
って、その厚みは2mmである。 【0036】発泡TPU: 武田バーディシェウレタン工業(株)製の熱可塑性ポリ
ウレタン〔エラストランS74D(商品名)〕の発泡密
度0.6の発泡体であって、その厚みは2mmである。 【0037】軟質ウレタン: 武田バーディシェウレタン工業(株)製の比重1.2の
軟質ウレタン〔エラストランC70AW(商品名)〕で
あって、その厚みは2mmである。 【0038】表1〜表2に示すように、損失係数(ta
nδ)が0.2〜0.5で、かつ複素弾性率(E* )が
300〜2500kgf/cm2 の範囲内にある実施例
1〜6は、比較例1〜2に比べて、衝撃吸収性を示す指
数が大きく、衝撃吸収性が優れており、かつスパイクの
突き上げ感に関しては、50人中の45人以上がスパイ
クの突き上げを感じないか、あるいは50人中の40人
以上がスパイクの突き上げを感じないという評価であ
り、また、衝撃吸収性が優れていることもあって、疲れ
が少ないということであった。 【0039】 【発明の効果】以上説明したように、本発明では衝撃吸
収性が優れ、かつスパイクの突き上げが少なく、疲れが
少ないゴルフ用スパイクシューズを提供することができ
た。
ーズに関するものであり、さらに詳しくは、衝撃吸収性
が優れ、かつスパイクの突き上げが少なく、疲れが少な
いゴルフ用スパイクシューズに関するものである。 【0002】 【従来の技術】ゴルフ用スパイクシューズは、靴底にス
パイク(鋲)を取り付けたものであり、このスパイクシ
ューズは、スパイクレスシューズに比べて、動きに対す
る安定感はあるものの、長時間使用した時にスパイクの
突き上げを感じたり、衝撃吸収性が悪く、足が疲れやす
いという欠点がある。これは、スパイクシューズでは、
スパイクの耐久性を確保するために、靴底に弾性率の高
い材料を使用しているためである。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明
は、スパイクシューズとしての機能を損なうことなく、
スパイクレスシューズと同等の優れた衝撃吸収性を有
し、かつスパイクの突き上げが少なく、疲れが少ないゴ
ルフ用スパイクシューズを提供することを目的とする。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明は、ゴルフ用スパ
イクシューズの地面に接する下底の全部または少なくと
もスパイクの周辺部を、昇温速度2℃/分で測定される
周波数10Hzでの動的粘弾性の温度分散曲線におい
て、動歪0.04%における−30℃での損失係数(t
anδ)が0.2〜0.5で、複素弾性率(E* )が3
00〜2500kgf/cm2 の物性を持つ材料で厚さ
0.5〜5mmに形成することによって、上記目的を達
成したものである。 【0005】図面を参照しつつ、本発明をより具体的に
説明すると、本発明者は、図1および図2に示すよう
に、靴底1のスパイク5の埋設固定部材4の上下に配置
する上底2および下底3の粘性/弾性要素の比(=ta
nδ)と複素弾性率(E* )とをさまざまな構成バラン
スで作製したゴルフ用スパイクシューズの特性を評価す
ることにより、埋設固定部材4の上側に配置する上底2
よりも埋設固定部材4の下側に配置して地面に接する下
底3の周波数10Hzで−30℃の損失係数(tan
δ)と複素弾性率(E* )とを上記のように損失係数
(tanδ)が0.2〜0.5で、かつ複素弾性率(E
* )が300〜2500kgf/cm2 という特定のバ
ランスに調整し、それに基づいて、衝撃吸収性が優れ、
かつスパイクの突き上げが少なく、疲れが少ないゴルフ
用スパイクシューズが得られることを見出し、本発明を
完成したのである。 【0006】本発明においては、下底の全部または少な
くともスパイクの周辺部を、上記損失係数(tanδ)
が0.2〜0.5で、かつ複素弾性率(E* )が300
〜2500kgf/cm2 の物性を持つ材料で形成する
が、その下底の全部または少なくともスパイクの周辺部
とは、図面を参照しつつ説明すると、次の通りである。 【0007】図3〜図4は、それぞれゴルフ用スパイク
シューズの底面図であり、これらの図において、細い斜
線を施したところが、上記損失係数(tanδ)が0.
2〜0.5で、かつ複素弾性率(E* )が300〜25
00kgf/cm2 の物性を持つ材料で形成された部分
である。図3では下底3の全体が上記特定材料で形成さ
れ、図4では下底3のうちスパイク5の周辺部31が上
記特定材料で形成されている。 【0008】そして、本発明は、スパイクが埋込み式の
ゴルフ用スパイクシューズ、スパイクが取替え式のゴル
フ用スパイクシューズのいずれにも適用することができ
る。これを図1および図2により説明すると次の通りで
ある。 【0009】図1および図2はそれぞれ本発明に係るゴ
ルフ用スパイクシューズの靴底の要部を示す断面図であ
り、図1は埋込み式のスパイクを用いた場合を示し、図
2は取替え式のスパイクを用いた場合を示している。 【0010】図1に示す埋込み式のスパイク5は、断面
形状で、軸部5aがテーパー状になった略T字状をして
おり、その軸部5aの上部が下底3を突き抜け、頭部5
bが上底2内に設けられた埋設固定部材4に固定されて
いる。一方、図2に示す取替え式のスパイク5では、中
間に鍔部5cがあり、その鍔部5cの上面が下底3の下
面に接触し、頭部5bも軸状でその外周面にネジ(図示
せず)が切られていて、上底2内に設けられた埋設固定
部材4にネジ止めで固定されている。そして、本発明の
ゴルフ用スパイクシューズでは、その下底3の全部また
は少なくともスパイクの周辺部が上記損失係数(tan
δ)が0.2〜0.5で、かつ複素弾性率(E* )が3
00〜2500kgf/cm2 の物性を持つ材料で形成
される。 【0011】本発明においては、下底の全部または少な
くともスパイクの周辺部を形成する材料に関して、その
損失係数(tanδ)が0.2〜0.5であることを必
要としているが、これは、複素弾性率(E* )との関係
にもよるが、損失係数(tanδ)が0.2より小さい
場合は、衝撃吸収性が悪く、スパイクの突き上げ感を抑
制する効果が充分でなく、損失係数(tanδ)が0.
5より大きくなると摩耗性が低下するからであり、この
損失係数(tanδ)は特に0.2〜0.3であること
が好ましい。 【0012】また、本発明においては、下底の全部また
は少なくともスパイクの周辺部を形成する材料に関し
て、その複素弾性率(E* )が300〜2500kgf
/cm2 であることを必要としているが、これは、損失
係数(tanδ)との関係にもよるが、複素弾性率(E
* )が2500kgf/cm2 より大きい場合、衝撃吸
収性が悪く、スパイクの突き上げ感を抑制する効果が充
分でないからであり、複素弾性率(E* )が300kg
f/cm2 より小さくなると耐久性が悪くなるからであ
る。 【0013】本発明においては、上記損失係数(tan
δ)および複素弾性率(E* )を測定する際の条件とし
て、周波数10Hz、温度−30℃という条件を選んで
いるが、これは次の理由によるものである。 【0014】ゴルフ用スパイクシューズの靴底の変形周
波数、特に下底の変形周波数は、きわめて大きいと考え
られるが、粘弾性測定装置において測定可能な周波数領
域は102 Hz程度までである。そこで、高分子粘弾性
体における周波数−温度換算法則により、ゴルフ用スパ
イクシューズの実用状態を低周波−低温に変換する可能
性を確認したところ、周波数10Hz、温度−30℃で
の損失特性と衝撃吸収性との間に高度な相関関係がある
ことが判明したので、本発明では、損失係数(tan
δ)および複素弾性率(E* )の測定を周波数10H
z、温度−30℃という条件下で行うようにしたのであ
る。そして、上記損失係数(tanδ)を動歪0.04
%の場合のものとしているのは、地面との接地面で起こ
る靴底の動歪を再現しているという理由によるものであ
り、必ずしもこれによらなくてもよい。 【0015】本発明のゴルフ用スパイクシューズの下底
の全部または少なくともスパイクの周辺部を形成する特
定材料は、各種のゴム、エラストマーまたはそれらの混
合物を基材として構成され、上記損失係数(tanδ)
が0.2〜0.5、複素弾性率(E* )が300〜25
00kgf/cm2 という物性を持つようにするために
は、ガラス転移点(Tg)が−30℃よりも低いゴム、
エラストマーを用いることが好ましいが、上記物性を持
ち得るものであれば、その材質は特に限定されるもので
ない。例えば、上記ゴルフ用スパイクシューズの下底の
全部または少なくともスパイクの周辺部を形成する特定
材料の基材としては、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチ
レンブタジエンゴムなどのゴムや、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体、シリコーンゴムなどのエラストマーが単独
でまたは2種以上の混合物として用いられる。 【0016】本発明においては、ゴルフ用スパイクシュ
ーズの下底の全部または少なくともスパイクの周辺部を
損失係数(tanδ)が0.2〜0.5で、かつ複素弾
性率(E* )が300〜2500kgf/cm2 という
物性を持つ特定の材料で形成するが、その厚さは0.5
〜5mmにすることが必要である。そして、上記特定材
料で形成される部分は、ソリッド(中実)のものだけで
なく、発泡体であってもよい。 【0017】ゴルフ用スパイクシューズを構成する他の
構成部材、例えば、靴底の上部に設けられる本体部分
(つまり、足を入れる部分)、上底、埋設固定部材、ス
パイクなどは、特に特定のものが要求されることはな
く、各種のものが使用可能で、もちろん、従来同様のも
のも使用することができる。 【0018】 【実施例】つぎに、実施例を挙げて本発明をより具体的
に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例のみに限
定されるものではない。 【0019】実施例1〜6および比較例1〜2 下底の全部または少なくともスパイクの周辺部を後で詳
細を示す〜の材料で形成し、それ以外は従来同様の
構成でゴルフ用スパイクシューズを作製した。 【0020】すなわち,上底には発泡密度0.8のエチ
レン−酢酸ビニル共重合体の発泡体を用い、埋設固定部
材には硬質ウレタンを用い、スパイクにはモリト(株)
製で埋込み式のものを用いている。これらは実施例1〜
6、比較例1〜2とも共通している。 【0021】ゴルフ用スパイクシューズの評価は、衝撃
吸収性とスパイクの突き上げ感により行った。それらの
評価方法は次の通りである。 【0022】衝撃吸収性: 50人のテスターにゴルフ用スパイクシューズを履か
せ、コンクリート上で50cmの高さから跳んだり、歩
行して、その衝撃吸収性を次の5段階により評価させ、
比較例1の総得点を100としたときの指数で示す。 【0023】評価基準: 5 : 非常に良い 4 : 良い 3 : 普通 2 : 悪い 1 : 非常に悪い 【0024】スパイクの突き上げ感: 50人のテスターにゴルフ用スパイクシューズを履か
せ、ハーフ(9ホール)ラウンド後にコンクリート上を
30分間歩かせて、足の裏にスパイクの突き上げ感があ
るか否かを評価させる。評価結果の表示方法は次の通り
である。 【0025】評価基準: ◎ : 45人以上がスパイクの突き上げを感じない。 ○ : 40人以上がスパイクの突き上げを感じない。 △ : 25人以上がスパイクの突き上げを感じない。 × : スパイクの突き上げを感じないものが24人以
下である。 【0026】上記〜の材料の使用部位、損失係数
(tanδ)、複素弾性率(E* )、衝撃吸収性〔指数
(比較例1を100としたときの指数)〕、スパイクの
突き上げ感を表1〜表2に示す。なお、表1は実施例1
〜5に関して示し、表2は実施例6と比較例1〜2に関
して示す。表中の使用部位を示すA、Bはそれぞれ次の
通りである。 【0027】A : 下底の全部 B : 下底のスパイクの周辺部 【0028】また、表中の損失係数(tanδ)と複素
弾性率(E* )は、周波数(昇温速度2℃/分で測定さ
れる周波数)10Hz、−30℃で測定したものであ
り、損失係数(tanδ)は動歪0.04%におけるも
のである。 【0029】 【表1】【0030】 【表2】 【0031】ゴム: スチレンブタジエンゴム(スチレン/ブタジエン=30
/70)〔日本ゼオン(株)製の9157〕とブタジエ
ンゴム〔日本合成ゴム(株)製のBR11〕との重量比
30:70の混合物を基材とし、この基材100重量部
に対して、炭酸マグネシウム30重量部、ミネラル油2
0重量部、加硫促進剤3重量部および硫黄2重量部を配
合したゴム組成物を90℃で射出成形したものであっ
て、その厚みは2mmである。 【0032】ゴム: スチレンブタジエンゴム(スチレン/ブタジエン=30
/70)〔日本ゼオン(株)製の9157〕とブタジエ
ンゴム〔日本合成ゴム(株)製のBR11〕との重量比
70:30の混合物を基材とし、この基材100重量部
に対して、炭酸マグネシウム30重量部、ミネラル油2
0重量部、加硫促進剤3重量部および硫黄2重量部を配
合したゴム組成物を90℃で射出成形したものであっ
て、その厚みは2mmである。 【0033】発泡EVA: 発泡密度0.8のエチレン−酢酸ビニル共重合体の発泡
体であって、その厚みは2mmである。 【0034】ゴム: 天然ゴム(3号)とスチレンブタジエンゴム(スチレン
/ブタジエン=30/70)〔日本ゼオン(株)製の9
157〕とブタジエンゴム〔日本合成ゴム(株)製のB
R11〕との重量比30:35:35の混合物を基材と
し、この基材100重量部に対して、ニップシールVN
3〔商品名、日本シリカ工業(株)製のシリカ〕50重
量部、ミネラル油20重量部、加硫促進剤3重量部およ
び硫黄1.5重量部を配合したゴム組成物を90℃で射
出成形したものであって、その厚みは2mmである。 【0035】発泡(ゴム+EVA) エチレンプロピレンゴム〔住友化学工業(株)製のEP
505〕とエチレン−酢酸ビニル共重合体〔東ソー
(株)製のウルトラセン(商品名)〕との重量比50:
50の混合物を基材とする発泡密度0.6の発泡体であ
って、その厚みは2mmである。 【0036】発泡TPU: 武田バーディシェウレタン工業(株)製の熱可塑性ポリ
ウレタン〔エラストランS74D(商品名)〕の発泡密
度0.6の発泡体であって、その厚みは2mmである。 【0037】軟質ウレタン: 武田バーディシェウレタン工業(株)製の比重1.2の
軟質ウレタン〔エラストランC70AW(商品名)〕で
あって、その厚みは2mmである。 【0038】表1〜表2に示すように、損失係数(ta
nδ)が0.2〜0.5で、かつ複素弾性率(E* )が
300〜2500kgf/cm2 の範囲内にある実施例
1〜6は、比較例1〜2に比べて、衝撃吸収性を示す指
数が大きく、衝撃吸収性が優れており、かつスパイクの
突き上げ感に関しては、50人中の45人以上がスパイ
クの突き上げを感じないか、あるいは50人中の40人
以上がスパイクの突き上げを感じないという評価であ
り、また、衝撃吸収性が優れていることもあって、疲れ
が少ないということであった。 【0039】 【発明の効果】以上説明したように、本発明では衝撃吸
収性が優れ、かつスパイクの突き上げが少なく、疲れが
少ないゴルフ用スパイクシューズを提供することができ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るゴルフ用スパイクシューズの靴底
の要部の一例を示す断面図である。 【図2】本発明に係るゴルフ用スパイクシューズの靴底
の要部の他例を示す断面図である。 【図3】本発明に係るゴルフ用スパイクシューズの底面
図である。 【図4】本発明に係るゴルフ用スパイクシューズの底面
図である。 【符号の説明】 1 靴底 2 上底 3 下底 31 周辺部 4 埋設固定部材 5 スパイク
の要部の一例を示す断面図である。 【図2】本発明に係るゴルフ用スパイクシューズの靴底
の要部の他例を示す断面図である。 【図3】本発明に係るゴルフ用スパイクシューズの底面
図である。 【図4】本発明に係るゴルフ用スパイクシューズの底面
図である。 【符号の説明】 1 靴底 2 上底 3 下底 31 周辺部 4 埋設固定部材 5 スパイク
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
A43B 13/26
A43B 5/00 303
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 下底の全部または少なくともスパイクの
周辺部が、昇温速度2℃/分で測定される周波数10H
zでの動的粘弾性の温度分散曲線において、動歪0.0
4%における−30℃の損失係数(tanδ)が0.2
〜0.5であり、かつ複素弾性率(E* )が300〜2
500kgf/cm 2 である物性を持つ材料で厚さ0.
5〜5mmに形成されていることを特徴とするゴルフ用
スパイクシューズ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28120594A JP3398235B2 (ja) | 1994-10-19 | 1994-10-19 | ゴルフ用スパイクシューズ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28120594A JP3398235B2 (ja) | 1994-10-19 | 1994-10-19 | ゴルフ用スパイクシューズ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08112105A JPH08112105A (ja) | 1996-05-07 |
JP3398235B2 true JP3398235B2 (ja) | 2003-04-21 |
Family
ID=17635826
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP28120594A Expired - Fee Related JP3398235B2 (ja) | 1994-10-19 | 1994-10-19 | ゴルフ用スパイクシューズ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3398235B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4880284B2 (ja) * | 2005-11-01 | 2012-02-22 | Sriスポーツ株式会社 | 靴底、靴底の製造方法及びゴルフシューズ |
US20180368515A1 (en) | 2015-12-02 | 2018-12-27 | Sekisui Plastics Co., Ltd. | Shoe sole member and shoe |
-
1994
- 1994-10-19 JP JP28120594A patent/JP3398235B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH08112105A (ja) | 1996-05-07 |
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