JP3397334B2 - すべり軸受 - Google Patents

すべり軸受

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【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、すべり軸受に関するも
のであり、さらに詳しくのべるならば、例えばケルメッ
ト合金あるいはアルミニウム合金などのすべり軸受合金
にNiなどの中間層を介して又は介さずにめっきによって
すずあるいはこの合金の軟質合金をめっきしてなる、内
燃機関すべり軸受に関するものである。 【0002】 【従来の技術】内燃機関に用いられるすべり軸受は、円
筒形ブシュ、半割メタル、または環状メタル形状に加工
された鋼板上にケルメットあるいはアルニミウム合金を
被着し(この製造物は「ライニング」と言われる)、そ
の上にオーバレイをめっきにより被着して製作されるこ
とは周知である。ここで、オーバレイ合金の主たる機能
は、軸受とクランクシャフトなどの軸とのなじみ性を向
上させ、内燃機関のハウジングの加工精度に起因する軸
のミスアラインメントによって生じる軸と軸受との当た
り不良を解消し、また潤滑油中に混入した異物をオーバ
レイ中に埋収することなどである。 【0003】オーバレイ合金とライニングの密着性を高
めるために中間層としてNiなどがライニング上にめっ
きされている。中間層なしでオーバレイをめっきする
と、その密着力が不足するので、軸受の使用中にオーバ
レイが容易に剥離を起こすために中間層が必要である。 【0004】オーバレイは、純すず、純鉛、すず合金あ
るいは鉛合金からなるめっき層として構成されている。
かかるオーバレイの鉛合金を作成するめっき浴は、例え
ば特公昭60−41695号公報に示されており、ほう
ふっ化鉛(Pb(BF42),ほうふっ酸(HBF
4 ),ハイドロキノン、ペプトン、ゼラチン、βナフト
ールを含有する。ここでめっき成分として添加されてい
る有機物の作用は、ハイドロキノンは電解中における還
元剤として、ペプトンおよびゼラチンは樹枝晶の析出抑
制剤として、βナフトールは結晶粒子を細かくするもの
としてめっき品質の安定化に寄与すると考えられてい
る。めっき浴の組成は前掲公報によると、ほうふっ化鉛
(Pb(BF42 )40〜200g/l,ほうふっ酸
(HBF4 )30〜120g/l,ハイドロキノン0.
5〜3g/l、ペプトン0.1〜3g/l、ゼラチン
0.1〜3g/l、βナフトール0.1〜3g/lであ
る。 【0005】Pb−Sn合金オーバレイをめっきするめ
っき浴はほうふっ化すず((Sn(BF42 )を、ま
たPb−Cu合金をめっきするめっき浴はほうふっ化銅
(Cu(BF42 )をさらに含有している。 【0006】Pb−In合金オーバレイをめっきすると
きはスルファミン酸インジウムめっき浴が使用される
(特公昭60−41695号公報)。その浴組成は、ス
ルファミン酸インジウム40〜210g/l,スルファ
ミン酸10〜60g/l、塩15〜100g/l、ブド
ウ糖2〜25g/l、トリエタノールアミン1〜5g/
l、スルファミン酸ナトリウム70〜320g/lなど
である。ここで添加される有機物の作用は、スルファミ
ン酸はIn等のイオン化剤又は酸化防止剤として、ブド
ウ糖は樹枝晶の析出抑制剤として、スルファミン酸ナト
リウムやトリエタノールアミンはめっき浴の安定剤とし
ての効果を期待して浴に配合され、めっき品質の安定化
に寄与させようと言うものである。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】従来、Pb−Sn系合
金オーバレイ中のSnがNi中間層に拡散するために、
オーバレイ中のすずが不足し、耐食性不良となるととも
に、Ni−Sn金属間化合物がオーバレイとライニング
の間で厚く生成して耐焼付性も不良になるという問題が
あったために、その防止策としてPb−Sn合金にIn
とCuを添加することによりSnを安定化する(特公平
2−39572号公報参照)などの方法が提案されてい
る。この対策はPb−Sn系合金の特定のIn−Cu組
成の範囲内でのみ効果がある。 【0008】また、特定のIn−Cu組成範囲内でもS
nの拡散は若干は起こり得るので、軸受の使用条件が高
温、高回転かつ高荷重になると、Snの拡散が促進され
あるいは多少の拡散でもオーバレイ性能が不十分とな
る。 【0009】以上Niの中間層の例を説明したが、C
u,Fe,Crなどのめっき密着性を高める金属から構
成される中間層についてもCu−Sn,Fe−Sn,C
r−Snなどの金属間化合物が生成されまたSnの拡散
が起こり、同様の問題が起こる。 【0010】従来のオーバレイの特性改良のための提案
は金属成分の割合を調節すること、あるいは加えて金属
組織をコントロールすることを骨子としており、非金属
成分に着目していなかった。すなわち、非金属成分は不
可避的にオーバレイ中に存在することはあっても、その
作用を積極的に活用することは着目されていなかった。 【0011】さらに、従来のオーバレイではNiなどの
金属からなる中間層なしてオーバレイを付けた場合、オ
ーバレイの密着力が悪いために、軸受使用中に容易にオ
ーバレイが剥離し、焼付に至っていた。一方、中間層を
付けた場合は軸受使用中に、中間層が露出するとNiな
どは摺動特性が悪いために急速に焼付が起こるという問
題があった。 【0012】したがって、本発明はSn含有オーバレイ
がライニングにめっきされているすべり軸受において、
どのような金属組成のオーバレイであってもそのSnの
拡散を効果的に防止する手段を提供することを目的とす
る。さらに本発明はオーバレイの組成を問わずあらゆる
オーバレイについて、その耐焼付性を高めることを目的
とする。 【0013】 【課題を解決するための手段】本発明は、ケルメット合
金もしくはアルミニウム合金からなるすべり軸受層上に
中間層を介してめっきされたオーバレイを含んでなるす
べり軸受において、前記オーバレイは、前記すべり軸受
合金層より軟質であり、0.02から0.5質量%の有
機物形態のCと、残部がSnと不可避的不純物とからなる
軟質合金であることを特徴とするすべり軸受に関する。 【0014】 【0015】従来のオーバレイはPb,Sn,Cu,In,Sb,Mn,N
i,Fe,Zr,Tlなどの金属元素から構成されており、Cなど
の非金属元素は不可避的不純物として含有されているに
すぎなかった。かかる不純物Cはオーバレイの主成分金
属とは合金化しないので、めっき浴成分の有機物が取り
込まれたものと考えられる。Cの含有量は従来分析した
ところ有機物C換算で0.001質量%よりかなり低い
痕跡量しか検出されなかった。 【0016】まず図2を参照してCの検出及び分析法の
説明を行う。図2のには0.45%Cの炭素鋼をEP
MA(electron probe microanalyzer)(日本電子製JC
MA773 )を用い下記条件で測定したときのCピークが示
されており、上記装置のL値におけるカウント数が36
8cpsであった。これを指標値とし、比例計算から1
%Cのカウント数を817cpsと定めた。なおEPM
Aによるカウント数は、電子ビームを試料に照射するこ
とにより試料から2次的に発生する特性X線中CK α線
(但し、L値が124.6mmの条件であるもの)をX
線検出カウンタで数え、上記の値を得た。 【0017】EPMAによるC測定条件 電 圧:10kV 電 流:3.7×10-7A L 値:124.6mm 分光結晶:ステアライト(通称STE) 【0018】本発明者らは通常のオーバレイと意図的に
従来のめっき浴中の有機物量を多くしたオーバレイにつ
きSnの拡散量を比較したところ、後者ではSnの拡散
が顕著に抑制されていることを発見した。かかる効果を
奏するためには、オーバレイはCを0.02質量%以上
含有しなければならない。しかしながら、Cの量が0.
質量%を越えると、Cがめっき皮膜中で粗大な非金属
介在物となり、これが破壊や剥離の起点として作用する
ようになり、軸受特性の悪化を招くために、Cの量は
0.5質量%以下でなければならない。好ましいC量は
0.1〜0.5質量%であり、より好ましくは0.2〜
0.4質量%である。 【0019】本発明に係るオーバレイは従来のほうふっ
化浴、硫酸浴の他に従来光沢めっきに使用されていた中
性浴を使用して形成することができる。またオーバレイ
Sn系(Sn-Pb,Sn-Pb-In,Sn-In,Sn-Znなど)合金は合金
めっきにより形成してもよくあるいは単独めっきした後
拡散により合金化してもよい。単独めっきを数回行う場
合はいずれの層の形成の際に、有機物からCを取り込む
条件でめっきを行っても良い。オーバレイの厚みは通常
1〜25μmである。 【0020】従来のほうふっ化めっき浴に使用されてい
たハイドロキノン、ペプトン、ゼラチン、βナフトー
ル、クレゾールスルホン酸、ゼラチン、ホルマリンなど
を、浴中の量を従来より多くして、オーバレイ中のCを
多量に取り込むことができる。本発明において使用され
る有機物は所定量以上めっき浴中に取り込むことが可能
であれば、特にその種類に制限はない。 【0021】好ましい有機物の一例は、特公昭58−4
8874号公報に金属の光沢めっき用添加剤として開示
された多価カルボン酸又はそのエステル化合物、あるい
は二価以上の有機ハロゲン価カルボニル化合物と多価ア
ミンを重合して得られる水溶性ポリマーである。多価カ
ルボン酸は具体的には脂肪族多価カルボン酸(例えば、
シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン
酸、サルチル酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン
酸、セパシン酸、フマール酸、イタコン酸、グルタミン
酸、ニトロ酸酢酸、エチレンジアミン四酢酸、など)ま
たは、芳香族多価カルボン酸(フタール酸、イソフター
ル酸、テレフタール酸、ジフェニルカルボン酸、トリメ
リット酸、メタフェニレンジアミン四酢酸など)であ
る。 【0022】好ましい有機物のさらに他の一例は、特公
昭59−48874号公報にすず又はすず合金めっき用
添加剤として開示された脂肪酸及び又は芳香族アルデヒ
ドである。脂肪族アルデヒドは、具体的にはホルムアル
デヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、グ
リオキサールアルデヒド、スクシジンアルデヒド、カプ
ロンアルデヒド、アルドールアルデヒドなどである。芳
香族アルデヒドは、具体的には、ベンズアルデヒド、p
−トルアルデヒド、サリチルアルデヒド、ベラトルアル
デヒド、アニスアルデヒド、ピペロナール、バニリンな
どである。 【0023】好ましい有機物の別の一例は、特公昭60
−15716号公報にすず又はすず合金めっき浴の安定
化用添加剤として開示された、クエン酸またはその塩以
外のヒドロキシルカルボン酸(以下「ヒドロキシルカル
ボン酸」と略称する)またはその塩、及び又は不飽和結
合を有しない二塩基カルボン酸(以下「二塩基カルボン
酸」と略称する)又はその塩である。ヒドロキシルカル
ボン酸は具体的には、酒石酸、リンゴ酸、グリコール
酸、グリセリン酸、乳酸、β−ヒドロキシプロピオン
酸、などである。二塩基カルボン酸は、具体的には、蓚
酸、マロン酸、コハク酸、タルタル酸、アジピン酸など
である。特に好ましい有機化合物はカルボン酸、リンゴ
酸などである。 【0024】pH4〜9の中性めっき浴に添加された上
記各種光沢材に由来するCは、従来のめっき浴に使用さ
れていたハイドロキノン、ペプトン、ゼラチン、βナフ
トール、クレゾールスルホン酸、ゼラチン、ホルマリン
などに由来するCと量が同じでも、中間層を構成するN
i,オーバレイ中の拡散しやすい成分であるSnの拡散
を防止し、より高い耐焼付性をオーバレイに発揮させる
ことができる。 【0025】本発明によりオーバレイに添加されたCは
図1に示すように耐焼付性を高める。図1は、Al-11%Sn
-1.5%Pb-2.8%Si-1%Cu-0.2%Zr合金ライニングに0.5μ
mNiめっき中間層を施し、さらに以下の説明及び表
1、2の条件で厚み5±2μmのSnオーバレイを形成
した軸受を下記条件で超高圧試験した結果を表してい
る。 【0026】 ほう弗化浴〜基本組成 浴組成:ほう弗化Sn・・・・・・・Sn2+イオンとして、18g/l ほう弗化水素酸 120g/l ゼラチン なし βナフトール なし ほう弗化浴組成(o) 浴組成:ほう弗化Sn・・・Sn2+イオンとして、 18g/l ほう弗化水素酸 120g/l ゼラチン なし βナフトール 2g/l 中性Sn浴〜基本組成(比較材) 浴組成:硫酸第1スズ・金属Sn換算として28g/l 無機アンモニウム塩(導電補助剤、酸化防止剤) 100g/l 有機カルボン酸 20g/l 【0027】 【表1】 【0028】 【表2】 【0029】超高圧試験条件 回転数 :1300rpm 油種・油温 :7.5W−30・140℃ 軸種 :S45C オーバレイ厚み:5±2μm 熱処理 :なし Niめっき :0.5μm 【0030】図1においてホウフッ浴は従来オーバレイ
のめっきによる形成に使用された成分のものであるが、
ゼロ(0)マークのものが従来のめっき成分濃度に相当
し、そして〜が従来よりゼラチンとβナフトールの
濃度を高めたものである。中性浴はpHを約6〜7に調
整した硫酸すず基めっき浴に光沢剤である有機カルボン
酸を濃度を変えて添加したものである。いずれの浴の場
合もC量の増加に伴って焼付面圧が増加することが分か
る。しかし光沢剤にCが由来するオーバレイの焼付面圧
はゼラチンとβナフトールにCが由来する焼付面圧より
高くなっている。 【0031】図3は図1との関連で説明した超高圧試験
を各種軸受について実施した結果を示す。光沢剤にCが
由来するオーバレイ(C=0.15%)の実施態様にお
ける顕著な利点は、中間層を省略した軸受が中間層を有
する同種オーバレイとほぼ同等の耐焼付性を発揮するこ
とが分かる。 【0032】ただし、耐焼付性の安定性及びオーバレイ
の密着性はNiなどの中間層があった方が優れている。
また従来のめっき浴で有機添加剤を増量した場合は、中
間層を有する軸受が中間層を有しない軸受よりも耐焼付
性が優れている。一方、比較材(C=0.01%)では
中間層が存在すると焼付面圧が高くなっており、中間層
がSnの拡散防止に重要な役割を担うことが分かる。 【0033】図4は図3と同じ「本発明、中間層あり」
及び「比較材、中間層あり」の軸受の製造中にすべての
層を形成後に155℃、100hの熱処理を行った軸受
についての同一の超高圧試験結果を示す。したがってこ
の図の結果はSnの拡散を熱処理により促進した軸受の
耐焼付性を示している。図3、4に示された「本発明」
と「比較材」の結果を対比考慮すると、Ni(中間層物
質)は高温下での拡散を促進すること、一定量以上のC
がSnの拡散を防止する作用は非常に強力であることが
分かる。なお、図3の「本発明、中間層なし」及び「比
較材、中間層なし」の軸受に図4の試験を行ったとこ
ろ、図3とほぼ同様の結果が得られ、このことから中間
層(Ni)がないことは拡散を緩和する面があることが
確かめられた。 【0034】オーバレイの密着性を高める中間層として
は、Ni,Cu,Fe,Crなどの金属を厚みが0.0
1〜5μm、好ましくは0.01〜2μmの層として形
成したものを使用することができる。また中間層とライ
ニングの間に置換めっきによるZn又はZn合金を厚み
が0.001〜2μmの層を介在させることができる。
ライニングは公知のアルミニウム合金、ケルメット合金
などを使用する。 【0035】さらに、ライニングに直接あるいはZn
(合金)層を介してオーバレイを被着することもでき
る。この態様は密着性よりも拡散の防止が重要な用途に
適用される。 【0036】 【作用】図5には、オーバレイ中のC量が、Al-11%Sn-
1.5%Pb-2.8%Si-1%Cu-0.2%Zr合金ライニングに0.3μ
m(ただし、C=0.001%については、1μm)の
Niめっき中間層を施し、さらに厚み5±2μmのSn
オーバレイを形成した軸受を155℃で熱処理して、S
nオーバレイ中に拡散させたNiの厚みに与える影響を
測定した結果を示す。このNiの拡散の厚みはSnの厚
みと等しいから、図5の縦軸はSnの拡散量(厚み)を
示す。なお、C=0.001%及び0.04のオーバ
レイはほうふっ化浴により、C=0.20%のオーバレ
中性浴によりめっきで形成した。図3より、オーバ
レイ中のSnの拡散速度を遅くする作用を営むことが明
らかである。 【0037】Cが拡散速度を遅くする原因は不明である
が、Snなどが拡散するときの該原子の通路となる結晶
欠陥にCが優先的に配置され易いために、拡散が妨げら
れることが原因として考えられる。Cのこの作用により
オーバレイ中のSnの枯渇が抑制されるので、オーバレ
イの耐腐食性、耐焼付性などの性能が軸受使用中に安定
して維持される。 【0038】さらにCはオーバレイの耐焼付性を向上さ
せる。この原因は不明であるが、相手材との摩擦の際の
剪断抵抗を、オーバレイ中に分散しているCが少なくす
ることが考えられる。剪断抵抗が小さくなるとオーバレ
イは相手軸によって少しづつ削り取られるから、大きい
凹凸(相手材との凝着、摩擦係数の急激な増大などを起
こし易い)を生ぜず、この結果焼付に至る現象の発生が
抑制される。 【0039】以下、実施例により本発明を詳しく説明す
る。 【0040】 【実施例】実施例1 図6に層構造を示す軸受を以下の方法で製造した。通常
の裏金鋼板からなる裏金10に鋳造で得たアルミライニ
ング20(11%Sn−1.5%Sb−2.8%Si−
1%Cu−0.2%Zr)を圧延により接着してバイメ
タル構造とした。続いてジンケート処理(亜鉛置換めっ
き:浴温20〜30℃の浴に浸漬)により置換めっき層
31を0.1μm以下の厚みに形成した。その上にNi
めっき(通常のワット浴、浴温50〜70℃、電流密度
2〜6A/dm2 )により中間層32を厚み0.3±
0.2μmに形成した。 【0041】続いて純すずオーバレイを以下の方法によ
り形成した。 浴組成 :中性、クエン酸及びその塩、アンモニウム
塩、有機カルボン酸塩90〜150g/l(ll0g/
l添加)、金属Sn含有量−25〜33g/l 浴 温:25℃ 電流密度:3A/dm2 pH :4〜9 【0042】以上の方法及び条件によりオーバレイを厚
み5±2μmに形成したところ、組成はCが0.15
%、残りはSnと化学分析により同定されない不純物
あることが分かった。Snの分析は化学分析で行った。
この方法において製造した軸受の超高圧試験を行った結
果を図1に示した。またEPMA Ck%αピークプロファイル
を図7に示した。 【0043】 【0044】 【0045】 【0046】比較例1以下のほうふっ化Sn浴を用いて
製造した。 浴組成 :ほう弗化水素酸 100g/l ほう弗化Sn(Snイオンとして) 15〜30g/l ゼラチン なし βナフトール 2g/l 浴 温:25℃ 電流密度:3A/dm2 pH :2〜7 以上の如くした他は実施例1と同一の方法・条件により
軸受を製造した。そのオーバレイのC量は0.01%で
あった。また軸受の焼付面圧は図3の比較例、中間層あ
りに示したとおりであった。さらに、EPMAによるC
k αピークプロファイルは図8に示すとおりであった。 【0047】 【発明の効果】従来オーバレイの性能を向上するために
種々の改良がなされてきたが、本発明上述のように非金
属元素の役割に着目し、耐焼付性と拡散防止について従
来には見られないような顕著な改善を図ることができ
た。また本発明により提案されるCの効果は金属成分系
には依存しないから、従来公知のオーバレイ合金のみな
らず今後提案されるであろうオーバレイ合金にも適用さ
れる。
【図面の簡単な説明】 【図1】焼付面圧とC量の関係を示すグラフである。 【図2】Cの検出、測定法の説明図である。 【図3】各種オーバレイを有する軸受の焼付面圧を表す
グラフである。 【図4】熱処理を行った軸受の焼付面圧を表すグラフで
ある。 【図5】C量をパラメータとしてSnオーバレイ中のN
iの拡散厚さを示すグラフである。 【図6】軸受の層構造を示す図である。 【図7】実施例1のCの検出及び量の測定結果を示すE
PMAプロファイルである。 【図8】比較例1のCの検出及び量の測定結果を示すE
PMAプロファイルである。 【符号の説明】 10 裏金 20 ライニング 31 置換めっき 32 中間層 40 オーバレイ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−28839(JP,A) 特開 昭54−65121(JP,A) 特開 昭63−109158(JP,A) 特開 昭47−4552(JP,A) 特開 平3−170696(JP,A) 特開 平5−25684(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 1/00 - 49/14 C23C 30/00 F16C 33/12

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 ケルメット合金もしくはアルミニウム合
    金からなるすべり軸受合金層上に中間層を介してもしく
    は介さずにめっきされたオーバレイを含んでなるすべり
    軸受において、前記オーバレイは、前記すべり軸受合金
    層より軟質であり、0.02から0.5質量%の有機物
    形態のCと、残部がSn及び不可避的不純物とからなる軟
    質合金であることを特徴とするすべり軸受。
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