JP3396923B2 - 化成処理性に優れた冷延鋼板の製造方法 - Google Patents
化成処理性に優れた冷延鋼板の製造方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は化成処理性に優れた冷延
鋼板の製造方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】冷間圧延後の鋼板をバッチ焼鈍して、冷
延鋼板を製造する場合、N2 、AX(アンモニア分解ガ
ス)、H2 、Ar等の雰囲気ガスが用いられており、不
可避的に発生する酸化膜を抑制するために、通常その雰
囲気ガスは水素と窒素を混合した無酸化の保護ガスを使
用している。通常、この保護ガスは10%以下の水素と
残部窒素の混合ガスが用いられている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ようにして製造された冷延鋼板は、ユーザーによりディ
ップ式又はスプレー式等の化成処理方法で化成処理さ
れ、その後塗装等の処理が行われている。この場合、化
成処理方法の違い等によって、化成処理被膜に大きな差
異を生じる場合があり、そのために、次工程の塗装等の
処理に影響を与えるという問題がある。このような化成
処理被膜の差異は冷延鋼板の表面性状に起因するものと
考えられ、冷延鋼板の表面清浄度の向上が強く望まれて
いる。 【0004】本発明は上記のような問題点の解決を図っ
たものであり、化成処理方法等の違いがあっても影響を
受けない化成処理性に優れた冷延鋼板の製造方法を提供
することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段及び方法】本発明者等は化
成処理反応が鋼板表面のミクロな局部電池を介して行わ
れるものであり、鋼板表面の酸化膜の影響により、この
局部電池の形成が抑制され、化成処理の不良を生じると
の考えから、種々の検討を行ない、本発明に到ったもの
である。 【0006】本発明は、コイル状で焼鈍を行う冷延鋼板
の製造方法において、冷間圧延後の鋼板をバッチ焼鈍す
るにあたり、前記バッチ焼鈍の雰囲気ガスを水素濃度8
0%以上、酸素濃度100ppm以下の混合気体とした
ことを特徴とする化成処理性に優れた冷延鋼板の製造方
法とするものである。 【0007】ここにおいて、バッチ焼鈍の雰囲気ガスの
水素濃度を80%以上にしたのは、後述する実験結果に
よるものであるが、水素濃度が80%未満では酸化膜の
軽減が充分にされない場合があり、そのために化成処理
方法が異なった場合に安定した化成処理被膜を得ること
が出来ない。 【0008】また、雰囲気ガスの酸素濃度を100pp
m以下にしたのは、後述する実験結果によるものである
が、酸素濃度が100ppm超えた場合では、水素濃度
を80%以上にしても、酸化膜の軽減が充分にされない
場合があり、そのために化成処理方法が異なった場合に
安定した化成処理被膜を得ることが出来ない。なお、バ
ッチ焼鈍は、シングルスタック、マルチスタック(ボッ
クス)焼鈍、コイル状連続焼鈍(コイル状で連続的に行
う焼鈍方法)を含むものである。 【0009】 【実施例】以下に本発明の実施例を詳述する。表1に示
した三種類A、B、Cの成分の鋼について、出鋼後連続
鋳造によりスラブとし、加熱温度1250℃、仕上げ温
度870℃、巻取り温度530℃で板厚3.4mmまで
熱延し、酸洗後板厚0.8mmまで冷延した後洗浄し、
650〜800℃でバッチ(ボックス)焼鈍後、伸び率
1.0%の調質圧延を施した鋼板を試験片とした。 【0010】 【表1】 【0011】この工程でバッチ焼鈍中の水素濃度は水素
ガスと窒素ガスの混合割合によって0〜100%まで変
更をした。酸素濃度は10−200ppmまで変更し
た。この試験片にリン酸塩処理(ディップ方式とスプレ
ー方式の2通り)を施し、その後、フェロテストを実施
した。 【0012】ここでフェロテストとはリン酸塩処理被膜
の不良を検知する方法であり、フェロシアン化カリウム
溶液に浸した濾紙を化成処理を施した鋼板に貼付し、リ
ン酸塩処理不良部より溶出してきた鉄イオンと反応する
ことにより、青色に発色させ、その発色比率が3%以下
であれば、化成処理は良好であるとする。ディップ方
式、スプレー方式の両方について有意差が認められる
が、スプレー方式のほうがディップ方式に比較して発色
率が高く、且つ顕著な有意差が現れた。 【0013】そこで、図1にスプレー方式による水素濃
度と化成処理性(発色比率)の関係を示す。この場合、
酸素濃度は100ppmであった。○印はA鋼、△印は
B鋼、□印はC鋼を示す。図1より明らかなように、雰
囲気ガス中水素濃度が80%以上の領域では、発色比率
が3%以下で良好な化成処理性を示していることがわか
る。 【0014】図1において、最も化成処理性の悪いA鋼
について、雰囲気中水素濃度と酸素濃度を変化させて、
その発色比率を調べた結果を図2に示す。●印は発色比
率3%以下、▲印は3%超〜4%未満、■印は4%以上
を示す。図2から明らかなように、水素濃度80%以
上、酸素濃度100ppm以下の斜線部が発色比率3%
以下で良好な化成処理性を示す領域である。 【0015】実施例に示すように、本発明の方法によっ
て製造された冷延鋼板は、その後にディップ方式、スプ
レー方式等の化成処理方法で化成処理を施しても、良好
な化成処理性を示した。 【0016】 【発明の効果】以上のように、本発明によれば、化成処
理方法に左右されることのない、良好な化成処理性の優
れた冷延鋼板が得られる。
鋼板の製造方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】冷間圧延後の鋼板をバッチ焼鈍して、冷
延鋼板を製造する場合、N2 、AX(アンモニア分解ガ
ス)、H2 、Ar等の雰囲気ガスが用いられており、不
可避的に発生する酸化膜を抑制するために、通常その雰
囲気ガスは水素と窒素を混合した無酸化の保護ガスを使
用している。通常、この保護ガスは10%以下の水素と
残部窒素の混合ガスが用いられている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ようにして製造された冷延鋼板は、ユーザーによりディ
ップ式又はスプレー式等の化成処理方法で化成処理さ
れ、その後塗装等の処理が行われている。この場合、化
成処理方法の違い等によって、化成処理被膜に大きな差
異を生じる場合があり、そのために、次工程の塗装等の
処理に影響を与えるという問題がある。このような化成
処理被膜の差異は冷延鋼板の表面性状に起因するものと
考えられ、冷延鋼板の表面清浄度の向上が強く望まれて
いる。 【0004】本発明は上記のような問題点の解決を図っ
たものであり、化成処理方法等の違いがあっても影響を
受けない化成処理性に優れた冷延鋼板の製造方法を提供
することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段及び方法】本発明者等は化
成処理反応が鋼板表面のミクロな局部電池を介して行わ
れるものであり、鋼板表面の酸化膜の影響により、この
局部電池の形成が抑制され、化成処理の不良を生じると
の考えから、種々の検討を行ない、本発明に到ったもの
である。 【0006】本発明は、コイル状で焼鈍を行う冷延鋼板
の製造方法において、冷間圧延後の鋼板をバッチ焼鈍す
るにあたり、前記バッチ焼鈍の雰囲気ガスを水素濃度8
0%以上、酸素濃度100ppm以下の混合気体とした
ことを特徴とする化成処理性に優れた冷延鋼板の製造方
法とするものである。 【0007】ここにおいて、バッチ焼鈍の雰囲気ガスの
水素濃度を80%以上にしたのは、後述する実験結果に
よるものであるが、水素濃度が80%未満では酸化膜の
軽減が充分にされない場合があり、そのために化成処理
方法が異なった場合に安定した化成処理被膜を得ること
が出来ない。 【0008】また、雰囲気ガスの酸素濃度を100pp
m以下にしたのは、後述する実験結果によるものである
が、酸素濃度が100ppm超えた場合では、水素濃度
を80%以上にしても、酸化膜の軽減が充分にされない
場合があり、そのために化成処理方法が異なった場合に
安定した化成処理被膜を得ることが出来ない。なお、バ
ッチ焼鈍は、シングルスタック、マルチスタック(ボッ
クス)焼鈍、コイル状連続焼鈍(コイル状で連続的に行
う焼鈍方法)を含むものである。 【0009】 【実施例】以下に本発明の実施例を詳述する。表1に示
した三種類A、B、Cの成分の鋼について、出鋼後連続
鋳造によりスラブとし、加熱温度1250℃、仕上げ温
度870℃、巻取り温度530℃で板厚3.4mmまで
熱延し、酸洗後板厚0.8mmまで冷延した後洗浄し、
650〜800℃でバッチ(ボックス)焼鈍後、伸び率
1.0%の調質圧延を施した鋼板を試験片とした。 【0010】 【表1】 【0011】この工程でバッチ焼鈍中の水素濃度は水素
ガスと窒素ガスの混合割合によって0〜100%まで変
更をした。酸素濃度は10−200ppmまで変更し
た。この試験片にリン酸塩処理(ディップ方式とスプレ
ー方式の2通り)を施し、その後、フェロテストを実施
した。 【0012】ここでフェロテストとはリン酸塩処理被膜
の不良を検知する方法であり、フェロシアン化カリウム
溶液に浸した濾紙を化成処理を施した鋼板に貼付し、リ
ン酸塩処理不良部より溶出してきた鉄イオンと反応する
ことにより、青色に発色させ、その発色比率が3%以下
であれば、化成処理は良好であるとする。ディップ方
式、スプレー方式の両方について有意差が認められる
が、スプレー方式のほうがディップ方式に比較して発色
率が高く、且つ顕著な有意差が現れた。 【0013】そこで、図1にスプレー方式による水素濃
度と化成処理性(発色比率)の関係を示す。この場合、
酸素濃度は100ppmであった。○印はA鋼、△印は
B鋼、□印はC鋼を示す。図1より明らかなように、雰
囲気ガス中水素濃度が80%以上の領域では、発色比率
が3%以下で良好な化成処理性を示していることがわか
る。 【0014】図1において、最も化成処理性の悪いA鋼
について、雰囲気中水素濃度と酸素濃度を変化させて、
その発色比率を調べた結果を図2に示す。●印は発色比
率3%以下、▲印は3%超〜4%未満、■印は4%以上
を示す。図2から明らかなように、水素濃度80%以
上、酸素濃度100ppm以下の斜線部が発色比率3%
以下で良好な化成処理性を示す領域である。 【0015】実施例に示すように、本発明の方法によっ
て製造された冷延鋼板は、その後にディップ方式、スプ
レー方式等の化成処理方法で化成処理を施しても、良好
な化成処理性を示した。 【0016】 【発明の効果】以上のように、本発明によれば、化成処
理方法に左右されることのない、良好な化成処理性の優
れた冷延鋼板が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により製造された冷延鋼板のスプレー方
式のリン酸塩処理に対するフェロテストでの雰囲気ガス
の水素濃度と発色比率の関係を示す図である。 【図2】本発明により製造された冷延鋼板のスプレー方
式のリン酸塩処理に対するフェロテストでの雰囲気ガス
の水素濃度及び酸素濃度と発色比率の関係を示す図であ
る。
式のリン酸塩処理に対するフェロテストでの雰囲気ガス
の水素濃度と発色比率の関係を示す図である。 【図2】本発明により製造された冷延鋼板のスプレー方
式のリン酸塩処理に対するフェロテストでの雰囲気ガス
の水素濃度及び酸素濃度と発色比率の関係を示す図であ
る。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
C21D 1/26
C21D 1/76
C21D 9/46
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 コイル状で焼鈍を行う冷延鋼板の製造方
法において、冷間圧延後の鋼板をバッチ焼鈍するにあた
り、前記バッチ焼鈍の雰囲気ガスを水素濃度80%以
上、酸素濃度100ppm以下の混合気体としたことを
特徴とする化成処理性に優れた冷延鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24541093A JP3396923B2 (ja) | 1993-09-30 | 1993-09-30 | 化成処理性に優れた冷延鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24541093A JP3396923B2 (ja) | 1993-09-30 | 1993-09-30 | 化成処理性に優れた冷延鋼板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0797616A JPH0797616A (ja) | 1995-04-11 |
JP3396923B2 true JP3396923B2 (ja) | 2003-04-14 |
Family
ID=17133244
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP24541093A Ceased JP3396923B2 (ja) | 1993-09-30 | 1993-09-30 | 化成処理性に優れた冷延鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3396923B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5058769B2 (ja) | 2007-01-09 | 2012-10-24 | 新日本製鐵株式会社 | 化成処理性に優れた高強度冷延鋼板の製造方法および製造設備 |
-
1993
- 1993-09-30 JP JP24541093A patent/JP3396923B2/ja not_active Ceased
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0797616A (ja) | 1995-04-11 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RVOP | Cancellation by post-grant opposition |