JP3396452B2 - 熱電対保護管及びその製作方法 - Google Patents

熱電対保護管及びその製作方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガラス溶解、ごみ
焼却炉等の溶解炉液中の温度を測定する熱電対の保護管
及びその製作方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、熱電対の保護管には、セラミッ
ク製保護管、前記、セラミック製保護管全体にPt又
はPt合金製のキャップを被せたもの、セラミック製
保護管の表面にPtをコーティングしたもの等があっ
た。
【0003】ところで、セラミック製保護管で保護した
熱電対を、例えばガラス溶解炉液中の温度を測定するの
に使用した場合、セラミックと溶解ガラスが反応し、セ
ラミック製保護管に孔があき、やがて絶縁管及び熱電対
素線にまで溶解ガラスが浸入し、最終的には使用不可と
なる。また、セラミック製保護管全体にPt又はPt合
金製のキャップを被せたもので保護した熱電対を、ガラ
ス溶解炉液中の温度を測定するのに使用した場合、溶解
ガラスとセラミック保護管はPt又はPt合金により遮
断されるためセラミックは浸食されないが、セラミック
界面とPt又はPt合金が密着されず、Pt又はPt合
金製キャップが抜け落ちる恐れがあるため保護管全体を
高価なPt又はPt合金で作製しなければならず、経済
的な面から用途が限られていた。さらに、セラミック製
保護管の表面にPtをコーティングしたものは、密着性
がよく、必要な部分だけコーティングできるが、Pt被
膜の緻密度が低く膜質がポーラスであるため、これで保
護した熱電対を、ガラス溶解炉液中の温度を測定するの
に使用した場合、Pt被膜の微細な空孔から溶融ガラス
が浸透し、やがて溶融ガラスとセラミックが接触し、溶
融ガラスに泡が発生するなどの問題が生じていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、必要
な部分だけにPtを使用し、またPtをセラミック製保
護管に密着させて脱落しないようにし、さらにセラミッ
クと溶融ガラスを完全に遮断することのできる熱電対保
護管及びその製作方法を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明の熱電対保護管は、セラミック製保護管の溶融
ガラス浸漬部分だけPtキャップで被われ、且つこのP
tキャップの開口部とセラミック製保護管との隙間がP
tで埋められてセラミック製保護管とPtとPtキャッ
プとが密着一体化されていることを特徴とするものであ
る。
【0006】上記熱電対保護管を製作する本発明の熱電
対保護管の製作方法は、セラミック製保護管の所要長さ
の表面をショットピーニング処理した後1200℃〜1
400℃で熱処理し、次にその表面に被せる一端封塞の
Ptキャップの開口部との間に隙間が生じる外周面に下
地としてPtをコーティングし、次いでセラミック製保
護管にPtキャップを被せ、Ptキャップの開口部を内
側に絞ってセラミック製保護管にコーティングしたPt
被膜に圧着し、次にその絞り部分とその近傍にPtワイ
ヤーを巻き付けた上Ptをコーティングし、然る後保護
管全体を1200℃〜1500℃で熱処理することを特
徴とするものである。
【0007】
【作用】上記の製作方法により製作された本発明の熱電
対保護管は、必要な部分だけ即ち溶融ガラス浸漬部分だ
けPtで被われ、溶融ガラスとセラミック製保護管とが
Ptキャップに遮断されるので、セラミック製保護管が
溶融ガラスに浸食されることがなく、溶融ガラスにセラ
ミック成分が溶け出したり、溶融ガラスに泡が発生した
りすることがない。また、本発明の熱電対保護管は、温
度測定中Ptキャップがセラミック製保護管から抜け落
ちることがなく、従って保護管全体を従来のように高価
なPt又はPt合金で作製する必要はなく、経済的な熱
電対保護管となる。用いるPtのコーティング方法とし
ては溶射、ペースト等が使用できる。また最終的な熱処
理温度はセラミック保護管上のPt被覆、Ptキャッ
プ、さらにその上のPt被覆が拡散して一体化する温度
が必要で、1200℃〜1500℃が望ましい。120
0℃未満では拡散が充分でなく、また1500℃を越え
るとPtの蒸発が多く、またセラミックも変質しやすく
好ましくない。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の熱電対保護管及びその製
作方法の一実施形態を説明する。先ず、熱電対保護管の
製作方法について説明すると、図1に示す外径10m
m、内径6mm、長さ1000mmで一端を半球形に封
塞した材質:SSA−Sのアルミナよりなる保護管1
を、封塞端から約200mmの長さの部分の表面を一様
にショットピーニング処理を施し、これを電気炉に入
れ、常温から1200℃まで昇温し、6時間保持後、炉
冷した。次に保護管1の封塞端から148mm以下の部
分と158mm以上の部分に、図2に示すように厚さ
0.2mmのPt板をマスク2として巻き付けた。次に
保護管1の封塞端から148mm〜158mmのアルミ
ナの露出した部分3にアークガンによりPtを厚み0.
2〜0.3mm溶射して図3に示すように長さ20mm
のPt被膜4を形成した。次にマスク2を取り除いた後
保護管1の封塞端側から図4に示すように外径10.7
5mm、内径10.5mm、長さ160mmのPtキャ
ップ5を被せ、このPtキャップ5の開口部5aを長さ
2〜3mm内側に絞って保護管1のPt被膜4に圧着し
た。次にその絞り部の近傍から図5に示すように直径
0.6mmのPtワイヤー6をPtキャップ5の開口端
と保護管1の境目付近を長さ約4mmにわたって6回巻
き付けて縛った。次に保護管1の封塞端から150mm
以下の部分と190mm以上の部分に図6に示すように
厚さ0.2mmのPt板をマスク7として巻き付けた。
次に保護管1の封塞端から150mm〜190mmの露
出した部分8にアークガンによりPtを厚み0.2mm
溶射して図7に示すように長さ40mmのPt被膜9を
形成した。次にマスク7を取り除いた後、この保護管全
体を電気炉に入れて1300℃、6時間の熱処理を行っ
て、図8に示す熱電対保護管10を得た。
【0009】上記のように製作した熱電対保護管10
は、アルミナ製の保護管1の必要な部分だけ即ち溶融ガ
ラス浸漬部分だけPtキャップ5で被われ、且つこのP
tキャップ5の開口部5aと保護管1との隙間がPt被
膜4、Ptワイヤー6、Pt被膜9等により完全に埋め
られて、これらPtと保護管1とPtキャップ5とが密
着一体化されている。
【0010】一方、従来例1の熱電対保護管としては、
外径10mm、内径6mm、長さ1000mmで一端を
半球形に封塞した材質:SSA−Sのアルミナよりなる
保護管(図1に示すものと同一構造)があり、従来例2
の熱電対保護管としては、従来例1の熱電対保護管全体
に単純に外径11mm、内径10.5mm、長さ100
0mmのPtキャップを被せたものがあり、従来例3の
熱電対保護管としては、従来例1の熱電対保護管の封塞
端側から長さ160mmの範囲にわたってPtを厚み
0.3mm溶射したものがある。
【0011】然して、上記本発明の実施形態の熱電対保
護管と、従来例1、2、3の熱電対保護管を用いて夫々
熱電対を組み立て、1300℃の溶融E−ガラス中に各
々浸漬保持したところ、従来例1の保護管を備えた熱電
対は約50時間後に保護管が溶けて熱電対がショート
し、正しい温度を示さなくなり、従来例3の保護管を備
えた熱電対は、約500時間後に熱電対保護管周辺部で
溶融E−ガラス中に泡が発生したが、本発明の実施形態
の保護管を備えた熱電対及び従来例2の保護管を備えた
熱電対は約半年経過後も溶融E−ガラス中に泡の発生が
無く、熱電対を取り出して保護管を検査したところ、全
く損傷が見られなった。但し、従来例2の保護管は、セ
ラミック製保護管全体を高価なPtキャップで被ってい
るため、甚だ不経済である。
【0012】
【発明の効果】以上の説明で判るように本発明による熱
電対保護管は、溶融ガラス浸漬部分だけPtで被われて
いるので、この熱電対保護管を用いた熱電対を溶融ガラ
ス中に浸漬して温度測定した際、溶融ガラスと熱電対保
護管の本体であるセラミック製保護管とがPtキャップ
に遮断される。従って、セラミック製保護管が溶湯ガラ
スに浸食されることがなく、溶融ガラスにセラミック成
分が溶け出したり、溶融ガラスに泡の発生が無く、長時
間安定した温度測定ができる。また、本発明の熱電対保
護管を備えた熱電対は、溶融ガラスの温度測定中保護管
のPtキャップが抜け落ちることがないので、従来のよ
うにセラミック製保護管全体を高価なPt又はPt合金
で作製する必要がなく、経済的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の熱電対保護管の製作方法の工程を示
す図である。
【図2】 本発明の熱電対保護管の製作方法の工程を示
す図である。
【図3】 本発明の熱電対保護管の製作方法の工程を示
す図である。
【図4】 本発明の熱電対保護管の製作方法の工程を示
す図である。
【図5】 本発明の熱電対保護管の製作方法の工程を示
す図である。
【図6】 本発明の熱電対保護管の製作方法の工程を示
す図である。
【図7】 本発明の熱電対保護管の製作方法の工程を示
す図である。
【図8】 本発明の熱電対保護管の製作方法の工程を示
す図である。
【符号の説明】
1 セラミック(アルミナ)製保護管 2 マスク 3 アルミナの露出した部分 4 Pt被膜 5 Ptキャップ 5a Ptキャップの開口部 6 Ptワイヤー 7 マスク 8 露出した部分 9 Pt被膜 10 本発明の熱電対保護管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01K 1/08 G01K 7/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミック製保護管の溶融ガラス浸漬部
    分だけPtキャップに被われ、且つこのPtキャップの
    開口部とセラミック製保護管との隙間がPtで埋められ
    てセラミック製保護管とPtとPtキャップとが密着一
    体化されていることを特徴とする熱電対保護管。
  2. 【請求項2】 セラミック製保護管の所要長さの表面を
    ショットピーニング処理した後1200℃〜1400℃
    で熱処理し、次にその表面に被せる一端封塞のPtキャ
    ップの開口部との間に隙間が生じる外周面に下地として
    Ptをコーティングし、次いでセラミック製保護管にP
    tキャップを被せ、Ptキャップの開口部を内側に絞っ
    てセラミック製保護管にコーティングしたPt被膜に圧
    着し、次にその絞り部分とその近傍にPtワイヤーを巻
    き付けた上Ptをコーティングし、然る後保護管全体を
    1200℃〜1500℃で熱処理することを特徴とする
    熱電対保護管の製作方法。
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