JP3396354B2 - 塗布液塗布方法 - Google Patents

塗布液塗布方法

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JP3396354B2 JP31360595A JP31360595A JP3396354B2 JP 3396354 B2 JP3396354 B2 JP 3396354B2 JP 31360595 A JP31360595 A JP 31360595A JP 31360595 A JP31360595 A JP 31360595A JP 3396354 B2 JP3396354 B2 JP 3396354B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、半導体ウエハ、フ
ォトマスク用のガラス基板、液晶表示装置用のガラス基
板、光ディスク用の基板などの基板にフォトレジスト液
などの塗布液を塗布する方法に係り、特に基板を所定の
回転数で低速回転させつつ、塗布液の供給開始命令の実
行に基づきその回転中心付近に塗布液を供給することに
よって塗布液を基板の表面に拡げ、その後基板を所定の
回転数で高速回転させることによって基板表面に所望膜
厚の塗布被膜を形成する技術に関する。 【0002】 【従来の技術】従来のこの種の塗布液塗布方法につい
て、図9に示す装置を例に採って説明する。この図は、
回転式基板塗布装置の要部を示し、この装置は基板Wを
ほぼ水平姿勢で吸引支持して回転させるスピンチャック
1と、そのほぼ回転中心の上方に、塗布液であるフォト
レジスト液Rを基板Wの表面に供給するための吐出ノズ
ル5を備えている。 【0003】このように構成された装置では、図10の
タイムチャートに示すように回転数の制御を行なって基
板Wの表面に所望の膜厚のフォトレジスト被膜を得るよ
うになっている。 【0004】すなわち、まず、スピンチャック1を図示
しないモータによって回転駆動して、基板Wを所定の回
転数R1(例えば900rpm)で回転させる。その回
転が安定した時点で、吐出ノズル5からほぼ一定の流量
でフォトレジスト液Rを吐出させ始め(図10中の符号
S )、基板Wの回転中心付近にフォトレジスト液Rを
供給し続ける。そしてフォトレジスト液Rの供給開始時
点tS から所定時間経過した時点(図10中の符号
E )でフォトレジスト液Rの供給を停止する。その
後、スピンチャック1の回転数を、現在の回転数R1よ
りも高い回転数R2(例えば3,000rpm)に上げ
て所定時間これを保つことによって、基板Wの表面に供
給された余剰のフォトレジスト液Rを振り切り、基板W
の表面に所望する膜厚のフォトレジスト被膜を形成する
ようになっている。 【0005】上述したような従来の方法においては、図
11(a)〜図11(f)の模式図に示すようなフォト
レジスト液Rの挙動によってフォトレジスト被膜が形成
される。なお、これらの図では、簡略的に基板Wを円で
示し、フォトレジスト液Rをハッチングした領域で示
し、各図における基板Wの回転数を矢印の大きさで模式
的に示している。 【0006】まず、基板Wを回転数R1で低速回転させ
つつ基板Wの表面にフォトレジスト液Rを供給し始めた
直後の状態では、フォトレジスト液Rは平面視で円形状
の塊Ra (以下、これをコアRa と称する)となって基
板Wの回転中心付近にある。さらにフォトレジスト液R
を供給し続けると、このコアRa の径は回転に伴う遠心
力が作用してほぼ円形状を保ったまま基板Wの周縁に向
かって同心円状に拡がってゆく。 【0007】コアRa は暫くの間(数秒間)は円形状を
保っているが、その後に大きく形を変えてゆく。具体的
には、この円形状のコアRa の外周部から基板Wの周縁
部に向かって多数の細長いフォトレジスト液Rb の流れ
(以下、これをヒゲRb と称する)が放射状に伸び始め
る(図11(a))。この多数のヒゲRb は、遠心力に
よってコアRa の径の拡大とともに基板Wの周縁部に向
かって伸び続けるが、ヒゲRb はコアRa に比べてその
回転半径が大きく、そのために遠心力が大きく加わるの
で、コアRa の径の拡大よりも速く基板Wの周縁部に向
かって伸びることになる(図11(b))。 【0008】さらに基板Wの回転を回転数R1で続ける
(このときフォトレジスト液Rも供給され続けている)
と、多数のヒゲRb の先端部は、基板Wの周縁部に到達
する(図11(c))。このように多数のヒゲRb が基
板Wの周縁部に到達すると、フォトレジスト液Rはコア
a からヒゲRb を通って基板Wの周縁部に達して飛散
(飛散フォトレジスト液Rc )する。さらにコアRa
径が大きくなるとともにヒゲRb の幅が拡がる(図11
(c)中の二点鎖線と図11(d))ことによって、フ
ォトレジスト液Rで覆われていないヒゲRb 間の領域が
次第に少なくなって基板Wの表面全体がフォトレジスト
液R(コアRa ,ヒゲRb )によって覆われる(図11
(e))。なお、この時点において吐出ノズル5からの
フォトレジスト液Rの吐出を停止する(図10中の符号
E )ように予め時間設定されている。 【0009】以上のように、フォトレジスト液Rで基板
Wの表面全体を覆った後に、基板Wの回転数を、現在の
回転数R1よりも高い回転数R2として、基板Wの表面
を覆っているフォトレジスト液Rの余剰分(余剰フォト
レジスト液Rd )を振り切ることによって、基板Wの表
面に所望の膜厚のフォトレジスト被膜R’を形成する
(図11(f))。 【0010】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の方法には、次のような問題点がある。すなわ
ち、図11(c)に示すように、多数のヒゲRb が基板
Wの周縁部に到達すると、これ以降供給されるフォトレ
ジスト液Rの大部分は、コアRa からヒゲRb を通って
基板Wの周囲に放出されて飛散する(飛散フォトレジス
ト液Rc)ことになる。したがって、基板Wの表面全体
がフォトレジスト液Rによって覆われるまでに大量のフ
ォトレジスト液Rを供給する必要があり、フォトレジス
ト液の使用量が極めて多くなるという問題点がある。つ
まり、所望膜厚のフォトレジスト被膜R’を得る際のフ
ォトレジスト液Rの利用効率が極めて低いという問題点
がある。因みに、このフォトレジスト液などの塗布液
は、現像液やリンス液などの処理液に比較して非常に高
価であるので、飛散する不要な塗布液の量を少なくする
ことは半導体装置等の製造コストを低減する上で非常に
重要な課題である。 【0011】このような課題を以下のように基板Wの回
転数を制御することによって解決するという提案がなさ
れている(特願平7−174127号)。すなわち、図
11(e)のように、低速の回転数R1によって基板W
の表面全体がフォトレジスト液Rで覆われる前に基板W
の回転数を上げてゆくようにしたり、あるいは、図11
(a)のようにフォトレジスト液Rが基板Wの表面に到
達した時点から、図11(c)のようにヒゲRb が基板
Wの周縁部に到達する前に、基板Wの回転数を上げてゆ
くようにする。このように回転数を制御することによ
り、基板Wの周縁部に向かって伸長している多数のヒゲ
b に対して、基板Wの周方向に慣性力(回転方向とは
逆方向)を与えることができる。したがって、この慣性
力を受けたヒゲRb は回転方向とは逆方向にその幅を拡
げられるので、コアRa の径の拡大とともに〔ヒゲRb
が基板Wの周縁部に到達するまでに〕ヒゲRb 間の隙間
が急速に狭まり、塗布液が基板Wの表面全体を覆うまで
の時間(被覆所要時間)を短縮することができる。その
結果、ヒゲRb が基板Wの周縁部に到達してからフォト
レジスト液Rの供給が停止されるまでの時間が短くなっ
て、飛散フォトレジスト液Rc の量が少なくなるので、
所望膜厚のフォトレジスト被膜R’を得るのに要するフ
ォトレジスト液Rの量を少なくすることができる。因み
に、フォトレジスト液Rが基板Wの表面に到達(図11
(a)の状態)してからヒゲRb が周縁部に到達するま
で(図11(c)の状態に至る前)の時間(以下、到達
時間と称する)は、8インチサイズの基板Wを2,00
0rpmで回転させた場合の実験においては0.5秒程
度であることが実験によって判明している。 【0012】ところで、吐出ノズル5からのフォトレジ
スト液Rの吐出制御は、図示しない制御部によって塗布
処理条件を記載した処理プログラム(スピンコートプロ
グラムとも呼ばれる)が実行されることによって行なわ
れており、このプログラムに含まれる供給開始命令が実
行されてから基板Wにフォトレジスト液Rが吐出され、
供給停止命令が実行されてから吐出が停止されるように
なっている。しかし、吐出ノズル5からフォトレジスト
液Rを吐出させる機構(図示せず)は、例えば、フォト
レジスト液を吐出ノズル5内に送り込むベローズポンプ
を動作させるためのエアシリンダや、吐出ノズル5内の
フォトレジスト液を引き戻すサックバックバルブを含ん
でいるので、制御部により供給開始命令が実行されてか
ら実際にフォトレジスト液Rが基板Wの表面に到達する
までの時間と、供給停止命令が実行されてから実際にフ
ォトレジスト液Rが基板Wに供給されなくなるまでの時
間とに遅れ時間(開始遅れ時間および停止遅れ時間)が
生じる。 【0013】一般的に、上記の吐出に係る機構は、クリ
ーンルーム内のユーティリティの1つである加圧空気源
からの加圧空気を利用しているが、この加圧空気源はク
リーンルーム内の他の装置によっても利用されている関
係上、それらの利用状況によって加圧空気の圧力が時間
的に変動する。さらに、エアシリンダおよびサックバッ
クバルブは、加圧空気の導入/排出を調整するための機
構(例えば、速度制御弁)を備えているので、その調整
度合いによっても上記開始遅れ時間および上記停止遅れ
時間が変動することになる。 【0014】上述したような提案されている塗布方法を
用いて、ヒゲRb の幅を周方向に拡げて飛散フォトレジ
スト液Rc の量を少なくするためには、フォトレジスト
液Rが基板Wの表面に到達してから上記到達時間以内
(約0.5秒)に回転数を上げる必要があるが、実際に
基板W表面にフォトレジスト液Rが到達する時間は、上
記開始遅れ時間に伴って変動するものであるので、上記
の到達時間内において回転数を上げることができない場
合がある。例えば、供給開始命令とほぼ同時に回転数を
上げるようにしたとすると、上記の開始遅れ時間の存在
により、回転数を上げ終わった時点において塗布液が基
板表面に供給される場合があり、この場合にはヒゲRb
に対して慣性力を与えることができないことになる。ま
た、上記の開始遅れ時間を予め測定しておき、供給開始
命令の後、その開始遅れ時間だけ経過した時点に回転数
を上げるようにしたとしても、開始遅れ時間は上述した
ように変動するものであるので、ヒゲRb に対して確実
に慣性力を与えられるとは限らない。その結果、上記の
ように提案されている塗布方法では、塗布液の吐出タイ
ミングのずれによってフォトレジスト液の量を少なくす
ることができない場合があるという問題点がある。 【0015】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであって、回転数制御を工夫することによって、
所望膜厚の塗布被膜を得るために供給する塗布液の量を
極めて少なくすることができ、かつ、塗布液の吐出タイ
ミングのずれに起因する悪影響を回避することができる
塗布液塗布方法を提供することを目的とする。 【0016】 【課題を解決するための手段】本発明は、このような目
的を達成するために、次のような構成をとる。すなわ
ち、基板を所定の回転数で低速回転させつつ、塗布液の
供給開始命令の実行に基づきその回転中心付近に塗布液
を供給することによって塗布液を基板の表面に拡げ、そ
の後基板を所定の回転数で高速回転させることによって
基板表面に所望膜厚の塗布被膜を形成する塗布液塗布方
法において、前記供給開始命令が実行された時点から前
記所定の回転数で基板を高速回転させるまでの間であっ
て、かつ塗布液が基板表面全体を覆う前に、基板の回転
数を上昇および下降させる回転数昇降過程を複数回含む
ことを特徴とするものである。 【0017】 【作用】本発明の作用は次のとおりである。基板を所定
の回転数で低速回転させつつ、塗布液の供給開始命令の
実行に基づきその回転中心付近に塗布液を供給するが、
供給開始命令が実行された時点から実際に基板表面に塗
布液が到達するには上記開始遅れ時間だけ遅れることに
なる。しかも、この開始遅れ時間はユーティリティであ
る加圧空気源の圧力変動や、吐出に係る機構の調整度合
いによって変動するものであるので、供給開始命令が実
行された時点からどのくらい遅れて実際に塗布液が基板
表面に供給されるのかは不明である。そこで、供給開始
命令が実行された時点から、所定の回転数で基板を高速
回転させるまでの間であって、かつ塗布液が基板表面全
体を覆う前に、基板の回転数を上昇および下降させる回
転数昇降過程を複数回行なうようにする。すると、上述
した到達時間内に、少なくとも複数回の回転数昇降過程
のうちの1つの過程が存在することになって、周縁部に
向かう多数の細長い塗布液の流れ(上記ヒゲRb )に対
して、確実に周方向に慣性力を与えることができる。 【0018】このように基板の回転数を上昇および下降
させる回転数昇降過程により、塗布液は、図8の模式図
に示すような挙動をする。まず、従来例のように回転数
が低速の回転数R1のままの場合は、図8中にハッチン
グで示す領域コアRa /ヒゲRb の状態から、二点鎖線
で示すようにコアRa /ヒゲRb が基板Wの周縁部に向
かって遠心力によって拡大/伸長するが、ここで回転数
を上昇/下降させる(加速してゆく/減速してゆく)
と、ヒゲRbに慣性力、つまり、まずは回転方向とは逆
方向の慣性力が作用し、続いて、回転方向と同方向の慣
性力が作用する。したがって、まずは、遠心力および回
転方向と逆方向の慣性力との合力により、ヒゲRb は回
転方向とは逆方向の周方向に曲げられ、続いて遠心力お
よび回転方向と同方向の慣性力との合力により、ヒゲR
b は回転方向の周方向に曲げられるように、ヒゲRb
中心として左右にほぼ同じだけその幅が拡大するととも
に、遠心力によってその先端部が周縁部に向かって伸長
し、コアRa の径も拡大することになる(図8中に点線
で示す)。 【0019】その結果、ヒゲRb は基板Wの周縁部に向
かって伸長するだけでなく、周方向にもその幅を拡大す
るので、ヒゲRb が基板Wの周縁部に到達するまでにヒ
ゲRb 間の隙間が急速に狭まり、塗布液が基板Wの表面
全体を覆うまでの時間(被覆所要時間)を短縮すること
ができる。被覆所要時間が短いということは、塗布液の
供給を開始してから、塗布液が基板Wの表面全体を覆っ
て塗布液の供給が停止されるまでの時間が短いことを意
味する。換言すれば、ヒゲRb が基板Wの周縁部に到達
してから塗布液の供給が停止されるまでの時間が短くな
り、それだけヒゲRb を通って基板Wの周縁部から飛散
する塗布液の量が少なくなるので、所望膜厚の塗布被膜
を得るのに要する塗布液の量を少なくすることができ
る。さらに、上述したように、到達時間内に、少なくと
も複数回の回転数昇降過程のうちの1つの過程が存在す
ることになるので、開始遅れ時間が変動したとしても、
ヒゲRb に対して確実に周方向に慣性力を与えることが
できる。 【0020】 【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の一
実施例を説明する。図1は、本発明方法に基づく回転数
制御を行なう回転式基板塗布装置(スピンコータとも呼
ばれる)を示す縦断面図である。 【0021】図中、符号1はスピンチャックであり、基
板Wをほぼ水平姿勢で吸着保持するものである。このス
ピンチャック1は回転軸2を介して電動モータ3によっ
て回転駆動される。スピンチャック1に吸着保持された
基板Wは、その回転によってほぼ水平姿勢で回転中心P
回りに回転される。なお、電動モータ3の回転制御は後
述する制御部20により行なわれる。 【0022】スピンチャック1の周囲には、塗布液の一
例であるフォトレジスト液や基板Wの裏面を洗浄する洗
浄液などの飛散を防止するための飛散防止カップ4が配
設されている。また、図示しない搬送機構が未処理の基
板Wをスピンチャック1に載置、または、スピンチャッ
ク1から処理済みの基板Wを受け取る際には、図示しな
い昇降機構が回転軸2と飛散防止カップ4とを相対昇降
させることにより、スピンチャック1を飛散防止カップ
4の上方へと移動させる(図1に二点鎖線で示す状
態)。 【0023】飛散防止カップ4の外側には、搬入された
基板W上の回転中心Pの上方に相当する供給位置と基板
W上から周囲に離れた待機位置との間で移動可能に構成
された吐出ノズル5が設けられている。吐出ノズル5
は、ノズル移動機構10によって、上記の供給位置と待
機位置とにわたって移動されるようになっている。 【0024】また、飛散防止カップ4内であって、基板
Wの下方の回転中心P側には、霧状のミストが基板W裏
面に付着したり、基板W表面の周縁部から裏面に回り込
んだ不要なフォトレジスト液を除去するために、洗浄液
を裏面に向けて噴出させるバックリンスノズル11が設
けられている。このバックリンスノズル11からの洗浄
液の噴出は、後述する制御部20により制御されるよう
になっている。 【0025】吐出ノズル5は、供給管12に接続されて
おり、この供給管12と、サックバックバルブ13と、
ベローズポンプ14と、逆止弁15とを介してフォトレ
ジスト液を貯留している塗布液タンク16に連通接続さ
れている。サックバックバルブ13は、クリーンルーム
内に導入されているユーティリティーの1つである加圧
空気源により圧空を送り込まれることにより動作され、
この動作により吐出ノズル5の先端内部に貯留している
フォトレジスト液を僅かに引き戻して、いわゆるぼた落
ちを防止したり、吐出ノズル5の先端部から露出してい
るフォトレジスト液の固化を防止するものである。サッ
クバックバルブ13は、送り込まれた圧空を排出される
ことにより非動作、つまり、吐出ノズル5内のフォトレ
ジスト液の引き戻しを解除する。このサックバックバル
ブ13の動作/非動作は、制御部20からの電気信号に
応じて行なわれるようになっている。なお、サックバッ
クバルブ13の動作/非動作は、その引き戻し圧力など
が調整可能になっている。したがって、その調整度合い
や加圧空気源の圧力により、電気信号を入力されてから
フォトレジスト液の引き戻し動作や解除動作となる動作
速度が変動するものである。 【0026】ベローズポンプ14は、複動式エアシリン
ダ17に連動して動作し、塗布液タンク16内のフォト
レジスト液を供給管12に送り込むものである。この送
り込み動作により生じるフォトレジスト液の塗布液タン
ク16内への逆流を防止するのが、逆止弁15である。
複動式エアシリンダ17は、速度制御弁18を介して加
圧空気源によって動作するものであり、そのピストン1
7aにより仕切られた2つの空間に速度制御弁18a,
18bを介してそれぞれ圧空が導入されたり排出された
りすることにより動作する。速度制御弁18は、手動に
よる調整によって、加圧空気源からの圧空導入速度や複
動式エアシリンダ17からの圧空排出速度が調整される
ようになっており、この調整度合いや加圧空気源の圧力
により、複動式エアシリンダ17の動作速度が調整さ
れ、その結果、ベローズポンプ14の動作、すなわち、
吐出ノズル5からフォトレジスト液が供給/停止される
までの速度が調整される。 【0027】制御部20は、図示しないメモリを内蔵し
ており、メモリには後述するような〔予め作成された〕
スピンコートプログラムなどが記憶されている。制御部
20は、このスピンコートプログラムに含まれている各
命令を順次に実行するようになっている。 【0028】次に、図2のタイムチャートを参照しつ
つ、上記のように構成されている装置の動作について説
明する。なお、処理対象である基板Wは、既に図示しな
い基板搬送機構によりスピンチャック1に載置されて吸
着保持されているものとし、吐出ノズル5は既にノズル
移動機構10により供給位置に移動されて、その先端部
が基板Wのほぼ回転中心Pの上方に移動されているもの
とする。また、図2のタイムチャートでは、説明の便宜
上省略しているが、基板Wの裏面に回り込んだフォトレ
ジスト液やそのミストを除去するために、図1に示した
バックリンスノズル11を介して洗浄液を裏面に向けて
噴出させるように命令を付加しておくのが好ましい。 【0029】制御部20は、スピンコートプログラムに
含まれる回転開始命令I1 を実行する。この回転開始命
令I1 は、例えば、時間t1 において電動モータ3の回
転が回転数R5(例えば、2,000rpm)に到達す
るように指示する命令であり、この命令に基づいて制御
部20は電動モータ3の回転駆動を開始して、時間t1
以降その回転数R5を保持する。 【0030】そして、時間TS の時点において供給開始
命令I2 を実行する。しかしながら、この時点では吐出
ノズル5からフォトレジスト液は吐出されない。これは
次のような一連の動作を経てフォトレジスト液が吐出さ
れるようになっているからである。すなわち、制御部2
0は、まず、サックバックバルブ13の吸引動作を解除
するとともに、速度制御弁18a,18bを交互に動作
させて複動式エアシリンダ17を動作させる。この動作
に伴ってベローズポンプ14が繰り返し動作され、フォ
トレジスト液は吐出ノズル5から基板Wに供給される。
これらの一連の動作によって遅れ時間が生じて、実際に
基板Wにフォトレジスト液が到達するは、供給開始命令
2 が実行された時点TS より開始遅れ時間TDSだけ遅
れて時間tS (以下、実供給時間と称する)の時点とな
るものとする。なお、この開始遅れ時間TDSは、上記の
一連の動作に起因して生じるものであるが、サックバッ
クバルブ13の引き戻し動作に係る調節度合いや、速度
制御弁18の圧空導入/排出に係る調節度合いによって
変動するものである。また、これらは、他の装置によっ
ても利用されている加圧空気源によって動作するもので
あり、それらの利用状況によって生ずる加圧空気源の圧
力変動によっても時間的に変動を生じるものである。 【0031】制御部20は、供給開始命令I2 の実行時
点TS から時間ta の経過後、電動モータ3の回転数
が、時間tU で回転数R5から回転数R6(例えば、
4,000rpm)に到達するように回転数を急激に上
昇させる。さらに、時間tD で回転数R6から回転数R
5に到達するように回転数を下降させる。なお、この例
では、上昇時間tU は下降時間tD よりも短く設定(t
U >tD )されている。これらの値の一例としては、上
昇時間tU は0.1秒であり、下降時間tD は0.2秒
である。なお、この上昇時間tU および下降時間tD
おける加減速の過程を第1の回転数昇降過程P1 とす
る。この第1の回転数昇降過程P1 は本発明における回
転数昇降過程に相当するものである。 【0032】さらに、この第1の回転数昇降過程P1
続けて、同様の回転数昇降過程を繰り返し行なう。すな
わち、第2の回転数昇降過程P2 ,第3の回転数昇降過
程P3 ,………,第nの回転数昇降過程Pn と行なう。 【0033】そして、時間TE において供給停止命令I
3 を実行すると、制御部20は、上記の吐出手順とは、
ほぼ逆の手順で各部を動作させてフォトレジスト液の吐
出を停止させる。すなわち、速度制御弁18a,18b
を停止させて複動式エアシリンダ17の動作を停止させ
ることによりベローズポンプ14の動作を停止させると
ともに、サックバックバルブ13を動作状態とすること
によって吐出ノズル5の内部に滞留するフォトレジスト
液を僅かに引き戻す。この停止供給命令I3 が実行され
てから、実際に吐出ノズル5からのフォトレジスト液の
吐出が停止されるのは、上記の一連の動作により遅れ、
この例では、停止遅れ時間TDEだけ遅れて時間tE にて
供給が実際に停止されるものとする。なお、供給停止命
令I3 を実行する時間TE は、基板Wにフォトレジスト
液Rを供給して基板Wの表面全体がフォトレジスト液R
によって覆われるまでの時間を実際に計測し、スピンコ
ートプログラムを作成する際に、この計測された時間に
なるように設定されるものである。 【0034】そして、時間t2 において回転上昇命令I
4 が実行されると、制御部20は、時間t3 において電
動モータ3が回転数R7(例えば、3,000rpm)
に到達するように回転数を上昇させる。この回転数R7
は、フォトレジスト液の余剰分を基板Wの周囲に振り切
って所望膜厚に形成するためのものである。この回転数
R7での回転を時間t4 まで保持し、時間t4 において
回転停止命令I5 を実行することにより、制御部20は
時間t5 において回転数が『0』となるように電動モー
タ3を制御する。 【0035】次に、上述した実供給時間tS における、
基板W上に供給されたフォトレジスト液の挙動につい
て、図3および図4の模式図を参照して説明する。な
お、これらの図では、基板Wの一部のみを模式的に示
し、図中にハッチングで示した領域はフォトレジスト液
Rを示す。また、基板Wの回転数の大小関係を基板Wの
外周部付近に矢印の大きさで示す。 【0036】まず、基板Wにフォトレジスト液Rが吐出
ノズル5を介して供給された直後の時点、すなわち、実
供給時間ts の時点においては、図11(a)に示すよ
うに、ほぼ円形状を保ったまま基板Wの中央付近にある
が、その直後に、コアRa からはヒゲRb が発生して、
基板Wの周縁部に向けて伸長し始める。このヒゲRb
伸長して基板Wの周縁部に到達するまでの時間(到達時
間)は、上述したように0.5秒程度の時間であり、こ
れを図中に時間tZ で示している。つまり、この実供給
時間ts から到達時間tZ の間に、ヒゲRb に慣性力を
与える必要がある。 【0037】ここでは、図2のタイムチャートに示すよ
うに、上記の実供給時間tS が、第3の回転数昇降過程
3 の上昇時間tU の時点になっているものとして、以
下にフォトレジスト液Rの挙動について説明する。 【0038】図3の模式図を参照する。コアRa から多
数のヒゲRb が基板Wの周縁部に向かって伸長し始めて
いるが、このヒゲRb は第3の回転数昇降過程P3 の上
昇時間tU において、回転数R5からこれより高い回転
数R6へ回転数が上昇されるので、回転方向とは逆方向
に慣性力(図3(a)の点線で示す矢印)を受ける。こ
の慣性力と遠心力との合力によりヒゲRb は、図中に点
線で示すように、回転方向とは逆方向の周方向にその幅
を拡大されるとともに、コアRa はその径を拡大される
ことになる。さらに、上昇時間tU に続く下降時間tD
において、回転数R6からこれより低い回転数R5へ回
転数が下降されるので、回転方向と同方向に慣性力(図
3(a)の二点鎖線で示す矢印)を受ける。この慣性力
と遠心力との合力によりヒゲRb は、図中に二点鎖線で
示すように、回転方向と同方向の周方向にその幅を拡大
されるとともに、コアRa はその径を拡大されることに
なる。しかし、この例では下降時間tD が上昇時間tU
に比べて長く設定されているので、下降時間tD におい
て受ける慣性力は、上昇時間tU で受ける慣性力より小
さなものとなる。その結果、ヒゲRb の周方向への幅の
拡がりは、下降時間tU に比較して上昇時間tU の方が
大きなものとなる。その結果、ヒゲRb は回転方向とは
逆方向の周方向にやや曲げられる形でその幅を拡大され
る。 【0039】このようにして、ヒゲRb は、第3の回転
数昇降過程P3 においてその幅を拡大され、さらに到達
時間tZ 内において、第4の回転数昇降過程P4 におけ
る上昇時間tU と下降時間tD の一部の慣性力を受ける
ことにより、上記のように周方向へ幅を拡大される。 【0040】そして、図3(b)に示すように、幅を拡
大された多数のヒゲRb の先端部が基板Wの周縁部に到
達すると、それらから基板Wの周囲にフォトレジスト液
Rが飛散する(飛散フォトレジスト液Rc )。しかしな
がら、第3および第4の回転数昇降過程P3 ,P4 によ
りヒゲRb が周方向に幅を拡大されているので、基板W
の周縁部に向かって拡大/伸長していくコアRa /ヒゲ
b が一体となって、フォトレジスト液Rによって基板
Wの表面全体が覆われるまでの時間が従来に比較して大
幅に短縮される(図4(a),(b))。このようにし
て基板Wの表面全体がフォトレジスト液Rによって覆わ
れた時点が、上述したスピンコートプログラムの時間T
E (供給停止命令I3 の実行時)となるように設定され
ている。なお、実際には供給停止命令I3 が実行された
後、停止遅れ時間TDEが経過した時点において基板Wへ
のフォトレジスト液Rの供給が停止されることになる。 【0041】そして、上述したように、時間t2 におい
て回転上昇命令I4 を制御部20が実行することによっ
て、基板Wの回転が回転数R7に上昇され、この回転数
R7を所定時間だけ保持することにより、基板Wの表面
全体を覆っているフォトレジスト液Rのうちの余剰分
(余剰フォトレジスト液Rd )を振り切ることによっ
て、基板Wの表面全体に所望膜厚のフォトレジスト被膜
R’を形成することができる(図4(c))。 【0042】このように基板Wを低速回転させつつフォ
トレジスト液Rを供給し、基板Wの周縁部にヒゲRb
到達する時間(到達時間tZ )内に、回転数を上昇/下
降させてヒゲRb に慣性力を与えることにより、基板W
の表面がフォトレジスト液Rによって覆われるまでの時
間を短縮することができる。したがって、ヒゲRb が基
板Wの周縁部に到達してから、フォトレジスト液Rの供
給が停止されるまでの時間が短くなるので、ヒゲRb
通して基板Wの周囲に放出・飛散するフォトレジスト液
Rの量を少なくすることができる。その結果、所望膜厚
のフォトレジスト被膜を得るために供給するフォトレジ
スト液Rの量を極めて少なくすることができる。 【0043】次に、開始遅れ時間TDSが変動した場合に
ついて説明する。なお、この開始遅れ時間TDSの変動
は、上述したような種々の要因により上記実供給時間t
S を中心として、時間的な前方に時間Δaだけ、時間的
な後方に時間Δbだけ変動するものとして説明する。実
際には、これらの範囲((tS −Δa)〜(tS +Δ
b))内のどの位置に実供給時間tS がくるのかは不明
である。 【0044】まず、時間的な前方に時間Δaだけずれた
場合、すなわち、加圧空気源の圧力が高まったり、速度
制御弁の調整度合いなどにより開始遅れ時間TDSが時間
(TDS−Δa)となった場合、すなわち、フォトレジス
ト液Rの吐出タイミングが早まった場合について説明す
る。 【0045】この場合、図2に示すように実供給時間t
S は時間Δaだけ早まった時間(tS −Δa)となる。
このように開始遅れ時間TDSが変動して早まったとして
も、時間(tS −Δa)から到達時間(tZ )の範囲内
に第1の回転数昇降過程P1および第2の回転数昇降過
程P2 の上昇時間tU があたることになる。したがっ
て、基板Wに供給されたフォトレジスト液RのコアRa
から周縁部に向けて伸長し始めたヒゲRb は、上述した
のと同様に周方向に慣性力を受けて幅を拡大されること
になり、基板Wの周縁部に向かって拡大/伸長していく
コアRa /ヒゲRb が一体となって、フォトレジスト液
Rによって基板Wの表面全体が覆われるまでの時間が従
来に比較して大幅に短縮される。その結果、開始遅れ時
間TDSが短くなる変動を生じ、実供給時間tS が早まっ
て時間(tS −Δa)となる吐出タイミングのずれが生
じた場合であっても、所望膜厚のフォトレジスト被膜を
得るために供給するフォトレジスト液Rの量を極めて少
なくすることができる。 【0046】次に、実供給時間tS よりも時間的な後方
に時間Δaだけずれた場合、すなわち、加圧空気源の圧
力が低下したり、速度制御弁の調整度合いなどにより開
始遅れ時間TDSが時間(TDS+Δb)となった場合、す
なわち、吐出タイミングが遅延した場合について説明す
る。 【0047】この場合、図2に示すように実供給時間t
S は時間Δbだけ遅延した時間(tS +Δb)となる。
このように開始遅れ時間TDSが変動して遅延したとして
も、時間(tS +Δb)から到達時間(tZ )の範囲内
に第5の回転数昇降過程P5および第6の回転数昇降過
程P6 の下降時間tD があたることになる。したがっ
て、基板Wに供給されたフォトレジスト液RのコアRa
から周縁部に向けて伸長し始めたヒゲRb は、上記と同
様に周方向に慣性力を受けて幅を拡大されることにな
り、フォトレジスト液Rによって基板Wの表面全体が覆
われるまでの時間が従来に比較して大幅に短縮される。
したがって、開始遅れ時間TDSが長くなる変動を生じ、
実供給時間tS が遅延して時間(tS +Δb)となった
場合であっても、所望膜厚のフォトレジスト被膜を得る
ために供給するフォトレジスト液Rの量を極めて少なく
することができる。 【0048】なお、上記の説明においては、実供給時間
S 、早まった実供給時間(tS −Δa)、遅延した実
供給時間(tS +Δb)の3通りについて説明したが、
早まった実供給時間(tS −Δa)ないし遅延した実供
給時間(tS +Δb)の範囲内の任意の時点に実供給時
間が変動した場合でも、その時点から到達時間tZ
に、第1の回転数昇降過程P1 〜第6の回転数昇降過程
6 のうちいずれか1つの回転数昇降過程が存在するこ
とになるので、吐出タイミングがずれたとしても確実に
ヒゲRb に対して慣性力を与えて周方向にその幅を拡大
させることができる。したがって、所望膜厚のフォトレ
ジスト被膜を得るために供給するフォトレジスト液の量
を極めて少なくすることができ、かつ、フォトレジスト
液の吐出タイミングのずれに起因する影響を回避するこ
とができる。 【0049】また、時間Δbを越えるような変動が生じ
たとしても、回転上昇命令I4 が実行される時間t2
至るまで回転数昇降過程を繰り返し行なっているので、
このような場合にも確実にヒゲRb に対して慣性力を与
えることができる。 【0050】なお、上記の説明においては、供給開始命
令I2 が実行された時点TS から、時間ta を経過した
時点において上述した複数回の回転数昇降過程P1 〜P
n を開始しているが、これは供給開始命令I2 と同時に
フォトレジスト液Rが吐出されることは上記の構成上有
り得ない、すなわち、開始遅れ時間TDSに変動が生じた
としてもその値が『0』になることは有り得ないことに
基づいている。しかし、開始遅れ時間TDSに変動が生じ
てその値が極めて『0』に近づく、すなわち、供給開始
命令I2 とほぼ同時にフォトレジスト液Rが吐出される
ことがある場合には、供給命令I2 の実行時点TS から
複数回の回転数昇降過程P1 〜Pn を開始するようにし
てもよい。 【0051】さらに、図2に示すように、複数回の回転
数昇降過程P1 〜Pn は、回転上昇命令I4 の実行時点
2 まで繰り返し行なうようにしているが、開始遅れ時
間TDSに変動が生じたとしても、実供給時間tS が供給
停止命令I3 の実行時点t3まで遅れるようなことは生
じ難いので、上記複数回の回転数昇降過程P1 〜Pn
供給停止命令I3 の実行時点TE において停止するよう
にしてもよい。また、装置のフォトレジスト液吐出に係
る機構(サックバックバルブ13、速度制御弁18、複
動式エアシリンダ17、ベローズポンプ14など)およ
び加圧空気源の圧力変動に起因する開始遅れ時間TDS
よびその大まかな変動幅を実際に測定して、その変動幅
と到達時間tZ とに基づき、上記の複数回の回転数昇降
過程P1〜Pn を行なう範囲を狭くするようにしてもよ
い。 【0052】なお、上記の説明においては、回転数昇降
過程を、回転数R5から回転数R6への上昇と、これに
続く回転数R6から回転数R5への下降としたが、本発
明は、回転数を上昇および下降させる回転数昇降過程で
あればどのように回転数を上昇/下降させるようにして
もよい。そこで、以下に上記の回転数昇降過程とは異な
る例について、まず、図5を参照して説明し、次いで図
6を参照して説明する。なお、これらの図においては、
説明の便宜上、供給開始命令I2 の実行時点TS 付近だ
けを示している。 【0053】図5を参照する。この例では、上昇時間t
U において上昇させた回転数から、その上昇分よりも少
ない回転数だけ下降時間tD (上昇時間tU よりも長く
設定:tD >tU )において下降させるように各回転数
昇降過程P1 ,………を行なうようにしている。したが
って、全体としては図に示すように右上がりに回転数が
上昇してゆくようになる。このように下降させる回転数
を上昇分よりも少なくすることにより、電動モータ3の
回転数を下降させる際の負荷を軽減することができる。 【0054】図6を参照する。この例では、上昇時間t
U で回転数を上昇させ、その後、保持時間tH1だけその
回転数を保持し、下降時間tD (tD >tU )で回転数
を下降させ、保持時間tH2だけその回転数を保持した
後、次の回転数昇降過程を行なうようにしている。この
ように上昇/下降前にそれぞれ回転数を保持する時間を
設けることにより、急激に上昇/下降を繰り返すことに
よる電動モータ3の負荷を軽減することができる。 【0055】上述したような上昇/下降からなる回転数
昇降過程によっても、ヒゲRb に対して慣性力を与えて
その幅を周方向へ拡げることができるので、上述したよ
うな効果と同様の効果を奏するとともに、電動モータ3
の負荷を軽減することができる。 【0056】なお、上述した上昇時間tU および下降時
間tD における回転数の上昇および下降の度合い、すな
わち、加速度は、実験によって7,500〜20,00
0rpm/sec の範囲内に設定するのが好ましいことが分か
っている。なお、図2における上昇時間tU および下降
時間tD は、上記の例では、それぞれ0.1秒および
0.2秒としたので、これらの加速度を求めると、 上昇時の加速度=(4,000rpm −2,000rpm )/0.1sec =20,000rpm/sec 下降時の加速度=(2,000rpm −4,000rpm )/0.2sec =−10,000rpm/sec となる。これらの値は、上記の好ましい加速度の範囲内
のものとなっている。このような好ましい範囲内の加速
度で回転数を上昇/下降させることにより、ヒゲRb
幅を周方向に効率良く拡げることができて、被覆所要時
間を短縮することができる。因みに、上記の範囲外の加
速度で回転数を上昇/下降させると、逆に被覆所要時間
が長くなることが実験によってわかっている。 【0057】また、上述した各回転数昇降過程における
回転数の制御例では、下降時間tDが上昇時間tU より
も長く設定されているが、図7に示すように、上昇時間
Uと下降時間tD とが同一になるように設定してもよ
い。これによると上昇時と下降時にヒゲRb が受ける慣
性力をほぼ同一にすることができるので、図8に点線で
示すようにその幅を左右にほぼ同じだけ拡大させつつ伸
長させることができる。 【0058】また、上述した上昇時間tU および下降時
間tD やその回転数R5,R6および回転数R7など
は、一例であり、基板サイズや基板の表面状態または塗
布液の粘度あるいは塗布被膜の所望膜厚に応じて決定さ
れるものである。 【0059】また、上記の実施例および変形例では、塗
布液としてフォトレジスト液を例に採って説明したが、
本発明は、これに限定されることなく、例えば、パシベ
ーション膜形成用のポリイミドや、絶縁膜などを形成す
るためのSOG(Spin On Glass) 液などの塗布液を塗布
する場合にも適用可能である。 【0060】 【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、供給開始命令が実行された時点から、その後
に所定の回転数で基板を高速回転させるまでの間であっ
て、かつ塗布液が基板表面全体を覆う前に、基板の回転
数を上昇および下降させる回転数昇降過程を複数回行な
うことにより、基板に供給された同心円状の塗布液から
放射状に伸びた塗布液の流れが基板の周縁部に達する到
達時間内に、少なくとも複数回の回転数昇降過程のうち
の1つの過程によって、周縁部に向かう多数の細長い塗
布液の流れに対して、周方向に慣性力を与えることがで
き、各放射状の塗布液の流れの間の隙間を急速に狭める
ことができる。したがって、塗布液が基板の表面全体を
覆うまでの時間を短縮することができる。その結果、放
射状の塗布液の流れを通して基板の周囲に飛散する塗布
液の量を少なくすることができ、所望膜厚の塗布被膜を
形成するの要する塗布液の量を極めて少なくすることが
できる。 【0061】さらに、実際に塗布液が基板に供給される
時点(実供給時間)、つまり吐出タイミングは、供給開
始命令が実行された時点から開始遅れ時間だけ遅れ、か
つ、この開始遅れ時間はユーティリティである加圧空気
源の圧力変動や、吐出に係る機構の調整度合いによって
変動するものであるので、供給開始命令が実行された時
点からどの程度遅れて実際に塗布液が基板表面に到達す
るのかは不明であるが、たとえ開始遅れ時間が変動した
としても、少なくとも複数回の回転数昇降過程のうちの
1つの過程によって、周縁部に向かう多数の細長い塗布
液の流れに対して、確実に慣性力を与えることができ
る。すなわち、塗布液の吐出タイミングのずれに起因す
る悪影響を回避することができる。これにより現像液や
リンス液などの処理液に比較して高価な塗布液の量を確
実に少なくすることができるので、半導体装置などの製
造コストを低減することができるとともに、スループッ
トを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明方法を適用した回転式基板塗布装置の縦
断面図である。 【図2】回転数昇降過程を含むフォトレジスト液塗布方
法を示すタイムチャートである。 【図3】フォトレジスト液の挙動を示す模式図である。 【図4】フォトレジスト液の挙動を示す模式図である。 【図5】回転数昇降過程の変形例を示すタイムチャート
である。 【図6】回転数昇降過程の変形例を示すタイムチャート
である。 【図7】回転数昇降過程の変形例を示すタイムチャート
である。 【図8】フォトレジスト液の挙動を示す模式図である。 【図9】従来例に係る回転式基板塗布装置の要部を示す
図である。 【図10】従来例に係る塗布液塗布方法を示すタイムチ
ャートである。 【図11】従来例に係る塗布液塗布方法の説明に供する
図である。 【符号の説明】 1 … スピンチャック 3 … 電動モータ 4 … 飛散防止カップ 5 … 吐出ノズル 13 … サックバックバルブ 14 … ベローズポンプ 15 … 逆止弁 17 … 複動式エアシリンダ 18 … 速度制御弁 20 … 制御部 W … 基板 R … フォトレジスト液(塗布液) Ra … コア Rb … ヒゲ Rc … 飛散フォトレジスト液 Rd … 余剰フォトレジスト液 P1 〜Pn … 第1の回転数昇降過程〜第nの回転数
昇降過程 tU … 上昇時間 tD … 下降時間 tZ … 到達時間 TDS … 開始遅れ時間 I2 … 供給開始命令
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 真田 雅和 京都府京都市伏見区羽束師古川町322 大日本スクリーン製造株式会社 洛西事 業所内 (56)参考文献 特開 平7−37802(JP,A) 特開 昭59−154444(JP,A) 特開 平2−2611(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/027 B05D 1/40 G03F 7/16 502

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 基板を所定の回転数で低速回転させつ
    つ、塗布液の供給開始命令の実行に基づきその回転中心
    付近に塗布液を供給することによって塗布液を基板の表
    面に拡げ、その後基板を所定の回転数で高速回転させる
    ことによって基板表面に所望膜厚の塗布被膜を形成する
    塗布液塗布方法において、 前記供給開始命令が実行された時点から前記所定の回転
    数で基板を高速回転させるまでの間であって、かつ塗布
    液が基板表面全体を覆う前に、基板の回転数を上昇およ
    び下降させる回転数昇降過程を複数回含むことを特徴と
    する塗布液塗布方法。
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