JP3394443B2 - 紫外線レーザ素子及びその製造方法 - Google Patents

紫外線レーザ素子及びその製造方法

Info

Publication number
JP3394443B2
JP3394443B2 JP10523598A JP10523598A JP3394443B2 JP 3394443 B2 JP3394443 B2 JP 3394443B2 JP 10523598 A JP10523598 A JP 10523598A JP 10523598 A JP10523598 A JP 10523598A JP 3394443 B2 JP3394443 B2 JP 3394443B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
diamond
electrode
layer
light emitting
diamond layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP10523598A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH11298085A (ja
Inventor
嘉宏 横田
武史 橘
宏司 小橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP10523598A priority Critical patent/JP3394443B2/ja
Publication of JPH11298085A publication Critical patent/JPH11298085A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3394443B2 publication Critical patent/JP3394443B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は300nm以下の短
波長のレーザ光を得ることができる紫外線レーザ素子及
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ダイヤモンドは、バンドギャップが5.
4eVと大きいことが特徴である。また、アンドープの
ダイヤモンドは絶縁体であるが、不純物元素をドーピン
グすることにより、半導体化することができるという特
徴も有している。従って、このような特徴により、ダイ
ヤモンドは新規のデバイス材料として期待されている。
【0003】ダイヤモンド膜の気相合成法としては、例
えば、マイクロ波化学気相蒸着(マイクロ波CVD)法
がある(特公昭59−27754号公報、特公昭61−
3320号公報等)。また、他にも、高周波プラズマC
VD法、熱フィラメントCVD法、直流プラズマCVD
法、プラズマジェット法、燃焼法及び熱CVD法等によ
りダイヤモンド膜を合成することができる。これらの気
相合成法によると、天然ダイヤモンド又は高温高圧合成
による単結晶ダイヤモンドの場合と比較して、膜状のダ
イヤモンドを大面積及び低コストで得ることができる。
また、ボロン(B)原子をダイヤモンド膜中にドーピン
グすることにより、p型半導体ダイヤモンド膜を合成す
る技術も公知である(特開昭59−137396号公
報)。
【0004】通常の気相合成により得られたダイヤモン
ド膜は、その粒子がランダムに配向した多結晶膜であ
る。しかし、合成条件を調整することにより、ダイヤモ
ンド膜の表面の殆どが、ダイヤモンド結晶の(111)
面又は(100)面により構成されたダイヤモンド膜を
得ることができる(M.Rosler, et al., 2nd Internatio
nal Conference on the Applications of Diamond Film
s and Related Materials, Ed. M. Yoshikawa, et al.,
MYU, Tokyo, 1993, pp.691-696)。また、基板とし
て、シリコン結晶の(100)面が基板の表面に平行な
方向に配向した単結晶シリコン基板を使用して、この基
板にバイアス核発生と呼ばれる前処理を施すと、基板上
にダイヤモンド結晶の(100)面が基板表面に平行な
方向に配向した高配向ダイヤモンド膜を得ることができ
る。
【0005】更に、基板として白金基板を使用すると、
この白金基板上に結晶欠陥が少ないダイヤモンド膜を合
成することができる。更にまた、白金結晶の(111)
面が基板表面に現れた単結晶白金基板を使用して、ダイ
ヤモンド膜を気相合成すると、この基板上にダイヤモン
ド結晶の(111)面が融合した単結晶ダイヤモンドに
近い高品質のダイヤモンド膜を合成することができる。
以下、このようなダイヤモンド膜をダイヤモンド融合膜
という。
【0006】更にまた、単結晶ダイヤモンド基板上に
は、単結晶ダイヤモンド薄膜を気相合成することができ
ることも開示されている(「ダイヤモンドに関する研
究」無機材質研究所研究報告書第39号,科学技術庁,
1984,pp.39-43 及び特開平2−233590号公報
等)。
【0007】ところで、半導体ダイヤモンド膜を発光層
として使用した発光素子が、特開平1−102893号
公報に開示されている。以下、これを第1の従来例とい
う。第1の従来例においては、2枚の電極と、この2枚
の電極間に設けられた絶縁層と、この絶縁層の膜厚中央
部に埋め込まれたダイヤモンド層と、を有するエレクト
ロルミネッセンス型の発光素子が開示されている。ま
た、2枚の電極間に半導体ダイヤモンド薄膜が配置され
たMS(Metal Semiconductor)構造の発光素子、及び
2枚の電極間に半導体ダイヤモンド薄膜及びノンドープ
ダイヤモンド薄膜が配置されたMIS(Metal Insulato
r Semiconductor)構造の発光素子等も開示されてい
る。
【0008】また、赤色発光層、青色発光層及び緑色発
光層を有し、これらの全ての発光層がダイヤモンド層か
らなる発光素子も提案されている(特開平3−1220
93号公報)。更に、導電性の基板上にp型又はn型の
ダイヤモンド層からなる発光層が形成され、この発光層
の上にアンドープダイヤモンド層が形成された構造を有
する発光素子が開示されている(特開平3−22237
6号公報)。以下、これらの従来例を夫々、第2及び第
3の従来例という。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】発光層として、ダイヤ
モンド層を使用した発光素子においては、ダイヤモンド
層のバンドギャップ間で直接的な遷移が発生すれば、ダ
イヤモンドのバンドギャップエネルギーである5.4e
Vに相当する波長、即ち、約220nmの波長を有する
紫外線光が得られるはずである。
【0010】しかしながら、第1の従来例では、約45
0nmの波長領域で発光バンド強度のピークが現れ、第
2の従来例では、350乃至750nmの波長領域で発
光バンド強度のピークが現れており、いずれの従来例に
おいても、可視光領域の光しか得られない。このような
波長領域の光を発する発光素子としては、SiC及びG
aNを使用したものが公知であり、発光素子の材料とし
てダイヤモンドを使用する利点はない。
【0011】また、第3の従来例においても、第2の従
来例と同様に、可視光領域で発光バンド強度のピークが
強く現れており、300nm以下の波長領域で発光バン
ド強度のピークが現れた場合であっても、その強度は極
めて弱いものである。
【0012】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、300nm以下の短波長のレーザ光を得る
ことができる紫外線レーザ素子及びその製造方法を提供
することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明に係る紫外線レー
ザ素子は、第1電極と、前記第1電極上に形成された第
1ダイヤモンド層と、前記第1ダイヤモンド層上に形成
されたボロンドープダイヤモンドからなる発光層と、前
記発光層上に形成された第2ダイヤモンド層と、前記第
2ダイヤモンド層上に形成された第2電極と、前記第1
電極及び第2電極に接続された電源と、を有し、前記第
1ダイヤモンド層及び前記第2ダイヤモンド層は前記発
光層よりも高い抵抗値を有することを特徴とする。
【0014】本発明に係る他の紫外線レーザ素子は、第
1電極と、前記第1電極上に形成された第1ダイヤモン
ド層と、前記第1ダイヤモンド層上に形成されボロンド
ープダイヤモンドからなる発光層と前記発光層上に形成
された第2ダイヤモンド層とからなる複数の積層膜と、
前記積層膜上に形成された第2電極と、前記第1電極及
び第2電極に接続された電源と、を有し、前記第1ダイ
ヤモンド層及び前記第2ダイヤモンド層は前記発光層よ
りも高い抵抗値を有することを特徴とする。
【0015】前記第1電極は基板上に形成されていても
よい。
【0016】本発明に係る更に他の紫外線レーザ素子
は、基板と、前記基板上に選択的に形成された第1電極
と、前記基板及び第1電極上に選択的に形成された第1
ダイヤモンド層と、前記第1ダイヤモンド層上に形成さ
れたボロンドープダイヤモンドからなる発光層と、前記
発光層上に形成された第2ダイヤモンド層と、前記基板
及び第2ダイヤモンド層上に選択的に形成された第2電
極と、前記第1電極及び第2電極に接続された電源と、
を有することを特徴とする。
【0017】また、前記第1電極、第1ダイヤモンド
層、発光層、第2ダイヤモンド層及び第2電極を有する
複数組の素子が、前記発光層から発するレーザ光の経路
が一致するように前記基板上に形成されていてもよい。
【0018】更に、前記第1及び第2ダイヤモンド層
は、アンドープダイヤモンド、窒素ドープダイヤモンド
及び前記発光層中のボロン濃度よりも低い濃度でボロン
がドープされた低濃度ボロンドープダイヤモンドからな
る群から選択された少なくとも1種からなるものとする
ことができ、前記発光層は1nm乃至1μmの膜厚を有
することが好ましい。更にまた、前記ボロンドープダイ
ヤモンドからなる発光層の欠陥密度は1×108/cm2
以下であることが好ましい。
【0019】本発明に係る紫外線レーザ素子は、第1電
極上に第1ダイヤモンド層を気相合成する工程と、前記
第1ダイヤモンド層の上に前記第1ダイヤモンド層より
も低い抵抗値を有するボロンドープダイヤモンドからな
る発光層を気相合成する工程と、前記発光層の上に前記
発光層よりも高い抵抗値を有する第2ダイヤモンド層を
気相合成する工程と、前記第2ダイヤモンド層の上に第
2電極を形成する工程と、を有することを特徴とする。
【0020】本発明においては、第1電極及び第2電極
のいずれか一方に正の電圧を印加し、他方に負の電圧を
印加すると、正の電圧が印加された電極からホールが発
光層に輸送されると共に、負の電圧が印加された電極か
ら電子が発光層に輸送される。そして、これらのホール
と電子とが発光層内において再結合して、レーザ光が放
射される。このとき、本発明においては、発光層が、第
1ダイヤモンド層の上にホモエピタキシャル成長により
形成されているので、発光層中の非発光再結合中心及び
可視光発光再結合中心の原因となる不純物及び結晶欠陥
を低減することができる。また、第2ダイヤモンド層も
ホモエピタキシャル成長により形成されているので、第
2ダイヤモンド層中の再結合中心の原因となる不純物及
び結晶欠陥を低減することができる。従って、ホールと
電子とが第2ダイヤモンド層中で再結合することを防止
することができ、選択的に発光層で再結合させることに
より、発光層から高効率で300nm以下の紫外線領域
に発光強度のピークを有するレーザ光を発振することが
できる。なお、これらの原理及び効果は、発光層と第2
ダイヤモンド層とからなる複数の積層膜を形成した場合
であっても同様である。
【0021】
【発明の実施の形態】図1は本発明の第1の実施例に係
る紫外線レーザ素子を示す断面図である。図1に示すよ
うに、基板1上にホール注入用電極(第1電極)2が形
成されており、その上に、アンドープダイヤモンド層
(第1ダイヤモンド層)3及びボロンドープダイヤモン
ド層(発光層)4が順次積層されている。また、ボロン
ドープダイヤモンド層4の上にはアンドープダイヤモン
ド層(第2ダイヤモンド層)5及び電子注入用電極(第
2電極)6が順次積層されている。なお、ホール注入用
電極2には正の電圧が印加されると共に、電子注入用電
極6には負の電圧が印加されるように、電極2及び電極
6に電源7が接続されている。
【0022】このように構成された紫外線レーザ素子に
おいては、ホール注入用電極2からホールが注入される
と、このホールはアンドープダイヤモンド層3を介して
ボロンドープダイヤモンド層4に輸送される。また、電
子注入用電極6から電子が注入されると、この電子はア
ンドープダイヤモンド層5を介してボロンドープダイヤ
モンド層4に輸送される。そして、これらのホールと電
子とがボロンドープダイヤモンド層4内において再結合
することにより、ボロンドープダイヤモンド層4の端面
から、300nm以下の波長領域に発光強度のピークを
有するレーザ光9が放射される。
【0023】本願発明者等は、再結合のプロセスが自由
励起子の準位を介するときには、235nmの波長領域
に発光強度のピークを有する光を発し、再結合のプロセ
スがボロン(B)に関する中性アクセプタ束縛励起子の
準位を介するときには、238nmの波長領域に発光強
度のピークを有する光を発することを見い出した。但
し、発光強度はダイヤモンド層の品質に大きく影響さ
れ、特に、非発光再結合中心及び可視光発光再結合中心
の原因となる不純物又は結晶欠陥がダイヤモンド層中に
存在すると、300nm以下の波長領域にピークを有す
る発光は阻害される。
【0024】例えば、シリコン等のダイヤモンドと異な
る物質の上にダイヤモンド層を成長させると、このダイ
ヤモンド層には結晶欠陥が入りやすくなると共に、下地
層中の元素(シリコン)が不純物として混入しやすくな
る。第1乃至第3の従来例においては、いずれも発光層
を異種物質からなる基板上に形成した構造であるので、
発光層中の非発光再結合中心及び可視光発光再結合中心
の原因となる不純物及び結晶欠陥を低減することができ
ない。
【0025】しかし、本実施例においては、発光層とな
るボロンドープダイヤモンド層4が、アンドープダイヤ
モンド層3の上にホモエピタキシャル成長により形成さ
れているので、結晶欠陥及び不純物等の問題点は発生せ
ず、発光層中の非発光再結合中心及び可視光発光再結合
中心の原因となる不純物及び結晶欠陥を低減することが
できる。また、本実施例においては、アンドープダイヤ
モンド層5もボロンドープダイヤモンド層4の上にホモ
エピタキシャル成長により形成されているので、再結合
中心の原因となる不純物及び結晶欠陥を低減することが
できる。従って、ホールと電子とがアンドープダイヤモ
ンド層5中で再結合することを防止することができ、ホ
ールと電子とを選択的に発光層で再結合させることがで
きる。
【0026】図2は本発明の第2の実施例に係る紫外線
レーザ素子を示す断面図である。但し、図2に示す第2
の実施例において、第1の実施例と異なる点は、アンド
ープダイヤモンド層5と電子注入用電極6との間に、ボ
ロンドープダイヤモンド層14及びアンドープダイヤモ
ンド層15が積層されている点のみであるので、図2に
おいて図1と同一物には同一符号を付して、その詳細な
説明は省略する。
【0027】図2に示すように、第2の実施例において
も、ホール注入用電極2に正の電圧を印加すると共に、
電子注入用電極6に負の電圧を印加するために、ホール
注入用電極2及び電子注入用電極6に電源7が接続され
ている。
【0028】このように構成された第2の実施例に係る
紫外線レーザ素子においては、ホール注入用電極2から
ホールが注入されると共に、電子注入用電極6から電子
が注入されると、このホール及び電子はボロンドープダ
イヤモンド層4及び14に輸送される。そして、これら
のホールと電子とがボロンドープダイヤモンド層4及び
14内において再結合することにより、ボロンドープダ
イヤモンド層4及び14の端面から、夫々、300nm
以下の波長領域に発光強度のピークを有する複数のレー
ザ光9及び19が放射される。
【0029】このように、ホール注入用電極2と電子注
入用電極6との間に、ボロンドープダイヤモンド層及び
アンドープダイヤモンド層を積層したものを複数層形成
することにより、複数の発光が得られる紫外線レーザ素
子を得ることができる。
【0030】なお、図1及び図2に示す実施例におい
て、ホール注入用電極2は金属膜のみからなる電極であ
っても、金属膜上に低抵抗のダイヤモンド層が形成され
た構造の電極であってもよい。後者の電極を使用する
と、ホール注入用電極2から安定してホールを注入する
ことができる。また、本実施例においては、ホール注入
用電極2と電子注入用電極6とが互いに入れ替わった構
造であっても、同様の効果を得ることができる。
【0031】更に、本実施例においては、レーザ光を放
射するボロンドープダイヤモンド層4及び14の両面上
に形成するダイヤモンド層として、アンドープダイヤモ
ンド層3、5及び15を形成したが、これらのアンドー
プダイヤモンド層は所定の値以上の抵抗値を有する高抵
抗ダイヤモンド層であればよく、例えば、窒素(N)ド
ープダイヤモンド層を使用することができる。また、ボ
ロンがドープされたダイヤモンド層であっても、そのド
ーピング濃度がボロンドープダイヤモンド層4及び14
等と比較して、極めて低いものであると、そのダイヤモ
ンド層は所定の値以上の抵抗値を有するものとなるの
で、アンドープダイヤモンド層3、5及び15の代わり
に使用することができる。更にまた、これらの所定の値
以上の抵抗値を有するダイヤモンド層が積層された膜
を、アンドープダイヤモンド層3、5及び15の代わり
に使用することもできる。
【0032】更にまた、本発明において、ダイヤモンド
層にボロンをドープする場合に、このドーピング後のボ
ロン層の形状及び濃度が均一でなく、分布があっても、
本発明の効果を得ることができるように、ボロンがドー
ピングされていればよい。
【0033】なお、第1及び第2の実施例において、発
光層として働くボロンドープダイヤモンド層4及び14
の膜厚は、レーザ光9及び19の放射に大きく影響す
る。ボロンドープダイヤモンド層の最適な膜厚は、紫外
線レーザ素子の寸法、Bのドーピング濃度分布、電極材
料、ダイヤモンド層の膜質及び電源7による印加電圧等
に依存するが、一般的には、ボロンドープダイヤモンド
層からなる発光層の膜厚が1nm未満であるか、又は1
μmを超えると、紫外線領域のレーザ光を得ることがで
きないことがある。従って、本発明においては、発光層
の膜厚は1nm乃至1μmとすることが好ましい。
【0034】また、本発明においては、ダイヤモンド層
の結晶性を高くすると、キャリアの非発光再結合を防止
して、紫外線の発光を促進することができる。そこで、
発光層を構成するボロンドープダイヤモンド層の欠陥密
度は、1×108/cm2以下にすることが好ましい。こ
のような高品質のダイヤモンド層は、例えば、以下に示
す方法により得ることができる。
【0035】先ず、単結晶白金若しくは白金合金板、又
は単結晶白金若しくは白金合金膜からなる基体を使用し
て、この基体上に、気相合成により、高配向ダイヤモン
ド膜、ダイヤモンド融合膜若しくは単結晶ダイヤモンド
膜、又は表面がダイヤモンド結晶の(100)面又は
(111)面により構成されたダイヤモンド膜(第3ダ
イヤモンド層)を形成することにより、基体及びダイヤ
モンド層(第3ダイヤモンド層)からなる電極を得る。
その後、この電極上に気相合成によりアンドープダイヤ
モンド層(第1ダイヤモンド層)、ボロンドープダイヤ
モンド層(発光層)及びアンドープダイヤモンド層(第
2ダイヤモンド層)を形成する。このようにして、欠陥
密度が1×108/cm2以下である高品質のダイヤモン
ド層からなる発光層を得ることができる。
【0036】本発明において、ボロンドープダイヤモン
ド層及びアンドープダイヤモンド層と、電極との配置関
係は、図1及び2に示す構造に限定するものではない。
例えば、図3に示すように、基板1上にホール注入用電
極2が選択的に形成され、基板1及びホール注入用電極
2上に、アンドープダイヤモンド層、ボロンドープダイ
ヤモンド層及びアンドープダイヤモンド層の積層膜8が
選択的に形成されており、基板1及び積層膜8の上に電
子注入用電極6が選択的に形成されていてもよい。
【0037】なお、絶縁性の物質を基板として使用した
場合には、ホール注入用電極2は基板と第1ダイヤモン
ド層との間に形成する必要があるが、基板が金属又は低
抵抗シリコンからなるものである場合は、基板自身をホ
ール注入用電極2又は電子注入用電極6とみなすことも
できる。この場合には、基板が金属からなる場合を除い
て、基板と導線との間の接触抵抗を低減するために、基
板に金属の電極を挟むようにすればよい。従って、本発
明においては、図1及び2に示す基板1がホール注入用
電極2とアンドープダイヤモンド層3との間に形成され
ていてもよい。
【0038】このような構造の紫外線レーザ素子におい
ても、ホール注入用電極2及び電子注入用電極6に接続
された電源7により、ホール注入用電極2に正の電圧を
印加すると共に、電子注入用電極6に負の電圧を印加す
ると、積層膜8の端面からレーザ光9が放射される。
【0039】更に、図4に示すように、電源が接続され
た2枚の電極間にアンドープダイヤモンド層、ボロンド
ープダイヤモンド層及びアンドープダイヤモンド層の積
層膜が配置された素子20が、基板1上の同一直線上に
複数個配列されていてもよい。このように、複数個の素
子20を、放射されるレーザ光の方向が完全に一致する
ように基板1上に配置すると、各素子20が発するレー
ザ光の強度を互いに高め合って、強い強度のレーザ光2
9を得ることができる。
【0040】
【実施例】以下、本発明の実施例に係る紫外線レーザ素
子を形成した結果について説明する。
【0041】先ず、表面に(111)結晶面が現れた単
結晶チタン酸ストロンチウム板からなる基板を準備し
た。次に、この基板上に、スパッタリング法により単結
晶白金膜を蒸着した後、マイクロ波CVD法を使用し
て、単結晶白金膜上に1×1019 乃至1×1020/cm
3の濃度でボロン(B)がドープされたダイヤモンド層
を20μmの膜厚で形成した。これにより、ダイヤモン
ドの(111)結晶面が配向したダイヤモンド融合膜が
得られ、基板上に白金膜及びダイヤモンド層からなる電
極が形成された。
【0042】次いで、電極の表面を約5μmの厚さで研
磨して平坦化した後、マイクロ波CVD法を使用して、
電極上にアンドープダイヤモンド層を1μmの厚さで形
成した。その後、アンドープダイヤモンド層の上に約1
×1020/cm3の濃度でボロン(B)がドープされた
ボロンドープダイヤモンド層(発光層)を0.1μmの
膜厚で形成し、更にその上に、アンドープダイヤモンド
層を0.5μmの厚さで形成した。その後、フォトリソ
グラフィ技術により、アンドープダイヤモンド層の上に
矩形のアルミニウム電極を形成し、ECR(電子サイク
ロトロン共鳴;Electron Cyclotron Resonance)プラズ
マエッチングにより、アンドープダイヤモンド層、ボロ
ンドープダイヤモンド層及びアンドープダイヤモンド層
の積層膜を基板に垂直の方向にエッチングして、メサ構
造の紫外線レーザ素子を形成した。
【0043】このように形成された紫外線レーザ素子に
おいて、単結晶白金膜とアルミニウム電極との間に80
Vの電圧を印加した。図5は縦軸に発光強度をとり、横
軸に波長をとって、本実施例に係る紫外線レーザ素子に
より得られたレーザ光の発光強度と波長との関係を示す
グラフ図である。図5に示すように、本実施例において
は、約250nmの波長領域に発光強度のピークを有す
るレーザ光を得ることができた。
【0044】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
ボロンドープダイヤモンドからなる発光層と第1電極及
び第2電極との間に、夫々、発光層よりも高い抵抗値を
有するダイヤモンド層が形成されているので、発光層中
の不純物及び結晶欠陥を低減することができ、300n
m以下の紫外線領域に発光強度のピークを有するレーザ
光を発する紫外線レーザ素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る紫外線レーザ素子
を示す断面図である。
【図2】本発明の第2の実施例に係る紫外線レーザ素子
を示す断面図である。
【図3】本発明の第3の実施例に係る紫外線レーザ素子
を示す断面図である。
【図4】本発明の第4の実施例に係る紫外線レーザ素子
を示す断面図である。
【図5】縦軸に発光強度をとり、横軸に波長をとって、
本実施例に係る紫外線レーザ素子により得られたレーザ
光の発光強度と波長との関係を示すグラフ図である。
【符号の説明】
1;基板 2;ホール注入用電極 3,5,15;アンドープダイヤモンド層 4,14;ボロンドープダイヤモンド層 6;電子注入用電極 7;電源 8;積層膜 9,19,29;レーザ光 20;素子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小橋 宏司 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究 所内 (56)参考文献 特開 平8−255946(JP,A) 特開 平4−333291(JP,A) 特開 平1−102893(JP,A) 特開 平3−122093(JP,A) 特開 平3−222376(JP,A) 特開 平8−255924(JP,A) 特開 平8−330624(JP,A) 特開 平5−144570(JP,A) 特開 平7−307487(JP,A) 特開 平7−283434(JP,A) 特開 平6−326355(JP,A) 特開 平5−140550(JP,A) 国際公開99/34646(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01S 3/16 H01L 33/00 H05B 33/14

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1電極と、前記第1電極上に形成され
    た第1ダイヤモンド層と、前記第1ダイヤモンド層上に
    形成されたボロンドープダイヤモンドからなる発光層
    と、前記発光層上に形成された第2ダイヤモンド層と、
    前記第2ダイヤモンド層上に形成された第2電極と、前
    記第1電極及び第2電極に接続された電源と、を有し、
    前記第1ダイヤモンド層及び前記第2ダイヤモンド層は
    前記発光層よりも高い抵抗値を有することを特徴とする
    紫外線レーザ素子。
  2. 【請求項2】 第1電極と、前記第1電極上に形成され
    た第1ダイヤモンド層と、前記第1ダイヤモンド層上に
    形成されボロンドープダイヤモンドからなる発光層と前
    記発光層上に形成された第2ダイヤモンド層とからなる
    複数の積層膜と、前記積層膜上に形成された第2電極
    と、前記第1電極及び第2電極に接続された電源と、を
    有し、前記第1ダイヤモンド層及び前記第2ダイヤモン
    ド層は前記発光層よりも高い抵抗値を有することを特徴
    とする紫外線レーザ素子。
  3. 【請求項3】 前記第1電極は基板上に形成されている
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の紫外線レーザ
    素子。
  4. 【請求項4】 基板と、前記基板上に選択的に形成され
    た第1電極と、前記基板及び第1電極上に選択的に形成
    された第1ダイヤモンド層と、前記第1ダイヤモンド層
    上に形成されたボロンドープダイヤモンドからなる発光
    層と、前記発光層上に形成された第2ダイヤモンド層
    と、前記基板及び第2ダイヤモンド層上に選択的に形成
    された第2電極と、前記第1電極及び第2電極に接続さ
    れた電源と、を有することを特徴とする紫外線レーザ素
    子。
  5. 【請求項5】 前記第1電極、第1ダイヤモンド層、発
    光層、第2ダイヤモンド層及び第2電極を有する複数組
    の素子が、前記発光層から発するレーザ光の経路が一致
    するように前記基板上に形成されていることを特徴とす
    る請求項3又は4に記載の紫外線レーザ素子。
  6. 【請求項6】 前記第1電極は、基体と、前記基体上に
    形成され前記第1及び第2ダイヤモンド層よりも低い抵
    抗値を有する第3ダイヤモンド層と、を有することを特
    徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の紫外線
    レーザ素子。
  7. 【請求項7】 前記基体は単結晶白金又は単結晶白金合
    金からなり、前記第3ダイヤモンド層は、高配向ダイヤ
    モンド膜、ダイヤモンド融合膜及び単結晶ダイヤモンド
    膜からなる群から選択された1種の膜からなることを特
    徴とする請求項6に記載の紫外線レーザ素子。
  8. 【請求項8】 前記第3ダイヤモンド層は、表面にダイ
    ヤモンド結晶の(100)面又は(111)面が現れた
    ものであることを特徴とする請求項6又は7に記載の紫
    外線レーザ素子。
  9. 【請求項9】 前記第1及び第2ダイヤモンド層は、ア
    ンドープダイヤモンド、窒素ドープダイヤモンド及び前
    記発光層中のボロン濃度よりも低い濃度でボロンがドー
    プされた低濃度ボロンドープダイヤモンドからなる群か
    ら選択された少なくとも1種からなることを特徴とする
    請求項1乃至8のいずれか1項に記載の紫外線レーザ素
    子。
  10. 【請求項10】 前記発光層は1nm乃至1μmの膜厚
    を有することを特徴とする請求項1乃至9に記載の紫外
    線レーザ素子。
  11. 【請求項11】 前記ボロンドープダイヤモンドからな
    る発光層の欠陥密度は1×108/cm2以下であること
    を特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の
    紫外線レーザ素子。
  12. 【請求項12】 前記第1電極と前記第1ダイヤモンド
    層との間に基板を有することを特徴とする1、2及び6
    乃至11のいずれか1項に記載の紫外線レーザ素子。
  13. 【請求項13】 第1電極上に第1ダイヤモンド層を気
    相合成する工程と、前記第1ダイヤモンド層の上に前記
    第1ダイヤモンド層よりも低い抵抗値を有するボロンド
    ープダイヤモンドからなる発光層を気相合成する工程
    と、前記発光層の上に前記発光層よりも高い抵抗値を有
    する第2ダイヤモンド層を気相合成する工程と、前記第
    2ダイヤモンド層の上に第2電極を形成する工程と、を
    有することを特徴とする紫外線レーザ素子の製造方法。
JP10523598A 1998-04-15 1998-04-15 紫外線レーザ素子及びその製造方法 Expired - Fee Related JP3394443B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10523598A JP3394443B2 (ja) 1998-04-15 1998-04-15 紫外線レーザ素子及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10523598A JP3394443B2 (ja) 1998-04-15 1998-04-15 紫外線レーザ素子及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11298085A JPH11298085A (ja) 1999-10-29
JP3394443B2 true JP3394443B2 (ja) 2003-04-07

Family

ID=14402000

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10523598A Expired - Fee Related JP3394443B2 (ja) 1998-04-15 1998-04-15 紫外線レーザ素子及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3394443B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20130108027A (ko) * 2012-03-23 2013-10-02 주식회사 엘지화학 유기전자소자용 기판의 제조방법

Also Published As

Publication number Publication date
JPH11298085A (ja) 1999-10-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5247533A (en) Gallium nitride group compound semiconductor laser diode
US5620557A (en) Sapphireless group III nitride semiconductor and method for making same
US8268648B2 (en) Silicon based solid state lighting
US6362496B1 (en) Semiconductor light emitting device having a GaN-based semiconductor layer, method for producing the same and method for forming a GaN-based semiconductor layer
KR101564251B1 (ko) 에피텍셜 막 형성방법, 스퍼터링 장치, 반도체 발광소자 제조방법, 반도체 발광소자, 및 조명장치
EP2056365A1 (en) High-efficiency indirect transition semiconductor ultraviolet light-emitting element
JP2007533164A (ja) テクスチャ出しされた半導体層を特徴とする光学装置
JP2008235804A (ja) 発光素子
US20150091047A1 (en) Method of growing nitride semiconductor, method of manufacturing template for semiconductor fabrication and method of manufacturing semiconductor light emitting device using the same
TW200414643A (en) Semiconductor light-emitting element and method of manufacturing the same
JP3394443B2 (ja) 紫外線レーザ素子及びその製造方法
JP3336855B2 (ja) 3族窒化物化合物半導体発光素子
JP3592055B2 (ja) 有機発光素子
JPH04240784A (ja) 紫外線発光素子
JP3835830B2 (ja) 短波長発光素子
JP3724213B2 (ja) 窒化ガリウム系化合物半導体発光素子
JPH10289877A (ja) 化合物半導体の形成方法及び半導体装置
KR100289595B1 (ko) 3족질화물반도체발광소자
JPH1032348A (ja) 3族窒化物半導体発光素子の製造方法及びその装置
JP2001094144A (ja) ダイヤモンド紫外線発光素子
JP2012256843A (ja) 窒化物半導体素子、窒化物半導体ウェーハ及び窒化物半導体層の製造方法
EP1401028A2 (en) Diamond-based light emitting element and its method of fabrication
JP2000277798A (ja) ダイヤモンド電子素子
JP2000174342A (ja) 窒化物半導体発光素子
JPH1065214A (ja) 半導体発光素子の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080131

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 6

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090131

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100131

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110131

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120131

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130131

Year of fee payment: 10

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees