JP3393706B2 - 高靱性Al合金鋳物の鋳造方法 - Google Patents

高靱性Al合金鋳物の鋳造方法

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JP3393706B2 JP12573794A JP12573794A JP3393706B2 JP 3393706 B2 JP3393706 B2 JP 3393706B2 JP 12573794 A JP12573794 A JP 12573794A JP 12573794 A JP12573794 A JP 12573794A JP 3393706 B2 JP3393706 B2 JP 3393706B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高靱性Al合金鋳物の鋳
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種鋳物の鋳造に用いられるA
l合金鋳物においては、主として粗大金属間化合物の生
成を回避して鋳物の靱性を向上させるため、各種合金元
素の添加量の上限値が規定されている。
【0003】例えば、Al−Si−Mg系合金におい
て、Feの添加量は、JIS AC4CでFe=0.5
5重量%であり、またJIS AC4CHでFe=0.
2重量%である。さらに両種Al合金において、Tiの
添加量はTi=0.2重量%であり、またSiの添加量
はSi=7.5重量%である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記制
約の下では、再生材料の利用率が低く、一方、新生材料
の使用率が高くなるため、Al合金鋳物の生産コストの
上昇は避けられない。その上、鋳造性を考慮すると、S
i添加量は多い方が良く、またAl合金鋳物のマトリッ
クスの微細化を達成するためには、Tiをその添加量の
上限値を超えて添加すると実現性が一層高くなる。
【0005】本発明は前記に鑑み、合金元素を増量し、
それに伴って生成される粗大金属間化合物をAl合金鋳
物の靱性に悪影響を与えない程度に細片化し、これによ
り優れた靱性を有するAl合金鋳物を比較的安価に得る
ことのできる前記鋳造方法を提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る高靱性Al
合金鋳物の鋳造方法は、高靱性Al合金鋳物を鋳造する
に当り、Alと、合金元素であるSi,Mg,Cu,F
eおよびTiを含むと共にそれら合金元素から選択され
る一種以上を、Al合金鋳物の靱性を確保すべく規定さ
れた添加量の上限値を越えて含有することにより粗大金
属間化合物を不可避的に含むAl合金素材を用意し、
記Al合金素材に加熱処理を施して、そのAl合金素材
より、固相と液相とが共存する半溶融状態を呈し、且つ
液相現出後の時間tが3分間≦t≦6分間において前記
粗大金属間化合物を針状金属間化合物に成長変換させた
鋳造材料を調製し、次いで、前記鋳造材料を用いてAl
合金鋳物を加圧成形する過程で、前記針状金属間化合物
を破砕して細片状金属間化合物に変換することを特徴と
する。
【0007】
【作用】前記方法によれば、合金元素の添加量につい
て、その上限値に関する制約が緩和されるので、再生材
料の利用率を高めてAl合金鋳物の生産コストを低減す
ることが可能である。
【0008】また合金元素の増量に伴う粗大金属間化合
物は、最終的に細片状金属間化合物に変換されるので、
粗大金属間化合物の存在による低靱性化を回避して、A
l合金鋳物の高靱性化を達成することが可能である。
【0009】さらに、粗大金属間化合物の細片化に当
り、その粗大金属間化合物を破砕され易い針状金属間化
合物に一旦成長変換するので、その細片化を確実に達成
することが可能である。
【0010】さらにまた、前記針状化は鋳造材料の調製
過程で行われ、また前記細片化はAl合金鋳物の加圧成
形過程で行われるので、それら針状化および細片化のた
めに特別な過程を設ける必要がなく、これはAl合金鋳
物の生産性を向上し、且つその生産コストを低減する上
で有効である。
【0011】
【実施例】図1は、Al合金鋳物を鋳造するために用い
られる加圧鋳造装置1を示す。その加圧鋳造装置1は、
鉛直な合せ面2a,3aを有する固定金型2および可動
金型3を備え、両合せ面2a,3a間に断面円形の鋳物
成形用キャビティ4およびその下端に連通する小径のゲ
ート5が形成される。固定金型2に鋳造材料6を設置す
るチャンバ7が形成され、そのチャンバ7の上部内側面
にゲート5が開口する。また固定金型2の外側面にチャ
ンバ7に連通するスリーブ8が水平に付設され、そのス
リーブ8にチャンバ7に挿脱される加圧プランジャ9が
摺動自在に嵌合される。
【0012】〔実施例1〕この実施例においては、合金
元素AEの全添加量がAE≧5重量%であるAl合金素
材が用いられる。
【0013】(A)表1は、Al−Si−Mg系合金よ
りなるAl合金素材の例1の組成を示す。この例1は、
連続鋳造法の適用下で鋳造された高品質な長尺連続鋳造
材より切出されたものであるが、その鋳造に当り、初晶
α−Alの微細化を目的とした溶湯の攪拌は行われてい
ない。例1の寸法は直径76mm、長さ85mmである。
【0014】
【表1】 表1から明らかなように、例1においては、通常のFe
添加量上限値がFe=0.2重量%であるとすると、そ
のFe添加量が大幅に増加している。この場合、Si、
Mg等の合金元素AEの全添加量はAE=9.2重量%
である。
【0015】図2は、Al合金素材の例1における金属
組織を示す顕微鏡写真である。図2において、濃色の針
状および棒状部分がAlSiFe系金属間化合物であ
り、その平均長さは約120μmであって、粗大に晶出
していることが判る。このAlSiFe系金属間化合物
は、Fe添加量の大幅な増加に伴い例1に不可避的に含
まれる。
【0016】次に、Al合金素材の例1を誘導加熱装置
の加熱コイル内に設置し、次いで周波数 1kHz、出
力 37kWの条件で加熱して、固相と液相とが共存す
る半溶融状態を呈し、且つ580℃の鋳造材料の例1を
調製した。この場合、Al合金素材の例1に液相が現出
する温度は557℃であり、その温度から580℃に達
するまでは5分間であった。
【0017】図3は、鋳造材料の例1の金属組織を示す
顕微鏡写真である。図3において、球状部分は初晶α−
Al、小さい黒点状部分は共晶Si、針状部分はAlS
iFe系金属間化合物である。
【0018】図3から、図2に示すAl合金素材の例1
における粗大AlSiFe系金属間化合物が針状AlS
iFe系金属間化合物に成長変換されていることが判
る。この針状AlSiFe系金属間化合物の平均長さL
1 は約400μmである。粗大AlSiFe系金属間化
合物の針状AlSiFe系金属間化合物への成長変換
は、Al合金素材の例1に液相が現出した後に行われ
る。したがって、成長変換に必要な時間tは、液相現出
後、t=5分間である。
【0019】その後、図1に示すように、鋳造材料6の
例1をチャンバ7に設置し、加圧プランジャ9の移動速
度 0.07m/sec 、金型温度 250℃、例1のゲ
ート通過速度 2m/sec 、ゲート通過時の例1の剪断
速度 140sec -1の条件で例1を加圧しつつゲート5
を通過させてキャビティ4内に高速層流逐次充填した。
そして、加圧プランジャ9をストローク終端に保持する
ことによってキャビティ4内に充填された例1に加圧力
を付与し、その加圧下で例1を凝固させてAl合金鋳物
の例1を得た。
【0020】図4は、Al合金鋳物の例1における金属
組織を示す顕微鏡写真である。図4において、球状部分
は初晶α−Al、小さい黒点状部分は共晶Si、細片状
部分はAlSiFe系金属間化合物である。
【0021】図4から、図3に示す鋳造材料の例1にお
ける針状AlSiFe系金属間化合物が細片状AlSi
Fe系金属間化合物に変換されていることが判る。これ
は、ゲート5通過時に例1に剪断力が付与されることに
起因する。この細片状AlSiFe系金属間化合物の平
均長さL2 は約80μmである。
【0022】表2は、Al合金素材の例1とAl合金鋳
物の例1に関する伸びの平均値と極限強さの平均値とを
示す。
【0023】
【表2】 表2から明らかなように、Al合金鋳物の例1において
は、金属間化合物が細片化されていることから、Al合
金素材の例1に比べて伸びおよび極限強さが向上してお
り、したがってAl合金鋳物の例1は優れた靱性を有す
ることが判る。
【0024】またAl合金鋳物の例1において、伸びの
最大値は5%、最小値は3.2%であり、一方、極限強
さの最大値は275MPa、最小値は265MPaであ
って、伸びおよび極限強さに関するばらつきが比較的小
さい。このことから、前記方法によれば、高靱性Al合
金鋳物を安定して鋳造することができる。
【0025】前記のように、Al合金鋳物の加圧成形過
程において、鋳造材料に剪断力を付与して金属間化合物
を細片化するためには、鋳造材料における針状金属間化
合物が所定の平均長さL1 を有し、破砕され易いことが
必要である。
【0026】そこで、前記同様の鋳造方法において、液
相現出後、成長変換に必要な時間tを種々変更して、そ
の時間tと針状金属間化合物の平均長さL1 との関係を
調べたところ、図5の結果を得た。
【0027】また各種平均長さの針状金属間化合物を有
する鋳造材料について、その金属間化合物の細片化につ
いて考察したところ、針状金属間化合物の平均長さL1
が150μm≦L1 ≦500μmであれば、その針状金
属間化合物を、平均長さL2が20μm≦L2 ≦120
μmである細片状金属間化合物に変換し得ることが確認
された。
【0028】したがって、図5より、成長変換に必要な
時間tは、液相現出後、3分間≦t≦6分間に設定すれ
ばよいことが明らかである。この場合、Al合金素材の
例1において液相現出温度は557℃、液相現出後3分
間経過時における鋳造材料の例1の温度は567℃、液
相現出後6分間経過時における鋳造材料の例1の温度は
590℃である。したがって成長変換に当り、前記平均
長さL1 を満足するためには、温度上では鋳造材料の例
1を567℃以上、590℃以下に保持すればよい。
【0029】なお、針状金属間化合物の平均長さL1
1 <150μmでは、その太さが増すため細片化しに
くくなり、一方、L1 >500μmの領域では初晶α−
Alが粗大化して成形性が悪化する。
【0030】(B)表3は、Al−Si−Mg系合金よ
りなるAl合金素材の例2の組成を示す。その例2の製
造方法および寸法は前記(A)と同様である。
【0031】
【表3】 表3から明らかなように、例2においては、通常のTi
添加量上限値がTi=0.2重量%であるとすると、そ
のTi添加量が大幅に増加している。このTiの増量に
よってマトリックスの微細化が達成されているが、この
例2には粗大TiAl系金属間化合物が不可避的に含ま
れている。この場合、Si、Mg等の合金元素AEの全
添加量はAE=9.4重量%である。
【0032】次いで、Al合金素材の例2を前記(A)
と同一条件で加熱して、固相と液相とが共存する半溶融
状態を呈し、且つ581℃の鋳造材料の例2を調製し
た。この場合、Al合金素材の例2に液相が現出する温
度は557℃であり、成長変換に必要な時間tは、液相
現出後、t=5分間に設定された。
【0033】図6は、鋳造材料の例2の金属組織を示す
顕微鏡写真である。図6において、球状部分は初晶α−
Al、小さい黒点状部分は共晶Si、針状部分はTiA
l系金属間化合物である。
【0034】図6から、Al合金素材の例2における粗
大TiAl系金属間化合物が針状TiAl系金属間化合
物に成長変換されていることが判る。この針状TiAl
系金属間化合物の平均長さL1 は約400μmである。
【0035】また、この工程ではマトリックスを構成す
る初晶α−Alが粗大化することはなく、したがって、
初晶α−Alの大きさはAl合金素材のそれと略同等で
ある。よって図6から、Tiの増量に伴い初晶α−Al
が微細化されていることが判る。
【0036】その後、鋳造材料の例2を用い、前記
(A)と同一条件で加圧成形を行うことによりAl合金
鋳物の例2を得た。
【0037】図7は、Al合金鋳物の例2における金属
組織を示す顕微鏡写真である。図7において、球状部分
は初晶α−Al、小さい黒点状部分は共晶Si、細片状
部分はTiAl系金属間化合物である。
【0038】図7から、図6に示す鋳造材料の例2にお
ける針状TiAl系金属間化合物が細片状TiAl系金
属間化合物に変換されていることが判る。これは、ゲー
ト5通過時に例2に剪断力が付与されることに起因す
る。この細片状TiAl系金属間化合物の平均長さL2
は約70μmである。
【0039】表4は、Al合金素材の例2とAl合金鋳
物の例2に関する伸びの平均値と極限強さの平均値とを
示す。
【0040】
【表4】 表4から明らかなように、Al合金鋳物の例2において
は、金属間化合物が細片化されていることから、Al合
金素材の例2に比べて伸びおよび極限強さが向上してお
り、したがってAl合金鋳物の例2は優れた靱性を有す
ることが判る。
【0041】またAl合金鋳物の例2において、伸びの
最大値は15.2%、最小値は11.2%であり、一
方、極限強さの最大値は311MPa、最小値は289
MPaであって、伸びおよび極限強さに関するばらつき
が比較的小さい。このことから、前記方法によれば、高
靱性Al合金鋳物を安定して鋳造することができる。
【0042】〔実施例2〕この実施例においては、合金
元素AEの全添加量がAE<5重量%であるAl合金素
材が用いられる。このように合金元素AEの全添加量を
規定する理由はAl合金鋳物の展伸性を高めて、その靱
性を実施例1のものよりも向上させることにある。
【0043】表5は、Al合金素材の例1の組成を示
す。その例1の製造方法および寸法は実施例1と同様で
ある。
【0044】
【表5】 この系のAl合金においては、通常のTi添加量がTi
=0.02重量%であるとすると、そのTi添加量が大
幅に増加している。このTiの増量によってマトリック
スの微細化が達成されているが、この例1には粗大Ti
Al系金属間化合物が不可避的に含まれている。この場
合、Si、Mg等の合金元素AEの全添加量はAE=
4.8重量%である。
【0045】次いで、Al合金素材の例1を実施例1と
同一条件で加熱して、固相と液相とが共存する半溶融状
態を呈し、且つ628℃の鋳造材料の例1を調製した。
この場合、Al合金素材の例1に液相が現出する温度は
555℃であり、その温度から628℃に達するまでは
3分間であった。
【0046】図8は、鋳造材料の例1の金属組織を示す
顕微鏡写真である。図8において、球状部分は初晶α−
Al、針状部分はTiAl系金属間化合物(一部は塊状
をなす)である。
【0047】図8から、Al合金素材の例1における粗
大TiAl系金属間化合物が、針状TiAl系金属間化
合物に成長変換されていることが判る。この針状TiA
l系金属間化合物の平均長さL1 は約150μmであ
り、したがって、成長変換に必要な時間tは、液相現出
後、t=3分間である(図5参照)。この場合、Al合
金素材の例1において液相現出温度は555℃、液相現
出後3分間経過時における鋳造材料の例1の温度は62
8℃、液相現出後6分間経過時における鋳造材料の例1
の温度は645℃である。したがって成長変換に当り、
前記平均長さL1を満足するためには、温度上では鋳造
材料の例1を628℃以上、645℃以下に保持すれば
よい。
【0048】前記調製工程ではマトリックスを構成する
初晶α−Alが粗大化することはなく、したがって初晶
α−Alの大きさはAl合金素材のそれと略同等であ
る。よって図8から、Tiの増量に伴い初晶α−Alが
微細化されていることが判る。
【0049】その後、鋳造材料の例1を用い、実施例1
と同一条件で加圧成形を行うことによりAl合金鋳物の
例1を得た。
【0050】図9は、Al合金鋳物の例1における金属
組織を示す顕微鏡写真である。図9において、球状部分
は初晶α−Al、細片状部分はTiAl系金属間化合物
である。
【0051】図9から、図8に示す鋳造材料の例1にお
ける針状TiAl系金属間化合物が細片状TiAl系金
属間化合物に変換されていることが判る。これは、ゲー
ト5通過時に例1に剪断力が付与されることに起因す
る。この細片状TiAl系金属間化合物の平均長さL2
は約50μmである。
【0052】表6は、Al合金素材の例1とAl合金鋳
物の例1に関する伸びの平均値と極限強さの平均値とを
示す。
【0053】
【表6】 表6から明らかなように、Al合金鋳物の例1において
は金属間化合物が細片化されていることから、Al合金
素材の例1に比べて伸びおよび極限強さが向上してお
り、したがってAl合金鋳物の例1は優れた靱性を有す
ることが判る。またAl合金鋳物の例1において、伸び
の最大値は15.2%、最小値は9%であり、一方、極
限強さの最大値は474MPa、最小値は305MPa
であって、伸びおよび極限強さに関するばらつきが比較
的小さい。このことから、前記方法によれば、高靱性A
l合金鋳物を安定して鋳造することができる。
【0054】その上、Al合金鋳物の例1は、実施例1
におけるAl合金鋳物の例1,2に比べても、伸びが大
きく、その上極限強さも高い。これは、合金元素AEの
全添加量がAE<5重量%であることに起因する。
【0055】表7は、Al合金素材の比較例の組成を示
す。この比較例は、溶湯の攪拌を伴う連続鋳造法の適用
下で鋳造された長尺連続鋳造材より切出されたものであ
り、寸法は実施例1と同様である。この場合、Si、M
g等の合金元素AEの全添加量はAE=3.25重量%
である。
【0056】
【表7】 次いで、Al合金素材の比較例を実施例1と同一条件で
加熱して、固相と液相とが共存する半溶融状態を呈し、
且つ639℃の鋳造材料の比較例を調製した。
【0057】図10は鋳造材料の比較例の金属組織を示
す顕微鏡写真である。図10において、球状部分は初晶
α−Al、小さい黒点状部分は共晶AlSiMg系金属
間化合物であり、その金属間化合物の偏析が生じている
ことが判る。
【0058】その後、鋳造材料の比較例を用い、実施例
1と同一条件で加圧成形を行うことによりAl合金鋳物
の比較例を得た。
【0059】表8は、Al合金鋳物の比較例5個につい
ての伸びおよび極限強さを示す。
【0060】
【表8】 表8から明らかなように、Al合金鋳物の比較例の場
合、前記偏析に起因して、特に、伸びについて最大値と
最小値との間に15%の差が生じていてばらつきが大き
く、したがって比較例方法では高靱性Al合金鋳物を安
定して鋳造することが困難である。
【0061】なお、合金元素AEの全添加量がAE≧5
重量%であるAl合金素材の連続鋳造過程では攪拌を行
っても、或は行わなくても前記のような偏析は生じない
ので、初晶α−Alを微細化し、また金属組織を均一化
するためには攪拌を行った方が有利である。また前記成
長変換は、鋳造材料を恒温保持することによっても行わ
れる。
【0062】
【発明の効果】本発明によれば、前記のように特定され
た手段を採用することによって、優れた靱性を有するA
l合金鋳物を生産性良く、且つ低コストで得ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】加圧鋳造装置の縦断面図である。
【図2】Al合金素材の第1の金属組織を示す顕微鏡写
真である。
【図3】鋳造材料の第1例の金属組織を示す顕微鏡写真
である。
【図4】Al合金鋳物の第1例の金属組織を示す顕微鏡
写真である。
【図5】成長変換に必要な時間tと針状金属間化合物の
平均長さL2 との関係を示すグラフである。
【図6】鋳造材料の第2例の金属組織を示す顕微鏡写真
である。
【図7】Al合金鋳物の第2例の金属組織を示す顕微鏡
写真である。
【図8】鋳造材料の第3例の金属組織を示す顕微鏡写真
である。
【図9】Al合金鋳物の第3例の金属組織を示す顕微鏡
写真である。
【図10】鋳造材料の比較例の金属組織を示す顕微鏡写
真である。
【符号の説明】 1 加圧鋳造装置 2,3 固定、可動金型 4 キャビティ 5 ゲート 6 鋳造材料 9 加圧プランジャ
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−245609(JP,A) 特開 平2−141543(JP,A) 特開 平5−305409(JP,A) 特開 平5−285625(JP,A) 特開 平5−261503(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 17/22 B22D 21/04 B22D 1/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高靱性Al合金鋳物を鋳造するに当り、
    Alと、合金元素であるSi,Mg,Cu,Feおよび
    Tiを含むと共にそれら合金元素から選択される一種以
    上を、Al合金鋳物の靱性を確保すべく規定された添加
    量の上限値を越えて含有することにより粗大金属間化合
    物を不可避的に含むAl合金素材を用意し、前記Al合
    金素材に加熱処理を施して、そのAl合金素材より、固
    相と液相とが共存する半溶融状態を呈し、且つ液相現出
    の時間tが3分間≦t≦6分間において前記粗大金属
    間化合物を針状金属間化合物に成長変換させた鋳造材料
    を調製し、次いで、前記鋳造材料を用いてAl合金鋳物
    を加圧成形する過程で、前記針状金属間化合物を破砕し
    て細片状金属間化合物に変換することを特徴とする高靱
    性Al合金鋳物の鋳造方法
  2. 【請求項2】 前記Al合金素材は、前記合金元素AE
    の全添加量がAE<5重量%に設定された連続鋳造材で
    ある、請求項記載の高靱性Al合金鋳物の鋳造方法。
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