JP3390256B2 - 焼付け硬化性及び耐時効性に優れた高強度高加工性製缶用鋼板及びその製造方法 - Google Patents

焼付け硬化性及び耐時効性に優れた高強度高加工性製缶用鋼板及びその製造方法

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JP3390256B2 JP16942194A JP16942194A JP3390256B2 JP 3390256 B2 JP3390256 B2 JP 3390256B2 JP 16942194 A JP16942194 A JP 16942194A JP 16942194 A JP16942194 A JP 16942194A JP 3390256 B2 JP3390256 B2 JP 3390256B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、製缶時に行われる焼
付け塗装によって素材の降伏応力が増加する性質、いわ
ゆる焼付け硬化性に優れ、かつ、素材の組織が経時的に
変化しにくい性質、いわゆる耐時効性に優れた高強度高
加工性製缶用鋼板及びその製造方法に関するものであ
る。Siは、鋼板の表面性状を悪化させる元素として、従
来、その使用が敬遠されていたが、超高圧デスケーリン
グ技術及び圧延鋼板の温度制御技術が目覚ましく進歩し
て、Si含有量のアップが可能になったことから、この発
明は、特に、鋼素材中にSiを積極的に含有させて、鋼の
前記混合組織の安定化を図ったものである。
【0002】
【従来の技術】製缶用鋼板は、一般に、製缶時には加工
性に優れていること(高加工性)、かつ、製缶後の使用
時には十分な缶強度を有すること(高強度)が必要であ
り、これに加えて、焼付け硬化性及び耐時効性に優れて
いることが望ましい。製缶用鋼板の高強度化を図る場
合、特公昭38−8563号公報に記載されているよう
に、2回冷間圧延法で製造するのが一般的である。しか
し、この鋼板は、加工強化によって高強度化を図ったも
のであるため、熱的に不安定であり、焼付け硬化性及び
耐時効性は好ましくなく、加工性も悪かった。
【0003】そのため、特開昭59−50125 号公報には、
高強度と高加工性の双方を具備する製缶用鋼板を開発し
た例が記載されている。この公報に記載された製缶用鋼
板の製造方法は、冷間圧延後に730 〜850 ℃の温度域で
均熱保持してフェライト相とオーステナイト相との2相
組織を形成し、その後、急冷することによる。この製缶
用鋼板は、高延性のフェライト相と硬質化した析出相
(マルテンサイト相)との析出割合を調整することによ
って、高強度及び高加工性の双方を満足させることを狙
ったものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前掲公報に記
載の製造方法で製造された製缶用鋼板は、フェライト相
と析出相との析出割合を制御することはできるが、フェ
ライト結晶粒間に存在する析出相は、圧延等の加工によ
って最終的に層状になる傾向にあり、この層状になった
析出相を均一微細分散状態にすることは、この製造方法
では難しい。この層状組織は、加工性にとっては好まし
いものではなく、また、加工による面内異方性も大きく
なるため、この鋼板を、2ピースのDI缶などに適用し
た場合、深絞り加工時におけるノンイヤリング性が悪化
するなど用途によっては使用時の障害になった。さら
に、前掲公報に記載の製缶用鋼板は、焼付け硬化性につ
いては優れているものの、急冷によって熱力学的に不安
定な析出相を析出させているため、組織が熱的に不安定
であり、時効による組織変化が生じるおそれがある。ま
たマルテンサイトが硬質でありすぎるため材質のバラツ
キが大きくなる傾向が強い。この結果、製缶時や製缶後
の使用時に、形成不良を招いたりして好ましくない場合
があった。
【0005】そこで、この発明の目的は、フェライト相
と析出相(主に、パーライト相)との析出割合を制御す
るとともに、フェライト結晶粒間に存在する析出相を、
均一に微細分散析出させることにより、焼付け硬化性及
び耐時効性の双方に優れた高強度高加工性製缶用鋼板及
びその製造方法を得るにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的に鑑みて発明者
らは、組成成分、鋼組織、及び製造条件を最適化するこ
とによって、製缶用鋼板に必要な前記諸性質を満足しう
ることを見出した。
【0007】すなわち、この発明の高強度高加工性製缶
用鋼板は、C:0.05〜0.15wt% 、Si:0.10wt% 超え0.30
wt% 以下、Mn:0.05〜1.20wt% 、P:0.015 〜 0.150wt
% 、S:0.010wt%以下 、Al:0.020 〜 0.150wt% 、及
びN:0.0100wt% 以下、及び、残部不可避的不純物と鉄
からなり、結晶粒径が平均15μm 以下のフェライト相
と、フェライト結晶粒間に均一微細分散したパーライト
相、又は5vol%以下のベイナイト相を含んでフェライト
結晶粒間に均一微細分散したパーライト相との混合組織
よりなり、板厚が0.30mm以下である。
【0008】また、前記鋼板は、C:0.05〜0.15wt% 、
Si:0.10wt% 超え0.30wt% 以下、Mn:0.05〜1.20wt% 、
P:0.015 〜 0.150wt% 、S:0.010wt%以下 、Al:0.
020〜 0.150wt% 、N:0.0100wt% 以下を含有し、さら
に、Cu:0.050 〜0.500wt%、Ni:0.050 〜0.500wt%、C
r:0.050 〜1.000wt%、B:0.0005〜0.0030wt% のうち
の少なくとも一種を含有し、残部は不可避的不純物と鉄
からなることが好ましい。
【0009】この発明の高強度高加工性製缶用鋼板の製
造方法は、C:0.05〜0.15wt% 、Si:0.10wt% 超え0.30
wt% 以下、Mn:0.05〜1.20wt% 、P:0.015 〜 0.150wt
% 、S:0.010wt%以下 、Al:0.020 〜 0.150wt% 、
N:0.0100wt% 以下、及び、残部不可避的不純物と鉄か
らなる鋼素材に、仕上げ温度が850 〜930 ℃となる熱間
圧延を施した後、その1秒以内に50℃/s以上の冷却速
度で冷却して540 ℃以下400 ℃以上の温度域で巻取り、
酸洗後に70〜90%の圧下率で1次冷間圧延を施した後、
850 ℃以下でかつ(Ac1 +10℃)〜(Ac1 +50℃)の温
度域で20秒以上の間、均熱保持して、オーステナイト量
の、フェライト量とオーステナイト量との和の全量に対
する割合を10〜50vol%の範囲に制御し、しかる後、70℃
/s 以上の冷却速度で400 ℃以下の温度まで急冷して30
0 ℃以上の温度域に20〜60秒の間、恒温保持し、さらに
通常の焼鈍を行った後に10〜35%の圧下率で2次冷間圧
延を施すものである。
【0010】前記製造方法は、前記鋼素材が、C:0.05
〜0.15wt% 、Si:0.10wt% 超え0.30wt% 以下、Mn:0.05
〜1.20wt% 、P:0.015 〜 0.150wt% 、S:0.010wt%以
下、Al:0.020 〜 0.150wt% 、N:0.0100wt% 以下を含
有し、さらに、Cu:0.050〜0.500wt%、Ni:0.050 〜0.5
00wt%、Cr:0.050 〜1.000wt%、B:0.0005〜0.0030wt%
のうちの少なくとも一種を含有することが好ましい。
【0011】また、この発明の高強度高加工性製缶用鋼
板の製造方法は、特に、加工性をより重視する場合は、
C:0.05〜0.15wt% 、Si:0.10wt% 超え0.30wt% 以下、
Mn:0.05〜1.20wt% 、P:0.015 〜 0.150wt% 、S:0.
010wt%以下 、Al:0.020 〜0.150wt% 、N:0.0050wt%
以下、及び、残部不可避的不純物と鉄からなる鋼素材
に、仕上げ温度が850 〜930 ℃となる熱間圧延を施した
後、その1秒以内に50℃/s以上の冷却速度で冷却して
540 ℃以下400 ℃以上の温度域で巻取り、酸洗後に70〜
90%の圧下率で1次冷間圧延を施した後、850 ℃以下で
かつ(Ac1 +10℃)〜(Ac1 +50℃)の温度域で20秒以
上の間、均熱保持して、オーステナイト量の、フェライ
ト量とオーステナイト量との和の全量に対する割合を10
〜50vol%の範囲に制御し、しかる後、70℃/s 以上の冷
却速度で400 ℃以下の温度まで急冷して300 ℃以上の温
度域に20〜60秒の間、恒温保持することが好ましい。
【0012】前記製造方法は、前記鋼素材が、C:0.05
〜0.15wt% 、Si:0.10wt% 超え0.30wt% 以下、Mn:0.05
〜1.20wt% 、P:0.015 〜 0.150wt% 、S:0.010wt%以
下、Al:0.020 〜 0.150wt% 、N:0.0050wt% 以下を含
有し、さらに、Cu:0.050〜0.500wt%、Ni:0.050 〜0.5
00wt%、Cr:0.050 〜1.000wt%、B:0.0005〜0.0030wt%
のうちの少なくとも一種を含有することがより好まし
い。
【0013】
【作用】以下に、この発明において記載した組成成分、
鋼組織、及び製造条件の限定理由について分けて説明す
る。 C:0.05〜0.15wt% 満足な強度を得るには、C含有量を、0.05wt% 以上、よ
り望ましくは0.08wt%以上にすることが必要である。し
かし、C含有量は、その増加とともに溶接性を悪化させ
る傾向にあるため、その上限を0.15wt% とする。なお、
C含有量は、実際には、均熱保持時に、オーステナイト
量の、フェライト量とオーステナイト量との和の全量に
対する割合が10〜50%となり、かつ、析出相がフェライ
ト結晶粒間に均一微細分散するように設定する。
【0014】Si:0.10wt% 超え0.30wt% 以下 鋼中のSiは、フェライト相中で安定に存在するととも
に、このフェライト相中のCをオーステナイト相中に排
斥する作用がある。従って、フェライト相を高純度化す
るとともに、オーステナイト相をCで安定化させること
ができ、これにより、フェライト相と析出相(主にパー
ライト相)との安定な混合組織を得るには有利な元素で
ある。しかし、その反面、表面性状を悪化させる傾向が
あるため、従来は含有量を少なくせざるをえなかったが
(従来のSi含有量:0.10wt% 以下)、発明者らが種々の
検討を行った結果、熱間圧延時に十分なスケール除去能
力を有する装置を使用し、十分高い仕上げ温度を確保
し、さらに一次冷間圧延後の熱処理を比較的高温で行う
ことによって、鋼中にSiを多めに添加しても、0.30wt%
以下であれば、表面性状の悪化はさほど問題にならない
ことを見出した。また、Si量を0.10wt% を超えて含有す
る鋼板は、例えば、3ピース缶での溶接の際には、溶接
可能な溶接電流範囲が通常の鋼板に比べて広くなること
も判明した。従って、Si含有量は0.10wt% 超え0.30wt%
以下の範囲とした。なお、より一層良好な表面性状が必
要な場合は、Si含有量を0.20wt% 以下にすることが望ま
しい。
【0015】Mn:0.05〜1.20wt% Mnは最終的に目標とする微細分散組織を通常の焼鈍時の
冷却速度で得るには添加が望ましい元素であるが、本発
明の場合、極薄鋼板であるので、通常のガスジェット冷
却であっても、比較的大きな冷却速度を実現できるの
で、この目的で、Mnを多量に含有させる必要はなく、Mn
含有量が0.05wt% 程度以上であれば、目標とする微細分
散組織を得ることができる。また、Mn含有量が1.20wt%
を超えると、鋼板の耐食性に悪影響を及ぼすとともに、
Mn自体の鋳造偏析に起因する層状組織が最終的に改善さ
れず、さらに冷間圧延による加工性が低下する。従っ
て、Mn含有量を0.05〜1.20wt% の範囲とした。なお、実
操業では、連続焼鈍における操業安定性を考慮して0.30
wt% 以上にすることが望ましい。またMn添加量の上限も
0.80%とすることが加工性の面より望ましい。
【0016】P:0.015 〜0.150wt% Pは強度の増加には有利であり、安価であることもあり
材質的には望ましい元素であるが、0.150wt%を超える
と、偏析に起因した層状組織をより助長することになる
ため好ましくない。また、下限は脱P処理に要するコス
トアップを加味し、材質の改善効果が得られる0.015wt%
以上にする。従って、P含有量を0.015 〜0.150wt%の範
囲とした。また、安定に均一微細組織を得るには、P含
有量を0.080wt%以下にすることがより望ましい。
【0017】S:0.010wt%以下 S含有量は、製缶後の耐食性を悪化させ、また、前記層
状組織の形成を助長するので、少ないほど望ましい。特
に、高強度の鋼板ほど、前記層状組織の形成をより助長
される。従って、S低減におけるコスト性の悪化との兼
ね合いからS含有量は0.010wt%以下とした。なお、フラ
ンジ加工性を考慮する場合は、0.007wt%以下にすること
が好ましい。
【0018】Al:0.020 〜0.150wt% Alは脱酸剤として、また介在物低減のために必要な元素
である。十分な鋼の清浄化を図るには、Al含有量を0.02
0wt%以上にすることが必要である。また、0.150wt%を超
えると、鋼の異常な硬化や表面欠陥が発生しやすくな
り、缶用鋼板の用途としては好ましくない。従って、Al
含有量は0.020 〜0.150wt%とした。なお、介在物を安定
的に低減し、表面性状の安定化を図るには、0.040 〜0.
120wt%の範囲にすることが望ましい。
【0019】N:0.0100wt% 以下 Nは従来から固溶強化元素として用いられているが、従
来のごとく焼鈍が変態点以下の低温域で実施された場合
は時効しやすくなり、特に、2次冷延率が低い場合はそ
の添加が制限されていた。しかし、本発明の製造条件で
あれば、従来鋼に比してN含有量を0.0100wt% 程度まで
は多くしても、時効を抑制できることを見出し、これに
より、素材の高強度化を図ることができるが、0.0100wt
% を超えると、焼付け硬化性は向上するものの、耐時効
性は劣化する傾向にあること、さらに成分の制御が困難
となり材質の変動要因となる。従って、N含有量は0.01
00wt% 以下とした。なお、ブローホールの生成を防止す
るためには、0.0080%以下にすることが望ましい。ま
た、高強度よりも高加工性を重視する場合は、N含有量
を0.0050wt% 以下にすることが好ましく、より好ましく
は0.0030wt% 以下にする。
【0020】また、上述した元素の他に、Cu、Ni、Cr、
及びBのうちの少なくとも一種を含有することがより好
ましい。 Cu:0.050 〜0.500wt% Cuは、鋼の延性を害することなく鋼を強化できる望まし
い元素であると同時に、鋼の変態点を低下させることに
よって、熱間圧延時の仕上げ温度の規制を緩和し、一次
冷間圧延後の熱処理による混合組織の生成を促進する効
果がある。この効果は、0.050wt%のCu含有量から認めら
れ、また、0.500wt%を超えると飽和して効果が小さくな
る。そのため、Cu含有量を無意味に増加させることは、
鋼の溶製コストの上昇につながるので望ましくない。従
って、Cu含有量は0.050 〜0.500wt%の範囲とした。ま
た、Cuは、耐食性の向上効果も有するため、この効果を
発揮させる場合は、0.10%以上含有することが望まし
い。
【0021】Ni:0.050 〜0.500wt% NiもCuと同様に鋼の変態点を低下させる効果があり、組
織の微細化を通じて材質の改善に寄与する。Cuと同様の
理由によりCu含有量の範囲を限定するが、表面の美麗さ
が要求される場合は、Cu×(0.2〜1.0)の範囲のNiを含有
するのが望ましい。なお、このNiの効果は、単独又はCu
との組み合わせのいずれにも関係なく、得られるもので
ある。表面の美麗さをより厳格に要求される場合は、
(%Cu)×(0.5 〜1.0)の範囲がより望ましい。
【0022】Cr:0.050 〜1.000wt% CrもCuと同様の効果ならびに耐食性向上の効果がある。
0.050wt%以上で効果が認められ、1.000wt%を超えると飽
和する。従って、Cr含有量は0.050 〜1.000wt%とした。
【0023】B:0.0005〜0.0030wt% Bは、従来知られているように、熱間圧延後の巻取り温
度を低くしてもNを固定する効果があるが、本発明で
は、この効果の他に、2相域の変態を行った際の組織の
異常な成長を防ぎ、また、熱処理後に急速冷却を行った
場合でもNが固溶状態で残存するのを抑制して時効によ
る材質劣化を防止する効果がある。このような効果を発
揮するためのB含有量は、0.0005wt% 以上である。ま
た、B含有量は、過剰になると素材の面内異方性が大き
くする傾向にあるので、問題が生じない0.0030wt% 以下
にする。Bの添加効果は、単独でも、Ni, Cuと同時に添
加されても発揮される。なお、この鋼板を深絞り加工に
供する場合、特にイヤリングの発生が問題となる用途で
は0.0010wt% 以下とすることが望ましい。
【0024】次に、本発明に従う鋼の組織について説明
する。鋼の組織の最適化は本発明においては重要な案件
の一つである。鋼の組織は、フェライト結晶粒間に存在
する析出相が、最終的に層状になった組織の場合、板厚
方向で機械的特性が不連続に変化しているため、この層
状組織は、加工性を悪化させるため好ましくない。ま
た、フェライト結晶粒の平均粒径が15μm を超える場合
は、2次冷延後のイヤリング特性が顕著に劣化すること
に加え、本発明の重要な特性である、焼付け硬化性と耐
時効性の向上が両立しなくなる。一方、平均粒径が10μ
m 以下となると顕著な強度の増加が得られさらに望まし
い。この原因については不明であるが、粒界に偏析する
C等の侵入型固溶元素の挙動の変化に基づくものと考え
られる。鋼の組織は、フェライト結晶粒間に、析出相
を、最終的に均一微細分散させた組織にすることが、加
工性と耐時効性にとって有利となる。この析出相は、強
度と加工性のバランスの観点からパーライトであること
が望ましいが、強度の向上を狙って、析出相中に5vol%
以下のベイナイトを含有させてもよく、このとき、顕著
な材質劣化は生じない。
【0025】最後に、製造条件について説明する。 (1) 熱間圧延後の仕上げ温度 仕上げ温度が850 ℃未満となると、層状組織の形成を助
長して鋼の組織が不均一になり、加工性が悪化する。ま
た、仕上げ温度が930 ℃を超えると素材の組織が粗大化
し、最終製品の組織もそれに応じて粗大化する傾向があ
り、好ましくない。従って、仕上げ圧延温度は850 〜93
0 ℃の範囲とした。なお、幅方向エッジ部、長手方向先
・後端部の材質を安定させるためには、870 〜920 ℃の
範囲にすることがより好適である。
【0026】(2) 熱間圧延後の冷却 熱間圧延後の冷却は、1秒以内に開始しないと組織が粗
大化する傾向にあり、これは、最終製品の強度を低下さ
せることになり、加工性も悪化する。また、冷却速度
は、50℃/s 未満であると、最終製品の段階で十分な強
度を得ることができないため、50℃/s 以上とした。
【0027】(3) 前記冷却後の巻取り温度 巻取り温度もまた、鋼の組織に影響し、その結果、最終
製品の強度・加工性の良否を左右する因子であるので、
その最適化を図ることが重要である。すなわち、巻取り
温度を540 ℃以下にすると、均一な材質と優れた強度と
加工性の関係をもつ材料が製造できるが、400 ℃未満に
すると、その効果がほぼ飽和してしまい、しかも、良好
なコイル形状が得られないなどの操業阻害要因が発生す
る。従って、熱間圧延後の巻取り温度は540 ℃以下、40
0 ℃以上とした。
【0028】(4) 一次冷間圧延 冷間圧延は、圧下率を70%以上とすることで熱処理後に
均一微細な組織を得ることができる。しかし、冷間圧下
率が90%を超えると、鋼板の機械的特性の異方性が増加
する傾向にある。従って、冷間圧延時の圧下率を70〜90
%とした。なお、組織をより均一にするには、前記圧下
率を82%以上とすることが望ましい。
【0029】(5) 一次冷間圧延後の熱処理 加熱温度及びその均熱保持時間 加熱温度は、本発明の重要な案件の1つである。すなわ
ち、加熱温度は、850℃以下でかつ(Ac1 +10℃)〜(A
c1 +50℃)の温度範囲内に設定して均熱保持し、その
均熱保持時間を20秒以上にして、均熱時のオーステナイ
ト量を10〜50vol%とすることによって、熱処理後に析出
相が均一に微細分散した組織を得ることができる。均熱
時のオーステナイト量を10〜50vol%の範囲に制御するに
は、加熱温度とともに均熱保持時間の制御が重要にな
る。少なくとも20秒以上の均熱保持時間を確保しないと
安定した材質が得られない。
【0030】冷却速度 冷却速度は、強度・時効性の制御の観点から重要であ
る。冷却速度は、強度の増加とともに望ましい焼付け硬
化性を得るため、70℃/s 以上とした。上限については
特に規制はないが、おおむねガス・ジェット冷却で達成
される範囲であれば全く問題はない。また、極めて大き
な強度上昇を得るには、冷却速度を100 ℃/s 以上とす
ることが好ましい。なお、焼付け硬化性を得るため、40
0 ℃以下まで、この冷却速度で急冷する。詳細な理由は
不明であるが、400 ℃以下まで急冷することで冷却途中
での単調なパーライトの成長を抑制できるためと推定さ
れる。なお、より顕著な強度上昇を得るには、この冷却
速度で350 ℃以下まで急冷することがより望ましい。
【0031】恒温保持温度及びその保持時間 前記冷却速度で400 ℃以下まで冷却した後、300 ℃以上
の温度範囲内で、20〜60s の範囲の時間だけ恒温保持す
ることによって、焼付け硬化量を大きく損なうことな
く、室温時効による材質の劣化を抑制することができ
る。
【0032】(6) 2次冷間圧延する場合の圧延条件 2次冷間圧延は、強度の向上をはかる重要な案件である
とともに、加工前の時効による材質劣化を防ぐ点でも重
要である。冷間圧延時の圧下率を10%以上にすること
で、加工時にストレッチャーストレインの発生による不
具合の発生をほぼ完全に抑制できる。10%以上の範囲で
圧下率を調整することによって所望の機械的特性が得ら
れる。しかし、35%を超える圧下率は、冷間圧延による
素材の強度向上効果は十分に得られなくなる一方、イヤ
リング性の悪化が顕著となるので好ましくなく、また、
圧延作業自体の困難さも急増する。従って、2次冷間圧
延時の圧下率は、10〜35%の範囲とした。
【0033】
【実施例】
・実施例1 表1に示す成分の鋼を転炉にて溶製して、表2に示すこ
の発明に従う製造条件、すなわち、熱間圧延、冷間圧
延、熱処理、そして圧下率が15%の2次冷間圧延、錫め
っきを順次行って製造した鋼板A〜Iと、表3に示す成
分の鋼を転炉にて溶製して、表4に示すこの発明に従う
製造条件、すなわち、熱間圧延、冷間圧延、熱処理、そ
して圧下率が0.50%の調質圧延、錫めっきを順次行って
製造した鋼板J〜Rについて、焼付け硬化性及び耐時効
性を評価した。また、併せて、ノンイヤリング性につい
ても評価した。それらの結果を表5及び表6に示す。な
お、鋼板A〜Rは、いずれも高強度及び高加工性を有す
るが、鋼板A〜Iは特に強度を重視して製造したもので
あり、一方、鋼板J〜Rは特に加工性を重視して製造し
たものである。
【0034】また、比較例として、表5には、2回の冷
間圧延による従来法(2次冷間圧延の圧下率:30%)に
よって製造した鋼板aと、製造条件は表2に示す本発明
と同様な製造条件であるが、成分組成が本発明の限定範
囲から外れている鋼板b〜hとを評価した結果を併せて
示してあり、また、表6には、2回の冷間圧延による従
来法(2次冷間圧延の圧下率:30%)によって製造した
鋼板iと、製造条件は本発明と同様であるが成分組成が
本発明の限定範囲から外れている鋼板j〜pとを評価し
た結果を併せて示してある。なお、表5及び表6には、
参考として、引張り特性についても示した。
【0035】焼付け硬化性は、JIS5号試験片を用い
て、2%予歪みを付加後、210 ℃×20分の時効処理を行
い時効処理前後の変形応力の増加量で評価した。耐時効
性は、無歪みで100 ℃で30分の時効処理を行い引張試験
を行った際の降伏点伸びの量(%)を測定し評価した。
この伸び量は小さいほど耐時効性に優れている。ノンイ
ヤリング性は、パンチ径33mmで1.65の絞り比でカップを
成形し、このときのイヤリング率を測定した。なお、イ
ヤリング率は、カップの最高高さHmaxとカップの最低
高さHmin の差Hmax −Hmin を、カップの最低高さH
min で割ったときの百分率で表す。なお、焼き付け硬化
量(BH)は約3kgf/mm2 以上、耐時効性は降伏点伸び
の発生が2%以下である必要がある。引張り特性は、同
様にJIS5号試験片を用いて評価した。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】
【表5】
【0041】
【表6】
【0042】表5及び表6の結果から明らかなように、
この発明に従って製造された鋼板A〜I及び鋼板J〜R
は、それぞれ、比較例に示した鋼板a及び鋼板iに比し
て、焼付け硬化性、耐時効性、及びノンイヤリング性の
いずれの性能とも優れ、また、その他の比較例に示した
鋼板b〜h及び鋼板j〜pに比しても、これらの総合性
能がバランスよく優れ、しかも、強度及び加工性につい
ても、これらの比較例と同等程度の性能を有しているこ
とがわかる。
【0043】また、この発明の鋼板A〜Rは、製缶用鋼
板にとって有害な表面疵の発生もない。さらに、この発
明の鋼板A〜Rの組織観察を行ったところ、これらの鋼
板は、いずれも析出相であるパーライトの析出割合に差
はあるもののフェライト結晶粒間にパーライト相が均一
に微細分散した組織を有することがわかった。
【0044】次に、一般に缶の種類としては、いわゆる
2ピース缶と3ピース缶とが知られているが、前記発明
鋼板A〜Rを、市販の350g缶に相当するこれら2種類の
缶に成形して種々の調査をおこなった。 (i) 2ピース缶(DRD缶、DTR缶、DI缶) (a)本発明鋼板A〜Iを用いた場合 比較的浅い成形のみが可能であり、しごき加工性につい
ては従来の鋼板と同等であった。そして、さらに、以下
のような知見が得られた。 ・比較的良好な延性は製缶の絞り工程をより容易にす
る。(今回の発明鋼板では、成形時の皺発生頻度が全製
缶数の約90%に低減された。) ・本発明鋼板の場合は時効性が小さいため製缶の絞り工
程が安定する( ストレッチャーストレインが発生しな
い。) ・面内異方性が小さいので製缶時に耳の発生が少なく歩
留りが向上する。 ・焼付け硬化性を有しているので最終的な缶自体の強度
が高い。
【0045】(b)本発明鋼板J〜Rを用いた場合(DI
缶のみ評価) ・良好な延性は製缶の絞り工程をより容易にする。(今
回の発明鋼板では、成形時の皺発生頻度が全製缶数の約
70%に低減された。) ・本発明鋼板の場合は時効性が小さいため製缶の絞り工
程が安定する。 ・面内異方性が小さいので製缶時に耳の発生が少なく歩
留りが向上する。 ・低降伏応力であるため歪みの伝播が全体的により均一
となる。 ・焼付け硬化性を有しているので最終的な缶自体の強度
が高い。
【0046】(ii)3ピース缶の場合 (a)発明鋼板A〜Iを用いた場合 ・時効性が小さいため製缶の加工工程が安定する。 ・腰折れなどが発生しない。 ・焼付け硬化性を有しているので最終的な缶自体の強度
が高い。 ・C量を比較的低くできるので溶接性が良好である。
【0047】(b)発明鋼板J〜Rを用いた場合 ・時効性が小さいため製缶の加工工程が安定する。 ・低降伏応力であるため歪みの伝播が全体的により均一
となる。 ・焼付け硬化性を有しているので最終的な缶自体の強度
が高い。
【0048】その他として比較材である従来の製法に従
って2次冷間圧延にてのみ加工硬化させた鋼板の場合、
その硬化自体が熱的に不安定であるので、高温で比較的
長時間の熱処理などが施される場合は急激な強度の低下
を伴う場合があった。また従来の2回冷間圧延した鋼板
の場合は、その製造工程において圧下率を厳密に制御す
ることは容易でなく、従って、材質のばらつきが大き
く、最終的な缶の強度に対しても、ばらつきの大きな要
因となっていた。
【0049】これに対して、発明鋼板A〜Iは、熱処理
によってある程度の強度をもたせることができるので、
2次冷間圧延における圧下率を低めに抑えても、十分な
強度を得ることができて、より材質制御が容易になっ
た。また、発明鋼板J〜Rは、熱処理後の冷間圧延は基
本的には不要であり、鋼組成や熱処理条件を制御すれば
極めて高い精度で材質を制御できる。
【0050】・実施例2 二種類の発明鋼板A及びJを、それぞれ表7(2次冷間
圧延における圧下率:15%)及び表8に示す発明に従う
製造条件(条件1)及び発明に従わない製造条件(条件
2〜9)で、それぞれ製造し、それぞれ15#ぶりき及び
25#ぶりきにし、実施例1と同様な性能について評価し
た。これらの評価結果をそれぞれ表9及び表10に示
す。
【0051】
【表7】
【0052】
【表8】
【0053】
【表9】
【0054】
【表10】
【0055】表9及び表10の結果から明かなように、
この発明に従う製造条件1で製造した鋼板A及びJは、
それぞれ比較例に示した発明に従わない製造条件2〜9
で製造した場合に比し、焼付け硬化性、耐時効性、及び
ノンイヤリング性のいずれの性能とも同等以上に優れて
いて、しかも、強度及び加工性についても、比較例と同
等以上の性能を有していることがわかる。
【0056】・実施例3 発明鋼板B及び比較鋼板aと、発明鋼板M及び比較鋼板
bとを、それぞれ、本発明に従う製造条件の範囲内で製
造し、これらの製造した鋼板を、飲料缶に成形したとき
の缶強度を評価した。
【0057】(a)発明鋼板B及び比較鋼板aは、原板厚
み0.210mm として250ml の3ピースの飲料缶に成形し、
この缶の、耐軸荷重強度及び缶体圧縮強度の評価を行っ
た。なお、成形後には、205 ℃×20min.の焼付け塗装処
理を行った。耐軸荷重強度は、缶を軸方向に圧縮する際
の座屈強度である。缶体圧縮強度は、12.5mmφで長さが
40mmの円柱体を缶胴部に押し当てて局部的圧力を負荷
し、凹みを生ずるときの臨界荷重で評価した。評価結果
を表11に示す。
【0058】
【表11】
【0059】評価結果から、発明鋼板Bは、原板の強度
が比較鋼板aに比し低いにもかかわらず、最終的な耐圧
力強度が比較鋼板aよりも大きいことがわかる。なお、
この発明鋼板は、表面に有機樹脂皮膜を付加して用いる
用途に対しても十分に適応するものであり、(ただしそ
の場合は表面処理はスズではなくクロムめっきとすべき
である。)、特に発明鋼板は、熱的に安定であることが
フィルム付着加工時の熱処理に対して材質の劣化・変動
がないという点で優れている。
【0060】(b)発明鋼板M及び比較鋼板bは、原板厚
み0.24 mm として350ml の飲料缶に成形し、この缶の、
耐軸荷重強度、ボトム耐圧強度の評価を行った。なお、
成形後には、200 ℃×20min.の焼付け塗装処理を行っ
た。ボトム耐圧強度は、缶に静水圧をかけ底の部分がバ
ックリングを起こす臨界の応力を求めて測定する。これ
らの評価結果を表12に示す。
【0061】
【表12】
【0062】評価結果から、発明鋼板Mは、原板の強度
が比較鋼板bに比し低いにもかかわらず、最終的な耐圧
力強度が比較鋼板bよりも大きいことがわかる。
【0063】
【発明の効果】この発明によれば、焼付け硬化性及び耐
時効性に優れる高強度高加工性製缶用鋼板を提供でき、
従って、製缶後の使用時において十分な缶強度を有する
製品の製造が可能になる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C22C 38/54 C22C 38/54 (72)発明者 久々湊 英雄 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社 千葉製鉄所内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60 C21D 9/46 - 9/48

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C:0.05〜0.15wt% 、Si:0.10wt% 超え0.
    30wt% 以下、 Mn:0.05〜1.20wt% 、P:0.015 〜 0.150wt% 、 S:0.010wt%以下 、Al:0.020 〜 0.150wt% 、 N:0.0100wt% 以下、及び、残部不可避的不純物と鉄か
    らなり、結晶粒径が平均15μm 以下のフェライト相と、
    フェライト結晶粒間に均一微細分散したパーライト相、
    又は5vol%以下のベイナイト相を含んでフェライト結晶
    粒間に均一微細分散したパーライト相との混合組織より
    なり、板厚が0.30mm以下である、焼付け硬化性及び耐
    時効性に優れた高強度高加工性製缶用鋼板。
  2. 【請求項2】C:0.05〜0.15wt% 、Si:0.10wt% 超え0.
    30wt% 以下、 Mn:0.05〜1.20wt% 、P:0.015 〜 0.150wt% 、 S:0.010wt%以下 、Al:0.020 〜 0.150wt% 、 N:0.0100wt% 以下を含有し、さらに、 Cu:0.050 〜0.500wt%、Ni:0.050 〜0.500wt%、 Cr:0.050 〜1.000wt%、B:0.0005〜0.0030wt% のうち
    の少なくとも一種を含有し、残部は不可避的不純物と鉄
    からなり、結晶粒径が平均15μm 以下のフェライト相
    と、フェライト結晶粒間に均一微細分散したパーライト
    相、又は5vol%以下のベイナイト相を含んでフェライト
    結晶粒間に均一微細分散したパーライト相との混合組織
    よりなり、板厚が0.30mm以下である、焼付け硬化性及
    び耐時効性に優れた高強度高加工性製缶用鋼板。
  3. 【請求項3】C:0.05〜0.15wt% 、Si:0.10wt% 超え0.
    30wt% 以下、 Mn:0.05〜1.20wt% 、P:0.015 〜 0.150wt% 、 S:0.010wt%以下 、Al:0.020 〜 0.150wt% 、 N:0.0100wt% 以下、及び、残部不可避的不純物と鉄か
    らなる鋼素材に、仕上げ温度が850 〜930 ℃となる熱間
    圧延を施した後、その1秒以内に50℃/s以上の冷却速
    度で冷却して540 ℃以下400 ℃以上の温度域で巻取り、
    酸洗後に70〜90%の圧下率で1次冷間圧延を施した後、
    850 ℃以下でかつ(Ac1 +10℃)〜(Ac 1 +50℃)の温
    度域で20秒以上の間、均熱保持して、オーステナイト量
    の、フェライト量とオーステナイト量との和の全量に対
    する割合を10〜50vol%の範囲に制御し、しかる後、70℃
    /s 以上の冷却速度で400 ℃以下の温度まで急冷して30
    0℃以上の温度域に20〜60秒の間、恒温保持し、さらに
    通常の焼鈍を行った後に10〜35%の圧下率で2次冷間圧
    延を施すことを特徴とする、焼付け硬化性及び耐時効性
    に優れた高強度高加工性製缶用鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】C:0.05〜0.15wt% 、Si:0.10wt% 超え0.
    30wt% 以下、 Mn:0.05〜1.20wt% 、P:0.015 〜 0.150wt% 、 S:0.010wt%以下 、Al:0.020 〜 0.150wt% 、 N:0.0100wt% 以下を含有し、さらに、 Cu:0.050 〜0.500wt%、Ni:0.050 〜0.500wt%、 Cr:0.050 〜1.000wt%、B:0.0005〜0.0030wt% のうち
    の少なくとも一種を含有し、残部不可避的不純物と鉄か
    らなる鋼素材に、仕上げ温度が850 〜930 ℃となる熱間
    圧延を施した後、その1秒以内に50℃/s以上の冷却速
    度で冷却して540 ℃以下400 ℃以上の温度域で巻取り、
    酸洗後に70〜90%の圧下率で1次冷間圧延を施した後、
    850 ℃以下でかつ(Ac1 +10℃)〜(Ac1 +50℃)の温
    度域で20秒以上の間均熱保持して、オーステナイト量
    の、フェライト量とオーステナイト量との和の全量に対
    する割合を10〜50vol%の範囲に制御し、しかる後、70℃
    /s以上の冷却速度で400 ℃以下の温度まで急冷して300
    ℃以上の温度域に20〜60秒の間、恒温保持し、さらに
    通常の焼鈍を行った後に10〜35%の圧下率で2次冷間圧
    延を施すことを特徴とする、焼付け硬化性及び耐時効性
    に優れた高強度高加工性製缶用鋼板の製造方法。
  5. 【請求項5】C:0.05〜0.15wt% 、Si:0.10wt% 超え0.
    30wt% 以下、 Mn:0.05〜1.20wt% 、P:0.015 〜 0.150wt% 、 S:0.010wt%以下 、Al:0.020 〜 0.150wt% 、 N:0.0050wt% 以下、及び、残部不可避的不純物と鉄か
    らなる鋼素材に、仕上げ温度が850 〜930 ℃となる熱間
    圧延を施した後、その1秒以内に50℃/s以上の冷却速
    度で冷却して540 ℃以下400 ℃以上の温度域で巻取り、
    酸洗後に70〜90%の圧下率で1次冷間圧延を施した後、
    850 ℃以下でかつ(Ac1 +10℃)〜(Ac 1 +50℃)の温
    度域で20秒以上の間、均熱保持して、オーステナイト量
    の、フェライト量とオーステナイト量との和の全量に対
    する割合を10〜50vol%の範囲に制御し、しかる後、70℃
    /s 以上の冷却速度で400 ℃以下の温度まで急冷して30
    0℃以上の温度域に20〜60秒の間、恒温保持することを
    特徴とする、焼付け硬化性及び耐時効性に優れた高強度
    高加工性製缶用鋼板の製造方法。
  6. 【請求項6】C:0.05〜0.15wt% 、Si:0.10wt% 超え0.
    30wt% 以下、 Mn:0.05〜1.20wt% 、P:0.015 〜 0.150wt% 、 S:0.010wt%以下 、Al:0.020 〜 0.150wt% 、 N:0.0050wt% 以下を含有し、さらに、 Cu:0.050 〜0.500wt%、Ni:0.050 〜0.500wt%、 Cr:0.050 〜1.000wt%、B:0.0005〜0.0030wt% のうち
    の少なくとも一種を含有し、残部は不可避的不純物と鉄
    からなる鋼素材に、仕上げ温度が850 〜930 ℃となる熱
    間圧延を施した後、その1秒以内に50℃/s以上の冷却
    速度で冷却して540 ℃以下400 ℃以上の温度域で巻取
    り、酸洗後に70〜90%の圧下率で1次冷間圧延を施した
    後、850 ℃以下でかつ(Ac1 +10℃)〜(Ac1 +50℃)
    の温度域で20秒以上の間均熱保持して、オーステナイト
    量の、フェライト量とオーステナイト量との和の全量に
    対する割合を10〜50vol%の範囲に制御し、しかる後、70
    ℃/s 以上の冷却速度で400 ℃以下の温度まで急冷して
    300 ℃以上の温度域に20〜60秒の間、恒温保持すること
    を特徴とする、焼付け硬化性及び耐時効性に優れた高強
    度高加工性製缶用鋼板の製造方法。
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