JP3389952B2 - 車両用排障器 - Google Patents

車両用排障器

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は鉄道軌道上にある障害物
あるいは外部からの飛来物をから車両本体を防護し、運
行に支障を与えないようにする車両用排障器の排障板に
関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来から鉄道車両用排障器の排障板とし
ては鉄を代表する金属性材料が用いられているが、最近
鉄道の走行速度の高速化により車両の軽量化が必須にな
っている。 【0003】また、高速走行では排障板に衝突する物体
のエネルギーは速度増加率の自乗で大きくなり、従来か
らある金属材料で十分な耐衝撃性を得るためには厚みは
厚くしなければならず、車両の要求とは逆に重量の増加
を引き起こし、車両の重量バランスを著しく損なってし
まう。 【0004】さらに、高速化にともない空力的な検討も
必要となって来るが、金属材料では任意の形状に仕上げ
るためにはプレス、板金に大がかりな装置が必要とな
り、また、厚みの増加によってその加工もさらに困難な
ものになってしまう。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】高速車両に用いられる
排障器の排障板には軽量化と高耐衝撃吸収性、耐貫通
性、さらに空力性を上げるため、任意形状に成形加工出
来る性能が要求される。 【0006】本発明はこれらの要求性能を鑑み提案する
ものであり、その目的とする処は軽量で耐衝撃性、耐貫
通性が高く、さらに任意の形状に成形できる鉄道車両用
排障器の排障板を提供しようとする点にある。 【0007】 【課題が解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに本発明の鉄道車両用排障器は排障板が強化繊維とし
て強度が1GPa以上、弾性率が25GPa以上の高強
度弾性率繊維を用いてなる維強化複合材料で構成され
る。 【0008】この繊維強化複合材料の排障板に使用され
る強化繊維は無機系繊維、有機系繊維、金属系繊維など
一般に知られている複合材料用強化繊維から任意に選択
することが可能であるが、好ましくはガラス繊維、炭素
繊維、アラミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、高強
度ポリエチレン繊維などの強度が1GPa以上、弾性率
が25GPa以上の高強度弾性率繊維を用いると良い。
また、マトリックス樹脂との界面接着性を向上させるた
めに、必要に応じて繊維表面をプラズマ処理もしくはコ
ロナ放電処理をして用いることもできる。 【0009】これらの繊維を強化材として使用する際に
は一方向に引き揃えたもの、織物、不織布、マットなど
任意の形態が適用できるが、好ましくは二次元あるいは
三次元に形成されたものを単独または組み合わせて用い
ると良い。 【0010】また、マトリックス樹脂としてはエポキシ
樹脂、フェノール樹脂、ビニルエステル樹脂等の熱硬化
性樹脂、PEEK、PES、POM等の熱可塑性樹脂、
あるいはこれらを組み合わせたものなど一般的に繊維強
化複合材料に使用される樹脂からどの組み合わせを選ん
でも良いが、成形に要する時間、工程の観点から熱硬化
性樹脂を用いたほうが好ましく、より高い性能を発現さ
せるためにはエポキシ樹脂またはフェノール樹脂を使用
することが特に好ましい。 【0011】繊維強化複合材料の形態は全体を強化繊維
で一体に積層成形したもの、ハニカム等のコア材の表層
に積層したもの等、特に限定されるものではない。 【0012】これらの成形する方法についても特に限定
されず、プレス成形、RIM、オートレーブ等、一般に
知られている繊維強化複合材料の成形法を使用するでき
る。 【0013】この繊維強化複合材料板の繊維含有率は4
0%〜85%の範囲が選択されるが、剛性、耐衝撃性等
の面から50%〜80%とすることが好ましい。 【0014】この繊維複合材料を排障器の排障板として
組立る方法としては一枚を単体で使用してもよいが、必
要に応じ複数枚重ね合わせて使用しても良い。 【0015】また、排障板の排障器への組み立ては、直
接ボルトで締める、枠にはめ込む、接着する等の任意の
取付方法で行われる。 【0016】 【実施例】以下に実施例をあげて、本発明を具体的に説
明する。 【0017】強化繊維としてガラス繊維織物、高強度ポ
リエチレン繊維織物をエポキシ樹脂を用いプリプレグを
作成し、以下のように積層しオートクレーブ成形を行っ
た。 ガラス繊維織物 目付け500g/m2 5層 高強力ポリエチレン繊維織物 目付け180g/m2 50層 ガラス繊維織物 目付け500g/m2 5層 こうして得られた繊維強化複合材料は厚さ20mm、積
層板目付け24.6kg/m2であった。この成形板を
7枚組み合わせて枠にはめ込み排障器を取り立てたとこ
ろ全体の重量は440kgであった。 【0018】 【実施例】強化繊維としてガラス繊維マット、高強度ポ
リエチレン繊維織物をエポキシ樹脂を用いプリプレグを
作成し、以下のように積層しオートクレーブ成形を行っ
た。 ガラス繊維マット 目付け450g/m2 5層 高強力ポリエチレン繊維織物 目付け180g/m2 50層 ガラス繊維マット 目付け450g/m2 5層 こうして得られた繊維強化複合材料は厚さ18mm、積
層板目付け23.2kg/m2であった。この成形板を
7枚組み合わせて張り合わせ排障器を組み立てたところ
全体の重量は380kgであった。 【0019】 【実施例】強化繊維としてガラス繊維織物、アラミド繊
維織物をエポキシ樹脂を用いプリプレグを作成し、以下
のように積層しオートクレーブ成形を行った。 ガラス繊維織物 目付け500g/m2 5層 アラミド繊維織物 目付け170g/m2 70層 ガラス繊維織物 目付け500g/m2 5層 こうして得られた繊維強化複合材料は厚さ20mm、積
層板目付け27.6kg/m2であった。この成形板を
10枚組み合わせて枠にはめ込み排障器を組み立てたと
ころ全体の重量は540kgであった。 【0020】実施例1から3までの排障板に50kgの
鉄球を200km/時の速度で衝突させたところ、いず
れの排障板についても貫通することなく停止することが
できた。 【0021】 【比較例】100系新幹線排障器(鉄製)の重量は約1
500kgであった。 【0022】 【発明の効果】本発明の繊維強化複合材料からなる鉄道
車両用排障器の排障板は軽量で耐衝撃性、耐貫通性に優
れ、かつ容易に任意の形状に加工する事ができ、今後の
鉄道車両の高速化を促進する事ができる。

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】排障板が、強化繊維として強度が1GPa
    以上、弾性率が25GPa以上の高強度弾性率繊維を用
    いてなる維強化複合材料からなる鉄道車両用排障器。
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