JP3388883B2 - 粉末写真処理剤用容器 - Google Patents

粉末写真処理剤用容器

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JP3388883B2 JP13968494A JP13968494A JP3388883B2 JP 3388883 B2 JP3388883 B2 JP 3388883B2 JP 13968494 A JP13968494 A JP 13968494A JP 13968494 A JP13968494 A JP 13968494A JP 3388883 B2 JP3388883 B2 JP 3388883B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、粉末写真処理剤用容器
に関し、詳しくは経時保存中に容器の膨らみ又は破裂が
発生せず、写真処理剤の長期保管が可能で、且つ廃棄処
理が容易な粉末写真処理剤用容器に関する。本発明は、
更に経時保存中に写真処理剤中の酸化性成分の劣化を防
止できる粉末写真処理剤用容器に関する。
【0002】
【従来の技術】撮影用カラー感光材料は、通常露光後、
発色現像、漂白、定着、水洗及び/又は安定化の各工程
により、またカラーペーパー感光材料は露光後、発色現
像、漂白定着(漂白、定着)、水洗及び/又は安定化の
各工程により処理される。また、黒白感光材料は、通常
露光後、現像、定着、水洗の各工程により処理されてい
る。更に、リバーサルタイプの感光材料の場合には、こ
れらの処理に反転処理が付加される。これらの処理に用
いられる処理液は、濃厚キット溶液または粉体として包
装されたキット粉体として販売されている。このうち、
粉末写真処理剤として容器に包装されたキットは、処理
剤成分の保存性が比較的良好な点で用いられていた。し
かしながら、このような粉末写真処理剤中においても、
炭酸塩、亜硫酸塩等の自己分解及び他の成分との反応に
よりガスを発生する成分が含まれている。特に、これら
の成分は、外部から包装材料を透過して内部に入ってき
た水分を媒体とし、より酸性な(pHが低い)他の酸性
成分(例えば、キレート剤、主薬、pH調整剤、写真性
調整剤等)と反応する事によりガスが発生しやすく、こ
の発生したガスにより容器の膨らみ又は破裂が起こり重
大な問題となる。更に、粉末写真処理剤に含まれている
主薬、亜硫酸塩、写真性調整剤等は、外部から透過した
酸素により容易に酸化されてしまうという問題も抱えて
いる
【0003】そこで、上記問題を解決するために、これ
らガス発生及び処理剤の酸化の可能性がある粉末写真処
理剤には、外部から透過する水分・酸素を抑えてガス発
生、主薬等の酸化を防ぐために、ハイバリア性(水分透
過度及び酸素透過度が低い)包装材料が用いられてい
た。このような包装材料として、アルミニウム箔含有包
装材料が一般的に使用されている。しかしながら、アル
ミニウム箔含有包装材料中のアルミニウムは現在産業廃
棄物としてその処理方法が難しく、その削減が望まれて
おり、高分子化合物のみで構成されたハイバリア性包装
材料の開発が特に最近望まれている。公知の高分子化合
物のみで構成された包装材料の中に、ハイバリア性の包
装材料があり、産業廃棄物量としてもアルミニウム箔含
有包装材料より少ないものもあるが、水分透過性が未だ
不充分であるため、保管期間中に少しずつ水分を透過
し、長期間放置すると上記のようなガスの発生による容
器の膨らみ、破裂等の問題が生じてしまう。
【0004】更に、特開平5−346642号公報に
は、特定の多層の樹脂層からなる、ハイバリア性の写真
感光材料用処理剤容器が報告されている。しかし、この
容器は、実質上濃厚キット溶液を対象にした容器であ
り、且つ水分透過性が未だ不充分である。従って、該容
器は上記のようなガス発生を引き起こすという特有の問
題を有する粉末写真処理剤の容器としては適用できうる
ものではなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来の問題を解決することにあり、炭酸塩、亜硫酸塩等
を含む粉末写真処理剤を包装する容器として、経時保存
中にガスの発生による容器の膨らみ・破裂が発生せず長
期間保管でき、経時保存中に品質劣化が認められず、更
に廃棄処理が容易な粉末写真処理剤用容器を提供するこ
とにある。更に、本発明の目的は、経時保存中の処理剤
の酸化性成分の劣化を防止することができる粉末写真処
理剤用容器を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、下
記構成により達成される。 (1)少なくとも0.5〜10重量%の炭酸塩及び/又
は10〜50重量%の亜硫酸塩、並びに炭酸塩あるいは
亜硫酸塩よりpHが低い酸性成分を含む粉末写真処理剤
が充填され、必要により無機化合物が蒸着されてもよい
高分子材料からなる包装材料から構成され、且つ下記の
式(I)及び式(II)の条件を満たすことを特徴とする
粉末写真処理剤用容器。 式(I) 0≦Tw/X≦3式(II) T 0 /X≦70 式中、Twは該包装材料の水分透過度(g/m2 ・24 hr
s)を表す。 0 は該包装材料の酸素透過度(ml/m
2 ・24 hrs)を表す。また、Xは粉末写真処理剤用容器
の有効表面積1cm2 当たりの前記処理剤の充填量
(g)を表す。 (2) 粉末写真処理剤用容器の有効表面積1cm2
たりの前記処理剤の充填量が、0.1〜2.0gである
ことを特徴とする上記(1)記載の粉末写真処理剤用容
器。
【0007】0.5〜10重量%の炭酸塩及び/又は1
0〜50重量%の亜硫酸塩、並びに炭酸塩あるいは亜硫
酸塩よりpHが低い酸性成分を含む粉末写真用処理剤
(以下、処理剤ともいう)を包装する容器として、必要
により無機化合物が蒸着されてもよい高分子材料からな
る包装材料から構成され、且つ上記の式(I)及び式
(II)の条件を満たす粉末写真処理剤用容器を用いるこ
とにより、雰囲気中からの水分透過量を所定量に抑制し
て、該水分を媒体として起こる、処理剤中の炭酸塩又は
亜硫酸塩と該炭酸塩又は亜硫酸塩よりpHの低い(酸性
度の高い)酸性成分との反応による炭酸ガス及び/また
は亜硫酸ガスの発生を抑制できる。これにより、経時保
存中のガスの発生による容器の膨らみ又は破裂を防止で
きる。更に、本発明の粉末写真処理剤用容器が、必要に
より無機化合物が蒸着されてもよい高分子材料からなる
包装材料で構成され、廃棄が困難なアルミニウムを主成
分としていないため、該容器の廃棄処理が容易にでき
る。
【0008】ここで、本発明において重要なことは、本
発明の粉末写真処理剤用容器の有効表面積1cm2 あた
りの粉末写真処理剤の充填量の(g)値(以下、充填量
ともいう)に対して、該容器を構成する包装材料の水分
透過度の(g/m2 ・24 hrs)値を0〜3に設定したこ
とであり、これにより、経時保存中に容器の膨らみ、破
裂等を起こさない範囲に炭酸ガス及び/または亜硫酸ガ
スの発生を見事に抑制できるようになった。即ち、詳細
は不明であるが、容器中の前記充填量と包装材料の水分
透過度とに特定の関係が存在し、該粉末写真処理剤の充
填量が種々変動しても、上記包装材料の水分透過度の値
を上記式(I)に適合するように調整することにより、
経時保存中にガス発生量を抑制し、容器の膨らみ、破裂
を起こさないようになったと考えられる。
【0009】粉末写真処理剤用容器の有効表面積1cm
2 あたりの粉末写真処理剤の充填量(g)の値に対し
て、該容器を構成する包装材料の水分透過度(g/m2
・24 hrs)の値は、好ましくは0.1〜2.5、更に好
ましくは0.4〜2.0である。これにより、ガスの発
生の抑制効果がより良好になり、容器の膨らみ、破裂が
より起こりにくく、経時保存期間がより長く設定でき
る。この数値が3を超える場合、粉末写真処理剤用容器
の有効表面積1cm2 あたりの粉末写真処理剤の充填量
に対しての水分透過度が多すぎるので、ガスの発生によ
る容器の膨らみ又は破裂がおこり、且つ処理剤の品質劣
化が著しくなってしまう。ここで、本発明の上記包装材
料の水分透過度は、JIS K7129−1992の測
定法による水蒸気透過度である。測定条件としては、試
験温度40℃、相対湿度90%RHである。また、本発
明の容器の有効表面積とは、処理剤が充填されている容
器の内部表面積のことをいう。粉末写真処理剤用容器の
有効表面積1cm2 当たりの処理剤の充填量は、0.1
〜2.0gが好ましい。該充填量は、更に好ましくは
0.5〜1.2gである。これにより、容器の有効表面
積1cm2 当たりの処理剤の充填量が適度になり、充填
する際の作業性及びコスト効率がより良好になる。
【0010】一方、本発明の粉末写真処理剤用容器は、
該容器の有効表面積1cm2 あたりの粉末写真処理剤の
充填量の(g)値に対して、該容器を構成する包装材料
の酸素透過度の(ml/m2 ・24 hrs)値を70以下に
設定することが好ましい。即ち、上記水分透過度と同様
に詳細は不明であるが、容器中の前記充填量と包装材料
の酸素透過度とに特定の関係が存在し、該粉末写真処理
剤の充填量が種々変動しても、上記包装材料の酸素透過
度の値を上記式(II)に適合するように調整することに
より、経時保存中、該容器中の処理剤の酸化性成分の酸
素による劣化を防止できる。粉末写真処理剤用容器の有
効表面積1cm2 あたりの粉末写真処理剤の充填量の
(g)値に対して、該容器を構成する包装材料の酸素透
過度の(g/m2 ・24hrs)値は、更に好ましくは2〜
30、特に好ましくは5〜20である。ここで、本発明
の上記包装材料の酸素透過度は、JIS K7126−
1992の測定法による気体透過度である。測定条件と
しては、試験温度23℃、相対湿度50%RHである。
本発明の粉末写真処理剤用容器の保存期間としては、処
理剤の充填量、包装材料の水分透過度、処理剤中の炭酸
塩及び/又は亜硫酸塩、酸性成分の量等を考慮して適宜
設定することができる。
【0011】以下、本発明の構成を詳細に説明する。本
発明の粉末写真処理剤用容器に充填される粉末写真処理
剤としては、0.5〜10重量%の炭酸塩及び/又は1
0〜50重量%の亜硫酸塩と、炭酸塩あるいは亜硫酸塩
よりpHが低い酸性成分を含むものであれば、いずれの
ものでも用いることができる。上記本発明に用いられる
処理剤中に0.5〜10重量%含む炭酸塩としては、例
えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウ
ム、炭酸水素カリウム等の炭酸塩が挙げられる。上記炭
酸塩含有量は、好ましくは2〜9重量%である。
【0012】上記本発明に用いられる処理剤中に10〜
50重量%含む亜硫酸塩としては、例えば亜硫酸ナトリ
ウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸
ナトリウム、重亜硫酸カリウム等が挙げられる。上記亜
硫酸塩含有量は、好ましくは20〜45重量%である。
上記本発明に用いられる処理剤中に含有する炭酸塩ある
いは亜硫酸塩よりpHが低い酸性成分としては、上記各
種炭酸塩あるいは亜硫酸塩と比較して、水に同濃度溶解
させた時のpHの値が小さい化合物をいう。具体的に
は、ハイドロキノン系、モノール系、ピラゾン系等の現
像主薬、メタホウ酸、ホウ酸等のホウ酸化合物、EDT
A・4H、コハク酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、
クエン酸等の有機酸類、アンモニウムミョウバン、硫酸
ヒドロキシルアミン等の無機酸等の成分が挙げられる。
上記処理剤中に炭酸塩のみ存在する場合には、炭酸塩よ
りpHが低い酸性成分を含むものが本発明の処理剤であ
り、上記処理剤中に亜硫酸塩のみ存在する場合には、亜
硫酸塩よりpHが低い酸性成分を含むものが本発明の処
理剤である。一方、上記処理剤中に炭酸塩と亜硫酸塩が
両方存在する場合には、炭酸塩が最初に酸性成分と反応
し炭酸ガス発生を起こすため、炭酸塩よりpHが低い酸
性成分を考えればよい。炭酸塩と亜硫酸塩が両方存在す
る場合には、好ましくは亜硫酸塩よりpHが低い酸性成
分を含むものが本発明の処理剤である。
【0013】本発明の容器に包装することができる粉末
写真用処理剤としては、具体的には黒白現像剤、カラー
現像剤、漂白剤、定着剤、漂白定着剤、安定剤等が挙げ
られる。ここで粉末剤とは、粉末状、錠剤状及び顆粒状
のものをいう。
【0014】本発明において、適用できる発色現像組成
物、漂白定着組成物等の処理組成物の他の代表的な例と
しては、「写真工業別冊、最新写真処方便覧」笹井 明
著(写真工業出版社、昭和58年7月20日発行)に記
載されている各種処理成分を挙げることができる。本発
明が適用される他の代表的な具体的処理剤としては、次
のものを挙げることができる。カラーネガフィルム用発
色現像組成物、漂白組成物、定着組成物、安定組成物と
しては、特開平4−359249号公報に記載されたも
の、特に実施例1に記載された発色現像補充液、漂白補
充液、定着補充液、安定液No.18の水を除いた処理
成分を各々用いることができる。カラーペーパー用発色
現像組成物、漂白定着組成物としては、特開平4−19
5037号公報に記載されたもの、特に実施例、中でも
実施例2に記載されたカラー現像補充液、漂白定着補充
液の水を除いた処理成分を各々用いることができる。直
接ポジカラー感光材料用発色現像組成物、漂白定着組成
物としては、特開平1−93739号公報に記載された
発色現像補充液(実施例のもの、特に実施例2に記載の
発色現像補充液)の水を除いた処理成分、特開平2−5
0157号公報に記載された発色現像補充液(実施例の
もの、特に実施例4の発色現像補充液、中でもCD−2
0)の水を除いた処理成分、特開平2−91642号公
報に記載された発色現像補充液(実施例のもの、特に実
施例1の発色現像補充液、中でもNo.6)の水を除い
た処理成分、特開平3−13941号公報に記載された
漂白定着液(実施例のもの、特に実施例1の漂白定着
液)の水を除いた処理成分を各々用いることができる。
【0015】本発明に用いることができる包装材料を構
成する高分子材料としては、上記のような式(I)の条
件を満たすものであれば公知のものを挙げることができ
る。本発明の包装材料を構成する高分子材料としては、
1層から成るものでも、2層以上から成るものでもよ
い。
【0016】この高分子材料に用いることのできる材料
としては、ポリエチレン系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリ
プロピレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹
脂、ポリアミド系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共
重合体系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂、
アクリロニトリル−ブタジエン共重合体系樹脂、セロハ
ン系樹脂、ビニロン系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂等が
挙げられる。ポリプロピレン系樹脂、ナイロン系樹脂等
の樹脂は、延伸されていてもよく、更に塩化ビニリデン
系樹脂をコートされていてもよい。また、ポリエチレン
系樹脂は、低密度あるいは高密度のものも用いることが
できる。
【0017】上記の材料の中で、ポリエチレン(P
E)、ナイロン(Ny)、塩化ビニリデン樹脂(PVD
C)をコートしたナイロン(KNy)、無延伸ポリプロ
ピレン(CPP)、延伸ポリプロピレン(OPP)、P
VDCをコートしたポリプロピレン(KOP)、ポリエ
チレンテレフタレート(PET)、PVDCをコートし
たセロハン(KPT)、ポリエチレン−ビニルアルコー
ル共重合体(エバール)を用いることが好ましい。これ
らの樹脂を用いることにより、本発明においての適性な
機械的強度、水分透過度を有する包装材料を容易に得る
ことができる。本発明においては、無機化合物が蒸着さ
れた高分子材料も用いることができ、そのような高分子
材料としては、従来公知の材料を用いることができる。
ここでの無機化合物が蒸着される高分子材料としては、
上記のものを用いることができる。蒸着する無機化合物
としては、アルミニウム、酸化アルミニウム(Al2
3 )、酸化ケイ素(SiOX )等が挙げられる。蒸着膜
の膜厚としては、50〜1000Åの範囲が挙げられ
る。蒸着する方法としては、化学気相成長法、物理気相
成長法、蒸着法、スパッタ法等の公知の方法を用いるこ
とができる。本発明の包装材料が多層構成の場合、それ
ぞれの層の膜厚は所望の水分透過度、機械的強度等によ
り適宜設定されるが、包装材料全体としての厚みを50
0μm以下にする。多層包装材料の製法は、特に限定は
ないが、例えば樹脂層と樹脂層を接着剤等で貼り合わせ
る方法や、樹脂層と樹脂層を溶融樹脂で貼り合わせる方
法、押出法、あるいは積層法等が挙げられる。
【0018】本発明における高分子材料としては、具体
的には下記のものが挙げられる。しかし、本発明がこれ
らに限定されるものではない。 (1)OPP/SiOX PET/CPP (2)OPP/SiOX PET/PE (3)OPP/Al2 3 PET/CPP (4)Al2 3 PET/Ny/CPP (5)PET/Al2 3 PET/PE (6)KOP/Ny/PE (7)PE/KNy/PE (8)KPT/PE/Ny/PE (9)OPP/CPP (10)PET/エバール/PE (11)OPP/エバール/PE 上記具体例において、層構成は、最外部/中間部/処理
剤との接触部を各々表す。SiOX PET、Al2 3
PETは、PET上にそれぞれSiOX あるいはAl2
3 を蒸着したものを表す。上記各具体例において、各
層の膜厚は、上記式(I)の条件に適合するような水分
透過度が得られるように設定すればよい。該容器の包装
材料の厚みは、500μm以下が好ましく、更に好まし
くは30〜200μmである。該容器の厚みが500μ
mを越えると、特に、フレキシブル容器の場合、容器表
面上に小さい穴であるピンホールが開きやすくなり、問
題が生じる傾向になる。一方、該容器の厚みが小さすぎ
ると、機械的強度が低下し、使いがっても悪くなる傾向
にある。
【0019】上記高分子材料としては、前記式(I)の
条件を満たし、且つ前記式(II)の条件を満たす包装材
料を構成するものが好ましい。前述の如く、処理剤の充
填量に対しての包装材料の酸素透過度を所定量に設定す
ることにより、処理剤中の酸化性成分の酸素による劣化
を抑制することができ、処理剤の劣化を防止することが
できる。ここで、処理剤中の酸化性成分としては、現像
主薬、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、写真性調整剤等があげら
れる。このような式(I)の条件と式(II)の条件を両
方満たす高分子材料としては、上述した高分子材料が挙
げられ、具体例としても上記(1)〜(11)の具体例が
挙げられ、これらの材料が、式(I)の条件と式(II)
の条件を両方満たすように各層の膜厚を適宜設定すれば
よい。
【0020】本発明で用いられる粉末写真処理剤用容器
の形状としては、ボトルタイプ、フレキシブルタイプ等
が挙げられる。この中で、フレキシブルタイプの容器
が、取扱性が良好な点で好ましい。フレキシブルタイプ
の容器として具体的には、封筒貼り袋、合掌貼り袋、ガ
ゼット貼り袋、二重袋貼り袋、ひだ付き袋、平底形の
袋、フォームドパウチ状の袋、二方シール袋、三方シー
ル袋、ラベルサイドシール袋、カマス袋、ドイバック
袋、船底レール袋等のものが挙げられる。
【0021】
【実施例】以下、本発明を実施例を示して詳細に説明す
るが、本発明がこれらに限定されるものではない。 実施例1
【0022】上記混合物である粉末現像剤を、下記の層
構成を有する包装材料から構成され、有効表面積430
cm2 であるフレキシブル容器に、300g(容器の有
効表面積1cm2 当たり0.7g)充填した。この現像
剤を充填した容器について強制経時テストを行う為に、
高温高湿度(50℃、90%RH)条件下にて4週間経
時し、袋の膨らみ及び酸化性成分の劣化度を調査した。
但し、下記包装材料の水分透過度は2.0(g/m2
24 hrs)で、酸素透過度は1.1(ml/m2・24 hr
s)であった。即ち、TW /Xは2.9で、TO /Xは
1.6の値であった。 〔PET(12μm)/Al2 3 PET(16μm)
/PE(80μm)〕
【0023】実施例2 上記実施例1において、包装材料を下記の層構成に代え
た以外は、実施例1と同様に、現像剤を充填した容器に
ついて強制経時テストを行った。但し、下記包装材料の
水分透過度は1.5(g/m2 ・24 hrs)で、酸素透過
度は1.5(ml/m2 ・24 hrs)であった。即ち、T
W /Xは2.1、TO /Xは2.1であった。 〔Al2 3 PET(12μm)/Ny(15μm)/
CPP(70μm)〕
【0024】実施例3 上記実施例1において、包装材料を下記の層構成に代え
た以外は、実施例1と同様に、現像剤を充填した容器に
ついて強制経時テストを行った。但し、下記包装材料の
水分透過度は1.5(g/m2 ・24 hrs)で、酸素透過
度は25(ml/m2 ・24 hrs)であった。即ち、TW
/Xは2.1、TO /Xは35.7であった。〔OPP
(25μm)/SiOX PET(12μm)/CPP
(70μm)〕を加工して、更に酸素透過度を増加させ
た包装材料。
【0025】 比較例1上記実施例1において、包装材料を下記の層構
成に代えた以外は、実施例1と同様に、現像剤を充填し
た容器について強制経時テストを行った。但し、下記包
装材料の水分透過度は0.0(g/m2 ・24 hrs)で、
酸素透過度は0.0(ml/m2 ・24 hrs)であった。
即ち、TW /X、TO /Xともに0であった。 〔Ny(15μm)/Al箔(9μm)/PE(80μ
m)〕
【0026】比較例2 上記実施例1において、包装材料を下記の層構成に代え
た以外は、実施例1と同様に、現像剤を充填した容器に
ついて強制経時テストを行った。但し、下記包装材料の
水分透過度は2.6(g/m2 ・24 hrs)で、酸素透過
度は8.2(ml/m2 ・24 hrs)であった。即ち、T
W /Xは3.7、TO /Xは11.7であった。 〔KOP(25μm)/Ny(15μm)/PE(80
μm)〕
【0027】本発明である実施例2、3及び比較例1で
は、4週間経時しても本発明の容器の膨張はみられなか
った。これは、包装材料の水分透過度と、上記処理剤の
容器の表面積1cm2 当たりの充填量との関係が適度
で、炭酸ソーダと低pH成分であるハイドロキノン、メ
タホウ酸、EDTA・4Hが反応して発生した炭酸ガス
の量が容器の膨張まで至らなかったことによると考えら
れる。しかしながら、比較例1は、包装材料にアルミニ
ウム箔を使用しているので、廃棄するのが困難になって
しまう。但し、ここでの炭酸ガスの量の測定は、ガスク
ロマトグラフィーにより行った。実施例1では、経時4
週間目で容器の膨張は見られなかったが、僅かに炭酸ガ
スの発生が見られた。これは、4週間の保存の場合には
上記処理剤の容器の表面積1cm2 当たりの充填量に比
べて、包装材料の水分透過度が比較的多かったため発生
したものと考えられる。一方、比較例2では、3週間目
で容器の膨張が観察され、4週間目で容積が約3倍に膨
れあがった。これは、上記処理剤の充填量に比べて、包
装材料の水分透過度が大きく、その透過した水分により
炭酸ガスが多量に発生したと考えられる。本実施例にお
いて、容器の膨張は目視で評価される。但し、目視で膨
張が観察されるには、容器の容積が少なくとも約10%
程度増加した場合である。
【0028】また、実施例1〜3、比較例1及び2にお
ける経時後の処理剤中の酸化性成分であるハイドロキノ
ンとピラゾンの残存量を酸化還元滴定法により測定し、
経時前のそれらの存在量と比較して、処理剤中の酸化性
成分の劣化度を評価した。実施例1、2及び比較例1及
び2では、上記酸化性成分の劣化は殆ど見られなかっ
た。実施例3では、4週目で若干ハイドロキノンの劣化
が見られたが、問題ないレベルであった。これは、使用
した容器の酸素透過度が、充填した処理剤の量に比較し
て、所定量範囲内であるため、空気中から透過する酸素
による酸化性成分の酸化が殆ど起こらなかったためと考
えられる。
【0029】実施例4 上記実施例1の現像剤を、下記の層構成を有する包装材
料から構成され、有効表面積430cm2 であるフレキ
シブル容器に、300g(容器の有効表面積1cm2
たり0.7g)充填した。この現像剤を充填した容器に
ついて強制経時テストを行う為に、高温高湿度(50
℃、90%RH)条件下にて4週間経時し、袋の膨らみ
及び酸化性成分の劣化度を調査した。但し、下記包装材
料の水分透過度は1.5(g/m2 ・24 hrs)で、酸素
透過度は1.5(ml/m2 ・24 hrs)であった。即
ち、TW /Xは2.1で、TO /Xは2.1の値であっ
た。 〔Al2 3 PET(12μm)/Ny(15μm)/
CPP(70μm)〕
【0030】実施例5 上記実施例4において、現像剤を実施例4と同じフレキ
シブル容器に860g充填する(容器表面積1cm2
たり2.0g)以外は、実施例4と同様に強制経時テス
トを行い、容器の膨らみ及び酸化性成分の劣化度を調査
した。即ち、TW /Xは0.75で、TO /Xは0.7
5の値であった。
【0031】比較例3 上記実施例4において、現像剤を実施例4と同じフレキ
シブル容器に43g充填する(容器表面積1cm2 当た
り0.1g)以外は、実施例4と同様に強制経時テスト
を行い、容器の膨らみ及び酸化性成分の劣化度を調査し
た。即ち、TW/Xは15で、TO /Xは15の値であ
った。
【0032】本発明である実施例4では、4週間経時し
ても本発明の容器の膨張はみられなかった。これは、包
装材料の水分透過度と、上記処理剤の容器の表面積1c
2当たりの充填量との関係が適性で、ガスの発生の程
度が容器の膨張まで至らなかったことによると考えられ
る。実施例5では、経時4週間目で容器の膨張が僅かに
見られたが、炭酸ガスの発生は少なく、問題はなかっ
た。これは、4週間の保存の場合には包装材料の水分透
過度が小さく、炭酸ガスの発生が少ないものの、上記処
理剤の容器の表面積1cm2 当たりの充填量が比較的多
く、包装材料内部の余白空間が少ないため容器の膨張が
見られたと考えられる。比較例3では、経時4週間目で
容器の膨張は殆ど見られなかったが、炭酸ガスの発生が
多かった。これは、4週間の保存の場合には上記処理剤
の容器の表面積1cm2 当たりの充填量に比べて、包装
材料の水分透過度が多く、処理剤中の炭酸塩の殆どが反
応して、炭酸ガスの発生が多くなったと考えられる。比
較例3の場合、本発明の範囲に入らないが、容器の膨張
は見られなかった。これは、容器に充填する処理剤量が
余りに少なく、充填する際の作業性、コスト効率が悪
く、実際使用できない範囲である。また、炭酸塩の殆ど
が反応しているため、品質劣化も起こっている。
【0033】また、上記実施例4、5及び比較例3にお
いて実施例1と同様に、経時後の処理剤中の酸化性成分
の劣化度を評価した。比較例3では、上記酸化性成分の
劣化が僅かに見られるものの、問題無いレベルであっ
た。実施例4及び5では、上記酸化性成分の劣化が殆ど
見られなかった。これは、上記の容器の酸素透過度が、
充填した処理剤の量に比較して、所定量範囲内であるた
め、空気中から透過する酸素による酸化が殆ど起こらな
かったと考えられる。
【0034】実施例6 《定着剤》 (A)パート(液剤) チオ硫酸アンモン液(70%)(定着主薬)200.0g (B)パート(粉剤) アンモニウム明礬(硬膜剤) 25.0g 重亜硫酸ソーダ(保恒剤) 20.0g 酢酸ソーダ(pH緩衝剤) 2.0g 酒石酸(キレート剤) 2.0g 上記液剤と粉剤で構成された定着剤である。(B)パー
トの粉剤を、下記の層構成を有する包装材料から構成さ
れ、有効表面積430cm2 であるフレキシブル容器
に、300g(容器の有効表面積1cm2 当たり0.7
g)充填した。この現像剤を充填した容器について強制
経時テストを行う為に、高温高湿度(50℃、90%R
H)条件下にて8週間経時し、袋の膨らみ及び酸化性成
分の劣化度を調査した。但し、上記包装材料の水分透過
度は2.0(g/m2 ・24 hrs)で、酸素透過度は1.
1(ml/m2 ・24 hrs)であった。即ち、TW /Xは
2.9で、TO /Xは1.6の値であった。 〔PET(12μm)/Al2 3 PET(16μm)
/PE(80μm)〕
【0035】実施例7 上記実施例6において、包装材料を下記の層構成に代え
た以外は、実施例6と同様に、現像剤を充填した容器に
ついて強制経時テストを行った。但し、下記包装材料の
水分透過度は1.5(g/m2 ・24 hrs)で、酸素透過
度は1.5(ml/m2 ・24 hrs)であった。即ち、T
W /Xは2.1、TO /Xは2.1であった。 〔Al2 3 PET(12μm)/Ny(15μm)/
CPP(70μm)〕
【0036】実施例8 上記実施例6において、包装材料を下記の層構成に代え
た以外は、実施例6と同様に、現像剤を充填した容器に
ついて強制経時テストを行った。但し、下記包装材料の
水分透過度は1.5(g/m2 ・24 hrs)で、酸素透過
度は25(ml/m2 ・24 hrs)であった。即ち、TW
/Xは2.1、TO /Xは35.7であった。〔OPP
(25μm)/SiOX PET(12μm)/CPP
(70μm)〕を加工して、更に酸素透過度を増加させ
た包装材料。
【0037】比較例4 上記実施例6において、包装材料を下記の層構成に代え
た以外は、実施例6と同様に、現像剤を充填した容器に
ついて強制経時テストを行った。但し、下記包装材料の
水分透過度は2.6(g/m2 ・24 hrs)で、酸素透過
度は8.2(ml/m2 ・24 hrs)であった。即ち、T
W /Xは3.7で、TO /Xは11.7であった。 〔KOP(25μm)/Ny(15μm)/PE(80
μm)〕
【0038】本発明である実施例7及び8では、8週間
経時しても本発明の容器の膨張はみられなかった。これ
は、包装材料の水分透過度と、上記処理剤の容器の表面
積1cm2 当たりの充填量との関係が適性で、重亜硫酸
ソーダと低pH成分であるアンモニウム明礬、酒石酸が
反応して発生した亜硫酸ガスの発生の程度が容器の膨張
まで至らなかったことによると考えられる。なお、亜硫
酸ガスの量の測定は、ガスクロマトグラフィーにより行
った。実施例6では、経時6週間目で僅かに亜硫酸ガス
の発生が見られたが、容器の膨張は見られなかった。こ
れは、8週間の保存の場合には上記処理剤の容器の表面
積1cm2 当たりの充填量に比べて、包装材料の水分透
過度が多少多かったためと考えられる。一方、比較例4
では5週間目で、亜硫酸ガスの発生による容器の膨張が
観察され、8週目で容積が約2倍に膨れあがった。これ
は、上記処理剤の充填量に比べて、包装材料の水分透過
度が多く、その水分により亜硫酸ガスが多量に発生した
と考えられる。
【0039】また、実施例6〜8及び比較例4における
経時後の処理剤中の酸化性成分である重亜硫酸ソーダの
残存量を酸化還元滴定法(I2 滴定法)により測定し、
経時前のその存在量と比較して、処理剤中の酸化性成分
の劣化度を評価した。本発明である実施例6、7及び8
では、上記酸化性成分の劣化は殆ど見られなかった。こ
れは、本発明の容器の酸素透過度が、充填した処理剤の
量に比較して、所定量範囲内であるため、空気中から透
過する酸素による酸化性成分の酸化が殆ど起こらなかっ
たと考えられる。一方、比較例4では、上記酸化性成分
の劣化がわずかに観察された。これは、透過した水分が
媒体となり、重亜硫酸ソーダの酸素による酸化が起こり
易くなったためと考えられる。
【0040】
【発明の効果】本発明により、経時保存中にガスの発生
による容器の膨らみ・破裂が発生せず長期間保管でき、
経時保存中に品質劣化が認められない粉末写真処理剤用
容器を提供できる。更に、廃棄処理が比較的容易な粉末
写真処理剤用容器を提供できる。一方、経時保存中に写
真処理剤中の酸化性成分の劣化を防止できる粉末写真処
理剤用容器を提供できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G03C 7/42 G03C 7/42 G03D 13/02 G03D 13/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも0.5〜10重量%の炭酸塩
    及び/又は10〜50重量%の亜硫酸塩、並びに炭酸塩
    あるいは亜硫酸塩よりpHが低い酸性成分を含む粉末写
    真処理剤が充填され、必要により無機化合物が蒸着され
    てもよい高分子材料からなる包装材料から構成され、且
    つ下記の式(I)及び式(II)の条件を満たすことを特
    徴とする粉末写真処理剤用容器。 式(I) 0≦Tw/X≦3式(II) T 0 /X≦70 式中、Twは該包装材料の水分透過度(g/m2 ・24 hr
    s)を表す。 0 は該包装材料の酸素透過度(ml/m
    2 ・24 hrs)を表す。また、Xは粉末写真処理剤用容器
    の有効表面積1cm2 当たりの前記処理剤の充填量
    (g)を表す。
  2. 【請求項2】 粉末写真処理剤用容器の有効表面積1c
    2 当たりの前記処理剤の充填量が、0.1〜2.0g
    であることを特徴とする請求項1に記載の粉末写真処理
    剤用容器。
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