JP3386717B2 - 低履歴損失の方向性珪素鋼板の製造方法 - Google Patents

低履歴損失の方向性珪素鋼板の製造方法

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JP3386717B2 JP14423198A JP14423198A JP3386717B2 JP 3386717 B2 JP3386717 B2 JP 3386717B2 JP 14423198 A JP14423198 A JP 14423198A JP 14423198 A JP14423198 A JP 14423198A JP 3386717 B2 JP3386717 B2 JP 3386717B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、変圧器や発電機
等の鉄心材料として好適な方向性珪素鋼板の製造方法に
関し、とくに履歴損失(ヒステリシス損)を効果的に低
減することによって鉄損特性の一層の改善を図ろうとす
るものである。
【0002】
【従来の技術】Siを含有し、結晶方位が(110)〔0
01〕方位や(100)〔001〕方位に配向した方向
性電磁鋼板は、優れた軟磁気特性を有することから商用
周波数域での各種鉄心材料として広く利用されている。
かような電磁鋼板に要求される特性としては、鉄損(一
般に50Hzの周波数で 1.7Tに磁化させた時の損失である
17/50 (W/kg)で表わされる)が低いことが重要であ
る。
【0003】鉄損を低減するには、渦電流損(We )を
低下させるのに有効な方法として、Siを含有させ電気抵
抗を高める方法、板厚を薄くする方法、結晶粒径を小さ
くする方法等が、一方ヒステリシス損(Wh )を低下さ
せるのに有効な方法として、圧延方向に<100>軸を
高度に揃える方法等が知られている。
【0004】このうち、Siを含有させる方法は、過度に
含有させると飽和磁束密度の低下を招き、鉄心のサイズ
拡大の原因となるので限界があり、また板厚を薄くする
方法は大幅な製造コストの増加を招くためやはり限界が
あった。さらに、結晶方位を揃える方法も、磁束密度B
8 で1.96Tや1.97Tという高い値の製品がすでに得られ
ており、これ以上の改善の余地は少なくなっている。
【0005】その他、近年、プラズマジェットやレーザ
ー光を照射して鋼板表面に局所的に歪を導入したり、溝
を形成することによって人工的に磁区幅を細分化し鉄損
を低減する技術が開発され、大幅な鉄損の低減が図られ
るようになった。しかしながら、この技術による鉄損低
減効果にも限界があった。
【0006】これらの方法とは別に、特公昭52-24499号
公報には、鋼板金属表面と非金属被膜との界面の粗度を
低減し、さらに張力処理を施すことによって、材料の鉄
損が大幅に低減することが報告されている。
【0007】さらに、方向性珪素鋼板の二次再結晶焼鈍
時に用いる焼鈍分離剤については、通常用いられるMgO
を主とする焼鈍分離剤では、焼鈍後の鋼板表面にフォル
ステライトを主成分とする緻密な被膜が形成され、鋼板
金属表面の粗度が低減されないだけでなく、その後に鏡
面表面とするための鏡面化研磨やサーマルエッチングの
際にも不都合が生じる。このようなフォルステライトを
主成分とする被膜を形成させないために、例えば特開平
7-48674号公報では、1次再結晶焼鈍で生じたサブスケ
ールを除去したのち二次再結晶焼鈍を行う方法を提案し
ているが、この方法ではコストの上昇が避けられない。
【0008】以上の観点から、鏡面化方向性珪素鋼板を
製造する際には、Al2O3 を主成分とする焼鈍分離剤や塩
化物を含む焼鈍分離剤が用いられており、たとえば特開
昭64-62476号公報には、MgOにアルカリやアルカリ土類
金属の塩化物を2〜40重量部添加した焼鈍分離剤を使用
する方法が提案されている。しかしながら、この方法で
は、工業的実施時に全幅全長にわたって安定して鏡面化
を達成するのが難しいだけでなく、腐食性の大きな塩化
物を大量に使用するために炉体の腐食や製品板の発錆と
いう新たな問題が生じた。
【0009】また、フォルステライト被膜を有さない鋼
板では、二次再結晶焼鈍中に被膜に吸収除去されるS,
Se等の純化に劣る問題や、分離剤中に少量ながら不可避
的に含まれる炭酸痕の問題および混入有機物などの分解
で生じる炭素の吸収による浸炭の問題等が課題として残
されていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上記の現
状に鑑み開発されたもので、焼鈍分離剤の成分および二
次再結晶焼鈍工程に工夫を加えることによって、炉体の
腐食や製品板の発錆、さらには二次再結晶焼鈍中におけ
る純化不足等のおそれなしに、ヒステリシス損を効果的
に低減し、ひいては鉄損特性の一層の改善を達成した方
向性珪素鋼板の有利な製造方法提案することを目的と
する。
【0011】
【課題を解決するための手段】さて、発明者らは、上記
の目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、(1) 特定組
成の珪素鋼素材および特定組成の焼鈍分離剤を用いた上
で、二次再結晶焼鈍工程における昇温条件、さらには雰
囲気条件を制御してやれば、わずかな量の塩素化合物ま
たはふっ素化物で安定して鏡面化を達成できる、(2) か
かる鏡面材においては、二次再結晶粒の<100>方向
と圧延方向との角度だけでなく、<110>方向と板幅
方向との角度も鉄損値に影響を及ぼす、(3) 鏡面鋼板の
内部に残留する析出物のうち、特に炭化物、硫化物およ
びセレン化物が鉄損に及ぼす影響が大きいことの知見を
得た。この発明は、上記の知見に立脚するものである。
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】すなわち、この発明の要旨構成は次のとお
りである。 1.Si:1.5 〜7.0 wt%、 Mn:0.02〜0.2 wt%、 Al:0.06wt%以下、 N:0.01wt%以下、 Seおよび/またはS:0.01〜0.06wt%、 B,Bi,Sb,Mo,Te,Sn,P,Ge,As,Nb,Ni,Cr,T
i,Cu,Pb,ZnおよびInのうちから選んだ少なくとも1
種:0.0005〜2.0 wt% を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる
珪素鋼スラブを、スラブ加熱後、熱間圧延し、必要に応
じて熱延板焼鈍を施したのち、1回または中間焼鈍を含
む2回以上の冷間または温間圧延によって最終板厚に仕
上げ、ついで1次再結晶焼鈍を施したのち、焼鈍分離剤
を塗布してから、二次再結晶焼鈍を施し、かかる二次再
結晶焼鈍後に鋼板表面にフォルステライト被膜を残さな
い方向性珪素鋼板の製造方法において、焼鈍分離剤中
に、タリウムまたは鉛の塩素化合物またはふっ素化合物
を 0.1〜10重量部の範囲で含有させると共に、二次再結
晶焼鈍昇温過程において 800℃から 900℃までの昇温速
度を8℃/h以下の徐加熱とすることを特徴とする低履歴
損失の方向性珪素鋼板の製造方法。
【0016】2.Si:1.5 〜7.0 wt%、 Al:0.06wt%以下、 N:0.01wt%以下、 B,Bi,Sb,Mo,Te,Sn,P,Ge,As,Nb,Ni,Cr,T
i,Cu,Pb,ZnおよびInのうちから選んだ少なくとも1
種:0.0005〜2.0 wt% を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる
珪素鋼スラブを、1280℃以下の温度でスラブ加熱後、熱
間圧延し、必要に応じて熱延板焼鈍を施したのち、1回
または中間焼鈍を含む2回以上の冷間または温間圧延に
よって最終板厚に仕上げ、ついで1次再結晶焼鈍・増窒
素処理を施したのち、焼鈍分離剤を塗布してから、二次
再結晶焼鈍を施し、かかる二次再結晶焼鈍後に鋼板表面
にフォルステライト被膜を残さない方向性珪素鋼板の製
造方法において、焼鈍分離剤中に、タリウムまたは鉛の
塩素化合物またはふっ素化合物を 0.1〜10重量部の範囲
で含有させると共に、二次再結晶焼鈍昇温過程において
800℃から 900℃までの昇温速度を8℃/h以下の徐加熱
とすることを特徴とする低履歴損失の方向性珪素鋼板の
製造方法。
【0017】.上記1または2において、1000℃以上
の二次再結晶仕上げ焼鈍温度域での水素分圧を 0.9 atm
以上にすることを特徴とする低履歴損失の方向性珪素鋼
板の製造方法。
【0018】.上記1,2または3において、二次再
結晶焼鈍の昇温中、 600〜900 ℃の温度範囲の少なくと
もある温度域についてAr雰囲気とすることを特徴とする
低履歴損失の方向性珪素鋼板の製造方法。
【0019】.上記1,3または4において、S量を
0.005wt%未満に抑制すると共に、Se量を0.01〜0.03wt
%の範囲に制限したことを特徴とする低履歴損失の方向
性珪素鋼板の製造方法。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、この発明を具体的に説明す
る。まず、この発明を由来するに至った実験結果につい
て説明する。実験1 C:0.05wt%、Si:3.2 wt%、Mn:0.06wt%、S:0.02
wt%、Se:0.001 wt%、Al:0.02wt%、N:80 ppmおよ
びCu:0.2 wt%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純
物からなるスラブを、1400℃に加熱したのち、熱間圧延
により 2.0mm厚の熱延板とし、ついで温間圧延により0.
21mmの板厚に仕上げたのち、脱炭を兼ねた1次再結晶焼
鈍を施した。
【0021】ついで、MgO:100 重量部に対して表1に
示す種々の塩化物またはふっ化物を添加した焼鈍分離剤
を、水スラリーで塗布し、焼き付け乾燥後、同じく表1
に示す条件で二次再結晶焼鈍を施した。なお、1000℃以
上の温度域については、10℃/hの速度で1200℃まで昇温
し、同温度で6時間の純化を兼ねた二次再結晶仕上げ焼
鈍を施した。かくして得られた製品板について、その表
面の結晶方位、鏡面化状態、炭化物、硫化物およびセレ
ン化物の析出量ならびに50Hzで 1.7Tに磁化させた時の
ヒステリシス損(Wh1.7)について調べた結果を、表2
に示す。
【0022】なお、製品板表面の結晶方位は、結晶粒の
{110}面の板面に対する角度の平均である面積加重
平均で表すものとした。というのは、この表示によれ
ば、二次再結晶粒の<100>方向と圧延方向との角度
だけでなく、<110>方向と板幅方向との角度も同時
に表すことができるからである。ここに、面積加重平均
は、同一条件で処理した成品5枚について、それぞれの
成品上2cm間隔の5×8の格子状の40点に対し、各点の
方位をラウエ法で求め、{110}面と板面とのなす最
小角をそれぞれ算出し、得られた総計 200点の値を平均
することにより求めた。勿論、数十程度の二次粒を選
び、それらの面積と方位から面積加重平均を求めてもよ
い。
【0023】また、炭化物、硫化物およびセレン化物の
析出量〔(C+Se+S)の析出重量で表す〕は、鋼板の
純化程度を示すもので、この量が少ないほど鋼中におけ
る有害元素が少なく、鋼板の純化が進行しているといえ
るが、特に析出状態になるものが有害であるので、析出
物定量法(任意でよい)を用いて析出量を制御する必要
がある。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】同表から明らかなように、焼鈍分離剤中
に、タリウムや鉛の塩化物またはふっ化物を少量添加す
ると共に、 800〜900 ℃の温度域を徐加熱とすることに
より、{110}面の板面に対する角度を2〜8°の適
正範囲に制御することができるだけでなく、安定した鏡
面化が達成されると共に、鋼板の純化が促進され、その
結果ヒステリシス損(Wh1.7)を効果的に低減すること
ができた。特に、1000℃以上における水素分圧を 0.9 a
tm以上にした場合には、鋼板の純化および鏡面化が一層
促進され、さらに、 600〜900 ℃における範囲をAr雰囲
気とした場合には、フォルステライト被膜の形成が格段
に抑制されると共に、一層の純化、ひいては低Wh1.7
が達成されている。
【0027】なお、塩化タリウムや塩化鉛等の添加量が
0.1重量部よりも少ないとフォルステライト被膜の形成
が顕著になり、安定してRa≦0.4 μm という鏡面が得ら
れず、一方添加量が10重量部を超えたり、 800〜900 ℃
の温度域の昇温速度が8℃/hを上回った場合には、{1
10}面の板面に対する角度を安定して2〜8°の範囲
におさめることができず、その結果、この発明で所期し
たほど良好な低履歴損失を得ることができなかった。
【0028】また、発明者らの研究によれば、{11
0}面の板面に対する角度は、インヒビター形成元素で
あるS,Se量と強い相関があり、S量を 0.005wt%未満
に抑制すると共に、Se量を0.01〜0.03wt%の範囲に制限
することによって、二次再結晶後の{110}面の角度
を4〜6°の範囲に安定して制御できることが究明され
た。
【0029】実験2 S量およびSe量をそれぞれ、S:0.002 wt%、Se:0.02
wt%にすること以外、上記の実験1と同様にして実質的
にフォルステライト被膜を有しない方向性珪素鋼板を製
造した。なお、この時、焼鈍分離剤中に添加した添加物
および二次再結晶焼鈍条件は、表3に示したとおりであ
る。かくして得られた製品板について、実験1と同様な
調査を行った結果を表4に示す。
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【0032】表4に示したとおり、インヒビター形成元
素として添加するS量を抑制すると共に、Seを適正量添
加することにより、二次再結晶後の{110}面の板面
に対する角度を4〜6°の最適範囲に的確に制御するこ
とができ、その結果、ヒステリシス損を安定して低減す
ることができた。なお、この場合でも、1000℃以上にお
ける水素分圧を 0.9 atm以上にし、さらには 600〜900
℃における範囲をAr雰囲気とすることが、鋼板の純化お
よび鏡面化ひいては低Wh1.7化の面でに有利であること
に変わりはなかった。
【0033】この発明に従い、焼鈍分離剤中にタリウム
や鉛の塩化物またはふっ化物を少量添加すると共に、二
次再結晶昇温過程中、 800〜900 ℃の温度範囲を徐熱す
ることによって、{110}面の方位が的確に制御され
るだけでなく、鋼板表面が平滑化されて炭化物等の有害
成分が減少する機構については、まだ明確に解明された
わけではないが、タリウムまたは鉛と塩素またはふっ素
元素との相乗作用によって、{110}面の鋼板表面エ
ネルギーが変化するか、あるいは二次再結晶時の粒界移
動速度に影響を与えて、特定方位の二次再結晶粒の成長
を促す等の作用で二次再結晶粒の主方位が定まり、しか
もこのような粒界移動時に純化も促進されるためと考え
られる。
【0034】次に、この発明に従って得られる方向性珪
素鋼製品板好適要件について説明する。 Si:1.5 〜7.0 wt% Siは、鋼板の電気抵抗を高め、鉄損を低減するのに有効
な成分であるが、含有量が 7.0wt%を超えると硬くなっ
て加工が困難となり、一方 1.5wt%に満たないと二次再
結晶焼鈍中に変態を生じて安定した二次再結晶組織が得
られないので、Si含有量は 1.5〜7.0 wt%の範囲に限定
した。なお、製品板中におけるC,S,SeおよびNなど
の元素はいずれも、磁気特性上有害な作用があり、特に
鉄損を劣化させるので、製品板においてはそれぞれ、
C:0.003 wt%以下、S,Se:0.002 wt%以下、N:0.
002 wt%以下程度に低減することが望ましいが、後述す
るように、製品板では、析出物量の総和を所定量以下ま
で低減することが特に重要である。
【0035】{110}面の板面に対する角度:2〜8
° この規定は、製品板において特に重要であり、二次再結
晶後の結晶粒については、その{110}面を板面に対
して面積加重平均で2〜8°だけ傾けさせることが肝要
である。これは、従来知られている圧延方向と<100
>軸との傾きの変化による磁区細分化効果だけではな
く、圧延方向と直角方向の<110>軸と板面とのなす
角度が履歴損に大きな影響を与えるからであり、この効
果は、フォルステライト被膜あるいはそのアンカーによ
る凹凸を持たない鏡面化鋼板で特に大きい。ここに、こ
の角度が2°に満たなかったり、8°を超えた場合に
は、この発明で所期したほどの低鉄損を得ることができ
ない。
【0036】表面粗さRa:0.4 μm 以下 表面粗さRaが 0.4μm を超えると、ヒステリシス損の劣
化等の不利が生じるだけでなく、後述する炭化物等の有
害成分が増大して、鉄損の低減が達成できない。そこ
で、製品板では、鋼板の表面粗さRa 0.4μm 以下に限
する
【0037】炭化物、硫化物およびセレン化物の総量が
(C+S+Se)重量で35 ppm以下 炭化物、硫化物およびセレン化物等の析出物はいずれ
も、磁壁の移動を阻害してヒステリシス損ひいては鉄損
を劣化させる有害成分であるので、極力低減することが
好ましいが、35 ppm以下であれば許容できる。
【0038】Wh1.7:0.35 W/kg 以下 この発明では、上述したとおり、{110}面の板面に
対する角度を2〜8°の範囲に制御すると共に、表面粗
さRaを 0.4μm 以下、(C+S+Se)量を35 ppm以下と
することにより、従来実現が難しかったWh1.7≦0.35 W
/kg までの低Wh 1.7 化を安定して達成することができ
【0039】また、この発明では、張力コーティングを
付与することにより、わずかな張力で効果的にWh1.7
0.30 W/kg以下まで低減することができる。さらに、こ
の発明では、製造工程の途中または製造後に、線状また
は点状の歪付加領域または溝形成等による磁区細分化処
理が施すことによって、鉄損を一層低減することもでき
る。なお、鋼板の板厚は特に限定されることはないが、
渦電流損のうち古典的渦電流損は板厚の関数であるの
で、要求される鉄損に応じてコストとの勘案の上で定め
られ、通常0.10〜0.25mm程度とすることが好ましい。
【0040】次に、この発明の方向性電磁鋼板の製造方
法について説明する。まず、素材の成分組成範囲につい
て説明する。 Si:1.5 〜7.0 wt% 製品である方向性電磁鋼板について説明したとおり、含
有量が 1.5wt%に満たないと二次再結晶焼鈍中に変態を
生じて安定した二次再結晶組織が得られず、一方 7.0wt
%を超えると固くなって加工が困難となるので、Si含有
量は 1.5〜7.0wt%の範囲に限定した。
【0041】Al:0.06wt%以下、N:0.01wt%以下 Alは、Nと結合し、インヒビターとして有用なAlNを形
成する。特に初期鋼中にAlを 0.006wt%以上含有させる
ことによって結晶配向性を一層向上させることができ
る。しかしながら、0.06wt%を超えて含有させると再び
結晶配向性の劣化が生じるので、Alは0.06wt%以下に限
定した。また、N含有量が 0.01 wt%を超えるとふくれ
欠陥の発生が懸念されるので、N量は0.01wt%以下に限
定した。なお、下限は特に規定しないけれども、20 ppm
以下まで低下させるのは経済的な不利が大きい。
【0042】Seおよび/またはS:0.01〜0.06wt%、M
n:0.02〜0.2 wt% Se,SとMnは、互いに結合して、インヒビターMnSe,Mn
Sを形成する。ここに適正量のMnSe,MnSを確保するた
めには、初期鋼中に(Se+S)の和で0.01wt%以上、0.
06wt%以下と、Mn:0.02〜0.2 wt%を不可欠とする。と
いうのは、これらの量がそれぞれ下限に満たないと二次
再結晶を好適に生じさせるためのインヒビター量が不足
し、一方上限を超えると熱間圧延前の固溶が困難となる
からである。なお、後述するように、最終冷延後、2次
再結晶焼鈍前の間に増窒素処理を行う場合には、Se,S
およびMnの添加は必ずしも必要とはしないが、Mnについ
ては鋼の延性改善等を目的として添加することが好まし
い。
【0043】また、前記実験2において述べたとおり、
S,Se量は、{110}面の板面に対する角度と強い相
関があり、この角度を4〜6°の好適範囲に制御するた
めには、S量を 0.005wt%未満に抑制すると共に、Se量
を0.01〜0.03wt%の範囲に制限することが好適である。
【0044】B,Bi,Sb,Mo,Te,Sn,P,Ge,As,N
b,Ni,Cr,Ti,Cu,Pb,ZnおよびInのうちから選んだ
少なくとも1種:0.0005〜2.0 wt% これらの元素はいずれも、表面や粒界への偏析、析出物
形成等によって、二次再結晶方位を制御する目的で添加
されるものであるが、含有量が0.0005wt%に満たないと
その添加効果に乏しく、一方 2.0wt%を超えると磁東密
度の低下を招くので、単独使用または併用いずれの場合
においても0.0005〜2.0 wt%の範囲で含有させるものと
した。
【0045】さらに、この発明では、初期鋼中に、熱間
圧延中での再結晶を促進して磁気特性を向上させる目的
で、Cを0.0050〜0.08wt%程度の範囲で含有させること
もできる。
【0046】次に、具体的な製造工程について説明す
る。所定の成分に調整された鋼塊やスラブを、公知の方
法により、熱間圧延および冷間・温間圧延して最終板厚
とする。鋼素材としては、連続熱延法やシートバーキャ
スト法、コイルキャスト法等で得たものを適用すること
もできる。
【0047】ついで、1次再結晶焼鈍後、2次再結晶焼
鈍を施すが、この発明では、最終冷延後、2次再結晶焼
鈍前の間に増窒素処理を施すこともできる。この処理
は、鋼板表面の窒素濃度を上昇させて、2次再結晶時に
AlNによるインヒビター機能を強化させるために行うも
のである。従って、この処理を行う場合には、スラブ段
階においてAlNを固溶させるための高温加熱処理が必ず
しも必要ではないので、スラブ加熱温度を1280℃以下程
度まで低減できる利点がある。
【0048】さて、2次再結晶焼鈍を施す場合には、そ
れに先立ち、鋼板の表面に焼鈍分離剤を塗布するが、こ
の発明では、この焼鈍分離剤中にタリウムまたは鉛の塩
素化合物またはふっ素化合物を含有させることが重要で
ある。というのは、これらタリウムまたは鉛の塩素化合
物またはふっ素化合物は、前記実験1で述べたとおり、
少量の添加で{110}面の板面に対する角度を適正範
囲に制御できるだけでなく、安定した鏡面化および純化
が達成され、その結果ヒステリシス損(Wh1.7)を効果
的に低減することができるからである。
【0049】ここに、タリウムまたは鉛の塩素化合物ま
たはふっ素化合物の添加量は、通常の焼鈍分離剤:100
重量部に対し 0.1〜10重量部の範囲とする必要がある。
というのは、0.1 重量部に満たないとその添加効果に乏
しく、一方10重量部を超えると従来より少量とはいえ塩
化物に起因した炉体の腐食や製品板における発錆が懸念
されるからである。なお、焼鈍分離剤の主成分として
は、MgOやA12O3 など従来公知のものいずれもが使用で
きる。また、塗布方法としては、静電塗布や水スラリー
塗布など公知の手法を用いることができる。塗布量につ
いては3〜30 g/m2 程度が好適である。さらに、金属塩
化物、水酸化物、ほう酸塩、硝酸塩、燐酸塩、炭酸塩、
硫酸塩および硫化物を適宜加えて上記の分離剤を補足す
ることも可能である。
【0050】ついで、上記のようなタリウムまたは鉛の
塩素化合物またはふっ素化合物を適量添加した焼鈍分離
剤を鋼板表面に塗布したのち、2次再結晶焼鈍を施すわ
けであるが、この2次再結晶焼鈍工程中、特にその昇温
過程において 800℃から 900℃までの昇温速度を8℃/h
以下の徐加熱とすることが重要である。というのは、 8
00〜900 ℃における昇温速度が8℃/hを上回ると、二次
再結晶の方位安定性が低下するからである。
【0051】かくして、実質的にフォルステライト被膜
の形成がない鏡面化状態で、炭化物等の析出も少なく、
また{110}面の方位が的確に制御された方向性珪素
鋼板が得られるのである。
【0052】ところで、この発明において、鋼板表面の
鏡面化および純化を一層促進するためには、1000℃以上
における水素分圧を 0.9 atm以上にすることが望まし
い。というのは、1000℃以上における水素分圧を 0.9 a
tm以上にすれば、表面酸化物の形成が抑制されると共
に、H2SやH2Seが効果的に気化されることにより、鋼板
表面の鏡面化および純化が一層促進されるからである。
【0053】また、 600〜900 ℃における範囲をAr雰囲
気としてやれば、フォルステライト被膜の形成が格段に
抑制され、一層の鏡面化および純化が達成される。この
点、広く行われている窒素雰囲気では、フォルステライ
ト等の被膜の前駆体酸化物の形成が促進される。従っ
て、この場合には、焼鈍分離剤に添加する塩化物量が少
量でも所望の目的を達成することができる利点がある。
ここに、上記したAr雰囲気は、必ずしも 600℃から 900
℃までの全温度範囲にわたって実施する必要はなく、こ
の温度範囲の一部の温度域でも良い。
【0054】なお、この発明では、上記したような2次
再結晶焼鈍による鏡面化後、さらにNaC1電解等で一層の
表面平滑化を行うなど、公知の手法との組み合わせも可
能である。また、この発明では、上記のようにして得た
鏡面化方向性珪素鋼板の表面に、張力被膜を被成した一
層の鉄損低減を図ることもできる。ここに、張力被膜と
しては、りん酸塩系の被膜およびPVD等によるセラミ
ック被膜など、従来公知のものいずれもが適合する。さ
らに、この発明は、従来の磁区細分化技術との併用が可
能で、併用により加算的以上の相乗効果が得られる。こ
こでいう磁区細分化技術とは、例えば製品の鋼板表面に
レーザーやプラズマジェットを照射して局所的に歪領域
を設ける方法、鋼板表面に溝を設ける方法、鋼板表面の
組織もしくは組成を被膜も含めて局所的に変更する方法
などが挙げられ、実際の処理に際しても突起ロールやエ
ッチング法など従来公知のものが適用できる。
【0055】
【実施例】実施例1 C:0.05wt%、Si:3.2 wt%、Mn:0.06wt%、S:0.03
wt%、A1:0.02wt%、N:80 ppm,Sn:0.3 wt%および
Cu:0.2 wt%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物
からなるスラブを、1370℃に加熱したのち、熱間圧延に
より 2.0mm厚の熱延板とし、ついで温間圧延により板
厚:0.21mmの最終板厚に仕上げたのち、脱炭を兼ねた1
次再結晶焼鈍を施した。この鋼板を2分割し、一方には
A1203:100 重量部に対してふっ化鉛を0.15重量部添加
した焼鈍分離剤を(発明例)、他方には A1203単独の焼
鈍分離剤(比較例)をそれぞれ静電塗布により 18 g/m2
塗布し、 800℃までN2雰囲気中で平均50℃/hの速度で昇
温し、 800℃から 900℃まで(25%N2+75%H2)の混合雰囲
気中にて平均 4.5℃/hの速度で昇温し、その後、水素+
窒素混合雰囲気中(水素分圧:0.8 atm)で1200℃まで平
均14℃/hの速度で昇温し、引き続き1200℃で6時間の純
化を兼ねた二次再結晶仕上げ焼鈍を施したのち、放冷し
て、フォルステライト被膜のない方向性珪素鋼板を得
た。
【0056】かくして得られた方向性珪素鋼板の{11
0}面の板面となす角度の平均値(面積加重平均)は、
発明例は 4.6°であったのに対し、比較例は 9.9°であ
った。また、鋼板表面の粗度は、発明例はRa:0.32μm
、比較例はRa:0.45μm であった。さらに、発明例で
は、残留炭化物量は8 ppm、硫化物は主にCu2Sが22 pp
m,Se化物は主にMnSeが3 ppmで、(C+S+Se)合計
で33 ppmであり、またWh1.7=0.33 W/kg であったのに
対し、比較例はそれぞれ15 ppm,35 ppm,5 ppmで、
(C+S+Se)合計で55 ppmであり、Wh1.7=0.51 W/k
g であった。
【0057】また、上記の発明例についての製造工程
中、1000℃以上の温度域における水素分圧を 1.0 atmま
で上げた場合には、{110}面の板面と成す角度の平
均値は3.8 °、鋼板の表面粗度はRa:0.29μm 、(C+
S+Se)合計:26 ppmで、Wh1 .7=0.30 W/kg という良
好なヒステリシス損が得られた。
【0058】さらに、上記の製造工程中、 800℃までの
昇温雰囲気をAr雰囲気としたところ、{110}面の板
面と成す角度の平均値は4.5 °、鋼板の表面粗度はRa:
0.26μm 、(C+S+Se)合計:23 ppmで、Wh1.7=0.
28 W/kg という一層良好なヒステリシス損が得られた。
【0059】実施例2 Si:3.2 wt%、Mn:0.06wt%、Al:0.02wt%、N:80 p
pm,Sb:0.1 wt%およびBi:0.0005wt%を含有し、残部
はFeおよび不可避的不純物からなるスラブを、1150℃に
加熱したのち、熱間圧延により 2.0mmの熱延板とし、つ
いで熱延板焼鈍後、冷間圧延により板厚:0.29mmに仕上
げたのち、1次再結晶焼鈍を施した。ついで、H2+N2
アンモニア混合雰囲気中で、 800℃,1 minの増窒素処
理を施したのち、MgO:100 重量部に対して塩化タリウ
ム:6重量部を添加した焼鈍分離剤を水スラリーで 14
g/m2塗布し、乾燥後、 800℃までをN2雰囲気中で平均50
℃/hの速度で昇温し、 800℃から 900℃までを(25%N2+
75%H2)の混合雰囲気中にて平均 4.5℃/hの速度で昇温
し、 900℃から1150℃までを水素+窒素混合雰囲気中
(水素分圧:0.8 atm)で平均20℃/hの速度で昇温し、そ
の後水素中で1150℃, 6時間の純化焼鈍を兼ねた二次再
結晶仕上げ焼鈍を施したのち、放冷して、フォルステラ
イト被膜のない方向性珪素鋼板を得た。
【0060】かくして得られた方向性珪素鋼板の{11
0}面の板面と成す角度の平均値は3.2 °であり、鋼板
の表面粗度はRa:0.25μm 、残留炭化物量は16 ppm、硫
化物は主にMnSで8 ppm,Se化物は主に Cu2Seで4 ppm
で、(C+S+Se)合計で28ppmであり、またWh1.7
0.33 W/kg であった。
【0061】また、上記の処理中、1000℃以上の温度域
における水素分圧を 1.02 atm まで上げた場合には、
{110}面の板面と成す角度の平均値は 4.1°、鋼板
の表面粗度はRa:0.22μm 、(C+S+Se)合計:22 p
pmで、Wh1.7=0.25 W/kg という良好なヒステリシス損
値が得られた。
【0062】さらに、上記の処理中、 800℃までの昇温
雰囲気をAr雰囲気としたところ、{110}面の板面と
成す角度の平均値は 4.4°、鋼板の表面粗度はRa:0.20
μm、(C+S+Se)合計:18 ppmで、Wh1.7=0.23 W/
kg という一層良好なヒステリシス損が得られた。
【0063】実施例3 C:0.06wt%、Si:3.2 wt%、Mn:0.06wt%、S:0.00
2 wt%、Se:0.02wt%、Al:0.03wt%、N:90 ppm,S
b:0.07wt%、Cu:0.2 wt%およびNi:0.1 wt%を含有
し、残部はFeおよび不可避的不純物からなるスラブを、
1410℃に誘導加熱したのち、熱間圧延により 2.0mmの熱
延板とし、ついで熱延板焼鈍後、冷間圧延と中間焼鈍に
引き続く温間圧延により板厚:0.19mmに仕上げたのち、
NaCl電解槽中で線状の磁区細分化溝(溝幅:0.2 mm、溝
深さ:15μm 、溝間隔:3mm)を形成した。その後、脱
炭を兼ねた1次再結晶焼鈍を施したのち、MgO:100 重
量部に対して塩化鉛を0.15重量部添加した焼鈍分離剤
を、水スラリーで塗布し、焼き付け乾燥後、 800℃まで
をAr雰囲気中で平均30℃/hの速度で昇温し、 800℃から
900 ℃までをAr雰囲気中で平均 6.5℃/hの速度で昇温
し、その後、1.02 atmの水素雰囲気中で1200℃まで10℃
/hの速度で昇温し、この温度で4時間の純化を兼ねた二
次再結晶焼鈍を施したのち、放冷して、フォルステライ
ト被膜のない方向性珪素鋼板を得た。
【0064】かくして得られた方向性珪素鋼板の{11
0}面の板面と成す角度の平均値は5.2 °であり、鋼板
表面の粗度はRa:0.19μm 、残留炭化物は5 ppm、硫化
物は分析下限(1 ppm)未満、Se化物は主にMnSeで2 p
pmで、(C+S+Se)合計で約7 ppmであり、またWh
1.7=0.21 W/kg 、W17/50 =0.58 W/kg であった。
【0065】さらに、この鋼板に、軽酸洗と片側 0.5μ
m のNaCl水溶液中での電解研磨を施したところ、Wh1.7
は 0.18 W/kgまで低減し、さらにCrめっきによる張力コ
ーティングを施したところ、Wh1.7=0.17 W/kg 、W
17/50 =0.49 W/kg という良好な鉄損値が得られた。
【0066】実施例4 C:0.06wt%、Si:3.2 wt%、Mn:0.06wt%、S:0.00
1 wt%、Se:0.03wt%、Sb:0.07wt%およびMo:0.02wt
%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなるス
ラブを、1410℃に誘導加熱したのち、熱間圧延により2.
0mm の熱延板とし、ついで熱延板焼鈍後、冷間圧延と中
間焼鈍に引き続く温間圧延により板厚:0.19mmに仕上げ
たのち、NaCl電解槽中で線状の磁区細分化溝(溝幅:0.
2 mm、溝深さ:15μm 、溝間隔:3mm)を形成した。そ
の後、脱炭を兼ねた1次再結晶焼鈍を施したのち、Mg
O:100 重量部に対して塩化鉛を0.15重量部添加した焼
鈍分離剤を、水スラリーで塗布し、焼き付け乾燥後、 8
00℃までをAr雰囲気中で平均30℃/hの速度で昇温し、 8
00℃から 900℃を(25%N2+75%H2)の混合雰囲気中で平均
6.5℃/hの速度で昇温し、引き続き1000℃までを平均15
℃/hの速度で昇温し、雰囲気を水素雰囲気(水素分圧:
1.0 atm)に切り替えて平均15℃/hの速度で1200℃まで昇
温し、その後1.02気圧の水素中で1200℃, 4時間の純化
焼鈍を兼ねた二次再結晶焼鈍を施したのち、放冷して、
フォルステライト被膜のない方向性珪素鋼板を得た。
【0067】かくして得られた方向性珪素鋼板の{11
0}面の板面と成す角度の平均値は5.8 °であり、鋼板
表面の粗度はRa=0.29μm 、残留炭化物は5 ppm、硫化
物は1 ppm、Se化物は主にMnSeで3 ppmで、(C+S+
Se)合計で約9 ppmであり、またWh1.7=0.28 W/kg 、
17/50 =0.62 W/kg であった。
【0068】
【発明の効果】かくして、この発明によれば、炉体の腐
食や製品板の発錆、さらには二次再結晶焼鈍中における
純化不足等のおそれなしに、ヒステリシス損を効果的に
低減することができ、ひいては従来に比べ鉄損特性が一
層改善された方向性珪素鋼板を安定して得ることができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−291313(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 8/12 C21D 9/46 501 C22C 38/00 - 38/60 H01F 1/16

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Si:1.5 〜7.0 wt%、 Mn:0.02〜0.2 wt%、 Al:0.06wt%以下、 N:0.01wt%以下、 Seおよび/またはS:0.01〜0.06wt%、 B,Bi,Sb,Mo,Te,Sn,P,Ge,As,Nb,Ni,Cr,T
    i,Cu,Pb,ZnおよびInのうちから選んだ少なくとも1
    種:0.0005〜2.0 wt% を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる
    珪素鋼スラブを、スラブ加熱後、熱間圧延し、必要に応
    じて熱延板焼鈍を施したのち、1回または中間焼鈍を含
    む2回以上の冷間または温間圧延によって最終板厚に仕
    上げ、ついで1次再結晶焼鈍を施したのち、焼鈍分離剤
    を塗布してから、二次再結晶焼鈍を施し、かかる二次再
    結晶焼鈍後に鋼板表面にフォルステライト被膜を残さな
    い方向性珪素鋼板の製造方法において、 焼鈍分離剤中に、タリウムまたは鉛の塩素化合物または
    ふっ素化合物を 0.1〜10重量部の範囲で含有させると共
    に、 二次再結晶焼鈍昇温過程において 800℃から 900℃まで
    の昇温速度を8℃/h以下の徐加熱とすることを特徴とす
    る低履歴損失の方向性珪素鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】Si:1.5 〜7.0 wt%、 Al:0.06wt%以下、 N:0.01wt%以下、 B,Bi,Sb,Mo,Te,Sn,P,Ge,As,Nb,Ni,Cr,T
    i,Cu,Pb,ZnおよびInのうちから選んだ少なくとも1
    種:0.0005〜2.0 wt% を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる
    珪素鋼スラブを、1280℃以下の温度でスラブ加熱後、熱
    間圧延し、必要に応じて熱延板焼鈍を施したのち、1回
    または中間焼鈍を含む2回以上の冷間または温間圧延に
    よって最終板厚に仕上げ、ついで1次再結晶焼鈍・増窒
    素処理を施したのち、焼鈍分離剤を塗布してから、二次
    再結晶焼鈍を施し、かかる二次再結晶焼鈍後に鋼板表面
    にフォルステライト被膜を残さない方向性珪素鋼板の製
    造方法において、 焼鈍分離剤中に、タリウムまたは鉛の塩素化合物または
    ふっ素化合物を 0.1〜10重量部の範囲で含有させると共
    に、 二次再結晶焼鈍昇温過程において 800℃から 900℃まで
    の昇温速度を8℃/h以下の徐加熱とすることを特徴とす
    る低履歴損失の方向性珪素鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、1000℃以上
    の二次再結晶仕上げ焼鈍温度域での水素分圧を 0.9 atm
    以上にすることを特徴とする低履歴損失の方向性珪素鋼
    板の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1,2または3において、二次再
    結晶焼鈍の昇温中、 600〜900 ℃の温度範囲の少なくと
    もある温度域についてAr雰囲気とすることを特徴とする
    低履歴損失の方向性珪素鋼板の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1,3または4において、S量を
    0.005wt%未満に抑制すると共に、Se量を0.01〜0.03wt
    %の範囲に制限したことを特徴とする低履歴損失の方向
    性珪素鋼板の製造方法。
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