JP3386694B2 - アルカリハライド結晶材料の加工方法 - Google Patents
アルカリハライド結晶材料の加工方法Info
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Description
結晶材料の微細加工に関する。
域まで透明であるため、レーザ光で加工することが困難
である。アルカリハライド結晶材料を用いたマイクロマ
シンの製作のために、この結晶材料を微細加工する技術
が望まれている。
ンにより、NaCl結晶材料を加工する技術が報告され
ている(S.クーパー、M.ストゥク、マイクロエレク
トロニクス エンジニアリング9(1989)475〜
480頁)。
には、集光光学系によりレーザビームを局部に集光する
ため、レーザビームの側面が円錐形状になる。加工され
た凹部の側面はこの円錐形状にほぼ沿うため、高いアス
ペクト比を得ることは困難である。ここで、アスペクト
比とは、実際に加工されたパターンの最小幅に対する凹
部の深さもしくは凸部の高さの比をいう。
ムの非均一性と干渉性により、加工された表面は不均一
なものになる。さらに、レーザビームを一点に集光する
ため、大面積の加工には適さない。
料の微細加工に適した加工方法を提供することである。
と、少なくともX線領域の連続な波長分布を有する放射
光の照射によってアルカリハライド結晶材料を加工する
方法であって、前記放射光を実質的に透過させる領域
と、実質的に透過させない領域が画定されたマスクを、
アルカリハライド結晶材料の表面の前方に配置する工程
と、前記マスクを通して、前記アルカリハライド結晶材
料に、該アルカリハライド結晶材料がアブレーションす
る条件で、前記放射光を照射して該アルカリハライド結
晶材料をアブレーションさせることにより加工する工程
とを有するアルカリハライド結晶材料の加工方法が提供
される。
X線領域の連続な波長分布を有する放射光を照射する
と、照射された領域がエッチングされ穴が開く。マスク
に、放射光を透過させる領域と透過させない領域をパタ
ーニングしておくことにより、アルカリハライド結晶材
料を微細加工することができる。
によるアルカリハライド結晶材料の加工方法を説明す
る。光学材料であるNaCl等のアルカリハライド結晶
材料は、近赤外から紫外域の光をほとんど吸収しない
が、X線領域で大きな光吸収を示す。シンクロトロン放
射光(SR光)のスペクトルは、X線領域に連続な波長
分布を示す。このため、SR光を用いてアルカリハライ
ド結晶材料を加工することが可能と思われる。以下、S
R光を用いてアルカリハライド結晶材料を加工する実施
例について説明する。
イド結晶材料加工時の放射光、マスク及び加工対象物の
相対位置関係を示す斜視図である。シンクロトロンに蓄
積された電子の軌道1から光軸5に沿ってSR光2が放
射される。光軸5に沿った光源からの距離Lの位置にア
ルカリハライド結晶材料からなる加工対象物4が配置さ
れている。加工対象物4の前方には、間隔Gだけ離れて
マスク3が配置されている。電子軌道1、加工対象物4
及びマスク3は同一の真空容器内に配置されている。
る領域と透過させない領域とが画定されている。なお、
実質的に透過させる領域とは、加工対象物を加工するの
に十分な強さのSR光を透過させる領域を意味し、実質
的に透過させない領域とは、その領域をSR光が透過し
ないか、または透過したとしても透過光が加工対象物を
加工しない程度の強さまで弱められるような領域を意味
する。
500μmの銅板に複数本のスリットが平行に配置され
たもの、及び正方形の貫通穴が行列状に規則的に配置さ
れたものである。なお、銅以外の金属を用いてもよい。
4の表面に照射される。加工対象物4の表面でSR光に
よるアブレーションが生じ、SR光が照射された部分が
剥離される。マスク3に微細なパターンを形成しておく
ことにより、加工対象物4の表面を微細に加工すること
ができる。
加工装置の加工部の断面図を示す。真空容器20内に試
料保持台14が配置されている。試料保持台14の試料
保持面に加工対象物4が保持されている。マスク3が、
マスク保持手段17により加工対象物4の前面に配置さ
れている。加工時には、図の左方からマスク3を通して
加工対象物4の表面にSR光2を照射する。
成され、内部にヒータ8が埋め込まれている。ヒータ8
のリード線が、真空容器20の壁に取り付けられたコネ
クタ21の容器内側の端子に接続されている。コネクタ
21の容器外側の端子が、電源7に接続されており、電
源7からヒータ8に電流が供給される。ヒータ8に電流
を流すことにより、加工対象物4を加熱することができ
る。
が取り付けられている。熱電対23のリード線は、リー
ド線取出口22を通して真空容器20の外部に導出さ
れ、温度制御装置9に接続されている。リード線取出口
22は、例えばハンダ付けにより気密性が保たれてい
る。温度制御装置9は、試料保持面の温度が所望の温度
になるように、電源7を制御しヒータ8を流れる電流を
調節する。
示す。試料保持台15の内部にガス流路16が形成され
ている。ガス流路16に所望の温度のガスを流してガス
と加工対象物4との熱交換を行わせ、加工対象物を所望
の温度に維持することができる。
イド結晶材料の微細加工を行った結果について説明す
る。赤外領域からX線領域までの連続した波長分布を持
つSR光を用い、(100)面が表出した厚さ1mmの
シート状のNaCl板を加工した。加工対象物4と光源
との距離Lは3mである。
保持する。微細パターンが形成されたマスク3を加工対
象物4の前方に約0.5mmの間隔をおいて配置する。
マスク3及び加工対象物4を配置した後、真空容器内を
7×10-7Paになるまで排気する。その後、NaCl
板を加熱し温度を500℃に維持する。SR光を加工対
象物4に照射する。SR光の光子密度は、加工対象物表
面において3〜9×1015フォトン/s・mm2 、照射
時間は1時間である。
用い、上記条件で加工を行ったところ、表面に対してほ
ぼ垂直に切り立った側壁を有するアスペクト比約10の
スリット状の穴を形成することができた。
ターンのマスクを用いて貫通孔を形成したNaCl板の
走査電子顕微鏡写真をスケッチした図である。貫通孔3
0の側面31はNaCl板の表面に対してほぼ垂直に切
り立ち、格子状に残されたNaCl部分32の線幅は、
厚さ方向に関してほぼ一定になっている。この場合、N
aCl板の表面における最小線幅に対する厚さの比(ア
スペクト比)は約10になる。
板温度の関数として示す。横軸は基板温度を単位℃で表
し、縦軸はエッチング速度を単位μm/100mA・分
で表す。なお、実験に用いたシンクロトロンにおいてN
aCl板の表面における光子密度は、図1の電子軌道1
を流れる電流1mA当たり3×1013フォトン/s・m
A・mm2 である。電子軌道1を流れる電流を100m
A〜300mAの範囲で変化させてエッチングを行っ
た。エッチング速度は、他の実験から電子軌道1を流れ
る電流にほぼ比例することが分かっている。図3の縦軸
は、電子軌道1を流れる電流100mAあたりのエッチ
ング速度であることを表している。
行うためには、基板温度の好適な範囲が300℃以上で
あることが分かる。また、基板温度を800℃以上とす
ると、真空雰囲気中においてNaCl結晶が粉末状にな
ってしまうため、基板温度を800℃以下とすることが
好ましい。
を3×1015フォトン/s・mm2とすると、エッチン
グ速度が約0.2μm/分になる。マイクロマシン用の
加工を現実性のある時間内に行うためには、光子密度を
3×1015フォトン/s・mm2 以上とすることが好ま
しい。
チングする場合を説明したが、他のアルカリハライド結
晶材料を加工することも可能であろう。(100)面が
表出したLiF結晶材料をエッチングしたところ、光子
密度6〜9×1015フォトン/s・mm2 、基板温度5
00℃の条件でエッチング速度が約0.6μm/分であ
った。
場合を示したが、その他X線領域に連続した波長分布を
有する放射光を用いても、同様の加工が可能であろう。
水平方向に長い形状を有する。例えば、本実施例で使用
したシンクロトロンでは、光源から3mの位置における
ビームサイズは、縦方向が約3mm、横方向が約30m
mである。このため、横方向に比較的広い範囲を同時に
加工することができる。縦方向に広い範囲を加工するた
めには、加工対象物4とマスク3を同時に縦方向(図1
のZ方向)に移動すればよい。
移動機構を示す。試料保持台14は、その試料保持面が
SR光2の光軸(Y方向)に対してほぼ垂直になるよう
に駆動機構10に取り付けられている。試料保持台14
の試料保持面に加工対象物4が取り付けられており、加
工対象物4の表面から間隔Gを隔ててマクス3が取り付
けられている。
び13が取り付けられている。ハンドル11を回転すれ
ば、試料保持台14が図の上下方向(Z方向)に移動す
る。ハンドル11をステッピングモータで回転すること
により、ステージを所望の一定速度でZ方向に移動する
ことができる。
試料保持台14はそれぞれ紙面に垂直な方向(X方向)
及びY方向に移動する。ハンドル12、13により試料
保持台14のX及びY方向の位置を微調整することがで
きる。
ッピングモータでハンドル11を回転させると、加工対
象物4がZ方向に移動し、比較的大きな面積を容易に加
工することができる。
本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種
々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に
自明であろう。
放射光を用いてアルカリハライド結晶材料を微細加工す
ることができる。
料を加工する時の、放射光、マスク及び加工対象物の配
置を示す斜視図、及び加工装置の加工部の断面図であ
る。
板の走査電子顕微鏡写真をスケッチした図である。
の関数として示すグラフである。
る。
Claims (5)
- 【請求項1】 少なくともX線領域の連続な波長分布を
有する放射光の照射によってアルカリハライド結晶材料
を加工する方法であって、 前記放射光を実質的に透過させる領域と、実質的に透過
させない領域が画定されたマスクを、アルカリハライド
結晶材料の表面の前方に配置する工程と、 前記マスクを通して、前記アルカリハライド結晶材料
に、該アルカリハライド結晶材料がアブレーションする
条件で、前記放射光を照射して該アルカリハライド結晶
材料をアブレーションさせることにより加工する工程と
を有するアルカリハライド結晶材料の加工方法。 - 【請求項2】 前記放射光がシンクロトロン放射光であ
る請求項1に記載のアルカリハライド結晶材料の加工方
法。 - 【請求項3】 前記加工する工程の前に、さらに、前記
アルカリハライド結晶材料を加熱する工程を含み、前記
加工する工程において、前記アルカリハライド結晶材料
を加熱した状態で該アルカリハライド結晶材料に前記放
射光を照射する請求項1または2に記載のアルカリハラ
イド結晶材料の加工方法。 - 【請求項4】 前記アルカリハライド結晶材料がNaC
lであり、前記加熱する工程において前記アルカリハラ
イド結晶材料を300〜800℃の範囲まで加熱する請
求項3に記載のアルカリハライド結晶材料の加工方法。 - 【請求項5】 少なくともX線領域の連続な波長分布を
有する放射光の照射によってアルカリハライド結晶材料
を加工する方法であって、 前記放射光を実質的に透過させる領域と、実質的に透過
させない領域が画定されたマスクを、アルカリハライド
結晶材料の表面の前方に配置する工程と、 前記マスクを通して、前記アルカリハライド結晶材料
に、 該アルカリハライド結晶材料の表面における前記放
射光のフォトン密度が3×10 15 フォトン/s・mm2
以上になる条件で、前記放射光を照射して該アルカリハ
ライド結晶材料を加工する工程とを有するアルカリハラ
イド結晶材料の加工方法。
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JP16314697A JP3386694B2 (ja) | 1997-06-19 | 1997-06-19 | アルカリハライド結晶材料の加工方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH1117246A JPH1117246A (ja) | 1999-01-22 |
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-
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