JP3384373B2 - 圧電素子電気的・機械的破損検出方法および圧電素子検査装置 - Google Patents

圧電素子電気的・機械的破損検出方法および圧電素子検査装置

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JP3384373B2
JP3384373B2 JP32495699A JP32495699A JP3384373B2 JP 3384373 B2 JP3384373 B2 JP 3384373B2 JP 32495699 A JP32495699 A JP 32495699A JP 32495699 A JP32495699 A JP 32495699A JP 3384373 B2 JP3384373 B2 JP 3384373B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット方
式を利用した印刷装置に使用される圧電素子の検査技術
に係り、特にインピーダンスデータ量が格段に少量で済
み量産に適した効率的な合否判定基準を決定できる圧電
素子電気的・機械的破損検出方法および圧電素子検査装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット方式を利用した印刷装置
に使用されるインクジェットプリンタ用圧電素子はその
用途ゆえに、インク飛翔に関わる柱部、すなわち、駆動
電圧により機械的な振動を実現する柱部が1つの圧電素
子内に複数本存在し、これらの柱部は全てインク飛翔に
関わるので、破損が致命的要素になるため、圧電素子の
従来の検査においては、これら1個の柱部ずつ全柱部に
ついての検査を実行している。また、インクジェットプ
リンタ用圧電素子の検査に当たっては、圧電素子内のど
の部分で破損しているかが不明であるため、検査する圧
電素子形状に合わせて、ある一定範囲で周波数掃引し、
インピーダンスを測定していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来技
術のインクジェットプリンタ用圧電素子の検査には多大
なる工数がかかっていた。その理由を以下に説明する。
【0004】まず、第1の理由は、インクジェットプリ
ンタ用圧電素子はその用途ゆえに、インク飛翔に関わる
柱部、すなわち、駆動電圧により機械的な振動を実現す
る柱部が1つの圧電素子内に複数本存在し、これらの柱
部は全てインク飛翔に関わるので、破損が致命的要素に
なるため、これら1個の柱部ずつ全柱部についての検査
が必要となり、1圧電素子内に複数の要検査ポイントが
存在するからである。
【0005】また、第2の理由は、これらの柱部形成段
階で、様々な製造要素が関わり、結果として、電気的な
破損は勿論、柱部が折れる等の外観上で明確な破損や外
観上では判断できない内部的な破損が発生する可能性を
持っているため、これらの検査を実施する必要があるか
らである。
【0006】そして、第3の理由は、第2の理由で述べ
た様々な破損の検出手段の1つとして「インピーダン
ス」検査を実施することが有効であるが、検査に当たっ
ては、圧電素子内のどの部分で破損しているかが不明で
あるため、検査する圧電素子形状に合わせて、ある一定
範囲で周波数掃引し、インピーダンスを測定しなければ
ならず、この測定時間が非常に長くかかるからである。
【0007】発明者が実際直面した状況を例にとると、
1圧電素子のインピーダンス検査を実施するのに、5乃
至10分、1個の柱部当たり20秒程要していた。この
ような時間がかかる検査は、製品開発レベルの検査や評
価時の1個の柱部ずつの詳細データ取得目的の測定等に
は非常に有効であるが、本願の主目的であるインクジェ
ットプリンタ用圧電素子の量産に当たっての検査には適
さないと判断するのが一般的である。
【0008】本発明は斯かる問題点を鑑みてなされたも
のであり、その目的とするところは、インピーダンスデ
ータ量が格段に少量で済み量産に適した効率的な合否判
定基準を決定できる圧電素子電気的・機械的破損検出方
法および圧電素子検査装置を提供する点にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明の
要旨は、インク飛翔に関わる複数の柱部が形成されてい
るインクジェットプリンタ用圧電素子に対してインピー
ダンス測定を行って当該インク飛翔に関わる柱部の電気
的および機械的破損を検出して良品/不良品を判定する
工程を有することを特徴とする圧電素子電気的・機械的
破損検出方法に存する。また、請求項2に記載の発明の
要旨は、掃引周波数をある特定の所定の少なくとも1つ
以上の周波数に固定して前記インピーダンス測定を実施
する工程を有することを特徴とする請求項1に記載の圧
電素子電気的・機械的破損検出方法に存する。また、請
求項3に記載の発明の要旨は、前記インピーダンス測定
に必要な電気的接続を当該柱部毎に独立させた状態で切
り替えるスイッチング工程と、前記スイッチング工程を
用いて当該複数の柱部の中から任意の柱部を選択すると
ともに、当該選択した柱部に対して前記インピーダンス
測定を実行して少なくともインピーダンスデータを含む
測定データを取得する工程を有することを特徴とする請
求項1または2に記載の圧電素子電気的・機械的破損検
出方法に存する。また、請求項4に記載の発明の要旨
は、前記インピーダンス測定に必要な電気的接続を当該
柱部毎に独立させた状態で切り替えるスイッチング工程
と、前記スイッチング工程を実行して取得した前記イン
ピーダンスデータの少なくとも平均値および標準偏差を
含む統計データを生成する工程と、前記統計データを基
に、前記複数のインク飛翔に関わる柱部のそれぞれのイ
ンピーダンスばらつきを判定する工程を有することを特
徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の圧電素
子電気的・機械的破損検出方法に存する。また、請求項
5に記載の発明の要旨は、前記複数のインク飛翔に関わ
る柱部のそれぞれのインピーダンスばらつきを、あらか
じめ用意してある基準となるインピーダンスばらつきの
値と対比して前記インクジェットプリンタ用圧電素子の
合否判定を行う工程を有することを特徴とする請求項4
に記載の圧電素子電気的・機械的破損検出方法に存す
る。また、請求項6に記載の発明の要旨は、前記インク
ジェットプリンタ用圧電素子の合否判定を行う工程は、
前記複数の柱部の中の任意の範囲に含まれる柱部のそれ
ぞれの掃引周波数に対応した前記インピーダンスデータ
を取得し当該掃引周波数のそれぞれに対する前記インピ
ーダンスデータを対比する際に、何らかの破損を持って
いる柱部の掃引周波数とこれに対応した前記インピーダ
ンスデータから形成される曲線を前記インクジェットプ
リンタ用圧電素子の合否判定の基準的要素として設定す
る工程を含むことを特徴とする請求項5に記載の圧電素
子電気的・機械的破損検出方法に存する。また、請求項
7に記載の発明の要旨は、前記インクジェットプリンタ
用圧電素子の合否判定を行う工程は、前記複数の柱部の
中の任意の範囲に含まれる柱部のそれぞれの掃引周波数
に対応した前記インピーダンスデータを取得し当該掃引
周波数のそれぞれに対する前記インピーダンスデータを
対比する際に、前記インクジェットプリンタ用圧電素子
内の任意の範囲に含まれる柱部のそれぞれの各掃引周波
数ごとの前記インピーダンスデータの前記統計値を算出
し、前記統計値のばらつきを示す指標を前記インクジェ
ットプリンタ用圧電素子の合否判定の基準的要素として
設定する工程を含むことを特徴とする請求項5に記載の
圧電素子電気的・機械的破損検出方法に存する。また、
請求項8に記載の発明の要旨は、インク飛翔に関わる複
数の柱部が形成されているインクジェットプリンタ用圧
電素子に対してインピーダンス測定を行って当該インク
飛翔に関わる柱部の電気的および機械的破損を検出して
良品/不良品を判定する手段を有することを特徴とする
圧電素子検査装置に存する。また、請求項9に記載の発
明の要旨は、掃引周波数をある特定の所定の少なくとも
1つ以上の周波数に固定して前記インピーダンス測定を
実施する手段を有することを特徴とする請求項8に記載
の圧電素子検査装置に存する。また、請求項10に記載
の発明の要旨は、前記インピーダンス測定に必要な電気
的接続を当該柱部毎に独立させた状態で切り替えるスイ
ッチング手段と、前記スイッチング手段を用いて当該複
数の柱部の中から任意の柱部を選択するとともに、当該
選択した柱部に対して前記インピーダンス測定を実行し
て少なくともインピーダンスデータを含む測定データを
取得する手段を有することを特徴とする請求項8または
9に記載の圧電素子検査装置に存する。また、請求項1
1に記載の発明の要旨は、前記インピーダンス測定に必
要な電気的接続を当該柱部毎に独立させた状態で切り替
えるスイッチング手段と、前記スイッチング手段を実行
して取得した前記インピーダンスデータの少なくとも平
均値および標準偏差を含む統計データを生成する手段
と、前記統計データを基に、前記複数のインク飛翔に関
わる柱部のそれぞれのインピーダンスばらつきを判定す
る手段を有することを特徴とする請求項8乃至10のい
ずれか一項に記載の圧電素子検査装置に存する。また、
請求項12に記載の発明の要旨は、前記複数のインク飛
翔に関わる柱部のそれぞれのインピーダンスばらつき
を、あらかじめ用意してある基準となるインピーダンス
ばらつきの値と対比して前記インクジェットプリンタ用
圧電素子の合否判定を行う手段を有することを特徴とす
る請求項11に記載の圧電素子検査装置に存する。ま
た、請求項13に記載の発明の要旨は、前記インクジェ
ットプリンタ用圧電素子の合否判定を行う手段は、前記
複数の柱部の中の任意の範囲に含まれる柱部のそれぞれ
の掃引周波数に対応した前記インピーダンスデータを取
得し当該掃引周波数のそれぞれに対する前記インピーダ
ンスデータを対比する際に、何らかの破損を持っている
柱部の掃引周波数とこれに対応した前記インピーダンス
データから形成される曲線を前記インクジェットプリン
タ用圧電素子の合否判定の基準的要素として設定する手
段を含むことを特徴とする請求項12に記載の圧電素子
検査装置に存する。また、請求項14に記載の発明の要
旨は、前記インクジェットプリンタ用圧電素子の合否判
定を行う手段は、前記複数の柱部の中の任意の範囲に含
まれる柱部のそれぞれの掃引周波数に対応した前記イン
ピーダンスデータを取得し当該掃引周波数のそれぞれに
対する前記インピーダンスデータを対比する際に、前記
インクジェットプリンタ用圧電素子内の任意の範囲に含
まれる柱部のそれぞれの各掃引周波数ごとの前記インピ
ーダンスデータの前記統計値を算出し、前記統計値のば
らつきを示す指標を前記インクジェットプリンタ用圧電
素子の合否判定の基準的要素として設定する手段を含む
ことを特徴とする請求項12に記載の圧電素子検査装置
に存する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明は、主にインクジェット方
式を利用した印刷装置に使用されるインクジェットプリ
ンタ用圧電素子の圧電素子電気的・機械的破損検出方
法、特に量産に適した圧電素子電気的・機械的破損検出
方法並びにその検査判定基準決定方法を提供するもので
ある。以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明す
る。
【0011】図1は本発明の検査対象となるインクジェ
ットプリンタ用圧電素子1の一例である。図1におい
て、1はインクジェットプリンタ用圧電素子、2は柱
部、3は基盤部、4は内部電極部、5は外部電極部、1
7はノズル部を示している。
【0012】図1を参照すると、当該インクジェットプ
リンタ用圧電素子1はインクを飛翔させるために駆動波
形印加により駆動する柱部2とそれを支持する基盤部
3、内部電極部4、外部電極部5を備えている。
【0013】この柱部2は、インクジェットプリンタ用
圧電素子1の焼成後、インクジェットプリンタのインク
飛翔部、すなわち、ノズル部17の各ノズル間ピッチに
合わせて、焼成済みのインクジェットプリンタ用圧電素
子1に外部電極部5を形成し、溝入れがなされ、1個の
インクジェットプリンタ用圧電素子1に数十の溝と柱部
2が形成されたインクジェットプリンタ用圧電素子1の
ような形状が形成される。溝入れ手段としては、ワイヤ
ー加工やダイシング加工等、周知の加工技術が挙げられ
る。
【0014】しかしながら、一般にインクジェットプリ
ンタ用圧電素子1は強度的に脆いため、こうした加工時
に、形成しようとする柱部2が折れたり、外観上では判
断できない内部破損を受ける等のダメージを受けてしま
う可能性がある。さらには、こうした加工時点以前のイ
ンクジェットプリンタ用圧電素子1の焼成条件等によ
り、こうしたダメージを受けやすくなる要素を持ってし
まう可能性もある。柱部2はインク飛翔に関わるので、
柱部2の何らかの破損がインク飛翔に関わる致命的な要
素、例えば、インク飛翔動作中やインクジェットヘッド
組み立て時に柱部2が折れるといった障害発生につなが
りうるのである。
【0015】したがって、1個のインクジェットプリン
タ用圧電素子1内に複数のインク飛翔に関わる柱部2を
形成しているために、1個のインクジェットプリンタ用
圧電素子1の内の1個の柱部2のみに何らかの破損があ
るだけで、インクジェットプリンタ用圧電素子1は「不
良品」として除外しなければならない。
【0016】以上のような理由において、複数の柱部2
のそれぞれの検査が必要となるわけであるが、これらを
不良品かどうか判別する1つの手段として「インピーダ
ンス」検査を実施することが有効である。インピーダン
スは周知のとおり、以下の式で表され、インクジェット
プリンタ用圧電素子1のインピーダンス測定により、電
気的な異常とともに、外観上明確な破損は勿論、外観上
で判断できない内部破損等の機械的破損を検出すること
が可能である。
【0017】ここで、インピーダンスZはZ=R+j
X,X=ωL−1/ωC=2πfL−1/2πfC(た
だし、fは周波数)で定義されている。
【0018】しかしながら、インクジェットプリンタ用
圧電素子1内のどの部分で破損しているかは不明である
ため、測定に当たってはインクジェットプリンタ用圧電
素子1の形状に合わせて、ある一定範囲で周波数掃引
し、インピーダンスZを測定しなければならない。例え
ば、図1の形状のインクジェットプリンタ用圧電素子1
を測定する場合、柱部2の寸法に合わせて(厳密には柱
部2の振動モードに合わせて)、測定周波数を1kHz
から2MHzの範囲で掃引したインピーダンスZの測定
を行うことが有効である。
【0019】しかしながら、このようにある一定範囲で
周波数掃引してインピーダンスZの測定を行うことは、
1個のインクジェットプリンタ用圧電素子1に形成され
る複数の柱部2のそれぞれの測定には非常に有効である
が、膨大な測定時間が必要となるため、本発明の目的で
あるインクジェットプリンタ用圧電素子1の量産に当た
っての合否判定には適さない。
【0020】発明者が実施した実験例によれば、この方
法による測定時間は1個の柱部当たり20秒程度を要
し、1個のインクジェットプリンタ用圧電素子1内の柱
部2を全て測定するのに5乃至10分を要することとな
る。また、データ量は1個の柱部当たり12キロバイト
であった。測定時間は使用する測定機器類、測定する1
個のインクジェットプリンタ用圧電素子1内の柱部数
(=測定ポイント数)、掃引周波数範囲およびこの範囲
内でのデータ取得ポイント数、データ転送・処理手段等
の違いによりばらつきはあると考えられるが、通常、量
産時に1部品の1検査工程で5分以上を要する検査はコ
スト的な余裕がない限り得策ではない。
【0021】このような背景において、本実施の形態
は、1個のインクジェットプリンタ用圧電素子1に数十
個の柱部2、すなわち、複数の要検査ポイントが存在す
るというインクジェットプリンタ用圧電素子1の複数の
柱部2のそれぞれのインピーダンス検査において、特に
量産時をターゲットとして量産時検査に耐えうる圧電素
子電気的・機械的破損検出技術を提供するものである。
【0022】次に本実施の形態の特徴を説明する。ま
ず、圧電素子電気的・機械的破損検出方法についてであ
るが、掃引周波数は1ポイント固定周波数とし、1個の
インクジェットプリンタ用圧電素子1内の数十個分の柱
部2のインピーダンスデータを取得する。すなわち、1
個のインクジェットプリンタ用圧電素子1の測定におい
て、掃引周波数を固定し、インピーダンスデータ数十個
分の柱部2を得ることとなる。
【0023】さらに、取得した数十個分の柱部2のイン
ピーダンスデータの平均値や標準偏差といった統計値を
計算し、1個のインクジェットプリンタ用圧電素子1内
の数十個分の柱部2のインピーダンスZのばらつきを計
算する。このインピーダンスZのばらつきがある範囲
内、すなわち、合否判定基準範囲内であれば「良品」、
範囲外であれば「不良品」と判定することができる。
【0024】次に上記判定基準の決定法の特徴について
以下に記載する。図2は各柱部2とも電気的な異常や外
観上明確な破損、外観上で判断できない内部破損等が存
在しない場合の掃引周波数−インピーダンス曲線を示す
グラフであり、図3は各柱部2とも電気的な異常や外観
上明確な破損、外観上で判断できない内部破損等が存在
する場合の掃引周波数−インピーダンス曲線を示すグラ
フである。
【0025】本実施の形態では、例えば、図1のような
インクジェットプリンタ用圧電素子1において、柱部2
のそれぞれのインピーダンスZを柱部2全ての分だけ取
得する。この際、インクジェットプリンタ用圧電素子1
の形状に合わせてある一定範囲で周波数掃引したインピ
ーダンスデータを取得する。測定するインクジェットプ
リンタ用圧電素子1の各柱部2とも電気的な異常や外観
上明確な破損、外観上で判断できない内部破損等がない
場合、取得したインピーダンスデータを整理すると図2
に示すように、柱部2のそれぞれの掃引周波数−インピ
ーダンス曲線は全ての柱部2(任意の範囲に含まれる柱
部の一例)においてほぼ重なる。ところが、電気的な異
常や外観上明らかな破損は勿論、外観上で判断できない
内部破損を持つ柱部2が存在した場合、この柱部2につ
いての掃引周波数−インピーダンス曲線だけは、他の柱
部2の掃引周波数−インピーダンス曲線と比べて、全測
定周波数のある範囲内または、全ての範囲で重ならない
部分が生ずる。このような状態を図3のグラフに示す。
なお、任意の範囲に含まれる柱部の一例として、全ての
柱部2についての例を示したが、これに特に限定される
ことなく、1個のインクジェットプリンタ用圧電素子1
内を複数のブロックに分割することも可能である。この
場合、判定基準もまたこれに合わせた幾つかのブロック
に分けて算出したばらつき基準を用いる必要がある。こ
のように、任意の範囲を全ての柱部2にするか、あるい
は幾つかのブロックに分割するかは、測定検査対象およ
び判定基準を基に適宜決定する必要がある。例えば、左
端の数個の柱部2と、残りの柱部2と、右端の数個の柱
部2の3つのブロックに分割することも可能である。こ
の場合、判定基準もまたこれに合わせた3つのブロック
に分けて算出したばらつき基準を用いる必要がある。
【0026】このような作業を一定数量のインクジェッ
トプリンタ用圧電素子1について実施し、図2に示すよ
うに、柱部2のそれぞれの掃引周波数−インピーダンス
曲線が重なる場合のばらつきと、図3のグラフに示すよ
うな重ならない場合のばらつきそれぞれを計算、比較
し、これらのばらつきを示す数値により、図2のグラフ
に示すような状態と図3のグラフに示すような状態の境
界線、すなわち、「良品」/「不良品」の判定が可能と
なる。
【0027】本実施の形態における判定基準決定法は以
上のような過程により計算されたばらつきを示す数値を
判定基準とすることを特徴としている。
【0028】以下、本発明の実施の形態について図面を
参照して詳細に説明する。図4は本発明における図1に
示すようなインクジェットプリンタ用圧電素子1のイン
ピーダンス検査システムの一例を図示したものである。
図4において、1はインクジェットプリンタ用圧電素
子、6はインピーダンスアナライザ、7はスイッチング
装置、8はコントローラ、9はワーク設置ジグ/プロー
ブユニットを示している。
【0029】図4を参照すると、本実施の形態の圧電素
子検査装置は、インピーダンスアナライザ6、スイッチ
ング装置7、コントローラ8、ワーク設置ジグ/プロー
ブユニット9を備えている。
【0030】まずワーク設置ジグ/プローブユニット9
には図1に示すようなインクジェットプリンタ用圧電素
子1が設置される。ワーク設置ジグ/プローブユニット
9にはインクジェットプリンタ用圧電素子1に形成され
ているインク飛翔に関わる柱部2に対応する間隔でプロ
ーブが取りつけられており、インピーダンスZの測定時
に、このプローブがインクジェットプリンタ用圧電素子
1に接触し、測定できるようになっている。
【0031】本実施の形態では、掃引周波数は1点固定
とし、スイッチング装置7により1個のインクジェット
プリンタ用圧電素子1内の数十個の柱部2を順番にスイ
ッチングし、数十個の柱部2のインピーダンスZを測定
するようなプログラムがコントローラ8内に記憶されて
いる。このプログラムは当然のことながら、各測定デー
タをインピーダンスアナライザ6からコントローラ8に
転送、データ処理、合否判定を行う機能を保持している
ことは言うまでもない。
【0032】コントローラ8内のデータ処理部では、1
個のインクジェットプリンタ用圧電素子1内の数十個の
柱部2に対応するインピーダンスデータが集計処理さ
れ、平均値および標準偏差等の統計値を算出、データの
ばらつきがある一定範囲内、すなわち、合否判定基準範
囲内に収まっている場合には「良品」判定を、そうでな
い場合には「不良品」判定を出すことが可能になってい
る。
【0033】次に既述したような検査を実施するに当た
り、インクジェットプリンタ用圧電素子1が「良品」な
のか、それとも「不良品」なのかを判定する合否判定の
基準の決定方法について以下に説明する。
【0034】例えば、図1のようなインクジェットプリ
ンタ用圧電素子1において、柱部2のそれぞれのインピ
ーダンスデータを柱部2全部について取得する。この
際、インクジェットプリンタ用圧電素子1の形状に合わ
せてある一定範囲で周波数掃引したインピーダンスデー
タを取得する。
【0035】測定するインクジェットプリンタ用圧電素
子1の各柱部2とも電気的な異常や外観上明確な破損、
外観上で判断できない内部破損等がない場合、取得した
インピーダンスデータを整理すると図2に示すように、
柱部2のそれぞれの掃引周波数−インピーダンス曲線は
全ての柱部2(任意の範囲に含まれる柱部の一例)にお
いてほぼ重なる。
【0036】ところが、電気的な異常や外観上明らかな
破損は勿論、外観上で判断できない内部破損を持つ柱部
2が存在した場合、この柱部2についての掃引周波数−
インピーダンス曲線だけは、他の柱部2の掃引周波数−
インピーダンス曲線と比べて、全測定周波数のある範囲
内または、全ての範囲で重ならない部分が生ずる。この
ような状態を示すグラフを図3に示す。
【0037】図3のように、電気的な異常や外観上明確
な破損、外観上で判断できない内部破損等が存在する柱
部2は、こうした破損のない正常な柱部2が持つ掃引周
波数−インピーダンス曲線に重ならず、柱部2の破損状
態に応じた掃引周波数−インピーダンス曲線を形成す
る。
【0038】このようなインピーダンス不良モードは、
既述したように、柱部2を形成するために行う柱部加工
により発生したり、またはその前段階であるインクジェ
ットプリンタ用圧電素子1の焼成条件により発生する
等、製造上の諸条件・諸工程で発生する可能性がある。
発明者が実施した試作評価ではこのようなインピーダン
ス不良モードは十数種にも及んでいる。すなわち、柱部
2の破損の仕方が十数種も存在するということになる
が、上述したようにインピーダンス不良モード発生要因
は、製造上の諸条件に左右されるため、その製造条件に
よっては、さらに、多くの不良モードが発生する可能性
がある。
【0039】次に以上に述べたようなインピーダンスZ
の測定により得られたインピーダンスデータの統計値を
各掃引周波数ごとに1個のインクジェットプリンタ用圧
電素子1内の全ての柱部2(任意の範囲に含まれる柱部
の一例)について計算する。この作業は各インクジェッ
トプリンタ用圧電素子1に実施する。
【0040】例えば、各掃引周波数ごとに対応する1個
のインクジェットプリンタ用圧電素子1内の全ての柱部
2(任意の範囲に含まれる柱部の一例)のインピーダン
スZを記述し、これら柱部2全ての分のインピーダンス
Zの平均値および標準偏差を計算する。
【0041】以上のような作業を、あらかじめ「良品」
/「不良品」と分かっている一定数量のインクジェット
プリンタ用圧電素子1に対して実施すると、各掃引周波
数ごとのインピーダンスZについて、「良品」のインク
ジェットプリンタ用圧電素子1の平均値および標準偏
差、「不良品」のインクジェットプリンタ用圧電素子1
の平均値および標準偏差が算出できる。ここで必然的に
「不良品」のインクジェットプリンタ用圧電素子1の1
個のインクジェットプリンタ用圧電素子1内の標準偏差
が「良品」のインクジェットプリンタ用圧電素子1のそ
れよりも、ある掃引周波数の範囲で大きい値となる。つ
まり、ある掃引周波数の範囲では電気的な異常や外観上
明確な破損、外観上で判断できない内部破損等が存在す
る柱部2が形成する掃引周波数−インピーダンス曲線
が、いわゆる「良品」の柱部2のそれに重ならない現象
が生じる。したがって、この掃引周波数の範囲では「良
品」のインクジェットプリンタ用圧電素子1と「不良
品」のインクジェットプリンタ用圧電素子1の間に合否
判定するべく、標準偏差を基にした境界線を引くことが
できる。すなわち、合否判定基準を決定できるわけであ
る。
【0042】ここでは標準偏差を用いたが、発明者が実
施した実験例では標準偏差/平均値(単位は%)を判断
基準としており、いわゆる、「ばらつき」を示す指標で
あれば、どれでも適用可能である。
【0043】以上述べた作業結果について発明者の実例
を示すと以下のようであった。図2に示したような、1
個のインクジェットプリンタ用圧電素子1内の全ての柱
部2(任意の範囲に含まれる柱部の一例)の掃引周波数
−インピーダンス曲線がほぼ重なっている状態の場合、
すなわち、「良品」と判定するべきインクジェットプリ
ンタ用圧電素子1の場合、この1個のインクジェットプ
リンタ用圧電素子1の各柱部2間の各掃引周波数ごとの
インピーダンスZのばらつきは1kHz〜800kHz
の範囲で、5%以内であった。この数値はある一定数量
のあらかじめ「良品」と分かっているインクジェットプ
リンタ用圧電素子1についても同様であった。
【0044】ところが図3のような1個のインクジェッ
トプリンタ用圧電素子1の内のただ1個の柱部2だけに
何らかの破損が存在する場合には、各柱部2間の各掃引
周波数ごとのインピーダンスZのばらつきは、当然のこ
とながら、ほぼ曲線が重なっている周波数範囲ではばら
つきが小さいが、内部破損等の存在が疑われる場所に相
当する周波数範囲では大きくずれて、ばらつきが大きく
なっており、これらの周波数範囲では5%以上のばらつ
きであった。
【0045】上述したように、こうしたインピーダンス
不良モードは発明者の試作評価では十数種も存在してお
り、これらの全不良モードにつき、1個のインクジェッ
トプリンタ用圧電素子1の各掃引周波数ごとのインピー
ダンスZのばらつきを算出した。様々なインピーダンス
不良モードが存在するため、例えば、500kHz以降
の周波数でインピーダンスZに不良が存在する場合や低
周波数側1kHz以降に不良が存在する等の多彩なイン
ピーダンス不良モードがあり、どの周波数に「異常」と
判断できる要素が生じるかは実際測定してみなければ分
からない状態である。さらには、1個のインクジェット
プリンタ用圧電素子1内にただ1個の柱部2だけ何らか
の破損が存在するというものではなく、複数の柱部2に
破損がある場合もあり、これらを本発明の主目的であ
る、1つの固定周波数での合否判定するという観点から
見ると、どこの周波数でも合否判定が行えるというもの
ではない。
【0046】上述したように、発生した全てのインピー
ダンス不良モードを持つインクジェットプリンタ用圧電
素子1のそれぞれについて、各掃引周波数ごとのインピ
ーダンスZのばらつきを算出した上で、これらを「良
品」のインクジェットプリンタ用圧電素子1の各掃引周
波数ごとのインピーダンスZのばらつきと比較し、全て
のインピーダンス不良モードを区分けできる掃引周波数
とその周波数でのインピーダンスZのばらつきについ
て、検証を実施することが非常に重要である。
【0047】このような考え方から発明者は、既述した
過程に沿って検証を実施し、掃引周波数を700kHz
に固定し、この周波数におけるインピーダンスZの測定
を実施した場合、「良品」のインクジェットプリンタ用
圧電素子1では、1個のインクジェットプリンタ用圧電
素子1内数十個分の柱部2のインピーダンスZのばらつ
きが5%以内、数十個の柱部2の内の1個の柱部2また
はそれ以上が内部破損等により破損しているインクジェ
ットプリンタ用圧電素子1の場合(判定は「不良品」)
はインピーダンスZのばらつきが5%以上との結果を得
ることができた。
【0048】したがって、本例の場合、1個のインクジ
ェットプリンタ用圧電素子1内数十個分の柱部2のイン
ピーダンスZのばらつきの判定基準を5%に置き、これ
以内であれば「良品」、これ以上であれば「不良品」と
判断でき、この5%というばらつきを示す数値を合否判
定基準と決定するに至った。従来は掃引周波数1kHz
〜2MHzの範囲で1個の柱部当たり20秒程度、1個
のインクジェットプリンタ用圧電素子1では5乃至10
分かかっていたインピーダンスZの測定が、この方法を
適用することにより、1個のインクジェットプリンタ用
圧電素子1のインピーダンス検査を約30秒程で実施す
ることが可能となり、非常に大きな効果を得るに至っ
た。
【0049】次にこれらの応用例について説明する。上
記の例では掃引周波数を1点固定で測定を行ったが、既
述したようにインクジェットプリンタ用圧電素子1製造
・加工条件等次第では、インピーダンス不良モードに様
々なモードが発生することが予想され、その不良モード
に合わせた掃引周波数で測定することが必要なため、掃
引周波数を1点固定にするのみならず、数点の周波数に
おけるインピーダンスZにより良品不良品の判定を行う
ことが必要な場合も十分に考えられる。いずれにして
も、従来の広い範囲、上述した例では掃引周波数1kH
z〜2MHzの範囲で検査に比べ、少量のデータ量で済
み、短時間での検査が可能であるため、量産により適し
た圧電素子電気的・機械的破損検出方法である。
【0050】さらに、別の応用例について説明する。上
記説明した実施の形態は、1個のインクジェットプリン
タ用圧電素子1内に存在するインク飛翔に関わる柱部2
全柱部2について、ある1つの固定周波数、または、数
点の周波数におけるインピーダンスZのばらつきを基に
合否判定を実施するものであった。これに対し、以下に
述べる実施の形態は、1個のインクジェットプリンタ用
圧電素子1をいくつかの単位ブロックに分け、それぞれ
の単位ブロック内での1つの固定周波数、または、数点
の周波数におけるインピーダンスZのばらつきを基に合
否判定を実施するものである。
【0051】その理由は、1個のインクジェットプリン
タ用圧電素子1に存在するインク飛翔に関わる柱部2の
インピーダンスZは、柱部2が存在する場所、すなわ
ち、1個のインクジェットプリンタ用圧電素子1内の端
の方に存在するのか、中央付近に存在するのかといった
違いや製造条件によって微妙な違いがあり、したがっ
て、端の方に存在する柱部2が形成する掃引周波数−イ
ンピーダンス曲線と中央付近に存在する柱部2が形成す
るそれとが、よく重ならない場合があるからである。こ
のような場合には、例えば、1個のインクジェットプリ
ンタ用圧電素子1を3単位ブロックに分割し、それぞれ
の単位ブロック内に存在する柱部2のそれぞれの1つの
固定周波数、または、数点の周波数におけるインピーダ
ンスZのばらつきを基に合否判定することも可能であ
る。
【0052】以下に本発明の実施の形態の動作について
図4および図1を用いて説明する。まず、図4のワーク
設置ジグ/プローブユニット9に検査対象となる図1の
ようなインクジェットプリンタ用圧電素子1が設置され
る。次にスイッチング装置7によりインクジェットプリ
ンタ用圧電素子1内の数十の柱部2の各々が順にスイッ
チングされ、その間、インピーダンスアナライザ6によ
り柱部2のそれぞれのインピーダンスZが測定される。
これらの測定データはコントローラ8に送信され、コン
トローラ8内に設定されたプログラムにより、数十個の
柱部2のインピーダンス平均値および標準偏差を算出、
データのばらつきがある一定範囲内すなわち、合否判定
基準に収まっている場合には「良品」判定を、そうでな
い場合には「不良品」判定を出すようになっている。以
上の動作は全てコントローラ8で制御される。
【0053】以上説明したように本実施の形態によれば
以下に掲げる効果を奏する。まず第1の効果は、従来の
インピーダンス検査方法、すなわち、圧電素子形状に合
わせて、ある一定範囲、既に述べた例では1kHz〜2
MHzの範囲で周波数掃引し、インピーダンスZを測定
する方法に比べ、掃引する周波数は1点固定、または数
点であり、その結果、インピーダンスデータ量が格段に
少量で済み、測定データのインピーダンスアナライザ6
等の測定器からコントローラ8への転送およびコントロ
ーラ8でのデータ処理等、全てにおいて短時間で済ませ
ることができることである。
【0054】また第2の効果は、様々なインピーダンス
不良を持つインクジェットプリンタ用圧電素子1および
「良品」と判断できるインクジェットプリンタ用圧電素
子1を利用して量産に適した効率的な合否判定基準を決
定できることである。
【0055】そして第3の効果は、第1の効果および第
2の効果により、インクジェットプリンタ用圧電素子1
の合否判定を簡易的にごく短時間で可能にするため、よ
り量産に適した圧電素子電気的・機械的破損検出方法を
提供することができることである。
【0056】最後に、本発明と関係があると思考される
先行技術と本発明とを対比して本発明の技術的差違につ
いて説明する。
【0057】本発明と関係があると思考される先行技術
としては、例えば、特開平6−3305号公報(第1先
行技術)に記載のものがある。すなわち、第1先行技術
は、圧電素子の共振周波数から反共振周波数近傍の周波
数帯において、マイクロクラックがない基準圧電素子と
マイクロクラックが存在する圧電素子のインピーダンス
周波数特性曲線をそれぞれ取得比較し、これらのパター
ンが異なる場合に、マイクロクラックが存在すると判定
する圧電素子のマイクロクラックの非破壊的検査方法、
または、共振周波数から反共振周波数近傍の区間を3つ
の区間に区切り、これらのそれぞれの区間内で基準圧電
素子が本来持つピーク数(共振点数や反共振点数)を基
準として、被検圧電素子のピーク数と基準圧電素子のピ
ーク数を比較して、圧電素子のマイクロクラックの存在
を判定する圧電素子のマイクロクラックの非破壊的検査
方法である。
【0058】本発明と上記第1先行技術の相違について
考えると、本発明と第1先行技術は、まず、インクジェ
ットプリンタ用圧電素子を非破壊的に検査する方法とし
てインピーダンス検査を適用し、マイクロクラックがな
いインクジェットプリンタ用圧電素子が形成するインピ
ーダンス周波数特性曲線が、マイクロクラックが存在す
るインクジェットプリンタ用圧電素子が形成するそれに
重ならないことに着目し、非破壊的検査を行う点では同
じ内容である。
【0059】しかしながら、本発明は、第1に、マイク
ロクラックがないインクジェットプリンタ用圧電素子が
形成するインピーダンス周波数特性曲線を基準とはして
いないこと、また、第2に、インクジェット用圧電素子
に特有と思考される、1個のインクジェットプリンタ用
圧電素子内に複数形成された柱部(すなわち、被検圧電
素子)の全てのインピーダンス周波数特性曲線を取得
し、これらのパターンの重なり具合を、1固定周波数ま
たは数点の固定周波数における全柱部(または、1個の
インクジェットプリンタ用圧電素子内を数柱部分ずつ、
いくつかのブロックに分けた柱部)の分のインピーダン
スの平均値およびばらつきを示す指標(例えば、標準偏
差)により、判断するものである。すなわち、バラツキ
を示す指標がある一定値(=判定基準)以上であれば、
1個のインクジェットプリンタ用圧電素子内に複数形成
された柱部のうちのいくつかに電気的、機械的破損があ
ると判断することを特徴としており、上記第1先行技術
に記載したピーク数を判定基準にしていない点、および
上記第1先行技術に記載した共振周波数から反共振周波
数近傍の区間をいくつかの区間に区切ることなく、1固
定周波数または数点の固定周波数でのばらつきを示す指
標により判定する点で第1先行技術とは構成および効果
を異にすると思考される。
【0060】また、本発明は、特に共振周波数から反共
振周波数近傍の周波数に限るものではなく、被検圧電素
子の破損モードが検出できればよい。実際、共振でも反
共振でもなく、これらよりもっと低い測定周波数700
KHzで検査を実施する点で第1先行技術とは構成およ
び効果を異にすると思考される。
【0061】また、本発明では、本明細書の図2に示す
曲線よりもインピーダンスが大きい方向へシフトした状
態(形状はほぼ相似)で出てくることに対応して、積層
型圧電素子の電気的・機械的破損検出を主に実施する点
で第1先行技術とは構成および効果を異にすると思考さ
れる。その理由は、積層型圧電素子は圧電材と電極材を
サンドイッチ構造にしているため、インクジェットプリ
ンタ用圧電素子の製造時点で、サンドイッチ構造部分の
電極材(内部電極)が物理的に断線する可能性を持って
おり、この断線により、インピーダンス周波数特性曲線
に大きな違いが出てくるからである。
【0062】また、本発明で実施している「櫛」のよう
な形を形成した積層型圧電素子は、その「櫛」に相当す
る(本発明では「柱部」と記載)部分を形成するのに、
本明細書に記載したダイシング等を適用する点で第1先
行技術とは構成および効果を異にすると思考される。
【0063】現状では、1個のインクジェットプリンタ
用圧電素子内の複数の柱部のそれぞれの寸法はその加工
精度により少しずつ異なり、また、1個のインクジェッ
トプリンタ用圧電素子内の中央付近の柱部と端付近の柱
部とでは1PA内の場所が異なるために(左右対称でな
い等の理由により)、周波数インピーダンス特性曲線、
特に共振周波数から反共振周波数近傍の重なり具合があ
まり良くない。具体的には、ばらつきが700KHz付
近で5%ぐらいに対し、共振点付近ではばらつきが20
%以上となる。さらに、インクジェットプリンタ用圧電
素子が異なれば、共振点付近でのばらつきは40%等と
いうときもある。このため、共振周波数から反共振周波
数近傍での検査は実施できないという現状がある。逆に
言えば、単純な形状の圧電素子(バイモルフ等)だから
こそ第1先行技術のような共振周波数から反共振周波数
近傍での検査が可能であると言うことができる。以上説
明したように本発明は第1先行技術とは構成および効果
を異にすると思考される。
【0064】なお、本発明が上記実施の形態に限定され
ず、本発明の技術思想の範囲内において、実施の形態は
適宜変更され得ることは明らかである。また上記構成部
材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、
本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にするこ
とができる。また、各図において、同一構成要素には同
一符号を付している。
【0065】
【発明の効果】本発明は以上のように構成されているの
で、以下に掲げる効果を奏する。まず第1の効果は、従
来のインピーダンス検査方法、すなわち、圧電素子形状
に合わせて、ある一定範囲で周波数掃引し、インピーダ
ンスを測定する方法に比べ、掃引する周波数は1点固
定、または数点であり、その結果、インピーダンスデー
タ量が格段に少量で済み、測定データのインピーダンス
アナライザ等の測定器からコントローラへの転送および
コントローラでのデータ処理等、全てにおいて短時間で
済ませることができることである。
【0066】また第2の効果は、様々なインピーダンス
不良を持つインクジェットプリンタ用圧電素子および
「良品」と判断できるインクジェットプリンタ用圧電素
子を利用して量産に適した効率的な合否判定基準を決定
できることである。
【0067】そして第3の効果は、第1の効果および第
2の効果により、インクジェットプリンタ用圧電素子の
合否判定を簡易的にごく短時間で可能にするため、より
量産に適した圧電素子電気的・機械的破損検出方法を提
供することができることである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の検査対象となるインクジェットプリン
タ用圧電素子の一例である。
【図2】各柱部とも電気的な異常や外観上明確な破損、
外観上で判断できない内部破損等が存在しない場合の掃
引周波数−インピーダンス曲線を示すグラフである。
【図3】各柱部とも電気的な異常や外観上明確な破損、
外観上で判断できない内部破損等が存在する場合の掃引
周波数−インピーダンス曲線を示すグラフである。
【図4】本発明における図1に示すようなインクジェッ
トプリンタ用圧電素子のインピーダンス検査システムの
一例を図示したものである。
【符号の説明】
1…インクジェットプリンタ用圧電素子 2…柱部 3…基盤部 4…内部電極部 5…外部電極部 6…インピーダンスアナライザ 7…スイッチング装置 8…コントローラ 9…ワーク設置ジグ/プローブユニット 17…ノズル部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G01R 29/22 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/045 B41J 2/055 G01M 19/00 G01N 27/02 G01R 29/22

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクジェットプリンタ用圧電素子の電
    気的・機械的破損検出方法であって、 上記圧電素子に具備されてノズル部を構成する複数の柱
    部に対し、電気的接続を順次切り換えながら、特定の周
    波数に関してインピーダンス測定を実施するスイッチン
    グ工程と、 各柱部に関して測定したインピーダンスデータに基づ
    き、上記圧電素子内における柱部のインピーダンスばら
    つきを判定する工程と、 判定したインピーダンスばらつきを、予め用意してある
    基準となるインピーダンスばらつきの値と対比して上記
    圧電素子の合否判定を行う工程とを有することを特徴と
    する圧電素子の電気的・機械的破損検出方法。
  2. 【請求項2】 上記スイッチング工程では、2以上の周
    波数に関してインピーダンス測定を実施することを特徴
    とする請求項1記載の圧電素子の電気的・機械的破損検
    出方法。
  3. 【請求項3】 インクジェットプリンタ用圧電素子の電
    気的・機械的破損の検査装置であって、 上記圧電素子に具備されてノズル部を構成する複数の柱
    部に対し、電気的接続を順次切り換えるスイッチング手
    段と、 上記スイッチング手段によって接続された柱部に対し、
    特定の周波数でインピーダンス測定を実施する手段と、 各柱部に関して測定したインピーダンスデータに基づ
    き、上記圧電素子内における柱部のインピーダンスばら
    つきを判定する手段と、 判定したインピーダンスばらつきを、予め用意してある
    基準となるインピーダンスばらつきの値と対比して上記
    圧電素子の合否判定を行う手段とを有することを特徴と
    する圧電素子の電気的・機械的破損検査装置。
  4. 【請求項4】 インピーダンスを測定する手段は、2以
    上の周波数に関してインピーダンス測定を実施すること
    を特徴とする請求項3記載の圧電素子の電気的・機械的
    破損検出装置。
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