JP3384238B2 - 液晶表示素子 - Google Patents

液晶表示素子

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JP3384238B2
JP3384238B2 JP10153996A JP10153996A JP3384238B2 JP 3384238 B2 JP3384238 B2 JP 3384238B2 JP 10153996 A JP10153996 A JP 10153996A JP 10153996 A JP10153996 A JP 10153996A JP 3384238 B2 JP3384238 B2 JP 3384238B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、液晶表示素子に
関し、詳しくは、外力によって書き込むことが可能で、
かつ持続的な表示が可能な液晶表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】筆圧や指圧等の外力によって書き込むこ
とが可能な液晶表示素子として、特開昭63−2945
23号公報に開示された技術がある。この技術は、基
板、液晶層、外力で変形可能で透明な表面保護膜とから
構成され液晶表示素子を提案しており、外力によって変
形された領域と変形されていない領域とで、液晶の分子
配列状態が変化して光学的コントラストが生じるのを利
用して、外力によって書き込むのを可能としている。
【0003】この技術では、持続的な表示(外力除去後
にも表示状態が維持することをいう。)を得るために、
外力除去後に液晶の分子配列状態が外力印加前の状態に
自然回復することを抑制する技術を提案している。すな
わち、表面保護膜のクリープ変形を抑制すること、液晶
の粘性を調整すること、あるいは配向膜の配向力を抑制
することを開示している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、表面保護膜の
クリープ変形を抑制してもそのクリープ変形を禁止する
ことはできないために、クリープ変形によって自然形状
に回復することにより次第に表示が消えていってしま
う。あるいは、配向力を抑制してもその配向力をゼロと
することはできないために、表示は消えていってしま
う。したがって、長期間にわたって表示を維持すること
はできない。また、粘性の高い強誘電性液晶を用いる
と、前二者による場合に比較してやや長い時間にわたっ
て表示することが可能となるが、それでも長期間に渡る
表示の維持は到底困難である。このように、従来の技術
においては、電界効果等の他の表示維持手段を作用させ
ることなく、長期間にわたって表示を維持することがで
きないという問題がある。そこで、本発明では、外力に
よる入力が可能で、かつ、別個に表示維持手段を作用さ
せなくても、持続的な入力表示が可能な液晶表示素子を
提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記した課題を解決する
ため、本発明者らは、液晶に液晶の分子配列状態を維持
する第2成分を混在させることが可能であり、この混合
物を利用することによって持続的な表示が可能であるこ
とを見いだして本発明を完成した。すなわち、本発明で
は、少なくとも一方が透光性であり、少なくとも一方が
外力により弾性変形可能である、一対の基板と、これら
の基板間に充填された、液晶とこの液晶の分子配列状態
を維持する第2成分とを含有する液晶組成物、とを備え
た液晶表示素子を創作した。
【0006】外力が付与されて弾性変形可能な基板が変
形されると、この変形に対応する領域において、液晶組
成物が変形される。この変形により、この領域において
は、整列されていた液晶の分子配列状態が乱される。こ
れにより、分子配列状態の乱されていない他の領域との
間で光学的コントラストが生じる。すなわち、外力を与
えることで書き込むことが可能となっている。外力が除
去されて、基板の変形が回復した後においても、この領
域における液晶の分子配列状態は、第2成分により維持
され続ける。この結果、外力によって変形された領域の
液晶の分子配列状態は、外力除去後にも、他の領域での
分子配列状態と区別されて光学的コントラストが生じた
状態が維持され、持続的な表示が可能となる。
【0007】この場合、前記液晶組成物としては、いず
れかの周波数においてその誘電異方性が正である液晶
と、下記の3特性、すなわち、透明性で、前記液晶が連
続相あるいは不連続相を形成した状態でこの液晶と混在
され、この液晶の分子の配向を規制する官能基を備えた
高分子材料からなる第2成分を用いることが好ましい。
【0008】この液晶組成物によると、液晶が正の誘電
異方性を有する周波数で電圧を印加すると、基板間で電
場方向に平行に液晶分子の長軸が配向されて整列され、
透明状態が得られる。基板を介した外力により液晶組成
物が変形された領域では、液晶の分子配列状態が乱され
る。また、この乱れた分子配列状態は、高分子材料の官
能基との相互作用により再配向することが規制され、こ
の結果、付与した外力の除去した後にも、この領域で
は、透明状態とは異なった分子配列状態が維持される。
したがって、変形された領域では、乱れた分子配列状
態、すなわち、光散乱状態が維持され、変形を受けた領
域と他の透明領域との間で光学的コントラストが生じた
状態が維持される。ここで、再び、液晶が正の誘電異方
性を有する周波数で電圧を印加すると、基板間で電場方
向に平行に液晶の分子の長軸が配向されて整列され、透
明状態が復帰する。すなわち、表示が消去される。ま
た、この液晶組成物は、光散乱型液晶を構成するため、
明るい表示が可能であるとともに、配向膜や偏光板等を
必要としない。
【0009】また、前記液晶組成物として、いずれかの
周波数においてその誘電異方性が正である液晶と、この
液晶中に分散され、この液晶の分子と親和性を示す偏平
形状の粒子である第2成分を用いることが好ましい。
【0010】この液晶組成物によると、液晶が正の誘電
異方性を有する周波数で電圧を印加すると、基板間で電
場方向に液晶分子の長軸が配向されて整列され、透明状
態が得られる。基板を介した外力により液晶組成物が変
形された領域では、液晶の分子と偏平形状粒子の配列状
態が乱される。この乱れた分子配列状態は、乱れた状態
のままの偏平形状粒子が有する親和性により、再配向す
ることが規制され、この結果、付与した外力を除去した
後にも、この領域では、透明状態とは異なった分子配列
状態が維持される。したがって、この領域では、光散乱
状態が維持され、変形を受けた領域と他の領域との間で
光学的コントラストが生じた状態が維持される。この液
晶組成物は、光散乱型液晶を構成できるため、前記した
液晶組成物と同様の点の利点がある。
【0011】また、前記液晶表示素子は、基板に与えら
れた外圧の大きさに応じて液晶の分子配列状態がされ、
外力除去後に外力付与時の液晶の分子配列状態が維持さ
れることにより階調表現を可能とすることができる。こ
の発明によると、外力に応じて液晶の分子配列状態が変
化されるため、大きな外力を加えるほど、分子配列状態
が大きく乱れて散乱強度が強くなる。また、小さい外力
を加えたときには、配列状態があまり乱れずに散乱強度
が弱いため、他の領域との間で弱い光学的コントラスト
が得られる。このような乱れた分子配列状態が、第2成
分により維持されるため、光学的コントラストの強弱
が、そのまま維持されて階調表現が可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につ
き、詳細に説明する。本発明に用いる液晶組成物は、液
晶と液晶の分子配列状態を維持できる第2成分とを含有
した組成物である。 (液晶)液晶は、一種類のものを単独で用いてもよい
が、2種類以上の液晶の混合物を用いてもよい。一般に
は、種々の性質を満足する液晶を得るために、2種類以
上の液晶の混合物を用いることが好ましい。液晶は、い
ずれかの周波数においてその誘電異方性が正であること
が好ましい。なお、いずれかの周波数において誘電異方
性が正であれば、周波数により正あるいは負の誘電異方
性を併せ有する液晶(2周波駆動性液晶)であってもよ
い。周波数の選択により合目的的に使用できるからであ
る。なお、混合液晶の場合、誘電異方性が負である液晶
を含んでいても、混合液晶全体において、いずれかの周
波数において誘電異方性が正であればよい。
【0013】また、液晶は、ネマチック性のもの、電場
を印加して表示を消去する差異の電場応答性が高いとい
う点で好ましいが、コレステリック性又はスメチック性
のものも、所要の電場応答性を示す限りにおいては使用
できる。さらに、液晶分子の分子量は問わないが、電場
応答性が高く、表示を消去するための電場応答のための
閾値電圧を低く設定することができる、低分子量のもの
を用いることが好ましい。なお、ここでいう「低分子
量」とは、液晶分子の化学構造に応じて異なるが、例え
ば分子量1000以下であることをいう。このような液
晶としては、例えば、[化1]〜[化58]に示すもの
がある。これらに示す化学式中、n,mは、それぞれ1
〜17の整数である。ただし、本発明に用いることがで
きる液晶は、低分子量のものに限られない。
【0014】
【化1】
【0015】
【化2】
【0016】
【化3】
【0017】
【化4】
【0018】
【化5】
【0019】
【化6】
【0020】
【化7】
【0021】
【化8】
【0022】
【化9】
【0023】
【化10】
【0024】
【化11】
【0025】
【化12】
【0026】
【化13】
【0027】
【化14】
【0028】
【化15】
【0029】
【化16】
【0030】
【化17】
【0031】
【化18】
【0032】
【化19】
【0033】
【化20】
【0034】
【化21】
【0035】
【化22】
【0036】
【化23】
【0037】
【化24】
【0038】
【化25】
【0039】
【化26】
【0040】
【化27】
【0041】
【化28】
【0042】
【化29】
【0043】
【化30】
【0044】
【化31】
【0045】
【化32】
【0046】
【化33】
【0047】
【化34】
【0048】
【化35】 〔式中、R1 は、炭素数1〜17のアルキル基を表し、
2 は、炭素数1〜17のアルキル基を表す〕
【0049】
【化36】 〔式中、R3 は、炭素数1〜17のアルキル基を表し、
4 は、炭素数1〜17のアルキル基を表す〕
【0050】
【化37】 〔式中、R5 は、炭素数1〜17のアルキル基を表し、
6 は、炭素数1〜17のアルキル基を表す〕
【0051】
【化38】 〔式中、R7 は、炭素数1〜17のアルキル基を表し、
8 は、炭素数1〜17のアルキル基を表す〕
【0052】
【化39】 〔式中、R9 は、炭素数1〜17のアルキル基を表し、
10は、炭素数1〜17のアルキル基を表す〕
【0053】
【化40】 〔式中、R11は、炭素数1〜17のアルキル基を表し、
12は、炭素数1〜17のアルキル基を表す〕
【0054】
【化41】 〔式中、R13は、炭素数1〜17のアルキル基を表す〕
【0055】
【化42】 〔式中、R14は、炭素数1〜17のアルキル基を表す〕
【0056】
【化43】 〔式中、R15は、炭素数1〜17のアルキル基を表す〕
【0057】
【化44】 〔式中、R16は、炭素数1〜17のアルキル基を表す〕
【0058】
【化45】 〔式中、R17は、炭素数1〜17のアルキル基を表す〕
【0059】
【化46】 〔式中、R18は、炭素数1〜17のアルキル基を表す〕
【0060】
【化47】 〔式中、R19は、炭素数1〜17のアルキル基を表し、
20は、炭素数1〜17のアルキル基を表す〕
【0061】
【化48】 〔式中、R21は、炭素数1〜17のアルキル基を表し、
22は、炭素数1〜17のアルキル基を表す〕
【0062】
【化49】 〔式中、R23は、炭素数1〜17のアルキル基を表し、
24は、炭素数1〜17のアルキル基を表す〕
【0063】
【化50】 〔式中、R25は、炭素数1〜17のアルキル基を表し、
26は、炭素数1〜17のアルキル基を表す〕
【0064】
【化51】 〔式中、R27は、炭素数1〜17のアルキル基を表し、
28は、炭素数1〜17のアルキル基を表す〕
【0065】
【化52】 〔式中、R29は、炭素数1〜17のアルキル基を表し、
30は、炭素数1〜17のアルキル基を表す〕
【0066】
【化53】 〔式中、R31は、炭素数1〜17のアルキル基を表し、
32は、炭素数1〜17のアルキル基を表す〕
【0067】
【化54】 〔式中、R33は、炭素数1〜17のアルキル基を表し、
34は、炭素数1〜17のアルキル基を表す〕
【0068】
【化55】 〔式中、R35は、炭素数1〜17のアルキル基を表し、
36は、炭素数1〜17のアルキル基を表す〕
【0069】
【化56】 〔式中、R37は、炭素数1〜17のアルキル基を表す〕
【0070】
【化57】 〔式中、R38は、炭素数1〜17のアルキル基を表す〕
【0071】
【化58】 〔式中、R39は、炭素数1〜17のアルキル基を表す〕
【0072】(第2成分)第2成分は、外部刺激を受け
ない限り、液晶の分子配列状態を維持することのできる
成分である。なお、ここで言う外部刺激とは、電場、磁
場、熱、応力による変形等をいう。このような第2成分
を含んだ液晶組成物であると、例えば、誘電異方性が正
を示す周波数の電場をかけると、液晶分子は、電場方向
に配向し、透明性を発現する。第2成分は、電圧印加停
止後も、このような透明性を発現する分子配列状態を維
持する。また、透明性を発現する配列状態において、外
力が作用して液晶層が変形した領域の液晶の分子配列状
態が変化すると、外力除去後にもその変化した分子配列
状態を、電圧無印加状態で持続的に維持することができ
る。
【0073】このような第2成分としては、以下に説明
する高分子材料と、偏平形状の粒子を挙げることがで
き、これらの第2成分は、液晶と複合体を形成する。
【0074】(液晶−高分子複合体)第2成分の一つ
は、透明性で、液晶が連続相あるいは不連続相を形成し
た状態で液晶と混在され、液晶の分子の配向を規制する
官能基を備えた高分子材料である。
【0075】この高分子材料は、それ自体透明性がある
ことが必要である。また、その屈折率は、複合化される
液晶の常光屈折率とほとんど一致することが好ましい。
この高分子材料は、また、液晶と混在されていることが
必要である。液晶組成物のいずれの領域においても、与
えられた変形に対応して、均一な表示の持続を可能とす
るためである。また、高分子材料は、液晶が連続相ある
いは不連続相を形成した状態で液晶と混在される。
【0076】液晶組成物において、液晶が連続相を形成
した状態とは、高分子材料が3次元ネットワーク状に分
散し、このネットワーク構造体の連続する空隙に液晶が
存在した状態(いわゆるPNLCタイプ)、さらには、
粒子状あるいは薄片の高分子材料が、液晶中に分散され
た状態を挙げることができる。これらの場合に、高分子
材料により形成される空隙の大きさや形状は必要に応じ
て選択することができる。そのサイズは、0.05μm
〜10μmであり、好ましくは、0.1μm〜5μmで
あり、さらに好ましくは、0.5μm〜5μmである。
空隙のサイズは、可視光の波長と同等程度であること
が、表示時の光散乱に最も効果があり、大きすぎる場合
には光散乱効果が弱まる。小さすぎる場合には透明時の
透明性が損なわれ、あるいは表示の消去に高い電圧が必
要となる。このように液晶が連続相を形成する高分子材
料を用いた液晶組成物は、液晶が不連続相で存在する液
晶組成物に比較して、表示を消去する際の閾値電圧を低
くでき、また、応答速度も速いため、好ましい。
【0077】液晶組成物において、液晶が不連続相を形
成した状態とは、高分子材料に完全に囲繞された液晶の
ドメインが多数形成されている状態をいう。具体的に
は、高分子材料が独立空胞を有しており、この空胞内に
液晶が満たされている状態(いわゆるPDLCタイプ)
を挙げることができる。この場合に高分子材料の空胞
は、必要に応じて、その大きさや形状を選択することが
できるが、そのサイズは、0.05μm〜10μmであ
り、好ましくは、0.1μm〜5μm、さらに好ましく
は0.5μm〜5μmである。空胞のサイズは、可視光
の波長と同程度であることが表示時の光散乱に最も効果
があり、大きすぎる場合には光散乱効果が弱まる。小さ
すぎる場合には透明時の透明性が損なわれ、あるいは表
示の消去に高い電圧が必要となる。
【0078】このような複合体構造を形成するには、液
晶と高分子材料との複合体を形成する公知の各種方法
(液晶をマイクロカプセル化する方法、液晶とポリマー
を溶解している溶剤を蒸発させる方法、加熱溶解した液
晶と熱可塑性樹脂の均一混合液を冷却させる方法等)を
用いることができる。また、粒子状や薄片状の高分子材
料を単に液晶に混合するだけでもよい。好ましくは、重
合して高分子材料を形成することができるモノマーと液
晶との混合液に紫外線照射や加熱等の刺激を加えてモノ
マーを重合させることであり、より好ましくは、紫外線
照射による重合である。なお、重合に際しては、架橋剤
を混入させておいて、重合体を架橋させることもでき
る。また、光開始重合剤、光増感剤などの添加剤、反応
性希釈剤、有機溶媒等を添加して重合させることもでき
る。
【0079】例えば、モノマー重合法による場合には、
液晶が連続相を形成するか、不連続相を形成するかは、
液晶と高分子材料の種類(原料としては高分子を形成す
るモノマー)との組み合わせにもよるが、液晶とモノマ
ーとの割合を選択することにより、おおよそ作り分けす
ることができる。一般にモノマーの割合が多いとPDL
Cタイプになりやすく、モノマーの割合が少ないとPN
LCタイプになりやすい。液晶−高分子複合体における
高分子材料の割合は、5〜95重量%であり、好ましく
は5〜80重量%である。さらに好ましくは、10〜8
0重量%であり、より好ましくは、20〜80重量%で
ある。高分子材料の割合が多すぎたり、少なすぎる場合
には光散乱効果が弱まる。また、高分子材料の割合が多
すぎる場合には、表示の消去に高い電圧が必要となる。
【0080】高分子材料は、液晶の分子配列状態を維持
できるように、液晶の分子の配向を規制することができ
る官能基を備えている。より具体的には、液晶の分子を
再配向させる外部刺激が加わらないかぎり、液晶の分子
の配向を規制できる官能基である。高分子材料がこのよ
うな官能基を有する形態としては、高分子材料が官能基
を有するモノマーからなり、あるいはかかるモノマーを
含んでいることにより、官能基が高分子材料の一部をな
している場合、あるいは、官能基を含む化合物が高分子
材料に均一に混合されている場合も含まれる。
【0081】高分子材料が備えている官能基としては、
水酸基、アミド基、アミノ基、ウレア基、ウレタン基、
カルボン酸基、フェノール基等の官能基が好適に用いら
れる。また、モノマーを重合することにより高分子材料
に官能基を導入する場合に用いるモノマーとしては、光
又は熱等で重合可能な2重結合等の基を1つ有した単官
能性、又は2つ以上有した多官能性のものを挙げること
ができる。また、モノマーは、前記官能基を1つ又は2
つ以上有していても構わず、2つ以上の場合その官能基
が同一でも、それぞれ異なっていても構わない。具体的
には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1
−又は2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、
1−又は2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、
1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、
1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、
グリセロールモノ(メタ)アクリレート、2−アミノエ
チル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、
モノアルキル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリ
ルアミド、モノアルキル(メタ)アクリルアミド、(メ
タ)アクリル酸、4−ヒドロキシベンジル(メタ)アク
リレート、Kayarad R-167, Kayarad PET-128, Kayarad
R-128H(以上前3製品、日本化薬製) 等を挙げることが
できる。
【0082】また、高分子材料における前記官能基を有
するモノマーの割合は、5重量%〜100重量%であ
り、好ましくは、20重量%〜100重量%であり、さ
らに好ましくは、40重量%〜100重量%である。前
記官能基を有するモノマーの割合が少なすぎると、透明
時の透明性が損なわれる場合がある。
【0083】また、共重合モノマー、架橋剤としては、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレ
ート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)
アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、1,4
−ブタンジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキシルジ
(メタ)アクリレート、ポリエチレンジ(メタ)アクリ
レート、ポリプロピレンジ(メタ)アクリレート、Kaya
rad HX-620、KayaradHX-220、Kayarad R-684 、Kayarad
TMPTA 、Kayarad GPO-303 、Kayarad R-551、Kayarad
R-712 ( 以上前7製品は日本化薬製)を挙げることがで
きる。架橋剤の添加により、高分子材料の機械的強度を
向上させることができる。光開始重合剤としては、2−
ヒドロキシ−2−メチル−1−フェノキシプロパン−1
−オン、ベンジルジメチルケタール等を挙げることがで
きる。
【0084】このような高分子材料と混在される液晶
は、いずれかの周波数においてその誘電異方性が正であ
る液晶が好ましい。かかる液晶であれば、明るいディス
プレイを構成できる光散乱型液晶を形成でき、偏光板や
配向膜も不要となる。
【0085】図1には、一例として、透明性で弾性変形
可能な基板4と、もう一方の基板6と、液晶組成物とし
て、いずれかの周波数でその誘電異方性が正である液晶
10と液晶が連続相を形成するようなネットワーク構造
を有する高分子材料11との液晶−高分子複合体8を用
いた液晶セル2の断面構造を示す。(a)では、誘電異
方性が正となる周波数の電場を印加すると、液晶10は
電場方向と平行に配向されて整列され、透明状態とな
る。この状態は、外部刺激が作用されない限り、電圧印
加終了後も継続する。そして、次に、電場無印加状態と
し、(b)に示すように、基板4に外力を加えると、基
板4は変形され、さらに、対応する領域の液晶10の分
子配列状態が乱れる。この結果、この領域においては光
散乱状態となり、透明状態の領域との間で光学的コント
ラストが生じる。この際、高分子材料11に備えられた
官能基により、その再配向が規制され、乱れた分子配列
状態が維持される。その後、基板4の変形が回復して
も、液晶10の分子配列は、官能基により、外力作用中
の分子配列状態に維持される。この結果、外力が付与さ
れない領域(透明領域)とのコントラストが生じた状態
が維持される((c)参照)。さらに、その後、誘電異
方性が正となる周波数の電場を印加すると、液晶10が
電場方向に沿って配向され、表示状態は消去され、透明
状態となる((a)参照)。なお、図1では、液晶が連
続相を形成する液晶−高分子複合体について説明した
が、液晶が不連続相を形成する液晶−高分子複合体につ
いても、同様の作用を奏する。
【0086】(液晶−偏平形状の粒子の複合体) 偏平形状の粒子の「偏平」とは、粒子のアスペクト比が
ある程度以上大きいことを言い、効率的に液晶組成物中
に液晶のドメインを形成し、この粒子の有する親和性に
より液晶分子の配列状態を維持するには、一般的にはア
スペクト比が2以上、より好ましくは5以上であること
が望ましい。粒子の形状は、板状のものに限らず、棒状
あるいは針状であっても良い
【0087】偏平形状の粒子を構成する材料については
限定しない。粒子には親和性が求められるが、親和性は
材料処理によっても付与することもできる。また、必ず
しも透明でなくてもよい。この偏平形状の粒子が電場に
より自ら配向変化を起こす粒子である場合には、その配
向変化が明瞭・迅速に起こり、これにより、応答速度を
速くすることができるとともに、入力表示の消去の際の
閾値電圧を低くすることができる。
【0088】電場により自ら配向変化を起こす偏平形状
の粒子の好ましい例として、層状粘土鉱物や、酸化チタ
ン,アルミナホワイト(水不溶性塩基性硫酸アルミニウ
ム),炭酸カルシウム,薄片状酸化亜鉛,鱗片状アルミ
ニウム粉,紺青,ヘマタイト酸化物,各種セラミックス
の板状結晶,グラファイト等が挙げられる。更に、有機
物結晶や有機物の金属錯体等も使用できる。なお、電場
により自ら配向変化を起こさない粒子も、本願発明にお
いて使用することができる。電場応答性の小さい、ある
いは殆どない粒子の例として、ポリエチレン,ポリプロ
ピレン,ポリテトラフルオロエチレン等の有機ポリマ−
より構成される粒子が挙げられる。
【0089】一方、液晶組成物の応答速度を液晶そのも
のの応答速度と同等に保つためには、偏平形状の粒子は
液晶分子と界面を通してのみ相互作用し、液晶の内部粘
性に殆ど影響を与えないものであることが好ましい。
【0090】以上の要求を考慮した時、偏平形状の粒子
として用いる材料としては、層状粘土鉱物が最も好まし
い。層状粘土鉱物としては、天然のあるいは合成された
モンモリロナイト,サポナイト,マイカ,ヘクトライト
等を用いることができるが、とりわけ、液晶中に比較的
分散し易いという理由から、モンモリロナイトが代表的
である。また、偏平形状の粒子として特願平4−360
551号( 特開平6−200034号公報)に記載され
た層状有機ケイ素系ポリマーも特に好ましい。ここに、
層状有機ケイ素系ポリマーとは、ケイ素又は金属を中心
原子とする4面体シートと金属を中心原子とする8面体
シートとの積層体からなる結晶性層状ポリマーであっ
て、前記4面体シートの中心原子であるケイ素又は金属
の一部ないし全部の原子がそれぞれ共有結合により有機
基と結合していることを特徴とする層状有機ケイ素系ポ
リマーである。以下、「層状粘土鉱物等」といういうと
きは、層状粘土鉱物及び層状有機ケイ素系ポリマーを指
す。
【0091】偏平形状の粒子の粒径(粒径とは、ここで
は、粒子の最大長をいうものとする。)は、0.1〜2
0μm程度が適当である。粒径がこの範囲より小さい
と、液晶のドメインを有効に形成させることができず、
粒子の親和性により、配列状態を有効に維持することが
できない、という不具合がある。粒径がこの範囲より大
きいと、調光材料やそれを用いたデバイスを構成した場
合に液晶組成物の不均一性が目立ち、外観上の不具合を
生じ、また、デバイスとして数十μmのセルギャップを
有するセルを構成した場合に物理的に配向が不十分にな
る恐れがある。特に好ましい粒径の範囲は0.2〜5μ
mである。層状粘土鉱物等をこれらの適当な粒径の範囲
で調製することは容易である。
【0092】偏平形状の粒子は、液晶のドメインを有効
に形成させる程度の密度に分散していることが好まし
い。一方、偏平形状の粒子の密度が高すぎて、互いにそ
の配向の変化を束縛する程になるのも好ましくない。こ
れらの要求に同時に答える密度は、液晶の種類あるいは
偏平形状の粒子の種類やサイズ等に応じて異なり、一律
に規定することは困難であるが、一般的には、液晶10
0重量部に対し偏平形状の粒子1〜10重量部を分散さ
せるのが望ましい。偏平形状の粒子が層状粘土鉱物等で
ある場合にも、この範囲が当てはまる。
【0093】偏平形状の粒子の液晶中における分散状態
として、かならずしも個々の粒子が完全に分散した状態
を要求されるものではなく、粒子の一部が数個〜数十個
凝集していても、全体として偏平形状の粒子の前記作用
・効果が奏される程度に分散していれば足りる。例え
ば、層状粘土鉱物等は、液晶中での分散状態において、
その一部は往々にして数十の粒子個体(単位層)が重な
った状態で存在するが、それでも十分に偏平形状の粒子
の前記作用・効果が奏される。
【0094】このような粒子は、液晶の分子配列状態を
維持するために、液晶との親和性を有している。偏平形
状の粒子が、例えば一部の有機物結晶や有機物の金属錯
体のように、もともと液晶との親和性を有する材料から
成っている場合は、そのまま用いれば良い。しかし、偏
平形状の粒子が、例えば層状粘土鉱物等の如き無機物か
らなる粒子のように、液晶との親和性を有しない材料か
ら成っている場合には、液晶との親和性を持たせるため
の処理が必要となる。このような処理の例として、一般
的には粒子の表面に有機物を吸着させたり結合させたり
する処理がある。
【0095】特に偏平形状の粒子が層状粘土鉱物である
場合には、これに液晶との親和性を持たせるために、イ
オン交換を行うことが有効である。即ち、層状粘土鉱物
の層間にはアルカリ金属イオンが存在するので、これを
液晶分子と親和性のある有機オニウムイオンや、液晶基
を有するオニウムイオンと交換(いわゆる、有機化)す
ることにより液晶との親和性を持たせることができる。
【0096】上記オニウムイオンの種類は、液晶分子と
親和性の優れたものが良いから、使用する液晶分子の種
類の応じて最適なものが選択されるが、例えばアルキル
アンモニウムイオン等が代表的である。なお、有機オニ
ウムイオンの選択により、層状粘土鉱物の表面の性質
や、電気的、光学的性質、分散性、電場に対する応答性
等を種々に制御することができる、という利点がある。
【0097】液晶と、これに対する親和性を有する偏平
形状の粒子との組成物を調製するに当たっては、両者を
単に混合すれば足りる。但し、共通溶媒を利用して両者
を均一に混合した後、共通溶媒を適当な手段で除去する
と、より均一に混合される。液晶と層状粘土鉱物等との
組成物を調製するに当たっても、同じことが言える。
【0098】このような偏平形状の粒子と混合される液
晶は、いずれかの周波数においてその誘電異方性が正で
ある液晶であることが好ましい。かかる液晶であれば、
明るいディスプレイを構成できる光散乱型液晶を形成で
き、偏光板や配向膜も不要となる。
【0099】図2には、一例として、透明性で弾性変形
可能な基板14と、もう一方の基板16と、液晶組成物
として、いずれかの周波数でその誘電異方性が正である
液晶20と液晶中に分散された、液晶と親和性を有する
偏平形状の粒子22との液晶−偏平形状粒子複合体18
を用いた液晶セル12の断面構造を示す。(a)に示す
ように、誘電異方性が正となる周波数の電場を印加する
と、液晶20が電場方向と平行に配向されて整列され、
また、偏平形状粒子22は、液晶分子20に対する親和
性を有するために、液晶分子とともに電場方向と平行に
配列され、セル12は、透明状態となる。この状態は、
さらに外部刺激が作用されない限り、電圧印加終了後の
継続する。そして、次に、(b)に示すように、電場印
加停止後に、基板14に外力を加えると、基板14は変
形され、さらに、対応する領域の液晶20の分子配列状
態と偏平形状粒子22との配列状態が乱れ、この領域の
み光散乱状態となり、透明状態の領域との間で光学的コ
ントラストが生じる。この際、液晶20は、偏平形状粒
子22の有する親和性により、再配向が規制され、偏平
形状粒子22とともに乱れた配列状態が維持される。そ
の後、基板14の変形が回復しても、偏平形状粒子22
と液晶20の配列状態は、外力作用中の配列状態に維持
される。この結果、外力が付与されない領域(透明領
域)との間でコントラストが生じた状態が維持される
((c)参照)。さらに、その後、誘電異方性が正とな
る周波数の電場を印加すると、液晶20と偏平形状粒子
22は、電場方向に沿って配向され、表示状態が消去さ
れ、透明状態となる((a)参照)。
【0100】(基板)液晶表示素子を構成する一対の基
板は、少なくとも一方が透光性であり、かつ少なくとも
一方が弾性変形可能である必要がある。しかし、その組
合せは自由である。透明性であり、しかも弾性変形可能
な基板を一方に有するものであってよく、一方の基板が
透明性であり、他方の基板が弾性変形可能であってもよ
い。なお、弾性変形可能とは、外力を加えた時に凹陥
し、その後回復可能であることをいう。透明性で弾性変
形可能であるものとしては、例えば、PETフィルム,
アクリルフィルムのような透明な樹脂フィルム,ポリイ
ソプレン等のゴムのフィルム等が挙げられる。透明で弾
性体でないものとしては、例えば、ガラスや、PET
板、アクリル板、ポリスチレン板のような透明な樹脂板
等が挙げられる。透明でない弾性変形可能な基板として
は、例えば、ポリプロピレン,ポリエチレン,ナイロン
等の結晶性の樹脂フィルムや、カ−ボンブラック等を添
加した樹脂、ゴムのフィルムが挙げられる。また、これ
らにアルミニウム等を蒸着したり、アルミニウム箔等の
金属箔をはることにより、反射効率を高めたものでも良
い。このような弾性変形可能な基板の表面には、入力に
支障がなければ、傷つき防止のために、ハ−ドコ−ト材
料等が塗布してあっても構わない。
【0101】透明電極としては、インジウムスズオキサ
イド(ITO)等が挙げられる。透明ではない電極とし
ては、鉄,銅,クロム,金,銀等の通常の導電性の材料
が挙げられる。これらの電極を基板として使用すること
もできる。また、さまざまな電極パタ−ンが形成されて
いても良い。
【0102】(スペ−サ)基板間のギャップを規定し、
かつ基板の変形が書き込み領域以外に及ばないよう基板
を支えるために、スペ−サを用いることが好ましい。特
に、本発明の液晶組成物においても、全体が流動性を示
す液晶一微粒子複合体の場合には所定量のスペ−サを用
いることが必要である。このスペ−サとしては、ポリス
チレンやガラスビ−ズのような球状粒子や所定の穴のあ
いたポリマフィルムなどが挙げられる。ビ−ズの量は、
液晶組成物が液晶一高分子複合体を用いるか、液晶一微
粒子複合体を用いるかにより異なり、液晶一高分子複合
体の場合は、1mm2 当たり1〜500個であり、液晶
一微粒子複合体の場合は1mm2 当たり50〜500個
が好ましい。また、そのサイズは、セルギャップにより
決まるが、液晶表示素子の表示コントラストとの兼ね合
いから2から50μm程度が好ましい。さらに、好まし
くは5から30μmである。ポリマフィルムの場合は、
その占有面積が、90%以下となり、かつ効率的に表示
素子のすべての部分を支える構造とすることが好まし
い。そのような構造として、例えばハニカム構造を有す
るフィルムが挙げられる。ハニカムのセルサイズは、2
0から500μm程度であることが好ましい。また、ハ
ニカムセルの壁の厚みはセルサイズの1/5から1/1
00程度であることが好ましい。もちろん、セルの形状
はハニカムに限定されるものではなく、円形でも多角形
でもよい。フィルムの厚さは、ビ−ズの場合と同様に、
2から50μm程度が好ましい。
【0103】(シ−ル剤)液晶表示素子の周囲は、セル
の機械的強度を保ち、液晶の酸化劣化などを防止するた
めにシ−ル剤等でシ−ルしておくことが好ましい。この
シ−ル剤には特に限定はなく、エポキシ系シ−ル剤など
一般的なものを用いることができる。
【0104】(入力手段)基板に変形を与える手段とし
ては、セルを構成する弾性変形可能な基板に変形を与
え、液晶の分子配列状態、あるいは加えて偏平形状の粒
子の配列状態を乱すことができれば如何なる手段でも用
いることができる。例えば、指先,ペン等によるいわゆ
る手書き入力,タイプライタ−,印等による定型的な入
力,ドットプリンタ−等による点入力等が挙げられる。
【0105】(読みとり手段)本液晶表示素子は、目視
はもちろんのこと必要に応じて公知の技術を組み合わせ
て電気的あるいは光学的に書き込みデ−タを読みとるこ
とができる。 (1)電気的読みとり手段 本表示素子への書き込み状態と非書き込み状態とでは、
液晶の分子配列状態が異なり、このため、液晶分子の誘
電異方性から、電極間の容量に違いが生じる。この違い
を検出することにより、電気的な読みとりをおこなうこ
とができる。具体的には、基板に全面電極の代わりにマ
トリックス状のX−Y電極を作り込み、各画素の書き込
み状態と非書き込み状態との電気容量を計測することに
より、書き込み状態を電気的に読みとる。電気容量の計
測には、様々な手法を用いることができるが、例えばテ
レビジョン学会技術報告,Vol.8,No.50に示
された方法が有効である。この方法による読みとり回路
を図3に示す。この回路は、片面に平行につけられたm
本のX電極X1 〜Xm 、もう一方の片面につけられ、か
つX電極X1 〜Xm とは直交するように配置されたn本
のY電極Y1 〜Yn、さらに画素を選択するためのXお
よびYの各電極にとりつけられたXおよびYスイッチ3
0、32、またYスイッチの片方にとりつけられた検出
用信号電圧発振回路A、また、各画素の流れ込む電流を
電圧に変換する電流・電圧変換回路B,基準電圧と検出
電圧を比較するコンパレ−タC、さらには比較結果を取
り込むラッチ回路Dよりなる。
【0106】本検出回路は以下に示した動作により書き
込まれた情報を読みとることができる。まず、検出用信
号電圧発振回路Aより、Yスイッチ32を切り替えて線
順次的にY電極Y1 〜Yn に一定周波数の三角波検出用
信号電圧(VR )を印加していく。ここで、選択されて
いるY電極は一本であり、非選択電極はクロスト−クを
防止するため接地している。選択されているY電極上の
各画素の容量に応じてX電極X1 〜Xm に流れ込む検出
電流(IS )は、(1)式に示したように、dVR /d
tが一定であるため、画素の容量(Cnm)のみに比例
する。従って、選択されているY電極の読み出し期間内
で、各X電極X1 〜Xm の検出電流をXスイッチ30を
順次切り替えて電圧・電流変換回路Bに入力,電圧に変
換し、さらにコンパレ−タCにおいて非書き込み状態に
対応する基準電圧と比較し、ラッチ信号CPのタイミン
グでラッチ回路Dに比較結果を取り込むことにより、各
画素の容量、すなわち書き込み状態を検出することがで
きる。ここで、検出用信号の周波数とXスイッチ30の
開閉タイミングを同期させるようにする。これを線順次
的に各Y電極Y1 〜Yn について行うことにより、全画
素の書き込み状態を検出することができる。 Is=Cnm・dVR /dt −(1)
【0107】さらに、各画素の基準電圧を非書き込み状
態においてあらかじめ計測し、これらのデ−タをメモリ
しておいて、各画素の基準電圧をそれぞれのタイミング
にあわせてコンパレ−タCに送り込み、これと比較する
ことにより、より正確な書き込み状態の検出を可能とし
た。すなわち、筆圧に応じて変化する濃淡を、容量の連
続的な変化としてとらえることにより、階調表現された
書き込みデ−タをそのまま読みとることができるように
なる。
【0108】ここで、X電極およびY電極の本数は多け
れば多いほどより細かい書き込み情報を読みとることが
できる一方で、あまり多すぎると読み出すのに時間がか
かりすぎたり、容量が小さくなるため読みとり誤差が大
きくなりあまり好ましくない。最適な本数は、素子のサ
イズにもよるが、10インチサイズでは、500×72
0本程度が適当であるが、もちろん多くても少なくても
いっこうにかまわない。電極の種類については、透明な
ITOや、AlやCrなどの金属などを用いることがで
きる。このように、本発明の液晶表示素子は、書き込み
状態の電気的読み出しが可能な素子とすることができ
る。
【0109】(2)光学的読みとり手段 光学的読みとり手段としては、いわゆる電子コピ−やC
CDカメラによる撮像、さらにはスキャナ−による読み
とりなど、公知の様々な外部装置を用いることができ
る。また、これらの手段を組み合わせることもできる。
したがって、本発明の液晶表示素子は、書き込み状態の
光学的読み出しが可能な素子とすることができる。
【0110】
【発明の効果】本発明の液晶表示素子では、外力により
乱された分子配列状態の液晶は、第2成分により、外力
除去後も乱れた配列状態のままで液晶組成物中に維持さ
れる。このため、外力による書き込みが可能で、かつ、
別個に表示維持手段を作用させなくても、持続的な表示
をすることができる。
【0111】
【実施例】
(実施例1)液晶(E70,BDH社製)49重量%,
2−ヒドロキシエチルメタクリレ−ト(和光純薬製)3
4重量%,架橋剤(R167,日本化薬製)15重量
%,光開始剤(Irgacure184,チバガイギより購入)2重
量%を混合した。この混合物を12μmのスペ−サ42
を介してITO付PETフィルム44とITO付ガラス
基板46にはさんで、紫外線(3.5mW/cm2)を
180秒間照射し、基板間に液晶−高分子複合体40を
形成し、図4に示す表示セル48を作製した。
【0112】(評価)プラスチック製のペンを用い、作
製したセル48に変形を与え文字の入力をした。図5は
文字入力後のセル48を示す。図6はOHPを用いて、
セル48を壁に投影した時の様子を示す。右の文字は強
い筆圧で書いたものであり、左の文字は弱い筆圧で書い
たものであり、筆圧の強弱による階調表現が可能であっ
た。表示文字は、150日間以上安定にメモリされた。
80V−60Hzの電場を100msを印加することに
より、書き込み内容をほぼ完全に消去することができた
(図7参照)。また、書き込み後、20V−60Hz
で、消去を行うと、あたかも弱い筆圧で書き込まれたか
の様に薄い状態で書き込み内容を残すこともできた。
【0113】(実施例2)液晶〔E8+K15(4:
1),BDH社製〕97.3重量%,シアノビフェニル
オキシブチルアンモニウムで有機化したモンモリロナイ
ト2.7重量%、をN.N−ジメチルアセトアミド中に
混合分散した。この混合物から溶媒を留去することによ
り、液晶−偏平形状粒子複合体を調製した。この複合体
を12μmのスペ−サ(濃度,200個/1mm2 )を
介してITO付PETフィルムとITO付ガラス基板間
に挟み込んで、エポキシ系シ−ル剤で周囲をシ−ルする
ことにより表示セルとした。
【0114】(評価)プラスチック製のペンを用い、作
製したセルに変形を与え文字の入力をした。この場合、
エッジは実施例1と比較するとぼける傾向にあった。ま
た同様に筆圧の強弱による階調表現が可能であった。表
示文字は、150日間以上安定にメモリされた。50V
−60Hzの電場を100msを印加することにより、
書き込み内容をほぼ完全に消去することができた。
【0115】(実施例3)図3に示したパタ−ン電極を
有するITO付PETフィルムとITO付ガラス基板を
用いて表示セル(10インチサイズ,500×720
本)を作製した以外は実施例1と同様に行った。この素
子に画素を選択するためのXおよびYの各電極にとりつ
けられたXおよびYスイッチ、またYスイッチの片方に
とりつけられた検出様信号電圧発振回路A、また、各画
素に流れ込む電流を電圧に変換する電流−電圧変換回路
B,基準電圧と検出電圧を比較するコンパレ−タC、さ
らには比較結果を取り込むラッチ回路Dからなる回路を
組み合わせ、さらにラッチ検出デ−タをインタ−フェ−
ス回路を通してパ−ソナルコンピュ−タに接続した。
【0116】(評価)書き込みデ−タを、階調表現を含
んで読みとることができ、パ−ソナルコンピュ−タ上に
表示することができた。
【0117】(実施例4)ガラス基板46上に、アルミ
ニウムを蒸着し、鏡面状電極を形成した以外は、実施例
1と同様に作製した。書き込みデ−タを、電子コピ−,
スキャナ−,CCDで読みとったところ、コントラスト
よく読みとることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において、液晶組成物として、液晶−高
分子複合体を用いた場合の入力表示工程を示す図であ
る。
【図2】本発明において、液晶組成物として、液晶−偏
平形状粒子複合体を用いた場合の入力表示工程を示す図
である。
【図3】本発明に有効な電気的読み取り方法の回路を示
す図である。
【図4】実施例1で作製したセルの構造を示す図であ
る。
【図5】実施例1の液晶表示素子への入力状態を示す図
である。
【図6】実施例1の液晶表示素子への入力状態において
筆圧の強弱による階調表現をOHP上に表した図であ
る。
【図7】実施例1の液晶表示素子の入力を消去した状態
の図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡田 茜 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41 番地の1株式会社豊田中央研究所内 (56)参考文献 実開 昭54−40164(JP,U) 実開 昭50−3428(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/13 - 1/141

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも一方が透光性であり、少なくと
    も一方が外力により弾性変形可能である、一対の基板
    と、 これらの基板間に充填された、液晶とこの液晶の分子配
    列状態を維持する第2成分とを含有する液晶組成物、と
    を備えた液晶表示素子。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の液晶表示素子において、
    前記液晶は、いずれかの周波数においてその誘電異方性
    が正であり、前記第2成分は、透明性であり、前記液晶
    が連続相あるいは不連続相を形成した状態でこの液晶と
    混在され、かつこの液晶の分子の配向を規制する官能基
    を備えた高分子材料であることを特徴とする液晶表示素
    子。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の液晶表示素子において、
    前記液晶は、いずれかの周波数においてその誘電異方性
    が正であり、前記第2成分は、この液晶中に分散され、
    この液晶と親和性を示す偏平形状の粒子であることを特
    徴とする液晶表示素子。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれかに記載の液晶表示
    素子において、基板に与えられた外力の大きさに応じて
    液晶の分子配列状態が変化し、外力除去後に外力付与時
    の液晶の分子配列状態が維持されることにより階調表現
    可能な液晶表示素子。
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