JP3384174B2 - 高分子固体電解質 - Google Patents

高分子固体電解質

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JP3384174B2
JP3384174B2 JP04624995A JP4624995A JP3384174B2 JP 3384174 B2 JP3384174 B2 JP 3384174B2 JP 04624995 A JP04624995 A JP 04624995A JP 4624995 A JP4624995 A JP 4624995A JP 3384174 B2 JP3384174 B2 JP 3384174B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はイオン導電性の高分子固
体電解質に関する。さらに詳しくは、本発明は、有機高
分子を構造材とした高分子固体電解質であって、リチウ
ムイオンをはじめとするアルカリ金属イオン系の導電性
キャリアを含有することにより、高いイオン導電性を発
揮し、成膜性、柔軟性及び機械的強度に優れた高分子固
体電解質に関する。
【0002】
【従来の技術】固体電解質を用いて全固体系の電池を構
成した場合、従来型電池の問題点の一つである電池内の
内容物の漏液がなくなり、電池の安全性および信頼性が
向上する。また、電池の薄型化、積層化も可能になる。
そのため、固体電解質は電池その他の電気化学的デバイ
ス材料として注目されている。
【0003】ところで、固体電解質に要求される特性と
しては、一般的に(a)イオン導電性が高く、電子導電
性がないこと、(b)薄く成形できるように成膜性が優
れていること、(c)可撓性に優れていること、等が挙
げられる。
【0004】また、固体電解質の種類としては、無機材
料からなるものと有機材料からなるものとの大きく二種
類に分けられる。このうち無機材料からなる固体電解質
は比較的イオン導電性は高いが、結晶体であるために機
械的強度が乏しく、可撓性を有する膜に加工することが
困難であり、そのために電池デバイスに応用する場合に
は著しく不利となっている。
【0005】これに対して、有機高分子からなる高分子
固体電解質は可撓性を有する薄膜に成膜することが可能
であり、また成形した薄膜には高分子固有の可撓性によ
り優れた機械的性質を付与することが可能となる。その
ため、高分子固体電解質から成る薄膜は、無機系の固体
電解質に比べて、電極−高分子固体電解質間のイオン電
子交換反応過程で生じる体積変化に柔軟に適応させるこ
とが可能となる。このような理由から、高分子固体電解
質は、高エネルギー密度電池、特に薄型の高エネルギー
密度電池の固体電解質材料として、有望視されている。
【0006】これまでにこのような高分子固体電解質と
しては、ポリエーテル構造を有するポリエチレンオキサ
イド[(−CHCHO−):以下PEOと略す]
とLi塩やNa塩等のアルカリ金属塩との複合体が、比
較的高いアルカリ金属イオン導電性を示すものとして知
られている。また、この複合体をはじめとして種々の高
分子固体電解質について、イオン導電機構や分子構造等
の理論的研究、あるいは電池等の電気化学デバイスへの
応用研究が活発に進められている。
【0007】ところで、高分子固体電解質におけるイオ
ン導電は、高分子マトリックス中のアルカリ金属イオン
が高分子マトリックス中の無定形部分において選択的に
イオン化し、高分子中の配位性原子と相互作用しながら
マトリックス内を電界に沿って拡散移動することによっ
て達成されると考えられている。例えば、PEOとアル
カリ金属塩からなる複合体膜においては、アルカリ金属
イオンがPEO主鎖中の誘電率の高いエーテル結合部の
酸素と相互作用しながら、熱による分子鎖のセグメント
運動によってイオン導電すると考えられている。そこ
で、高分子固体電解質のイオン導電率を向上させるため
には、高分子固体電解質の結晶性を抑制することが有効
であると考えられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
高分子固体電解質は、結晶性を抑制することによりイオ
ン導電率を向上させようとすると、成膜性や可撓性が低
下するという問題点を有している。また、一般的に無機
材料からなる固体電解質に比べて室温近傍でのイオン導
電率が小さいという問題点を有している。
【0009】例えば、PEOとアルカリ金属塩との複合
体膜の場合、そのPEOの分子量が10000程度のと
きは、成膜性に優れ、イオン導電率も100℃以上では
10−3〜10−4S/cm程度の比較的高い値を有す
る。しかし、この複合体膜は結晶性であるために60℃
以下の温度では急激に導電率が低下し、室温では、10
−7S/cm程度以下という非常に低い値を示す。この
ため、室温を使用温度領域とする通常の電池の材料とし
て組み入れることが不可能となっている。
【0010】そこで、式(i)
【0011】
【化3】 (式中、nは任意の整数である)に示すようにPEOの
末端水酸基にジイソシアネートを反応させてウレタン架
橋を形成させたり、あるいはエステル架橋を形成させる
ことによって複合体膜の結晶性を抑制させる試みがなさ
れている。この架橋構造は無定形高分子のイオン導電率
を大きく低下させることなく機械的特性を向上させるた
めの手段として有効である。しかしながら、このような
手段でも十分な成果を得られるには至っていない。
【0012】一方、複合体膜を構成する有機高分子であ
るPEOの分子量を10000以下にすることによって
室温近傍でのイオン導電率を向上させることができる
が、この場合には成膜性が著しく低下し、フィルム化が
困難となる。
【0013】また、イオン導電率を向上させるためにア
ルカリ金属塩の含有濃度を高くした場合には、複合体膜
のガラス転移点Tgも上昇してしまい、そのためにかえ
ってイオン導電性が低下してしまう。このようにキャリ
ア体の密度の増加と導電率の増加を同時に達成すること
はできない。
【0014】他の高分子固体電解質の例としては、上述
のPEOとアルカリ金属塩とから構成される複合体の類
似化合物で、式(ii)
【0015】
【化4】 (式中、RはH又はCHであり、m及びnはそれぞれ
任意の整数である)で表されるように、側鎖にPEO構
造を有するアクリル系又はメタクリル系の有機高分子が
知られている。また、式(iii)
【0016】
【化5】 (式中、m及びnはそれぞれ任意の整数である)で表さ
れるように、側鎖にPEO構造を有し、主鎖が(−P=
N−) からなるポリホスファゼン系の有機高分子や、
式(iv)
【0017】
【化6】 (式中、m及びnはそれぞれ任意の整数である)で表さ
れるように、側鎖にPEO構造を有し、主鎖が(−Si
O−) からなるシロキサン系の有機高分子が知られて
いる。
【0018】これらの有機高分子とアルカリ金属塩から
なる高分子固体電解質のイオン導電率は〜10−5S/
cm程度であり、PEOとアルカリ金属塩からなる複合
体膜に比べてやや改善されているが、実用上はまだ不十
分であり、また、成膜性や可撓性も十分なものとはなっ
ていない。そのため、従来の高分子固体電解質を使用し
た電池で、実用上十分な電池性能を有するものは得られ
ていない。
【0019】本発明はこのような従来技術の課題を解決
しようとするものであり、室温付近でも高いイオン導電
性を有し、かつ優れた成膜性や可撓性も有する新たな高
分子固体電解質を得ることを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、カーボネ
ート基とメチレン鎖とが結合したポリアルキレンカーボ
ネートユニットを主鎖に有する有機高分子が、キャリア
イオンと適度な相互作用する官能基を含むために、従来
の有機高分子に比べて高密度にキャリアイオンを含有さ
せることが可能であり、更に低温状態でも結晶化しにく
く、そのため無定形状態の保持による十分なセグメント
運動を確保することができ、かつ電子伝導が生じること
がないという特性を有することを知見した。そして、こ
のカーボネート基とメチレン鎖とが結合したユニットを
主鎖に有する有機高分子を高分子固体電解質の構造材と
することにより上述の目的が達成できることを見出し、
本発明を完成させるに至った。
【0021】即ち、本発明は、次式(1)
【0022】
【化7】 (式中、nは整数)のユニットを有する有機高分子と金
属塩とを含有してなることを特徴とする高分子固体電解
質を提供する。
【0023】また、このような高分子固体電解質をフィ
ルム化したものの製造方法として、次式(1)
【0024】
【化8】 (式中、nは整数)のユニットを有する有機高分子と金
属塩とをキャスト溶媒に溶解させ、キャスト法によりフ
ィルム化することを特徴とする方法を提供する。
【0025】以下、本発明を詳細に説明する。
【0026】本発明の高分子固体電解質は、その構造材
となる有機高分子として、主鎖に、上記式(1)のポリ
アルキレンカーボネートユニットを有するものを使用す
る。この式(1)のユニット中、メチレン鎖(CH
は直鎖状あるいは分岐鎖状のいずれでもよい。また、
メチレン鎖(CHのnについては特に制限はない
が、分子安定性の点から2以上が好ましい。しかし、メ
チレン鎖が過度に長くなると合成が困難となり、また、
誘電率が低下して金属塩との相溶性が低くなるので、n
は10以下が好ましく、特に6以下が好ましい。したが
って、式(1)のユニットの好ましい具体例としては、
例えば表1に示したものをあげることができる。
【0027】
【表1】 このようなユニットを有する有機高分子としては、単一
種類のユニットを有するものでもよく、複数種を有する
ものでもよい。
【0028】また、この場合の有機高分子の平均分子量
は、当該有機高分子が有するユニットの構造によって異
なるが、平均分子量が低すぎると成膜性が低下して固体
とならず、反対に高過ぎると有機溶媒に溶けにくくな
り、さらに柔軟性も低下するので、通常は1×10
1×10程度が好ましい。
【0029】このような有機高分子の製造方法に特に制
限はない。例えば、ポリエチレンカーボネート(PE
C)ユニット(式(1)においてn=2)、ポリプロピ
レンカーボネート(PPC)ユニット(式(1)におい
てn=3)又はポリイソプロピレンカーボネート(Pi
PC)ユニット(式(1)においてn=3)を有する有
機高分子は、F.J.Van Natta らの手法(J.Am.Chem.So
c.,52,314(1930) )やT.Tsuruta らの手法(Die Makrom
olekulare Chemie,130,210,(1969) )を用いることによ
り容易に得ることができる。また、同様の手法により、
nが6以下の他の有機高分子を容易に得ることができ
る。
【0030】なお、本発明の高分子固体電解質が使用す
る有機高分子としては、上記式(1)のユニットの一種
又は複数種を有しているものを使用することができ、さ
らに他のユニットを有しているものも使用することがで
きる。
【0031】また、本発明の高分子固体電解質において
は、その構造材となる有機高分子を、上記式(1)のユ
ニットを有する有機高分子のみから構成することができ
るが、上記式(1)のユニットを有する有機高分子の他
に、これと相溶性の他の高分子をブレンドしたポリマー
ブレンドから構成することもできる。この場合、他の高
分子としては、例えば、PEOや前述の式(i) 〜(iv)
の高分子をあげることができる。また、ブレンドの割合
は、高分子固体電解質フィルムに必要とされる導電率や
柔軟性等に応じて適宜定めることができる。
【0032】一方、高分子固体電解質を構成する金属塩
としては、従来の高分子固体電解質に用いられているも
のを使用することができる。例えば、LiBr、LiC
l、LiI、LiSCN、LiBF、LiAsF
LiClO、CHCOOLi、CFCOOLi、
LiCFSO、LiPF、LiN(CF
、LiC(CFSOなどのリチウム塩
を使用することができる。
【0033】また、金属塩としては、上述のリチウム塩
のアニオンと、リチウム以外のアルカリ金属、例えばカ
リウム、ナトリウムなどとの塩を使用することもでき
る。この場合、金属塩としては単独種を使用してもよく
複数種の塩を同時に使用してもよい。
【0034】高分子固体電解質を構成する金属塩と有機
高分子との比率は、使用する金属塩や有機高分子の種類
などにより異なるが、通常、有機高分子の全カーボネー
ト官能基に対する金属塩イオンのモル比([金属イオ
ン]/[O−CO−Oユニット])を0.1〜0.7と
することが好ましい。この比が低すぎると導電率が低下
し、高過ぎると金属塩の析出により高分子固体電解質の
成膜性が低下する。
【0035】以上のような有機高分子と金属塩とを含有
する本発明の高分子固体電解質の製造方法としては特に
制限はなく、種々の方法により任意の形態に得ることが
できる。例えば、一般に高分子固体電解質は膜の形態で
使用されることが多いが、このための成膜方法として
は、上述の有機高分子と金属塩とをキャスト溶媒に均一
に溶解させ、溶液を平坦な基板に広げ、溶媒を蒸発させ
ることによりフィルムを得るというキャスト法により成
膜することができる。この場合、キャスト溶媒として
は、有機高分子及び金属塩の双方を溶解させることがで
きる溶媒の中から、高分子固体電解質の用途等に応じて
適宜選択して使用する。一般には、ジメチルホルムアミ
ド(DMF)やテトラヒドロフラン(THF)等の適度
な極性を有する有機溶媒を好ましく使用することができ
る。
【0036】また、本発明の高分子固体電解質の用途と
しては、リチウム電池等の高エネルギー密度電池をはじ
めとする種々の電気化学的デバイス材料として使用する
ことができる。
【0037】
【作用】本発明の高分子固体電解質が含有する、式
(1)のポリアルキレンカーボネートユニットを有する
有機高分子は、キャリアイオンとなる金属塩を高濃度で
含有させても良好な成膜性と可撓性及び機械的強度を維
持することができる。したがって、式(1)のポリアル
キレンカーボネートユニットを有する有機高分子と金属
塩からなる本発明の高分子固体電解質によれば、高いイ
オン導電性と良好な成膜性、可撓性及び機械的強度を同
時に実現することが可能となる。
【0038】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説
明する。但し、実施例10、11、13、14、16、
17、19、20、22及び23は、[Li ]/[O−
CO−Oユニット]の比が0.4〜0.6の範囲を外れ
ている例であるので、本願発明の具体例ではなく、参考
例である。実施例1〜9、12、15、18、21及び
24が、[Li ]/[O−CO−Oユニット]の比が0.
4〜0.6の範囲である本願発明の具体例である。
【0039】実施例1 [ポリイソプロピレンカーボネート(PiPC)の合
成]約200mlのオートクレーブ用反応容器に0.5
M−EtZnのベンゼン溶液100mlをはかりと
り、これに1,3−ジヒドロキシベンゼンを1g加え、
3時間窒素ガスでバブリングした。次いで、これにプロ
ピレンオキサイドを11.6g加え、これを撹拌装置付
きのオートクレーブ中、20atmのCO雰囲気下で
1週間反応させた。その後、数滴のアルコールを滴下し
て反応を終了させ、そこへベンゼン500mlを加え
た。そしてこの溶液を1M−HCl水溶液で洗浄し、さ
らに水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥さ
せ、濃縮し、メタノール中に撹拌しながら注ぎ入れた。
これにより白色の繊維状の固体が得られた。この白色の
固体を濾取し、メタノールで十分に洗浄し、THF−メ
タノール系にて再沈操作を2〜3回繰り返して精製し、
その後、得られた固体を減圧下において乾燥させた。こ
うして、収率20〜40%で有機高分子を得た。この有
機高分子をFT−IR及びCDCl 1H−NMRで
同定し、所期のポリイソプロピレンカーボネートである
ことが確認できた。また、この有機高分子の融点は14
0〜150℃であり、平均分子量はゲルパーミエショー
ションクロマトグラフィ(GPC)により1×10
1×10であった。
【0040】[高分子固体電解質フィルムの作製]上記
で得た有機高分子(ポリイソプロピレンカーボネート)
を、十分に脱水したTHFに添加し、十分に撹拌して均
一溶液とし、さらに撹拌しながらLiClOを有機高
分子の全構成モノマーに対して[Li]/[O−CO
−Oユニット]=0.5となるように加え、完全に溶解
するまで撹拌を続けた。その後、孔径0.45μmのフ
ィルタを通して不溶物を除去し、キャスト法により成膜
した。即ち、溶液を底面が平滑なテフロン製シャーレに
入れ、窒素雰囲気下40〜60℃の温度範囲に設定した
恒温器中で溶媒を蒸発させ、さらに真空加熱して溶媒を
完全に除去することにより乾燥させ、高分子固体電解質
フィルムを得た。
【0041】こうして得られた高分子固体電解質フィル
ムは可撓性に富んだ無色〜淡黄色のフィルムであった。
このフィルムの厚さについては、目的に応じて所定の厚
さに適宜作製することができるが、ここでは後述するよ
うに導電率を評価するため、厚さ50〜150μmのも
のを作製した。
【0042】[イオン導電率の評価]得られた高分子固
体電解質フィルムのイオン導電率を次のようにして評価
した。即ち、高分子固体電解質フィルムを白金電極又は
リチウム金属電極で圧着し、これを80℃で数時間加熱
保存して電極/フィルム/電極の各接触が十分に保たれ
るようにすることにより評価用セルを作製した。その
後、温度可変式の恒温装置を所定温度に設定してその中
に評価用セルを入れ、評価用セルがその温度で定常状態
となるように約1時間放置した。そして、定電圧複素数
インピーダンス法(交流振幅電圧30〜100mV、交
流の周波数帯域10−2〜10、温度10〜60℃)
により得られた半円弧部から導電率を解析的に算出し
た。この場合、電極を白金、リチウム金属と変え、ま
た、電極面積を変えることにより、複数個の疑似半円弧
成分をイオン導電に寄与する抵抗部に帰属させた。
【0043】このようにして得たイオン導電率の温度依
存性を図1に示す。同図から、実施例の高分子固体電解
質フィルムは、室温近傍の温度領域における導電率が、
従来のPEOその他の有機高分子とアルカリ金属塩とか
らなる高分子固体電解質フィルムの室温近傍の温度領域
における導電率(10−5〜10−7S/cm)に比べ
て著しく高いことが確認できた。
【0044】また、この実施例の高分子固体電解質フィ
ルムは、成膜性、機械的強度および柔軟性も優れてい
た。
【0045】実施例2〜9 有機高分子に対するLiClOの添加量を図2に示し
たように変える以外は実施例1を繰り返して高分子固体
電解質フィルムを作製し、その25℃におけるイオン導
電率を求めた。この結果を図2に示す。なお、図2に
は、実施例1の結果も合わせて記載した。
【0046】図2から、LiClOの添加量が少な
く、[Li]/[O−CO−Oユニット]が0.02
〜0.1程度の場合にも導電性が認められること、ま
た、LiClOの添加量を増加し、[Li]/[O
−CO−Oユニット]=0.4〜0.6程度とした場合
には導電率が著しく高くなることがわかる。また、この
範囲でLiClOの添加量を増加させた場合、高分子
固体電解質フィルムは柔軟性が損なわれることなく、良
好なフィルム特性を有していた。
【0047】さらにLiClOの添加量を増加し、
[Li]/[O−CO−Oユニット]が0.7を超え
た場合には、導電率は添加量の増加に伴って低下してい
ることが認められるが、これは高分子固体電解質フィル
ムを成膜するためにキャスト溶媒を蒸発させたときに、
高分子固体電解質フィルム内に金属塩が析出してフィル
ムが懸濁し、金属塩と有機高分子との相溶状態が良好で
はなくなったためである。またこの場合には、導電率だ
けでなく、柔軟性や機械的強度も低下していた。したが
って、この系では、[Li]/[O−CO−Oユニッ
ト]=0.1〜0.7とすることが好ましく、特に0.
4〜0.6とすることが好ましいことがわかる。
【0048】実施例10〜24 実施例1のポリイソプロピレンカーボネート(PiP
C)の合成に準じて、式(1)
【0049】
【化9】 のユニット中のメチレン鎖が直鎖状でn=2〜6の有機
高分子を合成し、各有機高分子に対してLiClO
[Li]/[O−CO−Oユニット]=0.2、0.
3、0.5となるように添加すること以外は実施例1を
繰り返して高分子固体電解質フィルムを作製した。この
場合のnの値および[Li]/[O−CO−Oユニッ
ト]の値と、実施例番号との対応関係を表2に示す。
【0050】
【表2】 n 有機高分子略号 [Li+ ]/[O-CO-Oユニット] 実施例10 2 PEC 0.2 実施例11 2 PEC 0.3 実施例12 2 PEC 0.5 実施例13 3 PPC 0.2 実施例14 3 PPC 0.3 実施例15 3 PPC 0.5 実施例16 4 PBC 0.2 実施例17 4 PBC 0.3 実施例18 4 PBC 0.5 実施例19 5 PPeC 0.2 実施例20 5 PPeC 0.3 実施例21 5 PPeC 0.5 実施例22 6 PHC 0.2 実施例23 6 PHC 0.3 実施例24 6 PHC 0.5 各高分子固体電解質フィルムの室温(25℃)における
導電率を求めた。この結果を図3に示す。図3から、式
(1)のユニットのメチレン鎖が直鎖状である有機高分
子を用いた高分子固体電解質の場合、メチレン鎖が短い
ほど、LiClOの濃度が高いときに高い導電率を示
す傾向があることがわかる。特にn=2のポリエチレン
カーボネート(PEC)を用いた場合、[Li]/
[O−CO−Oユニット]=0.5で著しく高い導電率
を達成していることがわかる。
【0051】また、メチレン鎖が長いほどLiClO
を高濃度で溶解することが困難となり、LiClO
析出しやすくなる傾向があった。したがって、LiCl
を高濃度に溶解させて高い導電率を得るためには、
高分子固体電解質を構成する有機高分子として、メチレ
ン鎖のn=2のポリエチレンカーボネート(PEC)n
=3のポリプロピレンカーボネート(PPC)を使用す
ることが特に好ましいことがわかる。
【0052】実施例25〜32 金属塩として、LiClOに代えて図4に示したよう
に種々のアルカリ金属塩を使用する以外は実施例1を繰
り返して高分子固体電解質フィルムを作製し、その室温
(25℃)における導電率を求めた。この結果を図4に
示す。図4から、本発明の高分子固体電解質において
は、有機高分子と組み合わせる金属塩を変えても導電率
は大きく変わることなく、従来の高分子固体電解質の導
電率(10−5〜10−7S/cm)に比べて著しく高
い導電率を有することが確認できた。また、いずれの金
属塩を使用した場合にも、成膜性の低下は見られなかっ
た。
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、室温付近でも高いイオ
ン導電性を有し、かつ優れた成膜性、可撓性及び機械的
強度を有する高分子固体電解質を得ることが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の高分子固体電解質フィルムの温度と導
電率の関係図である。
【図2】実施例の高分子固体電解質フィルムのLi塩濃
度と導電率の関係図である。
【図3】実施例の高分子固体電解質フィルムのLi塩濃
度及び有機高分子のメチレン鎖の長さと導電率との関係
図である。
【図4】実施例の高分子固体電解質フィルムのアルカリ
金属塩の種類と導電率との関係図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 69:00 C08L 69:00 (56)参考文献 特開 昭62−30148(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 64/00 - 64/42

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次式(1) 【化1】 (式中、nは整数)のユニットを有する有機高分子と
    ルカリ金属塩とを含有し、且つ該有機高分子の全カーボ
    ネート官能基に対するアルカリ金属イオンのモル比
    ([アルカリ金属イオン]/[O−CO−Oユニッ
    ト])が0.4〜0.6であることを特徴とする高分子
    固体電解質。
  2. 【請求項2】 式(1)のユニットにおいて、n=2〜
    6である請求項1記載の高分子固体電解質。
  3. 【請求項3】 アルカリ金属がリチウムである請求項1
    又は2記載の高分子電解質。
  4. 【請求項4】 次式(1) 【化2】 (式中、nは整数)のユニットを有する有機高分子と
    ルカリ金属塩とを、該有機高分子の全カーボネート官能
    基に対するアルカリ金属イオンのモル比([アルカリ金
    属イオン]/[O−CO−Oユニット])が0.4〜
    0.6となるようにキャスト溶媒に溶解させ、キャスト
    法によりフィルム化することを特徴とする高分子固体電
    解質フィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】 アルカリ金属がリチウムである請求項4
    記載の製造方法。
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