JP3384029B2 - 浄水処理装置及び浄水処理方法 - Google Patents

浄水処理装置及び浄水処理方法

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は浄水処理装置及び浄水処
理方法に係り、特に、精密濾過膜や限外濾過膜或いはル
ーズ逆浸透膜を用いて、原水中の濁質や細菌類又はウイ
ルスやトリハロメタン前駆物質を除去する浄水処理装置
及び浄水処理方法であって、透過流束及び水回収率が共
に良好な浄水処理装置及び浄水処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び先行技術】従来、浄水処理における高
度処理として、表流水などの原水を凝集沈澱、或いは濾
過を含む固液分離装置で濁質を予め除去した後、オゾン
処理、次いで生物活性炭を処理する処理操作は公知であ
る。この方法は有機汚濁の進んだ原水中の有機成分を分
解、吸着により除去するのに優れた方法であり、トリハ
ロメタン濃度の低減とカビ臭などの異臭味成分の除去と
して、近年実用化が進んでいる。
【0003】また、新規な浄水処理操作として、圧力を
推進力とする膜分離処理が着目されている。この膜分離
操作を用いれば、原理的には原水中の濁質や細菌類ない
しウイルスを完全に除去できる。このため、後工程で消
毒剤として添加する塩素の添加量を低減させることがで
き、塩素添加によって発生するとされているトリハロメ
タンの濃度を低減できるという優れた特徴を有する。し
かしながら、膜分離操作は原水(給水)を透過水と濃縮
水とに分離するだけであり、原水中から膜分離により濃
縮側に移行した成分は、濃縮水として排出させる必要が
ある。また、膜分離を浄水処理として適用するにあたっ
ての大きな問題として、従来法よりも水回収率が低いこ
とと、その膜透過流束の低さに起因する経済性の欠如が
ある。
【0004】本発明者は、浄水処理に膜分離操作を適用
するに当って、膜の透過流束を支配する原水中の成分の
影響について検討してきた。そして、原水中の成分で最
も透過流束に影響を与えるのは、フミン,フルボ酸など
に代表される高分子有機成分であることに着目し、濃縮
水にポリ塩化アルミニウムなどの凝集剤を添加した後、
沈澱、濾過などの固液分離操作をして別途膜分離操作な
どの手段により水回収率を高める方法を提案し、先に本
出願人より特許出願した(特願平3−58850)。或
いは、原水を凝集処理した後、膜分離し、その濃縮水を
沈澱、濾過する方法を従来の装置と併用することによ
り、膜分離の透過流束を最大に高めるとともに水回収率
を最大限に高める処理装置を提案し、先に本出願人より
特許出願した(特願平3−54601)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、凝集処
理だけでは透過流束を低下させる高分子有機成分を全て
不溶化させることはできず、従って、膜分離の濃縮水を
凝集沈澱分離しただけで、その上澄水を再度同じ膜分離
装置に返送すると、透過流束を低下させるという現象が
生じ、透過流束と水回収率を同時に高めるという経済性
に関わる問題を解決することはできなかった。
【0006】本発明は上記従来の問題点を解決し、精密
濾過膜や限外濾過膜或いはルーズ逆浸透膜を用いて、原
水中の濁質や細菌類又はウイルスやトリハロメタン前駆
物質を除去する浄水処理装置及び浄水処理方法におい
て、透過流束と水回収率を共に高める浄水処理装置及び
浄水処理方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の浄水処理装置
は、浄水用原水を膜分離装置に導入して膜分離処理し、
透過水を浄水として系外に排出する浄水処理装置におい
て、該膜分離装置の濃縮水を固液分離する固液分離手段
と、該固液分離手段で分離された清澄水をオゾン酸化処
理するオゾン酸化処理手段と、該オゾン酸化処理手段の
処理水を活性炭吸着処理する、固定床、移動床、流動床
のいずれかの活性炭吸着塔と、該活性炭吸着塔の処理水
を前記膜分離装置の原水側に給水する手段とを備えてな
ることを特徴とする。
【0008】本発明の浄水処理方法は、浄水用原水を膜
分離処理する膜分離工程と、該膜分離工程の濃縮水を固
液分離して、膜で排除された固形分を更に濃縮し、系外
に排出する固液分離工程と、該固液分離工程からの清澄
水中に含まれる高分子溶存有機成分を酸化分解するオゾ
ン酸化工程と、該オゾン酸化工程で生物易分解性となっ
た溶存有機成分を吸着・生物分解する活性炭吸着工程
と、該活性炭吸着工程の処理水を前記膜分離工程の原水
側に給水する工程とを有することで水の回収率と 膜の透
過流束とを同時に高めることを特徴とする。
【0009】
【作用】本発明の浄水処理装置においては、膜分離装置
の濃縮水を、固液分離手段、オゾン酸化処理手段及び活
性炭吸着塔に順次通水処理した後、再度膜分離装置の原
水側に給水する。
【0010】本発明の浄水処理方法においては、膜分離
工程の濃縮水を、固液分離工程、オゾン酸化工程及び活
性炭吸着工程に順次通水処理した後、再度膜分離工程の
原水側に給水する。
【0011】このような本発明の浄水処理装置及び浄水
処理方法において、各処理手段及び各処理工程の作用効
果は次の通りである。
【0012】固液分離手段及び固液分離工程:濃縮水中
の懸濁成分を固液分離し、膜で排除された固形分を更に
濃縮し系外に排出される固形分濃度を高める。オゾン酸
化処理手段及びオゾン酸化工程:固液分離手段からの清
澄水中に含まれる膜分離処理で排除された高分子溶存有
機成分を酸化分解し、低分子化を図ると共に生物易分解
性への変換を促進する。活性炭吸着塔及び活性炭吸着工
:オゾン酸化処理手段での処理工程において、低分子
化され生物易分解性となった溶存有機成分を活性炭に吸
着させると共に、活性炭表面に付着した微生物により生
物分解する。このため、膜分離処理で排除され濃縮水中
に移行した高分子溶存有機成分濃度が減少する。
【0013】そして、このようにして固液分離、オゾン
酸化及び生物活性炭吸着処理を順次施して得られる処理
水を再度膜分離装置の原水側に給水して膜分離処理する
に際しては、この給水は、固形分及び高分子溶存有機成
分が減少しているために、膜透過流束を低下させるケー
ク層或いはゲル層が膜面に発達せず、高い膜透過流束が
維持される。特に、活性炭吸着塔から流出する微小な活
性炭が膜分離装置の膜面に形成されるケーク層の空隙率
を高めることにより、ケーク層の濾過抵抗を、微生物菌
体のみ或いは原水中の濁質成分で形成されるケーク層の
濾過抵抗よりも小さくすることができる。このため、活
性炭吸着塔を経ないときに比べて膜透過流束が改善され
る。
【0014】また、後述の実施例の如く、原水と膜分離
装置の濃縮水とを併せて固液分離、オゾン酸化、活性炭
吸着処理に施すことにより、原水中の高分子溶存有機成
分濃度を減少させることができ、膜分離の透過流束をよ
り一層高めることができる。
【0015】このように、本発明の浄水処理装置及び浄
水処理方法により、濃縮水を処理して再度膜分離するこ
とにより、膜分離での水回収率をほぼ100%に保つこ
とができる。しかも、この再膜分離に当り、濃縮水の膜
透過流束を低下させる成分は既に除去されているので、
循環濃縮されても膜透過流束を低下させることがない。
【0016】本発明の浄水処理装置及び浄水処理方法
おいては、膜分離処理により膜で排除されて濃縮水側に
移行した成分のうち、固液分離により系外に排出され
ず、また、オゾン酸化、活性炭吸着処理でも除去されな
い微小濃度の難分解性成分は繰り返して膜分離装置/膜
分離工程→固液分離手段/固液分離工程→オゾン酸化処
理手段/オゾン酸化工程→活性炭吸着塔/活性炭吸着工
→膜分離装置/膜分離工程を循環することになる。こ
のように各手段/工程を循環して、繰り返しオゾン酸化
及び活性炭吸着処理がなされることにより、含有される
難分解性成分が変質して、オゾン酸化や生物活性炭によ
り容易に除去されるようになる。即ち、膜分離処理にオ
ゾン酸化及び活性炭吸着の処理を組み入れて循環処理す
ることにより、従来法では達成できなかった有機成分の
除去が可能となり、この結果、膜の除菌作用のための塩
素添加量の減少効果のみならず、トリハロメタン前駆物
質の実質的な除去も可能となる。
【0017】
【実施例】以下図面を参照して本発明の実施例について
詳細に説明する。
【0018】図1は本発明の実施例に係る浄水処理装置
を示す系統図である。
【0019】図1において、1は凝集沈澱池(固液分離
手段)、2はオゾン酸化装置、3は活性炭吸着塔、4は
膜分離装置であり、11〜16の各符号は配管を示す。
【0020】本実施例の浄水処理装置は、原水と膜分離
装置4の濃縮水とを併せて固液分離、オゾン酸化及び活
性炭吸着処理して膜分離装置4に送給するものであり、
表流水などの浄水用原水は、配管16から送給される後
述の膜分離装置4の濃縮水と共に配管11より凝集沈澱
池1に導入され、ポリ塩化アルミニウムなどの凝集剤の
添加のもとに凝集沈澱処理され、懸濁成分が除去された
上澄水は配管12よりオゾン酸化装置2に導入されオゾ
ン酸化処理される。
【0021】オゾン酸化装置2におけるオゾン酸化によ
り、含有される高分子溶存有機成分が酸化分解されて低
分子化及び生物易分解化されたオゾン酸化処理水は、次
いで配管13より活性炭吸着塔3に導入される。活性炭
吸着塔3においては、オゾン酸化処理で低分子化され生
物易分解性となった溶存有機成分が活性炭に吸着される
と共に、活性炭表面に付着した微生物により生物分解さ
れる。
【0022】この生物活性炭吸着処理により高分子溶存
有機成分濃度が低減された活性炭吸着処理水は、次いで
配管14より膜分離装置4に導入され、透過水は処理水
(浄水)として配管15より系外へ排出される一方、濃
縮水は配管16より抜き出され、原水と共に、前述の如
く、凝集沈澱処理、オゾン酸化処理及び活性炭吸着処理
に供され、再度膜分離装置4に導入される。
【0023】このような浄水処理装置によれば、膜分離
装置4における膜分離処理で濃縮水側に移行した懸濁成
分や高分子溶存有機成分や原水中に含有される懸濁成分
や高分子溶存有機成分は、凝集沈澱処理、オゾン酸化処
理及び活性炭吸着処理により効果的に除去されるため、
膜分離装置4における透過流束を高く維持すると共に、
濃縮水の循環により水回収率を著しく高め、ほぼ100
%の水回収率を達成することができる。
【0024】なお、図1に示す浄水処理装置は本発明の
一実施例であって、本発明はその要旨を超えない限り、
何ら図示の装置に限定されるものではない。
【0025】例えば、図1においては、原水を膜分離装
置の濃縮水と共に凝集沈澱処理、オゾン酸化処理及び活
性炭吸着処理に供した後、膜分離装置に導入している
が、原水は別の前処理装置で処理した後、凝集沈澱処
理、オゾン酸化処理及び活性炭吸着処理を経た濃縮水と
共に膜分離装置に導入するようにしても良い。
【0026】また、図1においては、固液分離手段とし
て凝集沈澱処理を施すが、固液分離手段としては濃縮水
の懸濁成分を90%程度以上の効率で除去できるもので
あれば良く、原水や濃縮水を直接濾過することができる
濾過精度の低い濾過装置であっても良い。また、固液分
離に当り、凝集剤は必ずしも必要としない。
【0027】なお、オゾン酸化処理は、1〜2mg/l
程度のオゾン注入率にて10〜20分程度の接触時間と
するのが適当である。また、活性炭吸着塔は固定床、移
動床、流動床のいずれでも良く、前段の固液分離効率等
に応じて適宜決定される。
【0028】本発明の浄水処理装置において、膜分離装
置の分離膜としては、精密濾過膜、限外濾過膜、又はル
ーズ逆浸透膜(特に、NaClの除去率が40〜70%
程度のもの)が好適である。
【0029】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の浄水処理装
及び浄水処理方法によれば、精密濾過膜や限外濾過膜
或いはルーズ逆浸透膜を用いて、高い透過流束及び高い
水回収率にて、原水中の濁質や細菌類又はウイルスやト
リハロメタン前駆物質を除去することにより、清浄度の
高い浄水を効率的に得ることが可能とされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る浄水処理装置を示す系統
図である。
【符号の説明】
1 凝集沈澱池 2 オゾン酸化装置 3 活性炭吸着塔 4 膜分離装置
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C02F 1/28 C02F 1/44 C02F 1/78 C02F 9/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 浄水用原水を膜分離装置に導入して膜分
    離処理し、透過水を浄水として系外に排出する浄水処理
    装置において、 該膜分離装置の濃縮水を固液分離する固液分離手段と、 該固液分離手段で分離された清澄水をオゾン酸化処理す
    るオゾン酸化処理手段と、 該オゾン酸化処理手段の処理水を活性炭吸着処理する
    固定床、移動床、流動床のいずれかの活性炭吸着塔と、 該活性炭吸着塔の処理水を前記膜分離装置の原水側に給
    水する手段とを備えてなることを特徴とする浄水処理装
    置。
  2. 【請求項2】 前記膜分離装置の濃縮水の全量を前記固
    液分離手段へ返送するようにしたことを特徴とする請求
    項1に記載の浄水処理装置。
  3. 【請求項3】 前記活性炭吸着塔の処理水が、該活性炭
    吸着塔から流出する微小な活性炭を含有するようにした
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の浄水処理装
    置。
  4. 【請求項4】 浄水用原水を膜分離処理する膜分離工程
    と、該膜分離工程の濃縮水を固液分離して、膜で排除さ
    れた固形分を更に濃縮し、系外に排出する固液分離工程
    と、該固液分離工程からの清澄水中に含まれる高分子溶
    存有機成分を酸化分解するオゾン酸化工程と、該オゾン
    酸化工程で生物易分解性となった溶存有機成分を吸着・
    生物分解する活性炭吸着工程と、該活性炭吸着工程の処
    理水を前記膜分離工程の原水側に給水する工程とを有す
    ることで水の回収率と膜の透過流束とを同時に高める浄
    水処理方法。
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