JP3383800B2 - 超高速光ミキサ装置 - Google Patents

超高速光ミキサ装置

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JP3383800B2 JP33522496A JP33522496A JP3383800B2 JP 3383800 B2 JP3383800 B2 JP 3383800B2 JP 33522496 A JP33522496 A JP 33522496A JP 33522496 A JP33522496 A JP 33522496A JP 3383800 B2 JP3383800 B2 JP 3383800B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超高速光信号処理
に関するもので、特に波長変換を高速で行う超高速光ミ
キサ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の超高速光ミキサ装置について図1
2を参照して説明する。
【0003】図12は、従来の超高速光ミキサ装置の構
成を示すブロック図である。なお、以下の説明ではλ
1 ,λ2 ・・・は波長を表わすと同時に、その波長の信
号を表わすものとする。
【0004】この図において、11は合波部で、2つの
入力信号λ1 ,λ2 を合波して、その混合波λ1 ,λ2
を出力するものである。12はミキサ部で、半導体レー
ザ増幅器やKTP結晶を用いた差周波数発生器などが使
用される。ミキサ部12は、合波部11からの合波信号
λ1 ,λ2 を入力信号として、これを混合し、図3に示
すように波長λ1 ,λ2 およびλ3 ,λ4 の信号を出力
する。波長λ3 ,λ4の信号は、非線形光学効果により
発生する合成波信号の波長であり、入力信号の波長λ1
およびλ2 から、2つの波長の差Δλ(Δλ=|λ1
λ2 |)だけ離れたところに発生する。13はバンドパ
スフィルタ(B.P.F)で、図3に示すように、通過
域の波長はλ4 である。
【0005】図12に示されている従来の超高速光ミキ
サ装置の動作を図3ないし図5を参照して説明する。
【0006】図3は、図12の従来例の機能および動作
を説明するための波形図、図4は、KTP結晶による従
来例を示すブロック図および機能・動作を説明するため
の図、図5は、従来のミキサ部の特性および出力波のス
ペクトルを表す図である。
【0007】合波部11には、波長λ1 のプローブ光と
波長λ2 のポンプ光とが入力される。ポンプ光は、非線
形光学効果を促す励起光であり、プローブ光は参照光で
ある。合波部11は、この2つの入力信号を合波して、
その合波信号をミキサ部12へ出力する。
【0008】合波信号が入力されたミキサ部12は、図
5(a)に示すように、非線形光学効果によって、2つ
の入力信号λ1 およびλ2 からそれぞれ波長がΔλだけ
離れた波長λ3 およびλ4 の合成波信号を出力する。こ
の場合、図5(c)に示すように2つの入力信号からそ
れぞれ2Δλだけ離れた波長λ5 および波長λ6 が合成
波として発生するが、図5(b)に示すようにミキサ部
12の利得(Gain)は波長λ1 および波長λ2 の付
近で大きく、波長λ5 および波長λ6 の付近では小さく
なっているので、波長λ5 および波長λ6 の合成波成分
は図5(c)に示すようにノイズレベルに埋もれてしま
い、出力信号として取り出すことはできない。
【0009】バンドパスフィルタ13は、その通過帯域
の波長がλ4 であり、この波長λ4は、ポンプ光の波長
λ2 からプローブ光の波長λ1 とは反対側に2つの入力
信号の波長差Δλだけ離れた波長である。
【0010】このようにして、波長λ1 のプローブ光の
信号は、波長λ4 の出力光信号に変換される。
【0011】従来から波長変換を行うミキサには次のも
のがある。
【0012】まず、ミキサに半導体レーザ増幅器を用い
た場合について述べる。
【0013】波長λ1 と波長λ2 の2つの入力信号を入
れることで図3(a)に示すように入力信号の両側に波
長の差Δλ=|λ1 −λ2 |だけ離れたところに波長λ
3 ,λ4 の出力を発生させる。
【0014】この場合、ミキサ出力としてλ3 またはλ
4 のいずれかを使用すればよいが入力信号に対して波長
があまり離れていないため、図3(b)に示すようにλ
4 を通過域とするバンドパスフィルタによりフィルタを
かけても入力信号λ1 ,λを除去しにくい。
【0015】また、半導体レーザ増幅器の利得特性のピ
ークが2つの入力信号の波長λ およびλ2 の付近に
あり、出力信号の波長λ4 付近では利得は低い。このた
め変換効率(出力信号/入力信号)は、極めて小さい
(10-4以下)。
【0016】次に、ミキサにKTP結晶を用いた場合に
ついて述べる。
【0017】図4(a)に示すように、2つの入力信号
λ1 ,λ2 を空間光でKTP結晶14に入力すると、波
長変換された出力信号λ4 は空間光として出るが、結晶
の種類,入力方法により、波長変換された出力信号は和
周波、差周波または2倍波となる。
【0018】図4にこの場合の入力波長と出力波長(周
波数)との関係を示す。
【0019】図4(b)は、出力信号が、2つの入力信
号の波長λ1 とλ2 との周波数の和となる場合を示す。
【0020】図4(c)は、出力信号が、2つの入力信
号の波長λ1 とλ2 との周波数の差となる場合を示す。
【0021】図4(d)は、出力信号が、2つの入力信
号の波長λ1 およびλ2 の2分の1倍となる場合を示
す。
【0022】KTP結晶を用いた場合には、空間光で処
理するため、ある程度の寸法的な大きさが必要であり、
装置として組み込みにくい。また、差周波発生では半導
体レーザ増幅器と同様に入力信号に対して出力の波長が
あまり離れていないためフィルタで入力信号を除去しに
くい。
【0023】さらに、非線形光学効果があまり期待でき
ず、そのため出力信号は小さい。変換効率(出力信号/
入力信号)は、極めて小さい(10-5以下)。
【0024】以上説明した様に、波長λ1 のプローブ光
と、波長λ2 のポンプ光とからその波長差Δλだけ離れ
た波長λ4 の出力光を得る場合、Δλが小さいときには
バンドパスフィルタを用いてもこれを効率良く、かつ、
入力波を除去して、出力信号を得ることは困難であっ
た。
【0025】従来からの波長変換を波長λ1 のプローブ
光の測定に応用する場合には、既知の波長λ2 のポンプ
光を使って、その波長差Δλだけ離れた出力信号を発生
させて、その出力信号を計測していた。この場合、2つ
の入力波長λ1 ,λ2 と出力波長λ4 とが近接している
ときには、出力に含まれている入力波成分が除去しきれ
ず、プローブ光の特性が正確に得られないなど不具合が
あった。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】従来の半導体レーザ増
幅器やKTP差周波発生を用いたミキサでは、変換効率
が低いためポンプ光とプローブ光のレベルを大きくする
必要があり、また出力波長と入力波長とが近接している
ため、フィルタで除去をするのが困難であり、また出力
信号を大きくとるため入力信号を大きくする必要があっ
た。
【0027】また、出力波長を入力波長帯域から離した
KTP和周波発生やKTP2倍波発生を用いたミキサで
はフィルタで入力信号を除去することは容易であるが、
空間光で処理しなければならないため、小型化しにく
く、また、変換効率が極めて小さく、実用的でなかっ
た。
【0028】更に、(1)従来からの半導体レーザ増幅
器を用いたミキサでは図5(b)に示すように利得のピ
ークを入力信号波長λ1 およびλ2 に合わせており、入
力信号を混合,増幅し、非線形光学効果により、波長差
Δλ=|λ2 −λ1 |離れた波長出力を得ていた。この
波長特性では利得のピークが入力波長付近にくるために
入力波長から離れれば離れる程利得が低くなり、非線形
光学効果も発生しづらい。そのため図5(c)に示すよ
うにnΔλ(n:2以上の整数)離れた波長で発生して
いるλ5 の出力信号はノイズの下にうずもれてしまって
いて、これを利用することはできなかった。
【0029】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる超高速光
ミキサ装置は、波長λのプローブ光と波長λのポン
プ光とを入力し、合波する合波部1と、前記合波部1の
出力を受け、前記プローブ光と前記ポンプ光の波長差を
Δλとした時、ポンプ光の波長からプローブ光の波長と
反対側にnΔλ(n:2以上の整数)離れた波長λ
合成出力を発生させるものであって、信号発生効率のピ
ークをポンプ光の波長λ と合成出力の波長λ の2ヶ
所に持つレーザダイオードアンプで構成されているミキ
サ部2と、前記ミキサ部2の出力を受け、波長λの合
成出力を選択し出力するバンドパスフィルタ3とからな
るものである。
【0030】
【0031】さらに、前記ミキサ部2は、信号発生効率
のピークをポンプ光の波長λ2 と合成出力の波長λ5
2ヶ所に持つ量子井戸型レーザダイオードアンプ20で
あることを特徴とするものである。
【0032】さらに、前記量子井戸型レーザダイオード
アンプ20は、多層の量子井戸構造と前記多層の量子井
戸構造の両端に設けられた端面ミラー21a,21bと
を有し、前記多層の量子井戸構造の少なくとも1つの層
の層厚および量子井戸のエネルギー準位が他の層の層厚
および量子井戸のエネルギー準位と異なるように形成さ
れ、かつ、前記端面ミラー21a,21bの反射率が1
/1000〜1/100000とされていることを特徴
とするものである。
【0033】
【発明の実施の形態】本発明においては、入力波信号か
らnΔλ(n:2以上の整数)だけ離れた出力波長λ5
を利用するようにしたので、入力信号の除去が容易とな
る。
【0034】また、レーザダイオードアンプの信号発生
効率のピークをポンプ光の波長λ2と出力光の波長λ5
の2ケ所に設けたので、入力波信号からΔλだけ離れて
出力される波長λ4 の影響を小さくすることができる。
【0035】更に、KTP結晶を用いたものより小型化
でき変換効率は、極めて高い(10-2以上)。
【0036】
【実施例】図1は、本発明の一実施例の構成を示すブロ
ック図である。
【0037】この図において、1は合波部で、2つの入
力信号λ1 ,λ2 を合波して、その合波信号λ1 ,λ2
を出力するものである。2はミキサ部で、合波部1から
の合波信号λ1 ,λ2 を入力信号として、これを混合,
増幅し、図6に示すように波長λ1 ,λ2 およびλ3
λ4 ,λ5 の信号を出力する。波長λ3 ,λ4 およびλ
5 の信号は、非線形光学効果により発生する合成波信号
であり、入力信号の波長λ1 およびλ2 から、2つの波
長の差Δλ(Δλ=|λ1 −λ2 |)およびnΔλ
(n:2以上の整数、以下同じ)離れたところに発生す
る。3はバンドパスフィルタ(B.P.F)で、図2
(c)に示すように、通過域の波長はλ5 である。
【0038】次に、図1の実施例における超高速光ミキ
サ装置の動作を図2,図6および図11を参照して説明
する。
【0039】図2は、図1の実施例の機能および動作を
説明するための波形図、図6は、本発明のミキサ部の特
性および出力波のスペクトルを表す図、図11は、図8
の一実施例における量子井戸型レーザダイオードアンプ
の出力を表すスペクトル図およびバンドパスフィルタの
特性を表す図である。
【0040】合波部1には、波長λ1 のプローブ光と波
長λ2 のポンプ光とが入力される。ポンプ光は、非線形
光学効果を励起させるものであり、プローブ光(参照光
ともいう)は、その波長をこれから変換しようとするも
のである。合波部1は、この2つの入力信号を合波し
て、その合波信号をミキサ部2へ出力する。
【0041】合波信号が入力されたミキサ部2は、図6
(a)に示すように、非線形光学効果によって、2つの
入力信号λ1 およびλ2 からそれぞれ波長がΔλ離れた
波長λ3 およびλ4 の合成波信号および2つの入力信号
からそれぞれnΔλ離れた波長λ5 および波長λ6 が合
成波として発生する。
【0042】ミキサ部2の利得(Gain)は、従来例
では波長λ1 および波長λ2 の付近でピークがあり、波
長λ5 および波長λ6 の付近では小さくなっているの
で、波長λ5 および波長λ6 の合成波成分はノイズレベ
ルに埋もれてしまい、出力信号として取り出すことはで
きないが、この実施例では、図6(b)に示すようにピ
ークが波長λ5 の側に寄っているので、合成波信号とし
て波長λ5 を出力することができる。
【0043】また、信号発生効率のピークを波長λ5
合わせることも可能なので、変換効率が極めて高いミキ
サとして、極めて大きな出力信号を得ることができる。
【0044】バンドパスフィルタ3は、図11に示すよ
うにその通過帯域の波長がλ5 であり、この波長λ5
は、プローブ光の波長λ1 からポンプ光の波長λ2 とは
反対側に2つの入力信号の波長差Δλのn倍のnΔλだ
け離れた波長である。
【0045】このようにして、波長λ1 のプローブ光の
信号は、波長λ5 の出力信号に変換される。
【0046】この実施例でミキサ部2として用いられて
いるレーザダイオードアンプでは、波長λ5 を取り出す
ために波長λ4 ,λ5 側に出力信号発生効率のピークの
特性を持たせた。
【0047】(1)その一例は図6(b)に示すよう
に、出力信号発生効率のピークの特性を波長λ4 ,λ5
側に持たせることによりnΔλ離れた信号を取り出すこ
とができるようにした。この際、波長λ3 側出力は小さ
くなるがこれは使用せず、出力信号としては、波長λ
4 ,λ5 側のみ使用するので問題はない。
【0048】(2)他の一例は、図2(a),(b)に
示すように、ミキサ部2の出力信号発生効率に2つのピ
ーク特性を持たせる。波長λ5 においても出力信号発生
効率のピークを持たせる。
【0049】ここで、従来の広い波長範囲を持つ光増幅
素子を特開平6−283824号を例示して説明する。
【0050】この出願にかかる光増幅素子の発明は、そ
の活性領域を光閉じ込め層と、複数の量子井戸層と、各
量子井戸層間の量子井戸層に接した障壁層とで形成し、
これらの複数の量子井戸層を少なくとも一つの層が他の
層と厚さが相違し、かつ、格子不整合とされているもの
で構成されている。そして、複数の量子井戸層の層厚と
歪量とを調整することにより、1.5μm波帯域で1.
45μmから1.54μmの波長を増幅する例が開示さ
れている。
【0051】この光増幅素子を図1のミキサ部2として
使用することが考えられるが、本発明に適用される出力
信号発生効率に2つのピーク特性をもつ量子井戸型レー
ザダイオードアンプについて図7および図8を参照して
説明する。
【0052】図7は、本発明の実施に適したミキサ部に
用いられるレーザダイオードアンプのエネルギー準位を
説明するための図、図8は、本発明の一実施例で、ミキ
サ部に量子井戸型レーザダイオードアンプを用いたブロ
ック図である。
【0053】図7に示すようにキャリアの注入量を上げ
従来のレーザダイオードアンプのエネルギー準位よりも
高い準位までエネルギーを蓄積して混合,増幅を行う。
【0054】後述する図8の端面ミラー21の反射率を
低く押えることにより、損失が増加し、従来よりも大き
いエネルギーを注入しなければ発振せず、エネルギーを
大きくしたことで離れた波長となる。
【0055】エネルギー準位が高い程、もとのピークか
ら離れた波長で出力信号発生効率が高くなる。図2
(b)に示すように2つ目のピークを持つレーザダイオ
ードアンプは、製造の際に層厚を波長に合うように調整
してλ5 に2つ目の出力信号発生効率のピークを設け
る。
【0056】すなわち、複数の層を持つレーザダイオー
ドアンプでは層厚を各層でそれぞれ調整して、最低準位
でピークを持つ波長と、第2準位でピークを持つ波長
で、信号発生効率のピークを持たせることで広帯域化を
することができる。
【0057】一般に、pn接合のレーザダイオードアン
プでは、伝導帯と価電子帯とのエネルギーギャップEg
と、そこで発光する光の振動数νとの間には、プランク
定数hとして、hν=Egの関係があるので、レーザダ
イオードアンプが出力する光の波長がλ5 となるように
pn接合の層の厚さを調整してエネルギーギャップEg
を合わせる。
【0058】通常のレーザダイオードアンプでは端面ミ
ラーの反射率を1/1000未満にしてキャリアを注入
し、エネルギーを蓄積させていくと、最低準位に達した
ところで増幅,発振するが、この実施例のレーザダイオ
ードアンプでは図8に示す端面ミラー21の反射率を1
/1000〜1/100000程度に低くおさえること
により、増幅,発振のしきい値を上げ、図9に示すよう
に所望の層において第2準位まで達したところで発振さ
せるようにした。
【0059】次に、このミキサ部2に適した量子井戸型
レーザダイオードアンプを図7および図8を用いて説明
する。
【0060】量子井戸型レーザダイオードアンプでは活
性層に2種の組成材料を交互に積層したものを使用す
る。
【0061】図8は、図1のミキサ部2として、量子井
戸型レーザダイオードアンプ20を使用したものであ
る。
【0062】この量子井戸型レーザダイオードアンプ2
0は、図8に示すように、両端には端面ミラー21a,
21bが設けられ、これに挟まれて、2種類の組成材料
を交互に積層したヘテロ接合の量子井戸型構造22から
なる活性層が配置されている。23はキャリア注入用電
源である。図10は、図8の量子井戸型レーザダイオー
ドアンプ20のエネルギーバンドを表す図である。
【0063】このように、異なった2種類の材質の超薄
膜を交互に積層した量子井戸型構造では、電子は低い状
態で安定となるため伝導帯底のエネルギーが低いポテン
シャル井戸層に電子の分布を局在させることができる。
ポテンシャルバリア層は、伝導帯底のエネルギーが高い
ので障壁となる。ポテンシャル井戸層に束縛された電子
は定在波となる波数しか許されないので、層厚により波
長が定まることになる。従って、所望の波長の光になる
ように、層厚を調整すれば良いことになる。
【0064】このように構成された量子井戸型レーザダ
イオードアンプ20においては、電子は低いエネルギー
で安定となる。エネルギーを注入していくと、図10に
おけるポテンシャル井戸層にたまっていき、その層が飽
和すると通常は発振する。この量子井戸型レーザダイオ
ードアンプ20は、端面ミラー21a,21bの反射率
を1/10000程度と低く押えることで、ここでは発
振せずに、次のエネルギー準位まで達したところで発振
する。
【0065】また、このポテンシャル井戸層を多層に形
成して、いくつかの層厚と量子井戸のエネルギー準位と
を変えることにより、複数の波長で発振させることがで
きる。
【0066】図9は、図8の量子井戸型レーザダイオー
ドアンプの状態密度を表す図である。
【0067】この場合の状態密度は、図9に示すように
階段状の値をとり、キャリアを注入し、エネルギーを第
2準位まで蓄積し、発振する。このとき、エネルギーは
最低準位のときと比べて4倍の値をとるため、通常の層
厚による波長の調整に比べて大きく離れた波長に設定す
ることができる。
【0068】量子井戸型レーザダイオードアンプ20
は、図10に示すエネルギーバンド構造を示し、ポテン
シャル井戸層の伝導帯の最も低いところと価電子帯の最
も高いところの間のエネルギーギャップで発振しようと
する。ところが量子効果により、ポテンシャル井戸層で
は、伝導帯の最も低いエネルギーで電子は存在できず、
ポテンシャル井戸層で定在波の立つときのみ存在でき
る。定在波の波数が一番低いときのエネルギー準位を最
低準位と呼び、定在波の波が大きくなると、電子のとり
うるエネルギー準位は最低準位のn2 (n:自然数)倍
の値となる。同様に、価電子帯においては、ホールのと
りうるエネルギー準位は定在波の立つエネルギーのとき
のみであり、最低準位のn2 倍の値となる。
【0069】一例として、ポテンシャル井戸層およびポ
テンシャルバリア層の厚さがそれぞれ1μm、ポテンシ
ャルバリア層のエネルギーギャップが価電子帯側で0.
24eV、伝導帯側で1.35eVとする。また、伝導
帯のポテンシャル井戸層の最低エネルギーと価電子帯で
最高エネルギーとのエネルギーギャップEgによる波長
を1600nmとする。この場合、最低準位でのエネル
ギーは伝導帯側で波長30nmに相当するエネルギーに
なり、価電子帯で波長5nmに相当するエネルギーにな
る。従って、最低準位による発振および第2準位による
発振の波長はそれぞれ次のようになる。
【0070】 (最低準位による発振) 1600−(30+5)=1565nm (第2準位による発振) 1600−(30×22 +5×22 )=1460nm このように、量子井戸のそれぞれの活性層の端面ミラー
21a,21bの反射率を極小(1/1000〜1/1
00000)にすることにより最低準位および第2準位
で発振させることによる高帯域で信号発生率の良い量子
井戸型レーザダイオードアンプを得ることができる。
【0071】このように、従来の最低準位における層厚
の調整による波長設定より広い範囲にわたる設定が可能
になり、プローブ光の波長λ1 、ポンプ光の波長λ2
よび合成出力の波長λ5 が離れていても対応することが
できる。
【0072】この量子井戸型レーザダイオードアンプ2
0を用いたミキサ部2の出力スペクトルを図2(a)お
よび図11に示す。プローブ光の波長λ1 =1553n
m,ポンプ光の波長λ2 =1548nmを入力した場合
に、n=2の出力を取り出すと、出力波長λ5 はλ5
1538nmとなり、フィルタ帯域が3nm以下程度で
波長λ2 =1548nmのポンプ光などの不要な波長出
力を除去できることがわかる。
【0073】このように構成された多層の量子井戸型レ
ーザダイオードアンプをミキサ部2として使用した場合
の信号発生効率は、図2(b)に示すように、2つの入
力波長λ1 ,λ2 に対する最低準位によるピークをλ5
側に少しずらして設定し、合成出力の波長λ5 に第2準
位によるピークを持たせることができる。
【0074】この超高速光ミキサ装置は、ポンプ光をパ
ルス状にして光サンプリングに用いるなどして、プロー
ブ光の波長λ1 を出力光の波長λ5 に変換して観測する
ことなどに利用できる。
【0075】以上の実施例においては、ポンプ光の波長
λ2 がプローブ光の波長λ1 より小さく、出力光の波長
λ5 はポンプ光の波長λ2 より小さい場合について述べ
たが、本発明は、ポンプ光の波長λ2 がプローブ光の波
長λ1 より大きく、出力光の波長λ5 がポンプ光の波長
λ2 より大きい場合についても最低準位によるミキサ部
の利得のピークと第2準位によるミキサ部の利得のピー
クとを入れ替えることにより適用できるものであること
はいうまでもない。
【0076】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明の超
高速光ミキサ装置は、波長λのプローブ光と波長λ
のポンプ光とを入力し、合波する合波部1と、前記合波
部1の出力を受け、前記プローブ光と前記ポンプ光の波
長差をΔλとした時、ポンプ光の波長からプローブ光の
波長と反対側にnΔλ(n:2以上の整数)離れた波長
λの合成出力を発生させるものであって、信号発生効
率のピークをポンプ光の波長λ と合成出力の波長λ
の2ヶ所に持つレーザダイオードアンプで構成されてい
ミキサ部2と、前記ミキサ部2の出力を受け、波長λ
の合成出力を選択し出力するバンドパスフィルタ3と
を備えているので、プローブ光の波長λ,ポンプ光の
波長λから、従来よりもn倍離れた波長λのミキサ
出力を得ることができるため、プローブ光の波長λ
ポンプ光の波長λとが近接している場合でも、フィル
タで容易にプローブ光,ポンプ光の不要な波長をカット
することができ、質の良い出力光を得ることができる。
【0077】
【0078】この発明は、さらに、前記ミキサ部2は、
信号発生効率のピークをポンプ光の波長λ2 と合成出力
の波長λ5 の2ヶ所に持つ量子井戸型レーザダイオード
アンプ20であることを特徴とするので、信号発生効率
のピークを2ヶ所に設定することが容易にでき、極めて
高い出力信号を得ることができる。
【0079】この発明は、また、前記量子井戸型レーザ
ダイオードアンプ20は、多層の量子井戸構造と前記多
層の量子井戸構造の両端に設けられた端面ミラー21
a,21bとを有し、前記多層の量子井戸構造の少なく
とも1つの層の層厚および量子井戸のエネルギー準位が
他の層の層厚および量子井戸のエネルギー準位と異なる
ように形成され、かつ、前記端面ミラー21a,21b
の反射率が1/1000〜1/100000とされてい
ることを特徴とするので、入力される波長λ1 ,λ2
合成出力の波長λ5 とが大きく離れていても容易にそれ
らの波長にピークを設定することができ、質の良い出力
光を得ることができる。
【0080】なお、ポンプ光をゲート信号として用いる
と、プローブ光を波長変換して観測することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の構成を示すブロック図であ
る。
【図2】図1の実施例の機能および動作を説明するため
の波形図である。
【図3】図12の従来例の機能および動作を説明するた
めの波形図である。
【図4】KTP結晶による従来例を示すブロック図およ
び機能・動作を説明するための図である。
【図5】従来のミキサ部の特性および出力波のスペクト
ルを表す図である。
【図6】本発明のミキサ部の特性および出力波のスペク
トルを表す図である。
【図7】本発明の実施に適したミキサ部に用いられるレ
ーザダイオードアンプのエネルギー準位を説明するため
の図である。
【図8】本発明の一実施例で、ミキサ部に量子井戸型レ
ーザダイオードアンプを用いたブロック図である。
【図9】図8の量子井戸型レーザダイオードアンプの状
態密度を表す図である。
【図10】図8の量子井戸型レーザダイオードアンプの
エネルギーバンドを表す図である。
【図11】図8の一実施例における量子井戸型レーザダ
イオードアンプの出力を表すスペクトル図およびバンド
パスフィルタの特性を表す図である。
【図12】従来の超高速光ミキサ装置の構成を示すブロ
ック図である。
【符号の説明】
1 合波部 2 ミキサ部 3 バンドパスフィルタ 20 量子井戸型レーザダイオードアンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H04B 10/00 - 10/28 H04J 14/00 - 14/08

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 波長λのプローブ光と波長λのポン
    プ光とを入力し、合波する合波部(1)と、 前記合波部(1)の出力を受け、前記プローブ光と前記
    ポンプ光の波長差をΔλとした時、ポンプ光の波長から
    プローブ光の波長と反対側にnΔλ(n:2以上の整
    数)離れた波長λの合成出力を発生させるものであっ
    て、信号発生効率のピークをポンプ光の波長λ と合成
    出力の波長λ の2ヶ所に持つレーザダイオードアンプ
    で構成されているミキサ部(2)と、 前記ミキサ部(2)の出力を受け、波長λの合成出力
    を選択し出力するバンドパスフィルタ(3)とを備えた
    超高速光ミキサ装置。
  2. 【請求項2】 前記ミキサ部(2)は、信号発生効率の
    ピークをポンプ光の波長λと合成出力の波長λの2
    ヶ所に持つ量子井戸型レーザダイオードアンプ(20)
    であることを特徴とする請求項1に記載の超高速光ミキ
    サ装置。
  3. 【請求項3】 前記量子井戸型レーザダイオードアンプ
    (20)は、多層の量子井戸構造と前記多層の量子井戸
    構造の両端に設けられた端面ミラー(21a,21b)
    とを有し、前記多層の量子井戸構造の少なくとも1つの
    層の層厚および量子井戸のエネルギー準位が他の層の層
    厚および量子井戸のエネルギー準位と異なるように形成
    され、かつ、前記端面ミラーの反射率が1/1000〜
    1/100000とされていることを特徴とする請求項
    記載の超高速光ミキサ装置。
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