JP3382799B2 - 微風速風洞 - Google Patents
微風速風洞Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、大気環境予測のた
め等に、風路内に大気環境を模擬する微風速の気流を発
生させ、風洞試験を行うことができるようにした微風速
風洞に関する。 【０００２】 【従来の技術】例えば、大気環境の予測を行う場所の地
形を模擬して製作された地形上に、模型煙突を設けて、
野外における排煙の上昇過程を、風洞内で再現して大気
環境等を予測する風洞試験においては、相似則上、風洞
内の風速を１ｍ／ｓ以下の非常に小さいものにしなけれ
ばならない。 【０００３】このような風洞試験を行う風洞に、既存の
吹き出しタイプの風洞を使用するようにした場合、風速
を小さくした気流にして、野外の風の風速を模擬するこ
とは可能であるが、このようなタイプの風洞では、風洞
内と連通する大気、特に大気に生じる風の影響を受けや
すく、風速変動が大きくなり、風速の大きさとともに、
相似則上重要な安定した風速の気流を得ることが容易で
ない。 【０００４】そこで、このような風洞試験では、既存の
吹き出しタイプの風洞を、図６、図７に示すような微風
速風洞２０にして使用するようにしている。図におい
て、０１は一端側を外気に開放した縮流部導風管、０２
は一端、すなわち入口側が縮流部導風管０１の他端側で
ある縮流部に連結され、長方形の略一定の断面積にされ
て、地上に平行に設置された風路、０３は風路０２の床
面を形成するとともに、中心０４まわりに回転できるよ
うにされたターンテーブルである。 【０００５】すなわち、風路０２の床面を形成するター
ンテーブル０３を、中心０４まわり回転できるようにす
るため、風路０２をターンテーブル０３とともに形成す
る、側壁０５および天井０６は、ターンテーブル０３と
分離されて形成され、また、側壁０５の下端とターンテ
ーブル０３の上面との間には、ターンテーブル０３の回
動を許容し、しかも、大気の状態が風路０２内に影響を
及ぼさないようにするため、外気との連通を阻止する、
図示省略したシール装置を設けるようにしている。 【０００６】また、０７は風路０２の他端、すなわち出
口側に連結され、風路０２から流出する気流０１０を大
気へ放出する吹出し部、０８は吹出し部０７の内部に設
置されるとともに、一端である上流端が風路０２の出口
側に連結された絞りダクト、０９は、同様に吹出し部０
７の内部に設置されるとともに、絞りダクト０８の他端
である下流端に連結され、風路０２内の気流０１０を吸
込み、吹出し部０７を介して大気へ放出して、風路０２
内に一様な風速の気流０１０を発生させる吸込みブロア
である。すなわち、従来の微風速風洞０２０は、このよ
うに構成された既存の吹出しタイプの風洞に、後述する
風速設定部材０１１を風路０２内に追加、設置すること
により形成するようにしている。 【０００７】縮流部導風管０１との連結部に近い風路０
２の入口側、および絞りダクト０８との連結部に近い風
路０２の出口側に、それぞれ２枚づつ風路０２の軸方向
と直交、換言すると気流０１０に正対させて風速設定部
材０１１が配設される。風速設定部材０１１は、風路０
２の断面積と略等しい正対面積にされた側面を設けた形
状に切断されたハニカム０１２と、ハニカム０１２と略
同じ正対面積にされた側面を設けた形状に切断され、そ
の側面でハニカム０１２の両側面を挟込み、挟持するパ
ンチングメタル０１３とで形成されるようにしている。 【０００８】また、０１４は風速設定部材０１１を風路
０２内の任意の位置に設置するためのＬ型アングルで、
その一辺を風速設定部材０１１に固着したＬ型アングル
０１４の他辺は、風路０２の天井０６には溶接で、また
床面であるターンテーブル０３にはネジ止め等で固定さ
れ、風路０２内に風速設定部材０１１を固定するように
している。 【０００９】このように、既存の吹出しタイプの風洞の
風路０２内に、風速設定部材０１１を配設することによ
り構成される微風速風洞０２０において、吸込ブロア０
９を起動させると、縮流部導風管０１の上流側である一
端側より吸引される外気流は、風路０２内に流れ、風路
入口側に設置された風速設定部材０１１のパンチングメ
タル０１３とハニカム０１２に、それぞれあけられた細
孔を通過し、床面であるターンテーブル０３の上面に、
図示省略した地形模型および煙突模型０１５が設置され
るとともに、図示省略した計測孔を設けた多数の配管等
が設置された測定部０１７を通って、風路出口側に設置
された風速設定部材０１１のパンチングメタル０１３と
ハニカム０１２を通過して、吹出し部０７から大気中へ
流出する。 【００１０】この結果、測定部０１７には、１ｍ／ｓ以
下の低風速で、かつ、風速変動が少ない、整流された気
流０１０を発生させることができる。また、測定部０１
７を流れる気流０１０は、測定部０１７が風速設定部材
０１１のパンチングメタル０１３およびハニカム０１２
に、それぞれあけられた細孔で外気と連結されているだ
けで、外気の影響を殆んど受けないようにしているの
で、風速変動の少い、安定したものになる。 【００１１】そして、風洞試験においては、このような
風速変動が少く、安定した野外の風を模擬した気流０１
０の条件下で、煙突模型０１５よりトレーサーガス０１
６を気流０１０中に噴出させ、測定部０１７の空間、若
しくは地形模型に設けた多数の配管の計測孔より、気流
０１０中に拡散したトレーサーガス０１６を吸入するこ
とにより、トレーサーガス０１６の空間濃度分布等を測
定し、分析することによって、地形模型で模擬された地
形の場所に、煙突を設置した場合の大気環境および地上
環境等に及ぼす影響を予測することができる。 【００１２】上述した風洞試験においては、実験条件、
例えば風路０２内を流れる気流０１０の上下方向、又は
左右方向の風速分布を変え、ウインドシエアのある気流
にしたり、又は煙突模型０１５から排出されるトレーサ
ーガス０１６上昇高さを変える等、実際に、煙突を設置
した場合の事象との相似則上の整合を良くするために、
風路０２内に配置する風速設定部材０１１の位置や、枚
数の微調整を行う必要が生じる場合がある。 【００１３】しかしながら、上述した微風速風洞０２０
では、風速設定部材０１１の上端が、Ｌ型アングル０１
４を介して風路０２の天井０６に溶着されるとともに、
下端がＬ型アングル０１４を介して風路０２の床面であ
るターンテーブル０３にネジ止めされているために、風
速設定部材０１１の設置位置や枚数に微調整が必要とな
った場合には、その取外し、取付け作業に時間を要し、
その間は風洞試験を中止せざるを得なくなり、試験効率
が悪くなるという不具合がある。 【００１４】さらに、大気環境等を予測する場所によっ
ては、種々の風向の風が発生するために、風向頻度を考
慮したトレーサーガス０１６の拡散濃度分布を測定する
風洞試験が必要となる場合があるが、上述したように、
従来の微風速風洞０２０は、風路０２の床面をターンテ
ーブル０３で形成し、ターンテーブル０３を中心４まわ
りに回転させて、ターンテーブル０３上に設けた煙突模
型０１５等に対する、気流０１０の相対的な方向を、そ
の都度変えて行う風洞試験はできるものの、風洞試験中
に大気環境等を予測する場所の風向頻度に合せてターン
テーブル０３を回転させ、風向を変えて行う、風向頻度
を考慮した風洞試験は、上述した微風速風洞０２０で
は、ターンテーブル０３と風速設定部材０１０が固定さ
れているために、ターンテーブル０３の回転ができず、
実施できないという不具合がある。 【００１５】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従
来の微風速風洞の不具合を解消するため、風向頻度を考
慮したトレーサーガスの拡散濃度分布を測定する風洞試
験を行うことができるとともに、風路を流れる気流の微
調整を容易に、しかも短時間で行うことができるように
した微風速風洞の提供を課題とする。 【００１６】 【課題を解決するための手段】このため、本発明の微風
速風洞は、次の手段とした。 【００１７】（１）吹出し部に吸込ブロアが設置され、
内部に軸心方向に流れる気流を発生させるようにした床
面がターンテーブルで形成されている風路の両側壁から
内方に突出し、風路軸心と略平行に配置したラックレー
ルを設けた。なお、ラックレールは風路内を流れる気流
を乱さないように、小さな断面積にされ、しかも両側壁
にできるだけ近付けて配設することが好ましい。 【００１８】（２）風路の断面積と略同じ広さの正対面
積の側面をもつハニカムの両側面から、略同じ広さの正
対面積のパンチングメタルの側面で挟みこんで形成さ
れ、風路の任意の位置に、任意の枚数設置して、風路内
に微風速の気流を発生させるようにした風速設定部材の
下端に取り付けられ、風速設定部材が風路の床面上を自
在に走行できるようにした自在べアリングを設けた。な
お、自在べアリングは、床面上を走行しているときの風
路設定部材の安定性を良くするため、風速設定部材の両
側端近傍の対称位置に設けることが好ましい。 【００１９】（３）風速設定部材の両側端部に切り欠か
れ、風路の両側壁から内側へ突設され、風路の軸方向に
配設されたラックレールを通過させる空間を形成するよ
うにした切欠き部を設けた。なお、切欠き部は風速設定
部材の床面上の走行時の安定を良くするため、風速設定
部材の略同一高さ位置で、しかも上方に設けるようにす
ることが好ましい。 【００２０】（４）切欠き部の側面等から突出させた水
平車軸の端部に設けられ、ラックレールの上面に刻設し
たラック溝と噛合する歯車の駆動により、風速設定部材
を風路の軸方向の任意の位置へ移動させるようにした移
動装置を切欠き部に設けた。なお、歯車は切欠き部の上
面、若しくは下面から突出させた鉛直車軸の端部に設け
るようにしても良く、この場合、歯車と噛合するラック
溝は、ラックレールの側面に刻設される。 【００２１】本発明の微風速風洞は、上述のように風速
設定部材の底面に自在べアリングを取り付け、自在べア
リングを風路の床面であるターンテーブルに接地させ、
風速設定部材側面に、風路内両側壁上に設けたラックレ
ールが通過できる切欠き部を設け、切欠き部に車軸と歯
車からなる移動装置を取り付け、切欠き部を通過するラ
ックレールの歯車をかみ合せ、接触させることにより、
風速設定部材を風路内の任意の位置に移動、設置できる
ようにしたことにより、風速設定部材は、ラックレール
に沿って風路の軸方向に自在に移動させることができ、
任意の位置に容易に設置できるので、風路を流れる気流
の微調整は、容易に、しかも短時間で行うことができる
ようになる。 【００２２】また風速設定部材は自在べアリングで、床
面に接地されているだけで、固着等の連結がなされてい
ないため、床面を形成するターンテーブルは、風速設定
部材とは無関係に回転可能になり、風洞試験中にターン
テーブルを回転させて行う風向頻度を考慮したトレーサ
ーガスの拡散濃度分布を測定する風洞試験を行うことが
できるようになる。 【００２３】 【発明の実施の形態】以下、本発明の微風速風洞の実施
の一形態を図面にもとづき説明する。図１は、本発明の
微風速風洞の実施の第１形態の構造図で、測定部０１７
を気流方向から見た図である。なお、図６、図７で示し
たものと、同一部材、若しくは類似の部材は、同一符号
を付して説明は省略する。 【００２４】図に示すように、風路０２の断面積と同じ
広さの正対面積にされたハニカム０１２の両側面を、パ
ンチングメタル０１３で挟み込んで形成され、風路０２
に直交して配設された風速設定部材１１には、測定部０
１７の両側壁０５から突出された支持体２６上に載置さ
れ、風路０２の軸心と平行に配設されて、上面にラック
溝２２が形成されたラックレール２１を通過させるため
の切欠き部２３が、両側上方に設けられている。この切
欠き部２３の側面には、移動装置としての車軸２４と平
歯車２５が取り付けられており、平歯車２５とラックレ
ール２１とはかみあい接触しており、移動装置を介し
て、風速設定部材１１とラックレール２１とは連結され
ている。 【００２５】また、風速設定部材１１の底面には、自在
べアリング２７が取り付けられており、風路０２の床面
を形成するターンテーブル０３の上面に接地して、風路
設定部材１１が支持されるようにしている。ラックレー
ル２１及び車軸２４、平歯車２５の拡大図である、図２
に示すように、ラックレール２１の上面に設けたラック
溝２２に噛合した、平歯車２５はラックレール２１上を
自由に往復運動することにより、移動装置と連結した風
路設定部材１１も風路０２の任意の位置に移動させるこ
とができる。このとき、自在べアリング２７の拡大図で
ある図３に示すように、斜線で示した自在べアリング２
７の球状部２８は、自由な回転を行い風路設定部材１１
をターンテーブル０３上のどの方向にも移動させること
ができる。 【００２６】このように構成された風速設定部材１１
を、図４、図５に示すように天井０６、両側壁０５およ
びターンテーブル０３で包囲された風路０２中に設置す
ることにより、風速設定部材１１はラックレール２１に
沿って容易に風路０２内を移動でき、これにより、風路
０２内の任意の位置へ、任意の枚数の風速設定部材１１
を短時間で設置できるので、気流の調整時間が短縮でき
るようになる。 【００２７】平面図である、図５に示すように、風向頻
度を考慮したガスの拡散濃度を測定する風洞試験を行う
場合には、風路０２の床面を形成するターンテーブル０
３を煙突模型０１５で模擬された煙突を、実際に建設す
る現地の風向頻度に合せて矢視で示すように回転させる
が、風速設定部材１１の底面に取り付けてある自在べア
リング２７によって、ターンテーブル０３の動きに追従
することなく、風路０２内の任意の位置に風路設定部材
１１を保持できる。 【００２８】 【発明の効果】以上説明したように、本発明の微風速風
洞によれば、特許請求の範囲に示す構成により、 （１）風洞試験上必要な気流条件を、従来よりも簡単な
操作で、しかも短時間に再現できるので、コストダウン
がはかれる。 【００２９】（２）従来の微風速風洞では実施できなか
った、微風速再現時に、風向頻度を考慮したガスの拡散
濃度測定が可能となる。
め等に、風路内に大気環境を模擬する微風速の気流を発
生させ、風洞試験を行うことができるようにした微風速
風洞に関する。 【０００２】 【従来の技術】例えば、大気環境の予測を行う場所の地
形を模擬して製作された地形上に、模型煙突を設けて、
野外における排煙の上昇過程を、風洞内で再現して大気
環境等を予測する風洞試験においては、相似則上、風洞
内の風速を１ｍ／ｓ以下の非常に小さいものにしなけれ
ばならない。 【０００３】このような風洞試験を行う風洞に、既存の
吹き出しタイプの風洞を使用するようにした場合、風速
を小さくした気流にして、野外の風の風速を模擬するこ
とは可能であるが、このようなタイプの風洞では、風洞
内と連通する大気、特に大気に生じる風の影響を受けや
すく、風速変動が大きくなり、風速の大きさとともに、
相似則上重要な安定した風速の気流を得ることが容易で
ない。 【０００４】そこで、このような風洞試験では、既存の
吹き出しタイプの風洞を、図６、図７に示すような微風
速風洞２０にして使用するようにしている。図におい
て、０１は一端側を外気に開放した縮流部導風管、０２
は一端、すなわち入口側が縮流部導風管０１の他端側で
ある縮流部に連結され、長方形の略一定の断面積にされ
て、地上に平行に設置された風路、０３は風路０２の床
面を形成するとともに、中心０４まわりに回転できるよ
うにされたターンテーブルである。 【０００５】すなわち、風路０２の床面を形成するター
ンテーブル０３を、中心０４まわり回転できるようにす
るため、風路０２をターンテーブル０３とともに形成す
る、側壁０５および天井０６は、ターンテーブル０３と
分離されて形成され、また、側壁０５の下端とターンテ
ーブル０３の上面との間には、ターンテーブル０３の回
動を許容し、しかも、大気の状態が風路０２内に影響を
及ぼさないようにするため、外気との連通を阻止する、
図示省略したシール装置を設けるようにしている。 【０００６】また、０７は風路０２の他端、すなわち出
口側に連結され、風路０２から流出する気流０１０を大
気へ放出する吹出し部、０８は吹出し部０７の内部に設
置されるとともに、一端である上流端が風路０２の出口
側に連結された絞りダクト、０９は、同様に吹出し部０
７の内部に設置されるとともに、絞りダクト０８の他端
である下流端に連結され、風路０２内の気流０１０を吸
込み、吹出し部０７を介して大気へ放出して、風路０２
内に一様な風速の気流０１０を発生させる吸込みブロア
である。すなわち、従来の微風速風洞０２０は、このよ
うに構成された既存の吹出しタイプの風洞に、後述する
風速設定部材０１１を風路０２内に追加、設置すること
により形成するようにしている。 【０００７】縮流部導風管０１との連結部に近い風路０
２の入口側、および絞りダクト０８との連結部に近い風
路０２の出口側に、それぞれ２枚づつ風路０２の軸方向
と直交、換言すると気流０１０に正対させて風速設定部
材０１１が配設される。風速設定部材０１１は、風路０
２の断面積と略等しい正対面積にされた側面を設けた形
状に切断されたハニカム０１２と、ハニカム０１２と略
同じ正対面積にされた側面を設けた形状に切断され、そ
の側面でハニカム０１２の両側面を挟込み、挟持するパ
ンチングメタル０１３とで形成されるようにしている。 【０００８】また、０１４は風速設定部材０１１を風路
０２内の任意の位置に設置するためのＬ型アングルで、
その一辺を風速設定部材０１１に固着したＬ型アングル
０１４の他辺は、風路０２の天井０６には溶接で、また
床面であるターンテーブル０３にはネジ止め等で固定さ
れ、風路０２内に風速設定部材０１１を固定するように
している。 【０００９】このように、既存の吹出しタイプの風洞の
風路０２内に、風速設定部材０１１を配設することによ
り構成される微風速風洞０２０において、吸込ブロア０
９を起動させると、縮流部導風管０１の上流側である一
端側より吸引される外気流は、風路０２内に流れ、風路
入口側に設置された風速設定部材０１１のパンチングメ
タル０１３とハニカム０１２に、それぞれあけられた細
孔を通過し、床面であるターンテーブル０３の上面に、
図示省略した地形模型および煙突模型０１５が設置され
るとともに、図示省略した計測孔を設けた多数の配管等
が設置された測定部０１７を通って、風路出口側に設置
された風速設定部材０１１のパンチングメタル０１３と
ハニカム０１２を通過して、吹出し部０７から大気中へ
流出する。 【００１０】この結果、測定部０１７には、１ｍ／ｓ以
下の低風速で、かつ、風速変動が少ない、整流された気
流０１０を発生させることができる。また、測定部０１
７を流れる気流０１０は、測定部０１７が風速設定部材
０１１のパンチングメタル０１３およびハニカム０１２
に、それぞれあけられた細孔で外気と連結されているだ
けで、外気の影響を殆んど受けないようにしているの
で、風速変動の少い、安定したものになる。 【００１１】そして、風洞試験においては、このような
風速変動が少く、安定した野外の風を模擬した気流０１
０の条件下で、煙突模型０１５よりトレーサーガス０１
６を気流０１０中に噴出させ、測定部０１７の空間、若
しくは地形模型に設けた多数の配管の計測孔より、気流
０１０中に拡散したトレーサーガス０１６を吸入するこ
とにより、トレーサーガス０１６の空間濃度分布等を測
定し、分析することによって、地形模型で模擬された地
形の場所に、煙突を設置した場合の大気環境および地上
環境等に及ぼす影響を予測することができる。 【００１２】上述した風洞試験においては、実験条件、
例えば風路０２内を流れる気流０１０の上下方向、又は
左右方向の風速分布を変え、ウインドシエアのある気流
にしたり、又は煙突模型０１５から排出されるトレーサ
ーガス０１６上昇高さを変える等、実際に、煙突を設置
した場合の事象との相似則上の整合を良くするために、
風路０２内に配置する風速設定部材０１１の位置や、枚
数の微調整を行う必要が生じる場合がある。 【００１３】しかしながら、上述した微風速風洞０２０
では、風速設定部材０１１の上端が、Ｌ型アングル０１
４を介して風路０２の天井０６に溶着されるとともに、
下端がＬ型アングル０１４を介して風路０２の床面であ
るターンテーブル０３にネジ止めされているために、風
速設定部材０１１の設置位置や枚数に微調整が必要とな
った場合には、その取外し、取付け作業に時間を要し、
その間は風洞試験を中止せざるを得なくなり、試験効率
が悪くなるという不具合がある。 【００１４】さらに、大気環境等を予測する場所によっ
ては、種々の風向の風が発生するために、風向頻度を考
慮したトレーサーガス０１６の拡散濃度分布を測定する
風洞試験が必要となる場合があるが、上述したように、
従来の微風速風洞０２０は、風路０２の床面をターンテ
ーブル０３で形成し、ターンテーブル０３を中心４まわ
りに回転させて、ターンテーブル０３上に設けた煙突模
型０１５等に対する、気流０１０の相対的な方向を、そ
の都度変えて行う風洞試験はできるものの、風洞試験中
に大気環境等を予測する場所の風向頻度に合せてターン
テーブル０３を回転させ、風向を変えて行う、風向頻度
を考慮した風洞試験は、上述した微風速風洞０２０で
は、ターンテーブル０３と風速設定部材０１０が固定さ
れているために、ターンテーブル０３の回転ができず、
実施できないという不具合がある。 【００１５】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従
来の微風速風洞の不具合を解消するため、風向頻度を考
慮したトレーサーガスの拡散濃度分布を測定する風洞試
験を行うことができるとともに、風路を流れる気流の微
調整を容易に、しかも短時間で行うことができるように
した微風速風洞の提供を課題とする。 【００１６】 【課題を解決するための手段】このため、本発明の微風
速風洞は、次の手段とした。 【００１７】（１）吹出し部に吸込ブロアが設置され、
内部に軸心方向に流れる気流を発生させるようにした床
面がターンテーブルで形成されている風路の両側壁から
内方に突出し、風路軸心と略平行に配置したラックレー
ルを設けた。なお、ラックレールは風路内を流れる気流
を乱さないように、小さな断面積にされ、しかも両側壁
にできるだけ近付けて配設することが好ましい。 【００１８】（２）風路の断面積と略同じ広さの正対面
積の側面をもつハニカムの両側面から、略同じ広さの正
対面積のパンチングメタルの側面で挟みこんで形成さ
れ、風路の任意の位置に、任意の枚数設置して、風路内
に微風速の気流を発生させるようにした風速設定部材の
下端に取り付けられ、風速設定部材が風路の床面上を自
在に走行できるようにした自在べアリングを設けた。な
お、自在べアリングは、床面上を走行しているときの風
路設定部材の安定性を良くするため、風速設定部材の両
側端近傍の対称位置に設けることが好ましい。 【００１９】（３）風速設定部材の両側端部に切り欠か
れ、風路の両側壁から内側へ突設され、風路の軸方向に
配設されたラックレールを通過させる空間を形成するよ
うにした切欠き部を設けた。なお、切欠き部は風速設定
部材の床面上の走行時の安定を良くするため、風速設定
部材の略同一高さ位置で、しかも上方に設けるようにす
ることが好ましい。 【００２０】（４）切欠き部の側面等から突出させた水
平車軸の端部に設けられ、ラックレールの上面に刻設し
たラック溝と噛合する歯車の駆動により、風速設定部材
を風路の軸方向の任意の位置へ移動させるようにした移
動装置を切欠き部に設けた。なお、歯車は切欠き部の上
面、若しくは下面から突出させた鉛直車軸の端部に設け
るようにしても良く、この場合、歯車と噛合するラック
溝は、ラックレールの側面に刻設される。 【００２１】本発明の微風速風洞は、上述のように風速
設定部材の底面に自在べアリングを取り付け、自在べア
リングを風路の床面であるターンテーブルに接地させ、
風速設定部材側面に、風路内両側壁上に設けたラックレ
ールが通過できる切欠き部を設け、切欠き部に車軸と歯
車からなる移動装置を取り付け、切欠き部を通過するラ
ックレールの歯車をかみ合せ、接触させることにより、
風速設定部材を風路内の任意の位置に移動、設置できる
ようにしたことにより、風速設定部材は、ラックレール
に沿って風路の軸方向に自在に移動させることができ、
任意の位置に容易に設置できるので、風路を流れる気流
の微調整は、容易に、しかも短時間で行うことができる
ようになる。 【００２２】また風速設定部材は自在べアリングで、床
面に接地されているだけで、固着等の連結がなされてい
ないため、床面を形成するターンテーブルは、風速設定
部材とは無関係に回転可能になり、風洞試験中にターン
テーブルを回転させて行う風向頻度を考慮したトレーサ
ーガスの拡散濃度分布を測定する風洞試験を行うことが
できるようになる。 【００２３】 【発明の実施の形態】以下、本発明の微風速風洞の実施
の一形態を図面にもとづき説明する。図１は、本発明の
微風速風洞の実施の第１形態の構造図で、測定部０１７
を気流方向から見た図である。なお、図６、図７で示し
たものと、同一部材、若しくは類似の部材は、同一符号
を付して説明は省略する。 【００２４】図に示すように、風路０２の断面積と同じ
広さの正対面積にされたハニカム０１２の両側面を、パ
ンチングメタル０１３で挟み込んで形成され、風路０２
に直交して配設された風速設定部材１１には、測定部０
１７の両側壁０５から突出された支持体２６上に載置さ
れ、風路０２の軸心と平行に配設されて、上面にラック
溝２２が形成されたラックレール２１を通過させるため
の切欠き部２３が、両側上方に設けられている。この切
欠き部２３の側面には、移動装置としての車軸２４と平
歯車２５が取り付けられており、平歯車２５とラックレ
ール２１とはかみあい接触しており、移動装置を介し
て、風速設定部材１１とラックレール２１とは連結され
ている。 【００２５】また、風速設定部材１１の底面には、自在
べアリング２７が取り付けられており、風路０２の床面
を形成するターンテーブル０３の上面に接地して、風路
設定部材１１が支持されるようにしている。ラックレー
ル２１及び車軸２４、平歯車２５の拡大図である、図２
に示すように、ラックレール２１の上面に設けたラック
溝２２に噛合した、平歯車２５はラックレール２１上を
自由に往復運動することにより、移動装置と連結した風
路設定部材１１も風路０２の任意の位置に移動させるこ
とができる。このとき、自在べアリング２７の拡大図で
ある図３に示すように、斜線で示した自在べアリング２
７の球状部２８は、自由な回転を行い風路設定部材１１
をターンテーブル０３上のどの方向にも移動させること
ができる。 【００２６】このように構成された風速設定部材１１
を、図４、図５に示すように天井０６、両側壁０５およ
びターンテーブル０３で包囲された風路０２中に設置す
ることにより、風速設定部材１１はラックレール２１に
沿って容易に風路０２内を移動でき、これにより、風路
０２内の任意の位置へ、任意の枚数の風速設定部材１１
を短時間で設置できるので、気流の調整時間が短縮でき
るようになる。 【００２７】平面図である、図５に示すように、風向頻
度を考慮したガスの拡散濃度を測定する風洞試験を行う
場合には、風路０２の床面を形成するターンテーブル０
３を煙突模型０１５で模擬された煙突を、実際に建設す
る現地の風向頻度に合せて矢視で示すように回転させる
が、風速設定部材１１の底面に取り付けてある自在べア
リング２７によって、ターンテーブル０３の動きに追従
することなく、風路０２内の任意の位置に風路設定部材
１１を保持できる。 【００２８】 【発明の効果】以上説明したように、本発明の微風速風
洞によれば、特許請求の範囲に示す構成により、 （１）風洞試験上必要な気流条件を、従来よりも簡単な
操作で、しかも短時間に再現できるので、コストダウン
がはかれる。 【００２９】（２）従来の微風速風洞では実施できなか
った、微風速再現時に、風向頻度を考慮したガスの拡散
濃度測定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の微風速風洞の実施の第１形態を示す構
造図で、測定部０１７を気流方向から見た正対図、 【図２】図１に示すＡ部の詳細を示す図で、図２（ａ）
は正対図、図２（ｂ）は図２（ａ）の矢視Ａ−Ａ図、 【図３】図１に示す自在べアリングの詳細を示す図、図
３（ａ）は正対図、図３（ｂ）は図３（ａ）の矢視Ｂ−
Ｂ図、 【図４】図１に示す微風速風洞の側面図、 【図５】図１に示す微風速風洞の平面図、 【図６】従来の微風速風洞の平面図、 【図７】従来の微風速風洞の側面図である。 【符号の説明】 ０１ 縮流部導風管 ０２ 風路 ０３ ターンテーブル ０４ （ターンテーブル）中心 ０５ （風路）側壁 ０６ （風路）天井 ０７ 吹出し部 ０８ 絞りダクト ０９ 吸込みブロア ０１０ 気流 １１，０１１ 風速設定部材 ０１２ ハニカム ０１３ パンチングメタル ０１４ Ｌ型アングル ０１５ 煙突模型 ０１６ トレーサーガス ０１７ 測定部 ２０，０２０ 微風速風洞 ２１ ラックレール ２２ ラック溝 ２３ 切欠き部 ２４ 車軸 ２５ 平歯車 ２６ 支持体 ２７ 自在べアリング ２８ 球状部
造図で、測定部０１７を気流方向から見た正対図、 【図２】図１に示すＡ部の詳細を示す図で、図２（ａ）
は正対図、図２（ｂ）は図２（ａ）の矢視Ａ−Ａ図、 【図３】図１に示す自在べアリングの詳細を示す図、図
３（ａ）は正対図、図３（ｂ）は図３（ａ）の矢視Ｂ−
Ｂ図、 【図４】図１に示す微風速風洞の側面図、 【図５】図１に示す微風速風洞の平面図、 【図６】従来の微風速風洞の平面図、 【図７】従来の微風速風洞の側面図である。 【符号の説明】 ０１ 縮流部導風管 ０２ 風路 ０３ ターンテーブル ０４ （ターンテーブル）中心 ０５ （風路）側壁 ０６ （風路）天井 ０７ 吹出し部 ０８ 絞りダクト ０９ 吸込みブロア ０１０ 気流 １１，０１１ 風速設定部材 ０１２ ハニカム ０１３ パンチングメタル ０１４ Ｌ型アングル ０１５ 煙突模型 ０１６ トレーサーガス ０１７ 測定部 ２０，０２０ 微風速風洞 ２１ ラックレール ２２ ラック溝 ２３ 切欠き部 ２４ 車軸 ２５ 平歯車 ２６ 支持体 ２７ 自在べアリング ２８ 球状部
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名)
G01M 9/02
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項１】 吹出し部に吸込ブロアが設置され、内部
に気流を発生させるようにした床面がターンテーブルで
形成されている風路の任意の位置に、前記風路の断面積
と略同じ正対面積にしたハニカムを、両側面からパンチ
ングメタルで挟持して形成された風速設定部材を、任意
の枚数設置して、前記風路内に微風速の気流を発生させ
るようにした微風速風洞において、前記風路の両側壁か
ら内側へ突出させ、前記風路の軸方向に配設されたラッ
クレールと、前記風速設定部材の下端に取り付けられ、
前記風路の床面上を、前記風速設定部材が自在に走行で
きるようにした自在べアリングと、前記風速設定部材の
両側端部に切り欠かれ、前記ラックレールを通過させる
ようにした切欠き部と、前記切欠き部に設置され、前記
ラックレールと噛合させた歯車の駆動により、前記風速
設定部材を風路の任意の位置へ移動させるようにした移
動装置とを設けたことを特徴とする微風速風洞。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP32949096A JP3382799B2 (ja) | 1996-12-10 | 1996-12-10 | 微風速風洞 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP32949096A JP3382799B2 (ja) | 1996-12-10 | 1996-12-10 | 微風速風洞 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH10170391A JPH10170391A (ja) | 1998-06-26 |
| JP3382799B2 true JP3382799B2 (ja) | 2003-03-04 |
Family
ID=18221960
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP32949096A Expired - Fee Related JP3382799B2 (ja) | 1996-12-10 | 1996-12-10 | 微風速風洞 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3382799B2 (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN104075871A (zh) * | 2014-07-17 | 2014-10-01 | 中国科学院寒区旱区环境与工程研究所 | 漏斗式单元筒体装置在植物生理生态方面的应用 |
Families Citing this family (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN105387988B (zh) * | 2015-10-21 | 2018-05-11 | 中车青岛四方机车车辆股份有限公司 | 一种孔板风道实验装置 |
| CN105758610A (zh) * | 2016-03-11 | 2016-07-13 | 中国科学院寒区旱区环境与工程研究所 | 高速风沙跃移试验观测系统 |
-
1996
- 1996-12-10 JP JP32949096A patent/JP3382799B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN104075871A (zh) * | 2014-07-17 | 2014-10-01 | 中国科学院寒区旱区环境与工程研究所 | 漏斗式单元筒体装置在植物生理生态方面的应用 |
| CN104075871B (zh) * | 2014-07-17 | 2016-08-17 | 中国科学院寒区旱区环境与工程研究所 | 漏斗式单元筒体装置在植物生理生态方面的应用 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH10170391A (ja) | 1998-06-26 |
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