JP3381466B2 - 量子素子 - Google Patents

量子素子

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JP3381466B2
JP3381466B2 JP18095395A JP18095395A JP3381466B2 JP 3381466 B2 JP3381466 B2 JP 3381466B2 JP 18095395 A JP18095395 A JP 18095395A JP 18095395 A JP18095395 A JP 18095395A JP 3381466 B2 JP3381466 B2 JP 3381466B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、量子素子に関し、特
に、量子細線や量子箱(量子ドットとも呼ばれる)など
の量子構造を用いた量子素子に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体素子の微細化に伴い、空乏層を金
属配線を介して制御する従来の動作方式が近い将来限界
を迎えると考えられている。この微細化は単体素子の特
性の向上を求めたものでもあるが、それ以上に大規模集
積化のために行っているものであり、VLSIとしての
性能を念頭に置く必要がある。半導体素子を超高密度に
集積化した場合には、金属配線が複雑に構成され、論理
ICに限らず、メモリICにとっても、配線遅延が最も
重要な問題として浮かび上がってきている。
【0003】ところで、電荷を移動させる半導体素子と
しては、従来より電荷結合素子(CCD)がよく知られ
ており、超高集積のものがすでに実現され、実用化され
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
CCDにおいても、空乏層を金属配線を介して制御する
ことにより電荷を移動させており、多くの複雑な金属配
線が用いられている。このため、やはり配線遅延が重要
な問題として存在する。
【0005】このような背景の下に、金属配線によらず
に系を制御することができる素子が広く求められている
が、これまで報告例はないのが実情である。
【0006】従って、この発明の目的は、金属配線を用
いることなく、光入力分布を時系列の電荷分布として読
み出すことができ、撮像素子として用いることができる
量子素子を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明による量子素子は、その延在方向に電荷が
移動することができる細線と、細線の一端から他端に向
かって前進するように細線の周囲を取り巻いて設けられ
た一次元量子箱アレーとを有し、細線の延在方向と交差
する面内の外部電場を印加し、その印加方向を上記面内
で回転させることにより細線に沿って電荷を移動させる
ようにした電荷移動チャネルと、電荷移動チャネルに隣
接して設けられた量子箱からなる受光部とを有すること
を特徴とするものである。
【0008】この発明において、細線としては、電子を
一次元的に閉じ込めることができる量子細線や、電子を
零次元的に閉じ込めることができる量子箱をトンネル効
果により相互に結合するように互いに隣接して配列した
一次元量子箱アレーなどを用いることができる。
【0009】この発明において、受光部は、この受光部
と一次元量子箱アレーとの間の距離がこの受光部と細線
との間の距離よりも小さい位置に設けられる。
【0010】この発明においては、電荷移動チャネルか
ら受光部に向かう方向の外部電場を印加した状態で少な
くとも受光部を含む領域に光を照射することにより受光
部に電子−正孔対を生成し、その電子−正孔対のうちの
電子を細線に移動させて細線中に閉じ込め、外部電場を
上記面内で回転させることにより細線中に閉じ込められ
た電子を細線に沿って移動させる。ここで、受光部から
移動して細線中に閉じ込められた電子の分布は、入力情
報とすることができる。
【0011】この発明においては、典型的には、受光部
に関して電荷移動チャネルと反対側の部分に細線とほぼ
平行に正孔保持チャネルが設けられる。
【0012】このように正孔保持チャネルが設けられる
場合には、電荷移動チャネルから正孔保持チャネルに向
かう方向の外部電場を印加した状態で少なくとも受光部
を含む領域に光を照射することにより受光部に電子−正
孔対を生成し、その電子−正孔対のうちの電子を細線に
移動させて細線中に閉じ込めるとともに、その電子−正
孔対のうちの正孔を正孔保持チャネルに移動させて正孔
保持チャネル中に閉じ込め、外部電場を上記面内で回転
させることにより細線中に閉じ込められた電子を細線に
沿って移動させる。ここで、受光部から移動して細線中
に閉じ込められた電子の分布は、入力情報とすることが
できる。また、このとき、この細線に沿っての電子の移
動に伴い、正孔保持チャネル中に閉じ込められた正孔も
この正孔保持チャネルに沿って移動する。
【0013】この発明においては、細線の一端および他
端にそれぞれ電極が設けられる。これらの電極のうちの
一方は電荷入力用であり、他方は電荷出力用である。
【0014】この発明においては、典型的には、電荷移
動チャネルが複数互いに平行に並列配置される。
【0015】この発明においては、典型的には、円筒座
標系(r、θ、z)において、細線の中心軸をz軸上に
設置し、一次元量子箱アレーを構成する任意の一つの量
子箱の中心座標を(rn 、θn 、zn )と表示したと
き、θp ≠θq を満たす量子箱が存在する。
【0016】この発明の一実施形態においては、円筒座
標系(r、θ、z)において、細線の中心軸をz軸上に
設置し、一次元量子箱アレーを構成する任意の一つの量
子箱の中心座標を(rn 、θn 、zn )と表示したと
き、方程式θn =ξzn (ただし、ξは定数)で表され
る螺線上に一次元量子箱アレーが配置される。
【0017】ここで、特に、電荷移動チャネルが複数互
いに離れて平行に並列配置される場合、それぞれの細線
に関する定数ξの値は、細線間で同一または符号も含め
て異なる。
【0018】この発明の他の一実施形態においては、円
筒座標系(r、θ、z)において、細線の中心軸をz軸
上に設置し、一次元量子箱アレーを構成する任意の一つ
の量子箱の中心座標を(rn 、θn 、zn )と表示した
とき、θn =a1 (0≦n<m1 )、θn =a2 (m1
≦n<m2 )、…(ただし、a1 、a2 、…は定数)を
満たす量子箱が存在する。
【0019】ここで、特に、電荷移動チャネルが複数互
いに離れて平行に並列配置される場合、それぞれの細線
に関する定数an の値は、細線間で同一または符号も含
めて異なる。
【0020】この発明においては、細線と一次元量子箱
アレーとの間に障壁層が設けられていても、設けられて
いなくてもよい。
【0021】この発明において、量子細線および一次元
量子箱アレーを構成する量子箱は、典型的には、化合物
半導体ヘテロ接合により形成される。この化合物半導体
ヘテロ接合としては、GaAs/AlGaAsヘテロ接
合、GaAs/AlAsヘテロ接合、InAs/AlG
aSbヘテロ接合などを用いることができる。これらの
量子細線および一次元量子箱アレーを構成する量子箱は
また、半導体と絶縁体との接合により形成することもで
きる。この半導体と絶縁体との接合において、典型的に
は、半導体は一種または複数種のIV族元素からなり、
絶縁体はIV族元素と酸素との化合物からなる。一例を
挙げると、半導体はSiであり、絶縁体はSiO2 であ
る。二種類のIV族元素からなる半導体の例としては、
例えばSiCが挙げられる。
【0022】この発明において、受光部を構成する量子
箱は、典型的には、いわゆるタイプIIの化合物半導体
ヘテロ接合、例えばInAs/AlSbヘテロ接合によ
り形成される。
【0023】
【作用】上述のように構成されたこの発明による量子素
子における電荷移動チャネルにおいて、細線と一次元量
子箱アレーとからなる系の電子密度が一次元量子箱アレ
ーを構成する量子箱一つ当たり一つの電子に対応する電
子密度よりも小さくなるようにしておく。この状態にお
いては、外部電場を印加しないときには、細線の量子状
態の方が量子箱の量子状態よりもエネルギーが低く、電
子は細線中に存在する。
【0024】次に、細線の延在方向と交差する面内の外
部電場を印加すると、この細線の周囲を取り巻いて設け
られた一次元量子箱アレーのうちの外部電場の印加方向
と反対側の高電位の部分(以下この項において「第1の
部分」という。)に細線から電子が引き寄せられる。こ
の場合、一次元量子箱アレーを構成する量子箱間の間隔
や障壁の高さを適切に設定しておくことにより、この第
1の部分の量子箱にモット(Mott)絶縁体的に電子が分
布し、この第1の部分の量子箱に電子が局在するように
することができる。このとき、細線のうちのこの第1の
部分に対応する部分(以下この部分も「第1の部分」と
いう。)は、一次元量子箱アレーの第1の部分の量子箱
中の電子によるクーロンポテンシャルにより実効的に低
電位となる。従って、細線から一次元量子箱アレーに移
り切らなかった残りの電子があったとしても、それらは
細線の第1の部分の両側のより高電位の部分(以下この
項において「第2の部分」という。)に溜まる。
【0025】そこで、この状態で、何らかの方法で細線
と一次元量子箱アレーとからなる系に電子を生成する
と、この電子はこの系で最もエネルギーが低い細線の第
2の部分に溜まる。この場合、一次元量子箱アレーは、
細線の一端から他端に向かって前進するように細線の周
囲を取り巻いて設けられているので、細線には第1の部
分および第2の部分が交互に形成されることになるが、
この第1の部分には、一次元量子箱アレーの第1の部分
の量子箱中の電子によって電子に対する高いポテンシャ
ル障壁が存在しているので、第2の部分に溜まった余分
な電子、すなわち入力された電子は隣の第2の部分に移
ることができない。
【0026】この状態で、外部電場の印加方向を細線の
延在方向と交差する面内で回転させる。すると、これに
伴い、電子に対して低エネルギーとなる量子箱が替わ
り、局在電子が存在する量子箱のある一次元量子箱アレ
ーの第1の部分は、細線の延在方向に移動する。そし
て、この移動に伴い、入力された電子が溜まっている細
線の第2の部分も細線の延在方向に移動する。すなわ
ち、外部電場の回転により、金属配線を用いることな
く、細線に沿って電荷を移動させることができることが
わかる。
【0027】さて、この発明による量子素子において、
情報を入力するためには、電荷移動チャネルから受光部
に向かう方向の外部電場を印加した状態で少なくとも受
光部を含む領域に光を照射することによりこの受光部に
電子−正孔対を生成する。すると、この電子−正孔対の
うちの電子は、印加された外部電場によりこの外部電場
と逆の方向に加速されて電荷移動チャネルの細線に移動
し、この細線中に閉じ込められる。このようにして細線
中に閉じ込められた電子の分布は光入力分布に対応して
おり、入力情報となる。
【0028】次に、外部電場の印加方向をその面内で回
転させることにより、上述のようにして電荷移動チャネ
ルの細線に入力された電子分布をこの細線に沿って移動
させる。このとき、細線中に光による入力電子が存在す
る場合には、それがない場合に比べてより多くの電荷が
細線の他端に設けられる電荷出力用の電極において観測
されるため、この電極において時系列に沿った電荷を検
出することにより、細線に沿ったどの場所において電子
の入力があったのかを知ることができる。これによっ
て、光入力分布を知ることができ、撮像機能を得ること
ができる。
【0029】また、正孔保持チャネルが設けられる場合
には、受光部に生成された電子−正孔対のうちの正孔
は、印加された外部電場の方向に加速されてこの正孔保
持チャネルに移動し、この正孔保持チャネル中に閉じ込
められる。この正孔保持チャネル中に閉じ込められた正
孔の分布は、電子−正孔間に働くクーロン引力により、
電荷移動チャネルの細線中に閉じ込められた電子の分布
の移動に伴い、この正孔保持チャネルに沿って移動す
る。従って、この正孔保持チャネルの出力端に電極を設
け、この電極において電荷の変化を検出することにより
光入力分布を知ることもできる。ここで、電荷移動チャ
ネルの細線に沿って移動する電子の電荷と、この電子の
移動に伴って正孔保持チャネルに沿って移動する正孔の
電荷とは、釣り合っており、全体として電気的に中性に
なっている。
【0030】なお、上述の外部電場による一次元量子箱
アレーの局部的な絶縁体化は、モット(Mott)−シュタ
ルク(Stark)効果を利用したものである。そこで、以下
にこのモット−シュタルク効果の概略を説明しておく。
【0031】まず最初に、金属−絶縁体相転移の一種で
あるモット転移(N. F. Mott, Philos. Mag. 6, 287(19
61) およびMetal-insulator transitions (Taylor & Fr
ancis Ltd, London, 1974)) をハバード(Hubbard)の描
像(J. Hubbard, Proc. Roy.Soc.(London), A276, 238
(1963), A277, 237(1963), A281, 401(1964)) で説明す
る。
【0032】量子箱アレーの互いに隣接する量子箱間の
電子の動きやすさを表す物理量としてトランスファー・
エネルギーがあり、これをTと書くことにする。このト
ランスファー・エネルギーTは、電子間相互作用を考え
ないときには、バンド幅と考えてよい。また、一つの量
子箱に電子が二つ入ったときのクーロン・エネルギーを
オンサイト・クーロン・エネルギーと呼び、これをUと
書くことにする。
【0033】このときの、一電子当たりに縮約されたエ
ネルギーバンド図は図25Aに示すようになる。この図
25Aにおける高エネルギー側のサブバンドをアッパー
・ハバード・バンド(UHB)、低エネルギー側のサブ
バンドをローワー・ハバード・バンド(LHB)と呼
ぶ。一つの量子箱当たり電子が一つ入った状態に対応す
るハーフ・フィルド(half-filled)の場合、LHBとU
HBとが互いに分離しているとき、つまりUが大きい
か、またはTが小さいときは、LHBにのみ電子が詰ま
っていることになる(図25B)。このときは、電子の
低エネルギー励起がギャップ(ハバード・ギャップ)を
有し、系は絶縁体的になる。一方、Uが小さいか、また
はTが大きくなると、LHBとUHBとは互いに重な
り、LHBの一部に空き状態が生じてその分の電子はU
HBに入ることになる(図25C)。この結果、系は半
金属的に振る舞うことになる。そして、この傾向がより
強くなれば、系は完全に金属的に振る舞うのである。
【0034】量子箱を近接させて配列した一次元量子箱
アレーでは、量子箱を小さくすることにより、Uを大き
くすることができる。また、隣接量子箱間の間隔を大き
くしたり、量子箱間の障壁の高さを大きくすることによ
り、Tを小さくすることができる。従って、これらのT
およびUの調節により、モット転移を起こさせることが
できることがわかる。
【0035】さて、いま、一次元量子箱アレーに一つの
量子箱当たり電子が一つ入っている場合、すなわちハー
フ・フィルドの場合を考える。この場合、量子箱間のト
ランスファー・エネルギーTとオンサイト・クーロン・
エネルギーUとの比η=T/Uを外部電場を印加して変
化させることにより、モット転移を起こさせることがで
きる。これがモット−シュタルク効果である。
【0036】
【実施例】以下、この発明の一実施例について図面を参
照しながら説明する。
【0037】この発明の一実施例による量子素子につい
て説明する前に、この量子素子に用いられる電荷移動素
子について説明する。
【0038】図1はこの電荷移動素子の第1の例を示
す。
【0039】図1に示すように、この電荷移動素子にお
いては、z軸方向に細長い円柱状の量子細線QWが延在
しており、この量子細線QWの周囲を取り巻くように、
互いに隣接して配列された複数の球状の量子ドットQD
からなる螺旋状の一次元量子ドットアレーがこの量子細
線QWに隣接して設けられている。この場合、この一次
元量子ドットアレーを構成する量子ドットQDと量子細
線QWとの間には障壁層が存在しているが、これらの量
子ドットQDと量子細線QWとは、それらの間の障壁層
を介して電子がトンネル効果により移動することができ
る程度に近接している。また、ここでは、これらの量子
細線QWおよび一次元量子ドットアレーからなる系の電
子密度は、一次元量子ドットアレーを構成する量子ドッ
トQD一つ当たり電子が一つ入った状態、すなわちハー
フ・フィルドの状態に対応する電子密度よりも小さく抑
えられているものとする。
【0040】いま、この電荷移動素子に外部電場が印加
されていない場合を考える。この状態においては、量子
細線QWの量子状態の方が量子ドットQDの量子状態よ
りもエネルギーが低いため、図2に示すように、電子
(e- )は量子細線QW中にのみ存在し、量子ドットQ
D中には存在しない。
【0041】次に、図3に示すように、この電荷移動素
子にx−y面に平行な方向の外部電場Eを印加する場合
を考える。この外部電場Eを印加すると、螺旋状の一次
元量子ドットアレーのうちの外部電場Eの印加方向と反
対側の高電位の部分に、これに隣接する部分の量子細線
QWから電子が引き寄せられる。ここでは、このように
して電子が引き寄せられた部分の一次元量子ドットアレ
ーおよびそれに対応する部分の量子細線QWをA領域と
呼び、その他の部分の一次元量子ドットアレーおよびそ
れに対応する部分の量子細線QWをB領域と呼ぶことに
する。
【0042】さて、螺旋状の一次元量子ドットアレー
は、それを構成する量子ドットQD間の間隔が大きいか
(量子ドットQD間の障壁の高さが0.5eV程度なら
ば、間隔5nm以上)、または量子ドットQD間の障壁
高さが大きいときには、上述のように外部電場Eにより
この一次元量子ドットアレーのA領域に電子が引き寄せ
られると、モット絶縁体的に電子がこのA領域の各量子
ドットQDに分布し、従ってこのA領域の各量子ドット
QDに電子が局在した状態をとることになる。このと
き、量子細線QWのA領域の部分は、一次元量子ドット
アレーのA領域の量子ドットQD中の電子によるクーロ
ンポテンシャルにより、量子細線QWのB領域の部分に
比べて実効的に低電位になるため、量子細線QWから量
子ドットQDに移り切らなかった電子が残されたとして
も、これらの電子はこの量子細線QWのB領域の部分に
溜まっていることになる。
【0043】次に、この状態で、この電荷移動素子に以
下のようにして電子を入力する。
【0044】すなわち、電子を入力するためには、図4
に示すように、外部電場Eを印加した状態で、量子細線
QWと一次元量子ドットアレーとからなる量子構造に例
えば光Lを照射することによって電子−正孔対を生成
し、このうち正孔は除去し、電子だけを残す。この残さ
れた電子は、この量子構造のうちで最もエネルギーが低
い、量子細線QWのB領域に溜まる。
【0045】さて、この場合、一次元量子ドットアレー
は螺旋状であるので、図5に示すように、A領域および
B領域は交互に形成される。量子細線QWの各A領域に
は、一次元量子ドットアレーのA領域の量子ドットQD
中の局在電子によるポテンシャル障壁が存在するので、
量子細線QWのB領域に溜まった余分な電子(この場合
は光Lの照射により生成された電子)は、隣のB領域に
移ることはできない。このようにして電子の入力が行わ
れる。
【0046】この電荷移動素子において電荷の移動は次
のようにして行うことができる。
【0047】いま、外部電場Eの印加方向をx−y面内
で回転させることを考える。図6に示すように、外部電
場Eの印加方向をx−y面内で回転させると、これに伴
い電子に対して低エネルギーとなる量子ドットQDが替
わっていき、局在電子が存在する量子ドットQDがある
A領域はz軸方向に移動することになる。このとき、一
次元量子ドットアレーを構成する隣接する量子ドットQ
D同士はトンネル効果により互いに結合しているので、
電子はこの一次元量子ドットアレー中をトンネル効果に
よって速やかに移動することができる。これは、結合量
子ドットアレーのモット絶縁体的量子状態を用いること
の利点である。
【0048】この一次元量子ドットアレーに沿った電子
の移動に伴い、量子細線QWのうちの光Lの照射により
入力された電子が溜まっているB領域も、クーロン障壁
が存在するA領域とともに、z軸方向に移動する。これ
によって、量子細線QWに沿ってz軸方向に電子、すな
わち電荷が移動することになる。
【0049】この場合、この電荷の移動方向は、この第
1の例においては、−z方向から+z方向を見たときの
螺旋状の一次元量子ドットアレーの回転方向が時計方向
であるので、外部電場Eの回転方向が時計方向である場
合には+z方向であり、外部電場Eの回転方向が反時計
方向である場合には−z方向である。一方、−z方向か
ら+z方向を見たときの螺旋状の一次元量子ドットアレ
ーの回転方向が反時計方向であるときには、外部電場E
の回転方向が時計方向である場合には−z方向であり、
外部電場Eの回転方向が反時計方向である場合には+z
方向である。また、外部電場Eの一回転により電荷が移
動する距離は、螺旋状の一次元量子ドットアレーのピッ
チと等しい。
【0050】以上のように、第1の例による電荷移動素
子によれば、z軸方向に延在する量子細線QWの周囲を
取り巻くように螺旋状の一次元量子ドットアレーを設
け、これらの量子細線QWおよび一次元量子ドットアレ
ーからなる量子構造に対してx−y面内の外部電場Eを
印加し、その印加方向をx−y面内で回転させることに
より、金属配線を用いることなく、量子細線QWに沿っ
て電荷を移動させることができる。
【0051】図7は電荷移動素子の第2の例を示す。
【0052】図7に示すように、この電荷移動素子は、
螺旋状の一次元量子ドットアレーが量子細線QWの外周
面に接した状態、従ってこの一次元量子ドットアレーを
構成する量子ドットQDと量子細線QWとの間に障壁層
が存在しない状態でこの量子細線QWを取り巻くように
して設けられていることが、上述の第1の例による電荷
移動素子と異なる。
【0053】この第2の例による電荷移動素子によって
も、第1の例による電荷移動素子と同様な利点を得るこ
とができる。
【0054】図8は電荷移動素子の第3の例を示す。
【0055】図8に示すように、この電荷移動素子にお
いては、z軸方向に細長い四角柱状の量子細線QWが延
在しており、この量子細線QWの周囲を取り巻くよう
に、互いに隣接する直方体状の量子ドットQDからなる
一次元量子ドットアレーがこの量子細線QWに隣接して
設けられている。
【0056】この場合、量子ドットQDの中心座標は、
量子細線QWの延在方向をz軸とする円筒座標系(r、
θ、z)においては、θn =a1 (0≦n<m1 )、θ
n =a2 (m1 ≦n<m2 )、…(ただし、a1
2 、…は定数)を満たす。より具体的には、連続する
四つの量子ドットQD毎に、θn =0°、θn =90
°、θn =180°、θn =270°、θn =360°
(≡0°)のように、θn が90°ずつ段階的に変化し
ている。
【0057】この第3の例による電荷移動素子によれ
ば、一次元量子ドットアレーが螺旋状ではなく、四つの
量子ドットQD毎にθn が90°ずつ変化するように量
子ドットQDが配列されたものであるため、電荷移動素
子の製造が容易であるという利点を有する。
【0058】次に、電荷移動素子の第4の例について説
明する。この第4の例においては、電荷移動素子の具体
的な構造例について説明する。この第4の例による電荷
移動素子は、第3の例による電荷移動素子と同様な構成
を有するが、量子ドットQDが円柱状であること、およ
び、量子細線QWに対する一次元量子ドットアレーの回
転の方向が逆であることが、第3の例による電荷移動素
子と異なる。
【0059】図9〜図18はこの第4の例による電荷移
動素子の製造方法を示す。
【0060】図9に示すように、まず、AlGaAs基
板1上に例えば有機金属化学気相成長(MOCVD)法
によりGaAs層2をエピタキシャル成長させる。この
GaAs層2の厚さは例えば10nm程度とする。この
後、GaAs層2上に例えば円形のレジストパターン3
を電子ビームリソグラフィー法により形成する。
【0061】次に、このレジストパターン3をマスクと
してGaAs層2を例えば反応性イオンエッチング(R
IE)法により基板表面に垂直な方向にエッチングす
る。このRIE法によるエッチングにおいては、反応ガ
スとして塩素系のガスを用いることにより、AlGaA
s基板1をエッチングストップ層として用いてGaAs
層2のエッチングを選択的に行うことができる。これに
よって、図10に示すように、GaAs層2が円柱状に
パターニングされる。
【0062】次に、図11に示すように、例えばMOC
VD法によりAlGaAs層4をエピタキシャル成長さ
せることにより、上述のエッチングにより除去された部
分をこのAlGaAs層4により埋める。
【0063】次に、レジストパターン3を除去した後、
図12に示すように、例えばMOCVD法により全面に
AlGaAs層5をエピタキシャル成長させる。このA
lGaAs層5の厚さは例えば5nm程度とする。
【0064】次に、図13に示すように、例えばMOC
VD法により全面にGaAs層6をエピタキシャル成長
させる。このGaAs層6の厚さは例えば10nm程度
とする。この後、このGaAs層6上に円形および細線
状のレジストパターン7を電子ビームリソグラフィー法
により形成する。
【0065】次に、このレジストパターン7をマスクと
してGaAs層6を例えばRIE法により基板表面に垂
直方向にエッチングする。このRIE法によるエッチン
グにおいては、反応ガスとして塩素系のガスを用いるこ
とにより、AlGaAs層5をエッチングストップ層と
して用いてGaAs層6のエッチングを選択的に行うこ
とができる。これによって、図14に示すように、Ga
As層6が円柱状および細線状にパターニングされる。
【0066】次に、図15に示すように、例えばMOC
VD法によりAlGaAs層8をエピタキシャル成長さ
せることにより、上述のエッチングにより除去された部
分をこのAlGaAs層8により埋める。
【0067】次に、レジストパターン7を除去した後、
図16に示すように、例えばMOCVD法により全面に
AlGaAs層9およびGaAs層10を順次エピタキ
シャル成長させる。このAlGaAs層9の厚さは例え
ば5nm程度、GaAs層10の厚さは例えば10nm
程度とする。この後、GaAs層10上に例えば円形の
レジストパターン11を電子ビームリソグラフィー法に
より形成する。
【0068】次に、このレジストパターン11をマスク
としてGaAs層10を例えばRIE法により基板表面
に垂直方向にエッチングする。このRIE法によるエッ
チングにおいては、反応ガスとして塩素系のガスを用い
ることにより、AlGaAs層9をエッチングストップ
層として用いてGaAs層10のエッチングを選択的に
行うことができる。これによって、図17に示すよう
に、GaAs層10が円柱状にパターニングされる。
【0069】次に、図18に示すように、例えばMOC
VD法によりAlGaAs層12をエピタキシャル成長
させることにより、上述のエッチングにより除去された
部分をこのAlGaAs層12により埋めた後、レジス
トパターン11を除去する。この後、例えばMOCVD
法により全面にAlGaAs層13をエピタキシャル成
長させる。このAlGaAs層13の厚さは例えば50
nm程度とする。
【0070】図18において、円柱状のGaAs層2が
AlGaAs基板1、AlGaAs層4およびAlGa
As層5により囲まれた構造により一段目の量子ドット
QDが構成され、円柱状のGaAs層6がAlGaAs
層5、AlGaAs層8およびAlGaAs層9により
囲まれた構造により二段目の量子ドットQDが構成さ
れ、円柱状のGaAs層10がAlGaAs層9、Al
GaAs層12およびAlGaAs層13により囲まれ
た構造により三段目の量子ドットQDが構成されてい
る。そして、これらの三段の量子ドットQDにより一次
元量子ドットアレーが構成されている。また、細長い四
角柱状のGaAs層6がAlGaAs層5、AlGaA
s層8およびAlGaAs層9により囲まれた構造によ
り量子細線QWが構成されている。
【0071】以上のようにして、量子ドットQDが円柱
状であること、および、量子細線QWに対する一次元量
子ドットアレーの回転の方向が逆であることが異なるこ
とを除いて、第3の例による電荷移動素子と同様な構造
を有する第4の例による電荷移動素子が容易に製造され
る。
【0072】なお、この第4の例においては、電荷移動
素子を構成する各層のエピタキシャル成長をMOCVD
法により行っているが、このエピタキシャル成長は、例
えば分子線エピタキシー(MBE)法により行ってもよ
い。
【0073】上述の第1の例〜第4の例において詳述し
たように、図19に示すように、一次元量子ドットアレ
ー(図示せず)によってその周囲が取り巻かれた一つの
量子細線QWについて、x−y面内の外部電場Eの回転
によって、量子細線QWに沿う方向、すなわちz軸方向
に電荷の並列移動が可能である。
【0074】そこで、次に、この一次元量子ドットアレ
ーにより取り巻かれた量子細線QWを複数用いることに
より、超並列的な電荷移動を行うことが可能な第5の例
について説明する。
【0075】図20はこの第5の例による電荷移動素子
を示す。
【0076】図20に示すように、この第5の例による
電荷移動素子においては、図示省略した一次元量子ドッ
トアレーによってその周囲が取り巻かれたz軸方向に平
行な量子細線QWが複数互いに離れてかつ互いに平行に
並列配置されている。
【0077】この第5の例においては、これらの量子細
線QWに対してx−y面内の外部電場Eを印加し、その
印加方向をx−y面内で回転させることにより、各量子
細線QWに沿って電荷を超並列的に移動させることがで
きる。この場合、これらの量子細線QWのうちの任意の
量子細線QWの周囲を取り巻く一次元量子ドットアレー
の回転の向きを他の量子細線QWの周囲を取り巻く一次
元量子ドットアレーの回転の向きと逆にすることによ
り、x−y面内での外部電場Eの一方向の回転により、
前者の量子細線QWに沿っての電荷の移動の方向と後者
の量子細線QWに沿っての電荷の移動の方向とを互いに
逆にすることができる。また、例えば、一次元量子ドッ
トアレーが螺旋状である場合、そのピッチを量子細線Q
W間で異ならせることによって、x−y面内での外部電
場Eの一回転当たりの電荷の移動距離を量子細線QW間
で変えることもできる。
【0078】さて、この発明の一実施例においては、上
述のような電荷移動素子を複数用いて量子素子を構成す
る。ここでは、第1の例による電荷移動素子を用いるも
のとする。図21にこの一実施例による量子素子の構成
を示す。
【0079】図21に示すように、この一実施例による
量子素子においては、z軸方向に平行な量子細線QWの
周囲が図示省略した一次元量子ドットアレーによって取
り巻かれた構造の電荷移動素子からなる電荷移動チャネ
ル21が複数、互いに離れてかつ互いに平行に並列配置
されている。この電荷移動チャネル21の数は、量子素
子の用途などに応じて決められる。量子細線QWは、具
体的には、例えばInAsからなる細線状の量子井戸部
の周囲が例えばAlSbからなる障壁層によって取り囲
まれた構造を有する。また、一次元量子ドットアレーを
構成する量子ドットも、例えばInAsからなるドット
状の量子井戸部の周囲が例えばAlSbからなる障壁層
によって取り囲まれた構造を有する。
【0080】各電荷移動チャネル21の量子細線QWの
一端には電極22iが設けられ、他端には電極22fが
設けられている。いま、図21の+z方向に電荷(電
子)を移動させるとすると、電極22iは電荷の入力に
用いられ、電極22fは電荷の出力に用いられる。これ
らの電極22iおよび電極22fは、金属により形成さ
れる。
【0081】各電荷移動チャネル21に隣接して量子ド
ットからなる受光部23が配置されている。この場合、
この受光部23は、この受光部23と電荷移動チャネル
21の一次元量子ドットアレーとの間の距離が、この受
光部23と電荷移動チャネル21の量子細線QWとの間
の距離よりも小さくなる位置に設けられている(図22
参照)。また、この受光部23は、x−y面内での外部
電場Eの一回転当たりの電荷の移動距離と等しいピッチ
で量子細線QWに沿って複数配置されている。この受光
部23を構成する量子ドットは、例えばInAsからな
るドット状の量子井戸部の周囲が例えばAlSbからな
る障壁層により取り囲まれた構造を有する。
【0082】さらに、各電荷移動チャネル21に対し
て、受光部23に関してこの電荷移動チャネル21の反
対側の部分に、z軸方向に平行、従って電荷移動チャネ
ル21に平行な正孔保持チャネル24が設けられてい
る。この正孔保持チャネル24の一端にも電極25iが
設けられ、他端には電極25fが設けられている。この
正孔保持チャネル24は、具体的には例えばGaSbか
らなる細線状の量子井戸部の周囲が例えばAlSbから
なる障壁層によって取り囲まれた構造を有する。
【0083】次に、上述のように構成されたこの一実施
例による量子素子の動作について説明する。ここでは、
x−y面内での外部電場Eの一回転当たりの電荷の移動
距離は、各電荷移動チャネル21間で等しいものとす
る。また、この量子素子における各電荷移動チャネル2
1の動作に必要な電子は、ドーピングなどによってあら
かじめ供給されているものとする。
【0084】図23Aに、図21のA−A線に沿う方向
のエネルギーバンド図を示す。
【0085】まず、図21に示す量子素子において、−
x方向に外部電場Eを印加する。このとき、図22に示
すように、この外部電場Eによって、受光部に隣接する
部分の電荷移動チャネルは電子不存在状態となってい
る。このときの図21のA−A線に沿う方向のエネルギ
ーバンド図を図23Bに示す。この状況の下で、受光部
23を含む領域に光を照射する。この光照射によって、
この受光部23に電子−正孔対が生成される。この電子
−正孔対のうちの正孔(h+ )は、外部電場Eにより−
x方向に加速されて正孔保持チャネル24に移動し、そ
こに閉じ込められる。一方、この電子−正孔対のうちの
電子(e- )は、+x方向に加速されて電荷移動チャネ
ル21の量子細線QWに移動し、そこに閉じ込められ
る。このようにして量子細線QW中に閉じ込められた電
子が入力電子となる。ここで、以上のようにして量子細
線QW中に閉じ込められた入力電子の電荷と正孔保持チ
ャネル21中に閉じ込められた正孔の電荷とは、釣り合
っており、全体として電気的に中性になっている。
【0086】以上のようにして入力電子分布を形成した
後、上述の電荷移動素子の原理に従って、電荷移動チャ
ネル21に入力された電子を+z方向に移動させる。す
なわち、外部電場Eの印加方向をx−y面内で回転させ
ることにより、各電荷移動チャネル21にそれぞれ入力
された電子を、その量子細線QWに沿って+z方向に移
動させる。このとき、電極22fにおいて電荷の出力を
観測すると、光による入力電子がある場合には、それが
ない場合に比べてより多くの電荷の出力が観測される。
従って、この電極22fにおいて時系列に沿った出力電
荷を観測することにより、電荷移動チャネル21に沿っ
たどの場所で電子の入力があったのかを知ることができ
る。これによって、量子素子に対する光入力分布を知る
ことができ、撮像機能を得ることができる。これは、従
来のCCDと同様であるが、受光部23が量子ドットか
らなり、極めて微小である点が著しく異なる。
【0087】また、この場合、上述のようにして電荷移
動素子の原理に従って電荷移動チャネル21に沿って入
力電子分布が移動するのに伴い、この入力電子と電荷的
に釣り合っている正孔保持チャネル24中の正孔分布
も、それらの電子−正孔間に働くクーロン引力により、
電荷移動チャネル21中の電子分布と一緒になって移動
することになる。従って、この正孔保持チャネル24の
電極25fにおいて電荷の出力を観測し、電荷の変化を
検出することにより、光入力分布を知ることもできる。
【0088】以上のように、この一実施例による量子素
子によれば、電荷移動チャネル21に隣接して量子ドッ
トからなる受光部23が設けられていることにより、−
x方向に外部電場Eを印加した状態で受光部23に光を
照射したとき、その光入力分布に対応した電子分布を各
電荷移動チャネル21に入力することができる。そし
て、外部電場Eをその印加面内で回転させることによ
り、このようにして各電荷移動チャネル21に入力され
た電子分布を各電荷移動チャネル21に沿って+z方向
に移動させ、その出力端に設けられた電極22fから時
系列に沿って出力される電荷を観測することにより、入
力光分布を知ることができる。すなわち、この一実施例
による量子素子は、撮像素子として用いることができ
る。
【0089】さらに、この場合、受光部23に関して電
荷移動チャネル21と反対側の部分に正孔保持チャネル
24が設けられているので、受光部23からこの正孔保
持チャネル24に移動してそこに閉じ込められた正孔
は、電荷移動チャネル21に沿った入力電子分布の移動
に伴い、この正孔保持チャネル21に沿って+z方向に
移動する。このため、この正孔保持チャネル21の出力
端に設けられた電極25fから時系列に沿って出力され
る電荷を観測することにより光入力分布を知ることもで
きる。
【0090】以上、この発明の一実施例について具体的
に説明したが、この発明は、上述の実施例に限定される
ものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変
形が可能である。
【0091】例えば、上述の一実施例においては、量子
素子を構成する電荷移動チャネルとして第1の例による
電荷移動素子からなるものを用いているが、電荷移動素
子としては、例えば第2の例または第3の例による電荷
移動素子を用いてもよい。
【0092】
【発明の効果】以上説明したように、この発明による量
子素子によれば、その延在方向に電荷が移動することが
できる細線と、その細線の一端から他端に向かって前進
するようにその細線の周囲を取り巻いて設けられた一次
元量子箱アレーとを有し、その細線の延在方向と交差す
る面内の外部電場を印加し、その印加方向をその面内で
回転させるようにした電荷移動チャネルと、この電荷移
動チャネルに隣接して設けられた量子箱からなる受光部
とを有することにより、金属配線を用いることなく、光
入力分布を時系列の電荷分布として読み出すことがで
き、撮像素子として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の量子素子に用いられる第1の例によ
る電荷移動素子を示す略線図である。
【図2】第1の例による電荷移動素子の動作を説明する
ための略線図である。
【図3】第1の例による電荷移動素子の動作を説明する
ための略線図である。
【図4】第1の例による電荷移動素子の動作を説明する
ための略線図である。
【図5】第1の例による電荷移動素子の動作を説明する
ための略線図である。
【図6】第1の例による電荷移動素子の動作を説明する
ための略線図である。
【図7】この発明の量子素子に用いられる第2の例によ
る電荷移動素子を示す略線図である。
【図8】この発明の量子素子に用いられる第3の例によ
る電荷移動素子を示す略線図である。
【図9】この発明の量子素子に用いられる第4の例によ
る電荷移動素子の製造方法を説明するための斜視図であ
る。
【図10】第4の例による電荷移動素子の製造方法を説
明するための斜視図である。
【図11】第4の例による電荷移動素子の製造方法を説
明するための斜視図である。
【図12】第4の例による電荷移動素子の製造方法を説
明するための斜視図である。
【図13】第4の例による電荷移動素子の製造方法を説
明するための斜視図である。
【図14】第4の例による電荷移動素子の製造方法を説
明するための斜視図である。
【図15】第4の例による電荷移動素子の製造方法を説
明するための斜視図である。
【図16】第4の例による電荷移動素子の製造方法を説
明するための斜視図である。
【図17】第4の例による電荷移動素子の製造方法を説
明するための斜視図である。
【図18】第4の例による電荷移動素子の製造方法を説
明するための斜視図である。
【図19】x−y面内での外部電場Eの回転による量子
細線QWに沿っての電荷の移動を説明するための略線図
である。
【図20】第5の例による電荷移動素子を示す略線図で
ある。
【図21】この発明の一実施例による量子素子を示す略
線図である。
【図22】この発明の一実施例による量子素子の動作を
説明するための略線図である。
【図23】この発明の一実施例による量子素子の動作を
説明するためのエネルギーバンド図である。
【図24】この発明の一実施例による量子素子の動作を
説明するための略線図である。
【図25】モット−シュタルク効果を説明するための略
線図である。
【符号の説明】
QW 量子細線 QD 量子ドット 1 AlGaAs基板 2、6、10 GaAs層 3、7、11 レジストパターン 4、5、8、9、12、13 AlGaAs層 21 電荷移動チャネル 22i、22f、25i、25f 電極 23 受光部 24 正孔保持チャネル

Claims (19)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 その延在方向に電荷が移動することがで
    きる細線と、上記細線の一端から他端に向かって前進す
    るように上記細線の周囲を取り巻いて設けられた一次元
    量子箱アレーとを有し、上記細線の延在方向と交差する
    面内の外部電場を印加し、その印加方向を上記面内で回
    転させることにより上記細線に沿って電荷を移動させる
    ようにした電荷移動チャネルと、 上記電荷移動チャネルに隣接して設けられた量子箱から
    なる受光部とを有することを特徴とする量子素子。
  2. 【請求項2】 上記受光部は上記受光部と上記一次元量
    子箱アレーとの間の距離が上記受光部と上記細線との間
    の距離よりも小さい位置に設けられていることを特徴と
    する請求項1記載の量子素子。
  3. 【請求項3】 上記受光部を構成する上記量子箱はタイ
    プIIの化合物半導体ヘテロ接合からなることを特徴と
    する請求項1記載の量子素子。
  4. 【請求項4】 上記受光部に関して上記電荷移動チャネ
    ルと反対側の部分に上記細線とほぼ平行に正孔保持チャ
    ネルが設けられていることを特徴とする請求項1記載の
    量子素子。
  5. 【請求項5】 上記電荷移動チャネルから上記受光部に
    向かう方向の上記外部電場を印加した状態で少なくとも
    上記受光部を含む領域に光を照射することにより上記受
    光部に電子−正孔対を生成し、上記電子−正孔対のうち
    の電子を上記細線に移動させて上記細線中に閉じ込め、
    上記外部電場を上記面内で回転させることにより上記細
    線中に閉じ込められた上記電子を上記細線に沿って移動
    させるようにしたことを特徴とする請求項1記載の量子
    素子。
  6. 【請求項6】 上記電荷移動チャネルから上記正孔保持
    チャネルに向かう方向の上記外部電場を印加した状態で
    少なくとも上記受光部を含む領域に光を照射することに
    より上記受光部に電子−正孔対を生成し、上記電子−正
    孔対のうちの電子を上記細線に移動させて上記細線中に
    閉じ込めるとともに、上記電子−正孔対のうちの正孔を
    上記正孔保持チャネルに移動させて上記正孔保持チャネ
    ル中に閉じ込め、上記外部電場を上記面内で回転させる
    ことにより上記細線中に閉じ込められた上記電子を上記
    細線に沿って移動させるようにしたことを特徴とする請
    求項4記載の量子素子。
  7. 【請求項7】 上記細線中に閉じ込められた上記電子の
    分布を入力情報とすることを特徴とする請求項5記載の
    量子素子。
  8. 【請求項8】 上記細線中に閉じ込められた上記電子の
    分布を入力情報とすることを特徴とする請求項6記載の
    量子素子。
  9. 【請求項9】 上記細線の上記一端および上記他端にそ
    れぞれ電極が設けられていることを特徴とする請求項1
    記載の量子素子。
  10. 【請求項10】 上記電荷移動チャネルが複数互いに平
    行に並列配置されていることを特徴とする請求項1記載
    の量子素子。
  11. 【請求項11】 円筒座標系(r、θ、z)において、
    上記細線の中心軸をz軸上に設置し、上記一次元量子箱
    アレーを構成する任意の一つの量子箱の中心座標を(r
    n 、θn 、zn )と表示したとき、θp ≠θq を満たす
    量子箱が存在することを特徴とする請求項1記載の量子
    素子。
  12. 【請求項12】 円筒座標系(r、θ、z)において、
    上記細線の中心軸をz軸上に設置し、上記一次元量子箱
    アレーを構成する任意の一つの量子箱の中心座標を(r
    n 、θn 、zn )と表示したとき、方程式θn =ξzn
    (ただし、ξは定数)で表される螺線上に上記一次元量
    子箱アレーが配置されていることを特徴とする請求項1
    1記載の量子素子。
  13. 【請求項13】 円筒座標系(r、θ、z)において、
    上記細線の中心軸をz軸上に設置し、上記一次元量子箱
    アレーを構成する任意の一つの量子箱の中心座標を(r
    n 、θn 、zn )と表示したとき、θn =a1 (0≦n
    <m1 )、θn =a2 (m1 ≦n<m2 )、…(ただ
    し、a1 、a2 、…は定数)を満たす量子箱が存在する
    ことを特徴とする請求項11記載の量子素子。
  14. 【請求項14】 上記電荷移動チャネルが複数互いに平
    行に並列配置されており、それぞれの上記電荷移動チャ
    ネルの上記細線に関する上記定数ξの値は複数の上記細
    線間で同一または符号も含めて異なることを特徴とする
    請求項12記載の量子素子。
  15. 【請求項15】 上記電荷移動チャネルが複数互いに平
    行に並列配置されており、それぞれの上記電荷移動チャ
    ネルの上記細線に関する上記定数an の値は複数の上記
    細線間で同一または符号も含めて異なることを特徴とす
    る請求項13記載の量子素子。
  16. 【請求項16】 上記細線と上記一次元量子箱アレーと
    の間に障壁層が設けられていることを特徴とする請求項
    1記載の量子素子。
  17. 【請求項17】 上記細線と上記一次元量子箱アレーと
    の間に障壁層が設けられていないことを特徴とする請求
    項1記載の量子素子。
  18. 【請求項18】 上記細線は量子細線であることを特徴
    とする請求項1記載の量子素子。
  19. 【請求項19】 上記細線は一次元量子箱アレーである
    ことを特徴とする請求項1記載の量子素子。
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