JP3380926B2 - 陰極線管の電子銃及びその製造方法並びに陰極線管 - Google Patents

陰極線管の電子銃及びその製造方法並びに陰極線管

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JP3380926B2 JP35013093A JP35013093A JP3380926B2 JP 3380926 B2 JP3380926 B2 JP 3380926B2 JP 35013093 A JP35013093 A JP 35013093A JP 35013093 A JP35013093 A JP 35013093A JP 3380926 B2 JP3380926 B2 JP 3380926B2
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    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J2229/00Details of cathode ray tubes or electron beam tubes
    • H01J2229/48Electron guns
    • H01J2229/4824Constructional arrangements of electrodes
    • H01J2229/4827Electrodes formed on surface of common cylindrical support

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えばプロジェクタ
管、カラー受像管、インデックス管等に用いられる陰極
線管の電子銃に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、陰極線管の電子銃としては、例え
ば図38に示すようなものが知られている。この電子銃
はユニポテンシャル型のものであり、電子を放出すべき
カソードKに対して、加速及び集束電極としての第1〜
第5グリッドが同軸(Z軸)上に配される。そして、カ
ソードKから放出される電子ビームは、第2及び第3グ
リッドG2 ,G3 によって形成されるプリフォーカスレ
ンズと、第3〜第5グリッドG3 〜G5 により形成され
る主レンズとの働きにより蛍光面上に集束される。これ
らカソードK及び第1〜第5グリッドG1 〜G5 はビー
デングガラスに融着によって固定され、一体的に組み立
てられる。また、第1〜第5グリッドG1〜G5 は、例
えばステンレス等の金属から構成される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
従来例にあっては、次のような問題が生じていた。すな
わち、上述した構成においては電極特に第3〜第5グリ
ッドG3 〜G5 間の同心度にずれが生じやすく、そのた
め電子ビームの離軸が起こってフォーカスぼけが発生し
ていた。また、電極間の電位差が段階状になるため、第
3〜第5グリッドG3 〜G5 間において放電が起こりや
すく、また、レンズ系の球面収差が大きくなってビーム
スポット径が大きくなっていた。
【0004】本発明は従来例のかかる点に鑑みてなされ
たもので、その目的とするところは、主レンズ系の同心
度のずれを抑えて電子ビームの離軸を小さくしうるとと
もに、主レンズ用電極間の電位勾配を小さくして電極間
放電を防止し且つ主レンズの球面収差を小さくしうる陰
極線管の電子銃及びその製造方法並びに陰極線管を提供
することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】 本発明に係る陰極線管の
電子銃は、カソードと、同軸上に配置された第1電極、
第2電極及び主電子レンズを構成する複数の電極を有す
る抵抗円筒体とを備え、抵抗円筒体は、絶縁円筒体の内
面に軸方向に沿って複数の電極を被着形成し、電極のい
ずれにも重なるように、各電極間に対応した絶縁円筒体
の内面にらせん状抵抗膜を形成した構成とする。
【0006】 本発明に係る陰極線管の電子銃は、カソー
ドと、同軸上に配置された第1電極、第2電極及び主電
子レンズを構成する複数の電極を有する抵抗円筒体とを
備え、抵抗円筒体は、高抵抗物質の円筒体の内面に軸方
向に沿って複数の電極を被着形成し、この各電極間に対
応した高抵抗物質の円筒体の内面に導電リングを形成し
た構成とする。
【0007】 この場合の陰極線管の電子銃は、抵抗円筒
体の外壁面に軸方向に沿って導電膜を形成し、導電膜と
抵抗円筒体の両端部に形成された電極とを夫々ホルダー
により電気的に接続して構成することができる。
【0008】 上記陰極線管の電子銃は、上記抵抗円筒体
の複数の電極のうち、抵抗円筒体の両端部間の中間に形
成された電極に電気的に接続された導電ピンを、抵抗円
筒体外に導出するように構成することができる。
【0009】 上記陰極線管の電子銃は、上記高抵抗物質
の円筒体としては3分割し、中間の高抵抗物質の円筒体
の表面抵抗値を、両端の高抵抗物質の円筒体の表面抵抗
値よりも大に設定して構成することができる。
【0010】 上記陰極線管の電子銃は、上記高抵抗物質
の円筒体を3分割した第1の高抵抗物質円筒体と、この
第1の高抵抗物質円筒体を内収する第2の高抵抗物質円
筒体とからなり、第1の高抵抗物質円筒体のうちの中間
の高抵抗物質円筒体の表面抵 抗値を、両端の高抵抗物質
円筒体の表面抵抗値よりも大に設定し、第2の高抵抗物
質円筒体を、中間の高抵抗物質円筒体と同じ材料、また
は第1の高抵抗物質円筒体と異なる材料で形成して構成
することができる。
【0011】 本発明に係る陰極線管の電子銃の製造方法
は、絶縁円筒体の内面に軸方向に沿って主電子レンズを
構成する複数の電極を形成する工程と、絶縁円筒体の内
周面に、複数の電極のいずれにも重なるように抵抗ペー
ストによる抵抗膜を形成する工程と、抵抗膜の電極を除
く部分をらせん状にトリミングしてらせん状抵抗膜を形
成し、抵抗円筒体を作製する工程と、第1電極、第2電
極及び抵抗円筒体を同軸上に配置すると共に、第1電極
に隣接してカソードを配置する工程とを有する。
【0012】 本発明に係る陰極線管の電子銃の製造方法
は、高抵抗物質の円筒体の内面に軸方向に沿って主電子
レンズを構成する複数の電極を形成する工程と、各電極
間に対応する高抵抗物質の円筒体内面に導電リングを形
成し、抵抗円筒体を作製する工程と、第1電極、第2電
極及び抵抗円筒体を同軸上に配置すると共に、第1電極
に隣接してカソードを配置する工程とを有する。
【0013】 本発明に係る陰極線管は、カソードと、同
軸上に配置された第1電極、第2電極及び主電子レンズ
を構成する複数の電極を有する抵抗円筒体とが設けら
れ、抵抗円筒体が、絶縁円筒体の内面に軸方向に沿って
複数の電極を被着形成し、この複数の電極のいずれにも
重なるように、複数の電極間に対応した絶縁筒体の内面
にらせん状抵抗膜を形成して構成された電子銃を備えて
成る。
【0014】 本発明に係る陰極線管は、カソードと、同
軸上に配置された第1電極、第2電極及び主電子レンズ
を構成する複数の電極を有する抵抗円筒体とが設けら
れ、抵抗円筒体が、高抵抗物質の円筒体の内面に軸方向
に沿って複数の電極を被着形成し、この複数の電極間に
対応した高抵抗物質の円筒体の内面に導電リングを形成
して構成された電子銃を備えて成る。
【0015】 上記陰極線管は、上記電子銃を構成する抵
抗円筒体の外壁面に軸方向に沿って導電膜を形成し、導
電膜と抵抗円筒体の両端部に形成された電極とが夫々ホ
ルダーにより電気的に接続した構成とすることができ
る。
【0016】 上記陰極線管は、上記電子銃における抵抗
円筒体の複数の電極のうち、抵抗円筒体の両端部間の中
間に形成された電極に電気的に接続された導電ピンを、
抵抗円筒体外に導出した構成とすることができる。
【0017】 上記陰極線管は、上記電子銃における高抵
抗物質の円筒体を3分割し、中間の高抵抗物質の円筒体
の表面抵抗値を、両端の高抵抗物質の円筒体の表面抵抗
値よりも大に設定した構成とすることができる。
【0018】 上記陰極線管は、電子銃における上記高抵
抗物質の円筒体を、3分割した第1の高抵抗物質円筒体
と、この第1の高抵抗物質円筒体を内収する第2の高抵
抗物質円筒体とから構成し、第1の高抵抗物質円筒体の
うちの中間の高抵抗物質円筒体の表面抵抗値を、両端の
高抵抗物質円筒体の表面抵抗値よりも大に設定し、第2
の高抵抗物質円筒体を、中間の高抵抗物質円筒体と同じ
材料、または第1の高抵抗物質円筒体と異なる材料で形
成した構成とすることができる。
【0019】
【作用】 本発明の陰極線管の電子銃においては、電子
レンズを構成する複数の電極を有する抵抗円筒体を備え
るので、電子レンズ系の同心度のずれがほとんど生じな
い。また、主レンズを構成する複数の電極間にらせん抵
抗膜が形成されるので、これらの電極間の電位勾配が小
さくなり、このため主レンズ系の球面収差が小さくな
る。
【0020】 本発明の陰極線管の電子銃においては、主
レンズを構成する複数の電極を有する抵抗円筒体を備
え、その抵抗円筒体を高抵抗物質で形成することによ
り、主レ ンズ系の同心度のずれがほとんど生じない。さ
らに電極間にリング状の導電層を設けることにより、電
極間の電位勾配が小さくなり、このため主レンズの球面
収差が小さくなる。
【0021】 上記電子銃においては、導電膜と抵抗円筒
体の両端部に形成された電極とを夫々ホルダーにより電
気的に接続した構成によって、いわゆるユニポテンシャ
ル型の主レンズを構成する両端の電極が等電位化され、
主レンズ系の同心ずれを抑えて電子ビームの軸ずれを小
さくすることができる。
【0022】 上記電子銃においては、抵抗円筒体の所定
の位置から第4電極の導電端子を導出するように構成す
ることにより、軸電位の微調整が可能になる。
【0023】 上記電子銃においては、抵抗円筒体の複数
の電極のうち、抵抗円筒体の両端部間に形成された電極
に電気的に接続された導電ピンを、抵抗円筒体外に導出
するので、抵抗分布をより傾斜させることができ、主電
子レンズ特性の向上を図ることができる。
【0024】 上記電子銃においては、3分割の第1の高
抵抗物質の円筒体を内収する第2の高抵抗物質の円筒体
を設けることにより、内側の第1の高抵抗物質の円筒体
を保護することができる。
【0025】 本発明の陰極線管の電子銃の製造方法にお
いては、複数の電極のいずれにも重なるように抵抗ペー
ストを使って抵抗膜を形成し、抵抗膜の電極を除く部分
をらせん状にトリミングしてらせん状抵抗膜を形成し、
また、各電極間に対応する高抵抗物質の円筒体内面に導
電リングを形成し、抵抗円筒体を作れるので、上述の電
子銃を容易に製造することができる。
【0026】 本発明の陰極線管の電子銃の製造方法にお
いては、高抵抗物質の円筒体の内面に軸方向に沿って主
電子レンズを構成する複数の電極を形成して、各電極間
に対 応する高抵抗物質の円筒体内面に導電リングを形成
し、抵抗円筒体を作製し、第1電極、第2電極及び抵抗
円筒体を同軸上に配置すると共に、第1電極に隣接して
カソードを配置するので、上述の電子銃を容易に製造す
ることができる。
【0027】 さらに、本発明の陰極線管においては、上
述した電子銃を備えているので、レンズ径を大きくし
て、より一層のレンズ特性の向上が図られ、高画質化で
きる。
【0028】
【実施例】以下、本発明に係る陰極線管の電子銃の実施
例について図1〜31を参照して説明する。図1に第1
実施例の全体構成を示す。本実施例の電子銃はユニポテ
ンシャル型のものである。同図に示すように、本実施例
においては、ネック管1のステム2の近傍に電子を放出
するためのカソードKが設けられ、このカソードKに隣
接して第1グリッドG1 、第2グリッドG2 及び第3グ
リッドG3 を構成するカップ部材G3Aが同軸上に配され
る。そして、カップ部材G3Aに隣接した位置に、主レン
ズを形成するための後述する絶縁管3が設けられる。さ
らに、この絶縁管3の上端部にはHVシールド4及びH
Vスプリング5が固定される。尚、ステム2には複数の
ステムピン6が埋め込まれている。
【0029】第1グリッドG1 にはビーム量を制御する
ためのカットオフ電圧が印加される。一方、第1グリッ
ドG1 に隣接する第2グリッドG2 にはカソードKより
正に数百V程度高い電圧が印加される。そして、第1グ
リッドG1 、第2グリッドG2 及び第3グリッドG3
構成するカップ部材G3Aは、これらの両側に配された一
対のビードガラス7に融着によって固定され、トライオ
ードを構成する。
【0030】また、第1グリッドG1 のリード線24及
び第2グリッドG2 のリード線25はそれぞれステムピ
ン6に接続され、これによりトライオードが固定され
る。絶縁管3は、例えば絶縁性セラミック(Al2 3
96%)又はガラスからなり、真円度の高い(例えば5
0m以下)円筒形状に形成される。この絶縁管3の両端
部及び中央部にはRuO2 −ガラスペーストからなるリ
ング状の電極膜8,9,10が塗布形成されている。こ
こで、電極膜8はカップ部材G3Aとともに第3グリッド
3 を構成し、電極膜9,10はそれぞれ第4グリッド
4 及び第5グリッドG5 の役割を果たす。そして、両
端部の電極膜8,10と一部重なるとともに中央部の電
極膜9には全部重なるように抵抗膜11が形成されてい
る。この抵抗膜11は、電極膜8,9及び電極膜9,1
0間においてらせん状(ヘリカル)に形成されている。
一方、絶縁管3の一方の外面には、その長手方向に延び
る導電膜17が形成されている。
【0031】絶縁管3の両端部には、電極膜8,10と
電気的に接続するための円筒ホルダー12(12a,1
2b)が固定されている。この円筒ホルダー12は、例
えばステンレス等の金属からなり、図2A〜Cに示すよ
うに、絶縁管3とはまり合うリング状のフランジ部13
を有している。そして、このフランジ部13の内周に
は、対向する一対の突起14が3個所に設けられ、これ
らの突起14のうち内側のものが絶縁管3の内面に形成
した電極膜10,12と接触するように構成される。ま
た、円筒ホルダー12aと円筒ホルダー12bとは、絶
縁管3の外面に形成した導電膜17を介して電気的に接
続される。
【0032】図1に示すように、絶縁管3のほぼ中央部
にはG4 ピン15が設けられる。このG4 ピン15は絶
縁管3の膨張係数とほぼ等しい膨張係数を有するコバー
ル鉄又はTi合金で形成することが好ましい。そして、
このG4 ピン15は、絶縁管3に形成した孔16を介し
て電極膜9と接触するように取り付けられる。また、G
4 ピン15はリード線26が接続される。このリード線
26は、図示しないがステムピン6に固定される。
【0033】図3に示すように、HVシールド4は例え
ばSUS304等からなる平板状の部材で、その中央部
には電子ビームを透過させるための孔18が設けられ
る。このHVシールド4は溶接によって円筒ホルダー1
2に固定される。
【0034】HVスプリング5は例えばインコネルから
なる。図1に示すように、HVスプリング5はHVシー
ルド4の両端部に溶接によって固定され、その先端部が
ネック管1の内面を押圧するように構成される。そし
て、このHVスプリング5はカーボン等からなる導電膜
を介して不図示のアノードボタンに電気的に接続され
る。
【0035】次に、本実施例の製造方法について図4及
び図5を用いて説明する。まず、絶縁管3にG4 ピン1
5を取り付けるための孔16を形成し(図4工程
(1)、図5A)、この絶縁管3を洗浄する(図4工程
(2))。そして、図6に示すようにこの孔16にG4
ピン15とフリットガラスgをセットする(図4工程
(3))。さらに、G4 ピン15を不図示の治具によっ
て固定し、その状態でフリット焼成を行う(図4工程
(4)、図5B)。
【0036】次いで、絶縁管3の内面の両端部及び中央
部に電極膜8〜10を塗布形成する(図4工程(5)、
図5C)。この場合、導電ペーストとしては、例えばR
uO2 −ガラスペースト(商品名#9516、デュポン
社製等)を用い、膜厚が均一になるよう塗布を行う。
【0037】さらに、図5Dに示すように、第3グリッ
ドG3 としての電極膜8と第5グリッドG5 としての電
極膜10を電気的に接続するため、絶縁管3のG4 ピン
15が設けられない側の外周に長手方向に上記導電ペー
ストを塗布し、導電膜17を形成する。そして、電極膜
8〜10及び導電膜17を平坦化するためレベリング乾
燥を行う(図4工程(6))。
【0038】その後、図5Eに示すように、絶縁管3の
内面のほぼ全面に、即ち絶縁管3の両端部の電極膜8,
10が形成された部分を多少残して抵抗膜11を塗布形
成する(図5工程(7))。この場合、抵抗ペーストと
しては、例えばRuO2 −ガラスペースト(商品名#9
518、デュポン社製等)を用い、後述する方法によっ
て膜厚が均一になるように塗布を行う。
【0039】図7は抵抗ペーストの塗布方法の例を示す
ものである。同図に示すように、Z軸即ち管軸方向を中
心にして絶縁管3を回転し、抵抗ペースト18のタンク
19に連結されたノズル20から絶縁管3の内面に一定
量の抵抗ペースト18を供給する。
【0040】そして、抵抗膜11に対してレベリング乾
燥を行った(図4工程(8))後に、図8に示す方法に
より抵抗膜のトリミング及び洗浄を行う(図4工程
(9))。
【0041】図8はトリミング方法の1つの例を示すも
のである。すなわち、Z軸を中心にして絶縁管3を回転
しつつこれをX軸方向へ移動させ、けがき針21の先端
を抵抗膜11の表面に接触させることにより、抵抗膜1
1をらせん状にけがく。この場合、電極膜8〜10と重
なっていない部分のみけがくようにする。この工程によ
り、電極膜8,9及び電極膜9,10間において抵抗膜
11がらせん状に形成される(図5F)。尚、トリミン
グによって発生した切り屑はエアブロー等により絶縁管
から完全に除く(洗浄)。尚、けがき針21を移動させ
るようにしてもよい。
【0042】一方、このような方法によらなくとも、次
の方法により抵抗膜11をらせん状に形成してもよい。
すなわち、図4工程(6)のレベリング乾燥後、図9に
示すように、絶縁管3をZ軸を中心にして回転しつつこ
れをX軸方向へ移動させ、抵抗ペースト18のタンク1
9に連結されたディスペンサー22(注射針)から抵抗
ペースト18を供給することもできる。この場合、ディ
スペンサー22と絶縁管3との距離を一定に保つことが
好ましい。また、ディスペンサー22を移動させるよう
にしてもよい。
【0043】上述の工程によりらせん状の抵抗膜11を
形成した後、絶縁管3を例えば850℃の温度で10分
間焼成する(図4工程(10))。これにより電極膜8
〜10及び抵抗膜11が溶解して絶縁管3に固着し安定
化する。
【0044】そして、絶縁管3を洗浄乾燥(図4工程
(11))した後、位置決め治具で絶縁管3を芯出し、
垂直出しして円筒ホルダー12を絶縁管3にセットし
(図4工程(12))、図5Gに示すように円筒ホルダ
ー12と絶縁管3との連結部分にフリット23を配し、
焼成を行う(図4工程(13))。
【0045】その後、一方の円筒ホルダー12aに対し
位置出し治具を用いてHVシールド4及びHVスプリン
グ5を組立、溶接する。また、他方の円筒ホルダー12
bに対し、予め公知のビーディング法により組み立てた
トライオード(カソードK、第1グリッドG1 、第2グ
リッドG2 、カップ部材G3A)を、位置出し治具を用い
て組み立て、溶接する(図4工程(14))。
【0046】さらに、第1及び第2グリッドG1 ,G2
のリード線24,25及びG4 ピン15のリード線26
を、ステム2に埋め込まれたステムピン6に接続するこ
とにより、図1に示すような電子銃が完成する。
【0047】かかる構成を有する本実施例においては、
主レンズを形成するための第3〜第5グリッドG3 〜G
5 に相当する電極膜8〜10が、精度良く一体形成され
た絶縁管3に形成されていることから、これらの電極8
〜10間のZ軸に対する軸ずれが小さくなる。したがっ
て、本実施例によれば、電子ビームの離軸を小さく抑え
ることができる。
【0048】また、本実施例においては、電極膜8〜1
0の間にらせん状の抵抗膜11が形成されていることか
ら、電極膜8〜10の間の電位勾配(電界強度変化率)
が従来例に比べて小さくなり、その結果、電極8〜10
間の放電が起こりにくくなる。さらに、球面収差が小さ
くなることから、ビームスポット径を小さくすることが
でき、解像度を向上させることが可能になる。
【0049】尚、上述の実施例においては、導電膜17
及び円筒ホルダー12a,12bを介して電極膜8,1
0を接続するようにしたが、本発明はこれに限られるこ
となく、例えば円筒ホルダー12a,12bをリード線
により接続するようにしてもよい。
【0050】また、上述の実施例においては、例えば図
5Gに示すようにフリットガラス23を用いて円筒ホル
ダー12a,12bを絶縁管3に固定するようにした
が、本発明はこれに限られるものではなく、例えば図1
0に示すように絶縁管3の外面に凹部3aを形成し、こ
の凹部3aと円筒ホルダー12の突起14とをはめ合わ
せるように構成することもできる。この場合、HVシー
ルド4と円筒ホルダー12とは予め溶接しておくとよ
い。また、HVシールド4とHVスプリング5について
も、溶接によらず、はめ込んで固定することもできる。
【0051】さらに、本発明は上述したユニポテンシャ
ル型の電子銃のみならずバイポテンシャル型の電子銃に
も適用することができる。この場合、図11に示す第2
実施例のように絶縁管30に上述した方法で電極膜31
(G4 )、32(G5 )を形成し、その上に抵抗膜33
を形成する。そして、抵抗膜33には複数のらせん状の
部分33a〜33eが上述した方法により形成される。
【0052】加えて、円筒ホルダー12に設けた突起1
4の数についても、上記実施例に限られることなく、複
数であれば任意の数を選ぶことができる。
【0053】さらにまた、上述の実施例においては第1
グリッドG1 、第2グリッドG2 及び第3グリッド部材
3Aのみビードガラス7で固定するようにしたが、本発
明はこれに限られるものではなく、例えばビードガラス
7を延長してHVシールド4を併せて固定することもで
きる。これにより一層強固に電子銃を組み立てることが
できる。尚、この場合、ビードガラスによる固定は電子
銃の組立の最後に行う。
【0054】次に、本発明に係る陰極線管の電子銃の第
3実施例について図12〜図23を参照して説明する。
尚、上記第1実施例と対応する部分には同一符号を付
し、重複説明を省略する。図12に本実施例の全体構成
を示す。本実施例の電子銃はユニポテンシャル型のもの
である。同図に示すように、本実施例においては、ネッ
ク管1のステム2の近傍に電子を放出するためのカソー
ドKが設けられ、このカソードKに隣接して第1グリッ
ドG1 、第2グリッドG2 及び第3グリッドG3を構成
するカップ部材G3Aが同軸上に配される。そして、カッ
プ部材G3Aに隣接した位置に、主レンズを形成するため
の後述する高抵抗管3Aが設けられる。さらに、この高
抵抗管3Aの上端部にはHVシールド4及びHVスプリ
ング5が固定される。尚、ステム2には複数のステムピ
ン6が埋め込まれている。
【0055】第1グリッドG1 にはビーム量を制御する
ためのカットオフ電圧が印加される。一方、第1グリッ
ドG1 に隣接する第2グリッドG2 にはカソードKより
正に数百V程度高い電圧が印加される。そして、第1グ
リッドG1 、第2グリッドG2 及び第3グリッドG3
構成するカップ部材G3Aは、これらの両側に配された一
対のビードガラス7に融着によって固定され、トライオ
ードを構成する。
【0056】また、第1グリッドG1 のリード線24及
び第2グリッドG2 のリード線25はそれぞれステムピ
ン6に接続され、これによりトライオードが固定され
る。
【0057】高抵抗管3Aは、例えばアルミナ(Al2
3 )中にTi,W,Cu等の酸化物を混合し焼結させ
て導電性をもたせた物質や導電性をもたせたフェライ
ト、チタニア系セラミックス等からなり、高耐圧性を有
する絶縁物を主成分とする。
【0058】この高抵抗管3Aは、真円度の高い(例え
ば20m以下)円筒形状に形成され、その両端部及び中
央部には例えばRuO2 −ガラスペーストからなるリン
グ状の電極膜8,9,10が塗布形成されている。ここ
で、電極膜8はカップ部材G3Aとともに第3グリッドG
3 を構成し、電極膜9,10はそれぞれ第4グリッドG
4 及び第5グリッドG5 の役割を果す。一方、電極膜
8,9,10の間には例えば電極膜8〜10と同じ材料
からなる複数のリング状の部分(以下「導電リング」と
いう。)11Aが形成されている。ここで、電極膜8〜
10及び導電リング11Aは、ともに高抵抗管3の長手
方向即ち管軸(Z軸)方向と垂直方向に形成されてい
る。
【0059】高抵抗管3Aの抵抗値については、高抵抗
管3Aの直径と電極膜8,9及び9,10間の間隔をそ
れぞれ12mm程度とすると、各電極膜8,9及び9,
10間において100MΩ(メガオーム)〜10Ter
aΩ(テラオーム)となるように設定することが好まし
く、特に1Gル程度が好ましい。この値より小さいと発
熱しやすく、また、この値より大きいと帯電しやすくな
る。尚、かかる抵抗値を1GΩに設定した場合、高抵抗
管3Aの体積抵抗率は108 Ω・cmとなる。
【0060】さらに、高抵抗管3Aの一方の外面には、
その長手方向に延びる導電膜17が形成されている。高
抵抗管3Aの両端部には、電極膜8,10を電気的に接
続するための円筒ホルダー12(12a,12b)が固
定されている。この円筒ホルダー12は、第1実施例と
同様の構成を有している。
【0061】次に、本実施例の製造方法について図13
及び図14を用いて説明する。まず、高抵抗管3AにG
4 ピン15を取り付けるための孔16を形成し(図13
工程(1)、図14A)、この高抵抗管3Aを洗浄し乾
燥する(図13工程(2))。
【0062】次いで、高抵抗管3Aの内面に、以下の方
法により電極膜8〜10及び導電リング11Aを塗布形
成する(図13工程(3)、図14B)。この場合、導
電ペーストとしては、例えばRuO2 −ガラスペースト
(商品名#9516、デュポン社製等)を用い、膜厚が
均一になるよう塗布を行う。
【0063】図15は電極膜8〜10及び導電リング1
1Aの形成方法の第1の例を示すものである。図15A
は導電ペーストの塗布方法を示すもので、高抵抗管3A
の内部に、高抵抗管3Aとほぼ同じ長さを有する回転自
在のゴムローラ68を配し、このゴムローラ68を一対
のばね69により高抵抗管3Aの内面に押し付けるよう
に構成する。この場合、図15Bに示すように、ゴムロ
ーラ68の長手方向に一定量の導電ペースト70を載せ
た後に図15Aに示すようにセットし、高抵抗管3Aを
回転軸O1 を中心として回転させる。これによりゴムロ
ーラ68も回転軸O2 を中心として回転し、導電ペース
ト70が高抵抗管3Aの内面前面に広がって塗布され
る。その後、ゴムローラ68を高抵抗管3Aから抜き、
高抵抗管3Aを回転しながら例えば温風で加熱すること
により乾燥させる。これは導電ペースト70がたれるこ
とを防ぐためである。
【0064】図15Cは導電ペースト70のトリミング
方法を示すものである。同図に示すように、支持棒71
の先端に超硬合金からなるけがき円板72が偏心するよ
うに取り付けられる一方、この支持棒71は、ばね73
によって長手方向と直交する方向に引張られるよう構成
される。そして、トリミング工程においては、高抵抗管
3Aを矢印a方向に回転させ、支持棒71を高抵抗管3
A内に配置する。そして、支持棒71を矢印b又はc方
向へ移動させ導電ペースト70の不要な位置に来たとき
にばね73を動作させてけがき円板72を導電ペースト
70に押し当て、トリミングを行う。一方、導電ペース
ト70が必要な部分については、ばね73を解除するこ
とにより導電ペースト70を残すようにする。尚、レー
ザー光を吸収させた熱により導電ペースト70を蒸発さ
せて除去するようにしてもよい。
【0065】図16は電極膜8〜10及び導電リング1
1Aの形成方法の第2の例を示すものである。この方法
は、ネガタイプのレジスト材料(例えばPVA−ADC
等)を用いた露光法によるものである。
【0066】この方法の場合、まず、図16Aに示すよ
うに、高抵抗管3Aを回転させつつその内面にレジスト
材料80を塗布する。次いで、図16Bに示すように、
高抵抗管3A内にマスク81を挿入し、位置合せを行
う。このマスク81は、高抵抗管3Aの内径と等しい外
径を有する紫外線透過性ガラス(例えば石英)の外周に
電極膜8〜10及び導電リング11Aと同じパターン8
2を形成したものである。
【0067】そして、図16Cに示すように、マスク8
1の内側に紫外線照射ランプ83を配し、露光を行う。
さらに、高抵抗管3Aからマスク81を外して水を吹き
付けることにより現像を行い、図17Aに示すようにレ
ジスト84の電極パターンを作成する。
【0068】次に、図16Dに示すように、真空ポンプ
85内にこの高抵抗管3Aを配置し、例えばAl,Au
等の金属からなるワイヤー86をヒーター87によって
加熱することにより、高抵抗管3Aの内面に金属膜88
を蒸着させる(図17B)。さらに、H2 2 による反
転現像及びベーキング(430℃、30分)を行って図
17Cに示すように電極膜8〜10及び導電リング11
Aを形成する。
【0069】図18は電極膜8〜10及び導電リング1
1Aの形成方法の第3の例(メタルマスク蒸着法)を示
すものである。この方法の場合、高抵抗管3Aの内面に
密着するように金属製のリング状のマスク88を挿入
し、真空ポンプに連結した容器89内にこの高抵抗管3
Aを配置する。そして、容器89内を真空にするととも
にヒーター89aによって上記蒸着用金属90を加熱し
て高抵抗管3Aの内面にこれを蒸着させる。
【0070】図19は電極膜8〜10及び導電リング1
1Aの形成方法の第4の例を示すものである(熱転写
法)。この方法の場合、まず、ポリエステルからなる熱
転写用のベースフィルム91を円筒状に形成する(図1
9A)。そして、このベースフィルム91上に、剥離層
(図示せず)、導電層92、接着層(図示せず)の各層
を順に塗布形成して熱転写シート93を完成させる(図
19B)。次に、図19Cに示すように、この熱転写シ
ート93を位置出して高抵抗管3A内に挿入する。そし
て、空気圧によって熱転写シート92を高抵抗管3Aの
内面に密着させ、内部にヒーターを内蔵したシリコンロ
ーラ94でさらに加熱及び加圧を行う(図19D)。こ
れにより熱転写シート93上の導電層92が高抵抗管3
Aの内面に転写され、電極層8〜10及び導電リング1
1Aが形成される。その後、図19Eに示すようにベー
スフィルム91を剥離除去する。
【0071】さらに、図20A,Bに示すように、予め
高抵抗管3Aの内壁に凹部3a,3bを形成し、上述し
た図15に示すゴムローラ68を用いてベタに導電ペー
スト70を塗布することにより、所定パターンの電極膜
8〜10及び導電リング11Aを形成することもでき
る。
【0072】図21は、電極膜8〜10及び導電リング
1Aの形成方法の第6の例を示すものである。本例は、
タコ印刷を応用したもので、まず、図21Aに示すよう
に、所定のパターン101が形成されたベース100の
端部に導電ペースト102を載せ、着肉ローラ103を
例えばパターン101と直交する方向へ転がすことによ
り、導電ペースト102をパターン101の間の凹部に
充填する。
【0073】そして、図21Bに示すように、第1の例
(図15A参照)で用いたものと同じローラ104を、
パターン101の長手方向へ転がすことにより、図21
Cに示すようにローラ104に導電ペースト102を付
着させる。
【0074】さらに、図15Aに示すように、第1の例
と同様にローラ104を高抵抗管3Aの内面に押し付
け、高抵抗管3Aを回転させる。これにより、高抵抗管
3Aの内面に導電ペースト102が付着し、電極膜8〜
10及び導電リング11Aが形成される。
【0075】尚、その他にも、スクリーン印刷方式によ
ってベース上に所定のパターンを形成し、以下図21
B,C及び図15Aに示す方法と同様にして、高抵抗管
3Aの内面に電極膜8〜10及び導電リング11Aを形
成することもできる。
【0076】また、上述の電極膜8〜10及び導電リン
グ11Aは、導電ペーストをインクジェット方式によっ
て高抵抗管3に吹き付けることにより形成することもで
きる。
【0077】さらに、本実施例の電極膜8〜10及び導
電リング11Aは、第1実施例のディスペンサーを用い
た方法(図9参照)によっても形成できる。この場合に
は、導電ペースト68を供給する際に高抵抗管3Aの移
動速度を遅くすることにより導電リング11Aを形成す
るための導電ペースト68をベタに塗布できる。そし
て、各導電リング11Aの最終端を塗布する際に高抵抗
管3Aの移動を止めると、その部分について高抵抗管3
Aの管軸と垂直方向に導電ペースト68を塗布すること
ができる。尚、高抵抗管3Aを移動する代わりにディス
ペンサー22を移動して同様の塗布を行うこともでき
る。
【0078】上述の方法により電極膜8〜10及び導電
リング11Aを形成した後、膜厚を均一に保つためにレ
ベリング乾燥を行い(図13工程(4))、その後、例
えば850℃の温度で10分間空気中において焼成し
(図13工程(5))、電極膜8〜10及び導電リング
11Aをセラミックスからなる高抵抗管3Aの内面に固
着させる。尚、上述の電極膜8〜10及び導電リング1
1Aの形成方法のうち、第3の方法(メタルマスク蒸着
法)を用いた場合には、このような焼成が不要となる。
【0079】その後、図14Cに示すように、第3グリ
ッドG3 としての電極膜8と第5グリッドG5 としての
電極膜10を電気的に接続するため、高抵抗管3AのG
4 ピン15が設けられない側の外周の長手方向に上記導
電ペースト70を塗布し、導電膜17を形成する。
【0080】そして、位置決め治具で高抵抗管3Aを芯
出し、垂直出しして円筒ホルダー12を高抵抗管3Aに
セットするとともに、孔16にG4 ピン15を取り付け
て治具によって固定し、それぞれ図14Dに示すように
フリットガラスgを配して例えば850℃の温度で10
分間焼成を行う(図13工程(6)(7))。
【0081】尚、電極膜8〜10及び導電リング11A
を形成した後、レベリング乾燥(工程(4))及び焼成
(工程(5))を行わず、円筒ホルダー12とG4 ピン
15をセットしてフリットガラスgを塗布し、一度に焼
成(工程(7))を行うこともできる。
【0082】その後、一方の円筒ホルダー12aに対し
位置出し治具を用いてHVシールド10及びHVスプリ
ング5を組立、溶接する。また、他方の円筒ホルダー1
2bに対し、公知のビーディング法により予め組み立て
たトライオード(カソードK、第1グリッドG1 、第2
グリッドG2 、カップ部材G3A)を、位置出し治具を用
いて組み立て、溶接する(図13工程(8))。
【0083】さらに、第1及び第2グリッドG1 ,G2
のリード線24,25及びG4 ピン15のリード線16
を、ステム2に埋め込まれたステムピン6に接続するこ
とにより、図12に示すような電子銃が完成する(図1
3工程(9))。
【0084】ところで、上述の工程によって形成された
導電リング11Aは、次のような役割を果すものであ
る。すなわち、図22及び図23Aに示すように高抵抗
管3Aの内壁表面の抵抗は、その上側部分45aと下側
部分45bでばらつきを生ずるが、本実施例のように高
抵抗管3Aの長手方向(Z軸方向)と垂直方向(Y軸方
向)に導電リング11Aを設けることによりY軸方向の
等電位化がなされ、かかる抵抗のばらつきを抑えること
ができる。例えば図23Bに示すようにZ=0mmの場
所に電極膜8を設けるとともにZ=100mmの場所に
導電リング11Aを設けた場合、電極膜8〜10及び導
電リング11A間における上記抵抗のばらつきの値は、
導電リング11Aを設けた場合の方が小さくなる(R1
>R2 ,R4 >R5 )。そして、Z=50mmの場所に
も導電リング11Aを設けた場合には、図23Cに示す
ように、さらに上記抵抗のばらつきの値が小さくなる
(R2>R3 ,R5 >R6 =0)。この結果、本実施例
のように電極膜8〜10間に導電リング11Aを設けた
場合、電極膜8〜10によって形成される電子レンズ系
の球面収差を小さくすることができる。そして、この導
電リング11Aを精度良く多く設ければ設けるほど、従
来の装置において電子銃を構成する部材の真円度が小さ
くなった場合と同様の効果がある。
【0085】また、導電リング11Aのピッチや巾を変
えることにより、図23Dに示すように、電極間の電位
の微調整を行うことができ、その結果、球面収差のより
小さなレンズ系を設計することができる。かかる構成を
有する本実施例においては、主レンズを形成するための
第3〜第5グリッドG3 〜G5 に相当する電極膜8〜1
0が、精度良く一体形成された高抵抗管3Aに形成され
ていることから、これらの電極8〜10間のZ軸に対す
る軸ずれが小さくなる。したがって、本実施例によれ
ば、電子ビームの離軸を小さく抑えることができる。
【0086】また、本実施例においては、電極膜8〜1
0の間に複数の導電リング11Aが形成されていること
から、図24に示すように電極膜8〜10の間の電位勾
配(電界強度変化率)が従来例に比べて小さくなり、そ
の結果、電極8〜10間の放電が起こりにくくなる。さ
らに、球面収差が小さくなることから、ビームスポット
径を小さくすることができ、解像度を向上させることが
可能になる。この場合、電極膜8〜10間は高抵抗の物
質が存在しているため、例えば低抵抗の絶縁管3に電極
膜8〜10を形成するとともに電極膜8〜10間にらせ
ん状の抵抗膜11を設けた場合に比べ、わずかな数の導
電リング11Aを設けるだけで所望の主レンズを形成す
る第3〜第5グリッドG3 〜G5 を得ることができ、こ
の結果、容易に電子銃を製造することができる。
【0087】また、本実施例における導電リング11A
はZ軸と垂直方向に形成されているため、電極膜8〜1
0間における電位を安定させることができる。そして、
本実施例の構成によれば、高抵抗管3A内において電流
がZ軸に平行に流れるので、管内における磁界発生がな
く、電子ビームの偏心を防止することができる。
【0088】尚、上述の実施例においては、例えば図5
Dに示すようにフリットガラスgを用いて円筒ホルダー
12a,12bを高抵抗管3Aに固定するようにした
が、本発明はこれに限られるものではなく、例えば図2
5に示すように高抵抗管3Aの外面に凹部3cを形成
し、この凹部3cと円筒ホルダー12の突起14とをは
め合わせるように構成することもできる。この場合、H
Vシールド4と円筒ホルダー12とは予め溶接しておく
とよい。また、HVシールド4とHVスプリング5につ
いても、溶接によらずはめ込んで固定することもでき
る。
【0089】尚、ビードガラス7をHVシールド4まで
延長しなくとも、図26に示すように一対の帯状のバン
ドBで高抵抗管3Aを挟むとともに高抵抗管3Aの途中
までビードガラス7を延長し、このビードガラス7に対
してバンドBを融着することにより高抵抗管3Aとトラ
イオードとを固定するようにしてもよい。
【0090】また、本発明は上述したユニポテンシャル
型の電子銃のみならずバイポテンシャル型の電子銃にも
適用することができるものである。
【0091】図27は本発明の第4実施例の要部を示す
ものである。以下上記実施例と対応する部分には同一の
符号を付して説明すると、本実施例の場合、高抵抗管3
Aと同じ材料からなる略長方形状の高抵抗セラミックス
部材46に赤、緑及び青色の電子ビーム透過用の孔47
〜49が形成される。そして、2つの高抵抗セラミック
ス部材46の間にこれらと同形状の金属部材50が重ね
て固定される。この場合、対応する各孔47〜49,5
1〜53の軸がずれないようにすることが好ましい。こ
の金属部材50は第4グリッドG4 の役割を果すもの
で、不図示のリード線が接続される。さらに、高抵抗セ
ラミックス部材46の上面及び下面には不図示の第3及
び第5グリッドG3 ,G5 が設けられる。これらの第3
及び第5グリッドG3 ,G5 は金属板又は平面導電膜か
ら構成される。また、高抵抗セラミックス部材46の各
孔47〜49の内面には上述の方法により導電リング1
1Aが形成される。その他の構成及び作用については上
記実施例と同一であるので詳細な説明を省略する。
【0092】図28は本発明の第5実施例の要部を示す
ものである。本実施例にあっては、上述と同様の高抵抗
セラミックスからなるリング状の部材54を積層し、そ
の間に円板状の金属板55を挟んで構成される。ここ
で、金属板55には電子ビーム透過用の孔56〜58が
形成される。尚、本例は3ビームの電子銃の場合である
が、かかる構成は図1に示す単ビーム用の電子銃にも適
用可能である。
【0093】ところで、上述の実施例においては、高抵
抗セラミックスからなる高抵抗管3Aの電極膜8〜10
を形成する際に、導電ペースト70を塗布及び乾燥した
後、これを焼成する必要があるため、コスト高になるお
それがある。また、RuO2−ガラスペーストからなる
導電ペースト70がスパーキング時に損傷を受けること
により、レンズ特性が劣化するおそれがある。加えて、
さらなるレンズ特性の向上を図るためには抵抗分布をよ
り傾斜させる必要があるが、高抵抗管3A内は均一な抵
抗分布となっていることからこれには限界がある。そこ
で、本発明の第6実施例においては、以下のような構成
を採用している。
【0094】図29は本実施例の要部構成を示すもので
ある。図29Aに示すように、本実施例に用いる高抵抗
管105においては、一体に形成された本体の両端に低
抵抗部106が形成され、その間に高抵抗部107が形
成されている。この場合、低抵抗部106の抵抗値は、
その表面の抵抗が10KΩ/□程度とすることが好まし
い。一方、高抵抗部107の抵抗値は、上記実施例と同
様に、100MΩ〜10TeraΩとすることが好まし
い。尚、高抵抗部107を低抵抗部106との境界にお
いて抵抗が連続的に変化するように構成することが好ま
しい。これにより電位勾配が更に小さくなる。
【0095】本実施例の高抵抗管105は、例えば公知
の文献(Jady Chu, 石橋,林,武部,森永 SliP Castin
t of Continuous Funcfionally Gradient Material Jou
rnalof the Ceramic Society of Japan 101〔7〕841-8
44,1993)に記載されている。方法等により得られる。
すなわち、この方法は、導電物質(W,Ni−Cr等)
を混合したスラリーを用い、粒子の沈降速度の差を利用
して管軸方向に濃度差を与えることにより高抵抗管10
5の抵抗に勾配をつけるものである。
【0096】図29Bは、本実施例における高抵抗管1
08の他の例を示すものである。同図に示すように、こ
の例においては、図29Aに示す高抵抗管105の周囲
に第2の高抵抗部109が設けられる。この第2の高抵
抗部109は、低抵抗部106を保護すること等を目的
として設けられるもので、その材料としては、内側の高
抵抗部107と同じもの又は他の絶縁体を用いることが
できる。
【0097】また、一体のセラミックスからなる抵抗円
筒体(図示せず)の表面近傍のみを低抵抗化することも
できる。例えば、円筒体の生焼きのセラミックの両端部
内面に導電物質を塗布した後、そのセラミックを本焼き
することにより図29Bに示すものと同様の低抵抗部を
形成することができる。
【0098】図30は本実施例の全体構成を示すもので
ある。同図に示すように、本実施例の場合、径の異なる
2つの上記高抵抗管105A,105Bを用い、第4グ
リッドG4 となる金属部材を各高抵抗管105A,10
5Bに挿入することによりこれらを固定する。そして、
各高抵抗管105A,105Bに第3グリッドG3 及び
第5グリッドG5 を取り付けておく。尚、各高抵抗管1
05A,105Bには上述の導電リング11Aを設けて
おく。さらに、第3及び第5グリッドG3 ,G5 をリー
ド線l1 によって接続するとともに、第4グリッドG4
とステムピン110とをリード線l2 を用いて接続す
る。尚、ステムピンと第3グリッドG3 との間には、カ
ソードK、第1及び第2グリッドG1 ,G2 が設けられ
る。
【0099】以上の構成を有する本実施例によれば、抵
抗分布をより傾斜させることができ、その結果、放電が
起こりにくくなるとともに、より一層レンズ収差の小さ
いレンズ系を形成して高解像度の画面を実現することが
できる。
【0100】また、本実施例によれば導電ペースト70
を塗布、乾燥及び焼成する工程が必要なくなるため、工
程の簡素化及びコストダウンが可能になる。
【0101】さらに、本実施例によれば、スパーキング
が起こり易くなるため、耐圧を向上させることができ
る。
【0102】尚、上述の実施例においては高抵抗管10
5A,105Bを2つ組み合わせて第3〜第5グリッド
3 〜G5 を構成するようにしたが、本発明はこれに限
られるものではなく、1つの抵抗円筒体に第3〜第5グ
リッドG3 〜G5 に対応する低抵抗部を形成するように
してもよい。
【0103】また、高抵抗管は円筒のものに限られず、
例えば断面が楕円又は方形の筒状体を用いることもでき
る。
【0104】さらに、本発明は主レンズ系のみならず、
プリフォーカスレンズ系にも適用することができる。こ
の場合、例えば図30に示すように、2つの高抵抗管1
05A,105Bを組み合わせ、一方の高抵抗管105
Aに2箇所の低抵抗部105Bを形成するとともに、図
31に示すように他方の高抵抗管105Bにプリフォー
カスレンズ系用の低抵抗部112を形成し、この高抵抗
管105Bの端部に第1及び第2グリッドG1 ,G2
取り付けるように構成する。尚、114はスペーサであ
る。
【0105】かかる構成を有する第7実施例によれば、
第1、第2グリッドG1 ,G2 近傍の構成を簡素化する
ことができる。一方、高抵抗管105Bにプリフォーカ
スレンズ系用の低抵抗部112を形成せず、支持体とし
てのみ機能させることもできる。その場合には、放電防
止が容易になる。
【0106】次に、本発明に係る陰極線管の実施例につ
いて説明する。電子銃によって構成されるレンズ系の球
面収差は、レンズ径が大きくなるほど小さくなるが、こ
のレンズ径は、上記実施例の高抵抗管3Aの内径より大
きくできない。したがって、図32に示すように、形成
しうる最大のレンズ径は、高抵抗管116の肉厚B及び
クリアランスCを考慮すると、A=D−C2−B2とな
る。そこで、本実施例においては、次のような構成によ
り、レンズ径を大きくするようにした。
【0107】図33は本実施例の原理を示すものであ
る。同図に示すように、本実施例の陰極線管において
は、ファンネル117の少なくともネック部116内壁
を高抵抗化し、そのネック部116内壁に主レンズを構
成する第3〜第5グリッドG3 〜G5 が設けられる。
【0108】図34は本実施例の具体的な要部構成を示
すものである。尚、この例はバイポテンシャルの電子銃
を構成したものである。本実施例のファンネル117は
後述するセラミックを主成分として構成され、図35に
示すように、ネック部116の外側に絶縁層116Aが
形成され、内側に高抵抗層116Bが形成される。そし
て、高抵抗層116B上には、上述の導電ペースト70
を塗布することにより第3及び第4グリッドを構成する
電極膜G3a,G4aが形成され、さらにこれらの間には導
電リング118が形成される。ここで、電極膜G4aは内
壁カーボン121に接続される。この場合、例えばHV
=32kV、第3グリッドG3 のフォーカス電位を6k
Vとすると、例えば電極膜G3a,G4a間の抵抗は上記実
施例と同様に100MΩ〜10TeraΩ程度が好まし
い。
【0109】電極膜G3aには第3グリッドG3 が接続さ
れる。この場合、図37に示すように第3グリッドG3
には複数のリム部G3bが設けられ、これらのリム部G3b
を介して第3グリッドG3 と電極膜G3aとが接続され
る。この場合、図37Bに示すように、第3グリッドG
3 に複数のスプリングG3cを設けるようにしてもよい。
【0110】第3グリッドG3 は、ピン120によりビ
ードガラス119に取り付けられる。また、このビード
ガラス119には同様にピン120により第1及び第2
グリッドG1 ,G2 が取り付けられる。また、第1グリ
ッドG1 の近くには公知のカソードK及びヒーターHが
設けられる。
【0111】図36は本実施例の製造工程を示すもので
ある。本実施例においては、絶縁層116Aを構成する
母材粉末として、パネルガラスの膨張係数と同等の膨張
係数(40〜400℃、=102106 1/℃)を有す
るセラミックスであるフォルステライト(主結晶2Mg
O・SiO2 )を用いる。一方、高抵抗層116Bを構
成する添加物粉末として、導電物質であるTiO2 ,M
nO2 ,SiC又はW,Cu金属若しくはその酸化物を
用いる。そして、これらのフォルステライト及び導電物
質を用い、公知の粉末成形法等により図35に示すよう
な構成の絶縁層116A及び高抵抗層116Bを有する
ファンネルを形成する(工程(1)(2))。
【0112】そして、ネック部116の内壁に上述した
導電ペーストを塗布し(工程(3))、乾燥及び焼成し
て電極膜G3a,G4a及び導電リング118を形成する
(工程(4)(5))。
【0113】さらに、内装カーボン121を塗布した
(工程(6))後、パネル(図示せず)とファンネル1
17をフリットガラスを用いて気密封着する(工程
(7))。
【0114】その後、ステムに取り付けられた電子銃の
部分をネック部116に気密封着する(工程(8))。
そして、排気(工程(9))を行った後、公知のゲッタ
フラッシュ、ノッキング、エージング(図示せず)の各
工程を行って陰極線管が完成する。
【0115】以上の構成を有する本実施例によれば、レ
ンズ径が大きくなることから、球面収差を小さくするこ
とができ、その結果、高解像度の画面を実現できる。
【0116】また、高圧(陽極)を取り込むに際しHV
スプリングを用いていないことから、HVスプリングと
内装カーボンとの接触によるカーボン落ちがなく、耐圧
特性を向上させることができる。
【0117】また、ビーディングガラス119の陽極電
圧に対する放電が、第3グリッドG3 と接続されている
電極膜G3aによって防止されることから、その点でも耐
圧特性を向上させることができる。このことは特にバイ
ポテンシャル型の電子銃を構成した場合に効果的であ
る。
【0118】さらに、本実施例によればHVスプリン
グ、高抵抗管及びその接続部材、第4グリッド及びその
接続ピン等を省略することができるので、部品点数を削
減でき、その結果、コストダウンや信頼性の向上を図る
ことができる。
【0119】上述したように上記実施例に係る電子銃に
よれば、電子レンズ構成部を抵抗筒体で形成したことか
ら、電子レンズ系の同心度のずれを抑えて電子ビームの
軸ずれを小さくでき、高画質の画像を実現できる。
た、電子ビームを集束するための主レンズを構成する電
極を有する抵抗円筒体を備えたことから、主レンズ系の
同心度のずれを抑えて電子ビームの軸ずれを小さくする
ことができる。 この場合、カソードレンズ及びプリフォ
ーカスレンズを構成する電極をビードガラスで一体的に
固定し、これらの電極を抵抗円筒体の他端部に固定する
ことにより、電子ビームの軸ずれを一層小さくすること
ができる。 主レンズを構成する電極管の電位勾配が小さ
くなるので、電極間の放電を防止することができる。加
えて、主レンズの球面収差を小さくすることができるの
で、ビームスポット径を小さくする解像度を向上させる
ことができる。 さらに、電子ビームを集束するための主
レンズを構成する電極を有する抵抗円筒体を高抵抗物質
で形成したことから、主レンズ系の同心度のずれを抑え
て電子ビームの軸ずれを小さくすることができる。ま
た、本発明によれば、主レンズを構成する電極間の電位
勾配が小さくなるので、電極間の放電を防止することが
できる。加えて、主レンズの球面収差を小さくすること
ができるので、ビームスポット径を小さくして解像度を
向上させることができる。 さらに、抵抗円筒体の所定の
位置から第4グリッドの導電端子を導出するように構成
することにより、軸電位の微調整が可能になり、一層主
レンズの球面収差を小さくすることができる。 一方、電
極を抵抗円筒体に一体的に形成することにより、導電ペ
ーストが不要となってコストダウンが図れるとともに、
スパーキングし難くなるため、耐圧が向上する。 この場
合、電極と高抵抗物質との境界の組成を連続的に変化さ
せることにより、電極間の電位勾配をより小さくしてレ
ンズ特性の向上を図ることができる。 そして、抵抗円筒
体の内表面のみに電極を形成すれば、電極が保護される
ので信頼性を高めることができる。 一方、電子レンズが
主レンズ又はプリフォーカスレンズとなるように構成す
れば、電子レンズ構成部が簡素化されコストダウンを図
ることができる。 さらに、抵抗円筒体が電子銃構成部材
の支持体を兼ねるようにすれば、放電防止が容易にな
り、信頼性が高まる。 また、本発明に係る陰極線管によ
れば、電子レンズ構成部を管体を構成する抵抗筒体で構
成することにより、レンズ径を大きくしてより一層のレ
ンズ特性の向上が図れ、高画質を実現できる。 そして、
本発明は、ローラ又はディスペンサーを用いて導電ペー
ストを抵抗筒体の内面に塗布することにより、さらに熱
転写又はタコ印刷により電子レンズ構成部を形成するこ
とにより、陰極線管及びその電子銃を容易に製造できる
ものである。
【0120】尚、本発明は上述の実施例に限られるもの
ではなく、図1〜図31にて説明した種々の構成を適用
することができる。例えばネック部に一体的に電極膜及
び導電リングを形成することもでき、その形成方法も上
述の種々の方法を採用することができる。
【0121】
【発明の効果】本発明に係る陰極線管の電子銃によれ
ば、主電子レンズを構成するを主レンズを形成する複数
の電極を有する抵抗円筒体で形成するので、主電子レン
ズ系の同心度のずれを抑えて電子ビームの軸ずれを小さ
くでき、高画質の画像を実現できる。
【0122】さらに、抵抗円筒体を絶縁円筒体の内面に
電極と重なるようにらせん状抵抗膜を形成した構造、又
は高抵抗物質の円筒体で形成した構造とすることによ
り、主レンズを構成する電極間の電位勾配が小さくな
り、電極間の放電を防止することができる。加えて、主
レンズの球面収差を小さくすることができるので、ビー
ムスポット径を小さくする解像度を向上させることがで
きる。
【0123】 抵抗円筒体の外壁面に軸方向に沿って導電
膜を形成し導電膜と抵抗円筒体の両端部に形成された電
極とを夫々ホルダーにより電気的に接続した構成によっ
て、いわゆるユニポテンシャル型の主レンズを構成する
両端の電極が等電位化され、主レンズ系の同心ずれを抑
えて電子ビームの軸ずれを小さくすることができる。
【0124】抵抗円筒体の中間の位置から中間に形成す
る電極、即ち第4グリッドの導電端子を導出するように
構成することにより、第4グリットへの電圧印加を容易
になり、且つ軸電位の微調整が可能になり、一層主レン
ズの球面収差を小さくすることができる。
【0125】 抵抗円筒体を構成する高抵抗物円筒体を3
分割し、中間の高抵抗物質円筒体の表面抵抗値を、両端
の高抵抗物質円筒体の表面抵抗値より大に設定するとき
は抵抗分布をより傾斜させることができ、主電子レンズ
特性の向上を図ることができる。 3分割の第1の高抵抗
物質の円筒体を内収する第2の高抵抗物質の円筒体を設
けることにより、内側の第1の高抵抗物質の円筒体を保
護することができる。
【0126】 本発明に係る陰極線管の電子銃の製造方法
によれば、絶縁円筒体の内面に軸方向に沿って主電子レ
ンズを構成する複数の電極を形成して、絶縁円筒体の内
周面に、複数の電極のいずれにも重なるように抵抗ペー
ストを使って抵抗膜を形成して、抵抗膜の電極を除く部
分をらせん状にトリミングしてらせん状抵抗膜を形成
し、抵抗円筒体を作成する工程を有することにより、上
述の電子銃を容易に製造 することができる。
【0127】 本発明に係る陰極線管の電子銃の製造方法
によれば、高抵抗物質の円筒体の内面に軸方向に沿って
主電子レンズを構成する複数の電極を形成し、各電極間
に対応する高抵抗物質の円筒体内面に導電リングを形成
して、抵抗円筒体を作成する工程を有することにより、
上述の電子銃を容易に製造することができる。
【0128】 本発明に係る陰極線管においては、上述し
た電子銃を備えているので、レンズ径を大きくして、よ
り一層のレンズ特性の向上が図られ、高画質化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の全体構成を示す断面図で
ある。
【図2】A同実施例の円筒ホルダーの正面図である。B
図2Aのa−0−a′線断面図である。C図2Aのb−
b′線断面図である。D図2Cのc−c′線断面図であ
る。
【図3】同実施例のHVシールドの平面図である。
【図4】同実施例の製造工程を示すフローチャートであ
る。
【図5】同実施例の製造工程を示す説明図である。
【図6】同実施例のG4 ピンの取付部分を示す断面図で
ある。
【図7】同実施例における抵抗ペーストの塗布方法の例
を示す説明図である。
【図8】同実施例における抵抗膜のトリミング方法の例
を示す説明図である。
【図9】同実施例におけるらせん状抵抗膜の形成方法の
例を示す説明図である。
【図10】同実施例における円筒ホルダーの取付方法の
他の例を示す断面図である。
【図11】本発明の第2実施例の要部断面図である。
【図12】本発明の第3実施例の全体構成を示す断面図
である。
【図13】同実施例の製造工程を示すフローチャートで
ある。
【図14】同実施例の製造工程を示す説明図である。
【図15】電極膜及び導電リングの形成方法の第1の例
を示す説明図である。
【図16】電極膜及び導電リングの形成方法の第2の例
を示す説明図である。
【図17】同例に従って形成される電極膜及び導電リン
グの説明図である。
【図18】電極膜及び導電リングの形成方法の第3の例
を示す説明図である。
【図19】電極膜及び導電リングの形成方法の第4の例
を示す説明図である。
【図20】電極膜及び導電リングの形成方法の第5の例
を示す説明図である。
【図21】電極膜及び導電リングの形成方法の第6の例
を示す説明図である。
【図22】導電リングの役割の説明に供する説明図であ
る。
【図23】導電リングの役割の説明に供するグラフであ
る。
【図24】第3実施例の効果の原理を示す説明図であ
る。
【図25】円筒ホルダーの取付方法の他の例を示す断面
図である。
【図26】高抵抗管の固定方法の他の例を示す説明図で
ある。
【図27】本発明の第4実施例の要部を示す斜視図であ
る。
【図28】本発明の第5実施例の要部を示す断面図及び
平面図である。
【図29】本発明の第6実施例を示す要部断面図であ
る。
【図30】同実施例の全体構成図である。
【図31】本発明の第7実施例を示す要部断面図であ
る。
【図32】レンズ径の説明に供する断面図である。
【図33】発明に係る陰極線管の実施例を示す原理図で
ある。
【図34】同実施例の要部を示す断面図である。
【図35】同実施例の要部断面図及びその等価回路図で
ある。
【図36】同実施例の製造工程を示すフローチャートで
ある。
【図37】同実施例の第3グリッドを示す斜視図であ
る。
【図38】従来例の概略構成を示す説明図である。
【符号の説明】
1 ネック部 2 ステム 3 絶縁管 3A 高抵抗管 4 HVシールド 5 HVスプリング 6 ステムピン 7 ビードガラス 8,9,10 電極膜 11 抵抗膜 11A 導電リング 12(12a,12b) 円筒ホルダー 13 フランジ 14 突起 15G4 ピン 17 導電膜 G1 第1グリッド G2 第2グリッド G3a,G4a 電極膜 G3A カップ部材 G3 第3グリッド
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−230935(JP,A) 特開 平1−225044(JP,A) 特開 平3−40343(JP,A) 特開 昭63−225464(JP,A) 実開 昭58−91845(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 29/48 H01J 9/14

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カソードと、同軸上に配置された第1電
    極、第2電極及び主電子レンズを構成する複数の電極を
    有する抵抗円筒体とを備え、前記抵抗円筒体は、絶縁円筒体の内面に軸方向に沿って
    前記複数の電極を被着形成し、電極のいずれにも重なる
    ように、前記各電極間に対応した前記絶縁円筒体の内面
    にらせん状抵抗膜を形成して成る ことを特徴とする陰極
    線管の電子銃。
  2. 【請求項2】 カソードと、同軸上に配置された第1電
    極、第2電極及び主電子レンズを構成する複数の電極を
    有する抵抗円筒体とを備え、前記抵抗円筒体は、高抵抗物質の円筒体の内面に軸方向
    に沿って前記複数の電極を被着形成し、該各電極間に対
    応した前記高抵抗物質の円筒体の内面に導電リングを形
    成して成る ことを特徴とする陰極線管の電子銃。
  3. 【請求項3】 前記抵抗円筒体の外壁面に軸方向に沿っ
    て導電膜が形成され、 前記導電膜と前記抵抗円筒体の両端部に形成された前記
    電極とが夫々ホルダーにより電気的に接続されて成る
    とを特徴とする請求項1又は2記載 の陰極線管の電子
    銃。
  4. 【請求項4】 前記抵抗円筒体の複数の電極のうち、抵
    抗円筒体の両端部間の中間に形成された電極に電気的に
    接続された導電ピンが、前記抵抗円筒体外に導出されて
    成ることを特徴とする請求項1又は2記載の陰極線管の
    電子銃。
  5. 【請求項5】 前記高抵抗物質の円筒体が3分割され、 中間の高抵抗物質の円筒体の表面抵抗値が、両端の高抵
    抗物質の円筒体の表面抵抗値よりも大に設定されて成る
    ことを特徴とする請求項2記載の陰極線管の電子銃。
  6. 【請求項6】 前記高抵抗物質の円筒体が、3分割され
    た第1の高抵抗物質円筒体と、該第1の高抵抗物質円筒
    体を内収する第2の高抵抗物質円筒体とからなり 前記第1の高抵抗物質円筒体のうちの中間の高抵抗物質
    円筒体の表面抵抗値が、両端の高抵抗物質円筒体の表面
    抵抗値よりも大に設定され、 前記第2の高抵抗物質円筒体が、前記中間の高抵抗物質
    円筒体と同じ材料、または前記第1の高抵抗物質円筒体
    と異なる材料で形成されて成る ことを特徴とする請求項
    2記載 の陰極線管の電子銃。
  7. 【請求項7】 絶縁円筒体の内面に軸方向に沿って主電
    子レンズを構成する複数の電極を形成する工程と、 前記絶縁円筒体の内周面に、前記複数の電極のいずれに
    も重なるように抵抗ペーストによる抵抗膜を形成する工
    程と、 前記抵抗膜の前記電極を除く部分をらせん状にトリミン
    グしてらせん状抵抗膜を形成し、抵抗円筒体を作製する
    工程と、 第1電極、第2電極及び前記抵抗円筒体を同軸上に配置
    すると共に、前記第1電極に隣接してカソードを配置す
    る工程とを有する ことを特徴とする陰極線管の電子銃の
    製造方法。
  8. 【請求項8】 高抵抗物質の円筒体の内面に軸方向に沿
    って主電子レンズを構成する複数の電極を形成する工程
    と、 前記各電極間に対応する前記高抵抗物質の円筒体内面に
    導電リングを形成し、抵抗円筒体を作製する工程と、 第1電極、第2電極及び前記抵抗円筒体を同軸上に配置
    すると共に、前記第1電極に隣接してカソードを配置す
    る工程とを有する ことを特徴とする陰極線管の電子銃の
    製造方法。
  9. 【請求項9】 カソードと、同軸上に配置された第1電
    極、第2電極及び主電子レンズを構成する複数の電極を
    有する抵抗円筒体とが設けられ、 前記抵抗円筒体が、絶縁円筒体の内面に軸方向に沿って
    前記複数の電極を被着形成し、該複数の電極のいずれに
    も重なるように、前記複数の電極間に対応した前記絶縁
    筒体の内面にらせん状抵抗膜を形成して構成された電子
    を備えて成る ことを特徴とする陰極線管。
  10. 【請求項10】 カソードと、同軸上に配置された第1
    電極、第2電極及び主電子レンズを構成する複数の電極
    を有する抵抗円筒体とが設けられ、 前記抵抗円筒体が、高抵抗物質の円筒体の内面に軸方向
    に沿って前記複数の電極を被着形成し、該複数の電極間
    に対応した前記高抵抗物質の円筒体の内面に導電リング
    を形成して構成された電子銃 を備えて成る ことを特徴と
    する陰極線管。
  11. 【請求項11】 前記電子銃を構成する前記抵抗円筒体
    の外壁面に軸方向に沿って導電膜が形成され、 前記導電膜と前記抵抗円筒体の両端部に形成された前記
    電極とが夫々ホルダーによる電気的に接続されて成る
    とを特徴とする請求項9又は10記載 の陰極線管。
  12. 【請求項12】 前記電子銃における前記抵抗円筒体の
    複数の電極のうち、抵抗円筒体の両端部間の中間に形成
    された電極に電気的に接続された導電ピンが、前記抵抗
    円筒体外に導出されて成る ことを特徴とする請求項9又
    は10記載の陰極線管。
  13. 【請求項13】 前記電子銃における前記高抵抗物質の
    円筒体が3分割され、 中間の高抵抗物質の円筒体の表面抵抗値が、両端の高抵
    抗物質の円筒体の表面抵抗値よりも大に設定されて成る
    ことを特徴とする請求項10記載 の陰極線管。
  14. 【請求項14】 前記電子銃における前記高抵抗物質の
    円筒体が、3分割された第1の高抵抗物質円筒体と、該
    第1の高抵抗物質円筒体を内収する第2の高抵抗物質円
    筒体とからなり、 前記第1の高抵抗物質円筒体のうちの中間の高抵抗物質
    円筒体の表面抵抗値が、両端の高抵抗物質円筒体の表面
    抵抗値よりも大に設定され、 前記第2の高抵抗物質円筒体が、前記中間の高抵抗物質
    円筒体と同じ材料、または前記第1の高抵抗物質円筒体
    と異なる材料で形成されて成る ことを特徴とする請求項
    10記載 の陰極線管。
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