JP3376582B2 - 合成ペプチド、それを含有する肺サーファクタント及び呼吸窮迫症候群治療剤 - Google Patents
合成ペプチド、それを含有する肺サーファクタント及び呼吸窮迫症候群治療剤Info
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Description
合物と配合することにより強力な表面活性作用を有する
合成ペプチド、該合成ペプチドと脂質混合物からなる肺
サーファクタント及び該肺サーファクタントを有効成分
として含有する呼吸窮迫症候群治療剤に関する。
肺胞が虚脱する結果、重篤な呼吸障害をきたす疾病であ
り、未熟な新生児に多症し死亡率が高い。
に肺サーファクタントを投与する補充療法が開発され、
顕著な治療効果を収めている。
肺臓組織に存在するリン脂質、中性脂質、総コレステロ
ール及び炭水化物並びに微量の蛋白質からなる物質(特
公昭61−9925号公報)、前記成分のほかに脂肪酸を含有
する物質(以下「S−TA」という。:特公昭61−9924号
公報)、豚肺洗浄液より分離し、これにCa++を添加した
物質(日本界面医学会雑誌、第12巻第1号第1頁、1980
年)、コリンホスホグリセリド、酸性リン脂質、脂肪酸
類及び動物肺由来のリポ蛋白質をそれぞれ特定の比率で
含有する物質(特公平3−78371号公報)、ジパルミト
イルホスファチジルコリン及び脂肪アルコールからなる
物質(特公平3−43252号公報)等が知られている。
ントからリポ蛋白質を分離し、該リポ蛋白質が肺表面活
性を示すため不可欠の成分であり、該リポ蛋白質を脂質
混合物に配合することにより、サーファクタントの優れ
た表面張力低下作用の発現並びにサーファクタント気液
面拡散作用の短縮及び低い平衡表面張力の発揮により、
十分な肺胞腔容量の確保等を可能にし、呼吸窮迫症候群
の治療に使用できることを発見した(特公平3−78371
号公報)。
蛋白質として親水性のサーファクタントアポ蛋白質A及
びサーファクタントアポ蛋白質D並びに疎水性のサーフ
ァクタントアポ蛋白質B(以下「SP−B」という。)及
びサーファクタントアポ蛋白質C(以下「SP−C」とい
う。)の4種が確認された〔アポ蛋白質の構造と機能に
ついての総説(秋野豊明、黒木由夫著、呼吸と循環、第
38巻第18号第722頁、1990年;安田寛基等編、「バイオ
サーファクタント」、第2章 サーファクタントの生化
学 −サーファクタントとアポ蛋白質第131頁、1990
年、株式会社サイエンスフォーラム)〕。
末端アミノ酸がフェニルアラニンでバリン等の疎水性ア
ミノ酸に富む疎水性が極めて強いアポ蛋白質である。ま
たウシ、ブタ、ラット等の肺から単離されたSP−Cも、
アミノ酸34〜35残基からなり、N末端側のアミノ酸配列
が動物種により異なっているがヒトとの相同性が極めて
高い。
は、SP−B又はSP−Cが肺サーファクタントの気液界面
への吸着、拡散を促進し、肺サーファクタントの表面活
性を改善することが記載されている。
有効成分とする呼吸窮迫症候群治療剤は、極めて有効で
あるにもかかわらず、SP−Cの疎水性が極めて強く単離
・精製が困難であること及び生体中に極めて微量しか含
まれていないこと等から、実用化されるには至っていな
い。
分構造を含む合成ペプチドと脂質との混合物が、呼吸窮
迫症候群治療に効果的である旨記載されている。また、
同公報には、高い表面活性を示す最小単位として下記の
配列を有するアミノ酸残基32個のペプチドが記載されて
いる。更に、この最小単位のペプチドとこれにより短い
アミノ酸残基を有する合成ペプチドとの表面活性の比較
から、表面活性の喪失は、特定の残基の喪失に起因する
のではなく、ポリペプチドの長さの減少によると結論づ
けている。
アミノ酸配列が長くなるにつれて合成時の未成熟なペプ
チドの生成頻度が高くなり、単離・精製が困難となるこ
と、製造に長時間を要すること及び大量合成が困難なこ
と等の欠点があるといわれている。
から、用時に生理食塩水懸濁液とする乾燥粉末製剤とし
て提供されることが多い。
プチドをコリンホスホグリセリド、酸性リン脂質及び脂
肪酸類からなる脂質混合物に配合した肺サーファクタン
ト(以下「S−35」という。)製剤は、ペプチド中に存
在するシステイン残基がジスルフィド結合を形成するた
めペプチドの凝集性が高いこと、肺サーファクタント自
体の疎水性が強いこと等の要因から、生理食塩水に対す
る分散性が極めて悪く、製剤として使用できる程度に均
一な懸濁液とすることが困難であった。
て、マンニトール等の懸濁化剤を添加する方法(特開昭
60−34905号公報)及び凍結乾燥時に一時凍結温度を−
1〜−10℃で行う凍結法(特開昭63−10718号公報)が
提案されているが、操作が煩雑であり、より簡便な製剤
の製造法の開発が望まれていた。
ることにより強力な表面活性作用を有する合成ペプチド
につき、鋭意研究した結果、下記特定配列で示されるペ
プチド(以下「本発明合成ペプチド」という。)を有効
成分とする肺サーファクタントが、懸濁化剤無添加、−
20℃以下で行う通常の凍結乾燥法により製造した場合で
も、S−35、コリンホスホグリセリド、酸性リン脂質及
び脂肪酸類からなる脂質混合物のみからなる合成肺サー
ファクタント(以下「SF−3」という。)又はS−TAに
比べ、均一懸濁性が良好で、しかもS−35又はS−TAと
同等の強力な表面活性作用を有することを知り本発明を
完成させた。
を表し、XbbはCys、Ser又はAlaを表し、XccはHis又はAs
nを表し、XddはLeu又はI1eを表し、XeeはVal又はIleを
表し、XffはIle、Leu又はValを表し、Xggは存在しない
か又はLeuを表す。) 本発明によれば、製造時の未成熟なペプチドの生成頻
度が低いため単離・精製が容易であり、短時間で大量に
製造することができる合成ペプチドであって、脂質混合
と配合することにより懸濁性が良好であり、かつ、強力
な表面活性作用を有する合成ペプチド、該合成ペプチド
と脂質混合物からなる肺サーファクタント及び該肺サー
ファクタントを有効成分として含有する呼吸窮迫症候群
治療剤が提供される。
により製造することができるが、単離・精製の点から化
学的製造法が好ましい。
著、丸善株式会社、1975年)」、「生化学実験講座、第
1巻、タンパク質の化学IV−化学修飾とペプチド合成−
(榊原俊平著、東京化学同人株式会社、1973年)」、
「続生化学実験講座、第2巻、タンパク質の化学(下)
ペプチド合成(木村皓俊著、東京化学同人株式会社、19
87年)」、「ソリド フェイズ ペプチド シンテイシ
ス(Solid phase peptide synthesis − a practical a
pproach)(アセルトン(E.Atherton)およびシェパー
ド(R.C.Sheppard)著、25〜189、Oxford University P
ress,Oxford、1989年)」及び「Kenichi,Akagi et al.
(Chem.Pharm.Bull.,第37巻、第10号、第2661〜2664
頁、1989年)」又は「ザ・ペプチド(The Peptides)
〔グロス(Gross,E.)及びマイネンホーフ(Meinenhof
e,J.)編、バラニー(Barany,G.)及びメリフィールド
(Merrifierd,R)著、第2巻第1〜284頁、アカデミッ
クプレス、ニューヨーク、1980年)〕」に記載されてい
る方法、例えば、アジド法、酸クロライド法、酸無水物
法、混合酸無水物法、DCC法、活性エステル法(p−ニ
トロフェニルエステル法、p−ヒドロキシコハク酸イミ
ドエステル法等)、カルボイミダゾール法、酸化還元
法、DCC−活性化法等の液相合成法又は固相合成法等に
より製造することができる。
合成することが可能である。自動合成装置としては、例
えば431Aペプチド・シンセサイザ(商標;アプライドバ
イオシステム社製)又はペプチド合成装置モデル990E
(商標;ベックマン社製)が挙げられる。
グリセリド、酸性リン脂質及び脂肪酸類を配合すること
により肺サーファクタント(以下「本発明サーファクタ
ント」という。)を製造することができる。
分の重量比率が、合成ペプチドは0.1〜5.0%(W/W)、
コリンホスホグリセリドは50.6〜85.0%(W/W)、酸性
リン脂質は4.5〜37.6%(W/W)、脂肪酸類は4.6〜24.6
%(W/W)となるように設定するのが適当である。
スホグリセリドとしては、1,2−ジパルミトイルグリセ
ロ−(3)−ホスホコリン(別名ジパルミトイルホスフ
ァチジルコリン)、1,2−ジステアロイルグリセロ−
(3)−ホスホコリン、1−パルミトイル−2−ステア
ロイルグリセロ−(3)−ホスホコリン若しくは1−ス
テアロイル−2−パルミトイルグリセロ−(3)−ホス
ホコリン等の1,2−ジアシルグリセロ−(3)−ホスホ
コリン、1−ヘキサデシリ−2−パルミトイルグリセロ
−(3)−ホスホコリン若しくは1−オクタデシル−2
−パルミトイルグリセロ−(3)−ホスホコリン等の1
−アルキル−2−アシルグリセロ−(3)−ホスホコリ
ン又は1,2−ジヘキサデシルグリセロ−(3)−ホスホ
コリン等の1,2−ジアルキルグリセロ−(3)−ホスホ
コリンが適当である。これらの化合物についてはグリセ
ロール残基の2位の炭素に基づく光学異性体が存在する
が、本発明サーファクタントにおいてはD体、L体又は
DL体のいずれを問わず使用することができる。このほか
にコリンホスホグリセリドとしては、上述の単品からな
るコリンホスホグリセリド以外に、炭素数が12〜24個の
アシル基、好ましくは、飽和アシル基を2個有する1,2
−ジアシルグリセロ−(3)−ホスホコリンの2種以上
からなる混合物、更には当該混合物と上述の単品との混
合物も使用することができる。
ロ−(3)−リン酸(別名L−α−ホスファチジン
酸)、1,2−ジアシル−sn−グリセロ−(3)−ホスホ
−L−セリン(別名ホスファチジルセリン)、1,2−ジ
アシル−sn−グリセロ−(3)−ホスホ−sn−グリセロ
ール(別名ホスファチジルグリセロール)又は1,2−ジ
アシル−sn−グリセロ−(3)−ホスホ−(1)−L−
myo−イノシトール(別名ホスファチジルイノシトー
ル)が適当である。これらの化合物において、1位及び
2位は同一種類又は異なる種類のアシル基でそれぞれ置
換されていてもよい。ここで、アシル基の炭素数は12〜
24個が好ましい。
属塩、脂肪酸アルキルエステル、脂肪酸グリセリンエス
テル若しくは脂肪酸アミド又はこれらの2種以上からな
る混合物、更には脂肪アルコール又は脂肪族アミンが適
当である。
アルコール及び脂肪族アミンも包含する意味である。
ステアリン酸が適当であるが、パルミチン酸が好まし
い。
ウムが、脂肪酸アルキルエステルとしてはパルミチン酸
エチルエステルが、脂肪酸グリセリンエステルとしては
モノパルミチンが、脂肪酸アミドとしてはパルミチン酸
アミドがそれぞれ好ましい。
脂肪族アミンとしてはヘキサデシルアミンが好ましい。
肪酸類は動植物から分離された製品、半合成品又は化学
合成品のいずれでもよく、それらの市販品を使用するこ
とができる。
と上記脂質混合物溶液との混合溶液を減圧乾固し、得ら
れた残留物を適当な懸濁溶媒を用いて懸濁し、次いで凍
結乾燥する方法により製造することができる。
ては、例えば、ギ酸、トリフルオロ酢酸(TFA)、トリ
フルオロエタノール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、
クロロホルム/メタノール又はクロロホルムが挙げられ
る。
えば、クロロホルム、クロロホルム/メタノール〔2:1
〜5:1(V/V)〕が挙げられる。
〜20:1(V/V)〕が挙げられるが、水−エタノール混合
液が好ましい。懸濁は30〜60℃、好ましくは40〜50℃
で、5〜60分間、好ましくは15〜30分間かけて行う。
存は避けられないが、その残存重量比率が総重量に対し
て5.0%(W/W)以下になるまで乾燥することが望まし
い。かかる程度まで乾燥すれば、水−エタノール混合液
を用いる場合、エタノールの残存は検出不能となる。
速度式ミクスチャー又は超音波発生装置内で適切な生理
的な濃度の1価又は2価金属塩、例えば0.9%塩化ナト
リウム若しくは1.5mM塩化カルシウム又はそれらを含有
する生理的な緩衝液を用いて均一に懸濁分散させて使用
することができる。
ントの表面活性、懸濁性及び薬理学的性質について詳述
する。
学会雑誌、第13巻、第2号、第87頁、1982年)に準じて
行った。
積;54.0cm2)上に、1cm2あたり本発明サーファクタント
が1.0〜2.0μgとなるように滴下し、該表面積を54.0〜
21.6cm2の範囲内で2〜5分かけて圧縮・拡張した際の
表面張力をウィルヘルミー表面張力測定装置(協和界面
科学株式会社製)により、37℃で連続的に測定した。
表面張力が29.7〜34.5dyne/cm、最小表面張力が1.4〜8.
9dyne/cmであり、生理食塩水の表面張力を低下させるこ
とが認められた。
大表面張力が25.8〜50.3dyne/cm、最小表面張力が1.0〜
13.5dyne/cmであった。
dyne/cmであった。
の本発明サーファクタント懸濁液を滴下し、滴下直後か
らの表面張力を垂直板法により経時的に測定した。測定
温度は37℃であった。
一定値にまでに要する時間をいい、平衡表面張力とはそ
の時の値をいう。
液面に膜を形成し、表面張力を27.9〜34.8dyne/cmにま
で低下させた。
秒経過後の表面張力が38.1〜52.9dyne/cmであった。
有する37℃の生理食塩水懸濁液を調製し、懸濁された本
発明サーファクタントの生理食塩水気液面への吸着速度
を測定した。
of Physiology,第223巻、第715頁、1972年)に従っ
た。
のテフロン水槽の底に注入後、マグネティックスターラ
ーでゆっくり攪拌し、攪拌を停止した後の表面張力の変
動値より吸着速度を求めた。
120秒経過後に、表面張力を28.1〜39.5dyne/cmの範囲に
低下させ、その後、一定値を示した。
120秒で気液面に浮上吸着し、強い表面活性をもつ膜を
形成したことを示している。
dyne/cmの範囲で一定値を示し、その所要時間は150秒以
上であった。
クタントよりも弱いことを示し、本発明サーファクタン
トが強力な表面吸着促進力を持つことを示している。
8公報の方法に準じて行った。
開始後2分経過時の最大分散粒子径により、懸濁性を判
定した。
ト60mgを分取し、生理食塩水2mlを注入し、当該バイア
ルをイワキKMシェーカーV−S型振盪器(イワキ株式会
社製)に装着して270ストローク/分で振盪し、振盪開
始30秒後、1分以降4分まで1分ごとに、更に4分以降
10分までは2分ごとに各試料の分散状態を容器の外から
ルーペを通して肉眼で観察することにより行った。
で行い、懸濁したか否かの判断は容器内に小塊を全く認
めず、製剤が生理食塩水中に均一に分散して白色のやや
粘稠性の懸濁液が形成されたか否かで行った。
本数(10本)に対する百分率を求め、これの2人による
平均値で表示した。
ァクタント60mgを分取し、生理食塩水2mlを注入し、上
述と同一の振盪条件で2分間連続して振盪し、懸濁液中
の最大粒子を顕微鏡を用いて探し出し、その直径をノギ
スで測定することにより求めた。
内に懸濁し、しかもその最大粒子径は0.9mm以下であ
り、懸濁性が良好であった。
用いて本発明サーファクタントの急性毒性を試験した。
マウスでの経口LD50及び腹腔内LD50は、2.5〜10.0g/kg
及び1.5〜5.0g/kgであり、ラットでのそれらは1.5〜5.0
g/kg及び1.5〜2.5g/kgであった。
ントをウィスター系成熟ラットに腹腔内投与したが、体
重の変化及び主要臓器の肉眼的、組織学的観察における
異常は認められなかった。
ど産生せず、肺サーファクタント欠乏状態にあることか
ら、新生児呼吸窮迫症候群のモデル動物とされている。
増減下における肺胞腔容量(以下、肺容量という。)を
37℃で測定した。
メーターを用いて、本発明サーファクタントを経気道的
に投与した5分後から連続的に行われた。気管内圧を、
気管に接続させた2チャンネル独立駆動シリンジポンプ
No.940(米国ハーバード社製)を用いて30cm水圧まで加
圧し、肺胞を拡張した。次いで、気道内圧を0cm水圧ま
で減圧し肺胞を収縮させ、各水圧における肺容量を測定
した。肺容量は体重1kgあたりのミリリットル(ml/kg)
で表示した。
6.0%(W/V)になるように調製した生理食塩水懸濁液0.
05〜0.5mlを気道内に直接注入する方法で行った。
いほど肺サーファクタント活性が高いことを意味する。
生理食塩水を投与した。対照群では、在胎期間27日の兎
未熟胎仔の肺容量(5cm水圧)は1〜5ml/kgで、肺胞が
殆ど拡張していなかった。
30日の満期胎仔は、肺容量(5cm水圧)が39〜53ml/kgで
あり、肺胞が十分に拡張しており、正常な呼吸を営むこ
とが可能であることを示す。
水圧)が15〜25ml/kgと肺胞の拡張が不十分であった。
(5cm水圧)は35〜53ml/kgを示し、本発明サーファクタ
ントが未熟胎仔の肺容量を正常レベルまで改善すること
が認められた。
活性を強力に賦活する作用を有し、本合成ペプチドと脂
質混合物からなる本発明サーファクタントは、表面活
性、懸濁性及び薬理学的な性質から有効な呼吸窮迫症候
群治療剤であるといえる。
投与量として、小児用には、50〜1000mg、成人用には50
0〜5000mgの本発明サーファクタントを含有する。この
用量を水、生理食塩液又は生理的に許容される緩衝液等
に懸濁し、濃度が1.0〜10.0%(W/V)になるように調整
し、これを呼吸障害発現直後から48時間に気道内に1〜
10回注入又は噴霧することにより使用する。そのほか、
懸濁させることなく、そのまま粉末剤として直接、吸入
させることもできる。用量、使用法及び回数は患者の症
状及び併用療法に応じて適宜変更しても良い。
化剤、緩衝剤、懸濁化剤等の医薬品添加物又は気管支拡
張剤、抗アレルギー剤、制癌剤、抗菌剤等の医薬品を含
有させることができる。
ある。本発明治療剤はバイアル瓶又はアンプル瓶等の密
封容器内に充填され、無菌製剤として保存される。
いう。)をアセルトン(E.Atherton)及びシェパード
(R.C.Sheppard)著「ソリド フェィズ ペプチド シ
ンテイシス(Solid phase peptide synthesis − a pra
ctical approach)」(p.25〜189,1989,Oxforad Univer
sity Press,Oxford]及びKenichi,Akagi et al.[Chem.
Pharm.Bull.,37(10),p.2661〜2664(1989)]に記載
の方法を参考に、マルチペプチド固相合成システム「コ
ックさん」(商品名;国産化学株式会社製)により固相
合成した。
オキシカルボニル−ロイシン(Fmoc−Leu)を[4−
(ヒドロオキシメチル)フェノキシメチル−コポリ(ス
チレン1%ジビニルベンゼン)]樹脂に結合させたN−
α−9−フルオレニルメチルオキシカルボニル−ロイシ
ン−O−樹脂(Rmoc−Leu−O−樹脂)0.20mmol/0.5gを
使用した。その樹脂をN,N−ジメチルホルムアミド(DM
F)で20分間膨潤させた後、DMFで4回樹脂を洗浄した。
20%ピペリジン−DMF溶液を加え振盪し脱保護を行っ
た。この脱保護を完全に行うためにこの操作を3回繰り
返した。次いで、樹脂中の過剰のピペリジンを除去する
ためDMFで3回、N−メチル−2−ピロリドンで3回、
更に、CMFで3回洗浄した。この際、ピペリジンの有無
の確認をpH試験紙で行った。
ベンゾトリアゾール0.5mmol及びN,N−ジイソプロピルカ
ルボジイミド0.5mmolを加え90分間振盪し縮合反応を行
った。次いで、DMFで4回樹脂を洗浄し、過剰の試薬を
除去した。この縮合反応の確認は、ニンヒドリン法によ
るカイザーテストで行った。
上でN末端方向に延長し、N末端及び官能基を完全に保
護したペプチド−O−樹脂を合成した。
は、120分で2回行った。その後、保護したペプチド−
O−樹脂に20%ピペリジン−DMF溶液を加えN末端のFmo
c保護基の脱保護を行い、このペプチド−O−樹脂をDMF
で6回、メタノールで6回洗浄し、減圧乾燥した。その
乾燥したペプチド−O−樹脂(100mg)に氷冷下で攪拌
しながら、m−クレゾール(0.2ml)、1,2−エタンジチ
オール(0.5ml)、チオアニソール(1.2ml)、TFA(7.5
ml)及びトリメチルシリルブロマイド(1.4ml)を加え
た後、120分間氷冷下で攪拌し、官能性側鎖の脱保護と
ともにペプチドを樹脂から切り出し、グラスフィルター
(G3)で濾過した。この濾過液をエバポレイターにより
約5mlにまで減圧濃縮し、ジエチルエーテルを加えてペ
プチドを沈殿させた。このペプチド沈殿物をグラスフィ
ルター(G3)で濾取し、ジエチルエーテルで5回洗浄し
た後、減圧乾燥して粗製のペプチドAを55mg取得した。
基で保護し、官能性側鎖を以下の基により保護した。
ベンゼンスルホニル). Lys−Boc;(t−ブチルオキシカルボニル). Cys−Trt;(トリチル). His−Trt;(トリチル). この粗製ペプチド約7mgを0.6mlのTFAに溶解した。さ
らに、同溶液にクロロホルム−メタノール(C/M)[2:
1,(V/V)]を添加し、最終的に3.0mlとした。同試料を
C/M混合溶媒[2:1,(V/V)]で平衡化したセファデクス
LH−60カラム(φ2.5cmX90cm)により精製し、ペプチド
Aを採取した。
日本分光株式会社モデル870−UV)及び示差屈折計(島
津製作所株式会社;モデルRID−6A)でモニターした。
プチド(The Peptides)〔グロス(Gross,E.)及びマイ
ネンホーフ(Meinenhofe,J.)編、バラニー(Barany,
G.)及びメリフィールド(Merrifierd,R)著、第2巻第
1から284頁、アカデミックプレス、ニューヨーク、198
9年)〕」に記載の方法に従い、固相合成法によりフェ
ニルアセトアミドメチル(PAM)樹脂上で合成した。
ルボニル−ロイシン(Boc−Leu)とし、オキシメチルフ
ェニルアセトアミド結合を介してPAM樹脂に結合させ
た。C末端結合後Boc−Leu−PAM樹脂(0.70mol/g、0.35
g)をペプチド合成装置(モデル990E、ベックマン社
製)の反応容器に移した。保護処理を施したアミノ酸を
予め形成した対称無水物法により樹脂上でN末端方向に
延長し、完全に保護したペプチド−O−樹脂を合成し
た。但し、アルギニンの縮合に際しては、N,N−ジシク
ロヘキシルカルボジイミド(DCC)/ヒドロキシベンゾ
トリアゾール[コニー等、Chem.Ber,103,788−798(197
0)]を用いてダブルカップリングした。
基で保護し、官能性側鎖を以下の基により保護した。
ル). Cys−4MeBzl;(4−メチルベンジル). His−Tos;(トシル). この縮合反応の確認はニンヒドリン法によるカイザー
テストで行った。
メチレン中で5分間膨潤させた。N−α−Boc保護基を
1%(v/v)インドール及び0.1%(v/v)エタンジチオ
ールを含有するTFAを用いて脱保護した。次いで、この
脱保護したペプチド−O−樹脂を、p−クレゾール(1m
l)、p−チオクレゾール(0.2g)及びDMSO(1ml)を添
加した無水フッ化水素(HF)(11ml)で、0℃にて60分
間処理し、ペプチドを樹脂から切り出した。
したペプチド及び樹脂を15mlの冷ジエチルエーテルで3
回洗浄し、次いで遊離のペプチドを冷TFAの10ml洗浄液
で3回洗浄することにより抽出した。この抽出液を直ち
に濾過し、氷冷水(120ml〜150ml)に加えて粗製のペプ
チドBを沈澱させた。次いで、この粗製のペプチドBを
1000×g,0℃にて30分間遠心分離し沈澱物として回収し
た。この沈殿物をジエチルエーテル(15ml)で洗浄し
た。この洗浄工程を、更にジエチルエーテル、酢酸エチ
ル、蒸留水を用いて繰り返し行いペプチドBを83mg得
た。
ボンダスフェアー、C8−300カラムによる逆相系高速液
体クロマトグラフィーで精製した。
水溶液を用い5分間溶出した。次いで、同溶離液と0.1
%TFAを含む80%アセトニトリル水溶液による直線的な
濃度勾配により30分間溶出した。
日本分光株式会社モデル870−UV)および示差屈折計
(島津製作所株式会社モデルRID−6A)でモニターし
た。
と同様の方法で調製した。
と同様の方法で調製した。
と同様の方法で調製した。
と同様の方法で調製した。
と同様の方法で調製した。
と同様の方法で調製した。
と同様の方法で調製した。
と同様の方法で調製した。
2規定塩酸/TFA〔2:1(V/V)〕で、真空下、150℃にて
2、4、6、12、24、48及び72時間酸加水分解し、酸を
除いた後に、加水分解生成物を島津アミノ酸自動分析シ
ステム(LC−9A)により分析した。2〜72時間加水分解
において、より高い回収率を示したアミノ酸値を採用
し、アミノ酸組成値を算出した。
S)により測定した。質量分析計には、JMS−S102A型
(日本電子株式会社製)を使用し、イオン源はセシウム
ガン(10KeV)を用いた。
を〔表1〕に示す。
分として、1,2−ジパルミトイルグリセロ−(3)−ホ
スホコリン、1,2−ジアシル−sn−グリセロ−(3)−
ホスホ−sn−グリセロール及びパルミチン酸の3成分と
を、混合して調製した。
−ホスホコリン660mg、1,2−ジアシル−sn−グリセロ−
(3)−ホスホ−sn−グリセロール(アシル基の炭素数
14〜24個:シグマ社製)220mg及びパルミチン酸100mgを
常温でクロロホルム−メタノール混合液〔2:1(V/V)〕
1000mlに溶解し、ペプチドAの12mgをTFA0.5mlに溶解し
た。これらの溶液を混合し、減圧乾固した。得られた残
留物を40℃で15分間かけて水−エタノール混合液〔9:1
(V/V)〕100mlに懸濁した。この懸濁液を−50℃で凍結
させて真空度85〜100μHgで36時間乾燥し、サーファク
タント1022mgを白色粉末として得た。
ァクタントの総重量に対する各成分の含量は、1,2−ジ
パルミトイルグリセロ−(3)−ホスホコリンは64.6%
(w/w)、1,2−ジアシル−sn−グリセロ−(3)−ホス
ホ−sn−グリセロールは21.5%(w/w)、及びパルミチ
ン酸は9.8%(w/w)、ペプチドAは1.2%(w/w)及び水
2.9%(w/w)であった。
った。
ン204mg、1,2−ジアシル−sn−グリセロ−(3)−ホス
ホ−sn−グリセロール(アシル基の炭素数14〜24個:シ
グマ社製)63.0mg及びパルミチン酸27.0mgをクロロホル
ム−メタノール混合液〔2:1(V/V)〕300mlに溶解し、
ペプチドBの2.8mgをTFA0.3mlに溶解した。これらの溶
液を混合し、減圧乾固した。得られた残留物を45℃で20
分間かけて水−エタノール混合液〔9:1(V/V)〕100ml
に懸濁した。この懸濁液を−60℃で凍結させて真空度60
〜110μHgで40時間乾燥し、白色粉末のサーファクタン
トを301.9mg得た。
ァクタントの総重量に対する各成分の含量は、1,2−ジ
パルミトイルグリセロ−(3)−ホスホコリンは67.6%
(w/w)、1,2−ジアシル−sn−グリセロ−(3)−ホス
ホ−sn−グリセロールは20.9%(w/w)、及びパルミチ
ン酸は8.9%(w/w)、ペプチドBは0.9%(w/w)及び水
1.7%(w/w)であった。
った。
施例12)と同様にしてサーファクタントを製造した。
ァクタントの総重量に対する各成分の含量は、1,2−ジ
パルミトイルグリセロ−(3)−ホスホコリンは67.0%
(w/w)、1,2−ジアシル−sn−グリセロ−(3)−ホス
ホ−sn−グリセロールは20.7%(w/w)、及びパルミチ
ン酸は8.9%(w/w)、ペプチドCは0.9%(w/w)及び水
2.5%(w/w)であった。
った。
施例12)と同様にしてサーファクタントを製造した。
ァクタントの総重量に対する各成分の含量は、1,2−ジ
パルミトイルグリセロ−(3)−ホスホコリンは68.5%
(w/w)、1,2−ジアシル−sn−グリセロ−(3)−ホス
ホ−sn−グリセロールは21.2%(w/w)、及びパルミチ
ン酸は9.1%(w/w)、ペプチドDは0.9%(w/w)及び水
0.3%(w/w)であった。
った。
施例12)と同様にしてサーファクタントを製造した。
ァクタントの総重量に対する各成分の含量は、1,2−ジ
パルミトイルグリセロ−(3)−ホスホコリンは67.8%
(w/w)、1,2−ジアシル−sn−グリセロ−(3)−ホス
ホ−sn−グリセロールは20.9%(w/w)、及びパルミチ
ン酸は9.0%(w/w)、ペプチドEは0.9%(w/w)及び水
1.4%(w/w)であった。
った。
施例12)と同様にしてサーファクタントを製造した。
ァクタントの総重量に対する各成分の含量は、1,2−ジ
パルミトイルグリセロ−(3)−ホスホコリンは68.5%
(w/w)、1,2−ジアシル−sn−グリセロ−(3)−ホス
ホ−sn−グリセロールは21.1%(w/w)、及びパルミチ
ン酸は9.1%(w/w)、ペプチドFは0.9%(w/w)及び水
0.4%(w/w)であった。
った。
ン210mg、1,2−ジアシル−sn−グリセロ−(3)−ホス
ホ−sn−グリセロール(アシル基の炭素数14〜24個:シ
グマ社製)90.0mg及びパルミチン酸33.0mgをクロロホル
ム−メタノール混合液〔3:1(V/V)〕400mlに溶解し、
ペプチドDの3.0mgをTFA0.5mlに溶解した。これらの溶
液を混合し、減圧乾固した。得られた残留物を50℃で15
分間かけて水−エタノール混合液〔9:1(V/V)〕120ml
に懸濁した。この懸濁液を−60℃で凍結させて真空度50
〜100μHgで28時間乾燥し、白色粉末のサーファクタン
トを337.9mg得た。
ァクタントの総重量に対する各成分の含量は、1,2−ジ
パルミトイルグリセロ−(3)−ホスホコリンは62.1%
(w/w)、1,2−ジアシル−sn−グリセロ−(3)−ホス
ホ−sn−グリセロールは26.6%(w/w)、及びパルミチ
ン酸は9.8%(w/w)、ペプチドGは0.9%(w/w)及び水
0.6%(w/w)であった。
った。
施例17)と同様にしてサーファクタントを製造した。
ァクタントの総重量に対する各成分の含量は、1,2−ジ
パルミトイルグリセロ−(3)−ホスホコリンは61.9%
(w/w)、1,2−ジアシル−sn−グリセロ−(3)−ホス
ホ−sn−グリセロールは26.5%(w/w)、及びパルミチ
ン酸は9.7%(w/w)、ペプチドHは0.9%(w/w)及び水
0.9%(w/w)であった。
った。
施例17)と同様にしてサーファクタントを製造した。
ァクタントの総重量に対する各成分の含量は、1,2−ジ
パルミトイルグリセロ−(3)−ホスホコリンは61.6%
(w/w)、1,2−ジアシル−sn−グリセロ−(3)−ホス
ホ−sn−グリセロールは26.4%(w/w)、及びパルミチ
ン酸は9.7%(w/w)、ペプチドIは0.9%(w/w)及び水
1.4%(w/w)であった。
った。
施例17)と同様にしてサーファクタントを製造した。
ァクタントの総重量に対する各成分の含量は、1,2−ジ
パルミトイルグリセロ−(3)−ホスホコリンは61.5%
(w/w)、1,2−ジアシル−sn−グリセロ−(3)−ホス
ホ−sn−グリセロールは26.4%(w/w)、及びパルミチ
ン酸は9.7%(w/w)、ペプチドJは0.9%(w/w)及び水
1.6%(w/w)であった。
った。
2〕に示す。
Claims (7)
- 【請求項1】下記特定配列 (配列中、Xaaは存在しないか又はCys、Ser若しくはAla
を表し、XbbはCys、Ser又はAlaを表し、XccはHis又はAs
nを表し、XddはLeu又は11eを表し、XeeはVal又はIleを
表し、XffはIle、Leu又はVa1を表し、Xggは存在しない
か又はLeuを表す。)で表されるペプチド。 - 【請求項2】特定配列のペプチドが配列番号1〜6に記
載のいずれかである請求の範囲第1項記載のペプチド。 - 【請求項3】特定配列のペプチドが配列番号7〜lOに記
載のいずれかである請求の範囲第1項記載のペプチド。 - 【請求項4】請求項1に記載の特定配列のペプチド、コ
リンホスホグリセリド、酸性リン脂質及び脂肪酸類から
なる肺サーファクタント。 - 【請求項5】コリンホスホグリセリドが1,2−ジパルミ
トイルグリセロ−(3)−ホスホコリンである請求の範
囲第4項記載の肺サーファクタント。 - 【請求項6】酸性リン脂質が1,2−ジアシル−sn−ジパ
ルミトイルグリセロ−(3)−リン酸である請求の範囲
第4項記載の肺サーファクタント。 - 【請求項7】請求項1に記載の特定配列のペプチド、コ
リンホスホグリセリド、酸性リン脂質及び脂肪酸類を含
有する肺サーファクタントを、有効成分として含む呼吸
窮迫症候群治療剤。
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