JP3376085B2 - 半導体記憶媒体への非接触電源供給方法および供給装置 - Google Patents

半導体記憶媒体への非接触電源供給方法および供給装置

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JP3376085B2
JP3376085B2 JP08234494A JP8234494A JP3376085B2 JP 3376085 B2 JP3376085 B2 JP 3376085B2 JP 08234494 A JP08234494 A JP 08234494A JP 8234494 A JP8234494 A JP 8234494A JP 3376085 B2 JP3376085 B2 JP 3376085B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体記憶媒体への非接
触電源供給方法、特に、外部装置から半導体記憶媒体に
対して電磁波エネルギーを送波し、この電磁波エネルギ
ーに基いて半導体記憶媒体内で必要な電源電圧を生成す
ることにより、両者間を物理的に非接触な状態に保ちな
がら電源供給を行う非接触電源供給方法、及び、この方
法の実施に用いる電源供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、新しい情報記憶媒体として、IC
カードが注目を集めている。ICカードは、携帯に便利
なカード状の記憶媒体でありながら半導体記憶素子を内
蔵しており、磁気カードなどに比べて極めて大容量の情
報記録が可能である。また、CPU内蔵型のICカード
では、ICカード自身が演算処理機能を有するため、高
度のセキュリティが必要な用途への利用価値も高い。
【0003】上述したICカードをはじめとする半導体
記憶媒体に対してデータを書き込んだり、データを読出
したりするには、リーダライタ装置が用いられる。この
リーダライタ装置の入出力端子をICカード側の入出力
端子に電気的に接触させれば、リーダライタ装置とIC
カードとの間でのデータ転送が可能になる。現在、一般
的に利用されているICカードでは、電源やクロックを
リーダライタ装置側から供給するものが主流となってき
ている。このようなICカードでは、内部にバッテリや
クロック生成回路を用意する必要がないため、小型化を
図りやすいというメリットがある。
【0004】また、最近では、両者を物理的に非接触の
状態においたまま、リーダライタ装置からICカードに
対して、電源やクロックを供給するとともに、両者間で
のデータ転送を行う方法が提案されている。すなわち、
リーダライタ装置側に設けられた第1のコイルと、IC
カード側に設けられた第2のコイルとにより、両者を磁
気的ないしは電磁的に結合し、電源やクロックの供給と
ともに、データ転送を行うのである。たとえば、リーダ
ライタ装置内において発生させた搬送波に、所定の送信
データを重畳して変調波を生成し、この変調波をICカ
ードへ送波すれば、ICカード側では、この変調波か
ら、電源、クロック、データを取り出すことができる。
すなわち、変調波を復調することによりデータを取り出
し、変調波の中の搬送波成分の周期性を利用してクロッ
クを生成し、変調波に含まれている電磁波エネルギーに
基いて電力を取り出し、これを電源として利用するので
ある。このような非接触転送方式を採れば、外部入出力
端子が不要になり、ICカードなどの携帯性はより向上
する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、リー
ダライタ装置からICカードへ、非接触方式で電源供給
を行う場合、一対のコイルを介して、電磁波エネルギー
の形で電力供給を行うことになる。すなわち、リーダラ
イタ装置側では、高周波電力増幅器によって発生した電
磁波エネルギーを送信コイルから送波する。一方、IC
カード側では、この電磁波エネルギーを受信コイルで受
け、この電磁波エネルギーを整流器やレギュレータに与
えて直流電力を得て、これを電源として利用することに
なる。
【0006】このような電磁波エネルギーの伝送効率
は、一対のコイルの位置関係に大きく依存する。ところ
が、ICカードは、普段は個人個人が携帯するものであ
り、必要なときに、必要な場所に設置されているリーダ
ライタ装置に挿入して、データのやりとりを行うような
利用形態が一般的である。したがって、1枚のICカー
ドは、複数の異なったリーダライタ装置に挿入されて利
用される。ここで、リーダライタ装置内のカードのロー
ディング機構の位置精度やコイルの設置位置などは、個
々の装置ごとにバラツキが避けられないため、リーダラ
イタ装置側のコイルとICカード側のコイルとの相対位
置を、常に一定にすることは困難である。しかも、IC
カード側に内蔵されるコイルは比較的小型のものになら
ざるを得ないため、リーダライタ装置側に内蔵されるコ
イルに対する相対位置がわずかでも変化した場合、電磁
波エネルギーの伝送効率は大きく変化することになる。
また、ICカードをリーダライタ装置に近接させるのみ
で、データのやりとりを行う利用形態も提案されてお
り、この場合には、ICカード側のコイルとリーダライ
タ装置側のコイルとの相対位置の変化が一層大きなもの
となる。
【0007】このような原因により、ICカード側に供
給される電磁波エネルギーの大きさには、ある程度の幅
が生じることになる。このように、供給される電磁波エ
ネルギーの大きさが不安定になることは好ましくない。
たとえば、たまたま、一対のコイルの相対位置が最も伝
送効率の良い位置にきた場合、ICカード側に供給され
る電磁波エネルギーの大きさは最大になり、ICカード
側のコイル内に過大な電圧が発生し、ICカード内部の
素子を破壊する危険性が生じる。ところが、このような
危険を回避するために、リーダライタ装置側から送波す
る電磁波エネルギーを安全な範囲内の大きさに設定して
しまうと、たまたま、一対のコイルの相対位置が最も伝
送効率の悪い位置にきた場合、ICカード側に供給され
る電磁波エネルギーの大きさは最小になり、ICカード
側のコイル内には十分な電圧が得られず、正規の電源電
圧を得られないという弊害が生じる。
【0008】そこで本発明は、外部装置側のコイルと半
導体記憶媒体側のコイルとの相対位置関係が変動して
も、常に安定した電源供給を行うことができる半導体記
憶媒体への非接触電源供給方法を提供することを目的と
する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
(1) 本発明の第1の態様は、外部装置から半導体記憶
媒体に対して電磁波エネルギーを送波し、この電磁波エ
ネルギーに基いて半導体記憶媒体内で必要な電源電圧を
生成することにより、両者間を物理的に非接触な状態に
保ちながら電源供給を行う非接触電源供給方法におい
て、外部装置側では、電磁波エネルギーの送波を開始す
るときに、送波する電磁波エネルギーの大きさを所定の
初期値から徐々に増加させてゆくようにし、半導体記憶
媒体側では、送波された電磁波エネルギーに基いて生成
された電圧が所定の基準電圧値に到達したときに、外部
装置に対して所定の制御信号を送信するようにし、外部
装置側では、受信した制御信号に基いて、送波する電磁
波エネルギーの大きさを一定に維持するようにしたもの
である。
【0010】(2) 本発明の第2の態様は、上述の第1
の態様に係る方法を実施するために、電磁波エネルギー
を送波することにより、物理的に非接触な状態に保ちな
がら、半導体記憶媒体に対して電源供給を行う機能をも
った非接触電源供給装置において、半導体記憶媒体に対
して電磁波エネルギーを送波する送波手段と、送波する
電磁波エネルギーの大きさを制御する制御手段と、半導
体記憶媒体から送信される所定の制御信号を受信する受
信手段と、を設け、制御手段によって、電磁波エネルギ
ーの送波を開始するときには、送波する電磁波エネルギ
ーの大きさを所定の初期値から徐々に増加させてゆくよ
うに制御し、制御信号を受信したときには、送波する電
磁波エネルギーの大きさを一定に維持するように制御す
るようにしたものである。
【0011】
【0012】
【作 用】本発明においては、外部装置(たとえば、リ
ーダライタ装置)から半導体記憶媒体(たとえば、IC
カード)に対して、電源供給を開始する場合に、次のよ
うな手順が採られる。 まず、リーダライタ装置は、所定の初期値に相当す
る大きさをもった電磁波エネルギーを送波する。この初
期値を安全範囲内に設定しておけば、ICカード内の素
子が破壊される危険性はない。 リーダライタ装置は、続けて、送波する電磁波エネ
ルギーの大きさを初期値から徐々に増加させてゆく。 ICカードは、リーダライタ装置から送波された電
磁波エネルギーに基いて、電圧を生成する。このとき、
この生成電圧と所定の基準電圧値とを比較し、生成電圧
が基準電圧値に到達したときに、リーダライタ装置に対
して所定の制御信号を送信する。 リーダライタ装置は、ICカード側から送信された
制御信号を受信したら、送波する電磁波エネルギーの大
きさを一定に維持する。 以後、リーダライタ装置からICカードへは、一定
の大きさの電磁波エネルギーが送波される。この電磁波
エネルギーは、ICカード内において所定の基準電圧値
に応じた電圧生成を行うのに適した大きさのものにな
る。
【0013】このような手順を採ることにより、外部装
置側のコイルと半導体記憶媒体側のコイルとの相対位置
関係がどのようであっても、常に、最適の大きさの電磁
波エネルギーを供給することができるようになる。
【0014】
【実施例】以下、本発明を図示する実施例に基いて説明
する。図1は、一般的なリーダライタ装置100とIC
カード200との間のデータ転送時の結合状態を示すブ
ロック図である。リーダライタ装置100には第1のコ
イル101が内蔵されており、ICカード200には第
2のコイル201が内蔵されている。ICカード200
は、通常、個人個人が形態しているが、何らかの用途に
用いる場合(たとえば、銀行取引を行う場合)、これを
リーダライタ装置100の挿入口に挿入する。すると、
リーダライタ装置100内のカードのローディング機構
により、挿入されたICカード200は所定位置まで送
られて固定される。この状態で、第1のコイル101と
第2のコイル201とが電磁的に結合することになる。
既に述べたように、このときの両コイルの相対位置は、
常に一定とはならずにバラツキをもったものとなる。こ
のように、両コイルが電磁的に結合されると、リーダラ
イタ装置100からICカード200に対して、電源お
よびクロックが供給され、両者間において双方向にデー
タが転送される。
【0015】図2は、リーダライタ装置100の内部構
成を示すブロック図である。発振器110は、所定の周
波数をもった搬送波Cを生成する機能を有し、生成され
た搬送波Cは変調器120に与えられる。変調器120
には、このリーダライタ装置100からICカード20
0へ送るべきデータD1が与えられ、このデータD1の
情報を搬送波Cに重畳することにより、変調波Mが生成
される。この変調波Mは電力増幅器130によって電力
増幅されて第1のコイル101に供給され、この第1の
コイル101から電磁波としてICカード200側へと
送波される。一方、ICカード200からリーダライタ
装置100へ送るべきデータD2は、後述するように、
第1のコイル101内における電流変動として受信さ
れ、この電流変動に基いて復調器140がデータD2を
検出する。結局、このリーダライタ装置100は、IC
カード200に対してデータD1を送信する機能と、I
Cカード200から伝達されたデータD2を受信する機
能と、を有し、更に、第1のコイル101から電磁波エ
ネルギーとして、電力およびクロックをICカード20
0に供給する機能を有する。
【0016】以上の各構成要素は、従来の一般的なリー
ダライタ装置において備わっている公知の要素である。
本発明に係るリーダライタ装置100の特徴は、これら
構成要素に加えて、更に電力制御器150を設けた点に
ある。この電力制御器150は、電力増幅器130にお
ける電力増幅率を制御する機能を有する。後述するよう
に、復調器140は、第1のコイル101の電流変動に
基いて、ICカード200側から伝達された制御信号Q
を検出する機能を有し、電力制御器150はこの制御信
号Qに基いて、電力増幅器130の電力増幅率の制御を
行うことになる。なお、この制御動作については後に説
明する。
【0017】一方、図3は、ICカード200の内部構
成を示すブロック図である。第2のコイル201は、リ
ーダライタ装置100の第1のコイル101から送波さ
れた変調波Mを受信する。この受信された変調波Mは、
電源系統、クロック系統、データ系統、の3つの系統で
利用されることになる。以下、これら各系統を順に説明
する。
【0018】まず、電源系統は、整流器202と、リプ
ルフィルタ203と、レギュレータ204と、によって
構成されている。受信された変調波M(電磁波エネルギ
ー)は、整流器202において整流され、リプルフィル
タ203において平滑化され、レギュレータ204にお
いて安定化される。こうして、最終的にレギュレータ2
04において、ICカード内部で利用される電源電圧V
ccが生成され、CPU・メモリ250に供給されるこ
とになる。
【0019】次に、クロック系統は、クロック信号発生
器240によって構成されている。このクロック信号発
生器240は、第2のコイル201において受信された
変調波Mの周期的な成分(搬送波Cの成分)を取り出
し、これに基いてクロック信号CLKを生成する機能を
有する。このクロック信号CLKも、CPU・メモリ2
50に供給される。
【0020】最後に、データ系統は、変調器220と復
調器230とによって構成されている。復調器230
は、第2のコイル201において受信された変調波Mを
復調し、リーダライタ装置100側から送信されてきた
データD1を抽出し、このデータD1を受信データとし
てCPU・メモリ250へ与える機能を有する。一方、
変調器220には、CPU・メモリ250からデータD
2(リーダライタ装置100に対して送るデータ)が与
えられる。この実施例のシステムでは、ICカード20
0からリーダライタ装置100に対する情報伝達は、第
2のコイル201の入力インピーダンスを変動させるこ
とによって行われる。たとえば、第2のコイル201に
抵抗素子を接続しておき、この抵抗素子の抵抗値を変化
させると、第2のコイル201の入力インピーダンスに
変化が生じることになる。このように、電磁波エネルギ
ーの受信側のコイルの入力インピーダンスに変化が生じ
ると、電磁波エネルギーの送信側のコイルを流れる電流
に変動が生じる。したがって、電磁波エネルギーの送信
側において、受信側コイルの入力インピーダンスの変動
を検出することができる。結局、電磁波エネルギーは、
リーダライタ装置100からICカード200に向かう
一方向のみに伝達されているにもかかわらず、リーダラ
イタ装置100側では、第1のコイル101の電流変動
として、ICカード200側からの情報(第2のコイル
201の入力インピーダンスの変動)を認識することが
できる。要するに、変調器220は、リーダライタ装置
100側へ送信すべきデータD2に基いて、第2のコイ
ル201の入力インピーダンスを変化させる機能を有す
ることになる。
【0021】以上の各構成要素は、従来の一般的なIC
カードにおいて備わっている公知の要素である。本発明
に係るICカード200の特徴は、これら構成要素に加
えて、更に、基準電圧発生器211、比較器212、制
御信号発生器213、を設けた点にある。基準電圧発生
器211は、リプルフィルタ203によって平滑化され
た電圧Vを入力し、この電圧Vに基いて所定の基準電圧
を発生する機能を有する。ここで、基準電圧V
は、入力電圧Vの大きさにかかわらず常に一定となる
ようにする。このような機能をもった基準電圧発生器2
11は、具体的には、レギュレータ204と同様な定電
圧回路を用いることができ、たとえば、バンドギャップ
定電圧回路で構成すればよい。一方、リプルフィルタ2
03の出力電圧Vは、互いに直列接続された抵抗素子R
1,R2によって分圧される。そして、比較器212に
よって、この分圧電圧V´と基準電圧Vとが比較され
る。比較器212は、比較の結果、分圧電圧V´<基準
電圧Vであるときには第1の論理信号を、分圧電圧V
´≧基準電圧Vであるときには第2の論理信号を、そ
れぞれ制御信号発生器213に与える。制御信号発生器
213は、比較器212から与えられる信号が、第1の
論理信号から第2の論理信号に変わったタイミングで、
所定の制御信号Pを出力する。この制御信号Pは、デー
タD2と同様に変調器220に与えられ、第2のコイル
201の入力インピーダンスの変動として、リーダライ
タ装置100側へと伝達される。
【0022】以上、この実施例のシステムの構成を説明
したが、続いて、このシステムにおける電源供給の動作
を説明する。まず、ICカード200の所有者が、これ
をリーダライタ装置100に挿入すると、図1に示すよ
うに、第1のコイル101と第2のコイル201とが電
磁的に結合状態になる。続いて、リーダライタ装置10
0は、ICカード200に対して、まず電源およびクロ
ックの供給を開始する。すなわち、電力増幅器130か
ら搬送波Cを第1のコイル101に与え、電磁波エネル
ギーの送波を行う。この時点では、まだICカード20
0は正常動作する状態にはなっていないため、データD
1の送信は行われていない。このように、電磁波エネル
ギーの送波を開始するときに、電力制御器150は、送
波する電磁波エネルギーの大きさを所定の初期値から徐
々に増加させてゆくような制御を行う。ここで初期値と
しては、両コイルの相対位置が、最も効率的な電磁的結
合が行われるような位置であったとしても、ICカード
200内の種々の素子を破壊しない程度の安全なレベル
を設定しておく。
【0023】さて、このような電磁波エネルギーの供給
を受けたICカード200内では、レギュレータ204
によって電源電圧Vccが生成され、クロック信号発生
器240によってクロック信号CLKが生成されるが、
供給されている電磁波エネルギーの大きさが十分ではな
いため、リプルフィルタ203の出力電圧Vは十分なレ
ベルに達しておらず、電源電圧Vccおよびクロック信
号CLKは安定したものにはなっていない。しかし、リ
ーダライタ装置100側では、送波する電磁波エネルギ
ーの大きさを徐々に増加させているため、リプルフィル
タ203の出力電圧Vは徐々に上昇してゆくことにな
る。この様子を図4のグラフに示す。このグラフにおい
て、横軸は時間軸、縦軸は電圧を示しており、リプルフ
ィルタ203の出力電圧Vと、これを分圧することによ
って得られる分圧電圧V´と、の電圧値の時間変化が示
されている。
【0024】時刻t0は、リーダライタ装置100側か
ら電磁波エネルギーの送波が開始された時点を示してお
り、この時点で、電圧V,V´ともに立ち上がってい
る。電圧Vは、時刻t0において値V0をとり、以降、
徐々に上昇をしてゆく。一方、分圧電圧V´は、この電
圧Vに比例した形で徐々に上昇してゆく。基準電圧発生
器211には、この時刻t0の時点から、電圧値V0以
上の電圧が供給されているので、基準電圧V<V0と
なるように設定しておけば、特別な昇圧回路を設けるこ
となく、基準電圧発生器211からは基準電圧Vが出
力される。比較器212は、この基準電圧Vと分圧電
圧V´とを比較するが、時刻t0の時点ではV´<V
となるように、抵抗素子R1,R2による分圧比が設定
されているため、比較器212は、当初は第1の論理信
号(分圧電圧V´<基準電圧Vを示す)を出力するこ
とになる。
【0025】ところが、時刻t1において、リプルフィ
ルタ203の出力電圧V=V1になると、分圧電圧V´
=Vとなる。そこで、比較器212からは、第2の論
理信号(分圧電圧V´≧基準電圧Vを示す)が出力さ
れる。このため、制御信号発生器213は、第1の論理
信号から第2の論理信号に変わった時刻t1において、
制御信号P(この例では、単一のパルス信号)を出力す
る。前述したように、この制御信号Pは、変調器220
に与えられ、第2のコイル201には、この制御信号P
に応じた入力インピーダンス変動が加えられる。この入
力インピーダンス変動は、リーダライタ装置100側の
第1のコイル101に電流変動を発生させる。結局、I
Cカード200側の制御信号発生器213が出力した制
御信号Pは、リーダライタ装置100側の復調器140
において、制御信号Q(やはり、単一のパルス信号)と
して検出されることになる。図4のグラフの下方に示す
2つのパルス信号P,Qは、これらの制御信号P,Qを
示すものである。なお、制御信号Pの伝達には若干の時
間遅れが必要なため、制御信号Qの立上がり時点t2
は、制御信号Pの立上がり時点t1よりもやや遅れてい
る。
【0026】さて、電力制御器150は、これまで送波
する電磁波エネルギーの大きさを徐々に増加させてゆく
ような制御を行っていたが、時刻t2において制御信号
Qが与えられると、このように増加させる制御を停止
し、今度は、送波する電磁波エネルギーの大きさをその
時点で一定に維持させるような制御を行う。その結果、
図4のグラフに示すように、時刻t2以降は、電圧V,
V´ともに、一定値が維持されることになる。こうし
て、レギュレータ204には、一定の電圧値V2が供給
されるようになる。ここで、電圧V2の値は、基準電圧
の値に基いて定まる値となるので、電圧値V2が、
レギュレータ204に対して供給すべき電圧値として最
適な値となるように、基準電圧Vを予め設定しておけ
ば、時刻t2以降は、レギュレータ204には常に最適
な電圧値が供給されることになる。
【0027】こうして、時刻t2以降は、レギュレータ
204によって安定した電源電圧Vccが供給され、ク
ロック信号発生器240によって安定したクロック信号
CLKが供給されることになる。必要に応じて、このよ
うに電源電圧Vccが安定した時点でCPU・メモリ2
50に対してリセットがかかるようにしておけば、以
後、リーダライタ装置100とICカード200との間
で、通常のデータ転送処理を行うことができる。すなわ
ち、リーダライタ装置100側からICカード200に
対してデータD1を伝達し、ICカード200側からリ
ーダライタ装置100に対してデータD2を伝達するこ
とができる。なお、データD1,D2を、制御信号P,
Qと同様のパルス信号として伝送する場合には、復調器
140は、最初に受けとったパルス信号を制御信号Qと
して認識し、2回目以降に受けとったパルス信号をデー
タ、あるいは、リセット応答信号(ICカード200側
でCPUをリセットしたことを報告する信号)として認
識するようにすれば、混同は生じない。
【0028】このような方法で、電源供給を行うように
すれば、第1のコイル101と第2のコイル201との
間の電磁的な結合効率が変動しようとも、この結合効率
のバラツキは、図4における初期電圧V0の値に影響を
与えるだけで、レギュレータ204に供給される電圧V
の最終値V2には全く影響が及ばない。したがって、常
に安定した電源供給を行うことができる。
【0029】以上、本発明を図示する実施例に基いて説
明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではな
く、この他にも種々の態様で実施可能である。特に、上
述の実施例では、ICカード200に対してリーダライ
タ装置100から電源供給を行う例について述べたが、
本発明は半導体記憶媒体に対して、何らかの外部装置か
ら電源供給を行う場合に広く適用しうるものである。
【0030】
【発明の効果】以上のとおり本発明に係る半導体記憶媒
体への非接触電源供給方法によれば、供給する電磁波エ
ネルギーの大きさを、最適値に向かって徐々に増加させ
てゆくようにしたため、外部装置側のコイルと半導体記
憶媒体側のコイルとの相対位置関係が変動しても、常に
安定した電源供給を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的なリーダライタ装置100とICカード
200との間のデータ転送時の結合状態を示すブロック
図である。
【図2】本発明に係るリーダライタ装置100の内部構
成を示すブロック図である。
【図3】本発明に係るICカード200の内部構成を示
すブロック図である。
【図4】図3に示すICカード200内の電源系の動作
を示すグラフである。
【符号の説明】 100…リーダライタ装置 101…第1のコイル 110…発振器 120…変調器 130…電力増幅器 140…復調器 150…電力制御器 200…ICカード 201…第2のコイル 202…整流器 203…リプルフィルタ 204…レギュレータ 211…基準電圧発生器 212…比較器 213…制御信号発生器 220…変調器 230…復調器 240…クロック信号発生器 250…CPU・メモリ C…搬送波 CLK…クロック信号 D1…リーダライタ装置からICカードへの送信データ D2…ICカードからリーダライタ装置への送信データ M…変調波 P,Q…制御信号 R1,R2…分圧抵抗素子 V…リプルフィルタ203の出力電圧 V´…分圧電圧 Vcc…電源電圧
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G06K 19/00 - 19/18 G06K 17/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外部装置から半導体記憶媒体に対して電
    磁波エネルギーを送波し、この電磁波エネルギーに基い
    て前記半導体記憶媒体内で必要な電源電圧を生成するこ
    とにより、両者間を物理的に非接触な状態に保ちながら
    電源供給を行う非接触電源供給方法において、 前記外部装置側では、電磁波エネルギーの送波を開始す
    るときに、送波する電磁波エネルギーの大きさを所定の
    初期値から徐々に増加させてゆくようにし、 前記半導体記憶媒体側では、送波された電磁波エネルギ
    ーに基いて生成された電圧が所定の基準電圧値に到達し
    たときに、前記外部装置に対して所定の制御信号を送信
    するようにし、 前記外部装置側では、受信した前記制御信号に基いて、
    送波する電磁波エネルギーの大きさを一定に維持するよ
    うにすることを特徴とする半導体記憶媒体への非接触電
    源供給方法。
  2. 【請求項2】 電磁波エネルギーを送波することによ
    り、物理的に非接触な状態に保ちながら、半導体記憶媒
    体に対して電源供給を行う機能をもった非接触電源供給
    装置において、 半導体記憶媒体に対して電磁波エネルギーを送波する送
    波手段と、 送波する電磁波エネルギーの大きさを制御する制御手段
    と、 前記半導体記憶媒体から送信される所定の制御信号を受
    信する受信手段と、 を設け、前記制御手段は、電磁波エネルギーの送波を開
    始するときには、送波する電磁波エネルギーの大きさを
    所定の初期値から徐々に増加させてゆくように制御し、
    前記制御信号を受信したときには、送波する電磁波エネ
    ルギーの大きさを一定に維持するように制御することを
    特徴とする半導体記憶媒体への非接触電源供給装置。
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