JP3372753B2 - オーバーサンプリング型a/d変換器 - Google Patents

オーバーサンプリング型a/d変換器

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JP3372753B2
JP3372753B2 JP10687196A JP10687196A JP3372753B2 JP 3372753 B2 JP3372753 B2 JP 3372753B2 JP 10687196 A JP10687196 A JP 10687196A JP 10687196 A JP10687196 A JP 10687196A JP 3372753 B2 JP3372753 B2 JP 3372753B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アナログ電圧信号
を対応するディジタル信号に変換するためのアナログ/
ディジタル(A/D)変換器に係り、特に、半導体集積
回路で実現するのに好適なオーバサンプリング型A/D
変換器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】非線形歪みの無いA/D変換器でアナロ
グ入力信号をディジタル信号に変換する場合、入力アナ
ログ入力信号が最小分解能の数倍以上であれば、量子化
雑音は、直流からナイキスト周波数(サンプリング周波
数の1/2)の間にほぼ均一に分布される。このため、
量子化ビット数が等しければ、雑音電力の総和は一定と
され、基本的にはサンプリング周波数を高くすれば、オ
ーバーサンプリングにより信号周波数近傍のS/N(Si
gnal to Noise Ratio)特性を向上させることができ
る。そのようなA/D変換器をオーバーサンプリング型
A/D変換器と称する。
【0003】オーバーサンプリング型A/D変換器は、
変調器を含み、この変調器は逐次比較型のA/D変換器
などと同様にフィードバックループを形成する。つま
り、電圧比較を行う量子化手段と、フィードバックに必
要なD/A変換器を内蔵する。フィードバックループ内
にフィルタを配置することが、他の方式のA/D変換器
と大きく異なる点であるが、このフィルタをフィードバ
ックループ内のどこに配置するか、そして信号入力点の
位置関係によって、Δ(デルタ)変調方式、ΔΣ(デル
タ・シグマ)方式、及びそれの混合方式に大別できる。
【0004】ΔΣ方式は、出力信号と入力信号との差を
積分し、この積分手段の出力が最小となるようにフィー
ドバック制御するもので、量子化手段出力のコード列に
含まれる量子化雑音が高い周波数に偏って分布する性質
があるため、ノイズシェイピング型とも称される。この
ΔΣ方式において、次数を増やすことにより、S/N特
性をさらに改善することができる。つまり、アナログ積
分の次数を1次増やす毎に、ほぼオーバーサンプリング
比の2乗に逆比例したノイズノイズシェイピング特性
(雑音減少)が期待できる。一般には2次の雑音整形
(すなわち2回のアナログ積分)が行われる。
【0005】ここで、上記積分手段の回路方式として
は、キャパシタと抵抗を使う連続系のものや、キャパシ
タとスイッチとの組合わせによるものがあるが、いずれ
の場合でも演算増幅器を使わないと、LSI上に実現す
る場合に抵抗やキャパシタの値が大きすぎたり、寄生容
量による非線形効果が無視できなくなる。そのため、ア
ナログ積分の次数に対応して演算増幅器が配置される。
【0006】尚、ΔΣ方式のオーバーサンプリング型A
/D変換器について記載された文献の例としては、「19
88 IEEE International Solid-State Circuits Confere
nce/FRIDAY,FEBRUARY 19,1988/CONTINENTAL BALLROOM 6
/9:30 AM」がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】フィードバックループ
内に量子化手段が存在する場合、その動作は非線形とな
る。従って、フィードバックループが安定動作している
か、又は信号振幅が飽和していないか、などの情報はシ
ミュレーションによらなければ確認することができな
い。
【0008】2次のΔΣ方式のオーバーサンプリング型
A/D変換器として、図4に示される構成を採用した場
合について本願発明者が検討した。
【0009】図4に示されるオーバーサンプリング型A
/D変換器164は、ディジタル信号出力信号をアナロ
グ入力信号に変換するためのローカルD/A変換手段1
07、このローカルD/A変換手段107の出力信号と
アナログ入力信号Xとの差分を得るための減算器10
1、この減算器101の出力をアナログ積分するための
第1積分手段102、この第1積分手段102の出力信
号と上記ローカルD/A変換手段107の出力信号との
差分を得るための第2減算器103、この第2減算器1
03の出力信号をアナログ積分するための第2積分手段
104、及びこの第2積分手段104の出力信号を量子
化するための量子化手段106を含む。この回路構成に
おいて、出力信号Yと入力信号Xとの差がアナログ積分
され、このアナログ積分出力が最小となるようにフィー
ドバック制御されることによって、アナログ入力信号に
対応するディジタル信号出力信号が得られる。S/N特
性の改善のため、第2減算器103の前段に、減算器1
01、及び第1積分手段102が設けられることによっ
て、2次の雑音整形が行われる。
【0010】伝達関数は、入力アナログ信号をX(z)、
量子化手段の出力信号をY(Z)、第1積分手段及び第2
積分手段を1/(1−Z-1)、量子化手段で発生する量
子化雑音をQ(z)とすると、 Y(Z)=X(Z)+(1−Z-12・Q(Z)……(1) となる。
【0011】また、このオーバーサンプリング型A/D
変換器のS/N特性は、一般的に次式で示される。
【0012】 S/N=10log10{15×(2n−1)2×K5/(2π4)}……(2) ただし、K=fs/2B、B:信号帯域、fs:サンプ
ル周波数、n:帰還量子化ビット数である。fs又はn
の値を大きくすると、S/N特性の向上を期待できる
が、上記構成においては、積分手段の出力振幅が入力振
幅よりも大きくなることが判明し、そのように信号振幅
が大きいとき、積分手段内の演算増幅器が飽和してS/
N特性が不所望に劣化してしまうことが、本願発明者に
よって見いだされた。
【0013】本発明の目的は、オーバーサンプリング型
A/D変換器における信号飽和を防止することにより、
S/N特性の向上を図るための技術を提供することにあ
る。本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は本
明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【0014】
【課題を解決するための手段】本願において開示される
発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記
の通りである。
【0015】すなわち、入力されたアナログ信号と帰還
信号との差を求める第1加算手段(201)と、上記第
1加算手段(201)の出力信号を積分する第1積分手
段(202)と、上記第1積分手段(202)の出力信
号と上記帰還信号との差を求める第2加算手段(20
3)と、上記第2加算手段(203)の出力信号を積分
する第2積分手段(204)と、上記第2積分手段(2
04)の積分結果を量子化する量子化手段(206)
と、上記量子化手段(206)の出力信号に基づいて上
記帰還信号を生成するローカルD/A変換手段(20
7)とを含んでオーバーサンプリング型A/D変換器が
形成されるとき、上記第1積分手段(202)に前置さ
れ、略1/2以下のゲインを有する第1増幅手段(20
8)と、上記ローカルD/A変換手段(207)と上記
第2加算手段(203)との間に配置され、上記第1増
幅手段(208)と略等しいゲインG1を有する第2増
幅手段(209)と、上記第2積分手段(204)に前
置され、略2/3若しくはそれ以下のゲインを有する第
3増幅手段(210)とを設ける。第1増幅手段(20
8)、第2増幅手段(209)、及び第3増幅手段(2
10)のゲインを上記のように設定することは、積分手
段での飽和を防ぎ、S/N特性の向上を達成する。
【0016】このとき、S/N特性をさらに向上させる
ため、上記第3増幅手段(210)のゲインをそれぞれ
略1/2に設定することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】図1には、本発明にかかるオーバ
サンプリング型A/D変換器の一実施形態例が示され
る。
【0018】図1に示されるオーバサンプリング型A/
D変換器100は、2次のΔΣ方式とされ、特に制限さ
れないが、公知の半導体集積回路製造技術により単結晶
シリコン基板などの一つの半導体基板に形成される。
【0019】入力端子21からのアナログ入力信号Xと
帰還信号との差を求める第1加算手段201が設けら
れ、それの後段には上記第1加算手段201の出力信号
を増幅する第1増幅手段208が設けられる。この第1
増幅手段208のゲインはG1で示され、特に、G1=
1/2とされる。
【0020】上記第1増幅手段208の後段には、上記
第1演算器208の出力信号をアナログ積分するための
第1積分手段202が配置され、その後段に上記第1積
分手段202の出力信号(A1で示される)と第2増幅
手段209の出力信号との差分を得るための第2加算手
段203が設けられる。ここで、上記第2演算増幅回路
209のゲインはG1で示され、特に、上記第1増幅手
段208と等しく、G1=1/2とされる。
【0021】また、上記第2加算手段203の後段に
は、上記第2加算手段203の出力信号を増幅するため
の第3増幅手段210が配置される。この第3増幅手段
210のゲインはG2で示され、特に略2/3若しくは
それ以下とされ、特に好ましくは、G2=1/2とされ
る。
【0022】上記第3増幅手段210の後段には、上記
第3増幅手段210の出力信号をアナログ積分するため
の第2積分手段204が配置され、その後段に上記第2
積分手段204の出力信号(A2で示される)を量子化
するための量子化手段群206が配置される。この量子
化手段群206は、特に制限されないが、それぞれ上記
第2積分手段204の出力信号A2を所定の基準レベル
と比較することによって信号の極性やレベルを判定する
ための3個の量子化手段を含む。そのような量子化手段
群206の出力信号は2ビット構成とされ、それがこの
オーバサンプリング型A/D変換器100の出力信号Y
として、端子22を介して後段回路に伝達されるととも
に、上記帰還信号を得るためにローカルD/A変換手段
207に伝達される。ローカルD/A変換手段207
は、量子化手段群206の出力信号をアナログ信号に変
換し、この変換によって上記帰還信号が得られる。
【0023】尚、上記量子化手段群206から出力され
たコード列には、帯域外に分布された量子化雑音が含ま
れることがあり、端子22を介してこのオーバサンプリ
ング型A/D変換器100に結合される後段回路には帯
域外に偏った量子化雑音を除去するためのディジタルフ
ィルタ(デシメーションフィルタ)が配置される。
【0024】伝達関数は、次の通りである。
【0025】 A1={G1/(1−Z-1)}・(X−Z)-1・Y……(3) A2={G2/(1−Z-1)}・(A1−G1・Z-1・Y)……(4) Y=A2+Q……(5) となるので、 Y={G1・G2・X+(1−Z-12・Q}/{(1−G1・G2)・Z-2− 2(1−G1・G2・)・Z-1+1}……(6) と表される。ここで、Z-1がほぼ1に等しいと考える
と、上記(6)式の分母が整理されて、 Y={X+(1−Z-12・Q}/(G1・G2)……(7) となる。
【0026】図2には、図1に示される第1加算手段2
01、第1増幅手段208、第1積分手段202の詳細
な構成が示される。図2に示されるように、第1加算手
段201、第1増幅手段208、第1積分手段202
は、スイッチ301〜308、サンプリング容量311
及び帰還容量312とその端子切換えのための複数のス
イッチ301〜308とから成るスイッチトキャパシタ
回路50や、演算増幅器321及び積分容量313を含
む。
【0027】サンプリング容量311の一端は、スイッ
チ301を介して入力端子21に結合され、スイッチ3
02を介して基準電圧源32に結合される。サンプリン
グ容量311の他端は、スイッチ303を介して演算増
幅器321の反転入力端子に結合され、スイッチ304
を介して基準電圧源32に結合される。
【0028】また、帰還容量312の一端は、スイッチ
305を介してローカルD/A変換手段207の出力端
子に結合され、スイッチ306を介して基準電圧源32
に結合される。帰還容量312の他端は、スイッチ30
7を介して演算増幅器321の反転入力端子に結合さ
れ、スイッチ308を介して基準電圧源32に結合され
る。
【0029】演算増幅器321の非反転入力端子は基準
電圧源32に結合される。演算増幅器321の反転入力
端子と出力端子とに積分容量313が結合される。演算
増幅器321の出力端子は積分手段202の出力端子と
され、後段の第2加算手段203に結合される。
【0030】上記構成の動作を説明する。
【0031】スイッチ301〜308の状態によってサ
ンプリング状態と積分状態とが形成される。
【0032】サンプリング状態は、図2に示されるよう
に、スイッチ301,304,306,308がオンさ
れ、スイッチ302,303,305,307がオフさ
れた状態とされる。このとき、入力端子21から入力さ
れるアナログ信号による電荷がサンプリング容量311
に蓄積される。また、このサンプリング状態では、帰還
容量312の両端がスイッチ306,308を介して基
準電圧源32に結合され、それにより帰還容量312が
リセットされる。
【0033】積分状態は、図3に示されるように、スイ
ッチ301,304,306,308がオフされ、スイ
ッチ302,303,305,307がオンされた状態
とされる。この積分状態では、サンプリング容量311
の他端と積分容量312の他端とが演算増幅器321の
反転入力端子に結合されることによって、上記サンプリ
ング状態でサンプリングされた電荷と、帰還容量312
の蓄積電荷とが加算され、演算増幅器321の出力端子
にそのときの積分結果が現れる。このとき、スイッチ3
05を介してローカルD/A変換手段207から伝達さ
れる帰還信号のレベルが、基準電圧源32の電位レベル
よりも高ければ積分電荷量が減算され、低ければ積分電
荷量が加算される。
【0034】上記したサンプリング状態(図2参照)及
び積分状態(図3参照)が交互に繰返されることによ
り、アナログ入力信号Xのサンプリング結果の積分と同
時に、ローカルD/A変換手段207からの帰還信号と
の加算(減算)が行われる。
【0035】以上、第1加算手段201、第1増幅手段
208、第1積分手段202について説明したが、第2
加算手段203、第2増幅手段209、第3増幅手段2
10、第2積分手段204についても、上記の場合と同
様にスイッチトキャパシタ回路を利用して構成すること
ができる。
【0036】第1増幅手段208、第2増幅手段20
9、及び第3増幅手段210のゲインの設定は、上記サ
ンプリング容量311と積分容量313との比、及び帰
還容量312と積分容量313との比で決定される。半
導体チップにおいて高精度の容量比を実現するには、単
位容量を必要に応じて複数組合わせてレイアウトするの
が一般的である。例えば、2:3の容量比は、同一レイ
アウトパターンの単位容量を5個使うことで実現するこ
とができる。単位容量1個当りの絶対値が一定であるこ
とを考慮すると、容量比1:2を実現するのに必要な単
位容量の数は3個である。
【0037】ここで、単位容量を「C」で示すとき、第
1増幅手段208のゲインG1を1/2に設定するに
は、サンプリング容量311と、帰還容量312を「1
C」とし、積分容量313を「2C」とする。また、第
2増幅手段209のゲインG1を1/2に設定し、第3
増幅手段210のゲインG2を1/2に設定するには、
サンプリング容量311を「2C」とし、帰還容量31
2を「1C」とし、積分容量313を「4C」とすれば
良い。「2C」は単位容量「C」を2個並列接続するこ
とにより、また、「4C」は単位容量「C」を4個並列
接続することにより、それぞれ形成することができる。
【0038】図5及び図6にはこの実施形態例回路のシ
ミュレーション結果が示される。
【0039】図5はゲインG1=G2=1.0とした場
合、図6はゲインG1=G2=1/2とした場合であ
る。inputはアナログ入力信号X、outputは
ディジタル出力信号Yをデシメーションフィルタ(図示
せず)でフィルタリングして得られた結果、A1は第1
回目の積分結果(第1積分手段202の出力)、A2は
第2回目の積分結果(第2積分手段204の出力)であ
る。
【0040】振幅の大きさは、最大値を「1」として規
格化しており、アナログ入力信号Xの振幅は、−6dB
m0である。
【0041】ゲインG1=G2=1.0とした場合、図
5から明らかなように、第1積分手段202の積分結果
A1にはアナログ入力信号Xの約2倍の振幅が現れ、第
2積分手段204の積分結果A2にはアナログ入力信号
Xの約4倍の信号振幅が現れており、このままでは、第
1積分手段202や、第2積分手段204に用いられる
演算増幅器321が飽和してしまう。それに対して、ゲ
インG1=G2=1/2とした場合には、図6から明ら
かなように、第1積分手段202の積分結果A1、及び
第2積分手段204の積分結果A2は、アナログ入力信
号Xとほぼ同等の振幅となり、第1積分手段202や、
第2積分手段204に用いられる演算増幅器321の飽
和が抑えられる。
【0042】図7には、ディジタル出力信号Yをデシメ
ーションフィルタでフィルタリングして得られる信号の
S/N特性のシミュレーション結果が示される。演算増
幅器321の出力限界に合せて、積分結果A1,A2の
最大値、及び最小値に限界を設定し、その値を越える場
合には限界値にクランプするようにしている。また、ゲ
イン設定は、単位容量を用いたレイアウトにおいて、そ
の数が少なくなる順(レイアウト面積が小さくなる順)
に、(1)〜(19)に示される組合わせで実施してい
る。
【0043】ゲインG1,G2を1より小さく設定する
ことで、入力小信号時(−40dBm0)、入力大信号
時(−3dBm0)共にS/N特性が改善されることが
分かる。つまり、ゲインG1=G2=1であるケース
(1)においては、入力小信号時(−40dBm0)の
ときのS/N特性が40.9dB、入力大信号時(−3
dBm0)のときのS/N特性が35.7dBであるの
に対して、ゲインG1,G2を1より小さく設定したケ
ース(2)〜(14)の場合には、入力小信号時(−4
0dBm0)のときのS/N特性が60.4dB、入力
大信号時(−3dBm0)のS/N特性が75.5dB
以上に改善される。特に、G1=1/2,G2=2/3
に設定した場合や、G1=G2=1/2に設定した場
合、及びG1=1/3,G2=1に設定した場合には8
6.2dBのS/N特性が得られ、G1=1/2,G2
=2/5に設定した場合には82.4dBのS/N特性
が得られ、G1=1/2,G2=1/3に設定した場合
には80.1dBのS/N特性が得られる。そのような
ゲイン設定において必要とされる単位容量の必要総数は
最も多い場合で13個である。
【0044】また、ケース(15)〜(19)の場合に
は、単位容量の総数が15個以上となり、上記ケース
(2)〜(14)の場合に比べて、レイアウト面積の点
で若干不利とされるものの、ゲインG1=G2=1とし
た場合に比べてS/N特性は改善されている。
【0045】さらに、演算増幅器321の特性(セトリ
ング、オフセット等)や、スイッチ301〜308のフ
ィードスルーノイズなどに起因する誤差によって演算増
幅器321のゲインが変化することが考えられる。上記
要因によって演算増幅器321のゲインが1.3倍に変
化するものと仮定すると、G1を略1/2,G2を略2
/3若しくはそれ以下に設定した場合(ケース(7),
(9),(11),(14)の場合)には入力大信号時
(−3dBm0)の時に少なくとも85.0dBのS/
N特性が得られる。特に、G1=G2=1/2に設定し
た場合(ケース(9))には87.3dBのS/N特性
が得られ、G1=1/2,G2=2/5に設定した場合
(ケース(11))には86.9dBのS/N特性が得
られ、G1=1/2,G2=1/3に設定した場合(ケ
ース(14))には86.7dBのS/N特性が得られ
る。
【0046】特に、G1=G2=1/2に設定した場合
(ケース(9))は、演算増幅器321の特性(セトリ
ング、オフセット等)や、スイッチ301〜308のフ
ィードスルーノイズなどに起因する誤差によって演算増
幅器321のゲインが1.3倍に変化した場合でもS/
N特性が劣化しない。特性が劣化しないということは、
劣化要因に対するマージンが大きいことを意味し、これ
はサンプリング型A/D変換器100について高い信頼
性を得る上で非常に有利となる。この場合の単位容量の
必要総数は11個であり、ケース(10)〜(14)の
場合よりも少なく、レイアウト面積の点でも有利とされ
る。それゆえに、劣化要因に対するマージンが大きく、
レイアウト面積が比較的小さくて済むケース(9)が最
適といえる。
【0047】ケース(15)〜(19)のG1=2/3
の場合は、ケース(7),(9),(11),(14)
のG1=1/2の場合と比較して、入力大信号時のS/
N特性及び単位容量総数の点で不利であることが理解で
きる。
【0048】上記実施態様によれば、以下の作用効果を
得ることができる。
【0049】(1)第1増幅手段208、及び第2増幅
手段209のゲインG1を略1/2、及び増幅器210
のゲインG2を略2/3若しくはそれ以下に設定するこ
とにより、第1積分手段202及び第2積分手段204
における演算増幅器321の飽和を抑えることでS/N
特性の向上を図ることができるが、演算増幅器321の
特性(セトリング、オフセット等)や、スイッチ301
〜308のフィードスルーノイズなどに起因する誤差に
よって演算増幅器321のゲインが1.3倍に変化した
場合も考慮するとゲインG1及びG2を略2/3若しく
はそれ以下に設定することによって、比較的良好なS/
N特性を得ることができる。その場合にゲインG1及び
G2のいずれかを1/2とすることで、さらに良好なS
/N特性を得やすくなる。
【0050】(2)第1増幅手段208,第2増幅手段
209のゲインG1及び増幅器210のゲインG2を共
に1/2に設定した場合は、入力小信号時(−40dB
m0)に60.4dBのS/N特性が得られ、入力大信
号時(−3dBm0)に86.2dBのS/N特性が得
られ、しかも、演算増幅器321の特性(セトリング、
オフセット等)や、スイッチ301〜308のフィード
スルーノイズなどに起因する誤差によって演算増幅器3
21のゲインが1.3倍に変化した場合でもS/N特性
が劣化せず、劣化要因に対するマージンが大きいため、
高い信頼性を得ることができる。そして、この場合の単
位容量の総数は11個と比較的少ないため、チップ占有
面積を大幅に増大させずに済む。
【0051】以上本発明者によってなされた発明を実施
形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限
定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲にお
いて種々変更可能であることは言うまでもない。
【0052】本発明は、少なくともオーバーサンプリン
グを行うことを条件に適用することができる。
【0053】
【発明の効果】本願において開示される発明のうち代表
的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記
の通りである。
【0054】すなわち、第1積分手段に前置され、略1
/2のゲインを有する第1増幅手段を設け、ローカルD
/A変換手段と第2加算手段との間に、第1増幅手段と
略等しいゲインG1を有する第2増幅手段を設け、第2
積分手段に前置され、略2/3若しくはそれ以下のゲイ
ンを有する第3増幅手段を設けることにより、積分手段
での飽和を防ぎ、S/N特性の向上を図ることができ
る。
【0055】また、上記第1増幅手段及び第2増幅手段
のゲイン、又は第3増幅手段のゲインを略1/2にする
ことで、さらに良好なS/N特性を得やすくなる。
【0056】そして、上記第1増幅手段、第2増幅手
段、及び第3増幅手段のゲインを略1/2にした場合に
は、良好なS/N特性が得られ、しかも、演算増幅器の
特性(セトリング、オフセット等)や、スイッチのフィ
ードスルーノイズなどに起因する誤差によって演算増幅
器のゲインが1.3倍に変化した場合でもS/N特性が
劣化せず、劣化要因に対するマージンが大きいため、高
い信頼性を得ることができる。加えてこの場合の単位容
量の総数は11個と比較的少ないため、チップ占有面積
を大幅に増大させずに済む。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるオーバサンプリング型A/D変
換器の一実施形態例の機能ブロック図である。
【図2】上記オーバサンプリング型A/D変換器におけ
る主要部の詳細な回路図である。
【図3】上記オーバサンプリング型A/D変換器におけ
る主要部の詳細な回路図である。
【図4】上記オーバサンプリング型A/D変換器の比較
対象とされるA/D変換器の機能ブロック図である。
【図5】上記オーバサンプリング型A/D変換器のシミ
ュレーション結果を示す第1特性図である。
【図6】上記オーバサンプリング型A/D変換器のシミ
ュレーション結果を示す第2特性図である。
【図7】上記オーバサンプリング型A/D変換器のシミ
ュレーション結果を示す第3特性図である。
【符号の説明】
21 入力端子 22 出力端子 50 スイッチトキャパシタ回路 100 オーバサンプリング型A/D変換器 201 第1加算手段 202 第1積分手段 203 第2加算手段 204 第2積分手段 206 量子化手段群 207 ローカルD/A変換手段 208 第1増幅手段 209 第2増幅手段 301〜308 スイッチ 311 サンプリング容量 312 帰還容量 313 積分容量 321 演算増幅器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H03M 3/02 H03M 1/12

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力されたアナログ信号と帰還信号との
    差を求める第1加算手段と、上記第1加算手段の出力信
    号を積分する第1積分手段と、上記第1積分手段の出力
    信号と上記帰還信号との差を求める第2加算手段と、上
    記第2加算手段の出力信号を積分する第2積分手段と、
    上記第2積分手段の積分結果を量子化する量子化手段
    と、上記量子化手段の出力信号に基づいて上記帰還信号
    を生成するローカルD/A変換手段とを含むオーバーサ
    ンプリング型A/D変換器において、 上記第1積分手段に前置され、略1/2のゲインを有す
    る第1増幅手段と、 上記ローカルD/A変換手段と上記第2加算手段との間
    に配置され、上記第1増幅手段と略等しいゲインを有す
    る第2増幅手段と、 上記第2積分手段に前置され、略2/3若しくはそれ以
    下のゲインを有する第3増幅手段と、 を含むことを特徴とするオーバーサンプリング型A/D
    変換器。
  2. 【請求項2】 入力されたアナログ信号と帰還信号との
    差を求める第1加算手段と、上記第1加算手段の出力信
    号を積分する第1積分手段と、上記第1積分手段の出力
    信号と上記帰還信号との差を求める第2加算手段と、上
    記第2加算手段の出力信号を積分する第2積分手段と、
    上記第2積分手段の積分結果を量子化する量子化手段
    と、上記量子化手段の出力信号に基づいて上記帰還信号
    を生成するローカルD/A変換手段とを含むオーバーサ
    ンプリング型A/D変換器において、 上記第1積分手段に前置され、略1/2のゲインを有す
    る第1増幅手段と、 上記ローカルD/A変換手段と上記第2加算手段との間
    に配置され、上記第1増幅手段と略等しいゲインを有す
    る第2増幅手段と、 上記第2積分手段に前置され、上記第1増幅手段と略等
    しいゲインを有する第3増幅手段と、 を含むことを特徴とするオーバーサンプリング型A/D
    変換器。
  3. 【請求項3】 入力信号をサンプリングするためのサン
    プリング容量と、上記ローカルD/A変換手段からの信
    号帰還のための帰還容量と、上記サンプリング容量及び
    上記帰還容量の端子切換えのための複数のスイッチとを
    含むスイッチトキャパシタ回路と、 積分動作のための積分容量とを備え、 上記第1増幅手段及び上記第3増幅手段のゲインは、そ
    れぞれ対応する上記サンプリング容量及び帰還容量と上
    記積分容量との比によって設定され、 上記第2増幅手段のゲインは、それぞれ対応する上記帰
    還容量と上記積分容量との比によって設定されて成る請
    求項1又は2記載のオーバーサンプリング型A/D変換
    器。
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