JP3369636B2 - ガス圧縮膨張機 - Google Patents

ガス圧縮膨張機

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達也 廣瀬
直秀 谷川
房夫 寺田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スターリング冷凍機等
に適用されるガス圧縮膨張機に係り、特に、潤滑油シー
ルに好適なガス圧縮膨張機に関する。
【0002】
【従来の技術】バイオテクノロジーの分野や電子デバイ
スの分野等の先端技術の分野で各種試料や材料を超低温
で保存する技術の開発が望まれている。特に、スターリ
ング冷凍機等のガス圧縮膨張機による冷凍機は、効率が
極めて良く超低温を実現することができるために各種赤
外線センサ、超電導デバイス等の冷却用やバイオメディ
カル用のフリーザ、冷凍庫等に利用されつつある。
【0003】図4は、従来のガス圧縮膨張機の一例を示
している。
【0004】図において、ガス圧縮膨張機1は、断面細
長の上部外容器2aと下部外容器2bとのそれぞれ端部
が結合部2cで接続され、上部外容器2aにシリンダ3
を形成し、下部外容器2bにクランク駆動部4を配設
し、流路5によって図示省略する他の部所に連通してい
る。この他の部所としてはスターリング冷凍機の場合、
ガス圧縮または膨張する部所である。また、このガス圧
縮膨張機1は、パルスチューブ冷凍機またはGMサイク
ル冷凍機等のガス圧縮機として用いられる。
【0005】シリンダ3は、内側にピストン6を有し、
このピストン6の前方とシリンダ3とによってピストン
前方空間7を形成している。
【0006】クランク駆動部4は、底部に潤滑油8を充
たしており、図示省略する駆動モータにより回転するク
ランク9の軸部11に軸着されるコンロッド10の他端
がピストン6に接続するピストンロッド13の一端の軸
部12に回動自在に軸着され、ピストンロッド13が、
結合部2cに設けるオイルシール14を施した貫通部1
6を上下に摺動自在としている。
【0007】まず、図示省略する駆動モータの駆動によ
り連動するクランク9が回転すると、クランク9の軸部
11の一端が軸着されるコンロッド10が運動して他端
の軸部12に軸着されるピストンロッド13を上下方向
の往復運動とする。これによって、ピストン前方空間7
では、作動ガスが圧縮または膨張されて流路5を経て他
の図示省略するガス圧縮膨張部へ供給、または、逆に供
給される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来のガス圧縮膨張機1では、潤滑油8が作動空間と
してのピストン前方空間7に侵入して冷凍能力等を低下
させるという問題がある。
【0009】すなわち、図4で示すガス圧縮膨張機1
は、オイルシール14によって潤滑油8がクランク室2
1からピストン後方空間22へ侵入しないようにしてい
るが、ピストン6の上下方向の駆動によってピストン後
方空間22が低圧となるためオイルシール14のみで潤
滑油8の侵入を排除することは困難である。
【0010】このため、ガス圧縮膨張機1を冷凍機に用
いると、冷媒ガスに潤滑油8が混入して熱交換効率を低
下させたり、蓄冷器の蓄冷能力を劣化させて蓄冷能力を
低下させるという問題がある。
【0011】そこで、本発明はかかる課題を解決するた
めなされたもので、作動空間へ潤滑油の侵入を確実に防
止するガス圧縮膨張機を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、ピス
トンが嵌装されるシリンダ室と前記ピストンを駆動する
クランクが収納されるクランク室とが油シール部により
仕切られた構造を有し、前記ピストンの駆動によって前
記シリンダ室のピストン前方空間の作動ガスを圧縮また
は膨張させるガス圧縮膨張機において、油フィルタと逆
止弁とを介して前記クランク室から前記ピストン前方空
間へのみ作動ガスを流入させる第1配管を設けると共
に、逆止弁を介して前記ピストン前方空間からピストン
後方空間へのみ作動ガスを流入させる第2配管とを設け
るようにしたものである。
【0013】請求項2の発明は、ピストンが嵌装される
シリンダ室と前記ピストンを駆動するクランクが収納さ
れるクランク室とが油シール部により仕切られ、さら
に、前記シリンダ室のピストン後方空間がピストン側空
間とクランク室側空間とにシール部によって仕切られた
構造を有し、前記ピストンの駆動によって前記シリンダ
室のピストン前方空間の作動ガスを圧縮または膨張させ
るガス圧縮膨張機において、油フィルタと逆止弁とを介
して前記クランク室から作動ガスを前記ピストン側空間
へのみ流入させる第1配管を設けると共に、逆止弁を介
して前記ピストン側空間から作動ガスを前記クランク室
側空間へのみ流入させる第2配管とを設けるようにした
ものである。
【0014】請求項3の発明は、作動ガスを溜める高圧
ガス溜まりを前記第2配管に請求項1または請求項2に
付加するようにしたものである。
【0015】
【作用】請求項1の発明は、ピストンの駆動に応じて作
動ガスがクランク室からシリンダ室へのみ流入され、ピ
ストン前方空間から作動ガスがシリンダ内のピストン後
方空間へのみ流入される。従って、ピストンの駆動に応
じて作動ガスが循環する一種のポンプ機能を有し、ピス
トン後方空間から隙間を介してクランク室へ作動ガスが
流入するようにしたため潤滑油がシリンダ室に侵入する
ことが阻止される。
【0016】請求項2の発明は、ピストンの駆動に応じ
てクランク室の空間から作動ガスがピストン側空間への
み流入され、さらに、作動ガスがピストン側空間からク
ランク室側空間へのみ流入され、ピストンの駆動に応じ
て一種のポンプ機能が働き、作動ガスが、常に、クラン
ク室側空間から隙間を介してクランク室へ流入するよう
にしたため潤滑油がピストン前方空間に侵入することが
なく、特に、ピストン側空間をピストンの下方に設けた
ためのピストン前方空間の圧縮作用または膨張作用に影
響を与えないで実施することが可能となる。
【0017】請求項3の発明は、高圧ガス溜まりにより
圧力調整がされ、安定した動作をさせることができる。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。
【0019】図1は本発明の第1実施例を示すガス圧縮
膨張機の概略断面図である。
【0020】図において、ガス圧縮膨張機1は、断面細
長の上部外容器2aと下部外容器2bとを結合部2cで
接続し、上部にシリンダ3と下部にクランク駆動部4を
配設し、流路5によって図示省略する他のガス圧縮膨張
部等に連通している。シリンダ3は、内側にピストン6
を有し、このピストン6の前方とシリンダ3とによって
ピストン前方空間7を形成している。
【0021】クランク駆動部4は、底部に潤滑油8を充
たしており、図示省略する駆動モータにより回転するク
ランク9の軸部11に一端で軸着されるコンロッド10
の他端がピストン6に接続するピストンロッド13の一
端の軸部12に回動自在に軸着され、ピストンロッド1
3は、オイルシール14が施され、貫通部16を上下に
摺動自在としている。
【0022】下部のクランク室21とピストン前方空間
7とは、逆止弁23とフィルタ24とを配置した連通管
25によって連通し、また、ピストン前方空間7とシリ
ンダ3の下部のピストン後方空間22とは逆止弁26と
高圧ガス溜まり27とを設けた連通管28によって連通
している。なお、第1実施例では、逆止弁23の下流側
に油フィルタ24が設けられているが、逆止弁23の上
流側に油フィルタ24を設けてもよい。
【0023】まず、図示省略する駆動モータの駆動によ
り連動するクランク9が回転すると、クランク9の軸部
11の一端が軸着されるコンロッド10が運動して他端
の軸部12に軸着されるピストンロッド13を上下方向
の往復運動とする。これによって、ピストン前方空間7
では、作動ガスが圧縮または膨張されて流路5を経て他
の図示省略するガス圧縮膨張部へ供給され、または、逆
に供給される。
【0024】ここで、ピストン前方空間7では、ピスト
ン6が下方へ駆動すると、ピストン前方空間7の圧力が
低下して、作動ガスがクランク室21から連通管25に
よって油フィルタ24で潤滑油8を除去しつつ、ピスト
ン前方空間7へ流入される一方、ピストン6が上方へ駆
動すると、ピストン前方空間7の作動ガスの一部が連通
管28を介して高圧ガス溜まり27に流入して溜めら
れ、さらに、ピストン後方空間22の圧力に応じて高圧
ガス溜まり27の作動ガスがピストン後方空間22に流
入される。これによって、ピストン後方空間22の圧力
がクランク室21の圧力よりやや高められ、作動ガスが
ピストン後方空間22からクランク室21へ貫通部16
を通過して流入される。
【0025】従って、クランク室21とピストン前方空
間7と高圧ガス溜まり27とピストン後方空間22との
間に一種のポンプ機能を有する循環流路が形成され、僅
かの作動ガスがピストン6の駆動に応じて貫通部16を
流れるため、逆に、クランク室21からピストン後方空
間22へ潤滑油8が侵入することが阻止される。
【0026】このように、連通管25と連通管28によ
ってピストン6の駆動に応じて作動ガスが循環する一種
のポンプ機能を有し、ピストン後方空間22からクラン
ク室21へ作動ガスが流入するようにしたため潤滑油8
がピストン前方空間7に侵入することが阻止できる。そ
の上、高圧ガス溜まり27によりピストン後方空間22
の圧力調整がされ、安定した動作をさせることができ
る。
【0027】なお、第1実施例では高圧ガス溜まり27
を設けたが、ピストン後方空間22の容量が大きい場合
には、必ずしも高圧ガス溜まり27を設ける必要はな
い。
【0028】図2は、本発明の第2実施例を示すガス圧
縮膨張機の概略断面図である。
【0029】図において、ガス圧縮膨張機1は上部外容
器2aと下部外容器2bとを端部の結合部2cで接続
し、上部外容器2aの上部にシリンダ3を配置すると共
に、上部外容器2aの下部にシール部2dを形成し、流
路5によって図示省略する他のガス圧縮膨張部等に連通
している。
【0030】シリンダ3は、内側にピストン6を有し、
このピストン6の上方にピストン前方空間7を形成する
と共に、ピストン6の下方にピストン側空間29とシー
ル部2dの下方にクランク室側空間22を形成してい
る。
【0031】クランク駆動部4は、底部に潤滑油8を充
たしており、図示省略する駆動モータにより回転するク
ランク9の軸部11に一端軸着されるコンロッド10の
他端がピストン6に接続するピストンロッド13の一端
の軸部12に回動自在に軸着され、ピストンロッド13
は、オイルシール14を施した貫通部16を上下に摺動
自在としている。
【0032】下部のクランク室21とピストン側空間2
9とは、逆止弁23と油フィルタ24とを配設した連通
管25によって連通し、さらに、ピストン側空間29と
クランク室側空間22とは、逆止弁26と高圧ガス溜ま
り27とを設けた連通管28によって連通している。な
お、第2実施例では、逆止弁23の下流側に油フィルタ
24が設けられているが、逆止弁23の上流側に油フィ
ルタ24を設けてもよい。
【0033】まず、図示省略する駆動モータの駆動によ
り連動するクランク9が回転すると、クランク9の軸部
11の一端が軸着されるコンロッド10が運動して他端
の軸部12に軸着されるピストンロッド13を上下方向
の往復運動とする。
【0034】これによって、ピストン前方空間7では、
作動ガスが圧縮または膨張されて流路5を経て他の図示
省略するガス圧縮膨張部へ供給され、または、逆に供給
される。
【0035】ここで、ピストン側空間29では、ピスト
ン6の上下方向の往復駆動によって作動ガスが流入さ
れ、さらに、クランク室側空間22へ送出される。すな
わち、ピストン6が上方へ駆動すると、ピストン側空間
29の圧力が低下してクランク室21の作動ガスが連通
管25を介してピストン側空間29へ流入される。この
とき、作動ガスと一緒に潤滑油8も逆止弁23を通過す
るが、油フィルタ24によって潤滑油8が除去され、作
動ガスのみピストン側空間29へ流入する。
【0036】続いて、ピストン6が下方へ駆動すると、
ピストン側空間29の圧力が高められ、ピストン側空間
29の作動ガスが逆止弁26を介して高圧ガス溜まり2
7に溜められる。そして、クランク室側空間22の圧力
に応じて高圧ガス溜まり27の作動ガスの一部がクラン
ク室側空間22へ流入される。
【0037】この結果、クランク室側空間22の圧力が
クランク室21の圧力より僅か高められ、作動ガスがク
ランク室側空間22からクランク室21へ貫通部16の
オイルシール14を介して流入される。
【0038】このため、クランク室21とピストン側空
間29とクランク室側空間22との間に循環流路が形成
されて、常に、クランク室側空間22から僅かの作動ガ
スが貫通部16のオイルシール14を介してクランク室
21へ流入され、逆に、潤滑油8を含む作動ガスがクラ
ンク室21からクランク室側空間22へ流入を阻止され
る。
【0039】このように、連通管25と連通管28によ
ってピストン6の駆動に応じて一種のポンプ機能が働
き、作動ガスが、常に、クランク室側空間22からクラ
ンク室21へ流入するようにしたため潤滑油8がピスト
ン前方空間7に侵入することがなく、特に、第2実施例
ではピストン側空間29をピストン6の下方に設けたた
めピストン前方空間7の圧縮作用または膨張作用に影響
を与えないで実施することが可能となる。
【0040】なお、第2実施例は高圧ガス溜まり27を
設けて圧力調整をしているが、図3に示す第3実施例の
如く、ガス圧縮膨張機1に備えるクランク室側空間22
のスペースを大きく形成し、高圧ガス溜めを内蔵しても
同様に実施することができ、このようにすれば、高圧ガ
ス溜まり27が不要となり、コンパクトなガス圧縮膨張
機となる。
【0041】
【発明の効果】請求項1の発明は、ピストンの駆動に応
じて作動ガスが循環する一種のポンプ機能を有するよう
にして、クランク室側空間から油シール部を介してクラ
ンク室へ常に作動ガスが流入するようにしたため潤滑油
がシリンダ室に侵入することが阻止される。
【0042】請求項2の発明は、ピストンの駆動に応じ
て一種のポンプ機能が働き、作動ガスが、常に、クラン
ク室側空間から油シール部を介してクランク室へ流入す
るようにしたため潤滑油がピストン前方空間に侵入する
ことがなく、特に、ポンプ機能を有するピストン側空間
をピストンの下方に設けたためシリンダ室の圧縮作用ま
たは膨張作用に影響を与えないで実施することが可能と
なる。
【0043】請求項3の発明は、高圧ガス溜まりにより
圧力調整がされ、安定した動作をさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示すガス圧縮膨張機の概
略断面図。
【図2】本発明の第2実施例を示すガス圧縮膨張機の概
略断面図。
【図3】本発明の第3実施例を示すガス圧縮膨張機の概
略断面図。
【図4】従来例を示すガス圧縮膨張機の概略断面図。
【符号の説明】
1 ガス圧縮膨張機 3 シリンダ 4 クランク駆動部 5 流路 6 ピストン 7 ピストン前方空間 8 潤滑油 9 クランク 10 コンロッド 21 クランク室 22 ピストン後方空間 23,26 逆止弁 24 油フィルタ 25,28 連通管 27 高圧ガス溜まり 29 ピストン側空間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中里 孝 大阪府守口市京阪本通2丁目18番地 三 洋電機株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−278147(JP,A) 特開 昭59−56056(JP,A) 特開 平6−249064(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F25B 9/14 510 F02G 1/053 F04B 39/00 104 F04B 39/02

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ピストンが嵌装されるシリンダ室と前記
    ピストンを駆動するクランクが収納されるクランク室と
    が油シール部により仕切られた構造を有し、前記ピスト
    ンの駆動によって前記シリンダ室のピストン前方空間の
    作動ガスを圧縮または膨張させるガス圧縮膨張機におい
    て、 油フィルタと逆止弁とを介して前記クランク室から前記
    ピストン前方空間へのみ作動ガスを流入させる第1配管
    を設けると共に、逆止弁を介して前記ピストン前方空間
    からピストン後方空間へのみ作動ガスを流入させる第2
    配管とを設けたことを特徴とするガス圧縮膨張機。
  2. 【請求項2】 ピストンが嵌装されるシリンダ室と前記
    ピストンを駆動するクランクが収納されるクランク室と
    が油シール部により仕切られ、さらに、前記シリンダ室
    のピストン後方空間がピストン側空間とクランク室側空
    間とにシール部によって仕切られた構造を有し、前記ピ
    ストンの駆動によって前記シリンダ室のピストン前方空
    間の作動ガスを圧縮または膨張させるガス圧縮膨張機に
    おいて、 油フィルタと逆止弁とを介して前記クランク室から作動
    ガスを前記ピストン側空間へのみ流入させる第1配管を
    設けると共に、逆止弁を介して前記ピストン側空間から
    作動ガスを前記クランク室側空間へのみ流入させる第2
    配管とを設けたことを特徴とするガス圧縮膨張機。
  3. 【請求項3】 作動ガスを溜める高圧ガス溜まりを前記
    第2配管に付加したことを特徴とする請求項1または請
    求項2記載のガス圧縮膨張機。
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EP2710263B1 (de) 2011-08-03 2016-09-14 Pressure Wave Systems GmbH Kompressorvorrichtung sowie eine damit ausgerüstete kühlvorrichtung und eine damit ausgerüstete kältemaschine
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