JP3367224B2 - 赤外線固体撮像装置 - Google Patents

赤外線固体撮像装置

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JP3367224B2 JP24487794A JP24487794A JP3367224B2 JP 3367224 B2 JP3367224 B2 JP 3367224B2 JP 24487794 A JP24487794 A JP 24487794A JP 24487794 A JP24487794 A JP 24487794A JP 3367224 B2 JP3367224 B2 JP 3367224B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、固体撮像装置に関する
ものであり、特に、波長感度の制御を可能ならしめる構
造を持つ赤外線固体撮像装置に関するものである。さら
に、互いに波長感度の異なる複数の受光素子を持つ赤外
線固体撮像装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】固体撮像素子の一種に、赤外線での撮像
を目的とした赤外線撮像素子がある。温度を持つ物体は
なんらかの赤外線を放出しているので、可視光では撮像
できないような闇夜でも、赤外線固体撮像素子を用いた
赤外線撮像装置ならば、画像撮影が可能であり、監視用
などの用途に使用されている。監視用途では、物体の放
射する赤外線を検出すれば良いため、赤外線に対する感
度が良好ならば、従来の赤外線撮像装置で十分実用にな
っていた。
【0003】また、物体は、物体の温度に応じた赤外線
を放射しているため、物体を赤外線撮像装置で撮像し受
光した赤外線量を計量すれば、物体の温度を知ることが
できるであろうとの知見から、赤外線撮像素子を用いて
温度計測を行なう赤外線温度計が開発されている。
【0004】理想的な熱放射体として黒体という概念が
あるが、実在の物体の熱放射量は、同じ温度の黒体より
も小さく、その比率は一般的に放射率と呼ばれている。
従って、個々の物体の放射率が既知であれば、赤外線撮
像装置を用いて物体からの赤外線照射量、即ち熱放射量
を計測すれば真の温度を算出することができる。そこ
で、従来の赤外線温度計では、放射率を指定することが
できるようになっている。
【0005】ところで、物体からの熱放射において、物
体の温度が変わると、物体から放射されるエネルギーの
波長分布が変わるというプランクの分布則が知られてい
る。例えば、図12示すように、放射率が1の黒体で
は、温度に応じてそれぞれ異なる分光輻射強度を持つ。
プランクの分布則によれば、物体の温度が高くなるにつ
れて、波長の短い成分のエネルギー放射が多くなる。そ
して、ある温度の物体から放射されるエネルギーは、波
長方向に積分すると、物体の絶対温度の4乗に比例する
というステファンーボルツマンの法則が成り立ってい
る。従来の赤外線温度計は、このステファンーボルツマ
ンの法則に従い、物体からの放射エネルギーを測定し、
その大小により物体の温度を求めようとしたものであ
る。
【0006】更に、分析科学の分野では、試料の発光あ
るいは吸収スペクトルを赤外線波長域で測定し、物質の
持つ特徴的なスペクトルから、試料の組成あるいは同定
を行なう装置が開発されている。
【0007】ここで、上記の如き赤外線温度計として用
いられる従来の赤外線撮像装置の一例を図13に示す。
これは、半導体基板上に形成した光電変換部と、更にそ
の上に光電変換部を透過した光を再び光電変換部に導入
するための反射膜とを有する赤外線固体撮像装置の平面
構成を模式的に示したものである。図13において、光
電変換部を含む受光素子102が半導体基板101上に
マトリクス状に配列されて受光部が構成されている。
【0008】この受光部には、各受光素子102毎に発
生した電荷を読み出すために、複数の垂直電荷転送部1
03が受光素子列に沿って受光素子間の間隔領域に形成
されており、さらにこの複数の垂直電荷転送部103に
接続された水平電荷転送部104が形成されている。各
受光素子102からの電荷は、垂直電荷転送部103、
水平電荷転送部104を転送され、電荷読み出し回路で
ある出力回路105を通して固体撮像装置外へ出力す
る。実際には、電荷を読み出すために、電荷転送部の上
に設けられた転送電極等が必要である。
【0009】このような固体撮像装置の受光部の一部を
拡大して図14(a)に示した。ここでは、縦横3個の
合計9個分の受光素子を含む受光部表面の一領域を模式
的に示している。該受光部は、例えば、半導体基板10
1としてP型シリコンを用い、この半導体基板101に
Ptを披着し、熱処理を加えることによりPtとSiの
シリサイド層を形成し、該シリサイド層とP型シリコン
間で形成するショットキー接合を光電変換部とする受光
素子を用いた赤外線固体撮像装置である。それぞれの光
電変換部(反射膜109の下に存在する。)が、ガード
リング領域108と分離領域107で周囲を囲まれ、ガ
ードリング領域108と分離領域107を含めた受光素
子を構成し、前記受光素子を2次元マトリクス状に配置
し、受光部を構成している。
【0010】図14(b)は、(a)の赤外線固体撮像
装置の受光素子のAーA’断面における表面付近の一部
の構造を示したものである。この受光素子において、入
射光はシリコン基板101の裏面(図14(b)におい
ては、図面下方)から入って、一旦光電変換部であるP
tSiシリサイド層112を通り、光電変換され信号電
荷を生じさせる。
【0011】しかし、光電変換されるのは入射光の一部
であり、PtSiシリサイド層112を透過した光は、
反射膜(金属反射膜)109で反射され、再度、受光部
であるPtSiシリサイド層112を通り、光電変換さ
れる。赤外線固体撮像装置においては、一般に、このよ
うな構造をオプティカルキャビティ構造と呼び、このオ
プティカルキャビティ構造を採用することによって赤外
線の検出感度を上げている。そして、従来技術による赤
外線固体撮像装置においては、受光部上の全ての受光素
子で、オプティカルキャビティ構造は同一の設計形状で
あった。即ち、光電変換部と反射膜間の光学的距離は、
全ての受光素子で同じになるよう作られていた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
如き赤外線撮像装置を用いて温度計測を行なう場合、物
体からの赤外線放射量を計測しようとする方式では、物
体の温度を適切に測定できない場合が多かった。これ
は、全ての物質の放射率が数表として提供されていない
ことから、放射率が未知の場合は、予め、使用者が自ら
実験的に放射率を求めなければならず、これには非常に
時間を要していた。このため、実際には、使用者は、個
々の物体の真の温度とは異なることを承知の上で、放射
率を黒体の放射率と同じ値とし、使用する場合がほとん
どであったためである。このような状況では、意味のあ
る温度計測は不可能であった。
【0013】一方、物体の放射率は、波長によらず一定
な場合と、波長依存性を有する場合があるが、波長依存
性を有する場合であっても、狭い波長範囲では一定値と
見なせる場合が多いことから、個々の物体の放射率が、
物体により異なるとしても、撮像波長範囲で一定であれ
ば、プランクの分布則から、複数の波長で物体からのエ
ネルギー放射量を測定し、エネルギーの波長分布から、
物体の温度を知ることができる。これを、赤外線撮像素
子を用いた赤外線温度計で実現できれば、非接触で二次
元の温度分布を高速に測定できる優れた温度計測装置を
得ることができることが見出されている。
【0014】このようなエネルギーの波長分布から物体
の温度を知る赤外線固体撮像装置を用いた赤外線温度計
を実現するには、受光部にていくつかの波長帯に分割し
て撮像する必要が生じるが、それには、所謂可視光にお
ける3原色(赤、緑、青)のカラーフィルタに相当する
赤外域用フィルタの実現が必要不可欠となる。
【0015】しかしながら、可視光用の固体撮像装置の
場合では、カラーフィルタが有機材料と染料を用いて容
易に形成でき、また、光電変換部上に配置すれば良いの
で容易に固体撮像素子に適用できるのに対して、赤外線
領域においては、有機材料を用いたカラーフィルタは実
現困難であり、特殊な無機材料を数層に蒸着するなどの
方法によらなければ作成できなかった。まして、複数種
のフィルタを非常に小さい各受光素子の受光領域上に配
置することは、非常に困難であった。特に、裏面入射型
の場合、光電変換部とシリコンウエハを隔てて配置する
必要があるため、上記の如きフィルタを配置することは
不可能であった。従って、エネルギーの波長分布から物
体の温度を求める赤外線固体撮像装置を実現することは
できなかった。
【0016】また、同様に、赤外線領域での吸収あるい
は発光スペクトルから、物質の持つ特徴的なスペクトル
を抽出し、試料の組成あるいは同定を二次元的に行なう
には、赤外線固体撮像装置の受光素子に数種類のフィル
タを設置することが必要となること、さらに、赤外線領
域でのスペクトル測定を行なう場合、分光器あるいはグ
レーティングを用いる必要があり、装置として非常に大
がかりとなるため、マトリクス状に受光素子が配置され
たエリアセンサにおいては、赤外線領域でのスペクトル
分析から試料の同定を行なうことは実現不可能であっ
た。
【0017】本発明は、かかる問題に鑑み、マトリクス
状に複数の受光素子が配置されてなる受光部をいくつか
の波長帯に分割できるような赤外線領域用の、所謂可視
領域における補色検出機能に相当する機能を持つ赤外線
固体撮像装置を得ることを目的とする。また、赤外線領
域用の補色検出機能によって特定波長の吸収あるいはス
ペクトルを感度良く検出することのできる赤外線固体撮
像装置を得ることを目的とする。さらに、放射率によら
ないで非接触で二次元の温度分布を高速に測定できる優
れた温度計としての赤外線撮像装置を提供することを目
的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に記載の発明に係る赤外線固体撮像装置で
は、光透過性基板上に複数の受光素子を配列して形成さ
れた受光部を有し、各受光素子は、基板の第1主面上に
形成された光電変換部と、この光電変換部上に透光性絶
縁層を介して形成された反射膜からなるオプティカルキ
ャビティ構造を含み、前記基板の第1主面に対向する第
2主面側から入射して基板を透過した入射光およびこの
入射光のうち前記光電変換部と前記絶縁層を透過して前
記反射膜で反射された反射光を前記光電変換部で電気信
号に変換するようにした赤外線固体撮像装置であって、
前記受光部は、前記光電変換部と反射膜間の光学的距離
が互いに異なるオプティカルキャビティ構造をもつ複数
種の受光素子が配列されており、前記複数種の受光素子
のうち、一種以上の受光素子のオプティカルキャビティ
構造は、それぞれ、その他種の受光素子で光電変換可能
な波長域内の予め定められた特定波長の入射光と反射光
とが互いの強度を弱め合うような光学的距離を有してい
るものである。
【0019】また、請求項2に記載の発明に係る赤外線
固体撮像装置では、請求項1に記載の赤外線固体撮像装
置において、互いに異なる光学的距離のオプティカルキ
ャビティ構造を有する第1の受光素子と第2の受光素子
と、該第1と第2の受光素子間の電気信号出力の差分を
検出する偏差検出手段とを備えたことものである。
【0020】また、請求項3に記載の発明に係る赤外線
固体撮像装置では、請求項1に記載の赤外線固体撮像装
置において、互いに異なる光学的距離のオプティカルキ
ャビティ構造を有する第1の受光素子と第2の受光素子
と第3の受光素子と、第1と第2の受光素子間の電気信
号出力の差分、および第2と第3の受光素子間の電気信
号出力の差分を検出する偏差検出手段と、前記両差分間
の比を検出する比率検出手段とを備えたものである。
【0021】さらに、請求項4に記載の発明に係る赤外
線固体撮像装置では、請求項1、または請求項2、請求
項3に記載の赤外線固体撮像装置において、前記異種受
光素子間の光学的距離の相違は、前記絶縁層の厚さの相
違によって決定されるものである。
【0022】さらにまた、請求項5に記載の発明に係る
赤外線固体撮像装置では、請求項1、または請求項2、
請求項3に記載の赤外線固体撮像装置において、前記異
種受光素子間の光学的距離の相違は、前記絶縁層の屈折
率の相違によって決定されるものである。
【0023】
【作用】本発明は、光透過性基板上に、基板の第1主面
上に形成された光電変換部とこの光電変換部上に透光性
絶縁層を介して形成された反射膜とからなるオプティカ
ルキャビティ構造を含む受光素子を複数配列して受光部
を形成し、各受光素子では、基板の第1主面に対向する
第2主面側から入射して基板を透過した入射光およびこ
の入射光のうち光電変換部と絶縁層を透過して反射膜で
反射された反射光を光電変換部で電気信号に変換するよ
うにした赤外線固体撮像装置であり、従来は撮像波長で
の感度向上のために用いられてきた光電変換部と反射膜
間のオプティカルキャビティ(オプティカルキャビテ
ィ)構造に着目して、受光部を、光電変換部と反射膜間
の光学的距離が互いに異なるオプティカルキャビティ構
造をもつ複数種の受光素子が配列されたものとし、これ
ら複数種の受光素子のうち一種以上の受光素子のオプテ
ィカルキャビティ構造を、それぞれ、その他種の受光素
子で光電変換可能な波長域内の予め定められた特定波長
の入射光と反射光とが互いの強度を弱め合うような光学
的距離とすることによって、オプティカルキャビティ構
造を可視領域における補色検出に相当する機能を持ち得
る構成としたものである。
【0024】ここで、オプティカルキャビティ構造の効
果について、図10を用いて説明する。図10は、オプ
ティカルキャビティ構造の要素を示したもので、屈折率
nで厚さdの物質(図14における絶縁膜111に相
当)51があり、物質51の一方の面上には赤外光を反
射する反射膜(金属反射膜)52を設けられたものであ
る。物質51及び反射膜52は真空中にあるものとす
る。前記の赤外線固体撮像装置の受光素子においては、
反射膜52に対向する物質51の他方の面53に光電変
換部を形成した構成となる。
【0025】このようなオプティカルキャビティ構造に
おいて、面51側から、波長λの赤外光を垂直に入射さ
せたとする。面51では、入射光I1と、反射膜52で
反射されて戻ってきた光I2が存在する。この入射光I
1と戻り光I2は、次の式(1) と式(2) を満たす波長の
とき、面51において強め合う。 λ=4・n・d/N ……………… (1)式 N=1、3、5・・・ ……………… (2)式 また、入射光I1と戻り光I2は、式(1) において、N
が次の式(3) を満たす波長のとき、面51において弱め
合う。 N=2、4、6・・・ ……………… (3)式
【0026】例えば、PtSiシリサイドで光電変換部
を構成した赤外線固体撮像装置の受光素子では、波長約
5μmまでの感度を有し、また、約1μm以下の波長に
対しては、シリコン基板での吸収が生じる。従って、前
記赤外線固体撮像装置の受光素子は1〜5μmの波長の
赤外線に感度を有することとなる。
【0027】しかし、大気中での炭酸ガスあるいは水蒸
気による吸収があるため、PtSiシリサイドで光電変
換部を構成した受光素子を用いた従来の赤外線固体撮像
装置では、一般的には3〜5μmの波長に対して撮像を
行なっている。そこで、オプティカルキャビティ構造
は、波長4μm前後で最適となるよう設定するのが一般
的であった。
【0028】光電変換部と反射膜の間に、シリコン酸化
膜(絶縁膜)を設置した構造では、n=1.4、λ=4
μmとすると、先の式(1) から、d=0.7μmとな
る。従って、波長4μm前後で感度を最適にする赤外線
固体撮像装置の受光素子では、0.7〜0.8μmのシ
リコン酸化膜を光電変換部と反射膜の間に設置すれば良
い。なお、以上のモデルは非常に単純化したもので、実
際の光学特性をシュミレーションするには複雑な計算を
必要とするが、オプティカルキャビティ構造の基本的な
動作、最適化には十分使用できるモデルである。
【0029】しかし、上記の如き1〜5μmの波長の赤
外線に感度を有する受光素子において、ある波長の赤外
線においては、上記式(1) および式(3) を満たす、即ち
入射光I1と戻り光I2とが面15において弱め合う条
件となる場合が生じる。例えば、d=0.75μm、n
=1.4とした場合のオプティカルキャビティ構造で
は、その分光感度特性を示す図11(横軸は入射波長
で、縦軸は波長λの光が単位面積あたり何ワット入射し
たときに、単位面積あたり何アンペアの信号電流が得ら
れるかを示したもの)からわかるように、λ=2.1μ
mで感度の谷が生じている。
【0030】本発明は、このように、オプティカルキャ
ビティ構造の光学的距離を予め設定することにより、従
来は不可能といわれていた特定波長の赤外線に対して所
謂可視領域における補色検出に相当する機能(以下、赤
外域補色検出機能と記す)を備えた赤外線固体撮像装置
を実現したものである。
【0031】この、赤外域補色検出機能は、オプティカ
ルキャビティ構造において、光電変換部と反射膜間の光
学的距離を変えることによって希望する波長に対応した
ものを形成できる。従って、受光素子単位で光学的距離
を互いに異ならしめることにより、それぞれ異なる特定
波長に対して赤外域補色検出機能を有する複数種の受光
素子が得られ、一つの赤外線固体撮像装置用受光部上で
異なる光学的距離を持つ複数種の受光素子を集積するこ
とによって、受光部をいくつかの波長帯に分割すること
が可能と成る。
【0032】例えば、請求項2に記載した如く、互いに
異なる光学的距離のオプティカルキャビティ構造を有す
る第1の受光素子と第2の受光素子との2種類の受光素
子で受光部を構成し、偏差検出手段によって第1と第2
の受光素子間の電気信号出力の差分を検出する構成とす
るれば、ある特定波長のみに感度を持つ赤外域補色検出
機構を疑似的に構成することが可能となる。
【0033】即ち、例えば、ある波長域の赤外線に対し
て感度を有する第1の受光素子と、第1の受光素子とほ
ぼ同じ波長域の赤外線に対して感度を有すると共に該波
長域中の特定波長の赤外線に対して低い感度を有する第
2の受光素子で受光部を構成した場合、第1の受光素子
からの電気信号出力と第2の受光素子からの電気信号出
力の差分を求めるということは、第1の受光素子によっ
て受光された赤外線の内、ほぼ前記特定波長(第2の受
光素子では感度が低い波長)の赤外線のみが検知される
こととなり、従って、赤外線撮像装置全体では、該特定
波長の赤外線に対して感度を持つということになる。こ
の特定波長部分の受光赤外線に相当する電気信号出力
(差分)を検出するための偏差検出は、アナログ的に演
算することによって、また一旦デジタル信号に変えた後
で数値計算することによって行なっても良い。
【0034】また、請求項3に記載したように、互いに
異なる光学的距離のオプティカルキャビティ構造を有す
る第1の受光素子と第2の受光素子と第3の受光素子と
の3種類の受光素子から受光部を構成し、偏差検出手段
により第1と第2の受光素子間の電気信号出力の差分、
および第2と第3の受光素子間の電気信号出力の差分を
検出し、比率検出手段によって前記両差分間の比を検出
することにより、撮像した物体の絶対的な温度を、放射
率に影響されることなく求めることが可能となる。
【0035】即ち、このような構成においては、上記の
如き感度の低い特定波長を2つ設定できるため、これら
2種の電気信号出力の差分を検出するということは、受
光部全体として2つの異なる特定波長に対して感度を持
つことになる。同じ物体においては、この2つの差分の
比率と温度との間の一定の関係がわかれば、この比率を
求めることによって物体の温度を正確に求めることがで
きる。
【0036】なお、本発明は、受光部を、互いにオプテ
ィカルキャビティ構造の光学的距離が異なる2種あるい
は3種類の受光素子から構成するものに限らず、同様
に、例えば、4種類の受光素子から、受光部を構成し、
3つの差分を検出することによって3つの特定波長に対
して感度を有する固体撮像装置も構成でき、もちろん、
場合に応じて多種類(4種以上)の受光素子で受光部を
構成することも可能である。
【0037】また、本発明による赤外線固体撮像装置
は、図13に示すようなインターライントランスファー
型CCDに限られるものではなく、受光部で発生した信
号電荷を固体撮像装置外部に取り出す手段、即ち、信号
の転送・読み出し手段は、いかなる方式でも使用可能で
あり、例えば、CCD(電荷結合素子)方式、CSD
(電荷掃き寄せ素子)方式、MOS型などの方式が採用
できる。
【0038】また、上記の如きオプティカルキャビティ
構造で構成した赤外域補色検出機能は、式(1) 及び式
(3) で表したように周期性を有しているため、受光部が
感度を有する波長域内において、不要な感度低下部分が
生じる場合がある。このような場合、撮像光が受光部に
入射する前に、一旦、波長制限をかけるように、固体撮
像装置の裏面に、あるいは該撮像装置を組み込む光学系
内に光学フィルタを設けることによって、不要な感度低
下部分の感度特性を除くことが可能となる。
【0039】以上のように、互いに異なるオプティカル
キャビティ構造を構成するためには、各々異種受光素子
間で光電変換部と反射膜間の光学的距離を相違させなけ
ればならない。具体的には、例えば請求項4に記載した
ように、光電変換部と反射膜間の絶縁層の厚さ((1) 式
のd)を相違させることによって光学的距離を相違させ
られる。このように、光学的距離の違いを絶縁層の厚さ
の違いで決定する場合、複数の受光素子の製造にあたっ
ては、同一部材(絶縁層)で成膜時の膜厚を調整するだ
けで良いため、簡便である。
【0040】また、その他、異種受光素子間で光電変換
部と反射膜間の光学的距離を相違させるための方法とし
て、請求項5に記載したように、各絶縁層の屈折率
((1) 式のn)を異ならしめる方法がある。即ち、絶縁
層として異なる物質を用いれば良い。絶縁層に使用可能
な物質としては、目的とする波長域の赤外線に対して透
過性を有するものであれば良い。もちろん、絶縁層の厚
さ、及び屈折率の組み合わせを調節することによっても
希望する波長に対応した光学的距離を設定することがで
きる。
【0041】
【実施例】以下に、実施例を以て本発明を更に詳しく説
明する。 (実施例1)まず、本発明の第一の実施例として、水分
による波長1.8μmでの吸収帯を利用して気体中や物
体の水分含有率等を計測するような水分計に用いる、互
いに光学的距離が異なる2種類の受光素子からなる受光
部を持つ赤外線固体撮像装置を、図1〜3を以て説明す
る。本実施例による赤外線固体撮像装置は、図1(a)
に示すように、結像光学系1、波長1.6μm以上の波
長光を透過する光学フィルタ2、駆動回路3からの信号
に応じて駆動する受光部4、偏差検出手段としての信号
読みだし演算回路5が配置されたものである。
【0042】ここで用いる受光部4は、図1(b)の概
念図に示すように、互いにオプティカルキャビティの光
学的距離が異なる第1の受光素子6と第2の受光素子7
とが、同種どうしで隣り合わないように光透過性基板上
にマトリクス状に配置されてなるものである。
【0043】第1の受光素子6は、その断面図を図2
(a)に示すように、光透過性基板11の第1主面上に
形成された光電変換部であるPtSiシリサイド層12
と、該PtSiシリサイド層12上に、厚さ0.46μ
mのシリコン酸化膜(屈折率1.4)13を介して形成
された反射膜14とから構成されるオプティカルキャビ
ティ構造を有するものである。また、第2の受光素子7
は、その断面図を図2(b)に示すように、光透過性基
板11上の第1主面上に形成された光電変換部であるP
tSiシリサイド層22と、該PtSiシリサイド層2
2上に、厚さ0.61μmのシリコン酸化膜(屈折率
1.4)23を介して形成された反射膜24とから構成
されるオプティカルキャビティ構造を有するものであ
る。
【0044】図1(b)では、それぞれの受光素子を模
式的に四角形で示したが、実際には、各々、反射膜(1
4,24)下に存在する光電変換部(12,22)が、
ガードリング領域(16,26)と分離領域(15,2
5)で周囲を囲まれている。また、各受光素子列間が垂
直電荷転送路となるよう、同一基板11の、分離領域
(15,25)によって光電変換部(12,22)と分
離された領域に、それぞれBCCD拡散層(17,2
7)と、該拡散層上にポリシリコンからなるCCD転送
電極(18,28)が形成されている。
【0045】これら第1の受光素子6およ第2の受光素
子7は、各々のオプティカルキャビティ構造に応じて、
それぞれ図3(a),(b)に示すような波長1.5μ
mから6μmまでの赤外線に対する感度特性を有する。
特に、第2の受光素子7は、波長1.8μm近傍の赤外
線に対して低い感度を示すものである。
【0046】このような構成の赤外線固体撮像装置にお
いて、結像光学系1および光学フィルタ2を介して受光
された入射赤外線に応じて、受光部4で電気信号が生
じ、信号読み出し演算回路5において、これらの電気信
号が読み出され、アナログ/デジタル変換され、お互い
に隣接する第1の受光素子6と第2の受光素子7の出力
信号の差が演算される。
【0047】これは、図3(a)に示す分光感度を有す
る受光素子からの出力信号と図3(b)に示す分光感度
を有する受光素子からの出力信号の差分を検出すること
は、図3(c)に示すような特定波長帯域に対して感度
を持つ受光素子によって赤外線を検出することに相当
し、即ち、受光部4による出力信号は、波長1.8μm
近傍のみを透過させる帯域の狭いバンドパスフィルタの
特性を持つ受光センサからの出力信号と等価である。こ
こで、実際、最終的に得られる出力信号は、それぞれの
分光感度と分光輻射強度との積によって得られる2つの
分光曲線の面積に相当するものの差分である。
【0048】本実施例の水分計によれば、例えば図3
(a)に示したような感度領域の広い受光素子のみから
なる受光部を持つ従来の赤外線固体撮像装置で波長1.
8μmの水分による吸収帯を観察するよりも、相対的な
感度を増加させることができ、水分の微妙な変化を吸収
率の変化から求めることができる。
【0049】更に、上記の如き水分計による検出結果の
表示方式の一例として、例えば、受光部4からの信号の
うち、図3(b)に示す1.8μm近傍の波長域に対し
て低い感度特性を持つ第2の受光素子7からの出力信号
のみで画像を表示し、前述の演算回路5において得られ
る第1の受光素子6と第2の受光素子7の出力信号の差
分から算出した水分分布を画像にスーパーインポーズす
ることにより、撮像画像上で水分の濃度分布を表示する
ことができる。
【0050】(実施例2)次に、本発明の第2の実施例
として、互いにオプティカルキャビティ構造の光学的距
離の異なる3種類の受光素子からなる受光部を備えた赤
外線温度計を図4〜図7を用いて以下に説明する。
【0051】本実施例の赤外線温度計は、図4(a)に
示す如く、結像光学系31、波長3μm以上の波長光を
透過する光学フィルタ32、駆動回路33からの信号に
応じて駆動する受光部34、偏差検出手段および比率検
出手段としての信号読みだし演算回路35が配置された
ものである。
【0052】ここで用いる受光部34は、図4(b)の
概念図に示すように、互いにオプティカルキャビティ構
造の光学的距離が異なる第1の受光素子36と第2の受
光素子37と第3の受光素子38が、同種どうしで隣り
合わないように光透過性基板上にマトリクス状に配置さ
れてなるものである。
【0053】第1、第2、第3の受光素子(36,3
7,38)は、それぞれ実施例1で用いた受光素子(図
2)と同様の構成をもち、光透過性基板の第1主面上に
形成された光電変換部であるPtSiシリサイド層と、
該PtSiシリサイド層上に予め定められた、厚さのシ
リコン酸化膜(屈折率1.4)を介して形成された反射
膜とから構成されるオプティカルキャビティ構造を有す
るものである。
【0054】また、図4(b)では、それぞれの受光素
子を模式的に四角形で示したが、実際には、各々、反射
膜下に存在する光電変換部が、ガードリング領域と分離
領域で周囲を囲まれており、さらに各受光素子列間が垂
直電荷転送路となるよう、同一基板の、分離領域によっ
て光電変換部と分離された領域に、それぞれBCCD拡
散層と、該拡散層上にポリシリコンからなるCCD転送
電極が形成されている。
【0055】本実施例においては、オプティカルキャビ
ティ構造となるシリコン酸化膜の厚さを、第1の受光素
子36では1.25μm、第2の受光素子37では0.
75μm、第3の受光素子38では1.75μmとし
た。
【0056】また、第1、第2、第3の受光素子(3
6,37,38)は、各オプティカルキャビティ構造の
光学的距離に応じてそれぞれ図5(a)、(b)、
(c)に示す分光感度特性を持つ。第1の受光素子36
は、波長3.5μm近傍の赤外線に対して感度が低い特
性を有し、また、第3の受光素子38は、波長4.7μ
m近傍の赤外線に対して感度が低い特性を有している。
【0057】そして、演算回路35は、お互いに隣接す
る第2の受光素子37と第1の受光素子36との出力信
号の差分と、お互いに隣接する第2の受光素子37と第
3の受光素子38との出力差分とを検出するものであ
る。従って、受光部34によるる赤外線の検出は、図5
(d)に示すように、波長3.5μm近傍の赤外線に対
して感度ピークを示す分光感度特性Bと、波長4.7μ
m近傍の赤外線に対して感度ピークを示す分光感度特性
Cとを有する受光センサによる検出に相当する。なお、
図5(d)中には、参照のため、第2の受光素子37の
分光感度特性Aを同時に示しておいた。
【0058】以上の如き構成の赤外線温度計において、
300Kの物体を観察した場合、物体からの赤外線は、
結像光学系31、光学フィルタ32を介して受光部34
に入射する。ここで入射赤外線量に応じた電気出力が生
じ、演算回路35において、これらの電気信号が読み出
され、アナログ/デジタル変換され、お互いに隣接する
第1の受光素子36と第2の受光素子37の出力信号の
差、および第2の受光素子37と第3の受光素子38の
出力信号の差が演算される。
【0059】上記の演算によって得られる出力は、図6
(横軸は波長μm、縦軸は任意目盛り)に示される出力
特性となる。これは、図5(d)に示した分光感度特性
A、B、Cを持つ受光部34において300Kの黒体か
ら輻射される赤外線が光電変換された時に、波長方向に
どのような信号出力が得られるかを相対的に表したもの
であり、実際には分光感度特性A、B、Cに300Kの
黒体からの赤外線の輻射強度(図12)を掛け合わせた
ものである。従って、分光感度特性A、B、Cを有する
受光部34からの信号が演算された結果、演算回路35
において曲線a、c、bの面積に相当する電流が信号と
して得られることになる。
【0060】即ち、第2の受光素子37と第3の受光素
子38の出力信号の差分である出力(c)が図6中cの
面積、第2の受光素子37と第1の受光素子36との出
力信号の差分である出力(b)が図6中bの面積、ま
た、第2の受光素子37の出力信号(a)が図6中aの
面積にそれぞれ相当する。
【0061】次に、得られた出力(b)と出力(c)の
比率(b)/(c)を計算する。同様に、物体の異なる
各絶対温度における(b)/(c)を求めた。その結
果、図7(横軸は物体の絶対温度、縦軸は(b)/
(c))に示す通り、絶対温度と(b)/(c)とでは
一定の関係があった。従って、この関係から、比率
(b)/(c)わかれば、物体の温度を測定できること
がわかる。物体の放射率は、狭い波長範囲では一定値と
見なせる場合が多いので、本実施例の方式によれば、放
射率の値によらず物体の温度を知ることができる。
【0062】(実施例3)次に、本発明の第3の実施例
として、4種類の受光素子からなる受光部を備えた、赤
外線画像のカラー表示に適した赤外線固体撮像装置につ
いて示す。本実施例の受光部40は、図8の概念図に示
すように、互いにオプティカルキャビティの光学的距離
が異なる第1の受光素子41と第2の受光素子42と第
3の受光素子43と第4の受光素子44とが、同種どう
しで隣り合わないように光透過性基板上にマトリクス状
に配置されてなるものである。
【0063】第1、第2、第3、第4の受光素子(4
1,42,43,44)は、それぞれ実施例1で用いた
受光素子(図2)と同様の構成をもつものであり、光透
過性基板の第1主面上に形成された光電変換部であるP
tSiシリサイド層と、該PtSiシリサイド層上に、
予め定められた厚さのシリコン酸化膜(屈折率1.4)
を介して形成された反射膜とから構成されるオプティカ
ルキャビティ構造を有するものである。
【0064】また図8では、それぞれの受光素子を模式
的に四角形で示したが、実際には、各々反射膜下に存在
する光電変換部が、ガードリング領域と分離領域で周囲
を囲まれており、さらに各受光素子列間が垂直電荷転送
路となるよう、同一基板の、分離領域によって光電変換
部と分離された領域に、それぞれBCCD拡散層と、該
拡散層上にポリシリコンからなるCCD転送電極が形成
されている。
【0065】本実施例においては、オプティカルキャビ
ティ構造となるシリコン酸化膜の厚さを、第1の受光素
子41では1.75μm、第2の受光素子42では0.
75μm、第3の受光素子43では1.50μm、第4
の受光素子44では1.25μmとした。
【0066】また、第1、第2、第3、第4の受光素子
(41,42,43,44)は、各オプティカルキャビ
ティ構造の光学的距離に応じてそれぞれ図9(a)、
(b)、(c)、(d)に示す分光感度特性を持つ。第
1の受光素子41は、波長4.7μm近傍の赤外線に対
して感度が低い特性を有し、また、第3の受光素子43
は、波長4.2μm近傍の赤外線に対して感度が低い特
性を有し、さらに、第4の受光素子44は、波長3.5
μm近傍の赤外線に対して感度が低い特性を有してい
る。
【0067】本実施では、受光部40からの出力信号の
うち、演算回路(不図示)において、互いに隣接する第
2の受光素子42と第1の受光素子41との出力信号の
差分と、互いに隣接する第2の受光素子42と第3の受
光素子43との出力差分と、第2の受光素子42と第4
の受光素子44との出力差分との3つの差分を検出する
ものである。
【0068】従って、受光部40による赤外線の検出
は、図9(e)に示すように、波長3.5μm近傍の赤
外線に対して感度ピークを示す分光感度特性Hと、波長
4.7μm近傍の赤外線に対して感度ピークを示す分光
感度特性Fと、波長4.2μm近傍の赤外線に対して感
度ピークを示す分光感度特性Gとを有する受光センサに
よる検出に相当する。なお、図5(d)中には、参照の
ため、第2の受光素子42の分光感度特性Eを同時に示
しておいた。
【0069】このような、3つの波長帯域に対する感度
を示す受光領域は、等価的に、可視用の固体撮像素子で
用いられている補色市松フィルタと同じ配置にすること
ができるので、受光部40からの3種類の差分出力を各
々可視用の3種の補色に対応させれば、特別な信号処理
回路を用いずに、波長3μmから波長6μmまでの赤外
線像を簡便にカラー表示することができる。
【0070】なお、以上の実施例で用いた受光部の異な
る受光素子の配置は、それぞれ、一例であって、他の配
置であっても本発明の効果を得ることができるのは言う
までもない。
【0071】ここで、上記実施例1〜3で用いた複数種
類の受光素子からなる受光部の製造方法の概略を、図2
を用いて説明する。まず最初に、従来から良く知られて
いるLOCOS分離法(選択酸化分離法)によってシリ
コン基板11上に比較的厚い熱酸化膜からなる分離領域
(15,25)を形成する。
【0072】次に、電荷転送部にBCCD拡散層(1
7,27)を形成し、この拡散層(17,27)上にポ
リシリコンからなるCCD転送電極(18,28)を形
成する。そのほか、ガードリング領域となるN型不純物
拡散層(16,26)、また、図には示されていない
が、電荷転送部出力部分のMOSトランジスタを構成す
るソース・ドレイン拡散層を初めとする、種々の熱拡散
層の全て、及び全てのポリシリコン電極を形成する。
【0073】次いで、光電変換部を形成するためのフォ
トリソグラフィ工程を行なう。即ち、上記電極を形成
後、基板11表面にレジストを塗布し、引き続いて露光
・現像を行ないレジストをパターニングすることによっ
て、各受光素子の有効受光領域となる活性領域以外をレ
ジストで保護する。
【0074】続いて、ウエットエッチング法により、レ
ジストパターン以外の領域の酸化膜に穴をあけ、素子活
性領域のシリコン基板11の表面を露出させた後、レジ
ストの剥離・洗浄を行なう。引き続き光電変換部(1
2,22)の形成を行なう。光電変換部(12,22)
の形成工程においては、まず初めに、シリコン基板11
の露出表面にPtを披着し、次いで熱処理によってPt
Si層を形成する。これによって、ショットキーバリア
ダイオードからなる光電変換部(12,22)が形成さ
れる。
【0075】次に、500℃程度以下の比較的低温で得
られる厚さ0.46μmの絶縁膜13を全面に形成す
る。この絶縁膜13は、常圧CVD法、プラズマCVD
法、減圧CVD法、又はスパッタ法などによる酸化膜、
酸化窒化膜、又は窒化膜など、種々のものから適宜選択
できる。但し、絶縁膜13はその種類によって屈折率が
異なるため、そのオプティカルキャビティ構造が希望す
る光学的距離になるように膜厚を設定する。
【0076】絶縁膜13形成後、図1(b)の受光素子
6に相当する位置の光電変換部12上の絶縁膜13の表
面に、例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金など
によって反射膜14を形成することにより、図2(a)
に示す断面構造を持つオプティカルキャビティ構造が得
られる。
【0077】続いて、500℃程度以下の比較的低温で
得られる厚さ0.15μmの絶縁膜19を全面に追加形
成する。この時、図1(b)の受光素子7に相当する領
域上には、絶縁膜13と合わせて厚さ0.61μmの絶
縁膜23が形成されている。この追加形成した絶縁膜1
9は、絶縁膜13と同様に形成することができる。
【0078】その後、光電変換部22上の絶縁膜23の
表面に、例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金な
どによって反射膜24を形成することにより、図2
(b)に示す断面構造を持つオプティカルキャビティ構
造が得られる。最後に、表面保護用の絶縁膜29や、必
要に応じて金属配線を形成し、赤外線固体撮像装置を構
成することができる。
【0079】互いに異なるオプティカルキャビティ構造
の光学的距離を持つ複数種の受光素子からなる受光部を
形成するには、光学的距離を異ならしめるのに光電変換
部と反射膜間の幾何学的距離の違いによる場合、上記の
製造方法のように、設定膜厚の小さい順に絶縁膜とその
上の反射膜の形成、および追加絶縁膜の形成を繰り返せ
ばよい。
【0080】なお、以上の実施例では、オプティカルキ
ャビティ構造の光学的距離を、光電変換部と反射膜間の
絶縁膜の膜厚によって決定したが、本発明は、これに限
るものではなく、光電変換部と反射膜間の物質(絶縁
膜)の屈折率、あるいは膜厚と屈折率との組合せによっ
て決定することも可能である。例えば、屈折率n=1.
4のシリコン酸化膜に対して、シリコン窒化膜を使用す
ると、これは屈折率n=2であるため、光電変換部と反
射膜間の幾何学的距離を大きくしなくても、光学的距離
を1.4倍に稼ぐことができる。
【0081】また、以上に説明した赤外線固体撮像装置
の受光部では、光透過性基板としてのシリコン半導体
と、該シリコン半導体にPtを反応させて生じるPtS
iシリサイド間のショットキー接合を光電変換部とした
が、本願発明はこのような構成に限らず、例えばシリサ
イドとしてはPtSi以外にもPd2 SiやIrSiな
ど、またパラジウムシリサイドも使用できる。さらに、
光電変換部は必ずしもショットキー接合に限定されるも
のではなく、図10で説明したようなオプティカルキャ
ビティ構造を有する受光素子からなる受光部を用いる場
合に、本願発明は有効である。
【0082】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明によれば、
赤外線固体撮像装置の受光部を構成する受光素子に、従
来は不可能であった所謂可視領域における補色検出に相
当する機能を赤外線領域に対して持たせることが可能と
なった。これにより、特定波長の吸収あるいは発光スペ
クトルを感度良く検出することができ、また、放射率に
よらないで物体の絶対的な温度を正確に計測できる赤外
線温度計を構成できるという効果がある。
【0083】さらに、赤外線画像を、単なる赤外線量に
応じたカラー表示ではなく、正確な温度分布に応じたカ
ラー表示とすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例による水分計を示すもの
であり、(a)は概略構成図、(b)は本実施例の水分
計に用いる受光部4の平面模式図である。
【図2】図1(b)の受光部4を構成する受光素子の断
面図であり、(a)は第1の受光素子6、(b)は第2
の受光素子7を示すものである。
【図3】横軸に波長(μm)、縦軸に感度(A/W)を
とった分光感度特性を表す線図であり、(a)は、図2
(a)に示した第1の受光素子6の分光感度特性、
(b)は図2(b)に示した第2の受光素子7の分光感
度特性、(c)は、図1の演算回路5によって得られ
る、受光部4の疑似的な分光感度特性、を示すものであ
る。
【図4】本発明の第2の実施例による赤外線温度計を示
すものであり、(a)は概略構成図、(b)は本実施例
の赤外線温度計に用いる受光部34の平面模式図であ
る。
【図5】横軸に波長(μm)、縦軸に感度(A/W)を
とった分光感度特性を表す線図であり、(a)は、図4
に示した第1の受光素子36の分光感度特性、(b)は
図4に示した第2の受光素子37の分光感度特性、
(c)は図4に示した第3の受光素子の分光感度特性、
(d)は図4の演算回路35によって得られる、受光部
34の疑似的な分光感度特性、を示すものである。
【図6】図5(d)の分光感度特性に対応して、演算回
路35にて得られる分光出力特性を示す線図であり、横
軸に波長(μm)を、縦軸に任意目盛りをとったもので
ある。
【図7】実施例2による赤外線温度計の温度特性を示す
線図であり、横軸に温度(K)を、縦軸に演算回路35
による2つの差分出力の比率をとったものである。
【図8】本発明の第3の実施例に用いる受光部40の平
面模式図である。
【図9】横軸に波長(μm)、縦軸に感度(A/W)を
とった分光感度特性を表す線図であり、(a)は、図8
に示した第1の受光素子41の分光感度特性、(b)は
図8に示した第2の受光素子42の分光感度特性、
(c)は、図8に示した第3の受光素子43の分好感度
特性、(d)は図8に示した第4の受光素子44の分光
感度特性、(e)は本実施例の演算回路によって得られ
る受光部40の疑似的な分光感度特性を示すものであ
る。
【図10】オプティカルキャビティ構造の働きを説明す
る概念図である。
【図11】本発明の作用を説明するために用いた赤外線
固体撮像装置用受光部の分光感度特性を示す線図であ
る。
【図12】黒体の分光輻射強度を示す線図である。
【図13】一般的な従来の赤外線固体撮像装置の概略構
成図である。
【図14】図13に示した装置の受光部を説明するもの
であり、(a)は受光部の部分的な平面拡大図、(b)
は受光部を構成する受光素子の断面図である。
【符号の説明】
1,31:結像光学系 2,32:光学フィルタ 3,33:駆動回路 4,34:受光部 5,35:演算回路 6,7,36,37,38,41,42,43,44:
受光素子 11:基板(シリコン) 12,22:光電変換部(PtSiシリサイド) 13,23:シリコン酸化膜(絶縁膜) 14,24:反射膜 15,25:分離領域 16,26:ガードリング領域 17,27:BCCD拡散層 18,28:CCD転送電極 19,29:シリコン酸化膜

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光透過性基板上に複数の受光素子を配列
    して形成された受光部を有し、各受光素子は、基板の第
    1主面上に形成された光電変換部と、この光電変換部上
    に透光性絶縁層を介して形成された反射膜からなるオプ
    ティカルキャビティ構造を含み、前記基板の第1主面に
    対向する第2主面側から入射して基板を透過した入射光
    およびこの入射光のうち前記光電変換部と前記絶縁層を
    透過して前記反射膜で反射された反射光を前記光電変換
    部で電気信号に変換するようにした赤外線固体撮像装置
    であって、 前記受光部は、前記光電変換部と反射膜間の光学的距離
    が互いに異なるオプティカルキャビティ構造をもつ複数
    種の受光素子が配列されており、 前記複数種の受光素子のうち、一種以上の受光素子のオ
    プティカルキャビティ構造は、それぞれ、その他種の受
    光素子で光電変換可能な波長域内の予め定められた特定
    波長の入射光と反射光とが互いの強度を弱め合うような
    光学的距離を有していることを特徴とする赤外線固体撮
    像装置。
  2. 【請求項2】 互いに異なる光学的距離のオプティカル
    キャビティ構造を有する第1の受光素子と第2の受光素
    子と、 該第1と第2の受光素子間の電気信号出力の差分を検出
    する偏差検出手段とを備えたことを特徴とする請求項1
    に記載の赤外線固体撮像装置。
  3. 【請求項3】 互いに異なる光学的距離のオプティカル
    キャビティ構造を有する第1の受光素子と第2の受光素
    子と第3の受光素子と、 第1と第2の受光素子間の電気信号出力の差分、および
    第2と第3の受光素子間の電気信号出力の差分を検出す
    る偏差検出手段と、 前記両差分間の比を検出する比率検出手段とを備えたこ
    とを特徴とする請求項1に記載の赤外線固体撮像装置。
  4. 【請求項4】 前記異種受光素子間の光学的距離の相違
    は、前記絶縁層の厚さの相違によって決定されることを
    特徴とする請求項1、または請求項2、請求項3に記載
    の赤外線固体撮像装置。
  5. 【請求項5】 前記異種受光素子間の光学的距離の相違
    は、前記絶縁層の屈折率の相違によって決定されること
    を特徴とする請求項1、または請求項2、請求項3に記
    載の赤外線固体撮像装置。
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