JP3366813B2 - 記録再生分離型ヘッド及び磁気ディスク装置 - Google Patents

記録再生分離型ヘッド及び磁気ディスク装置

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JP3366813B2 JP24507096A JP24507096A JP3366813B2 JP 3366813 B2 JP3366813 B2 JP 3366813B2 JP 24507096 A JP24507096 A JP 24507096A JP 24507096 A JP24507096 A JP 24507096A JP 3366813 B2 JP3366813 B2 JP 3366813B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録再生分離型ヘ
ッド及びこの記録再生分離型ヘッドを搭載した磁気ディ
スク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】記録再生分離型ヘッドは、記録用に誘導
型ヘッドを、再生用に磁気抵抗効果(以下、MRとい
う)素子を用いたものが主である。MR素子は、抵抗値
が磁界の強さに依存して変化する特性を利用した素子
で、再生出力が磁気記録媒体走行速度に依存せず磁気信
号の磁束量のみによって決るため低速でも十分な再生出
力が得られ、磁気記録装置の高密度化、小型化に対して
有利である。
【0003】なお、この種の磁気ヘッドに関連するもの
として、例えばIEEE Trans.Magn.,v
ol.26,pp.1689(1990)(アイイーイ
ーイー トランザクション オン マグネチックス、第
26巻、1689頁(1990年))が挙げられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】磁気記録の分野では面
記録密度向上のために今後トラック密度の増加に加えて
線記録密度も大幅に向上させていくことが必要であり、
そのためにMRヘッドのギャップ長はますます詰まって
いくことになり、絶縁性の確保が重要な課題となってく
る。MRヘッドの絶縁破壊は主として電極と上部及び下
部の磁気シールド間が短絡することで起こるため、上記
のようにギャップ長が狭まるにつれてこの確率は増加す
る傾向にある。上記従来技術は、この短絡の解決策につ
いては何ら検討していないという問題があった。
【0005】本発明の第1の目的は、MRヘッドの電極
と磁気シールド間が短絡する可能性を減らし、素子破壊
を防止した記録再生分離型ヘッドを提供することにあ
る。本発明の第2の目的は、そのような記録再生分離型
ヘッドを有する磁気ディスク装置を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記本発明の第1の目的
を達成するために、本発明の記録再生分離型ヘッドは、
基板の上に下部磁気シールド膜、下部ギャップ膜を有
し、下部ギャップ膜の上に磁気抵抗効果膜と、磁気抵抗
効果膜の両端に磁区制御膜と電極とを有し、前記下部ギ
ャップ膜、磁気抵抗効果膜及び電極の上に上部ギャップ
膜と、磁性膜とを有し、この磁性膜は上部磁気シールド
膜と引出線に分離され、引出線の一端は電極に接続さ
れ、電極の上部磁気シールド膜と重なる部分の面積は上
部磁気シールド膜の面積の50%以下である磁気抵抗効
果ヘッドと、磁気抵抗効果ヘッドに隣接して設けられた
誘導型ヘッドとを具備する。 前記下部磁気シールド膜の
奥行きを、前記上部磁気シールド膜の奥行きよりも短く
する。
【0007】上記の重なる面積は0%であってもよい。
つまり磁気シールド膜と電極が平面的には重ならない
で、横にずれたように配置されていてもよい。また、磁
気シールド膜の少なくとも一方は、少なくとも上記誘導
型ヘッドの絶縁膜を覆う大きさであることが好ましい。
【0008】前記本発明の第2の目的を達成するため
に、本発明の磁気ディスク装置は、磁気ディスクと、磁
気ディスクに情報を記録、再生するための前記記録再生
分離型ヘッドと、磁気ディスクと記録再生分離型ヘッド
の相対的な位置を変化させるための手段と、これらを制
御するための制御手段とを有する。
【0009】
【0010】
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を詳述
する。 〈実施例1〉 図1は、本発明の記録再生分離型ヘッドの一実施例の一
部切り欠け斜視図である。図1に示すように、記録再生
分離型ヘッドのMRヘッドの上部磁気シールド膜6は、
誘導型ヘッド(コイル8、第2の層間絶縁膜9、上部磁
性膜10等により構成される)をカバーできるほど大き
い。なお、上部磁気シールド膜6は図の右手方向に下部
磁気シールド膜2を覆うように伸びているが(ただし後
に説明するように引出線12のところには存在しな
い)、その部分を切り欠いて示している。誘導型ヘッド
部分を製造するとき、その下に段差があるとコイル断線
等を生じやすいが、このように上部磁気シールド膜6は
誘導型ヘッド、特にその絶縁膜をカバーするように大き
く、かつ、表面が平坦であるため、そのような不良モー
ドを考慮する必要がない。この磁気シールド膜と重なっ
て配置されているMRヘッドに電流を流す電極5の面積
を上記上部磁気シールド膜6の面積の50%以下とする
ことにより、電極5と上部磁気シールド膜6がギャップ
膜をはさんで短絡する可能性を減らすことができる。
【0012】これはさらに高密度化が進行し、ギャップ
長がさらに詰まってきたときに特に有効である。すなわ
ち、下記式(1)に示すように、ギャップ長Dが小さく
なると電極のコンデンサー容量Cは大きくなるが、電極
5の面積Lを小さくすることで容量が押さえることがで
きる。そのため、式(2)から分かるように、MRヘッ
ドに電流を流す電極が電荷Qをため込まないので、静電
破壊による素子不良を防止することができる。 C(コンデンサー容量)=L(電極の面積)/D(ギャップ長) (1) Q(電荷)=C(コンデンサー容量)・V(電圧) (2) なお、電極5及び上部磁気シールド膜6の面積は、それ
ぞれを形成するホトマスクの形状により制御できる。
【0013】図3と図4に、上部磁気シールド膜の面積
に対するMRヘッドの電極の面積とMRヘッドの耐圧不
良率の関係を示す。ここで、図3のMRヘッドのギャッ
プ長は0.2μm、電圧は10V、図4のMRヘッドの
ギャップ長は0.25μm、電圧は10Vである。ま
た、誘導型ヘッドの電圧はいずれも100Vである。こ
の場合MRヘッドの電極はすべて上部磁気シールド膜と
重なっているので、これらの図から解るように、この面
積が上部磁気シールド膜の50%を越えると不良率が増
大する。
【0014】従来のMRヘッドでは上部磁気シールド膜
と重なるMRヘッドの電極の面積が上部磁気シールドの
面積の90%程度であったが、本実施例に示すようにこ
の面積を上部磁気シールドの面積の50%以下とするこ
とにより短絡を防ぐ効果があり、これは特にギャップ長
が狭くなったときに有効である。
【0015】以下、図1を元にして、ウエハ作成プロセ
スの概要を示す。セラミック基板1上にNiFe等の磁
性膜により形成された下部磁気シールド膜2及びアルミ
ナ等の絶縁膜により形成された下部ギャップ膜(図示せ
ず)があり、その上にMRセンサ膜3がストライプ状に
形成される。MRセンサ膜3は、NiFe等の磁性材料
を使用したMR膜やMR膜にバイアスを加えるバイアス
膜等複数の膜で構成されている。さらにこれらの横に
は、MR膜の磁区を安定させるための磁区制御膜4及び
MRセンサ膜をセンサーとして働かせるための電流を供
給する役割を果たす電極5が形成される。電極5はリフ
トオフ法によって形成する。先に述べたようにこのとき
適当なホトマスクを使用することにより、電極5の面積
を上部磁気シールド膜6の面積の50%以下とする。こ
のとき電極5の形状は様々に作れるが、例えば図1に示
すように浮上面(図の左手前に当たる)に近いところに
のみ電極5が配置されている形状が素子抵抗を低くする
という意味で好ましい。その後、アルミナ等の絶縁膜か
らなる上部ギャップ膜(図示せず)を形成する。
【0016】電極5の引出線12は、上部磁気シールド
膜6と同じNiFe等の磁性膜によりなる膜で同時に形
成し、それをホトマスクを用いてイオンミリングで分離
してそれぞれ引出線12と上部磁気シールド膜6とす
る。そのため上部磁気シールド膜6は、前述したように
引出線12のところには存在しない。また、電極上の適
当な部分(図では点線で示した部分)で上部ギャップ膜
(図示せず)をリフトオフ法により抜いて電極5と引出
線12のコンタクトをとる。また、引出線12を上部磁
気シールド膜と同じ膜で作ることにより、端子11aの
形成も簡単になる。すなわち、上部磁気シールド膜6よ
り下層の絶縁膜、例えば上部ギャップ膜等を端子11a
の構造の中にそのまま残すことができる。
【0017】その後、誘導型ヘッド用ギャップ膜を形成
する。そして、この上にレジストからなる第1の層間絶
縁膜7を形成する。第1の層間絶縁膜7の上に誘導型ヘ
ッドに電流を流すためのコイル8がめっき法にて形成さ
れる。そしてこの上に第2の層間絶縁膜9が、第1の層
間絶縁膜7と同じプロセスで形成される。さらにこの上
に上部磁性膜10がめっき法にて積層される。このと
き、上部磁気シールド膜6が絶縁膜をカバーするほど大
きく形成されているため、上記各層の形成が平坦面で可
能となり、コイルの断線等誘導型ヘッドの不良数を低減
できる。
【0018】最後に、リード線を接続させるための端子
11a及び素子を保護する保護膜を形成してウエハ作成
プロセスは完成する。なお、本実施例のMRヘッドのギ
ャップ長は、0.20μmとした。
【0019】図2は、この記録再生分離型ヘッドを有す
るスライダーの斜視図である。スライダーのサイズは、
横幅が1600μm、高さが400μm、奥行き方向が
2.05mmである。図の手前上部が浮上面に当たる。
また、図2には図1に示した端子11aの他の端子11
も示した。
【0020】図5は、上記プロセスで作った素子20が
並んだウエハ21の概念図である。この図に示すよう
に、素子20はウエハ21上で一定の間隔をもって同じ
ものが並んでいる。
【0021】本実施例の通りの方法でウエハを10枚作
成し、それぞれのウエハから得られたMRヘッドの耐圧
を測定したところ、その歩留りは97〜99%であっ
た。比較として、MRヘッドの電極の面積が上部磁気シ
ールド膜の面積と同じ大きさで、その他は本実施例と同
じ構造の素子を複数個有するウエハを3枚作成し、得ら
れたMRヘッドの耐圧を測定したところ、その歩留りは
85〜90%であった。その際印加した電圧は、誘導型
ヘッドに100V、MRヘッドに10Vである。以上の
ことから、MRヘッドの電極の面積を上部磁気シールド
膜の面積の50%以下にしてそれらの短絡の可能性を小
さくすることで、素子の耐圧歩留りを向上できることが
分かった。また、本発明のプロセスで作った記録再生分
離型ヘッドはコイルの断線不良が全くなく、安定した素
子抵抗値を得られることも確認した。
【0022】〈実施例2〉 図6は、本発明の磁気記録装置の一実施例の概略斜視図
である。本図に示すように、磁気ディスク装置は等間隔
で一軸スピンドル上に積層された複数の磁気ディスク1
3と移動可能なキャリッジアッシイ14に保持された磁
気ヘッド15、このキャリッジアッシイ14を駆動する
ボイスコイルモーター16、これらを支持するベース1
7等から構成される。また、磁気ディスク制御装置等の
上位装置から送り出される信号に従って、ボイスコイル
モーター16を制御するボイスコイルモーター制御回路
を備えており、上位装置との信号のやりとりを行うイン
ターフェイス部、磁気ヘッドに流れる電流を制御するリ
ード/ライト回路等を介して上位装置と接続される。こ
こで、磁気ヘッド15に本発明に示す十分な耐圧が確保
されている薄膜ヘッドを用いることにより、動作時に静
電破壊等を起こす可能性が極めて小さくなった。
【0023】〈実施例3〉 図7は、本発明の記録再生分離型ヘッドの他の実施例の
一部切り欠け斜視図である。記録再生分離型ヘッドのM
Rヘッドの上部磁気シールド膜6と下部磁気シールド2
が両方とも誘導型ヘッドをカバーできるほど大きい。な
お、上部磁気シールド膜6は、実施例1と同様に、引出
線12の部分を除いて図の右手方向に下部磁気シールド
膜2を覆うように伸びている。その他の部分は実施例1
と同様である。本実施例の特徴は、誘導型ヘッドの下部
の段差をほぼなくせるため、コイル8の断線等誘導型ヘ
ッドに関係する不良の発生を押さえられる。本実施例の
通りの方法でウエハを10枚作成し、それぞれのウエハ
から得られたMRヘッドの耐圧を測定したところ、その
歩留りは97〜99%であった。
【0024】〈実施例4〉 図8は、本発明の記録再生分離型ヘッドのさらに他の実
施例の一部切り欠け斜視図である。記録再生分離型ヘッ
ドのMRヘッドの下部磁気シールド膜2が誘導型ヘッド
をカバーできるほど大きく、上部磁気シールド膜6は、
実施例1、3より小さい。その他の部分は実施例1と同
様である。本実施例の特徴は、構造の関係で耐圧がより
厳しい上部磁気シールド膜6と電極5が短絡する確率を
低減できることである。なお、この場合電極5の面積
は、磁気シールド膜の大きい方、つまり下部磁気シール
ド膜2の面積と比較する。本実施例の通りの方法でウエ
ハを10枚作成し、それぞれのウエハから得られたMR
ヘッドの耐圧を測定したところ、その歩留りは98〜9
9%であった。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の記録再生
分離型ヘッドによれば、MRヘッドの電極と上部、下部
磁気シールド膜間の短絡の可能性を減少させ、素子破壊
を回避できる。また、本発明の磁気ディスク装置によれ
ば、用いた記録再生分離型ヘッドの素子破壊を減少させ
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の記録再生分離型ヘッドの一実施例の一
部切り欠け斜視図。
【図2】本発明の記録再生分離型ヘッドを有するスライ
ダーの一例の斜視図。
【図3】上部磁気シールドの面積に対するMRヘッドの
電極の面積とMRヘッドの耐圧不良率の関係図。
【図4】上部磁気シールドの面積に対するMRヘッドの
電極の面積とMRヘッドの耐圧不良率の関係図。
【図5】本発明に用いるウエハの概念図。
【図6】本発明の磁気ディスク装置の構成図。
【図7】本発明の記録再生分離型ヘッドの他の実施例の
一部切り欠け斜視図。
【図8】本発明の記録再生分離型ヘッドのさらに他の実
施例の一部切り欠け斜視図。
【符号の説明】
1…セラミック基板 2…下部磁気シールド膜 3…MRセンサ膜 4…磁区制御膜 5…電極 6…上部磁気シールド膜 7…第1の層間絶縁膜 8…コイル 9…第2の層間絶縁膜 10…上部磁性膜 11、11a…端子 12…引出線 13…磁気ディスク 14…キャリッジアッシイ 15…磁気ヘッド 16…ボイスコイルモーター 17…ベース 20…素子 21…ウエハ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小柳 広明 神奈川県小田原市国府津2880番地 株式 会社日立製作所ストレージシステム事業 部内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 5/39

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板と、該基板の上に形成された下部磁気
    シールド膜と、該下部磁気シールド膜の上に形成された
    下部ギャップ膜と、該下部ギャップ膜の上に形成された
    磁気抵抗効果膜と、該磁気抵抗効果膜の両端に形成され
    た磁区制御膜と、該磁区制御膜の上に形成された電極
    と、前記下部ギャップ膜、磁気抵抗効果膜及び電極の上
    に形成された上部ギャップ膜と、該上部ギャップ膜の上
    に形成された磁性膜とを有し、該磁性膜は上部磁気シー
    ルド膜と引出線に分離され、該引出線の一端は前記電極
    に接続され、該電極の前記上部磁気シールド膜と重なる
    部分の面積は当該上部磁気シールド膜の面積の50%以
    下である磁気抵抗効果ヘッドと、該磁気抵抗効果ヘッド
    に隣接して設けられた誘導型ヘッドとを具備することを
    特徴とする記録再生分離型ヘッド。
  2. 【請求項2】前記下部磁気シールド膜の奥行きは、前記
    上部磁気シールド膜の奥行きよりも短いことを特徴とす
    る請求項1記載の記録再生分離型ヘッド。
  3. 【請求項3】基板と、該基板の上に形成された下部磁気
    シールド膜と、該下部磁気シールド膜の上に形成された
    下部ギャップ膜と、該下部ギャップ膜の上に形成された
    磁気抵抗効果膜と、該磁気抵抗効果膜の両端に形成され
    た磁区制御膜と、該磁区制御膜の上に形成された電極
    と、前記下部ギャップ膜、磁気抵抗効果膜及び電極の上
    に形成された上部ギャップ膜と、該上部ギャップ膜の上
    に形成された磁性膜とを有し、該磁性膜は上部磁気シー
    ルド膜と引出線に分離され、該引出線の一端は前記電極
    に接続され、該電極の前記上部磁気シールド膜と重なる
    部分の面積は当該上部磁気シールド膜の面積の50%以
    下である磁気抵抗効果ヘッドと、該磁気抵抗効果ヘッド
    に隣接して設けられた誘導型ヘッドとを有する記録再生
    分離型ヘッドと、磁気ディスクと、該磁気ディスクと前
    記記録再生型ヘッドの相対的な位置を変化させるための
    手段と、これらを制御するための制御手段とを有するこ
    とを特徴とする磁気ディスク装置。
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