JP3364909B2 - ジルコニアガス分析計とその校正方法 - Google Patents

ジルコニアガス分析計とその校正方法

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  • Measuring Oxygen Concentration In Cells (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,O2ガスやCOガスの
濃度を測定するためのジルコニアガス分析計に関し,校
正時に使用する校正ガスを不要としたジルコニアガス分
析計に関すものである。
【0002】
【従来の技術】図4はジルコニアガス分析計の一般的な
構造を示す要部断面図である。図において1は酸素イオ
ン伝導体からなるジルコニア固体電解質で構成されてい
る試験管形のジルコニア管,2は多孔質白金からなる内
部電極,3は同じく多孔質白金からなる外部電極,4は
ジルコニア管1内に先端が挿入されたパイプである。な
お,内,外の電極を含むジルコニア管の先端付近はセン
サ動作時約750℃に加熱される。
【0003】上記構成のジルコニアガス分析計におい
て,零調整時には矢印Aからパイプ4を介してジルコニ
ア管1内に計装空気(例えば工場内で共通して使用され
るフィルタリングして湿度を調整した空気)を導入し,
外部電極3の雰囲気B側に同じく計装空気を導入する。
この場合,酸素濃度は同様なので出力は零となる。次に
スパン調整を行う場合はパイプ4から校正ガス(例えば
2ガスに1%程度のO2を混入したもの)を導入する。
その結果,空気の酸素濃度20.95%との間に濃度差
が生じ電極間にネルンストの式に従う電圧が発生する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで上記従来例に
おいてはスパン調整時には校正ガスを用いるので,標準
ガスボンベを購入する必要があり,ガスの補充,ボンベ
の設置場所の配慮をしなければならないという問題があ
った。校正ガスを使わない方式として空気を用いてスパ
ン調整を行う限界電流式があるが,この方式では酸素が
零の状態になった時の電流が零にならず(多少のもれ電
流が発生する)測定ガス中の酸素濃度が低くなるにつれ
て指示値が不正確になるという問題がある。更にこの方
式では測定ガス側のキャビティ内は殆ど酸素ガスがない
状態になるが,測定ガス中に還元性ガスが存在するとキ
ャビティ内が還元性になる。そしてこの状態で測定ガス
中にSO2ガスが存在すると電極寿命が極めて短くな
り,プロセス用としては実用性がないという問題があっ
た。本発明は、上記従来技術の問題を解決するためにな
されたもので,従来の校正ガスを用いる構造の分析計に
おいて校正ガスを用いることなく校正が可能なジルコニ
アガス分析計及びその校正方法を提供することを目的と
する。
【0005】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために本発明は、ジルコニア固体電解質を隔て形成さ
れた外部電極と内部電極との間に発生する電圧を測定す
ることによってジルコニア固体電解質に接するガスの濃
度を測定するジルコニアガス分析計において、前記内部
電極が形成された室に空気を導入すると共に、前記室の
空気を排出する給排気手段と、前記内部電極と前記外部
電極との間に電圧を印加する電気回路と、を有すること
を特長としている。また、 ジルコニア固体電解質を隔
て形成された外部電極と内部電極との間に発生する電圧
を測定することによってジルコニア固体電解質に接する
ガスの濃度を測定するジルコニアガス分析計の校正方法
において、前記内部電極が形成された室と前記外部電極
側とに空気を導入し、前記電圧を測定して零調整を行う
零調整工程と、この零調整工程の後に、前記内部電極に
正の電圧を印加すると共に、前記外部電極に負の電圧を
印加して前記室を酸素ガスで置換した後、前記電圧を測
定してスパンを調整するスパン調整工程と、を行うこと
を特長としている。
【0006】
【作用】室内に空気を導入し内部電極に正,外部電極に
負の電圧を印加して所定時間が経過すると,室内はほぼ
100%酸素で充満する。充満させた状態で電圧印加を
停止し,その100%酸素と外部電極に接した空気(酸
素濃度20.95%)との濃度差により発生した電圧を
もとにスパン調整を行う。
【0007】
【実施例】図1は本発明によるジルコニアガス分析計の
一実施例を示す要部断面図である。図において,図4と
同一部品には同一符号を付して重複する説明は省略する
が,本発明においてはジルコニア管1の開口部に栓20
を設けて室(キャビティ)21を形成し,その室内に栓
20を貫通して計装空気を導入する空気導入パイプ22
を設けている。このパイプ22の計装空気導入側には空
気の導入をオンオフする電磁弁23が設けられ,分岐点
Cの先に所定の空気抵抗を発生させる抵抗部R1,R2
形成されている。抵抗R1を通った空気は室21内に導
入され,抵抗R2を通った空気は大気中に排気される。
【0008】25は栓20を貫通して設けられた空気抵
抗R3を有する排気管であり,室21内の空気はこの排
気管25を介して大気中に排出される。30は電極2,
3にリード線L1,L2を介して電圧を印加し,更に電極
間に発生する電圧をリード線l1,2を受信する電気回
路である。
【0009】上記の構成において,零調整に際しては図
2に示すように外部電極3の周りの雰囲気を計装空気に
するとともに空気導入管22の電磁弁23を開の状態と
して室21に同じく計装空気を導入する。この計装空気
は排出管25を介して排出される(矢印は空気の流れを
示している)。この状態では内外部電極に接する酸素濃
度は同一なので理論的には電極間に電圧は発生しないが
実際には多少の電圧(E0)が発生する。この電圧にお
ける状態で表示部の目盛りを零に合わせる。
【0010】次に図3に示すように電磁弁23を閉と
し,リード線L1,L2を介して内部電極2に正,外部電
極3に負の電圧(例えば1〜2Vの直流)を印加する。
その結果,ファラデーの電気分解の法則に従ってO2
スがO2-イオンとなってジルコニア中を運ばれ9650
0クーロンで1当量が輸送される。 従って 1[A]=1[クーロン/sec] O2+4e=2O2-21モルは22.4l 等を考慮すると例えば0.1Aで運ばれるO2ガスの流
量Vgは Vg={0.1(A)・60(sec)/(4・96500) ・22.4・1000}[ml/sec] =0.348[ml/min] となる。
【0011】O2のポンピングによる室1内のエアパー
ジは,キャビティの体積が小さく,ポンピング流量が大
きい程早く達成される。いま,室1の体積をVs[m
l],ポンピング流量をVg,室内の空気のO2ガスの濃
度をCnとすると, VS・d(1−C)/dt=−Vg … の関係がある。
【0012】この場合,始め(t=0…C0)のときは
0=0.2095(空気中には20.95%の酸素が
存在する)であり,t時間後の酸素量は, C(t)=1−(1−C0)e-(Vg/Vs)t … となる。次にジルコニア管の内径を3mm,長さを50
mmとし,このジルコニア管1の気孔率αが3%であっ
たとすると,室の体積VSは Vs=(πd2l/4)・αなので,ここに上記の値を入
れると VS≒0.01[ml] また, Vg=0.348[ml/min]=5.8・10
-3[ml/sec] が得られ,これを式に代入するとt秒後の酸素量はC
(t)は C(t)=1−(0.7905)e-0.58t となり,室1内の酸素量は20秒後に99.9993%
となる。
【0013】従って室1内は20秒後にほぼ完全にO2
ガスで置換され,更にポンピングされるO2ガスの圧力
により空気導入管22,排気管25内の空気は押し出さ
れてこの部分もO2ガスで置換されることになる。そし
て,空気導入管22,排気管25の抵抗部分の長さが充
分であれば室1内の酸素濃度はほぼ完全にO2100%
の状態を保持することができる。
【0014】次に電気回路30からの電圧印加を中止し
てO2のポンピングをやめO2ガスの濃度差に起因する電
極間の電圧測定を行う。この時の起電力の理論値Es
ネルンストの式により求める。即ち Es=(RT/4F)ln(100/20.95)=3
4.4[mV] 次に実測値をEjとすると実測スパンEkは Ek=Es−E0(E0はO2濃度に差がないときの実測
値) 従って,電気回路部30においてEkの値がEsとなるよ
うな演算処理を行えばスパンの校正を行うことができ
る。校正終了後に電磁弁23を開けば再び零校正時の起
電力に戻り,外部電極3側へ測定ガスを導入すれば実測
状態となる。
【0015】なお,本発明は実施例で数値をあげて説明
したが,この実施例に限ることなく種々設計可能であ
る。また,ジルコニア管,空気導入管および排気管等も
図示の形状に限るものではなく,要は所定時間キャビテ
ィ内を100%O2に保てる構造であればよい。
【0016】
【発明の効果】以上実施例とともに具体的に説明した様
に本発明によれば,室内および外部電極側に空気を導入
した後零調整を行い,外部電極側に空気を導入し室への
空気導入を中止すると共に前記内部電極に正,外部電極
に負の電圧を印加して所定時間経過後スパン調整を行う
ようにした。そのため,校正ガスを用いての校正が不要
となり,標準ガスボンベの購入,設置,交換,ボンベ置
き場の確保,配管等に要する材料や工数を削減したジル
コニアガス分析計を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すジルコニアガス分析計
の要部構成図である。
【図2】零調整時の空気の状態を示す要部構成図であ
る。
【図3】スパン調整時の空気と酸素の状態を示す要部構
成図である。
【図4】従来のジルコニアガス分析計の要部構成図であ
る。
【符号の説明】
1 ジルコニア管 2 内部電極 3 外部電極 20 栓 21 室(キャビティ) 22 空気導入管 23 電磁弁 30 電気回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 27/409 G01N 27/26 381

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジルコニア固体電解質を隔て形成された
    外部電極と内部電極との間に発生する電圧を測定するこ
    とによってジルコニア固体電解質に接するガスの濃度を
    測定するジルコニアガス分析計において、 前記内部電極が形成された室に空気を導入すると共に、
    前記室の空気を排出する給排気手段と、 前記内部電極と前記外部電極との間に電圧を印加する電
    気回路と、 を有することを特長としたジルコニアガス分析計。
  2. 【請求項2】 ジルコニア固体電解質を隔て形成された
    外部電極と内部電極との間に発生する電圧を測定するこ
    とによってジルコニア固体電解質に接するガスの濃度を
    測定するジルコニアガス分析計の校正方法において、 前記内部電極が形成された室と前記外部電極側とに空気
    を導入し、前記電圧を測定して零調整を行う零調整工程
    と、 この零調整工程の後に、前記内部電極に正の電圧を印加
    すると共に、前記外部電極に負の電圧を印加して前記室
    を酸素ガスで置換した後、前記電圧を測定してスパンを
    調整するスパン調整工程と、 を行うことを特長としたジルコニアガス分析計の校正方
    法。
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