JP3364458B2 - 金属溶湯収容器用摺動開閉装置のノズル充填材 - Google Patents
金属溶湯収容器用摺動開閉装置のノズル充填材Info
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Description
シュ等の溶融金属(以下、溶湯と言う)を収容する容器
に設置されるスライディングノズル、ロータリーノズル
等の摺動開閉装置のノズル孔内に充填され、更に、ノズ
ル孔上部に盛り上げられて、ノズル孔内に溶湯が侵入す
ることを防止するために用いられ、ノズルの自然開孔率
向上を目的とする金属溶湯収容器用摺動開閉装置のノズ
ル充填材に関するものである。
湯の収容器に設置されるノズルとしてスライディングノ
ズル装置、ロータリーノズル装置等の摺動開閉装置が用
いられている。スライデングノズル装置1は一般に図1
に示すように、溶湯Mが収容される取鍋などの溶湯収容
器2の底部のノズル受け部に設けられ、上部ノズル3
と、該上部ノズル3を側方から支持するノズル受けレン
ガ4と、上部ノズル3を下方から支持する上プレート
5、油圧シリンダー及び電動モーターを駆動源として図
1の矢印A方向に移動可能に形成され開閉操作される摺
動盤(図示省略)に装着の下プレート6、及び下部ノズ
ル7等の主要部材から構成される。
孔8の内部にはノズル充填材9が充填されている。図1
に示す状態では、ノズル孔8は閉じた状態にあるが、矢
印A方向に下プレート6をスライドさせることで、ノズ
ル孔8が開口して充填材が排出され収容器2内部の溶湯
Mが流出して下部ノズル7から落下する。このとき下プ
レート6のスライド量を変化させることで流出量を制御
することができる。なお図1ではスライディングノズル
の例を示したが、ロータリーノズルの場合にも基本構造
は同じであり、下プレートの部分が、回転可能になって
いる点が相違するだけであり、ノズル充填材は同様に使
用される。
(取鍋、タンディッシュ等)に溶湯を受ける際、ノズル
充填材がないと、升レンガ4、上部ノズル3や固定盤等
は溶湯の凝固が起きる温度であるため、ノズル内で受け
入れた溶湯がこれと接触、凝固し、ノズルを開いても出
湯できなくなってしまう。そこで、この問題を解決する
ために溶湯収容器では、上記摺動開閉装置のノズル孔8
内に、SiO2を主成分とする硅砂とアルカリ金属酸化
物を主成分とする長石を混合した砂からなるノズル充填
材が用いられていた。
質レベルの向上の要請が増大し、溶鋼の二次精錬(RH
脱ガス、アークプロセス、VOD等)の比重が高まって
きた。この結果、溶鋼の容器内保持時間が延長され、溶
鋼温度の上昇を余儀なくされている。
高温(1600℃)の溶鋼の受鋼により、充填された硅
砂が熱膨張してノズル孔内でノズル充填材が棚吊り状態
となったり、高熱により充填材の焼結層の厚みが増加し
て、高い強度を有するようになり、ノズルを開いてもノ
ズル充填材がノズル孔内に詰まり、出湯に手間取った
り、出湯できなくなることが多々あった。酸素溶解して
開孔するという危険な作業が必要である。従って労働災
害防止の観点並びに連続鋳造においては不開孔が生じる
と、歩留まりが低下するばかりか、取鍋内の溶鋼を鋳造
できない等々の操業上多くの問題が生じる。
イディングノズル装置の上部ノズルやノズル孔、升レン
ガにO2ガスをふきつけ洗浄した後でも、完全にはスラ
グ除去が十分できておらず、更に、受鋼中に取鍋側壁面
に付着していたスラグが、ノズル孔に落下することによ
り、ノズル充填材と塩基性酸化物(CaO,FeO,M
nO,MgO等)の多いこのスラグとの反応が生じて反
応物の焼結現象が起き、スライディングノズルを開いて
も、反応生成物がノズルに詰まっており、溶鋼が出ない
ことがある。
ているように、粒子が焼結して結合するのを防止するた
めに、珪砂にカーボンブラックを0.05〜5質量%添
加してなる充填材が公知である。しかしながら、このよ
うな珪砂のみからなる充填材は、熱膨張が大きいため開
口率の低下が大きくなり、実際には使用されていない。
クロム鉱と、SiO2を主成分とする硅砂とを、クロム
鉱が60質量%以上の割合になるように混合したノズル
充填材が提案されている。しかし、このようにSiO2
濃度が低く、Cr2O3濃度が高い場合、ノズル孔の内部
で(Cr2O3・FeO)を形成し、焼結強度が高い焼結
層が生成されてしまい、スムーズな自然開孔が行えない
ことが多々あった。
いこと、製鋼炉の容量の大小の相違、一次製鋼炉(転
炉、電気炉)の出鋼温度、一次製鋼炉出鋼後に引き続き
行われる二次精錬(RH脱ガス、取鍋アークプロセス、
VAD,VOD等)による処理時間の延長、溶鋼温度の
変化等々一次製鋼炉の出鋼から鋳造開始迄の時間延長と
温度(上昇)の変化は複雑多岐に到る。
めになされたものであり、この様な複雑な操業条件に対
応する事が可能であり、また上記のような過酷な操業条
件であっても高い自然開孔率を有するノズル充填材を提
供することを目的とする。
3を主成分とし、組成中のSiO2モル分率が0.167
以下であり、外掛けC添加量が{3.500−(5.9
88×SiO2モル分率)}(質量%)から5.0(質
量%)の範囲内であることを特徴とするノズル充填材、 (2)化学組成がSiO2及びCr2O3を主成分とし、
組成中のSiO2モル分率が0.167を超え、0.3
35以下であり、外掛けC添加量が{4.985−(1
4.881×SiO2モル分率)}(質量%)から5.
0(質量%)の範囲内であることを特徴とするノズル充
填材、 (3)化学組成がSiO2及びCr2O3を主成分とし、
組成中のSiO2モル分率が0.335を超え、0.4
73以下であり、外掛けC添加量が1.0(質量%)以
下であることを特徴とするノズル充填材、 (4)化学組成がSiO 2 及びCr 2 O 3 を主成分とし、
組成中のSiO 2 モル分率が0.335を超え、0.4
73以下であり、外掛けC添加量が5.0(質量%)以
下(但し、Cは黒鉛粉を除く炭素粉である)であることを
特徴とするノズル充填材、 (5)化学組成がSiO2及びCr2O3を主成分とし、
組成中のSiO2モル分率が0.473を越え、0.52
3以下であり、外掛けC添加量が{9.730−(10.
0×SiO2モル分率)}(質量%)以下であることを
特徴とするノズル充填材、 (6)化学組成がSiO2及びCr2O3を主成分とし、
組成中のSiO2モル分率が0.523を超え、0.8
37以下であり、外掛けC添加量が{5.333−
(1.592×SiO2モル分率)}(質量%)以下
〔但し外掛けC添加量が0(質量%)は除く〕であること
を特徴とするノズル充填材、を要旨とするものである。
成が図2に示す領域(I)〜(V)の範囲内にある。図
2は縦軸をSiO2モル分率(以下、Nsio2と記載す
る)とし、横軸を外掛けC添加量としたものである。な
お、上記Cは炭素のことである。本発明のノズル充填材
は、クロム鉱石、けい砂、けい石、炭素粉を適宜混合し
て、Nsio2とC添加量との関係が上記図2の領域
(I)〜(V)の範囲を満足するように配合することで
得られる。上記、炭素粉の種類は、カーボンブラック、
コークス粉、黒鉛粉などいずれも使用可能である。ま
た、本発明においてC添加量は、他の配合物(クロム鉱
石、けい砂など)に対する外掛け添加量であり質量%で
表す。
−Cr2O3−Al2O3−MgO−FetO−R2O系及
びこれにCを添加した系であることが好ましい。ここで
FetOはFeO、Fe3O4、Fe2O3を示す。R2O
はNa2O、K2O等のアルカリ金属酸化物を示す。そし
て、系の組成範囲は、含有濃度単位をモル分率で表すと
き、下記式を満足することが好ましい。下記式において
Ncr2o3はCr2O3モル分率を表す。 (Nsio2+Ncr2o3)=0.362〜0.892 その他は系のSiO2−Cr2O3以外の構成成分が占め
るものとする。Ncr2o 3は、Cr2O3のモル分率であ
る。また、上記各成分のモル分率及びC含有量は、ノズ
ル充填材の化学分析により得られる数値である。分析方
法は蛍光X線ガラスビード法が用いられる。
(Nsio2/Ncr2o3)が0.56以下であり、図
形A1BCC1で示され、各点の座標は次のようになる。
A1(2.5,0.167)、B(3.5,0)、C
(5.0,0)、C1(5.0,0.167)。F(A1)
=1.0である。
/Ncr2o3)=0.56〜1.40、図形AA1C1C
2で示され、各点の座標は次のようになる。A(0,
0.335)、A1(2.5,0.167)、C1(5.
0,0.167)、C2(5.0,0.335)。F(A)
=1.0である。
/Ncr2o3)=1.40〜2.52であり、図形D2
AC2C3で示され、各点の座標は次のようになる。D2
(0,0.473)、A(0,0.335)、C
2(5.0,0.335)、C3(5.0,0.47
3)。F(C3)=0.25である。
/Ncr2o3)=2.52〜3.08、図形D1D2C3
Fで示され、各点の座標は次のようになる。D1(0,
0.523)、D2(0,0.473)、C3(5.0,
0.473)、F(4.5,0.523)。F(F)=
0.25である。
/Ncr2o3)=3.08〜16.74であり、図形D
D1FEで示され、各点の座標は次のようになる。D
(0,0.837)、D1(0,0.523)、F
(4.5,0.523)、E(4.0,0.837)。
F(E)=0.30である。
(I)〜(V)の範囲内の組成を有することで、焼結物
の強度を特定の範囲内とすることができ、各種の操業条
件においても十分な自然開口率を持つノズル充填材が得
られる。ノズル充填材の焼結物の強度は、Nsio2と
密接な関係を持つ。この焼結物の強度は、以下の手段に
より得られる崩壊強度を用い評価することができる。
φ×35mm高さの密充填資料を黒鉛るつぼに入れシリ
コニット炉にて1500℃で1時間保持し加熱焼結し
た。加熱後の試料は室温まで放冷した後、一定速度荷重
下で圧縮し、焼成物が崩壊した際の荷重値と試料表面積
{(35)2/4×π=9.62cm2 }より、算出し
た(単位:Kg/cm2)。この数値を指数化し焼結崩
壊強度指数またはF値と呼ぶ。
間加熱することで、クロム鉱石の粒子間に介在するけい
砂が焼結され、ガラス化しクロム鉱の粒子と適度な強度
で結合する。焼結崩壊強度指数が0.25≦(F)≦
1.0の範囲内であれば、実用上、十分な自然開口率の
ノズル充填材が得られる。F値が0.25未満では、崩
壊強度が小さく、ノズル充填材が焼結不足で粒子が浮上
損失し、そこに地金が浸透し、凝固し、自然開孔を阻害
する。また、F値が1.0を越えると焼結され易く、崩
壊強度が大きくなり、焼結層が厚くなり、ノズル孔内に
詰まり自然開孔を阻害する。これは実際に現場で多数の
試験を行った結果から導き出されたものである。そし
て、F値とノズル充填材のシリカモル分率(Nsi
o2)との間に強い相関関係があることが判った。ま
た、崩壊強度指数の実験から、ノズル充填材におけるC
添加の役割は、炭素物質粒子が珪砂やクロム鉱の粒子間
に存在することにより、高温・長時間滞湯下の条件下に
おいても過剰な粒子間焼結を抑制することにあるのが判
った。従来は炭素粉を添加するのは、酸化防止、滑りを
よくすること、或いは不開口時の処理として酸素溶解さ
せる為の発熱源の確保などを目的としていた。しかし、
本発明者等はC添加の本質的効果は、焼結結合強度を低
下させることにあることを見いだした。上記の結果か
ら、崩壊強度指数とNsio2とC添加量との関係を定
量的に示す実験式を求めた。C添加量が0%から0.5
%ごとに5%までの関係式を下記の数1式〜数11式に
示す。
6X+1.3947 (γ=0.997)
921X+1.3682 (γ=0.998)
597X+1.2353 (γ=0.995)
518X+1.2126 (γ=0.998)
744X+1.1523 (γ=0.998)
899X+1.0925 (γ=0.998)
671X+1.0226 (γ=0.998)
920X+0.9731 (γ=0.998)
320X+0.9117 (γ=0.998)
O.6577X+0.8523 (γ=0.998)
O.6109X+0.8029 (γ=0.998) 上記数1式〜数11式において、Fi:焼結崩壊強度指
数、i:添加C(質量%)、X:シリカモル分率(Ns
io2)、γ:相関係数をそれぞれ示す。上記式より、
Nsio2の数値が決まれば、必要とする崩壊強度指数
に応じて、最適なC添加量を決定することができる。
崩壊強度指数0.25≦(F)≦1.0を満足させる。
なお、上記の崩壊強度指数の数値範囲を満足しても、N
sio2の数値が0.837を越えると、硅砂の熱膨張
による棚吊りが生じ、焼結層厚みが増加して、高強度と
なり不開孔が発生するおそれが大きくなる。そのため、
Nsio2は0.837以下でなければならない。
ことの技術的意味は以下の通りである。SiO2は単に
硅砂の主成分であることの他に、酸性酸化物として、ス
ラグ及びノズル充填材の組成間で重要な化学反応を塩基
性酸化物等と起こす。ノズル充填材は、取鍋・タンディ
ッシュ内で溶湯に接して加熱される。実際に、取鍋・タ
ンディッシュ等の内張りレンガの表面に付着していたス
ラグが溶け、溶融スラグとなる。また受鋼時に溶湯に混
じって、精錬スラグが一部排出される。これら溶融スラ
グには、CaO、FeO、MnO、MgO等の塩基性酸
化物、及びSiO2等の酸性酸化物も含まれている。溶
湯の受鋼時、ノズル充填材に溶融スラグが触れると、ノ
ズル充填材は、部分的に溶けて溶融スラグに混合され
る。この溶融スラグはイオン性溶体であり、含まれる酸
化物は、溶融状態で下記[化1]式及び[化2]式に記
載したように解離している。
す。)
MnO,MgO)はO2-イオンを放出し、酸性酸化物S
iO2は2個のO2-イオンを受け取ってSiO4 4-イオン
を作る。これより「塩基性酸化物とはO2-イオンを他に
与えるもの、酸性酸化物とはO2-イオンを受け取って錯
陰イオンを作るもの」とすることが出来る。ノズル充填
材であるクロム鉱石、硅砂間においても塩基性酸化物と
酸性酸化物は互いに反応する。まして、実操業において
は溶融スラグが上述した如く存在するため、相互間に反
応が生じる。ノズル充填材の一部は溶融してスラグとな
り、[化1]式、[化2]式の反応により、シリカの錯
陰イオンを形成して、ノズル充填材の粒子間は焼結さ
れ、ガラス状となってクロム鉱の粒子と結合し、焼結層
を形成する。このようにノズル充填材において焼結層が
生成する焼結反応では、SiO2の濃度が大きく影響
し、焼結層の物性にきわめて重要な影響を与える。
砂、クロム鉱などの混合物に含有される塩基性酸化物と
酸性酸化物(SiO2)との反応が主体をなす。焼結層
になるにはイオン性融体を生じ、SiO2の錯陰イオン
が形成される。この際形成される焼結層強度とNsiO
2の間には、一定の関係が成立している。従って充填材
の組成を実体的に表現するには、モル分率(Ni,i成
分)表示が最適であり、けい砂、或いはクロム鉱の質量
%だけを規定したのでは、あまり有効ではない。
の役割は、上記したように、炭素物質粒子がクロム鉱、
けい砂等の粒子間に存在することにより、高温・長時間
滞湯下の条件下においても過剰な粒子間焼結を抑制し、
焼結結合強度を低下させることである。
掛け5質量%以下とした。炭素粉の配合が外掛け5質量
%を越えると、十分なる粒子間結合が得られない。これ
は過剰な炭素粉が溶鋼と接触し、溶鋼に加炭したり、C
O反応を起こし、ノズル充填材の浮上・損失が起こり、
スライディングノズルを開にしても溶鋼が出ないことが
起きるためである。
加される炭素粉は、固体炭素70質量%以上、且つ80
質量%以上が粒径2mm以下の範囲内にあるものが好ま
しい。また炭素粉は乾燥状態で硅砂及びクロム鉱等の配
合品に添加するのが好ましい。炭素(黒鉛も含む)粉の
固定炭素が70質量%未満であると、炭素粉中の不純物
が溶鋼温度で溶融し、ノズル充填材粒子に融着を生じ、
炭素粉によるノズル充填材の結合抑制の効果が低下する
おそれがある。
量%を超えると、局所的に十分な粒子間結合をせず、ノ
ズル充填材が溶鋼に接すると浮上・損失が大粒径の存在
している所で起こり、溶鋼が浸透してスライディングノ
ズルを開にしても溶鋼が出ない現象が発生するおそれが
あるため、粒径が2mm以上のものが20質量%以下と
なるようにするのが好ましい。
のもの20質量%以下の炭素粉を用い、硅砂とクロム鉱
のブレンド品に外掛け0.5、1.0、3.0、及び
5.0質量%添加し、ノズル充填材の焼結崩壊強度を測
定した結果、C添加量の増加に伴い焼結強度は低下し、
焼結崩壊強度は充填材の組成、特にNsio2の関数式で定
量化可能であることが判った。
をもとに次の様に決定した。ノズル充填材の種類、使用
量、C添加の有無並びにC添加量は溶製鋼種のC規格
値、脱炭プロセス(RH,VODなど)の有無により決
められ、製鋼工場の設備、採用されるプロセスに依存し
て選択される。 (1)C添加なしの充填材では、崩壊強度指数(F値)
が1.0以下が良い結果が得られた。ノズル充填材の組
成範囲はNsio2=0.335〜0.837とする。上限を0.837に設
定したのは、硅砂の熱膨張による棚吊りによる不開孔が
発生し易いためである。下限値を0.335としたのはF値
を1.0以下に抑えるためである。 (2)C添加充填材では、Nsio2の下限値はF値がF≦
1.0になるように決めた。この場合のC添加量とNsi
o2との関係は以下の表1に示す通りである。またNsio2
の上限値は、表2に示すようにF値がF≧0.25であり、
且つ熱膨張による棚吊りが生じない範囲とした。
製鋼の操業条件の変化、即ち溶鋼滞留時間A、溶鋼温度
Bの変化を示す熱特性Q=A×Bに応じて、Nsio2
、C添加量を調整して、最適な崩壊強度指数値となる
組成を容易に決定できる。その結果、どのような操業条
件であっても各種の操業条件に応じて、最適な組成を有
するノズル充填材を提供できる。
ディングノズルに本発明のノズル充填材を用いて自然開
口率を調べた。その結果を表3〜5に示す。この表中、
工場(#)は製鋼工場単位を示す。鋼種のSLCは超低
炭材(C≦0.03%)、LCは低炭材(C≦0.08
%)、MCは中炭材(C=0.08〜0.12)、HC
は高炭材(C=0.10〜0.15%)を示し、SSは
一般構造用鋼、SCは機械構造用炭素鋼、SDはコンク
リート用異型棒鋼、SUSはステンレス鋼、SCMは機
械構造用合金鋼を示す。ノズル径(φmm)は図1のノ
ズル8の部分である。精錬炉から出鋼された溶鋼は真空
下で脱ガス、脱炭処理される。その真空処理方法として
RH法、取鍋脱ガス法が行われている。レードルファー
ネスは炉外精錬を意味し、真空下で行うVAD(真空ア
ーク脱ガス)、VOD(真空酸素脱炭)及び、大気下で
行うLF(取鍋アーク精錬)が行われている。
造開始迄の平均時間Aを、溶鋼温度(℃)は平均の溶鋼
温度Bを示している。Q=A×Bはノズル充填材が溶鋼
から受ける熱量に比例する指標で充填材の焼結強度、焼
結厚み、浸透性の要因となる特性を表す。log[A×
B]は常用対数値である。Nsio2は充填材に含有さ
れるSiO2濃度のモル分率表示である。また開孔率
(%)は自然開口率である。C添加(外掛%)は質量%
を記した。使用した炭素粉を種類別に区分し使用割合を
示した。
した場合。 [比較例1] この工場は250トン転炉で鋼種はSLC,SK材を製
造している。ノズル孔径75mmφ、1回当りの充填材
使用量は20Kgであった。充填材はNsio2=0.
245,Ncr2o3=0.272の品を使用した。滞留
時間A=50分、溶鋼温度B=1620℃、Q=A×B
=81000と低い。logQ=4.9となる。Qが低
いにもかかわらず、Nsio2が低く、Ncr 2 o 3 が高
い。地金の差込みはなく、熱膨張は小さい。しかし焼結
強度(F)値は1.16と高い。このため自然開孔率は
1000チャージ当り99%であり、十分な自然開孔率
が得られなかった。
で鋼種はSLC,SK材を製造している。ノズル孔径6
0mmφ、1回当りの充填材使用量20Kgであった。
操業条件A=50分、B=1630℃、A×B=815
00と低い。logQ=4.9と小さい。Q値が小さい
ので、Nsio2=0.802,Ncr2o3=0.06
7に変え、適度な焼結性を持たせた。F値は0.77と
なる。地金の差込みもなく、膨張による棚吊りもなく流
出性が良く1000チャージ当りの自然開孔率は99.
9%と高く、十分使用出来た。
炉で鋼種はSLC,MC材を製造している。ノズル孔径
80mmφ、1回当りの充填材使用量は30Kgであ
る。操業条件はA=60分、B=1680℃、A×B=
100800、logQ=5.0となった。条件的には
#1工場に類似しているので、Nsio2=0.80
2、Ncr2o3=0.067の組成の充填材を使用し
た。F値は0.77となる。地金の差込みもなく、膨張
による棚吊りもなく、流出性も極めて良く、1000チ
ャージ当りの自然開孔率はほぼ100%と満足出来るも
のであった。
転炉で、鋼種はSLCを製造している。ノズル孔径10
0mmφ、1回当りの充填材使用量は70Kgである。
操業条件A=80分、B=1625℃、A×B=130
000となり、前述の実施例に比較して増加した。lo
gQ=5.1になった。この様に充填材の受熱特性値
(Q)が増加したので、溶融温度の高い組成である。N
cr2o3を増やし、Nsio2=0.548、Ncr2o
3=0.161の組成品を使用した。F値は0.71と
なった。地金の浸透もなく、膨張による棚吊りもなく、
焼結も適度に行われ、1000チャージ当りの自然開孔
率はほぼ100%で良好な成績を示した。
転炉で鋼種SLCを製造している。ノズル孔径100m
mφ、1回当りの充填材使用量は70Kgである。操業
条件はA=80分、B=1625℃、A×B=1300
00となる。logQ=5.1である。#3工場と比較
すると平均値として操業上差は認められないが、鋼種仕
様が異なるチャージが含まれているので、高融点の組成
であるNcr2o3を増やし組成を使用した。その組成は
Nsio2=0.439、Ncr2o3=0.201であ
り、F値は0.87を示した。地金の差込み、棚吊り現
象もなかった。適度に焼結され、流出性も極めて良好で
あった。1000チャージ当りの自然開孔率はほぼ10
0%であった。
転炉で鋼種LC,SKと多岐に亘る製造をしている。ノ
ズル孔径65mmφ、1回当りの充填材使用量は40K
gである。操業条件はA=180分、B=1625℃、
A×B=292500、logQ=5.46と受熱特性
(Q)は高い。操業条件は厳しく、高融点で且つ地金差
込みの生じない高Ncr2o3、低Nsio2の組成を選
択するため、Ncr2o3を少しづつ増加させ、最終的に
Nsio2=0.335,Ncr2o3=0.240の組
成になった。この組成の充填材のF値はほぼ1.0とな
り、焼結強度は上昇した。実際に使用後は地金の差込
み、焼結現象によるトラブルは少なく、1000チャー
ジ当りの自然開孔率は99.5%となり、長い滞留時間
の条件下ではほぼ満足できる結果を得た。
使用した場合。 炭素粉源としては石油コークス(フルード・コーク
ス)、カーボンブラック、黒鉛、石炭コークス品が利用
出来る。使用した、フルード・コークスの品位は以下の
通りである。灰分5%以下、固定炭素93〜」96%、
揮発分4〜7%、硫黄3〜4%、カロリー7900〜8
000kCal/kg、フルード・コークスの粒度(メ
ッシュ)は、>4が6%、>80が30%、>100が
52%、>200が95%上記粒度をもとに粉を再選別
出来る。100メッシュは209〜140μm,平均1
49μmであり、200メッシュは118〜69μm、
平均74μmである。
用い、鋼種はSLC,SK,LC材を製造している。ノ
ズル径は80mm,1回当りの充填材使用量は80kg
であった。充填材はNsio2=0.869、Ncr2o
3=0.043のものを使用した。滞留時間A=77
分、溶鋼温度B=1630℃、Q=A×B=12551
0、logQ=5.1であった。炭素粉を添加していな
い高Nsio2組成の充填材を使用した。F値=0.8
5であった。地金の差込みはなかったが、高Nsio2
のため熱膨張による棚吊り現象が見られ、1000チャ
ージ当りの自然開孔率は99%であり十分ではなかっ
た。
炉で鋼種LC,HCを製造している。ノズル孔径70m
m、1回当りの充填材の使用量は15Kgである。操業
条件はA=60分、B=1620℃、Q=A×B=97
200と小さく、logQ=4.98となる。この工場
は連続鋳造にブルーム連鋳機が2基稼動しており、平均
的にはQ値は低目であるが、バラツキが大きいため、N
sio2=0.802,Ncr2o3=0.067の組成
をベースに炭素粉1%(カーボンブラック0.5%、コ
ークス粉0.5%)添加した充填材を使用した。F値は
炭素粉添加により低下し、F=0.69となった。地金
の差込みもなく、焼結性も適度であった。膨張による棚
吊り現象は改善された。1000チャージ当りの自然開
孔率は、ほぼ100%であった。
炉で鋼種SLCを製造している。ノズル孔径70mm、
1回あたり充填材の使用量は15Kgである。操業条件
はA=90分、B=1610℃、Q=A×B=1449
00と上昇し、logQ=5.16となった。炭素粉1
%(カーボンブラック1%)添加したNsio2=0.
802,Ncr2o3=0.067の充填材を適用した。
(F)値は0.69となった。適度な焼結性を有し、熱
膨張による棚吊りもなく、地金の浸透も認められず流出
性も良好であった。1000チャージ当りの自然開孔率
は99.5%であった。
炉で鋼種SLC,LCを製造している。ノズル孔径85
mm、1回当り充填材の使用量は20Kgである。操業
条件はA=80分、B=1625℃、Q=A×B=13
0000、logQ=5.1となった。滞留時間Aの延
長バラツキが生じるため、炭素粉1%(カーボンブラッ
ク1%)添加したNsio2=0.643、Ncr2o3
=0.126、F値=0.62の充填材を使用した。地
金の差込み、棚吊りもなく適度な焼結性を有し、良好な
流出性を得た。1000チャージ当りの自然開孔率は9
9.9%であった。
炉で、鋼種はSCを製造している。ノズル孔径70m
m、1回当り充填材の使用量は40Kgである。操業条
件としてA=200分と長い。B=1655℃である。
したがってQ=A×B=331000と高くなる。lo
gQ=5.52で充填材の受熱特性値は著しく高い。従
って、高融点のNcr2o3を増加させ、Nsio2を低
下させた組成を選択し、Nsio2=0.336、Nc
r2o3=0.238、とし、焼結強度を低下させる目的
で炭素粉1%(カーボンブラック0.5%+黒鉛0.5
%)を添加し、F値=0.91の充填材を用いた。結果
は難膨張性で地金の浸透もなく、焼結強度も適度であ
り、流出性も良好であった。1000チャージ当りの自
然開孔率は99.5%であった。
炉で鋼種はSUSを製造している。ノズル孔径40mm
又は65mm、1回当りの充填材使用量は20〜30K
gである。操業条件としてA=180分、B=1690
℃、Q=A×B=304200と高い。logQ=5.
48。#9工場とQ値はほぼ同一レベルであるが、
(B)が高い。Nsio2=0.315、Ncr2o3=
0.246に炭素粉0.5%(カーボンブラック0.5
%)を添加した充填材を用いた。F値=0.98であ
り、地金の浸透、棚吊り、過焼結の何れもなく、流出性
は良好であり、1000チャージ当りの自然開孔率は9
9.5%であった。
ズル充填材を、Nsio2=0.548、Ncr2o3=
0.161、炭素粉4.5%(カーボンブラック1.0
%、コークス2.5%、黒鉛1%)添加品を用いた。F
値=0.21であり、焼結層が少なく、充填材の浮上損
失による地金の浸透があり、自然開孔率が低下し98%
であった。
種はSS,SCを製造している。ノズル孔径55mm、
1回当たりの充填材の使用量は15kgである。操業条
件としてA=60分、B=1600℃、Q=A×B=9
6000、logQ=4.98となる。ノズルの充填材
の組成はNsio2=0.15、Ncr2o3=0.30
7であり、F値=1.31である。地金の差し込みは少
なく、熱膨張は小さく棚吊りは生じなかったが、焼結強
度が大きく、スムーズな流出性が得られなかった。10
00チャージ当たりの自然開孔率は98%であり、満足
な状態ではなかった。
炭素粉3.5%(カーボンブラック2.0%+黒鉛1.
5%)を添加したものを使用した。1000チャージ当
りの自然開孔率は99.5%と良好な結果となった。電
気炉操業で注意を要する点は転炉と異なり樋出鋼のた
め、出鋼開始時に溶鋼とスラグの分離が不十分でスラグ
が溶鋼に混じる事である。このスラグによる充填材の焼
結が起きやすい点に注意を要する。又、電気炉溶製鋼種
は成分C(%)が高いため、充填材中の炭素粉添加量が
多くなってもあまり問題はない。
電気炉であり、鋼種はSS,SCを製造している。ノズ
ル孔径は55mm、1回当たりの充填材の使用量は12
kgである。操業条件としてA=30分と短く、B=1
590℃、Q=A×B=47700と低い。logQ=
4.67、Nsio2=0.802、Ncr2o3=0.
067である。炭素粉は含有していない。F値=0.7
7。結果は、熱膨張による棚吊り、地金の差込及び、焼
結に起因するトラブルは全く発生せず、1000チャー
ジ当たりの自然開孔率は100%となり、十分満足でき
る結果であった。
n電気炉で鋼種はSS,SDを製造している。ノズル孔
径75mm、1回当たりの充填材の使用量は8kgであ
る。操業条件としてA=70分、B=1610℃、Q=
A×B=112700となる。logQ=5.05。炭
素粉1%(カーボンブラック1%)添加し、Nsio2
=0.802、Ncr2o3=0.067の充填材を用い
た。F値=0.69である。適用した結果は地金の差
込、熱膨張による棚吊りも発生せず、適度な焼結性を有
し流出性も優れていた。1000チャージ当たりの自然
開孔率は99.8%と良好であった。
n電気炉で鋼種SS,SDを製造している。ノズル孔径
45mm、1回当たりの充填材の使用量は15kgであ
る。操業条件はA=150分、B=1630℃、Q=A
×B=244500と増加しlogQ=5.39とな
る。炭素粉2.5%(カーボンブラック1.5%、コー
クス1%)を添加し、Q値の増加に対応するため、Ns
io2=0.490、Ncr2o3=0.182の組成と
した。F値=0.52である。結果は適度な焼結性を有
しており、地金の差込、膨張による棚吊りは発生せず、
良好な結果を得た。1000チャージ当たりの自然開孔
率は99.8%であった。
n電気炉で鋼種はSSを製造している。ノズル孔径55
mm、1回当たりの充填材の使用量は15kgである。
操業条件としてはA=80分、B=1610℃、Q=A
×B=128800、logQ=5.10となる。充填
材は炭素粉3.5%(カーボンブラック0.5%、コー
クス3%)添加し、Nsio2=0.653、Ncr2o
3=0.122であり、F値=0.31である。結果は
地金の浸透、熱膨張による棚吊り共になく、適度な焼結
性が有り、流出性は良好であり、1000チャージ当た
りの自然開孔率は99.7%あった。
いる。ノズル孔径45mm、1回当たりの充填材の使用
量は15kgである。操業条件としてはA=180分、
B=1625℃、Q=A×B=292500と高い。l
ogQ=5.46となる。炭素粉添加量を5%(カーボ
ンブラック1%、コークス3%、黒鉛1%)とし、Ns
io2=0.447、Ncr2o3=0.198の充填材
を用いた。F値は0.27である。使用結果は地金の浸
透、熱膨張による棚吊りもなく、良好な結果を得た。1
000チャージ当たりの自然開孔率は99.8%であっ
た。
n電気炉で鋼種はSCを製造している。ノズル孔径50
又は60mm、1回当たりの充填材の使用量は20kg
である。操業条件A=270分と長い。B=1600
℃、Q=A×B=432000となる。logQ=5.
63と大きい。炭素粉を4%(カーボンブラック1%黒
鉛3%)添加し、Nsio2=0.321、Ncr2o3
=0.244の充填材を用いた。F値は0.57であ
る。使用結果は充填材の焼結、熱膨張による棚吊り、ス
ラグ、溶鋼の浸透による不開孔を大幅に低減し改善する
ことが出来た。1000チャージ当たりの自然開孔率は
99.6%であった。
したことにより、該ノズル充填材の焼結物の崩壊強度を
確実に特定の強度範囲内とすることができ、また棚吊り
による不開口のおそれもなく、複雑な操業条件に対応す
る事が可能であり、また過酷な操業条件であっても高い
自然開孔率を有するものである。
収容器用摺動開閉装置の1例を示す断面図である。
フである。
Claims (6)
- 【請求項1】 化学組成がSiO2及びCr2O3、或い
はCr2O3を主成分とし、組成中のSiO2モル分率が
0.167以下であり、外掛けC添加量が{3.500
−(5.988×SiO2モル分率)}(質量%)から
5.0(質量%)の範囲内であることを特徴とするノズ
ル充填材。 - 【請求項2】 化学組成がSiO2及びCr2O3を主成
分とし、組成中のSiO2モル分率が0.167を超
え、0.335以下であり、外掛けC添加量が{4.9
85−(14.881×SiO2モル分率)}(質量
%)から5.0(質量%)の範囲内であることを特徴と
するノズル充填材。 - 【請求項3】 化学組成がSiO2及びCr2O3を主成
分とし、組成中のSiO2モル分率が0.335を超
え、0.473以下であり、外掛けC添加量が1.0
(質量%)以下であることを特徴とするノズル充填材。 - 【請求項4】 化学組成がSiO 2 及びCr 2 O 3 を主成
分とし、組成中のSiO 2 モル分率が0.335を超
え、0.473以下であり、外掛けC添加量が5.0
(質量%)以下(但し、Cは黒鉛粉を除く炭素粉である)
であることを特徴とするノズル充填材。 - 【請求項5】 化学組成がSiO2及びCr2O3を主成
分とし、組成中のSiO2モル分率が0.473を越え、
0.523以下であり、外掛けC添加量が{9.730−
(10.0×SiO2モル分率)}(質量%)以下である
ことを特徴とするノズル充填材。 - 【請求項6】 化学組成がSiO2及びCr2O3を主成
分とし、組成中のSiO2モル分率が0.523を超
え、0.837以下であり、外掛けC添加量が{5.3
33−(1.592×SiO2モル分率)}(質量%)
以下〔但し外掛けC添加量が0(質量%)は除く〕である
ことを特徴とするノズル充填材。
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KR20140146660A (ko) * | 2012-06-05 | 2014-12-26 | 에스엠에스 지마크 악티엔게젤샤프트 | 금속 용융 용기의 출탕구 개방 및 폐쇄 방법 |
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