JP3360957B2 - ゴム・プラスチック電力ケーブル用差し込み式接続部 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、高圧送電線路に用いる
ゴム・プラスチック製のケーブルの接続部の構造に関
し、特に、ケーブル導体を導体接続子部材を用いて接続
し、その接続部の外周部にゴム製の補強絶縁体を一体に
取り付ける際に、導体接続子部材と高圧シールド電極を
容易に固定できるようにするゴム・プラスチック電力ケ
ーブル用差し込み式接続部に関する。

【０００２】

【従来の技術】ＣＶケーブル等の大容量の高圧電力ケー
ブルの接続の１つの方法として、従来よりスリップオン
型導体接続手段を用いることが行われており、前記接続
装置としては、例えば、特開平２−１５５４１５号公報
や実開平２−７７８６８号公報等に示されるような技術
手段が知られている。前述したようなケーブル接続手段
においては、ケーブル導体の先端部に銅製の導体接続子
部材を固定しておき、接続する２本のケーブル導体の先
端部に取り付けた導体接続子部材を、銅製の導体継手に
対向させる状態で挿入して、ケーブルの導通を得るよう
にしている。

【０００３】また、前記従来例においては、前記導体継
手に対して挿入する２つの導体接続子部材のそれぞれに
は、導体継手との間での係止手段を設けており、導体継
手に対して導体接続子部材を挿入した状態で、導体継手
の内側に形成した段部と、導体接続子部材の先端部に形
成した段部とを係止させ、導体接続子部材が導体継手か
ら外れないようにする手段を構成している。なお、前記
導体継手は、短冊型の部材を組み合わせて円筒状に構成
しているもので、その外周部に配置したスプリング等に
より、導体接続子部材に対する押圧と係止作用を行い、
２つのケーブルの間の導通を得ることができるように構
成されている。

【０００４】前記従来例に示されるようなケーブル接続
部１０は、図９に示されるように構成されているもの
で、まず、接続する２本のケーブル１、１ａの外装管６
を所定の長さだけ除去し、導体２と絶縁体３を接続部の
構造に対応させた長さだけ露出させる状態にして、ケー
ブルの曲りを矯正する。次いで、導体２を所定の長さだ
け露出させるように絶縁体３を剥離し、導体の先端部に
導体接続子部材８を取り付けて固定する。そして、２つ
の導体接続子部材を導体継手９に挿入する状態で導体接
続部７を構成するが、前記図９に示される例では、前記
導体継手９を補強絶縁体１２の内部に配置しており、導
体接続子部材８、８ａを補強絶縁体１２の両側から挿入
することにより、導体継手９を介して２つの導体接続子
部材を突き合わせる状態で固定し、導通状態を設定でき
るようにする。

【０００５】さらに、前記導体継手９に対応する位置に
は、補強絶縁体１２の内部に一体に設けた高圧シールド
電極１１が位置するようにされる。また、前記補強絶縁
体１２は、あらかじめ工場で製造されるもので、未架橋
ポリエチレン等の材料を用いてコーン状に構成し、ケー
ブル接続現場では、補強絶縁体の中心部を貫通する状態
に設けた孔を介してケーブルを挿入し、導体接続子部材
を位置決めさせるようにする。そして、その後で、前記
補強絶縁体の外側から熱と圧力を加えて、未架橋ポリエ
チレン材料を架橋させるとともに、ケーブル導体の接続
部を押圧して固定するようにしている。

【０００６】前述したように構成した導体接続部７に対
して、ケーブル接続部１０を構成するために、補強絶縁
体１２の周囲に半導電層１３を配置し、その外周部に防
水混和物１５を所定の厚さで形成し、防水混和物１５の
外周部に金属製の保護管１６を配置する。また、前記保
護管１６に対して所定の位置に絶縁筒１７を配置すると
ともに、保護管に対して端子座１８を配置して、アース
に接続する手段を設けている。さらに、前記絶縁筒１７
の両端部と、ケーブル外装との接続部をカバーする状態
で防水層１９を配置し、前記防水層１９を絶縁テープを
巻き付ける等の手段により構成し、保護管１６の内部に
湿気等が入り込むことを防止する手段を構成している。
なお、前記一般例に示されるケーブルはコルゲート外装
を施したものとして構成しているが、前記ケーブルとし
ては、任意の高圧送電用のＣＶケーブル等を対象にし
て、ケーブル接続部を構成することができる。前記ケー
ブル接続部１０において、ケーブルの導体に取り付けた
導体接続子部材を接続する導体継手９と、補強絶縁体１
２に配置する高圧シールド電極１１の２つの導電性を有
する導電性円筒部材は、銅等の金属で形成された円筒部
材として構成される。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】ところが、前記図９に
示されるようなケーブル接続部を構成する場合には、ケ
ーブル導体の先端部に固定した導体接続子部材を補強絶
縁体の貫通孔に挿入して、導体接続部の位置決めを行う
必要がある。前記導体接続部を形成する際には、一方の
ケーブル導体の導体接続子部材は、補強絶縁体に対して
容易に挿入することが可能であるが、他方の導体接続子
部材を挿入する際には、ケーブルを大きく湾曲させて導
体接続子部材を補強絶縁体の長さの半分だけ後退させ、
その後で、ケーブルの曲りを修正しながら導体接続子部
材を補強絶縁体の貫通孔に挿入する方式を用いている。
しかしながら、従来のケーブル接続部を構成する際に
は、大容量のケーブルのように導体断面積の大きなもの
では、曲げ作業を行うことが困難であり、接続作業の能
率を向上させることができないという問題がある。さら
に、マンホールのような狭い場所で、ケーブルベンダー
等の装置を用いて、ケーブルを曲げたり延ばしたりする
作業を行う必要があり、作業環境が良くない場所で、面
倒な作業を強いられるという問題がある。

【０００８】前述したような問題に加えて、導体継手に
導体接続子部材を挿入して導体接続部を形成し、その導
体接続部の外周部に差し込み型補強絶縁体を配置して構
成するケーブル接続部では、導体を補強絶縁体に対して
固定保持する手段を設けてなく、ケーブルの長さ方向に
引っ張り作用が働いた場合には、接続部の信頼性に問題
が生じることが懸念される。前述したような問題に加え
て、導体継手に対して導体接続子部材を挿入して導通を
設定するケーブル接続部では、導体継手に対して導体接
続子部材を挿入して固定する際に、導体接続子部材の先
端部に配置する膨大部が、導体継手を拡開する状態で挿
入されるようになっている。そこで、前記補強絶縁体の
内部に配置する高圧シールド電極の内面と、導体継手の
外周部との間に導体継手が拡開できる程度の隙間を形成
する必要があり、その隙間に対して、導体継手と高圧シ
ールド電極との導通を設定するための別の導通手段を構
成する等の余分な手段を追加して設けるために、導体接
続部の周囲に余分な機構を配置することにより、構造が
複雑になり易いという問題もある。

【０００９】前述したような従来例の他に、補強絶縁体
をゴム等により構成し、前記ゴム製の補強絶縁体の中心
に配置する貫通孔に対して、接続するケーブルの先端部
を挿入し、２本のケーブルの先端部を補強絶縁体の中央
部で接続する手段を用いることも提案されている。ま
た、前述したような接続方式を用いる場合に、ケーブル
と補強絶縁体とは、双方の摺動面に配置するゴム材料の
摩擦により係止保持できるようにすることが可能とされ
る。しかしながら、前述したようなゴム製の補強絶縁体
を用いる際に、ケーブル導体の先端部に配置する導体接
続子部材を、補強絶縁体の中央部に確実に固定保持する
手段がなく、接続状態の確認が困難である等の問題が残
っている。

【００１０】

【発明の目的】本発明は、前述したような従来のケーブ
ル接続部を形成する際の問題を解消するもので、ゴム製
の補強絶縁体に対してケーブル導体を挿入することによ
り導体の接続を行い、２本の接続するケーブルを補強絶
縁体を介して固定保持させる際に、補強絶縁体の中央部
に配置する高圧シールド電極に対して、補強絶縁体を正
確な位置に設定可能な手段を構成するとともに、ゴム製
の補強絶縁体に対して弾性を有する高圧シールド電極を
配置し、前記高圧シールド電極に設けたリング状突部を
導体接続子部材の溝部に位置決め可能に構成し、ケーブ
ル接続部の形成作業を容易に短時間で行い得るようなゴ
ム・プラスチック電力ケーブル用差し込み式接続部を提
供することを目的としている。

【００１１】本発明は、ゴム製の補強絶縁体の内部に高
圧シールド電極を一体に設け、前記補強絶縁体の中心部
の長さ方向に貫通する孔に、接続するケーブルの先端部
を挿入し、ケーブルの導体を導体接続子部材を介して接
続するとともに、前記２つの接続するケーブルをゴム製
の補強絶縁体を介して一体に固定するケーブル接続部に
おいて、本発明の請求項１の発明は、前記導体接続子部
材の長さ方向の中心部の外周部には、高圧シールド電極
のリング状の突部を係止する溝部を配置し、前記高圧シ
ールド電極は、弾性と導電性を有するゴム材料で作成
し、前記高圧シールド電極に設ける突部は、ケーブル外
径よりも小径でケーブルに沿って摺動させ得る高さを有
するものとして構成し、前記補強絶縁体の中心部の長さ
方向に貫通する孔に接続するケーブルの先端部を挿入し
て導体を接続するに際して、前記高圧シールド電極に設
ける突部は、前記ゴム材料の弾性により高圧シールド電
極の突部とが変形する状態で摺動し、前記導体接続子部
材に対応させて、高圧シールド電極と補強絶縁体を移動
させて位置決めした状態で、導体接続子部材の溝部に対
して高圧シールド電極の突部を係止することを特徴とす
る。

【００１２】請求項２の発明は、前記補強絶縁体の両側
端部付近の外周部には、バンド状の締め付け固定手段を
取り付けるための段部を配置し、前記補強絶縁体をケー
ブルに沿わせて移動させる際に、補強絶縁体に設けた段
部に工具等を係合させ得るように構成することを特徴と
する。請求項３の発明は、前記導体接続子部材は、ケー
ブル導体を固定保持するための本体と、その外周部に配
置する半円筒状の部材とを組み合わせて設け、前記半円
筒状の部材の長さ方向の中心部の外周部に、リング状の
溝部を設けることを特徴とする。

【００１３】

【作用】本発明において、導体接続部に配置する補強絶
縁体は、比較的硬度の高いゴム材料を用いて、両端をコ
ーン状に構成しており、その中心部に貫通させる状態に
設けた孔に対して、ケーブルの先端部を挿入する状態で
位置決めを行うようにする。また、前記補強絶縁体の中
央部には導電性のゴム材料で構成した高圧シールド電極
を配置し、前記高圧シールド電極の中央部にはリング状
突部を孔に向けて所定の高さで突出させて設け、補強絶
縁体をケーブルに沿わせて摺動させる際に、リング状突
部が高圧シールド電極の内部に入り込む状態で押圧され
ながら摺動されるようにする。そして、補強絶縁体を接
続部に対応させて位置決めする状態で、高圧シールド電
極のリング状突部が導体接続子部材の溝部に係止され、
補強絶縁体の固定の作用を行うことができる。

【００１４】さらに、本発明の導体接続部に配置する補
強絶縁体は、その外周部の所定の部分に対して、リング
状の段部を設けることができ、前記段部を利用して固定
バンド等の部材を取り付けて、補強絶縁体をケーブルに
対して押圧保持できるようにする。前記補強絶縁体に設
ける段部は、補強絶縁体をケーブルに沿わせて移動させ
る際に、移動用の工具等を係合させ、補強絶縁体の移動
の作業を容易に行わせるための補助手段として用いるこ
とができる。前記構成に加えて、本発明の導体接続部を
形成する際には、ケーブル導体を導体接続子部材に対し
て挿入して固定し、その接続部に対して補強絶縁体を移
動させて位置決めすることにより容易に行うことが可能
であり、ケーブル本体を湾曲させたりする必要がないの
で、マンホール内等の狭い場所でのケーブル接続作業を
容易に行うことを可能にする。

【００１５】

【実施例】図示される例にしたがって、本発明のゴム・
プラスチック電力ケーブル用差し込み式接続部を説明す
る。図１に示されるように、本発明の導体接続部２０で
は、接続する２本のケーブル１、１ａの導体を、導体接
続子部材２１に挿入して固定し、その周囲に補強絶縁体
３０を配置し、さらに、補強絶縁体の周囲に半導電層３
２を所定の厚さで被覆して構成している。前記補強絶縁
体３０は、ゴム等の弾性材料で構成し、中央部が所定の
外径を有する円筒状で、両端部が次第に細くなるような
テーパ部を一体に設けた略コーン状のものとして構成さ
れる。また、前記補強絶縁体３０の内部には貫通孔３１
を設けており、前記貫通孔３１の内径は、ケーブルの外
径よりやや小さめのサイズに構成している。

【００１６】前記補強絶縁体３０の内部には、導電性の
ゴム等で構成した高圧シールド電極３５を配置してお
り、前記高圧シールド電極３５の本体３６は、略円筒状
の部材として構成し、従来の補強絶縁体に配置する金属
製の高圧シールド電極と同様に、補強絶縁体の内部に埋
め込む状態で設けている。また、前記高圧シールド電極
の長さ方向の中央部には、貫通孔に向けて突出させる状
態でリング状突部３７を突出させて設けており、前記リ
ング状突部３７の先端部の内径は、導体接続子部材に設
けた溝部２６の外径とほぼ同一に構成している。さら
に、前記高圧シールド電極３５に設けたリング状突部３
７は、ケーブルの外周面に沿わせて移動させる際に、そ
の高圧シールド電極の弾性によりリング状突部を貫通孔
から引っ込む状態に変形させ、ケーブルに沿って補強絶
縁体と高圧シールド電極とを一体に移動させ得るように
する。

【００１７】ケーブル１、１ａの導体を挿入する導体接
続子部材２１は、銅合金等の導電性の良好な金属により
構成しているもので、従来の導体を直接接続する形式の
導体接続子部材の場合と同様に、円筒状の部材の両側端
部に導体を収容する孔を設けたもので構成する。そし
て、ケーブル導体を孔に挿入して、周囲から締め付ける
ことにより固定保持できるような手段を用いることがで
きる。また、前記導体接続子部材２１としては、図２に
示すように、ケーブルを接続する接続部材とその外周部
をカバーする被覆部材２５を組み合わせたもので構成す
ることも可能である。

【００１８】前記図２に示される導体接続子部材２１の
例は、２本のケーブル導体を接続する接続部材２２と、
導体接続子部材の外側を覆う状態で取り付ける被覆部材
２５とを組み合わせて構成している。前記接続部材２２
は、略円筒状の銅合金等の金属部材で構成し、両側端部
から長さ方向の中央部に向けて、所定の深さで導体挿入
孔２３、２３ａをそれぞれ設けている。前記接続部材に
設けた導体挿入孔２３、２３ａには、ケーブル導体をそ
れぞれ挿入して、その外周部から押圧することにより、
導体を締め付けて固定することができる。また、前記接
続部材２２の外側に配置する被覆部材２５は、半割り状
にした円筒を２つ組み合わせて構成するもので、その被
覆部材の内径を接続部材の外形に一致させることによ
り、接続部材に対して被覆部材を取り付けた状態で、両
部材の間の導通を設定できるようにしている。

【００１９】前記被覆部材２５の長さ方向の中央部に
は、外表面から切り込んだ状態で溝部２６を設けてお
り、図１に示すように、前記溝部２６に対して、高圧シ
ールド電極３５に設けたリング状突部３７を係合させて
固定することができる。前記接続部材２２に対して被覆
部材２５を組み合わせる場合に、両部材を貫通するネジ
穴を設けておき、接続部材に対して被覆部材をネジ等を
用いて固定する等の手段により、導体の接続と導通状態
を設定できるようにする。そして、前記導体接続子部材
２１を用いて導体の接続を行った後で、補強絶縁体３０
を接続部に移動させ、高圧シールド電極の突部を被覆部
材の溝部に係合させる状態で、導体接続部を構成するこ
とができる。また、図１の導体接続部２０を構成する場
合に、導体接続子部材を図２のような部材とせずに、従
来より一般に使用されているような接続部材のみを用い
た接続方式を用いることができるものであり、その場合
には、接続部材の外周部にリング状の溝部を設けること
により、補強絶縁体の装着に対応させることができる。

【００２０】前記図１に示される補強絶縁体に代えて、
本発明においては、図３に示されるように、補強絶縁体
３０のテーパ部に段部３４、３４ａを設けておき、前記
段部を介してバンド状の締め付け部材を用いて固定する
手段を構成することができる。前記図３に示される補強
絶縁体において、ゴム製の補強絶縁体本体の表面を被覆
する半導電層３２は、補強絶縁体の全外周面を覆う形で
構成し、補強絶縁体の両端部から所定の長さで延長部３
３、３３ａを設けている。また、前記図３の補強絶縁体
をケーブルに沿わせて移動させる際に、段部３４、３４
ａに移動用の工具等を係合させることができるので、補
強絶縁体の貫通孔の内面がケーブルの絶縁体の表面に大
きな摩擦力で接している状態でも、補強絶縁体の移動を
工具等を用いて容易に行うことができる。さらに、前記
補強絶縁体の移動を行う際に、テーパ部に工具等を係止
させたりすることがないので、補強絶縁体の表面を傷付
けたりすることがなく、補強絶縁体の電気的な特性に支
障を与えたりすることがない。

【００２１】前述したように構成する本発明の導体接続
部は、図４〜７に示される工程にしたがって組立作業を
行うことができる。ケーブルの接続に際しては、最初
に、図４に示されるように、接続する２本のケーブル
１、１ａの端部を突き合わせる状態で切断し、導体２、
２ａを所定の長さだけ露出させるようにする。また、ケ
ーブル導体２、２ａの露出長さは、図２の導体挿入孔２
３の長さに対応させて形成し、ケーブルの絶縁被覆の端
部が導体接続子部材に当接する状態で固定されるように
する。そして、前記導体接続部に配置する補強絶縁体３
０は、内部に高圧シールド電極３５を一体に設けたもの
を、あらかじめ工場で製造し、施工現場で組立可能にし
ている。

【００２２】前記図４のようにして、ケーブルの導体先
端部を露出させる処理を行った後で、図５に示すよう
に、ケーブル１を高圧シールド電極３５の貫通孔３１に
挿入した状態で、高圧シールド電極をケーブル１に支持
させる。前記図５のように、ケーブルに対して高圧シー
ルド電極を取り付けた状態では、高圧シールド電極３５
のリング状突部３７は、ケーブルの外径よりも大きく突
出したものが、ケーブル表面と摺動することにより、高
圧シールド電極の本体３６とともに図示されるように変
形する。前述したような状態で、図６に示すようにし
て、２本のケーブルの導体を導体接続子部材２１を用い
て接続する作業を行う。前記導体接続子部材２１とし
て、図２に示すような部材を用いる場合には、導体２、
２ａの先端部を導体接続子部材の導体挿入孔に挿入して
固定し、被覆部材を用いて導体接続子部材をカバーする
状態に固定する。また、前記図６に示されるように、２
本のケーブル１、１ａの導体２、２ａを、導体接続子部
材２１を介して接続した状態では、導体接続子部材２１
の外径とケーブル導体の外径とが、ほぼ一致する状態に
構成される。したがって、前記図６に示される状態で、
補強絶縁体を接続部に向けて移動させる際に、導体接続
子部材とケーブル絶縁体との接続部には段差が形成され
ないので、補強絶縁体を導体接続部に向けて移動させる
作業を容易に行うことができる。

【００２３】前述したようにして、導体接続部に対して
補強絶縁体３０を位置決めする際に、前記図６から図７
に移行する過程で、高圧シールド電極３５のリング状突
部３７が導体接続子部材の溝部２６に入り込む状態で、
補強絶縁体を位置決めすることができる。前記高圧シー
ルド電極のリング状突部の幅は、溝部２６の幅よりも若
干狭く形成されるので、補強絶縁体を導体接続子部材に
対して位置決めした状態では、押圧されていたリング状
突部３７が、高圧シールド電極の本体とリング状突部の
弾性により元の状態に復帰する。したがって、前記図７
に示されるように、導体接続子部材の溝部に対して高圧
シールド電極のリング状突部が係合し、補強絶縁体３０
を移動しない状態に固定保持させることができる。そし
て、ケーブル導体の接続部に対して、補強絶縁体を位置
決めして固定することにより、２本のケーブルの接続を
行い、補強絶縁体に設けた高圧シールド電極を用いて、
ケーブル接続部での電気的な接続を設定できるようにす
る。

【００２４】また、前記図４から図５に移行する工程
で、一方のケーブル１に対して補強絶縁体３０を装着す
る際に、ケーブル絶縁体の切断端部に、補強絶縁体の端
部や半導電層の延長部３３が引っ掛かり、移動させる作
業に支障が生じることが懸念される。そこで、本発明に
おいては、図８に示すように、ケーブル１の絶縁体を切
断して導体２を露出させた後で、絶縁体の切断端部に対
してガイドリング２８を装着し、前記ガイドリング２８
を介して補強絶縁体を取り付ける際の案内を行い得るよ
うにする。前記ガイドリング２８は、プラスチック材料
等を用いて構成することができるもので、先端部にテー
パ状の案内部２８ａを形成し、ケーブル絶縁体に対応す
る基部２８ｂでは、外径がケーブル外径に一致するもの
として構成する。そして、前記図８に示すような補強絶
縁体の装着時の案内手段を用いることにより、補強絶縁
体をケーブルに装着する動作を容易に行い得るように
し、補強絶縁体をケーブルに支持させた状態で、前記ガ
イドリングを取り外して、図６のように、導体接続子部
材に対して導体を接続する作業を行い得るようにする。

【００２５】前述したように、ゴム製の補強絶縁体と導
電性のゴム材料で構成した高圧シールド電極とを組み合
わせ、導体接続部に対して装着する方式の接続部を構成
する際に、接続される２本のケーブルは、その絶縁被覆
の表面と補強絶縁体の内面との摩擦力と弾性応力によ
り、固定保持作用が行われる状態となる。そこで、接続
部の固定保持作用を良好な状態で発揮できるようにする
ために、例えば、前記図３に示されるように、補強絶縁
体の両端部に設けた段部を用いて、接続用のバンド部材
を配置し、補強絶縁体の外側から締め付けて固定するこ
とにより、補強絶縁体に対するケーブルの固定を行うこ
ともできる。また、前記段部を介して締め付ける作用
は、補強絶縁体を構成する材料が、ゴム等のような弾力
性を有するものであることから、比較的容易に固定作用
を発揮させることが可能になる。

【００２６】

【発明の効果】本発明のゴム・プラスチック電力ケーブ
ル用差し込み式接続部は、前述したように構成したもの
であり、導体接続部に配置する補強絶縁体は、両端をコ
ーン状に構成しており、その中心部に貫通させる状態に
設けた孔に対して、ケーブルの先端部を挿入する状態で
位置決めを行うことができる。また、前記補強絶縁体の
中央部には導電性のゴム材料で構成した高圧シールド電
極を配置し、前記高圧シールド電極の中央部にはリング
状突部を孔に向けて所定の高さで突出させて設け、補強
絶縁体をケーブルに沿わせて摺動させる際に、リング状
突部が高圧シールド電極の内部に入り込む状態で押圧さ
れながら摺動されるので、補強絶縁体の位置決めの動作
を容易に行うことが可能になる。そして、補強絶縁体を
接続部に対応させて位置決めする状態で、高圧シールド
電極のリング状突部が導体接続子部材の溝部に係止さ
れ、補強絶縁体の固定の作用を行うことができる。

【００２７】さらに、本発明の導体接続部に配置する補
強絶縁体は、その周囲の所定の部分に対して、リング状
の段部を設けることができ、前記段部を利用して固定バ
ンド等の部材を取り付けて、補強絶縁体をケーブルに対
して押圧保持させることもできる。そして、前記補強絶
縁体に設ける段部は、補強絶縁体をケーブルに沿わせて
移動させる際に、移動用の工具等を係合させ、補強絶縁
体の移動の作業を容易に行わせるための補助手段として
用いることができる。前記構成に加えて、本発明の導体
接続部を形成する際には、ケーブル導体を導体接続子部
材に対して挿入して固定し、その接続部に対して補強絶
縁体を移動させて位置決めすることにより容易に行うこ
とが可能であり、ケーブル本体を湾曲させたりする必要
がないので、マンホール内等の狭い場所でのケーブル接
続作業を容易に行うことを可能にする。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の導体接続部の構成を示す説明図であ
る。

【図２】 導体を接続する際に使用する導体接続子部材
の説明図である。

【図３】 本発明の補強絶縁体の別の実施例の構成を示
す説明図である。

【図４】 ケーブル導体を露出させる工程の説明図であ
る。

【図５】 補強絶縁体を一方のケーブルに装着した状態
の説明図である。

【図６】 ２本のケーブル導体を導体接続子部材を介し
て接続した状態の説明図である。

【図７】 導体接続部を形成した状態の説明図である。

【図８】 ケーブル端部に補強絶縁体に対する案内手段
を装着した状態の説明図である。

【図９】 一般的なケーブル接続部の構成を示す説明図
である。

【符号の説明】

１ ケーブル、 ２ 導体、 ３ 絶縁体、７・
２０ 導体接続部、 ８・２１ 導体接続子部材、
１０ ケーブル接続部、 １１・３５ 高圧シール
ド電極、１２・３０ 補強絶縁体、 ２２ 接続
部材、 ２３ 導体挿入孔、２５ 被覆部材、 ２
６ 溝部、 ２８ ガイドリング、３１ 貫通
孔、 ３４ 段部、 ３７ リング状突部。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 植田 朝喜與 埼玉県熊谷市新堀1008番地 三菱電線工 業株式会社 熊谷製作所内 (56)参考文献 特開 平３−52506（ＪＰ，Ａ) 実開 平２−26337（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) H02G 15/08 H01R 4/58

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ゴム製の補強絶縁体の内部に高圧シール
   ド電極を一体に設け、前記補強絶縁体の中心部の長さ方
   向に貫通する孔に、接続するケーブルの先端部を挿入
   し、ケーブルの導体を導体接続子部材を介して接続する
   とともに、前記２つの接続するケーブルをゴム製の補強
   絶縁体を介して一体に固定するケーブル接続部におい
   て、 前記導体接続子部材の長さ方向の中心部の外周部には、
   高圧シールド電極のリング状の突部を係止する溝部を配
   置し、 前記高圧シールド電極は、弾性と導電性を有するゴム材
   料で作成し、前記高圧シールド電極に設ける突部は、ケ
   ーブル外径よりも小径でケーブルに沿って摺動させ得る
   高さを有するものとして構成し、 前記補強絶縁体の中心部の長さ方向に貫通する孔に接続
   するケーブルの先端部を挿入して導体を接続するに際し
   て、前記高圧シールド電極に設ける突部は、前記ゴム材
   料の弾性により高圧シールド電極の突部とが変形する状
   態で摺動し、 前記導体接続子部材に対応させて、高圧シールド電極と
   補強絶縁体を移動させて位置決めした状態で、導体接続
   子部材の溝部に対して高圧シールド電極の突部を係止す
   ることを特徴とするゴム・プラスチック電力ケーブル用
   差し込み式接続部。
2. 【請求項２】 前記補強絶縁体の両側端部付近の外周部
   には、バンド状の締め付け固定手段を取り付けるための
   段部を配置し、 前記補強絶縁体をケーブルに沿わせて移動させる際に、
   補強絶縁体に設けた段部に工具等を係合させ得るように
   構成することを特徴とする請求項１に記載のゴム・プラ
   スチック電力ケーブル用差し込み式接続部。
3. 【請求項３】 前記導体接続子部材は、ケーブル導体を
   固定保持するための本体と、その外周部に配置する半円
   筒状の部材とを組み合わせて設け、前記半円筒状の部材
   の長さ方向の中心部の外周部に、リング状の溝部を設け
   ることを特徴とする請求項１に記載のゴム・プラスチッ
   ク電力ケーブル用差し込み式接続部。