JP3360417B2 - タービンケーシング構造 - Google Patents
タービンケーシング構造Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、セラミック製タービン
動翼の先端とタービンケーシングの内周面との間隔を可
及的に狭め、タービン効率の向上を図ったタービンケー
シング構造に関する。
動翼の先端とタービンケーシングの内周面との間隔を可
及的に狭め、タービン効率の向上を図ったタービンケー
シング構造に関する。
【0002】
【従来の技術】ガスタービンのタービン部分は、回転軸
に設けられたタービンディスクに周方向に間隔を隔てて
複数のタービン動翼を植設し、これらタービン動翼の先
端から僅かな隙間を隔てて円筒状のタービンケーシング
を被嵌して構成されている。
に設けられたタービンディスクに周方向に間隔を隔てて
複数のタービン動翼を植設し、これらタービン動翼の先
端から僅かな隙間を隔てて円筒状のタービンケーシング
を被嵌して構成されている。
【0003】上記タービン動翼先端とタービンケーシン
グ内周面との隙間は、そこから作動ガスが漏れるとター
ビン効率が低下するため、できるだけ狭い方が好まし
い。しかし、余りに狭め過ぎると、タービンディスクの
高速回転により動翼が伸びてその先端がケーシングの内
周面に接触し、動翼が破損する虞がある。これは、動翼
をセラミック製にした場合には致命的である。ケーシン
グ内周面に接触して割れた破片が、後流側のセラミック
製動翼を順次破損させる虞があるからである。
グ内周面との隙間は、そこから作動ガスが漏れるとター
ビン効率が低下するため、できるだけ狭い方が好まし
い。しかし、余りに狭め過ぎると、タービンディスクの
高速回転により動翼が伸びてその先端がケーシングの内
周面に接触し、動翼が破損する虞がある。これは、動翼
をセラミック製にした場合には致命的である。ケーシン
グ内周面に接触して割れた破片が、後流側のセラミック
製動翼を順次破損させる虞があるからである。
【0004】そこで、本出願人は、先に、金属製のター
ビンケーシング内周面にセラミック多孔体からなるアブ
レーダブル層を設け、タービン動翼先端が接触したとき
動翼に損傷を与えることなく、そのアブレーダブル層の
みが削れるようにしたものを開発した(特願平5-158363
号)。
ビンケーシング内周面にセラミック多孔体からなるアブ
レーダブル層を設け、タービン動翼先端が接触したとき
動翼に損傷を与えることなく、そのアブレーダブル層の
みが削れるようにしたものを開発した(特願平5-158363
号)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、金属製のター
ビンケーシングにセラミック製のアブレーダブル層を積
層すると、金属とセラミックとは大きな熱膨張差がある
ため、起動・停止の熱サイクルを繰り返すことによりア
ブレーダブル層に剥離・割れが生じる虞がある。この対
策として、タービンケーシングとアブレーダブル層との
間に、両者の熱膨張差を吸収する中間層を介設すること
も考えられるが、構造が複雑となる上に中間層部分から
剥離することも考えられ、好ましくない。
ビンケーシングにセラミック製のアブレーダブル層を積
層すると、金属とセラミックとは大きな熱膨張差がある
ため、起動・停止の熱サイクルを繰り返すことによりア
ブレーダブル層に剥離・割れが生じる虞がある。この対
策として、タービンケーシングとアブレーダブル層との
間に、両者の熱膨張差を吸収する中間層を介設すること
も考えられるが、構造が複雑となる上に中間層部分から
剥離することも考えられ、好ましくない。
【0006】また、金属製のタービンケーシングでは、
たとえインコネル等の耐熱金属を用いたとしても、セラ
ミック動翼を用いるような超高温 (1800〜2000℃クラ
ス) のガスタービンでは、超高温の燃焼ガスから防護す
るためにタービンケーシングを冷却する必要があり、そ
の分だけ作動ガスの温度が下がってタービン全体の熱効
率が悪化する。
たとえインコネル等の耐熱金属を用いたとしても、セラ
ミック動翼を用いるような超高温 (1800〜2000℃クラ
ス) のガスタービンでは、超高温の燃焼ガスから防護す
るためにタービンケーシングを冷却する必要があり、そ
の分だけ作動ガスの温度が下がってタービン全体の熱効
率が悪化する。
【0007】また、アブレーダブル層をなすセラミック
多孔体には、これまで一般の酸化物や粘土質を含むマシ
ナブル材料が用いられていたが、これらの材料は動翼先
端を損傷しない快削性は有しているものの、セラミック
動翼を用いる超高温のガスタービンでは、耐熱性および
熱衝撃特性が低いため実用にならない。
多孔体には、これまで一般の酸化物や粘土質を含むマシ
ナブル材料が用いられていたが、これらの材料は動翼先
端を損傷しない快削性は有しているものの、セラミック
動翼を用いる超高温のガスタービンでは、耐熱性および
熱衝撃特性が低いため実用にならない。
【0008】また、セラミック多孔体の製造方法とし
て、窒化珪素に発泡剤を加えて気孔率を上昇させる方法
が知られているが、これは連続的な気孔を形成するのに
は有効ではあるが、成形性および脱脂性が極めて悪く、
時間とコストが嵩み現実的ではない。
て、窒化珪素に発泡剤を加えて気孔率を上昇させる方法
が知られているが、これは連続的な気孔を形成するのに
は有効ではあるが、成形性および脱脂性が極めて悪く、
時間とコストが嵩み現実的ではない。
【0009】以上の事情を考慮して創案された本発明の
目的は、アブレーダブル層とタービンケーシングとの熱
膨張差に起因するアブレーダブル層の剥離・割れなどを
防止できると共に、タービンケーシングの冷却が不要で
タービン全体の熱効率を向上できるタービンケーシング
構造を提供することにある。
目的は、アブレーダブル層とタービンケーシングとの熱
膨張差に起因するアブレーダブル層の剥離・割れなどを
防止できると共に、タービンケーシングの冷却が不要で
タービン全体の熱効率を向上できるタービンケーシング
構造を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、放射状に配置されたセラミック製タービン
動翼の外方を囲繞するように形成された筒状のタービン
ケーシングと、該タービンケーシングの内周面に設けら
れ上記タービン動翼の先端が接触したとき磨耗するアブ
レーダブル層とを備えたタービンケーシング構造であっ
て、上記タービンケーシングは、気孔率5vol%以下の
セラミック緻密体からなり、上記アブレーダブル層は、
イットリア及びアルミナ等の焼結助剤が合計5〜20ma
ss%添加され、1400〜1600℃で焼結された、気
孔率29〜35vol%のセラミック多孔体からなるもの
である。‥‥上記アブレーダブル層は、さらに窒化珪
素ウィスカ又は炭化珪素ウィスカが添加されたものであ
ってもよい。‥‥
に本発明は、放射状に配置されたセラミック製タービン
動翼の外方を囲繞するように形成された筒状のタービン
ケーシングと、該タービンケーシングの内周面に設けら
れ上記タービン動翼の先端が接触したとき磨耗するアブ
レーダブル層とを備えたタービンケーシング構造であっ
て、上記タービンケーシングは、気孔率5vol%以下の
セラミック緻密体からなり、上記アブレーダブル層は、
イットリア及びアルミナ等の焼結助剤が合計5〜20ma
ss%添加され、1400〜1600℃で焼結された、気
孔率29〜35vol%のセラミック多孔体からなるもの
である。‥‥上記アブレーダブル層は、さらに窒化珪
素ウィスカ又は炭化珪素ウィスカが添加されたものであ
ってもよい。‥‥
【0011】
【作用】の発明によれば、アブレーダブル層とタービ
ンケーシングとが共にセラミックから形成されているた
め、両者の熱膨張差がなくなり、タービンの運転・停止
の熱サイクルに起因するアブレーダブル層の剥離・割れ
が防止される。また、アブレーダブル層は、イットリア
及びアルミナ等の焼結助剤を合計5〜20mass%添加
し、焼結温度を1400〜1600℃とすることで、得
られるセラミック多孔体の気孔率を29〜35vol%に
調整しているので、切削性が良好となる。
ンケーシングとが共にセラミックから形成されているた
め、両者の熱膨張差がなくなり、タービンの運転・停止
の熱サイクルに起因するアブレーダブル層の剥離・割れ
が防止される。また、アブレーダブル層は、イットリア
及びアルミナ等の焼結助剤を合計5〜20mass%添加
し、焼結温度を1400〜1600℃とすることで、得
られるセラミック多孔体の気孔率を29〜35vol%に
調整しているので、切削性が良好となる。
【0012】また、タービンケーシング自体を気孔率5
vol%以下のセラミック緻密体としているため、セラミ
ック製タービン動翼を用いた超高温(1800〜2000℃クラ
ス)のガスタービンであっても、タービンケーシングを
冷却する必要がなく、熱効率が向上する。
vol%以下のセラミック緻密体としているため、セラミ
ック製タービン動翼を用いた超高温(1800〜2000℃クラ
ス)のガスタービンであっても、タービンケーシングを
冷却する必要がなく、熱効率が向上する。
【0013】の発明によれば、アブレーダブル層に添
加された窒化珪素ウィスカ又は炭化珪素ウィスカは、焼
結されるセラミック多孔体の気孔率を高くすると共にそ
の強度を低くする。よって、気孔率および切削性の制御
をより幅広く行うことができる。
加された窒化珪素ウィスカ又は炭化珪素ウィスカは、焼
結されるセラミック多孔体の気孔率を高くすると共にそ
の強度を低くする。よって、気孔率および切削性の制御
をより幅広く行うことができる。
【0014】
【実施例】本発明の一実施例を添付図面に基づいて説明
する。
する。
【0015】図1および図2に、ジェットエンジンのタ
ービン部分の概要を示す。図示しないコンプレッサ側と
連結された回転軸に、タービンディスク1が取り付けら
れており、このタービンディスク1に、周方向に所定間
隔を隔てて複数のセラミック製タービン動翼2が植設さ
れている。
ービン部分の概要を示す。図示しないコンプレッサ側と
連結された回転軸に、タービンディスク1が取り付けら
れており、このタービンディスク1に、周方向に所定間
隔を隔てて複数のセラミック製タービン動翼2が植設さ
れている。
【0016】このように放射状に配置されたセラミック
製タービン動翼2の外方には、これらタービン動翼2を
囲繞して筒状のタービンケーシング3が配置されてい
る。かかるタービンケーシング3は、セラミック緻密体
4から形成されている。そして、その内周面には、セラ
ミック多孔体5からなるアブレーダブル層6が設けられ
ている。
製タービン動翼2の外方には、これらタービン動翼2を
囲繞して筒状のタービンケーシング3が配置されてい
る。かかるタービンケーシング3は、セラミック緻密体
4から形成されている。そして、その内周面には、セラ
ミック多孔体5からなるアブレーダブル層6が設けられ
ている。
【0017】アブレーダブル層6は、セラミック製ター
ビン動翼2の先端が接触したとき磨耗し、タービン動翼
2の先端と実質的なタービンケーシング内周面との隙間
(チップクリアランス)を可及的に狭める機能を発揮す
る。これにより、上記隙間に基づくタービン効率の低下
を低減できる。なお、接触により生じた磨耗粉は、ガス
タービンの後段に極めて大きな影響を及ぼすが、多孔体
5の微構造(気孔率等)を制御することにより任意の範
囲でその直径を制御することが可能である。
ビン動翼2の先端が接触したとき磨耗し、タービン動翼
2の先端と実質的なタービンケーシング内周面との隙間
(チップクリアランス)を可及的に狭める機能を発揮す
る。これにより、上記隙間に基づくタービン効率の低下
を低減できる。なお、接触により生じた磨耗粉は、ガス
タービンの後段に極めて大きな影響を及ぼすが、多孔体
5の微構造(気孔率等)を制御することにより任意の範
囲でその直径を制御することが可能である。
【0018】上記アブレーダブル層6とタービンケーシ
ング3とは、共にセラミックから形成されているため、
両者の熱膨張差がなくなる。よって、タービンの運転・
停止の熱サイクルに起因するアブレーダブル層6の剥離
・割れが防止される。さらに、タービンケーシング3自
体を耐熱性の高いセラミック緻密体4としているため、
セラミック製タービン動翼2を用いた超高温 (1800〜20
00℃クラス) のガスタービンであっても、タービンケー
シング3を冷却する必要がなく、よって作動ガスの温度
を高く維持でき、従来の金属製ケーシングを用いたター
ビンに比べて熱効率が向上する。
ング3とは、共にセラミックから形成されているため、
両者の熱膨張差がなくなる。よって、タービンの運転・
停止の熱サイクルに起因するアブレーダブル層6の剥離
・割れが防止される。さらに、タービンケーシング3自
体を耐熱性の高いセラミック緻密体4としているため、
セラミック製タービン動翼2を用いた超高温 (1800〜20
00℃クラス) のガスタービンであっても、タービンケー
シング3を冷却する必要がなく、よって作動ガスの温度
を高く維持でき、従来の金属製ケーシングを用いたター
ビンに比べて熱効率が向上する。
【0019】タービンケーシング3を構成するセラミッ
ク緻密体4は、気孔率5vol%以下の窒化物(Si3 N4
等)、炭化物(SiC等)または酸化物(SiO2 等)
からなっている。他方、アブレーダブル層6を構成する
セラミック多孔体5は、気孔率15〜80 vol%の窒化物
(Si3 N4 等)、炭化物(SiC等)または酸化物
(SiO2 等)からなっている。セラミック緻密体3の
気孔率5vol%以下という数値、およびセラミック多孔体
5の気孔率15〜80 vol%という数値は、種々の実験によ
り決定された。
ク緻密体4は、気孔率5vol%以下の窒化物(Si3 N4
等)、炭化物(SiC等)または酸化物(SiO2 等)
からなっている。他方、アブレーダブル層6を構成する
セラミック多孔体5は、気孔率15〜80 vol%の窒化物
(Si3 N4 等)、炭化物(SiC等)または酸化物
(SiO2 等)からなっている。セラミック緻密体3の
気孔率5vol%以下という数値、およびセラミック多孔体
5の気孔率15〜80 vol%という数値は、種々の実験によ
り決定された。
【0020】すなわち、セラミック緻密体4の気孔率が
5vol%以上であるとタービンケーシング3として必要な
剛性を確保できない。また、セラミック多孔体5の気孔
率が15 vol%以下では快削性に劣り、80 vol%以上では
高温高圧の燃焼ガス雰囲気に絶えられず崩壊する虞があ
る。なお、ガスタービンの使用環境に応じてセラミック
緻密体4とセラミック多孔体5とに、異種のセラミック
を用いることも可能であるが(例えばSi3 N4 とSi
C)、その場合、気孔率を調整して相互の熱膨張係数を
等しくする必要がある。
5vol%以上であるとタービンケーシング3として必要な
剛性を確保できない。また、セラミック多孔体5の気孔
率が15 vol%以下では快削性に劣り、80 vol%以上では
高温高圧の燃焼ガス雰囲気に絶えられず崩壊する虞があ
る。なお、ガスタービンの使用環境に応じてセラミック
緻密体4とセラミック多孔体5とに、異種のセラミック
を用いることも可能であるが(例えばSi3 N4 とSi
C)、その場合、気孔率を調整して相互の熱膨張係数を
等しくする必要がある。
【0021】また、内側のセラミック多孔体5の熱膨張
係数は、構造の安定性を保つ範囲でなるべく大きい条件
を選択することが望ましい。セラミック多孔体5の熱膨
張が大きくなれば、冷間時(停止時)に動翼2の先端と
のクリアランスを大きくとっても熱間時(運転時)には
そのクリアランスが小さくなるため、冷間時の組立公差
等による多少の誤差を許容できるからである。
係数は、構造の安定性を保つ範囲でなるべく大きい条件
を選択することが望ましい。セラミック多孔体5の熱膨
張が大きくなれば、冷間時(停止時)に動翼2の先端と
のクリアランスを大きくとっても熱間時(運転時)には
そのクリアランスが小さくなるため、冷間時の組立公差
等による多少の誤差を許容できるからである。
【0022】上記セラミック緻密体4とセラミック多孔
体5とは、焼きばめ、冷やしばめ、圧入又は焼結により
一体化されている。焼きばめは、外側のセラミック緻密
体4を熱してその内径を拡径させ、その内部にセラミッ
ク多孔体5を挿入して行う。冷やしばめは、逆にセラミ
ック多孔体5を冷やしその外径を縮径させて行う。圧入
は、セラミック緻密体4の内径をセラミック多孔体5の
外径より僅かに大きくし、その締め代を利用して行う。
焼結は、セラミック緻密体4の上にセラミック多孔体5
を一体的に積層し、これらを一体的に焼いて行う。
体5とは、焼きばめ、冷やしばめ、圧入又は焼結により
一体化されている。焼きばめは、外側のセラミック緻密
体4を熱してその内径を拡径させ、その内部にセラミッ
ク多孔体5を挿入して行う。冷やしばめは、逆にセラミ
ック多孔体5を冷やしその外径を縮径させて行う。圧入
は、セラミック緻密体4の内径をセラミック多孔体5の
外径より僅かに大きくし、その締め代を利用して行う。
焼結は、セラミック緻密体4の上にセラミック多孔体5
を一体的に積層し、これらを一体的に焼いて行う。
【0023】本実施例に係るアブレーダブル層6を構成
する窒化珪素系セラミック多孔体5の製造方法を以下に
述べる。
する窒化珪素系セラミック多孔体5の製造方法を以下に
述べる。
【0024】イミド分解法によるα型窒化珪素粉(比面
積11m2 /g)に、図3に示すように、焼結助剤としてア
ルミナ粉末(Al2 O3 :純度99.9%,比面積10.5m2
/g)およびイットリア粉末(Y2 O3 :純度99.9%,比
面積 9m2 /g)を図示する割合で添加して混ぜ合わせ
た。添加方法は、一般的な粉末の混合方法(すなわち各
種ボールミルやアトライタなど)に限られず、ゾル・ゲ
ル法や高分子前駆体などの添加法を用いてもよい。な
お、図示はしないが、成形助剤として一般的な有機バイ
ンダ(小麦粉やデキストリン等)も添加される。
積11m2 /g)に、図3に示すように、焼結助剤としてア
ルミナ粉末(Al2 O3 :純度99.9%,比面積10.5m2
/g)およびイットリア粉末(Y2 O3 :純度99.9%,比
面積 9m2 /g)を図示する割合で添加して混ぜ合わせ
た。添加方法は、一般的な粉末の混合方法(すなわち各
種ボールミルやアトライタなど)に限られず、ゾル・ゲ
ル法や高分子前駆体などの添加法を用いてもよい。な
お、図示はしないが、成形助剤として一般的な有機バイ
ンダ(小麦粉やデキストリン等)も添加される。
【0025】ベースとなる窒化珪素粉の結晶系、粒径お
よび比表面積等の特性は、要求される最終的な多孔体の
気孔率、切削性によって任意に変更可能である。また、
添加する焼結助剤の種類は、アルミナやイットリア粉末
に限られず、緻密体を得る目的で加えられる一般的な酸
化物(MgO等)や窒化物を単独又は混合して用いても
よい。このように、焼結助剤の添加量を調節することに
より、得られるセラミック多孔体の気孔率を任意に調節
しやすくなる。但し、焼結助剤の添加量は、20mass%以
下である。なお、焼結温度も焼結助剤の添加量と同様に
気孔率に大きく相関する。すなわち、焼結助剤の添加量
が同じなら、焼結温度が高いほうが焼結が良好になされ
るため、気孔率が小さくなる。
よび比表面積等の特性は、要求される最終的な多孔体の
気孔率、切削性によって任意に変更可能である。また、
添加する焼結助剤の種類は、アルミナやイットリア粉末
に限られず、緻密体を得る目的で加えられる一般的な酸
化物(MgO等)や窒化物を単独又は混合して用いても
よい。このように、焼結助剤の添加量を調節することに
より、得られるセラミック多孔体の気孔率を任意に調節
しやすくなる。但し、焼結助剤の添加量は、20mass%以
下である。なお、焼結温度も焼結助剤の添加量と同様に
気孔率に大きく相関する。すなわち、焼結助剤の添加量
が同じなら、焼結温度が高いほうが焼結が良好になされ
るため、気孔率が小さくなる。
【0026】このようにして窒化珪素に焼結助剤を添加
混合したものは、乾式成形または湿式成形によって、タ
ービンケーシングの内側に設けられるリング状のアブレ
ーダブル層の形状に成形される。具体的には、乾式成形
としては比較的単純形状に適用されるラバープレスやC
IP(cold isostatic pressing )等が用いられ、湿式
成形としては複雑形状品に向いている射出成形や泥しょ
う鋳込成形等が用いられる。本実施例では、ボールミル
後、スプレードライによる造粒を行い、その後、CIP
(成形圧300MPa)により成形体(リング状のアブレーダ
ブル層)を作成している。
混合したものは、乾式成形または湿式成形によって、タ
ービンケーシングの内側に設けられるリング状のアブレ
ーダブル層の形状に成形される。具体的には、乾式成形
としては比較的単純形状に適用されるラバープレスやC
IP(cold isostatic pressing )等が用いられ、湿式
成形としては複雑形状品に向いている射出成形や泥しょ
う鋳込成形等が用いられる。本実施例では、ボールミル
後、スプレードライによる造粒を行い、その後、CIP
(成形圧300MPa)により成形体(リング状のアブレーダ
ブル層)を作成している。
【0027】そして、その成形体を500 ℃に加熱して成
形助剤として添加した有機バインダ(小麦粉など)を脱
脂し、1400〜2000℃の温度範囲で窒素雰囲気中で焼結す
る。なお、焼結中の窒素ガス圧力は、焼結温度に応じて
ベースとなる窒化珪素が分解しない範囲で適宜加圧制御
される。
形助剤として添加した有機バインダ(小麦粉など)を脱
脂し、1400〜2000℃の温度範囲で窒素雰囲気中で焼結す
る。なお、焼結中の窒素ガス圧力は、焼結温度に応じて
ベースとなる窒化珪素が分解しない範囲で適宜加圧制御
される。
【0028】このようにして得られた窒化珪素系セラミ
ック多孔体について、その気孔率と動翼接触時を模擬し
た切削試験による切削性を図3下欄に示す。図示するよ
うに、焼結助剤(イットリアおよびアルミナ)の添加量
と焼結温度によって、気孔率および切削性に大きな差が
ある。焼結助剤の添加量を20mass%以下とすると共に14
00〜2000℃で焼結して気孔率15〜80 vol%となったもの
が、切削性が良好であることが分かる。特に、気孔率29
〜35 vol%となったものが好ましい。
ック多孔体について、その気孔率と動翼接触時を模擬し
た切削試験による切削性を図3下欄に示す。図示するよ
うに、焼結助剤(イットリアおよびアルミナ)の添加量
と焼結温度によって、気孔率および切削性に大きな差が
ある。焼結助剤の添加量を20mass%以下とすると共に14
00〜2000℃で焼結して気孔率15〜80 vol%となったもの
が、切削性が良好であることが分かる。特に、気孔率29
〜35 vol%となったものが好ましい。
【0029】なお、焼結温度を1800℃以上としたとき
は、焼結助剤は添加しない方がよい。この温度条件で焼
結助剤を添加すると、たとえ気孔率が15 vol%以上とな
っても硬く焼けてしまい、切削性に劣るからである。ま
た、焼結助剤を20mass%添加したときは、焼結温度を17
00℃以上としてはいけない。同様に硬く焼けてしまい、
さらに気孔率も低下するからである。このように、焼結
助剤の添加量が20mass%以下、焼結温度が1400〜2000
℃、気孔率15〜80 vol%の範囲の条件のなかでも、ガス
タービンの使用環境に応じてその添加量等を適宜変更す
ることが望ましい。
は、焼結助剤は添加しない方がよい。この温度条件で焼
結助剤を添加すると、たとえ気孔率が15 vol%以上とな
っても硬く焼けてしまい、切削性に劣るからである。ま
た、焼結助剤を20mass%添加したときは、焼結温度を17
00℃以上としてはいけない。同様に硬く焼けてしまい、
さらに気孔率も低下するからである。このように、焼結
助剤の添加量が20mass%以下、焼結温度が1400〜2000
℃、気孔率15〜80 vol%の範囲の条件のなかでも、ガス
タービンの使用環境に応じてその添加量等を適宜変更す
ることが望ましい。
【0030】さらに、図3には、ベースとしての窒化珪
素粉に、窒化珪素ウィスカまたは炭化珪素ウィスカを添
加した例も示されている。このように、ウィスカや短繊
維を添加することにより、焼結されるセラミック多孔体
の気孔率が高くなると共に、その硬度が低くなる。よっ
て、気孔率および切削性の制御をより幅広く行うことが
できる。
素粉に、窒化珪素ウィスカまたは炭化珪素ウィスカを添
加した例も示されている。このように、ウィスカや短繊
維を添加することにより、焼結されるセラミック多孔体
の気孔率が高くなると共に、その硬度が低くなる。よっ
て、気孔率および切削性の制御をより幅広く行うことが
できる。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係るタービ
ンケーシング構造によれば、アブレーダブル層とタービ
ンケーシングとの熱膨張差に起因するアブレーダブル層
の剥離・割れ等を防止できると共に、タービンケーシン
グの冷却が不要でタービン全体の熱効率を向上させるこ
とができる。また、アブレーダブル層は、イットリア及
びアルミナ等の焼結助剤を合計5〜20mass%添加し、
焼結温度を1400〜1600℃とすることで、得られ
るセラミック多孔体の気孔率を29〜35vol%に調整
しているので、切削性が良好となる。
ンケーシング構造によれば、アブレーダブル層とタービ
ンケーシングとの熱膨張差に起因するアブレーダブル層
の剥離・割れ等を防止できると共に、タービンケーシン
グの冷却が不要でタービン全体の熱効率を向上させるこ
とができる。また、アブレーダブル層は、イットリア及
びアルミナ等の焼結助剤を合計5〜20mass%添加し、
焼結温度を1400〜1600℃とすることで、得られ
るセラミック多孔体の気孔率を29〜35vol%に調整
しているので、切削性が良好となる。
【図1】本発明の一実施例を示すタービンケーシング構
造の説明図である。
造の説明図である。
【図2】タービンケーシングとアブレーダブル層とを示
す図あり、(a) は正面図、(b)は(a) の b-b線断面図で
ある。
す図あり、(a) は正面図、(b)は(a) の b-b線断面図で
ある。
【図3】セラミック多孔体についての組成、焼結温度、
気孔率および切削性を表した図である。
気孔率および切削性を表した図である。
1 タービンディスク 2 セラミック製タービン動翼 3 タービンケーシング 4 セラミック緻密体 5 セラミック多孔体 6 アブレーダブル層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−196109(JP,A) 特開 昭48−6108(JP,A) 特開 昭57−56383(JP,A) 実開 平2−67003(JP,U) 実開 昭60−141403(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F01D 11/08 F02C 7/28
Claims (2)
- 【請求項1】 放射状に配置されたセラミック製タービ
ン動翼の外方を囲繞するように形成された筒状のタービ
ンケーシングと、該タービンケーシングの内周面に設け
られ上記タービン動翼の先端が接触したとき磨耗するア
ブレーダブル層とを備えたタービンケーシング構造であ
って、上記タービンケーシングは、気孔率5vol%以下
のセラミック緻密体からなり、上記アブレーダブル層
は、イットリア及びアルミナ等の焼結助剤が合計5〜2
0mass%添加され、1400〜1600℃で焼結され
た、気孔率29〜35vol%のセラミック多孔体からな
ることを特徴とするタービンケーシング構造。 - 【請求項2】 上記アブレーダブル層は、さらに窒化珪
素ウィスカ又は炭化珪素ウィスカが添加されたものから
なる請求項1記載のタービンケーシング構造。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP11685594A JP3360417B2 (ja) | 1994-05-30 | 1994-05-30 | タービンケーシング構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11685594A JP3360417B2 (ja) | 1994-05-30 | 1994-05-30 | タービンケーシング構造 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07324602A JPH07324602A (ja) | 1995-12-12 |
JP3360417B2 true JP3360417B2 (ja) | 2002-12-24 |
Family
ID=14697301
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11685594A Expired - Fee Related JP3360417B2 (ja) | 1994-05-30 | 1994-05-30 | タービンケーシング構造 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3360417B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
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---|---|---|---|---|
JP4712997B2 (ja) * | 2001-03-27 | 2011-06-29 | 京セラ株式会社 | 組み合わせ部材とその製造方法及びガスタービン用部品 |
GB0206136D0 (en) | 2002-03-15 | 2002-04-24 | Rolls Royce Plc | Improvements in or relating to cellular materials |
ATE405686T1 (de) * | 2005-06-16 | 2008-09-15 | Sulzer Metco Us Inc | Aluminiumoxid dotierter verschleissbarer keramischer werkstoff |
US7771160B2 (en) * | 2006-08-10 | 2010-08-10 | United Technologies Corporation | Ceramic shroud assembly |
FR3044945B1 (fr) * | 2015-12-14 | 2018-01-12 | Centre National De La Recherche Scientifique | Revetement abradable a densite variable |
-
1994
- 1994-05-30 JP JP11685594A patent/JP3360417B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07324602A (ja) | 1995-12-12 |
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