JP3360118B2 - 水平偏波アンテナ - Google Patents

水平偏波アンテナ

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JP3360118B2
JP3360118B2 JP2000355147A JP2000355147A JP3360118B2 JP 3360118 B2 JP3360118 B2 JP 3360118B2 JP 2000355147 A JP2000355147 A JP 2000355147A JP 2000355147 A JP2000355147 A JP 2000355147A JP 3360118 B2 JP3360118 B2 JP 3360118B2
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恭一 飯草
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独立行政法人通信総合研究所
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は端末局と無線通信を
行うための基地局アンテナ及びビーム追尾をせずに基地
局と無線通信を行うための移動局アンテナに好適な水平
偏波アンテナに関し,特に水平偏波同軸円筒スロットア
レーアンテナに関する。
【0002】
【従来の技術】任意のアンテナパターンを成形する(ビ
ーム成形する)方法として,複数の素子アンテナを並
べ,各素子アンテナに給電する電磁波の振幅と位相を制
御するアレーアンテナの技術がある。
【0003】一つの基地局アンテナで広い部屋全体を満
遍なく照らすことができるようにしたり,移動局アンテ
ナでビーム追尾を必要としないでも通信を確保するには
水平面内で無指向性であることが望まれ,これを解決す
るため,本発明の発明者等は特許第12824505号
公報に記載されたスロットアレーアンテナを提案してお
り,その提案されたスロットアレーアンテナ(同軸円筒
スロットアレーアンテナとも呼ばれる)を図18に示
す。
【0004】図18において,一つの円形状外面とその
外面に連なる外周面とを備え,且つ有端筒状の銅等で構
成された内部導体1と,その内部導体1の一つの円形状
外面及び外周面と各々誘電体2a,2bを介して対峙す
る円盤部3a及び円筒部3bを備えた外部導体3とから
なり,外部導体3の円筒部3bに複数のスロット4を開
設すると共に外部導体3の円盤部3aの中心と内部導体
1の円形状外面の中心から給電するようにしている。内
部導体1の円形状外面と外部導体3の円盤部3aの各中
心から給電することにより,各スロット4からの放射電
波による電界及び磁界の強度分布が周方向にほぼ均等と
なる。
【0005】このように構成したスロットアレーアンテ
ナでは,誘電体の円盤部の中心から給電された電磁波が
誘電体の円盤部を径方向の外側に向かって進むことで,
ラジアル導波路が形成され,このラジアル導波路を経て
電磁波が周面部に到達すると,円筒部をもう一方の端面
に向かって進むことで,同軸導波路が形成される。電磁
波が同軸導波路を伝搬する過程で,外部導体に開設した
スロットから外部へ電磁波が放射されると共に,これら
のスロットは周方向に所定間隔で複数配置してあるの
で,各スロットからの放射電波による電界及び磁界の強
度分布は周方向にほぼ均等となる。なお,アンテナの送
受の可逆性により,外部導体のスロットが電磁波を受け
た場合は,逆のプロセスで受信することができる。
【0006】なお,スロットを略ハの字形ペアにするこ
とにより円偏波を送受できる。ハの字形スロットペアを
図19に示す。ハの字形スロットペア4は給電により誘
電体の内部を伝搬する電波の波長λgの4分の1の長さ
だけ伝搬方向に離して配置され,傾きがその電波の伝搬
方向(給電方向)に対して−45度と45度となる第1
スロット41,第2スロット42で構成されている。第
1スロット41と第2スロット42は,円偏波を得るた
め,直交させ,管内波長λgの1/4だけ離してペアに
してある。
【0007】図18のアンテナは右旋円偏波または左旋
円偏波のどちらか一方を送受信するように固定され,偏
波の回転方向を変える自由度が制限されていた。
【0008】本発明者等はこれを改良するために偏波の
異なる略ハの字形のスロットペアを分割して配列したス
ロットアレーアンテナを先に提案した(特願2000−
119158号)。
【0009】図20にハの字形スロットペアの種類を示
す。図に示すように,スロット41とスロット42の組
合せは(1) のペアA,(2) のペアB,(3) のペアC,
(4) のペアDの4種類存在し,給電波か導波路内をz
(軸方向)の負の方向(下側)から伝搬すると,図20
に示すペアAとペアBは右旋円偏波,ペアCとペアDは
左旋円偏波を発生する。導波路内からみると軸方向のス
ロット間隔はすべてλg/4であるから,反射波はうち
消され,放射電力も等しい。従って,これらのペアをア
レー素子として組合せても,導波路内の軸対称モードは
維持され,右旋円偏波を発生するスロットペアと左旋円
偏波を発生するスロットペアとを組合せて,偏波や指向
性を軸線周りの方向によって変化させることができる。
【0010】図21は提案されたスロットアレーアンテ
ナにおいて周方向にスロットペアを配置した説明図,図
22は提案されたスロットアレーアンテナ1の外観図,
図23は提案されたスロットアレーアンテナ2の外観図
である。
【0011】図21の(a) は互いに異なる回転方向を持
つ円偏波を発生するハの字形のスロットペア4 を周方向
に複数(この例では2)に分割して形成した領域の配置
を示す。円偏波の回転方向が異なるスロットペア4の組
合せは上記図20に示すように4種類ある。図21の
(a) に示す同軸円筒スロットアレーアンテナの下端の同
軸線路8から給電することで,方位角に応じて送信され
る円偏波の回転方向が替わる。また,同一の組合せで
も,2つの境界線が存在し,左旋円偏波のペアが一方の
境界で右に並ぶと,もう一方の境界で左に並ぶ。(b) に
示す例では境界線12がφ=0度とし,境界線13がφ
=180度とする。
【0012】図22に示すスロットアレーアンテナ1の
構成では,全面に渡って同じスロットペアAを配列し,
上端及び下端の両方に送受信ポート(同軸線路)8,9
を設けた。このアンテナに方位角方向に無関係に入力し
た右旋円偏波信号S1は,スロットペア4がペアAのた
め同軸線路8側に出力する。しかし,左旋円偏波はスロ
ットペア4がペアAのため同軸線路8側には出力しな
い。一方,同軸線路9とペアAとの関係では,ポートの
位置が180度逆転するため左旋円偏波とペアDとの関
係と同様になり,方位角方向に無関係に左旋円偏波信号
S2は同軸線路9に出力する。すなわち,到来波が円偏
波でありその回転方向が分かっている場合には,その回
転方向によって受信ポートを切替えることができる。
【0013】更に図23に示すスロットアレーアンテナ
2は,上記図21と図22を組合せたもので,スロット
ペアの配列を周方向に分割し,且つ上端及び下端にも送
受信ポートを設けた。これにより,一方のポートから給
電すると,方位角に応じて異なる回転方向の円偏波が出
力され,且つ受信した円偏波の回転方向に応じた出力ポ
ートが変わるアンテナとなる。
【0014】図24はハの字形のスロットペアを持つス
ロットアレーアンテナの断面図である。このアレーアン
テナには,使用する周波数(15GHz)の波長より長
い円周長を備える中実な円柱型の外形(寸法24mm)
を有し,円形状外面1aとこれに連なる外周面1bとを
備えた内部導体1の外側に,円筒部分の厚さが使用する
周波数の管内波長の半分より薄く一定であるテフロン等
の誘電体2が配設される。また,この誘電体2を介して
内部導体1と対峙するように,円筒状で円盤部3aと円
筒部3bを備えた外部導体3が設けられている。また,
給電は下端の同軸線路8か,上端の同軸線路9から行
う。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】上記図18〜図24に
示す同軸円筒スロットアレーアンテナは全て,円偏波ア
ンテナであり,円偏波は軸方向に対して45度と−45
度の傾きを持つハの字形スロットペアにより実現できる
が,このスロットでは直線偏波を実現することができな
いため適用範囲が狭いという問題があった。
【0016】同軸導波路の伝搬波はTEMモードである
ため,原理的に外部導体に設けた軸に垂直なスロットは
励振されるが,平行なスロットは励振されない。従って
軸を垂直にして用いた場合,水平スロットによって垂直
偏波が送受信されるが,垂直スロットによって水平偏波
は送受信されないという問題がある。また,斜めに設け
たスロットは,水平方向成分を持つため励振され,水平
偏波を送受信できるが,同時に垂直偏波が送受信され
る。この両偏波成分を有効に利用したのが,提案したハ
の字形スロットペアによる円偏波である。しかし,水平
偏波化のためには垂直偏波成分の相殺が必要となるが,
この相殺条件を全仰角方向に対して満たすことはできな
いという問題がある。
【0017】本発明は同軸円筒スロットアレーアンテナ
による水平偏波の送受信を実現することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明の原理構成の素子
である第1の構成を図1のA.に示す。この素子は,垂
直方向のスロットの上下の端部に,そのスロットに対し
て同じ側に短い水平スロットを接続したスロットであ
り,この第1の構成の素子を多数配設したものである。
このような形状のスロットを,以下の説明では大括弧形
スロットという。なお,大括弧形の名称は,このスロッ
トの形状が大括弧を表す記号の“[”または“]”の形
状をしているからである。
【0019】この端部の水平スロットは励振を促す機能
を備える。垂直方向のスロット長Lは,共振が起こりや
すいように管内波長λgの約半分の長さにする。これに
より,端部の水平スロットに生じる励振は逆相になる。
従って,垂直偏波は放射されない。また,この大括弧形
スロットでは,2つの水平スロットが垂直スロットに対
して同じ向きの磁流を発生し,効率的に水平偏波が放射
される。
【0020】図1のB.はインテグラル形スロットであ
り,大括弧形スロットと対比するための参考例として示
したものである。このインテグラル形は,同軸円筒の外
部導体に垂直方向のスロットの上下の端部に,そのスロ
ットに対して互いに反対の側に短い水平スロットを接続
したスロットであり,請求項2の構成はこのスロット
を,多数配設したものである。このような形状のスロッ
トが数学で使用するインテグラル(積分を表す)に似て
いるので,以下の説明ではインテグラル形スロットとい
う。
【0021】この参考例のスロットでは,垂直スロット
に対して反対の側に水平スロットを接続しているため逆
向きの磁流を発生しようとして,効率的ではない。
【0022】
【発明の実施の形態】図1は本発明の原理構成を示し,
図1のA.は本発明の大括弧形スロットである。図1の
A.中,4は大括弧形スロット,4aは垂直スロット,
4b,4cは水平スロットを表し,垂直スロットの長さ
Lは管内波長の1/2である。また,図1のB.は本発
明の参考例のインテグラル形スロットであり,図中,5
はインテグラル形スロット,5aは垂直スロット,5
b,5cはそれぞれ垂直スロット5aの上・下の各端部
から垂直スロットに対し直角の互いに反対方向の平行の
短い水平スロットを表す。
【0023】本発明の大括弧形スロット4を配設する同
軸円筒スロットアレーアンテナの具体的構成例を説明す
ると,同軸円筒スロットアレーアンテナの断面の構成は
上記図24に示す構成と同様であり,周波数は15GH
zでアンテナ寸法は外径を24mmとし,誘電体の比誘
電率εは2.2である。
【0024】図2に大括弧形スロットを配設したスロッ
ト配列パターンの一部を示す。本発明の大括弧形スロッ
トを同軸円筒の外部導体の円筒部に配設して,円筒部を
平面に展開して示したパターンの一部である。このパタ
ーンの各列(図2の横方向)は同軸円筒の周囲の各方位
方向(φ)に対応し,この方位方向のスロット数nφは
40であり,パターンの行方向(図2の縦方向)は同軸
円筒の仰角(θ)に対応し,スロット数nzは20であ
るが,図2ではその一部だけ示す。また,この構成例で
は,図1に示すスロットを構成する各部のサイズは,ス
ロットの幅Wは0.6mm,スロット中心線の垂直の長
さLは管内波長の半分の6.788mm,水平の長さs
は2mmとした。
【0025】大括弧形スロットアレーアンテナの効果を
確認するために上記構成例で述べた仕様(アンテナのサ
イズ,スロット数,スロットサイズ等)の同軸円筒スロ
ットアレーアンテナを試作して垂直面内指向性を測定し
た。
【0026】図3,図4は大括弧形スロットのアンテナ
の特性の実験値と理論値を表し,各部において横軸は垂
直面内の各角度(正面を0度とする),縦軸は利得(A
mpで表し,単位はdB)を表す。図3では,垂直偏波
(Ev)の実験値を細線で表し,水平偏波(Eh)の実
験値を太線で表す。図4は理論曲線であり,スロットの
放射の割合を表す結合率γを0.16,等価的な管内波
長λg’を14.14mmとして計算した。また,これ
らの値は実験により得られた開口面分布から求めた。
【0027】図3と図4を比較すれば分かるように,実
験結果は理論値と極めて近似していることが分かる。そ
して,主ビーム方向の交差偏波識別度は約30dBであ
ることから,大括弧形のスロットは効率的に励振されて
いることが確認できる。
【0028】図5は図1のB.の参考例のインテグラル
形スロットのアンテナの特性の実験値を示す図である。
【0029】このインテグラル形スロットについても,
上記図2と同様に同軸円筒の外部導体3の円筒部3bに
配設し,列方向のスロット数nφ,行方向のスロット数
nz,スロットを構成する各部(スロット幅W,垂直線
長さL,水平の長さs)のサイズも上記大括弧形スロッ
トの構成例と同様とする。図5においても垂直偏波(E
v)の実験値を細線で表し,水平偏波(Eh)の実験値
を太線で表している。なお,このインテグラル形スロッ
トのアンテナについては,理論的には放射が起こらない
ので理論値の表示はない。
【0030】図5に示すインテグラル形スロットのアン
テナの実験値を上記図3に示す大括弧形スロットのアン
テナの実験値と比べると,主ビーム方向の交差偏波識別
度が,約13dBであり,大括弧形スロットが約30B
にあるのに比べて低く,効率が悪いことが分かる。ただ
し,単なる垂直スロットのアレーでは,電波が殆ど放射
されないという実験結果が得られており,このインテグ
ラル形スロットでも水平スロット接続により励振が促進
されるという効果が認められる。
【0031】大括弧形スロットの組合せ配列による本発
明の第2の構成,及び本発明の第3の構成を説明する。
【0032】図6は本発明の第2の構成を示す図であ
り,図6のA.は第2の構成の基本構成であり,B.は
第2の構成の応用例である。第2の構成では,水平スロ
ットが垂直スロットの上下端の右側に着いた大括弧形
(大括弧開くとも呼ばれる)と左側に着いた大括弧形
(大括弧閉じるも呼ばれる)を組合せたもので,A.の
基本構成では,大括弧開くと大括弧閉じるをz軸方向に
1個分ずらせた配列である。この配列により,上記図1
に示す第1の構成のスロット配列パターンに比べて,軸
方向の素子間隔が半分になる。このようなz軸方向に関
して交互に半管内波長ずらした第2の構成のアレーは,
大括弧開くと閉じるの励振位相が同相となるため,正面
方向に強め合うと考えられる。この配列法は,上記図2
に示す第1の構成に比べ軸方向の素子間隔を半分にでき
るため,グレーティングローブの発生を抑制する効果を
有する。グレーティングローブは通常のサイドローブと
異なり,メインローブと同じ程度の望ましくない出力で
ある。また,図6のB.はスロット長をA.に示すスロ
ットより少し短くし,大括弧開くのスロットと大括弧閉
じるのスロットを重ならないように縦方向(軸方向)に
交互に配列したものである。この場合,各列の周方向の
占有面積がA.に比べて小さくなるので,素子数を密に
配列でき,多くの素子を配列することが可能となる。
【0033】図7は第2の構成によるアレーアンテナの
スロット配列パターンの一部を示す。このパターンは,
本発明の第2の構成のスロットを同軸円筒の外部導体の
円筒部に配設して,円筒部を平面に展開して示したパタ
ーンの一部である。このパターンの横方向のスロット数
nφを40,パターンの縦方向のスロット数nzを20
として試作して,作製した第2の構成のアレーアンテナ
による垂直面内指向性の実験値を図8に示し,理論値を
図9に示す。図8によれば,正面方向の交差偏波識別度
は約30dBであり,上記第1の構成の実験値(図3参
照)と同等の良好な特性が得られた。また,指向性も大
括弧の向きによって磁流の励振向きが反転するという仮
定のもとで計算した理論値を示す図9とよく一致してい
る。このことから,上記の仮定が正しいことが確認され
た。
【0034】一方,円偏波アンテナと異なり,水平偏波
発生素子だけでは方位角方向によって偏波を切り替える
ことはできない。しかし,大括弧開く(水平スロットが
垂直スロットの上下端の右側に接続した大括弧形)と大
括弧閉じる(水平スロットが垂直スロットの上下端の左
側に接続した大括弧形)のスロットの結合率は等しく,
励振される磁流の向きが逆であることを利用して,軸の
周りに無指向性でない指向性を形成できる。そこで,上
記した同軸円筒スロットアレーアンテナの構造(図24
参照)に同じ寸法の大括弧開くと大括弧閉じるを軸の周
りに半々に配列したアレーアンテナを設けた。これを本
発明の第3の構成とする。
【0035】図10は第3の構成によるアレーアンテナ
のスロット配列パターンの一部である。このパターンは
同軸円筒の外部導体3の円筒部3bに配設され,円筒部
を平面に展開して示したもので,図10の中央の位置
(方位角0度の位置)で大括弧形の向きが反転してい
る。この第3の構成によるスロット配列パターンを備え
たアレーアンテナの水平面内指向性の実験値と理論値を
図11に示す。図11において,上側が利得(目盛りは
左側に示す),下側が位相パターン(目盛りは右側に示
す)を表し,実線が水平偏波(Eh),破線が垂直偏波
(Ev),太線が実験値,細線が理論値を表す。スロッ
トの括弧の向きが切り変わる方向以外では,約30dB
の交差偏波識別度が維持されたまま,理論通り水平偏波
の位相が方位角によって切り替わり,その切り替わる方
向では利得が落ち込みヌルが形成されている。このヌル
点の存在を利用することで,特定方位だけに放射しない
ようにする目的,または特定方位の電波だけ受信させな
いという目的に効果を発する。
【0036】また,ヌル点が形成される以外も利得に6
個の山が形成されているが,理論パターンにもこの利得
の山が表れている。なお,±30度付近に対しては±1
50度付近の利得が低くなっているのは,水平スロット
部が重ならないように水平スロット部を軸の周りに均一
に配列したため,垂直スロットの間隔が±180度で広
く,0度で狭くなっているためである。
【0037】図12は本発明の第4の構成を示し,z軸
方向に管内波長の4分の1だけずらせた配列であり,図
13は第4の構成によるスロットを配置した同軸円筒ス
ロットアレーアンテナの外観図である。
【0038】図12に示すように,大括弧形スロットを
z軸方向に4分の1管内波長ずらすことにより,隣合う
スロットからの反射波の位相差が180度となり,反射
波が相殺され,給電整合が良くなるという効果がある。
【0039】この第4の構成のアレーアンテナによる垂
直面内指向性の実験値を図14に示し,理論値を図15
に示す。図14によれば,交差偏波識別度に関しては上
記第1の構成と同様に約30dBの良好な特性が維持さ
れている。指向性に関しては±180度区間に比べ0度
方向の振幅が高くなっているが,これは図15に示す理
論パターンにも表れており,4分の1管内波長のずれに
起因した励振位相差によるアレーファクタが表れている
ものである。リターンロス特性に関しては,上記第1の
構成の約10dBから約8dBに劣化するという実験結
果であった。第4の配列ではスロットの放射量(結合率
γ)が第1の構成に比べて小さいという別の作用による
ためと考えられる。
【0040】本発明の第1から第4までの各構成及びイ
ンテグラル形の各アレーアンテナの結合率γ,等価的管
内波長λg’,及びリターンロス(S11で表示)の測定
値を図16にまとめて示す。z軸方向のずれがなく,同
相に励振される第1の構成の結合率γが特別大きいこと
が分かる。同様に横に並んだ配列でも第4の結合率も大
きくなっている。また,効率よくスロットが励振されな
いインテグラルの結合率が大きく,これも垂直スロット
が横に並んでいるためと考えられる。一方,共に垂直ス
ロットの励振位相がそろっていない第2の構成と第4の
構成を比較すると,端部の短い水平スロットがそろって
いる第2の構成より,縦方向の一部が並んでいる第4の
構成の結合率γがわずかに大きい傾向が表れている。
【0041】このことから,第1の構成の結合率が大き
くなる主な原因は,水平方向のスロットが直線状に並ぶ
ためではなく,垂直方向のスロットが横方向に並んで同
相で励振されるためと考えられる。以上のことから,本
発明の第1乃至第4の構成では,上記図22に示すハの
字形スロットペアの場合と異なり,スロットの方向が全
て同一であるため,スロット間の相互作用はその配列に
影響を受けやすく,結合率γもスロットの配列に依存す
ることが分かる。
【0042】前記第1の構成の配列のスロットアレーに
ついて,寸法を様々に変えたアンテナを作製し,スロッ
トの結合率γ,等価的管内波長λg’との関係を測定し
た結果を図17に示す。図17は,スロットの結合率,
等価的管内波長のスロット寸法依存性を示す。図中,〇
は結合率γを表し,×は等価的管内波長λg’を表す。
そして,スロットの長さを,図1の(a) に示すようにス
ロットの中心線の垂直方向の長さLと水平方向の長さ
(突起長さという場合もある)sで表す。またスロット
の幅はWとする。図17から,スロットの幅Wを小さく
すると,結合率γがほぼ線形的に減少することが分か
る。これはスロットの放射量が電波の出入り口であるス
ロット面積に比例するためと考えられる。
【0043】一方,図17の(b) に示すように,突起長
(水平方向スロット長)sが短くなると結合率γが減少
し,且つその減少の割合も大きくなる。これは水平スロ
ット部が垂直スロットの励振の起動の働きをしており,
その働きをするためにはある程度の長さが必要であるた
めと考えられる。また,図17の(c) に示すように,結
合率γが最大値を示す垂直スロット長Lは半管内波長よ
り短いことが分かる。但し,スロット長Lの定義がスロ
ット中心線の垂直分割の長さであるため,実際の開口分
を考慮したスロット長L’(=L+W)で比較しても,
半管内波長6.788mmより短い(L’=)5.8m
mの場合の結合率γが大きいことが分かる。リターンロ
スの測定結果では,L’=5.8mmのときにリターン
ロスが約−18dBの極小値を示し,スロットがほぼ共
振状態にあることが分かった。また,スロット長Lが
6.788mmから4.6mmへ短くなると,主ビーム
方向の交差偏波識別度が約30dBから約15dBへと
低下する。以上のことから,低い結合率γのスロット
は,スロット幅Wで制御するのが良い。
【0044】本発明の各構成の説明では,主に電磁波の
送信の動作について述べたが,同じ原理で電磁波の受信
ができることは原理上言うまでもない。
【0045】
【発明の効果】本発明により,同軸円筒スロットアレー
アンテナの軸に平行なスロットは,伝搬波がTEMモー
ドであるため励振されないが,約半波長のスロット端部
で軸に垂直な短いスロットを接続することにより励振さ
せることができるようになった。そして,本発明の第1
の構成によれば,短い水平スロットを同じ側に接続して
大括弧形にすることで水平偏波の励振を促進することが
できる。更に,スロットをインテグラル形にすることで
も水平偏波の励振が可能であるが,効率が悪く利用に適
さな。
【0046】また,本発明の第2の構成によれば,軸方
向の素子間隔が狭まることによりグレーティングローブ
を抑制するという効果を奏する。
【0047】本発明の第3の構成によれば,水平偏波の
位相が方向により切り替わり,利得が落ち込むヌル点を
利用することで,特定方位だけに送受信させないように
することができる。また,本発明の第4の構成によれ
ば,ずらせたスロット間からの反射波の位相差が180
度となり,反射波が相殺され,給電整合が良くなるとい
う効果を奏する。
【0048】これらを総合すると,本発明により大括弧
形スロットを用いた同軸円筒スロットアレーアンテナに
より,水平面内無指向性で垂直面内にビーム成形可能な
水平偏波アンテナが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理構成を示す図で,A.は第1の構
成,B.はインテグラル形スロットを示す。
【図2】大括弧形スロットを配設したスロット配列パタ
ーンの一部を示す図である。
【図3】大括弧形スロットのアンテナの特性の実験値を
示す図である。
【図4】大括弧形スロットのアンテナの特性の理論値を
示す図である。
【図5】インテグラル形スロットのアンテナの特性の実
験値を示す図である。
【図6】本発明の第2の構成を示す図である。
【図7】第2の構成によるアレーアンテナのスロットの
配列パターンの一部を示す図である。
【図8】第2の構成のアレーアンテナによる垂直面内指
向性の実験値を示す図である。
【図9】第2の構成のアレーアンテナによる垂直面内指
向性の理論値を示す図である。
【図10】第3の構成によるアレーアンテナのスロット
配列パターンの一部を示す図である。
【図11】第3の構成によるアレーアンテナの水平面内
指向性の実験値と理論値を示す図である。
【図12】本発明の第4の構成を示す図である。
【図13】第4の構成によるスロットを配置した同軸円
筒スロットアレーアンテナの外観図である。
【図14】第4の構成のアレーアンテナによる垂直面内
指向性の実験値を示す図である。
【図15】第4の構成のアレーアンテナによる垂直面内
指向性の理論値を示す図である。
【図16】本発明の各構成によるアレーアンテナの結合
率,等価的管内波長及びリターンロスの測定値を示す図
である。
【図17】スロットの結合率,等価的管内波長のスロッ
ト寸法依存性を示す図である。
【図18】提案されたスロットアレーアンテナを示す図
である。
【図19】ハの字形スロットペアの説明図である。
【図20】ハの字形スロットペアの種類を示す図であ
る。
【図21】提案されたスロットアレーアンテナで周方向
に分割してスロットペアを配置した説明図である。
【図22】提案されたハの字形のスロットペアを持つス
ロットアレーアンテナ1の外観図である。
【図23】提案されたハの字形のスロットペアを持つス
ロットアレーアンテナ2の外観図である。
【図24】提案されたハの字形のスロットペアを持つス
ロットアレーアンテナの断面図である。
【符号の説明】
4 大括弧形スロット 4a 垂直スロット 4b 水平スロット 4c 水平スロット 5 インテグラル形スロット 5a 垂直スロット 5b 水平スロット 5c 水平スロット

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円形状外面と該円形状外面と接続する有
    端筒状の外周面を備えた内部導体と,前記 内部導体の円形状外面及び外周面と各誘電体を介し
    て対峙する円盤部及び円筒部を備えた外部導体と,前記 外部導体の円筒部の上下方向と方位角方向により形
    成するマトリクス状の各位置に開設した複数のスロット
    と,前記 外部導体の円盤部及び内部導体の円形状外面の各中
    心から外部導体と内部導体とにはさまれた誘電体に給電
    する給電部とを備え,前記 複数のスロットは,それぞれ前記外部導体の円筒軸
    に平行な方向を向いた垂直スロットの上・下の各端部に
    前記スロットに対し直角で,同じ側に向いた平行の短い
    水平スロットを接続した大括弧形で構成され, 前記スロットの配列を,前記外部導体の円筒部を方位角
    方向に複数に分割した各領域内で同一とすることを特徴
    とする水平偏波アンテナ。
  2. 【請求項2】 請求項1において,前記 複数のスロットは,それぞれ前記垂直のスロットの
    上・下の各端部に前記スロットに対し直角で,互いに反
    対の側に向いた平行の短い水平スロットを接続した形状
    で構成したことを特徴とする水平偏波アンテナ。
  3. 【請求項3】 請求項1において, 前記大括弧形スロットとして前記垂直スロットの上下端
    の右側に水平スロットを着けたスロットと,前記垂直ス
    ロットの上下端の左側に水平スロットを着けたスロット
    が互いに1個分ずらせて向き合うように順次配列した組
    合せを前記外部導体の円筒部に多数配置したことを特徴
    とする水平偏波アンテナ。
  4. 【請求項4】 請求項1において,前記 外部導体の円筒部の上下方向と方位角方向により形
    成するマトリクス状の各位置に開設する複数のスロット
    は,前記円筒部の中央の位置(方位角0度の位置)で,
    水平スロットが前記垂直スロットの上・下端のそれぞれ
    の右側に接続した大括弧形と,水平スロットが前記垂直
    スロットの上・下端のそれぞれの左側に接続した大括弧
    形が背中合わせとなるよう大括弧形の向きを反転して配
    置したことを特徴とする水平偏波アンテナ。
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