JP3360051B2 - マッチング回路を有する移動無線端末装置 - Google Patents

マッチング回路を有する移動無線端末装置

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JP3360051B2 JP32883499A JP32883499A JP3360051B2 JP 3360051 B2 JP3360051 B2 JP 3360051B2 JP 32883499 A JP32883499 A JP 32883499A JP 32883499 A JP32883499 A JP 32883499A JP 3360051 B2 JP3360051 B2 JP 3360051B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、通信アンテナのイ
ンピーダンスの整合を取るマッチング回路を有する移動
無線端末装置に関し、詳しくは、金属などの磁性体が近
くに存在する場合に、マッチング補正を行って常に最適
の通信アンテナ特性を得ることのできる移動無線端末装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】携帯電話機などの移動無線端末装置に設
けられる通信アンテナの特性は、通信アンテナの周囲環
境による影響が大きい。例えば、通信アンテナの近くに
金属などの物体が存在すると、通信アンテナのインピー
ダンスが変化して通信アンテナと受信機の間でインピー
ダンス不整合が生じ、通信レベルが大幅に低下して音質
が劣化したり、通話が突然切断されたり、発信及び着信
動作ができないなどの障害が生じる。
【0003】このような障害を除去するために、例えば
特開昭61−135235号公報には、アンテナのイン
ピーダンスの急激な変化を自動的に吸収するインピーダ
ンス整合回路を設けて、受信入力レベル(RSSI)の
変化を防止するようにしたアンテナシステムが開示され
ている。すなわち、このアンテナシステムでは、論理回
路によりRSSIレベルの値を常時監視し、その値が前
に測定した値よりも下がっていれば、可変リアクタンス
素子のリアクタンス値を制御することにより、インピー
ダンスの整合を取るようにしている。このシステムによ
れば、人体や物体が近くに存在することによりインピー
ダンスが急激に変化しても、迅速なインピーダンスの整
合を自動的に行うことができるものである。
【0004】また、特開平7−23450号公報、特開
平9−162618号公報及び特開平11−13615
7号公報には、人体がコードレス電話機や携帯情報端末
機などに接触しても、スイッチの切換によりインピーダ
ンスの整合をとり、良好な通話状態を維持できるように
した「コードレス電話機」、「携帯情報端末機」及び
「移動無線端末装置」が開示されている。
【0005】しかし、特開昭61−135235号公報
に記載の「アンテナシステム」は、常時RSSIレベル
を監視しているため無駄に回路規模が増大するととも
に、回路が複雑化するという欠点があるほか、人体やさ
まざまな物体によるインピーダンスの変化を吸収するこ
とはできるものの、鉄やニッケルなどのように周囲の磁
場に影響を与えやすい性質を有し、インピーダンスに与
える影響も特に大きい金属などの物体(以下、このよう
な性質を有する物体を「磁性体」という)に対しては十
分な効果が得られないという問題がある。
【0006】また、特開平7−23450号公報、特開
平9−162618号公報及び特開平11−13615
7号公報に記載のコードレス電話機、携帯情報端末機及
び移動無線端末装置は、主として人体によるアンテナ特
性への影響の除去を目的としたものであり、前記したよ
うな磁性体に対しては対処することができないという問
題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の問題に
かんがみてなされたもので、特に、金属などの磁性体が
近くに存在する場合に、この磁性体による通信アンテナ
のインピーダンスの急激な変化を迅速に吸収してインピ
ーダンスの整合をとり、常に最適な通信アンテナ特性を
維持して良好な通信状態を得ることのできるマッチング
回路を有する移動無線端末装置を提供することを目的と
する。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1に記載の発明は、通信アンテナのインピー
ダンスの整合を取るマッチング回路を有する移動無線端
末装置において、前記移動無線端末装置の近傍に存在す
金属を検知する磁石を備えた磁性体検知手段と、前記
金属による前記通信アンテナのインピーダンスの変化を
吸収するために前記インピーダンスの整合をとるマッチ
ング補正回路と、前記磁性体検知手段の検知結果に基づ
いて信号線の切換を行い、前記マッチング回路に前記マ
ッチング補正回路を接続する切換手段とを有する構成と
してある。
【0009】この構成によれば、マッチング回路が、通
常の通信時における通話アンテナのインピーダンスの整
合をとり、インピーダンスの変化を吸収している。磁性
体検知手段は、移動無線端末装置の近くに存在する金属
を磁石で検知する。そして、前記金属が、前記通信アン
テナのインピーダンスを急激に変化させて通信障害を生
じさせるおそれのある距離に存在する場合に、前記磁性
体検知手段の検知結果に基づいて、前記切換手段が切り
換えることができる。これにより、マッチング回路にマ
ッチング補正回路が接続され、前記金属による通信アン
テナのインピーダンスの急激な変化が吸収され、良好な
通信状態を維持することができる。
【0010】請求項2に記載の発明は、前記切換手段
は、前記磁性体に向けて回動自在な可動子と、前記マッ
チング回路又は前記マッチング補正回路のいずれか一方
に接続された信号線に導通する端子と、前記可動子に設
けられ、前記マッチング補正回路又は前記マッチング回
路のいずれか他方に接続された信号線に導通するととも
に、前記可動子の回動によって前記端子に接触する接触
子と、前記接触子と前記端子とを離間させる方向に前記
可動子を常時付勢する付勢手段とを有する構成としてあ
る。
【0011】このように構成すれば、可動子は、付勢手
段によって通常は接触子と端子とが離れた状態にあり、
マッチング回路とマッチング補正回路との導通を遮断し
ている。前記金属が移動無線端末装置に接近してくる
と、磁性体検知手段である磁石が前記磁性体に引き寄せ
られる。そして、前記金属がある程度の距離まで前記移
動無線端末装置に近づくと、前記磁石が付勢手段の付勢
力に抗して可動子を前記金属側に回動させる。これによ
って、接触子と端子とが接触してマッチング回路にマッ
チング補正回路が接続され、金属によるインピーダンス
の急激な変化を吸収して良好な通信状態を維持すること
ができる。
【0012】請求項3に記載の発明は、請求項2に記載
の移動無線端末装置において、前記付勢手段は、前記可
動子側に設けられた可動子側磁石と、前記端子側に設け
られた、前記可動子側の前記磁石と反発する端子側磁石
とから構成している。この構成によれば、可動子側磁石
と端子側磁石が互いに反発し合うことにより、前記可動
子に常時付勢力を付与することができる。
【0013】請求項4に記載の発明は、請求項3に記載
の移動無線端末装置において、前記可動子側磁石と前記
端子側磁石を前記可動子の回動中心側に配置し、前記磁
性体検知用の磁石を前記可動子の先端側に配置した構成
としてある。この構成によれば、前記磁性体検知手段を
構成する磁石の前記磁性体に引き寄せられる力が微弱で
あっても、てこの原理により、前記可動子側磁石と前記
端子側磁石の反発力に抗して可動子を回動させることが
可能である。また、磁性体検知手段用を構成する磁石の
磁力を変更することで検知精度を調整することができる
だけでなく、前記可動子側磁石及び前記端子側磁石と前
記磁性体検知手段用の磁石の位置関係を種々に変更する
ことで、前記切換手段の切換のタイミングを調整するこ
とができる。
【0014】請求項5に記載の発明は、前記マッチング
補正回路を複数設け、前記マッチング補正回路の数に応
じて段階的に前記信号線の切換を行う切換手段を設け、
前記移動無線端末装置と前記金属との距離に応じて前記
切換手段を段階的に切り換えさせる磁性体検知手段を設
けた構成としてある。通信アンテナのインピーダンスに
与える影響の大きさは、前記金属と移動無線端末装置と
の距離によって異なる。請求項5に記載のように構成す
ることで、前記金属と移動無線端末装置との距離に応じ
て、マッチング回路に複数のマッチング補正回路を段階
的に接続することが可能になり、インピーダンスの変化
の度合いに応じた適切なインピーダンス整合を迅速に行
うことができる。
【0015】請求項6に記載の発明は、請求項5に記載
の移動無線端末装置において、前記切換手段は、ケース
と、このケース内で進退移動自在な可動子と、この可動
子を常時一側に付勢する付勢手段と、前記可動子が進退
移動する移動経路に沿って配置された、複数の前記マッ
チング補正回路に対応する複数の端子と、この端子と接
触する前記可動子の接触子とを有し、前記磁性体検知手
の磁石は、前記可動子に設けられ、前記金属に引き寄
せられることで前記可動子を前記付勢手段に抗して移動
させる構成としてある。
【0016】この構成によれば、例えば、前記金属が前
記移動無線端末装置に接近してくると、前記金属に引き
寄せられる磁石を有する前記可動体が前記移動無線端末
装置の接近にともなって前記金属側に移動する。そし
て、前記可動体が所定の位置まで移動してくると、当該
位置に設けられた端子に可動子の接触子が接触して、マ
ッチング補正回路をマッチング回路に接続する。前記
が前記移動無線端末装置にされに近づくことで、前記
可動体がさらに移動して所定の位置までくると、当該位
置に設けられた端子と前記可動子の接触子が接触して2
つ目のマッチング補正回路がマッチング回路に接続され
る。このようにして、前記金属と前記移動無線端末装置
との距離、すなわち、金属が移動無線端末装置に与える
影響の大きさに応じてマッチング回路に次々とマッチン
グ補正回路を接続していくことができ、細やかなインピ
ーダンスの整合を取って、良好な通信状態を維持するこ
とができる。
【0017】請求項7に記載の発明は、請求項1から請
求項6のいずれかに記載の移動無線端末装置において、
前記マッチング補正回路に代えて、インピーダンスの異
なる一つ又は複数の通信アンテナを設けた構成としてあ
る。この構成によれば、前記金属によって通信アンテナ
のインピーダンスの変化が生じたときには、インピーダ
ンスの異なる通信アンテナに切り換えることによって、
前記インピーダンスの変化に対応して、通信状態を常に
良好に保つことができる。
【0018】請求項8に記載の発明は、請求項1に記載
の移動無線端末装置において、前記磁性体検知手段を、
前記切換手段から離間した前記移動無線端末装置の任意
の位置に設けた構成としてある。このように、磁性体検
知手段を切換手段から離して設けることで、移動無線端
末装置の基板上の空きスペースを有効に利用することが
でき、基板上に配置される他の部品のレイアウトも制限
することがない。また、前記磁性体検知手段を磁性体の
検知に適した位置に設けることで、前記金属を適切に検
知することができ、かつ、切換手段の切換も適切に行う
ことができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態
を、図面にしたがって詳細に説明する。なお、以下の実
施形態では、移動無線端末装置として携帯電話機を一例
に挙げて説明するが、この発明は携帯電話機に限らず、
通信機能を内蔵するパーソナルコンピュータやモバイル
機器など、他の移動無線端末装置にも適用が可能であ
る。
【0020】[第1の実施形態]図1は、本発明の第1の
実施形態にかかる携帯電話機の構成を説明するブロック
図、図2は、図1の携帯電話機1の側面断面図である。
携帯電話機1は、通信アンテナ2と、この通信アンテナ
2に対して送信用の信号を出力し、又は受信された信号
を入力して処理する無線部3と、通信アンテナ2と無線
部3との間に配置され、通信アンテナ2のインピーダン
スの整合を取るマッチング回路部4とを有している。
【0021】[マッチング回路部]マッチング回路部4
は、抵抗、コイル及びコンデンサから構成される集中定
数回路41及び抵抗、インダクタンス、静電容量、漏れ
コンダクタンスを長さに比例して均一に分布してなる分
布定数回路42からなるマッチング回路4aと、集中定
数回路41と同様の構成の集中定数回路46及び分布定
数回路42と同様の構成の分布定数回路47からなるマ
ッチング補正回路4bとを有している。
【0022】マッチング回路4aは、集中定数回路46
と分布定数回路47に含まれる論理回路により、通信ア
ンテナ受信入力レベルの値を常時監視し、その値が前に
測定した値よりも下がっていれば、可変リアクタンス素
子のリアクタンス値を制御することにより、インピーダ
ンスの整合を行う。マッチング補正回路4bは、マッチ
ング回路4aに接続されてマッチング回路部4の回路構
成を変え、これによって金属板などの磁性体が携帯電話
機1に接近した場合におけるインピーダンスの急激な変
化を吸収し、迅速にインピーダンスの整合を行うように
する。
【0023】上記したマッチング回路4aとマッチング
補正回路4bとは、マッチング回路4aから分岐する信
号線159a及び信号線159bによって接続されてい
るが、通常の通信時においてはマッチング補正回路4b
に信号を流さず、マッチング回路4aで適切なインピー
ダンスの整合を取ることができるように、信号線159
aと信号線159bの間に切換手段としてのスイッチ1
5を設けている。そして、インピーダンスが急激に変化
するような状況下になると、このスイッチ15が閉じ、
マッチング補正回路4bに通信アンテナ2からの信号が
入力され、インピーダンスの整合が行われる。
【0024】上記構成のマッチング回路部4及び無線部
3は、図2に示すように、携帯電話機1のケース10内
に設けられる回路基板6の裏面に配置される。回路基板
6の表面には、ディスプレイ7に電話番号や時刻、メモ
などを表示するディスプレイ表示回路7aが配置される
とともに、キー操作部8に配列された数字や記号などの
キーを操作することにより、操作されたキーに対応する
信号を出力するキー入力部8aが配置される。
【0025】[切換手段]図3は、携帯電話機1に磁性
体である金属板が接近したときに、マッチング補正回路
4bに通信アンテナ2からの信号を入力するようにする
スイッチ15の説明図で、図3(a)はスイッチが開い
た状態を、(b)はスイッチが閉じた状態をそれぞれ示
している。
【0026】切換手段であるスイッチ15は、ケース1
50内で支持された軸151aを支点として回動自在な
可動子151と、この可動子151のほぼ中央位置に設
けられた導通性を有する板ばね状の接触子154と、可
動子151の回動によって接触子154と接触する端子
158とを有している。マッチング回路4a側の信号線
159aは、可動子151を介して接触子154に接続
され、マッチング補正回路4b側の信号線159bは、
端子158を固定する端子台157を介して、端子15
8に接続される。可動子151が、軸151aを支点に
図2中時計回り方向に回動し、接触子154が端子15
8に接触すると、信号線159aと信号線159bが導
通し、通信アンテナ2からの信号がマッチング補正回路
4bに入力可能になる。
【0027】可動子151には、軸151aの近傍に可
動子側磁石152が設けられている。一方、端子台15
7の可動子側磁石152に対応する位置には、可動子側
磁石152と反発するように端子側磁石156が設けら
れる。可動子側磁石152と端子側磁石156は、対向
する面にともにN極が表れるように配置してもよいし、
ともにS極が表れるように配置してもよい。可動子側磁
石152と端子側磁石156の反発により、可動子15
1は端子台157から遠ざかる方向に常に付勢されてい
る。
【0028】[磁性体検知手段]可動子151の先端側
には、携帯電話機1に接近する磁性体である金属板12
(例えば鋼板)を検知するための磁石153が設けられ
ている。磁石153は、可動子151を端子台157か
ら遠ざける方向に常時付勢している可動子側磁石15
2,156よりも軸151aから遠い位置に設けられて
いるので、てこの原理によって、磁石152,156の
反発力よりもはるかに小さい吸着力で可動子151を端
子台157側へ回動させることができる。
【0029】したがって、軸151aに対する磁石15
2,156及び磁石153の配置位置を種々に調整する
ことで、金属板12の検知精度を調整することができ
る。磁石152,156及び磁石153の位置関係は、
携帯電話機1に接近してくる金属板12により、通信ア
ンテナ2のインピーダンスが急激に変化し、通話に支障
をきたす直前にスイッチ15が動作するように調整する
とよい。
【0030】図3からもわかるように、この実施形態の
スイッチ15は指向性を有し、磁性体である金属板12
が一方側(図3の紙面下方側)から近づいてきた場合に
のみ適正に動作する。ところで、図2に示すような携帯
電話機1では、回路基板6、ディスプレイ7、キー操作
部8などが金属板12の影響を遮る遮蔽部材として作用
するため、携帯電話機1の表側から接近してくる金属板
12に対しては、マッチング補正回路4bによるインピ
ーダンス整合の必要はあまりない。
【0031】これに対して、携帯電話機1の裏側から近
づいてくる金属板12に対しては、上記のような遮蔽部
材が殆ど存在しないために、金属板12による影響が大
きく、マッチング補正回路4bによるインピーダンス整
合の必要がある。そのため、この実施形態で説明したよ
うな指向性を有するスイッチ15を携帯電話機1に設け
る場合には、裏側から携帯電話機1に接近してくる金属
板12を確実に検知して正確に切換動作を行うように設
けなければならない。
【0032】上記構成の携帯電話機1の作用を説明す
る。通常の通話状態においては、スイッチ15の可動子
151は、磁石152,156の反発によって接触子1
54と端子158とを離間させる方向に回動されてい
て、通信アンテナ2の信号がマッチング補正回路4bに
入力されないようになっている。通常の通話中における
通信アンテナ2のインピーダンスの変化は、マッチング
回路4aのインピーダンス整合によって吸収され、良好
な通話状態が維持される。
【0033】通話中に携帯電話機1の裏側から、磁性体
である金属板12が接近してきて、通話に支障を生じさ
せる距離までくると、磁石153が金属板12に引き寄
せられることにより可動子151を端子台157側に回
動させようとする力が、磁石152,156の反発力に
打ち勝って、可動子151を端子台157側に回動させ
る。そして、接触子154が端子158に接触すると、
マッチング回路4a側の信号線159aと、マッチング
補正回路4b側の信号線159bとが導通する。これに
より、マッチング回路部4の回路構成が変わり、金属板
12の接近にともなう通信アンテナ2の急激なインピー
ダンスの変化が、マッチング回路部4によって吸収さ
れ、良好な通話状態が維持される。
【0034】[第2の実施形態]図4は本発明の第2の
実施形態にかかる携帯電話機の平面図である。なお、先
の実施形態と同一の部位、同一の部材には同一の符号を
付して詳しい説明は省略する。この実施形態でマッチン
グ回路部4は、第1の実施形態で説明したマッチング補
正回路4b(この実施形態では第1のマッチング補正回
路4bという)のほかに第2のマッチング補正回路4c
を有している。図4において模式的に示すスイッチ25
は、金属板12の距離、すなわち、金属板12が通信ア
ンテナ2のインピーダンスに与える影響の大きさに応じ
て、段階的にマッチング回路部4の構成を切り換えるも
のである。
【0035】金属板12の距離に応じて段階的にマッチ
ング回路部4の構成を切り換えることのできるスイッチ
25の構成の一例を図5(a)に示す。非導通性の材料
で形成された円筒状のケース250の中に、円筒状に形
成された導通性のある可動子253が嵌め入まれ、図5
(a)の上下方向に移動できるようになっている。凹所
257aを有する非導通性の端子台257がケース25
0の下端側から挿入され、凹所257aに挿入されたば
ね255が、常に可動子251を上方に付勢している。
端子台257の可動子251側の端面には端子258b
が設けられ、可動子251の端面に形成された突起25
4と接触するようになっている。
【0036】ケース250の内周壁には、端子258b
のやや上方に、端子258aが設けられ、可動子251
の側面と接触できるようになっている。また、導通性を
有する棒状のガイド251aが、可動子251の昇降方
向に延設されるとともに可動子251の図示しない貫通
穴を挿通していて、可動子251の昇降を案内してい
る。そして、マッチング回路4aから分岐する信号線2
59aがガイド251aに接続され、第1のマッチング
補正回路4bの信号線259bが端子258aに、第2
のマッチング補正回路4cの信号線259cが端子25
8bにそれぞれ接続されている。
【0037】可動子251の端子258bを向く側に
は、磁性体検知手段である磁石253が埋設されてい
る。可動子251がスムースに昇降できるようにするた
めに、ケース250及び端子台257は、磁石に吸着さ
れない樹脂などで形成するのが好ましく、端子258
a,258bは、導通性を有し、磁石に吸着されないア
ルミなどで形成するのが好ましい。
【0038】また、ばね255は、携帯電話機1に接近
してくる金属板12によって、通信アンテナ2のインピ
ーダンスが急激に変化して通話に支障をきたす直前に、
端子258aに接触する位置まで可動子251を移動さ
せ、さらに金属板12が携帯電話機1に接近することに
よって、第1のマッチング補正回路4bではインピーダ
ンスの整合を取ることができなくなる直前に、突起25
4が端子258bに接触する位置まで可動子251を移
動させる付勢力を有するものを選択するのが好ましい。
【0039】上記構成のスイッチ25の作用を以下に説
明する。通常の通話状態においては、図5(a)に示す
ように、可動子251はばね255により押し上げられ
ていて、信号線259aと信号線259b及び信号線2
59cを非導通状態に保っている。したがって、通常の
通話時における通信アンテナ2のインピーダンスの変化
は、マッチング回路4a(図4参照)によって吸収され
る。
【0040】金属板12が接近してきて、携帯電話機1
の通話状態に影響を与える直前のところまでくると、金
属板12に磁石253の吸着力がばね255の付勢力に
打ち勝って、可動子251を端子258aと接触する第
1の位置(図5(b)に示す位置)まで移動させる。こ
れにより、信号線259aと信号線259bが導通状態
になって第1のマッチング補正回路4bに通信アンテナ
2の信号が入力され、インピーダンス整合が図られる。
【0041】金属板12がさらに携帯電話機1に接近す
ると、金属板12が通信アンテナ2のインピーダンスに
与える影響がさらに大きくなり、第1のマッチング補正
回路4bではインピーダンス整合を十分にとることがで
きなくなる。一方、金属板12の接近により磁石253
が金属板12に引き寄せられる力も大きくなるから、可
動子251がさらに端子台257側に移動して、突起2
54が端子258bに接触する。これにより、信号線2
59aと信号線259b、259cが導通状態になっ
て、通信アンテナ2からの入力信号が第1のマッチング
補正回路4b及び第2のマッチング補正回路4cの双方
に入力され、インピーダンスの整合が取られる。
【0042】このように、段階的にインピーダンスの整
合を取ることができるようにすることで、金属板12な
どの磁性体が通信アンテナ2のインピーダンスに与える
影響の大きさに応じてマッチング回路部4の構成を変
え、段階的なインピーダンスの変化に対応してインピー
ダンスの整合を取ることができるようになる。この実施
形態では、説明の便宜のため2つのマッチング補正回路
4a,4bを、2段階に切換可能なスイッチ25により
マッチング回路4aに順次接続するものとして説明した
が、3つ以上のマッチング補正回路を設けるとともに、
マッチング補正回路に対応して複数段階に切換が可能な
スイッチを設けることで、よりきめ細かにインピーダン
スの整合を図ることが可能になる。
【0043】[第3の実施形態]図6に本発明の第3の
実施形態にかかる携帯電話機の構成を平面図で示す。こ
の実施形態の携帯電話機1は、インピーダンスの異なる
二種類の通信アンテナ2a,2bを有している。通信ア
ンテナ2a,2bは、切換手段であるスイッチ35を介
してマッチング回路部4に接続されている。この実施形
態におけるマッチング回路部4は、第1及び第2の実施
形態で説明したマッチング補正回路4b,4cを備えて
いないものである。
【0044】スイッチ35は、可動子351と、この可
動子351と接触する二つの端子358a及び358b
を有している。そして、可動子351を端子358a側
から端子358b側に移動させることで、金属板12が
携帯電話機1の所定距離内に接近してきたときに、マッ
チング回路部4側の信号線359a,通信アンテナ2a
側の信号線359b及び通信アンテナ2b側の信号線3
59cの切り換えを行ない、金属板12の距離に応じた
通信アンテナ2a,2bの切換を行う。
【0045】このスイッチ35の動作は、第1の実施形
態で説明したスイッチと同様のスイッチ15によって行
われる。すなわち、図示しない金属板12が携帯電話機
1に接近してくると、スイッチ15が第1の実施形態で
説明したのと同様の作用によって切り換わり、スイッチ
35と電源11とを接続して、可動子351を移動させ
るための電源の供給を可能にする。この実施形態では、
スイッチ35が磁性体検知手段を構成している。
【0046】したがって、磁性体検知手段であるスイッ
チ35を、金属板12の検知に適した携帯電話機1の任
意の部位に配置することで、金属板12の接近をいち早
く検知し、通話障害が生じる前にスイッチ35を動作さ
せて通信アンテナ2a,2bを切り換えることができ
る。また、この実施形態のように磁性体検知手段である
スイッチ15をスイッチ35から離して設けることで、
携帯電話機1の回路基板6(図2参照)上の空きスペー
スを有効に利用することができるうえ、回路基板6上に
配置される他の部品のレイアウトも制限することがな
い。
【0047】この第3の実施における携帯電話機1は以
下のように作用する。通常の通話状態では、第1の通信
アンテナ2aの信号線359bとマッチング回路部4の
信号線359aが、端子358a及びこれに接触する可
動子351を介して導通状態になっている。通常の通話
状態における第1の通信アンテナ2aのインピーダンス
の変化は、マッチング回路部4によって吸収される。
【0048】図示しない金属板12が携帯電話機1に接
近してきて、第1の通信アンテナ2aのインピーダンス
の急激な変化による通話障害を生じさせる直前のところ
までくると、スイッチ15が切り換わってスイッチ35
を切り換え、第2の通信アンテナ2bの信号線359c
と信号線359aとを導通状態にする。これにより、イ
ンピーダンスの整合がとられ、第2の通信アンテナ2b
によって良好な通話状態が維持される。
【0049】この実施形態では、金属板12による急激
なインピーダンスの変化を、インピーダンスの異なる2
本の通信アンテナ2a,2bを切り換えることで吸収す
るものとして説明したが、インピーダンスの異なる通信
アンテナを3本以上設け、これに対応して段階的な切換
を行うスイッチを設けることで、第2の実施形態と同様
に、きめ細かにインピーダンスの整合を図ることが可能
になる。
【0050】本発明の好適な実施形態について説明した
が、本発明は上記の実施形態により何ら限定されるもの
ではない。例えば、上記の実施形態では、スイッチ15
に含まれる磁石153及びスイッチ25に含まれる磁石
253が磁性体検知手段を構成するものとして説明した
が、磁性体検知手段はこのような磁石に限らず磁気セン
サなどのセンサであってもよく、また、スイッチ15,
25と別体に設けるものとしてもよい。磁性体検知手段
として磁気センサなどのセンサを用いた場合は、前記セ
ンサの検知信号を処理する処理手段を無線部3内に設
け、この無線部3からの指令信号によって信号線の切換
を行うスイッチング回路を、マッチング回路部4に設け
るとよい。
【0051】さらに、第1の実施形態では、端子158
と接触子154を離間させる方向に可動子151を付勢
する付勢手段は、同一極を向かい合わせた可動子側磁石
152と端子側磁石156であるとして説明したが、こ
れに限らず、例えば、端子台158と可動子151の間
に介在させたばねとしてもよい。また、第1の実施形態
では可動子側磁石152と端子側磁石156の反発によ
り可動子151を付勢するものとして説明したが、可動
子側磁石152と端子側磁石156とが吸着することで
可動子151を付勢するものとしてもよい。この場合
は、図2で示したスイッチ15のケース150の天井側
に磁石を設け、この磁石に吸着するように可動子側磁石
152を可動子151に設ける。
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、特に、金属などの磁性
体が移動無線端末装置の近くに存在する場合に、この磁
性体による通信アンテナのインピーダンスの変化を迅速
に吸収してインピーダンスの整合を図ることができ、常
に最適な通信アンテナ特性を維持し、良好な通信状態を
得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる携帯電話機の
構成を説明するブロック図である。
【図2】図1の携帯電話機1の側面図である。
【図3】携帯電話機に金属などの磁性体が接近したとき
に、マッチング補正回路に通信アンテナからの信号を入
力するスイッチの構成の説明図で、図3(a)はスイッ
チが開いた状態を、図3(b)はスイッチが閉じた状態
を示す。
【図4】本発明の第2の実施形態にかかる携帯電話機の
平面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態にかかり、金属板によ
るインピーダンス変化の大きさにともなって段階的にマ
ッチング回路部の回路構成を変化させることができるよ
うにするスイッチの断面図で、(a)は通常の通話時に
おける状態を、(b)は金属板が携帯電話機に接近して
きた場合における状態を、(c)は金属板がさらに携帯
電話機に接近してきた場合における状態をそれぞれ示し
ている。
【図6】本発明の第3の実施形態にかかる携帯電話機の
構成を示す平面図である。
【符号の説明】
1 携帯電話機(移動無線端末装置) 2 通信アンテナ 3 無線部 4 マッチング回路部 4a マッチング回路 4b,4c マッチング補正回路 41,46,48 集中定数回路 42,47,49 分布定数回路 6 回路基板 12 金属板(磁性体) 15 スイッチ(切換手段) 151 可動子 152 可動子側磁石(付勢手段) 153 磁石(磁性体検知手段) 154 接触子 156 端子側磁石(付勢手段) 158 端子 159a,159b 信号線 25 スイッチ(切換手段) 35 スイッチ(切換手段)

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 通信アンテナのインピーダンスの整合を
    取るマッチング回路を有する移動無線端末装置におい
    て、 前記移動無線端末装置の近傍に存在する金属を検知する
    磁石を備えた磁性体検知手段と、 前記金属による前記通信アンテナのインピーダンスの変
    化を吸収するために前記インピーダンスの整合をとるマ
    ッチング補正回路と、 前記磁性体検知手段の検知結果に基づいて信号線の切換
    を行い、前記マッチング回路に前記マッチング補正回路
    を接続する切換手段とを有すること、 を特徴とする移動無線端末装置。
  2. 【請求項2】 前記切換手段は、前記磁性体に向けて回
    動自在な可動子と、前記マッチング回路又は前記マッチ
    ング補正回路のいずれか一方に接続された信号線に導通
    する端子と、前記可動子に設けられ、前記マッチング補
    正回路又は前記マッチング回路のいずれか他方に接続さ
    れた信号線に導通するとともに、前記可動子の回動によ
    って前記端子に接触する接触子と、前記接触子と前記端
    子とを離間させる方向に前記可動子を常時付勢する付勢
    手段とを有することを特徴とする請求項1に記載の移動
    無線端末装置。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の移動無線端末装置にお
    いて、前記付勢手段は、前記可動子側に設けられた可動
    子側磁石と、前記端子側に設けられた、前記可動子側の
    前記磁石と反発する端子側磁石とからなることを特徴と
    する移動無線端末装置。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の移動無線端末装置にお
    いて、前記可動子側磁石と前記端子側磁石とを前記可動
    子の回動中心側に配置し、前記磁性体検知用の磁石を前
    記可動子の先端側に配置したことを特徴とする移動無線
    端末装置。
  5. 【請求項5】 前記マッチング補正回路を複数設け、前
    記マッチング補正回路の数に応じて段階的に前記信号線
    の切換を行う切換手段を設け、前記移動無線端末装置と
    前記金属との距離に応じて前記切換手段を段階的に切り
    換えさせる磁性体検知手段を設けたことを特徴とする請
    求項1に記載の移動無線端末装置。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の移動無線端末装置にお
    いて、前記切換手段は、ケースと、このケース内で進退
    移動自在な可動子と、この可動子を常時一側に付勢する
    付勢手段と、前記可動子が進退移動する移動経路に沿っ
    て配置された、複数の前記マッチング補正回路に対応す
    る複数の端子と、この端子と接触する前記可動子の接触
    子とを有し、前記磁性体検知手段の磁石は、前記可動子
    に設けられ、前記金属に引き寄せられることで前記可動
    子を前記付勢手段に抗して移動させることを特徴とする
    移動無線端末装置。
  7. 【請求項7】 請求項1から請求項6のいずれかに記載
    の移動無線端末装置において、前記マッチング補正回路
    に代えて、インピーダンスの異なる一つ又は複数の通信
    アンテナを設けたことを特徴とする移動無線端末装置。
  8. 【請求項8】 前記磁性体検知手段を、前記切換手段か
    ら離間した前記移動無線端末装置の任意の位置に設けた
    ことを特徴とする請求項1に記載の移動無線端末装置。
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