JP3359456B2 - 内部全反射型再帰反射シート - Google Patents

内部全反射型再帰反射シート

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JP3359456B2 JP03284295A JP3284295A JP3359456B2 JP 3359456 B2 JP3359456 B2 JP 3359456B2 JP 03284295 A JP03284295 A JP 03284295A JP 3284295 A JP3284295 A JP 3284295A JP 3359456 B2 JP3359456 B2 JP 3359456B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はコーナーキューブ型再帰
反射シートなどの内部全反射型再帰反射シートに関し、
詳しくは、道路標識、工事標識等の標識類、自動車、オ
ートバイ等の車両のナンバープレート類、衣料、救命具
等の安全資材類、看板等のマーキング材、可視光又はレ
ーザー光反射型センサー類の反射板などにおいて有用な
内部全反射型再帰反射シートに関する。さらに詳しく
は、内部全反射型再帰反射要素層と、該再帰反射要素層
と空気層を介して相対するように配置された鏡面反射層
とから少なくとも構成される内部全反射型再帰反射シー
トに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より入射した光を光源に向かって反
射する再帰反射シートはよく知られており、その再帰反
射性を利用した該シートは上記のごとき利用分野で広く
利用されており、中でもコーナーキューブの再帰反射原
理を利用した再帰反射シートは、従来のガラス微小球を
用いた再帰反射シートに比べ光の再帰反射能率が格段に
優れており、その優れた再帰反射性能により年々用途が
拡大しつつある。
【0003】しかしながらコーナーキューブ型再帰反射
要素は、その反射原理からコーナーキューブ型再帰反射
素子のもつ光学軸(該素子を構成する互いに90゜の角度
をもつ3個の面から等しい距離に有る軸)と入射光線と
がなす角度が小さい角度の範囲では良好な再帰反射性を
示すが、この角度が大きくなるにつれて再帰反射効率は
低下し、さらに、その再帰反射要素を構成する透明基材
の屈折率と空気との屈折率の比によって定められ、内部
全反射条件を満足する臨界角度よりも小さい角度で入射
した光線は、該素子の界面で全反射せずに大部分の光線
がプリズムを透過してしまうため、再帰反射するための
入射角度の条件が限られるという不都合があった。
【0004】ユンゲルセン(Ungersen)による米国特許
第2,481,757号明細書においては、薄いシートの上に様
々な内部全反射型再帰反射要素層を設置してなる再帰反
射シート及びそれらシートの製造方法について述べられ
ている。
【0005】スタム(Stamm)による米国特許第3,712,7
06号明細書(特開昭49−106839号公報)においては、薄
いシート上に底面の三角形の形状が正三角形である、所
謂、正三角錐型コーナーキューブ再帰反射素子を、その
底面が共通面上に平面充填上に並べられた再帰反射シー
トについて述べられている。この明細書によれば、プリ
ズムの反射面を、例えばアルミニウムなどの金属で蒸着
処理を行って鏡面反射面とすることにより、入射角の増
大による再帰反射効率の低下という問題や内部全反射条
件以上の角度で入射した光が該素子の界面を透過してし
まい再帰反射しないという上記不具合の改善を試みてい
る。
【0006】ウェーバー(Weber)による米国特許第3,1
40,340号明細書においては、コーナーキューブ型再帰反
射要素層の下に、空気層を介してさらに微小球型再帰要
素層を設置した再帰反射体が開示され、上記問題点であ
る入射角特性の不具合の改善が試みられている。しかし
ながら、この再帰反射体は本発明の一つの目的である薄
くて柔軟なシートの提供を達成するものではない。
【0007】ホワイト(White)による米国特許第4,34
9,598号明細書、ハーガティー(Haggerty)による米国
特許第3,450,459号明細書、ヒーナン(Heenan)による
米国特許第4,541,606号明細書及び第3,923,378号明細
書、リンドナー(Lindner)による米国特許第4,066,331
号明細書には、いずれもコーナーキューブ素子の光学軸
を光線の入射する方向に傾けることにより、意図された
方向への再帰反射効率の増大せしめる方法が述べられて
いる。
【0008】しかしながら、これらの技術はいずれも、
コーナーキューブ集合体を形成する方法として、多角形
型断面をもつ金属性ピンの先端に、光学軸を傾けたコー
ナーキューブ素子を形成し、それらのピンを束ねること
により集合体を形成する方法を採用している。この方法
による集合体の形成方法においては、該素子の底面は共
通面上にないためにシートの厚さが増大し、金属性ピン
の加工上の制限から該素子のサイズは比較的大きくなら
ざるを得ないために、柔軟性に富む薄いシートを形成す
るには不向きな方法であった。
【0009】
【発明が解決すべき課題】本発明の目的はコーナーキュ
ーブ型再帰反射素子のもつ上記の問題点、すなわち、再
帰反射シートの法線軸に対して比較的大きな角度(入射
角)で入った光線が、再帰反射要素の反射界面において
全反射条件を満足せず、該再帰反射要素を透過してしま
い、従って、再帰反射する光の強度が低下するという問
題点に対しての改善を試みるものである。すなわち、入
射角の増大にともない再帰反射する光の強度の低下が著
しいという前記問題点(入射角特性)の改善を試みるも
のである。
【0010】本発明の他の目的は薄くて柔軟な再帰反射
シートの提供を行うものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述の問題を
解決すべくなされたものであり、内部全反射型再帰反射
要素により構成される再帰反射要素層と、上部に透明な
樹脂層からなる結合剤層が設置された凹面型鏡面反射要
素又はフレネルレンズ型鏡面反射要素により構成される
鏡面反射層、又は半球面及び放物面から選ばれる凹面型
鏡面反射要素により構成される鏡面反射層、又はフレネ
ルレンズ型鏡面反射要素により構成される鏡面反射層と
から少なくともなり、該再帰反射要素層と該鏡面反射層
とが空気層を介して相対するように配置されていること
を特徴とする内部全反射型再帰反射シートを提供するも
のである。
【0012】本発明における再帰反射性シートの代表的
な態様は、内部全反射型再帰反射要素により構成される
再帰反射要素層、及び、金属層を含む鏡面反射要素から
構成される鏡面反射層から少なくともなり、さらに、再
帰反射シートの使用目的、使用環境に応じて、表面保護
層、観測者に情報を伝達するための印刷層、再帰反射層
と鏡面反射層との界面への水分の侵入防止のため封入密
封構造を形成するための結合剤層、鏡面反射層を保護す
るための支持体層、及び、該再帰反射シートを他の構造
体に貼付するために用いる接着剤層と剥離材層とを設置
できる。
【0013】本発明における再帰反射要素層は、それ自
体公知な内部全反射原理により入射した方向に光を反射
する内部全反射型再帰反射要素、所謂プリズム型再帰反
射要素であり、プリズム開口面を封入密封されている空
気層に向けて設置してなるプリズム層、及び、必要に応
じてそれらプリズム層を支持するプリズム支持層よりな
る。
【0014】本発明に用いられる上記プリズム層に利用
しうるプリズムの例としては、コーナーキューブプリズ
ム、クロスプリズム、円錐プリズムが含まれ、コーナキ
ューブプリズムには三角錐プリズムと六角プリズムとが
含まれる。
【0015】上記のクロスプリズムとは底面が正方形で
互いに相対する三角形の面がほぼ90゜となるように設計
された所謂ピラミッド形状をもつものをいい、円錐型プ
リズムとは円錐の高さと底面の円の直径とがほぼ等しく
なるように設計された円錐型形状によりなるものをい
う。
【0016】これらプリズムは、米国連邦規格LS-300C
によって規定される再帰反射シートの再帰反射特性、す
なわち、入射角特性、観察角特性及び回転角特性等を改
善する目的で、それ自体公知の方法により適宜形状を変
形してもよい。具体的な変形の方法としては、三角錐プ
リズムにおいて開口面に形成された三角形の辺の比率を
変えることにより達成されるプリズム光学軸の傾斜や、
該プリズムを構成する三つの反射面の各々のなす角度
を、理論的な90゜から僅かに変化させることなどが例示
できる。またプリズム層を構成するプリズムの種類は、
必ずしも一種類とは限らず、必要に応じて二種類以上を
適宜組み合わせて設置することが可能であり、これによ
り本発明で達成しうる入射角特性をさらに改善せしめる
ことも可能である。
【0017】前記のプリズム支持層は、プリズム層を支
持するために必要に応じて設けられるもので、該プリズ
ム層と同一の材料により一体に形成してもよく、また、
同一の材料又は相異なる材料によりそれぞれ独立した層
として別々に形成することも可能である。
【0018】これらプリズム層及びプリズム支持層を構
成する材料としては、本発明の一つの目的である柔軟性
を満足するものであれば特に限定されるものではない
が、光学的透明性、均質性のものが好ましい。本発明に
おいて使用し得るこのような材料としては、例えば、ポ
リカーボネート樹脂、塩化ビニール樹脂、(メタ)アクリ
ル樹脂、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、ポリエステル樹
脂、フッ素樹脂、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹
脂などのポリオレフイン樹脂、セルロース系樹脂及びウ
レタン樹脂などの樹脂材料を挙げることができる。
【0019】本発明で用いることができる鏡面反射層を
構成する鏡面反射要素の例としては、凹面型鏡面反射要
素、フレネルレンズ型鏡面反射要素を挙げることができ
る。これら鏡面反射要素には金属の蒸着、スパッタリン
グ、電気メッキや化学メッキなどの方法により設けた金
属層が含まれ、入射した光はこの金属層で反射する。金
属層に用いることのできる金属の例としてはアルミニウ
ム、クロム、ニッケル、銀及び金などが例示され、それ
らの中で外観の明るさ、金属層形成の容易さ、形成コス
トの低廉さ等の理由から特にアルミニウムが好ましい。
【0020】上記凹面型鏡面反射要素は凹部分の形状が
半球面、放物線の回転により形作られる放物面などが適
宜用いられる。また、フレネルレンズ型鏡面反射要素は
光学特性が本発明に用いられる凹面型鏡面反射要素と光
学特性が等しくなるように設計され、鏡面反射層の厚み
が凹面型鏡面反射要素を用いた場合より薄くすることが
可能であり本発明の目的である薄くて柔軟なシートの形
成には特に好ましい。
【0021】本発明の再帰反射シートに用いる再帰反射
要素層の作成方法としては、真鍮、銅、アルミニウムな
どの金属表面を繰り返し切削して金属製の型を形成し、
この金型に前記のプリズム層を構成するための樹脂材料
を熱時押し当てるなどして該樹脂材料表面に再帰反射要
素を形成する方法;多角形型断面をもつ金属ピンの先端
に再帰反射素子を形成し、それらのピンを束ねることに
より集合体を形成して金属製の金型を形成し、以下同様
にこの金型に樹脂材料を熱時押し当てるなどして該樹脂
材料表面に再帰反射要素層を形成する方法;電子ビーム
やレーザービームなどでレジスト樹脂を操作描画する方
法などが例示できる。形成する再帰反射要素の大きさは
特に限定されるものではないが、本発明の再帰反射シー
トの柔軟性低下や厚み増大のない範囲で作成し得る。さ
らに、シートの外観が損なわれないような大きさが好ま
しく外寸が0.1〜10mmの大きさの繰返しとして用いるの
がよい。
【0022】鏡面反射層を構成する材料の例としては、
再帰反射要素層を構成する材料として例示された樹脂類
と同様の樹脂が用いられ、金属層が鏡面反射層を構成す
る樹脂材料の最上層にある場合は樹脂材料中に耐久性の
向上や着色の目的で着色剤や無機充填剤などを含ませる
ことができる。
【0023】本発明における再帰反射シートには、再帰
反射シートの使用目的や使用環境に応じて、表面保護
層、観測者に情報を伝達するための印刷層、再帰反射層
と鏡面反射層との界面への水分の侵入防止のため封入密
封構造を形成するための結合剤層、鏡面反射層を保護す
るための支持体層、及び、該再帰反射シートを他の構造
体に貼付するために用いる接着剤層と剥離材層とを設置
できる。
【0024】表面保護層には再帰反射要素層に用いたの
と同じ樹脂を用いることができるが、耐候性を向上する
目的で紫外線吸収剤、光安定剤及び酸化防止剤などをそ
れぞれ単独又は組み合わせて用いることができる。さら
に、着色剤として有機顔料、無機顔料及び染料をなどを
含有させることができる。印刷層は表面保護層、再帰反
射要素層又は鏡面反射層上に設置することができ、通常
グラビア印刷、スクリーン印刷などの手段により設置可
能である。
【0025】本発明の再帰反射シートは、内部全反射条
件を満足する臨界角度を小さくする目的で、再帰反射要
素層と鏡面反射層との間に空気層が設けられている。使
用条件下における水分の侵入による臨界角の増大及び金
属層の腐食などの不具合を防止するためには、再帰反射
要素層と鏡面反射層とは結合剤層によって結合され、空
気層が密封封入されるのが好ましい。この密封封入の方
法としては米国特許第3,190,178号明細書、同第4,025,1
59号明細書、実開昭50-28669号明細書に示されている方
法が採用できる。結合剤層に用いる樹脂としては(メタ)
アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、エ
ポキシ樹脂などが選択でき、接合の方法としては熱融着
性樹脂接合法、熱硬化性樹脂接合法、紫外線硬化性樹脂
接合法、電子線硬化性樹脂接合法などが採用可能であ
る。
【0026】本発明に用いる結合剤層は、鏡面反射層の
上に全面にわたって塗布しうるし、再帰反射要素層との
接合部分に印刷法などの方法により選択的に設置するこ
とも可能である。全面に塗布される場合は光の透過が良
好であるような透明な樹脂が選択されるべきであり、さ
らに、金属層の腐食を防止する保護層の役目も果たしう
る。
【0027】鏡面反射層の背面には本発明の再帰反射シ
ートの強度の向上、寸法安定性の改善、裏面からの水分
及び化学薬品の侵入等を防止する目的で支持体層を設置
しうる。この支持体層を構成する材料の例としては、再
帰反射要素層を構成する樹脂樹脂や繊維、布、ステンレ
ス鋼やアルミニウムなどの薄層金属シートをそれぞれ単
独又は複合して用いることができる。
【0028】本発明の再帰反射シートを金属板、木板、
ガラス板、プラスティック板などに貼付するために用い
る接着剤層及び該接着剤層保護のための剥離層は、適
宜、公知のものを選択しうる。
【0029】以下、本発明の構成要素を図面に従って説
明する。
【0030】図1は、本発明の再帰反射要素層を構成す
るコーナーキューブ型再帰反射層の平面図を示したもの
である。各素子は三方向から断面がV状に刻まれた谷
(1),(2),(3)により定められており、それぞれの素子が1
80回転した形で向かい合った対として構成されている。
なお小斑点を付した面は、谷(3)に対してほぼ垂直の方
向からの光に対して陰になる面を示している。
【0031】図2は本発明の基本的構成を示す断面図で
あり、(4)は表面保護層、(5)は再帰反射要素層、(6)は
空気層、(7)は結合剤層、(10A)は金属層(8)と凹面型鏡
面形成層(9A)からなる凹面型鏡面反射層、(11)は支持体
層、(12)は接着剤層、(13)は剥離剤層を示している。
【0032】図3は、本発明の他の基本的構成を示す断
面図であり、図3の(10B)は金属層(8)とフレネルレンズ
層(9B)からなるフレネルレンズ型鏡面反射層が設置され
ている。
【0033】図5は、図2における凹面型鏡面反射層(1
0A)をさらに詳細に説明する平面図と断面図である。凹
面型鏡面反射の素子(14)が、その金属層(8)を設置した
凹面を再帰反射要素層の方向に向けた形で繰返しの単位
で配置されており、さらにその上には結合剤層(7)が配
置されている。
【0034】図6は、図3に用いられたフレネルレンズ
型鏡面反射層(10B)をさらに詳細に説明する平面図と断
面図であり、同心円状に刻まれたV溝により形成される
フレネルレンズ素子(15)がその凹凸面を再帰反射要素層
の方向に向けた形で繰返しの単位で配置されており、該
フレネルレンズ素子の表面には金属層(8)が設置され、
さらにその上には結合剤層(7)が配置されている。
【0035】次に、本発明に使用できる再帰反射要素層
を構成する再帰反射素子の例を、図7から図10により詳
細に示す。
【0036】図7及び図8はコーナーキューブ型再帰反
射要素の例である。図7に示される再帰反射要素は、三
角錐コーナーキューブの繰返し単位の一つを示したもの
であり、三角錐型プリズム層と該プリズムを支持するプ
リズム支持体層より構成されている。図8に示される再
帰反射要素は、六角プリズムの繰返し単位の一つを示し
たものであり、同じくプリズム層とプリズム支持体層と
により構成されている。
【0037】図9に示される再帰反射素子はクロスプリ
ズム型再帰反射要素の一例であり、相対する一組の三角
プリズム面16,16'のなす角度が90゜になるように作られ
ているクロスプリズム層と、該プリズム層を支持するプ
リズム支持体層とより構成されている。
【0038】図10に示される再帰反射素子の例は円錐型
再帰反射要素の一例であり、円錐の高さと円錐の底部を
構成する円の直径とがほぼ等しくなるように定められて
いる。
【0039】
【作用】本発明における再帰反射要素層は、この層に含
まれるプリズム反射面において内部全反射原理に従い、
このプリズムに入射した光をその入射した方向に再帰反
射する。大きな入射角でも効率的に再帰反射をするため
には、内部全反射を達成する臨界角が小さいことが必要
であり、そのためにはプリズムを構成する透明基材の屈
折率が大きく、プリズム開口面に空気のような屈折率の
小さな媒体が接していることが望ましい。
【0040】しかしながら、本発明に適用可能な透明基
材の屈折率は樹脂材料を用いた場合には約1.5であり、
その場合の臨界角は約42゜である。しかして、透明基材
側からプリズム面に臨界角以下で入射した光は、空気層
との界面で内部全反射せず、プリズムを透過してしまう
ために再帰反射に寄与することができない。
【0041】本発明における鏡面反射層は、上記のよう
に臨界角以下でプリズム面に入射しプリズムを透過した
光を、その金属層界面で鏡面反射することにより再度光
源に向けて反射するために配置されている。鏡面反射層
の形状は、透過した光を反射するものであればよいので
平面形状でもよいが、好ましくは、光を概ね入射した方
向に反射しうる形状であるのがよい。
【0042】このような形状の鏡面反射層要素として
は、凹部分の形状が半球面、放物面などの凹面型鏡面反
射要素を用いるのが好ましく、さらに、この半球面や放
物面と同様な光学特性に設計されたフレネルレンズ構造
の背面に金属層を設置したフレネルレンズ型鏡面反射要
素を用いることができる。これらの鏡面反射層要素を用
いることによりより、一層効率的に再帰反射要素を通過
してきた光を、その入射した方向に反射することが可能
となる。
【0043】
【実施例】以下、実施例によって本発明の詳細を具体的
に説明する。
【0044】実施例1再帰反射要素1の作成 先端角度が70.52度のダイアモンドバイトを用いて、高
純度アルミニウム板の上に交差角がそれぞれ60゜で断面
形状がV字の溝をくりかえしのパターンで三方向からフ
ライカッティング法によって形成し、アルミニウム板上
に山の高さが200μmの三角錐を形成した。
【0045】この母型を用いて電鋳法により材質がニッ
ケルの反転された形状のコーナーキューブ成形用金型を
作成した。
【0046】この成形用金型を用いて、厚さ300μmのア
クリル樹脂シート〔三菱レーヨン(株)製〕を成形温度20
0℃、成形圧力50kg/cm2の条件で圧縮成形した後に30℃
まで加圧下で冷却して樹脂シートを取り出し、表面にプ
リズム層の厚さが200μmのコーナーキューブを最密状に
配置したアクリル樹脂製の再帰反射要素1を作成した。
【0047】鏡面反射層1の作成 一方、上記再帰反射要素作成に用いたと同じアクリル樹
脂の、厚さ50μmの平滑なシートの表面に、膜厚0.15μm
となるようにアルミニウムを真空蒸着処理して平面形状
をした鏡面反射層1を得た。
【0048】再帰反射シート1の作成 上記鏡面反射層1のアルミニウム真空蒸着層の上に下記
モノマー組成で重合された熱可塑性アクリル樹脂組成物
の50重量%濃度のトルエン溶液を、乾燥後の厚みが20μ
m(塗布量約20g/m2)となるように塗布して結合剤層と
なした。
【0049】 メチルメタアクリレート 20重量部 エチールアクリレート 80重量部 2-ヒドロキシエチルメタクリレート 15重量部
【0050】次いで前記の再帰反射要素層1及び結合剤
層をその金属層面に塗布してなる鏡面反射層1を、結合
剤層が再帰反射要素層1のプリズム層に向くようにして
置き、線幅0.3mmの網目状凸彫刻を施した表面温度が約1
90℃の金属金型とゴムロールとの間を、再帰反射要素層
1がゴムロールに接するようにして加圧しながら通過さ
せて、熱融着法により密封封入構造を形成して、本発明
の再帰反射シートを作成した。得られた再帰反射シート
の再帰反射輝度を米国連邦規格LS-300Cに準拠して測定
した。測定の角度条件は観測角0.2゜/入射角5゜及び観
測角0.5゜/入射角30゜にて実施した。測定結果を表1に
示す。
【0051】実施例2鏡面反射層2の作成 太さが0.5mmで断面が正六角形をした真鍮製の金属製ピ
ンの先端を旋盤加工法によって凸形状の放物面を加工し
た。この真鍮製ピンを数本束ねて凸形状の放物面形状を
規則的に集合させた母型を作成した。
【0052】この母型を用いて電鋳加工法により内面が
放物面形状をした凹面鏡を規則的に集合させた凹面鏡電
鋳金型を作成した。さらに、この凹面鏡電鋳金型を数個
合せて、さらに大きな凸面鏡電鋳金型を作成した。
【0053】この大型凸面鏡電鋳金型を用いて、厚さ20
0μmの実施例1で用いたと同じアクリル樹脂シートを成
形温度200℃、成形圧力50kg/cm2の条件で圧縮成形した
後に30℃まで加圧下で冷却して樹脂シートを取り出し、
次いでこのシートの凹面状の成形表面に膜厚0.15μmと
なるようにアルミニウムを真空蒸着処理して、深さ60μ
mの凹面型鏡面反射要素を設置してなる鏡面反射層2を
作成した。
【0054】再帰反射シート2の作成 上記鏡面反射層2のアルミニウム真空蒸着層の上に、実
施例1と同じ熱可塑性アクリル樹脂組成物の溶液を塗布
・乾燥して、乾燥後の塗布量が約40g/m2となるように
結合剤層を形成した。得られた結合剤層を有する鏡面反
射層2と、実施例1で用いた再帰反射要素層1を用い
て、以下実施例1で記載したと同様の方法で再帰反射シ
ート2を作成し、その再帰反射輝度を実施例1と同様に
測定した。測定結果を表1に示す。
【0055】実施例3鏡面反射層3の作成 一辺が15mm角の真鍮製平板の上に繰返し単位が0.2mmの
同心円状で断面が鋸刃状の溝を旋盤加工法を用いて形成
させて、表面に放物面形状の凸レンズと同様の機能を有
するフレネルレンズ構造を持った母型を作成した。この
母型を数個組み合わせて電鋳加工法を用い、金型表面に
繰り返し単位が15mm角のフレネルレンズを規則的に配置
したフレネルレンズ電鋳金型を作成した。
【0056】このフレネルレンズ電鋳金型を用いて、実
施例2と同じ成形方法で繰返し単位が0.2mmの同心円状
鋸断面形状を有したフレネルレンズ層を設置してなる樹
脂シートを作成し、次いでこのシートのフレネルレンズ
層の表面に、膜厚0.15μmとなるようにアルミニウムを
真空蒸着処理して、フレネルレンズ鏡面反射要素を設置
してなる鏡面反射層3を作成した。
【0057】再帰反射シート3の作成 上記鏡面反射層3のフレネルレンズ層の上に、実施例1
と同じ熱可塑性アクリル樹脂組成物の溶液を塗布・乾燥
して、乾燥後の塗布量が約20g/m2となるように結合剤
層を形成した。得られた結合剤層を有する鏡面反射層3
と、実施例1で用いた再帰反射要素層1を用いて、以下
実施例1で記載したと同様の方法で再帰反射シート2を
作成し、その再帰反射輝度を実施例1と同様に測定し
た。測定結果を表1に示す。
【0058】実施例4再帰反射要素層2の作成 実施例1において、コーナーキューブ成形用金型を用い
る代りに、一辺の長さが150μmの正六角形の断面形状を
もつ六角プリズム成形用金型を作成して用いた以外は実
施例1と同様の方法で再帰反射要素層2を作成した。
【0059】再帰反射シート4の作成 上記再帰反射要素層2と実施例3で用いた結合剤層を有
する鏡面反射層3を用いて、以下実施例1で記載したと
同様の方法で再帰反射シート4を作成し、その再帰反射
輝度を実施例1と同様に測定した。測定結果を表1に示
す。
【0060】実施例5再帰反射要素層3の作成 実施例1において、コーナーキューブ成形用金型を用い
る代りに、一辺の長さが100μmの正方形の断面形状をも
つクロスプリズム成形用金型を作成して用いた以外は実
施例1と同様の方法で再帰反射要素層3を作成した
【0061】再帰反射シート5の作成 上記再帰反射要素層3と実施例3で用いた結合剤層を有
する鏡面反射層3を用いて、以下実施例1で記載したと
同様の方法で再帰反射シート5を作成し、その再帰反射
輝度を実施例1と同様に測定した。測定結果を表1に示
す。
【0062】実施例6再帰反射要素層4の作成 実施例1において、コーナーキューブ成形用金型を用い
る代りに、頂点から底面までの高さが150μmの円錐型プ
リズム成形用金型を作成して用いた以外は実施例1と同
様の方法で再帰反射要素層4を作成した。
【0063】再帰反射シート6の作成 上記再帰反射要素層4と実施例3で用いた結合剤層を有
する鏡面反射層3を用いて、以下実施例1で記載したと
同様の方法で再帰反射シート6を作成し、その再帰反射
輝度を実施例1と同様に測定した。測定結果を表1に示
す。
【0064】比較例1再帰反射シート7の作成 実施例1において、平面形状をした鏡面反射層1を用い
る代りに、同じ種類及び厚さの平滑なアクリル樹脂のシ
ートを支持体層として用い、該支持体層の表面に、実施
例1と同じ熱可塑性アクリル樹脂組成物の溶液を塗布・
乾燥して、乾燥後の厚みが15μm(塗布量約15g/m2)と
なるよう結合剤層を形成した。得られた結合剤層を有す
る支持体層と、実施例1で用いた再帰反射要素層1を用
いて、以下実施例1で記載したと同様の方法で再帰反射
シート7を作成し、その再帰反射輝度を実施例1と同様
に測定した。測定結果を表1に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
【発明の効果】本発明は、内部全反射型再帰反射要素層
に、空気層を介して相対するように鏡面反射層を配置す
ることにより、再帰反射特性を一層向上させるととも
に、入射角が大きくなるにつれて再帰反射輝度が著しく
減衰するというプリズム型再帰反射シート特有の問題点
を改善するものである。
【0067】また本発明は、鏡面反射層に簡単な構造で
薄い鏡面反射層を設置できるので柔軟で薄い再帰反射シ
ートを得ることができ、さらに、設置された鏡面反射層
は結合剤層を介して緊密な封入構造を取ることができる
ために耐久性に優れたシートとすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の再帰反射要素層を構成するコー
ナーキューブ型再帰反射層の平面図を示している。
【図2】図2は本発明の基本的構成を示す断面図であ
る。
【図3】図3は本発明の他の基本構成を示す断面図であ
る。
【図4】図4は図2における凹面型鏡面反射層をさらに
詳細に説明する平面図と断面図である。
【図5】図5は図3に用いられたフレネルレンズ型鏡面
層をさらに詳細に説明する。
【図6】図6は三角錐コーナーキューブ型再帰反射素子
をしめしたものである。
【図7】図7は六角プリズム型再帰反射素子を示したも
のである。
【図8】図8はクロスプリズム型再帰反射素子の一例で
ある。
【図9】図9は円錐型再帰反射素子の一例である。
【符号の説明】
1,2,3・・・・三方向から刻まれた断面がV字状の
谷 4・・・・・・・・表面保護層 5・・・・・・・・再帰反射要素層 6・・・・・・・・空気層 7・・・・・・・・結合剤層 8・・・・・・・・金属層 9A・・・・・・・凹面型鏡面形成層 9B・・・・・・・フレネルレンズ層 10A・・・・・・凹面型鏡面反射層 10B・・・・・・フレネルレンズ型鏡面反射層 11・・・・・・・支持体層 12・・・・・・・接着剤層 13・・・・・・・剥離剤層 14・・・・・・・凹面型鏡面反射の素子 15・・・・・・・フレネルレンズ素子

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内部全反射型再帰反射要素により構成され
    る再帰反射要素層と、上部に透明な樹脂層からなる結合
    剤層が設置された凹面型鏡面反射要素又はフレネルレン
    ズ型鏡面反射要素により構成される鏡面反射層、又は半
    球面及び放物面から選ばれる凹面型鏡面反射要素により
    構成される鏡面反射層、又はフレネルレンズ型鏡面反射
    要素により構成される鏡面反射層とから少なくともな
    り、該再帰反射要素層と該鏡面反射層とが空気層を介し
    て相対するように配置されていることを特徴とする内部
    全反射型再帰反射シート。
  2. 【請求項2】内部全反射型再帰反射要素がコーナーキュ
    ーブプリズムである請求項1に記載の再帰反射シート。
  3. 【請求項3】内部全反射型再帰反射要素がクロスプリズ
    ムである請求項1に記載の再帰反射シート。
  4. 【請求項4】内部全反射型再帰反射要素が円錐プリズム
    である請求項1に記載の再帰反射シート。
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