JP3359011B2 - スポット溶接ロボット - Google Patents

スポット溶接ロボット

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JP3359011B2
JP3359011B2 JP29015399A JP29015399A JP3359011B2 JP 3359011 B2 JP3359011 B2 JP 3359011B2 JP 29015399 A JP29015399 A JP 29015399A JP 29015399 A JP29015399 A JP 29015399A JP 3359011 B2 JP3359011 B2 JP 3359011B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、たとえば多関節型
ロボットの手首に溶接ガンを装備し、スポット溶接を行
う溶接ロボットに関する。
【0002】
【従来の技術】スポット溶接ロボットは多関節型ロボッ
トの手首に溶接ガンを装備し、ロボットの姿勢を制御し
て被溶接物であるワークの溶接打点に溶接ガンを位置決
めし、電極チップで溶接打点を所定の加圧力で挟持し、
溶接電流を流す。これによって2枚のワークがスポット
溶接によって接合される。
【0003】溶接ガンは、固定電極チップと移動電極チ
ップとを有し、溶接ガンの打点位置への位置決めは、固
定電極チップがワークの溶接打点にゼロタッチするよう
に当接させて行う。その後、移動電極チップを前進させ
て溶接ガンを閉じ、ワークを挟持、加圧する。
【0004】溶接時において、ワークを両電極で均等に
加圧できないと、溶接品質の低下を招くことになる。た
とえば、スポット溶接ロボットの作業動作のティーチ時
において、溶接ガンのガンアームのたわみなどにより、
ガンの打点位置が電極方向、すなわちワークの溶接面に
対して垂直方向にずれ、打点位置が位置ずれして教示さ
れると、溶接時にワークが弾性変形してしまい、両電極
の加圧力が均等にならず、溶接品質が低下してしまう。
【0005】また、作業動作プログラムを再生し、実際
に溶接作業を行うリピート時において、ワークが電極方
向に位置ずれして配置されると、この場合にも溶接時に
おいてワークが弾性変形してしまい、両電極の加圧力が
均等にならず、溶接品質が低下してしまう。
【0006】このような溶接品質の低下を防ぐためには
加圧力を正確に均等にする必要がある。そのため、たと
えばガンを打点位置へ位置決めし、ワークを挟持すると
きに、ワークが弾性変形した場合、この弾性変形を除去
するように溶接ガンをシフトさせ、打点位置を補正すれ
ば良い。このように、ワークが変形しないようにガンを
シフトさせるためには、ワークの弾性変形に基づいて、
ロボットに作用する反力を正確に検出する方法によるこ
とが考えられる。
【0007】たとえば、特開平11−58285号公報
「ハンド機構の力制御システム」には、モータ発生トル
ク電圧に基づき、外乱オブザーバを用いて、ツール先端
力を算出する方法が開示されている。したがって、この
方法をスポット溶接ロボットに適用することによって、
スポット溶接ロボットに作用する反力を算出する方法が
考えられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た公報に記載される方法ではモータ回転速度を検出せね
ばならず、構成が複雑となってしまう。また、オブザー
バ演算は複雑な演算を必要とし、簡単で正確に反力を算
出することは困難であり、上述した問題の有効な解決策
とはならない。
【0009】本発明の目的は、被溶接物からロボットに
作用する反力を、簡単で正確に算出することができるス
ポット溶接ロボットを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明
は、サーボモータによって各軸が駆動されるロボットの
手首に、固定電極チップおよびサーボモータによって移
動する移動電極チップを有し、開閉可能な溶接ガンを装
備し、ロボットの位置姿勢が制御され、被溶接物の溶接
打点に対応する打点位置に溶接ガンを位置決めし、溶接
ガンを閉じ、両電極チップで被溶接物を挟持してスポッ
ト溶接を行うスポット溶接ロボットにおいて、溶接ガン
を打点位置へ位置決めし、被溶接物を挟持するときに、
挟持前と挟持後のサーボモータの電流値と、ロボットの
位置姿勢と、溶接ガンの打点位置とに基づいて、弾性変
形する被溶接物からロボットに作用する反力の大きさ、
および方向を算出することを特徴とするスポット溶接ロ
ボットである。
【0011】本発明に従えば、ロボットの姿勢は各軸を
駆動するサーボモータによって制御され、ロボットによ
って溶接ガンを打点位置に位置決めしたとき、または被
溶接物を電極で挟持したときに、被溶接物と溶接ガンと
が電極方向に位置ずれしていた場合、被溶接物が弾性変
形し、ロボットに反力が作用する。このとき、ロボット
の各軸まわりのトルクが変化しており、この軸を駆動す
るサーボモータの電流値が変化している。
【0012】ロボットの各軸の位置および傾きは、ロボ
ットの位置姿勢に基づいて容易に得ることができ、また
反力の作用点は、電極チップと被溶接物とが当接する位
置、つまり打点位置となる。したがって、求める反力の
ベクトルを未知とし、各軸のサーボモータの電流値変
化、ロボットの位置姿勢と、打点位置とに基づいて連立
方程式を立て、これを解くことによって反力ベクトル、
つまり反力の大きさと方向を容易に、かつ正確に算出す
ることができる。
【0013】このようにしてロボットに作用する反力を
正確に求めることができると、これに基づいて被溶接物
と溶接ガンとの相対的な位置ずれを解消するのに打点位
置を、どの方向にどれだけ補正すれば良いか容易に求め
ることができる。このように打点位置を補正することに
よって均等加圧することができ、溶接品質の低下を確実
に防ぐことができる。このような打点位置の補正は、テ
ィーチ時およびリピート時のいずれにも有効である。
【0014】請求項2記載の本発明は、複数個のサーボ
モータのうち、電流値変化量もしくは電流値変化率の大
きいものを複数選び、これらの電流値に基づいて反力を
算出することを特徴とする。
【0015】本発明に従えば、求める反力は3次元ベク
トルであるので、x成分、y成分、z成分および大きさ
に関して複数の方程式を立てる必要があり、そのために
複数の軸に関しての方程式を立てる必要が有る。本発明
では、電流値変化量もしくは電流値変化率の大きいサー
ボモータを複数選び出し、これらに基づいて連立方程式
を立てる。すなわち、反力の影響が大きく現れる軸に基
づいて反力を算出することとなり、反力をできるだけ正
確に算出することができる。なお、電流値変化とは、被
溶接物変形前後の電流値の差で表しても良く、または、
電流値変化の割合で表しても良い。
【0016】請求項3記載の本発明は、溶接打点を有す
る被溶接物の溶接面に対し、溶接ガンの電極が垂直に当
接して挟持する場合、電極の姿勢、および電流値変化量
もしくは電流値変化率の大きいサーボモータに基づいて
反力を算出することを特徴とする。
【0017】前述したように、求める反力は3次元ベク
トルであるので、3次元での方向と大きさを連立方程式
から算出する必要がある。ここで溶接面に対し、電極チ
ップが垂直に当接して被溶接物を挟持する場合、弾性変
形する被溶接物からロボットに作用する反力の傾きは、
電極チップの傾きと等しくなる。つまり、電極が被溶接
物に垂直に教示された場合、求める反力の傾きを、電極
の姿勢に基づいて予め決定することができるので、電流
値変化から算出するのは反力の大きさだけで良い。これ
によって演算を簡略化でき、反力をより効率良く算出す
ることができる。
【0018】請求項4記載の本発明の前記サーボモータ
の電流値変化量もしくは電流値変化率は、被溶接物の挟
持前における所定時間の電流の平均値と、被溶接物の挟
持後における所定時間の電流の平均値との差に基づくこ
とを特徴とする。
【0019】本発明に従えば、電流値変化は、被溶接物
変形前後の所定時間の電流の平均値であるので、外乱な
どの影響が現れにくく、正確に反力を算出することがで
きる。
【0020】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の一形態で
あるスポット溶接ロボット1の外観を示す斜視図であ
る。スポット溶接ロボット1は、ロボット2の手首7に
溶接ガン8が装備されて構成される。
【0021】ロボット2は6軸垂直多関節型ロボットで
あり、床に固定される基台4、下部アーム5、上部アー
ム6および手首7を有する。下部アーム5は、下端部が
鉛直な第1軸J1まわりに旋回可能に基台4に取付けら
れるとともに、水平な第2軸J2まわりに前後角変位可
能に基台4に設けられる。下部アーム5の上端部には上
部アーム6の基端部が、水平な第3軸J3まわりに上下
に角変位可能に取付けられる。上部アーム6の先端部に
取付けられる手首7は、上部アーム6の軸線に平行な第
4軸J4まわりに角変位可能に取付けられるとともに、
上部アーム6の軸線に垂直な第5軸J5まわりに角変位
可能に取付けられる。この手首7に取付けられるスポッ
ト溶接ガン8は、第5軸に垂直な第6軸J6まわりに角
変位可能に設けられる。
【0022】スポット溶接ガン8は、手首7に取付けら
れる基部9と、この基部9の下部に固定されるコ字状の
ガンアーム12とを有し、このガンアーム12の端部に
固定電極チップ14が固定される。この固定電極チップ
14に対向し、固定電極チップ14に対して近接/離反
方向に移動可能に移動電極チップ13がガンアーム12
に設けられる。電極チップ13,14は棒状であり、互
いに同軸に配置される。移動電極チップ13は溶接ガン
8に設けられる溶接用サーボモータMwによって駆動さ
れる。また、6軸多関節型ロボット2の各関節軸J1〜
J6はそれぞれサーボモータM1〜M6によって駆動さ
れ、これらのサーボモータM1〜M6によって、ロボッ
ト2の姿勢が制御される。
【0023】次に、溶接ロボット1の制御構成について
説明する。図2は、第1軸J1のサーボモータM1の制
御構成を示すブロック図である。なお、他のサーボモー
タM2〜M6,Mwに関してはサーボモータM1と同様
の構成であるので、図示は省略する。
【0024】記憶手段22には溶接ロボット1の教示デ
ータが格納される。教示データには、被溶接物であるワ
ークWの各溶接打点を順次スポット溶接するための作業
動作プログラムおよび各溶接打点を溶接するときの溶接
ガン8の位置および姿勢である打点位置が含まれる。打
点位置は絶対座標系での位置で与えられ、姿勢は絶対座
標系における溶接時の電極の傾き(移動電極13の移動
方向)で与えられる。
【0025】位置コントローラ20は、教示データに基
づき、サーボコントローラ21に各軸J1〜J6の角度
指令値P1〜P6を与えてロボット2の姿勢を変更し、
溶接ガン8を指定された打点位置に位置決めする。サー
ボコントローラ21は、各軸J1〜J6が、指令された
角度となるように、角度指令値P1〜P6に応じた電流
値I1〜I6を各サーボモータM1〜M6に与える。
【0026】同様に、移動電極チップ13への移動指令
値Pwが位置コントローラ20からサーボコントローラ
21に与えられると、サーボコントローラ21ではこの
移動指令値Pwに応じた電流Iwを溶接用サーボモータ
Mwに与える。これによって、電極チップ13,14で
ワークWが挟持、加圧される。
【0027】サーボモータM1にはエンコーダE1が取
付けられ、サーボモータM1による第1軸J1まわりの
回転角度がエンコーダE1によって検出される。検出し
たエンコーダ値はサーボコントローラ21に戻される。
サーボコントローラ21では位置コントローラ20から
の角度指令値P1とエンコーダE1からのエンコーダ値
とに基づいて、第1軸J1が指定された角度位置となる
ようにサーボモータM1をフィードバック制御する。こ
のような構成はサーボモータM2〜M6,Mwにおいて
も同様である。
【0028】また、溶接ロボット1に作業動作を教示す
るティーチ時には、ロボット2の各軸J1〜J6のエン
コーダ値に基づき、打点位置の絶対座標および電極の傾
きが教示位置として記憶手段22に格納される。
【0029】各サーボモータM1〜M6,Mwはフィー
ドバック制御されるので、たとえばロボット2の姿勢を
変更したり、移動電極13を前進させるなど、溶接ロボ
ット1を指定された位置まで移動させるときに、ワーク
Wに当接するなどしてロボット1に外力が作用した場
合、この外力に抗して指定された位置まで移動するよう
に各サーボモータM1〜M6,Mwへ供給する電流を増
減させる。これらのサーボモータM1〜M6,Mwの電
流値は監視手段23によって検出され、監視される。
【0030】次に、溶接ロボット1でスポット溶接を行
うときの概略について説明する。まず移動電極13を固
定電極14から離反させて溶接ガン8を開いておき、打
点位置まで溶接ガン8を移動させる。このとき、溶接ガ
ン8の固定電極14がワークWの溶接打点に当接、すな
わちゼロタッチするように位置決めされる。また、この
ときの溶接ガン8の姿勢は、ワークWの溶接面に対して
電極方向(移動電極13の移動方向)が垂直となるよう
に配置される。
【0031】次に、移動電極チップ13を固定電極チッ
プ14側に移動させて溶接ガン8を閉じ、両電極チップ
13,14でワークWの溶接打点を挟み、さらに所定の
加圧力を加え、溶接電流を流してスポット溶接を行う。
【0032】このようにスポット溶接を行う場合には、
両電極チップ13,14でワークWを挟持し、加圧して
行うが、このときワークWと溶接ガン8とが電極方向に
相対的に位置ずれしていた場合、ワークWが弾性変形し
てしまい、これによって、両電極チップ13,14の加
圧力が均等にならず、溶接品質が低下してしまう。
【0033】したがって、ワークWと溶接ガン8の相対
的な位置ずれをなくすように打点位置を補正する必要が
ある。そのためにはまず、溶接ガン8を打点位置に位置
決めし、ワークWを加圧挟持したときに弾性変形するワ
ークWからロボット2に作用する反力の方向と大きさを
正確に求める方法によることが考えられる。反力の方向
および大きさが正確にわかると、これに基づいて打点位
置を正確に補正することができ、これによって均等加圧
することができる。
【0034】反力はロボット2の先端である電極チップ
13,14、すなわち打点位置から作用し、このとき、
各関節軸J1〜J6まわりのトルクが変化しており、こ
れが各軸を駆動するサーボモータの電流値の変化となっ
て現れる。また、各関節軸J1〜J6まわりのトルク
は、反力の作用位置から関節軸までの距離と反力の大き
さとによって決まる。
【0035】作用位置から関節軸までの距離は、各関節
軸の位置および傾きがわかれば容易に算出することがで
き、各関節軸の位置および傾きは、各関節軸の回転角度
および隣接する関節軸間の距離がわかれば容易に算出す
ることができる。各関節の回転角度は、サーボモータの
エンコーダ値からわかり、また多関節型ロボットでは各
関節軸間の距離はアーム5,6によって決まり、一定で
あるので、予め記憶しておくことができる。したがっ
て、これらから容易に反力を算出することができる。
【0036】本実施形態では、監視手段23で各サーボ
モータM1〜M6の電流値を検出して監視するととも
に、各サーボモータM1〜M6のエンコーダ値を検出
し、これらを演算手段24に入力する。演算手段24に
は隣接する各関節軸間の距離が予め記憶されており、こ
れと、入力された各サーボモータM1〜M6の電流値お
よびエンコーダ値に基づいて反力を算出する。なお、隣
接する関節軸間の距離とは、J1−J2間、J2−J3
間、J3−J4間、J4−J5間、J5−J6間、およ
びJ5−手首先端間の距離であり、本実施形態ではJ4
−J5間の距離は0となる。
【0037】次に、反力の算出方法について詳細に説明
する。
【0038】反力はロボット2の各関節のトルクを変化
させるので、
【0039】
【数1】
【0040】で表される。また、トルクの変化分ΔTi
は、対応する関節軸iのサーボモータの電流値の変化分
に比例するので、
【0041】
【数2】
【0042】となる。なお、ワークW挟持前の電流値と
は、電極13,14がいずれもワークWに当接していな
いときの電流値であり、溶接ガン8が打点位置より所定
距離だけ下方に離反した位置に位置決めされたときの電
流値とし、本実施形態では、前記位置決めから所定時間
Δt(秒)後までの電流の平均値とする。同様に、ワーク
W変形後の電流値とは、ワークWの弾性変形が完全に終
了、すなわち両電極チップ13,14でワークWを所定
の加圧力で加圧挟持し、ワークWが完全に両電極チップ
13,14で挟持された後の電流値であり、本実施形態
では、加圧終了後から所定時間Δt(秒)後までの電流の
平均値とする。上記した式(1)と式(2)より
【0043】
【数3】
【0044】が得られる。ここで電流値変化量もしくは
電流値変化率の大きい軸を3軸選ぶ。本実施形態では、
電流値変化率、すなわち|(Ipi―Ini)/Ini|が大
きい軸を3軸選ぶ。たとえばワークWが水平に配置さ
れ、ロボット2が図1に示すような姿勢にある場合、反
力はロボット2に対して鉛直方向に作用するので、傾き
がほぼ水平となる第2軸J2、第3軸J3、第5軸J5
まわりに反力によるトルクが主に作用し、これらの軸の
モータ電流値変化の割合が大きくなる。したがって、図
1に示す例ではこれら第2軸J2、第3軸J3、第5軸
J5が選ばれる。
【0045】選択する関節軸は、このように溶接時のロ
ボット2の姿勢に基づいて選択しても良く、減速機の摩
擦力が小さく、反力の影響が現れやすい軸を優先的に選
択、つまり電極13,14に近い手首軸J4、J5,J
6を優先的に選択するようにしても良い。
【0046】
【数4】
【0047】と定義すると、式(3)はFx,Fy,Fz
を未知数とする次の3元連立方程式となる。
【0048】
【数5】
【0049】したがって、これら3式(6)(7)
(8)からFx,Fy,Fzを求めると、
【0050】
【数6】
【0051】として反力ベクトルの大きさと方向が算出
される。次に、反力ベクトルの更なる算出方法について
説明する。
【0052】前述したように、溶接ガン8は電極方向が
溶接面に対して垂直となるように配置される。したがっ
て、打点位置に溶接ガン8を位置決めし、ワークWを加
圧挟持するとき、たとえばワークWが相対的に固定電極
チップ14側にずれて配置されるとき、溶接ガン8を打
点位置に位置決めした時点で、固定電極チップ14がワ
ークWに当接してワークWが移動電極13側に弾性変形
し、ロボット2には傾きが電極方向で、固定電極14側
に反力が作用する。
【0053】また逆に、ワークWが相対的に移動電極側
13側にずれて配置されるとき、移動電極13を前進さ
せてワークWを加圧挟持するときにワークWが固定電極
14側に弾性変形し、ロボット2には傾きが電極方向
で、移動電極13側に反力が作用する。
【0054】ワークWと溶接ガン8とが相対的に位置ず
れしても、スポット溶接では通常、溶接面に対して電極
方向が垂直となるように位置決めされるので、上述した
ように、電極方向に反力が作用する。つまり、求める反
力の傾きは、溶接ガン8の打点位置の電極の姿勢に基づ
いて別途決定することができる。ここで、電極方向の
x,y,z成分をそれぞれfx,fy,fzとすると、反
力Fx,Fy,Fzとfx,fy,fzとは、
【0055】
【数7】
【0056】の関係がある。ただし、電極方向から決定
できるのは、反力の傾きだけであり、反力の作用する向
きは、移動電極側か固定電極側かいずれか決定できない
ので、±の符号は後述の方法で決定する。これらの式を
用いると、前記3式(6)(7)(8)はそれぞれ次の
3式
【0057】
【数8】
【0058】に書き換えられる。つまり、いずれか1つ
のモータの電流値変化を上記3式(9)(10)(1
1)の対応する式に代入することによって反力の大きさ
を算出することができる。これによって、演算が簡単と
なり、容易に反力を算出することができる。
【0059】ここで反力算出に用いるモータの選択は、
たとえば電流値変化量もしくは電流値変化率(|(Ipi
Ini)/Ini|)が最大になるモータを選択し、この1つ
のモータ電流値に基づいて反力の大きさを算出しても良
く、また、1つのモータ電流値のみに基づいて反力の大
きさを算出するのでなく、第2軸J2、第3軸J3およ
び第5軸J5の3つのモータ電流値を各々、上記3式
(9)(10)(11)に代入して3つの反力を求め、こ
れらの平均値として反力の大きさを算出しても良い。ま
た、基本軸に比して、減速機の摩擦力の小さな手首軸を
優先的に選んでも良い。
【0060】また、反力の方向は、前述したように、傾
きは電極方向と同じで、(fx,fy,fz)となり、反
力の作用する向き、すなわち前述した±の符号は、電流
値の変化(Ipi−Ini)(ただし、i=2or3or5)
の符号とロボット2の姿勢に基づいて決定する。
【0061】前述したように、ワークWが相対的に移動
電極チップ13側に位置ずれする場合は、加圧時に、移
動電極側に反力が生じ、逆に固定電極チップ14側にワ
ークWが位置ずれすると、ガン8の位置決め時に固定電
極14側に反力が生じる。
【0062】本実施形態では、ワークWが水平に配置さ
れるので、移動電極13側に反力が作用すると、ロボッ
ト2の先端を持ち上げる方向に反力は作用するので、第
2軸J2、第3軸J3、第5軸J5のワークW変形後の
電流値は減少する。逆に、固定電極14側に反力が作用
すると、ロボット2の先端を押し下げる方向に反力が作
用するので、ワークW変形後の第2軸J2、第3軸J
3、第5軸Jの電流値は増加する。
【0063】つまり、移動電極チップ13が上となり、
固定電極チップ14が下となるようなロボット2の姿勢
において、固定電極14側の反力を正の向きとし、移動
電極13側の反力を負の向きとすると、ワークW変形後
に各軸J2,J3,J5の電流値が減少し、モータ電流
値の変化(Ipi−Ini)が負となる場合、反力は負の向
きとなる。また逆に、ワークW変形後の電流値が増加
し、電流値の変化(Ipi−Ini)が正となる場合、反力
は正の向きとなる。このようにしてロボット2の姿勢と
電流値の変化とに基づいて反力の向きが決定される。こ
れは、ワークWが水平に配置される場合に限らず、いず
れの場合でも適用可能である。
【0064】つぎに、前記ベクトルai,riおよび電極
方向のx,y,z成分fx,fy,fzの求め方について
説明する。
【0065】関節iの回転によるΣi+1系からΣi系への
座標変換行列をAi(i=1〜6)、ΣT系からΣ6系へ
のツール座標変換行列をATとすると、図1のようなロ
ボットでは、
【0066】
【数9】
【0067】として求められる。
【0068】
【発明の効果】請求項1記載の本発明によれば、求める
反力のベクトルを未知とし、ロボットの各軸のサーボモ
ータの電流値変化量もしくは電流値変化率と、これらの
軸の位置および傾きと、打点位置とに基づいて連立方程
式を立て、これを解くことによって反力ベクトル、つま
り反力の方向および大きさを容易に、かつ正確に算出す
ることができる。
【0069】このようにしてロボットに作用する反力を
正確に求めることができるので、これに基づいて被溶接
物と溶接ガンとの相対的な位置ずれを解消するのに打点
位置を、どの方向にどれだけ補正すれば良いかを正確に
算出することができる。このように打点位置を補正する
ことによって均等加圧することができ、溶接品質の低下
を確実に防ぐことができる。このような打点位置の補正
は、ティーチ時およびリピート時のいずれにも有効であ
る。
【0070】請求項2記載の本発明によれば、反力の影
響が大きく現れる軸のサーボモータの電流値変化量もし
くは電流値変化率に基づいて反力を算出することによっ
て、反力をより正確に算出することができる請求項3記
載の本発明によれば、電極チップが垂直に当接して被溶
接物を挟持する場合、求める反力の傾きを、電極の姿勢
に基づいて別途決定することができるので、演算を簡略
化することができる。
【0071】請求項4記載の本発明によれば、変化した
サーボモータの電流値は、被溶接物挟持前後の所定時間
の電流の平均値であるので、外乱などの影響が現れにく
く、正確に反力を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態であるスポット溶接ロボ
ット1の概観を示す斜視図である。
【図2】サーボモータM1の制御構成を示すブロック図
である。
【符号の説明】
1 スポット溶接ロボット 2 6軸多関節型ロボット 8 溶接ガン 13 移動電極チップ 14 固定電極チップ 20 位置コントローラ 21 サーボコントローラ 23 監視手段 24 演算手段 M1〜M6,Mw サーボモータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B25J 15/08 B25J 15/08 W (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 11/11 B23K 11/24 B25J 13/08 B25J 15/08

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 サーボモータによって各軸が駆動される
    ロボットの手首に、固定電極チップおよびサーボモータ
    によって移動する移動電極チップを有し、開閉可能な溶
    接ガンを装備し、ロボットの位置姿勢が制御され、被溶
    接物の溶接打点に対応する打点位置に溶接ガンを位置決
    めし、溶接ガンを閉じ、両電極チップで被溶接物を挟持
    してスポット溶接を行うスポット溶接ロボットにおい
    て、 溶接ガンを打点位置へ位置決めし、被溶接物を挟持する
    ときに、挟持前と挟持後のサーボモータの電流値と、ロ
    ボットの位置姿勢と、溶接ガンの打点位置とに基づい
    て、弾性変形する被溶接物からロボットに作用する反力
    の大きさ、および方向を算出することを特徴とするスポ
    ット溶接ロボット。
  2. 【請求項2】 複数個のサーボモータのうち、電流値変
    化量もしくは電流値変化率の大きいものを複数個選び、
    これらの電流値に基づいて反力を算出することを特徴と
    する請求項1記載のスポット溶接ロボット。
  3. 【請求項3】 溶接打点を有する被溶接物の溶接面に対
    し、溶接ガンの電極が垂直に当接して挟持する場合、電
    極の姿勢、および電流値変化量および電流値変化率の大
    きいサーボモータの電流値に基づいて反力を算出するこ
    とを特徴とする請求項1または2記載のスポット溶接ロ
    ボット。
  4. 【請求項4】 前記サーボモータの電流値変化量もしく
    は電流値変化率は、被溶接物の挟持前における所定時間
    の電流の平均値と、被溶接物の挟持後における所定時間
    の電流の平均値との差に基づくことを特徴とする請求項
    1〜3のいずれか1つに記載のスポット溶接ロボット。
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