JP3358786B2 - 乳化油分含有排水の油水分離方法及び装置 - Google Patents

乳化油分含有排水の油水分離方法及び装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、乳化油分含有排水
の油水分離に係わり、特に界面活性剤と油分とを同時に
含有する水系洗浄液、水溶性切削油やクーラント廃液を
隔膜電解することにより油水分離する方法と装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】廃棄物の海洋投棄に関するロンドン条約
の改定に伴い、これまでかなりの部分が海洋投棄処分さ
れてきた水溶性切削油廃液やクーラント廃液は、海洋投
棄できなくなり、これらの廃水の経済的な陸上処理技術
の開発が緊急課題となっている。また、これまで工業洗
浄剤として広く使われてきた塩素系有機溶剤のフロンや
トリクロロエタンはオゾン層破壊物質であることが確認
されたために国際的取り決めで1995年までに製造中
止となった。そうした中で、フロン・トリクロロエタン
代替洗浄剤の開発が急務となっており、界面活性剤やア
ルカリを主成分とする水系洗剤、アルコールやグリコー
ルエーテルの有機溶媒に水を配合した準水系洗浄剤、及
び炭化水素系溶剤に代表される非水系洗浄剤等が主流と
なりつつある。
【0003】しかしながら、非水系洗浄剤の場合は、洗
浄剤そのもので洗浄するためにランニングコストが高
く、また、その多くは可燃性物質なので、洗浄装置には
防爆仕様が必要で高価となったり、あるいは大型化でき
ないという難点を抱えている。一方、水系と準水系、特
に水系の場合は、大量の水で洗浄剤を希釈して使用する
ために、ランニングコストが安く、また、危険性物質で
はないので洗浄装置は大型化が容易で、比較的安価であ
る。しかし、大量の水を使用することは同時に、洗浄液
の油水分離やリンス水の排水処理に対処できる水処理シ
ステムが洗浄システムの不可欠な構成要素となる。例え
ば、水系洗浄剤を用いてワーク(被洗浄体)を洗浄する
場合において、洗浄に伴って洗浄液にワークからの油分
等の汚れが徐々に蓄積し、洗浄液の洗浄力が低下する。
当然のことながら、洗浄液の洗浄力を維持しつつ洗浄液
の使用寿命を延ばすためには、洗浄液からの油分等の汚
れを常時取り除く必要がある。
【0004】従来、水系洗浄液の油水分離方法はエマル
ジョンブレーカなどの化学薬品を使用する乳化破壊・浮
上分離法、静電分離法、油分粒子の合一・粗大化を促進
するコアレッサ法、そして精密ろ過膜又は限外ろ過膜を
用いて膜分離法等による処理が行われて来た。ところ
が、これらの従来技術はそれぞれ問題を抱えている。例
えば、エマルジョンブレーカの使用による乳化破壊・浮
上分離法では、油水分離後の洗浄液が洗浄力を失い、再
使用できない問題がある。また、静電分離法やコアレッ
サ法では、洗浄液中の油分が微細なエマルジョン粒子と
して存在する場合においては油水分離効果が得られにく
い。そして、精密ろ過膜や限外ろ過法では、油分と共に
洗浄剤成分も同時に取り除かれる課題と、装置が高価で
ある難問を抱えている。
【0005】水系洗浄剤は一般に、洗浄力を担う界面活
性剤を主成分として、その他防錆剤、消泡剤や、アルカ
リ成分などの有機・無機ビルダを配合してなるものであ
る。前記洗浄力を担う界面活性剤としては、非イオン性
界面活性剤と陰イオン性界面活性剤とがあるが、洗浄力
の面から曇点温度が30〜60℃の範囲にある非イオン
性界面活性剤を用いるケースが多い。水系洗浄剤は使用
に当たっては所定の濃度に水で希釈し水系洗浄液として
使用する。非イオン性界面活性剤はその曇点温度以下で
は水に溶解し、界面活性を示すが、曇点温度以上では親
水性基が脱水和し、分子が会合して界面活性を失い、液
温がさらに高くなるとフロック状又は液状の形で沈殿す
る。逆に、液温が曇点温度以下に下がると一度不溶性と
なった界面活性剤の親水性基が水和し、再び水に溶解
し、界面活性を回復するという性質をもつ。
【0006】従って、このような非イオン性界面活性剤
を主体とする水系洗浄液の油水分離では、水系洗浄液を
その曇点温度よりも高い温度まで加熱してやれば、界面
活性剤が界面活性を失うことで油分が浮上分離すること
ができる。しかし油分が共存すると、界面活性剤は油分
との相互作用によって沈殿せずに、逆に油分と共に浮上
してしまい、油分だけを系外に排出するという本来の油
水分離の目的が達成できない場合も多い。さらには、発
明者らは先に、曇点温度が40〜70℃の非イオン性界
面活性剤に曇点温度が20〜40℃の非イオン性界面活
性剤を配合してなる水系洗浄剤を用いることにより、油
分等の汚れを含んだ洗浄液を、単に洗浄剤の曇点温度以
上に加熱するだけで洗浄液中の油分等の汚れを浮上分離
できる水系洗浄液、洗浄に使用された水系洗浄液の油水
分離方法を提案し、前記油分が共存する条件でも優れた
油水分離が達成できる技術を開発した。
【0007】この技術はしかし、不水溶性油を含んだ洗
浄液、不水溶性油の中でも抗乳化型のものに対して優れ
た機能を発揮するが、水溶性油を含んだ洗浄液やアニオ
ン性界面活性物質を配合した乳化型の不水溶性油を含ん
だ洗浄液に対して適用できなかった。金属部品の機械加
工等の分野において使用される油には、水溶性切削油や
クーラントに代表される水溶性油、プレス加工油や圧延
油に代表される不水溶性油とがある。また不水溶性油の
中には乳化型のものと抗乳化型のものとがある。前記水
溶性切削油やクーラントに代表される水溶性油はアルキ
ルスルホン酸ソーダ等のアニオン性界面活性物質が多く
含み、また不水溶性油の中にもカルシウムスルホネート
等のアニオン性界面活性物質を防錆剤として多量に含む
ものがある。このようにアニオン性界面活性物質を多量
に含む油に対しては発明者らが先に開発した水系洗浄剤
及び該洗浄剤に適用した加熱方式の前記油水分離方法は
適用できなかった。
【0008】これらの問題点を解決するために、本発明
者らは先に特願平8−262313号を提案している。
図2に、前記装置の概略構成図を示す。図2では陽極室
15からの処理水は充填塔25を通り、油水分離槽2に
接続されている。ところで、多孔質膜の陽極室側膜面に
おける陽極処理液の流速は、速いほど膜汚染が起きにく
くなり、その結果、電解電圧の上昇と透過流速の低下が
抑制される。この点から、陽極室への送液流量を上げた
ほうが有利である。しかし、上記した先願技術では陽極
室への送液流量の増加は、充填塔における接触時間と陽
極処理液油水分離槽における滞留時間の減少を招き、充
填塔における油分の合一・粗大化作用と、陽極処理液油
水分離槽における油分の浮上作用が低下するという問題
点があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記技術の
問題点を解決し、充填塔及び油水分離槽への流量増加を
させることなく、陽極室の膜面流速を上げることができ
る乳化油分含有排水の油水分離方法及び装置を提供する
ことを課題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明では、界面活性剤と、該界面活性剤の作用に
よって乳化した油分とを含有する排水の油水分離方法に
おいて、多孔性隔膜によって仕切られた陽極室と陰極室
にそれぞれ陽極と陰極を設け、該陽極と陰極の間に直流
電圧が印可されている隔膜電解工程の陽極室に、前記排
水を送液して電解処理し、該陽極処理液の一部を隔膜を
通過させて陰極室から排出し、残部の陽極処理液を陽極
室から排出して気液分離器の中間部に導入し、気液分離
器の上部より該液の一部を抜き出し、付着材が充填され
た充填層に導入して付着材と接触させた後に、油水分離
工程に導き油水分離すると共に、気液分離器の底部より
残部を抜き出して、電解工程への送液中に循環すること
としたものである。前記油水分離方法において、隔膜電
解工程は、一定処理時間毎に電極の極性を交互に変換
し、陽極室を陰極室に、陰極室を陽極室にそれぞれ切り
替えるのがよい。
【0011】また、本発明では、界面活性剤と、該界面
活性剤の作用によって乳化した油分とを含有する排水の
油水分離装置において、多孔性隔膜によって仕切られた
陽極室と陰極室にそれぞれ陽極と陰極を設けた隔膜電解
槽と、気液分離器と、付着材を充填した充填塔と、陽極
処理液油水分離槽とを配備し、前記排水を陽極処理液油
水分離槽に導入し、該油水分離槽の底部から前記隔膜電
解槽の陽極室に送液し、該陽極室の陽極処理液の一部を
隔膜を通過させて陰極室から排出し、残部の陽極処理液
を陽極室から気液分離器の中間部に導入し、気液分離器
の上部より該液の一部を前記充填塔に上向流で導いて付
着材と接触させた後に、前記陽極処理液油水分離槽に循
環すると共に、気液分離器の底部より直接陽極室への送
液経路に循環するように、それぞれを経路で接続するこ
ととしたものである。前記装置において、隔膜電解槽
は、電極の極性を交互に変換でき、陽極室を陰極室に、
陰極室を陽極室にそれぞれ切り替えると同時に、陽極室
と陰極室への接続配管をそれぞれ切り替える構成とする
のがよい。
【0012】
【発明の実施の形態】次に、本発明を詳細に説明する。
本発明の油水分離方法においては、隔膜電解により陽極
室において陽極処理液のpHを水中アニオン界面活性剤
のpKa(酸解離指数)値以下に下げることができ、陽
極室から陰極室への水の電気浸透効果と、陽極室と陰極
室との膜間差圧(0〜0.2MPa)によるろ過効果に
よって、陽極室及び油水分離によって油分を濃縮する。
濃縮率は0.5〜5倍にする。ここで、電気浸透とは、
電気分解の際に、特にNa+ などのカチオンが陽極室か
ら陰極室へ電気泳動するに伴って、水が隔膜(本発明で
は平均細孔径0.1〜3.0μの精密ろ過膜を用いる)
を透過して陽極室から陰極室に浸透することである。ま
た、処理する排水にリン酸ソーダ又はトリポリリン酸ソ
ーダと硫酸ナトリウム等とを、それぞれ0〜30mM電
解助剤として配合することにより、カルシウム、マグネ
シウムやバリウムなどの硬度成分による陰極表面及び隔
膜へのスケール付着の防止と、処理水電導度の上昇を図
ることができる。
【0013】また、本発明の油水分離装置において、気
液分離器を設けており、陽極室から出た陽極処理液を気
液分離器の中間部に導入し、気液分離器の上部より該液
の一部を充填塔に導き、気液分離器の底部より残部を送
液ポンプの吸引口に循環する。そうすることにより、充
填塔そして陽極処理液油水分離槽への流量増加をさせる
ことなく膜面流速を上げることができる。また、気液分
離器において、液中に含まれた微細な電解発生酸素気泡
による油分浮上作用が得られる。さらに、本発明によれ
ば充填塔と陽極処理液油水分離槽をそのままにし、電解
槽と送液ポンプを大型化するだけで、装置全体の処理能
力を上げることができる。一方、気液分離器を設けずに
液の一部を分岐し、送液ポンプの吸引口に循環する場合
では、陽極室において酸素気泡が蓄積、粗大化し、流量
や電圧の不安定化を引き起こす問題がある。導入する液
の気液分離器における滞留時間は長いほど望ましいが、
0.5〜2分の範囲でよい。また、気液分離器に気液分
離を促進するための開口板を装着することができる。
【0014】本発明においては、気液分離器と陽極処理
液油水分離槽との間に、コアレッサとしての充填塔を配
備している。気液分離器の上部より抜き出された処理液
を陽極処理液油水分離槽に循環する前に、該処理液を充
填塔に上向流で導き、該充填塔に充填した付着材に接触
させるようにした。前記処理液中の油分粒子を一旦付着
材に付着させることにより、油分粒子同士の衝突確率が
高くなり、よって油分粒子同士の合一・粗大化が促進さ
れ、いわゆるコアレッサによる油水分離効果が得られ
る。このように隔膜電解とコアレッサによるそれぞれの
油水分離作用が相乗する結果、油水分離pHが高くな
り、油水分離性能が向上する。
【0015】ここで、コアレッサとして用いる充填塔は
形状としては円筒状や角状など何でもよく、充填する付
着材が化学的に安定で比表面積が大きいものであれば何
でもよく、形状として粒状物または繊維の集合体が好適
である。例えば、粒状付着材として珪砂、ゼオライトや
カオリン等、繊維状付着材としてスラグウールや合成繊
維等が挙げられる。又充填塔の容積は大きいほど接触時
間が長くコアレッサの効果が高いが、該充填塔を通過す
る処理液の空塔速度(SV、単位はh-1)として20〜
200h-1の範囲で十分である。さらには、油分を一旦
付着材に付着することで、該付着材における油分粒子の
密度が高くなり、油分と処理液との接触効率が高まる。
その結果、処理液中の疎水的な有機物、例えば非イオン
性界面活性剤や、処理液が酸性のために酸解離できなく
なった陰イオン性界面活性剤などが油分に抽出され(い
わゆる溶媒抽出)、油分と共に除去される効果も得られ
る。
【0016】さらに、本発明の油水分離装置において
は、上記に加えて、陽極室と陽極処理液油水分離槽との
間に陽極処理液を循環することにより、pH低下に伴う
アニオン界面活性剤の不溶化反応を陽極室ではなく、陽
極処理液油水分離槽にて行わせることと、陽極室側膜面
における流速(0.1〜2m/秒)を上げることで、隔
膜の目詰まり防止を図ると共に、処理水の該油水分離装
置への1パスの油分離率を最大に高めることで、単位電
解電流当たりの油分離能力を上げることができる。ま
た、陽極処理液油水分離槽に電熱ヒータを設けることに
より、非イオン界面活性剤の曇点温度以上に処理液を加
熱することで、油分離効率を上げることができ、陰極室
から排出した陰極処理液を陰極処理液油水分離槽に導入
することにより、隔膜を通過した油分を浮上分離するこ
とで、油水分離効率を上げることができる。
【0017】また、本発明においては、一定処理時間毎
に電極の極性を交互に変換し、即ち一定処理時間毎に陽
極を陰極に、陰極を陽極に切り替えると同時に、陽極室
と陰極室に接続する配管をそれぞれ切り替える。通常、
陽極室では酸性なので、一部の陰イオン性界面活性剤が
不溶性となり、該不溶性物質と乳化破壊した油分粒子が
電極及び隔膜の表面に付着して汚染を起こす場合があ
る。一方、陰極室ではアルカリ性なので、不溶性のアル
カリ土類金属の水酸化物が生成し電極及び隔膜の表面に
付着する場合がある。本発明では、前記汚染がある程度
進行した一定処理時間経過後に極性変換してやると、酸
性であった陽極室が陰極室となってアルカリ性に変わる
と共に、アルカリ性であった陰極室が陽極室となって酸
性に変わるために、それぞれの不溶性汚染物質が溶解し
て除去され、隔膜の透過流量及び電解電圧が回復され
る。極性変換の間隔は短いほど汚染物質除去効果が大き
いが、頻繁に極性変換を行うと、電極寿命が短くなる不
利な点がある。被処理液の汚染物質負荷(陰イオン性活
性剤濃度、油分濃度やアルカリ土類金属濃度等)によっ
て、4〜72時間の範囲で極性変換の間隔を決定すれば
よい。
【0018】本発明において、排水中に含まれる界面活
性剤としては、有機カルボン酸塩、有機スルホン酸塩、
有機硫酸塩等のアニオン性界面活性剤及びポリオキシエ
チレンアルキルフェニルエーテル型、ポリオキシエチレ
ンアルキルエーテル型、ポリエチレングリコール型、ソ
ルビタン脂肪酸エステル型、ポリオキシエチレンソルビ
タン脂肪酸エステル型やプルロニック型の非イオン性界
面活性剤であり、また、排水中に含まれる無機ビルダー
としては、各種リン酸ソーダ、各種珪酸ソーダ、各種ほ
う酸ソーダ等である。また、処理する排水は、アルカリ
度が0.1〜10.0の範囲にあるのがよい。ここで、
アルカリ度とは処理水10mlを0.1N塩酸で終点の
pH4.8に滴定した時の0.1N塩酸滴下量のml数
である。
【0019】本発明によれば、乳化した油分を含んだ排
水を隔膜電解工程の陽極室に通液し、水を下記の式のよ
うに電解することにより陽極室の媒体中に水素イオンを
生成させる。すなわち、 H2 O → 1/2O2 + 2H+ + 2e- のように水素イオンを生成して処理水を酸性にすること
ができる。処理水中に水素イオンを生成させることによ
り、処理水中に存在するアニオン性界面活性剤、例えば
アルキルスルホン酸ソーダのpKa値より処理水のpH
を低くすると下記の式に示すようにアルキルスルホン酸
アニオンが反応し、 R−SO3 - + H+ → R−SO3 H のように水素がアニオン基に結合した状態になり界面活
性性が失われ、不溶性になる。かくして、前記アニオン
性界面活性剤やアニオン性界面活性物質による本発明の
油水分離に対する妨害作用を抑えることができる。調整
する酸性度は、pH8以下で、pH1〜7であればよい
が、通常pH3〜7の範囲で十分である。
【0020】また、本発明によれば、電気浸透効果によ
っても油水が濃縮される。即ち、Na+ などのカチオン
が陽極室から陰極室に電気泳動するに伴って、水が隔膜
(平均細孔径3μ以下)を透過して陽極室から陰極室に
浸透し、その結果、陽極室又は油水分離槽の処理水中の
油水が濃縮される。陽極室を通りpH調整された処理水
は、油水分離槽に送液され、処理水の温度を、それに含
まれる非イオン性界面活性剤の曇点温度以上の所定の適
当な温度に加熱して油分を分離し、油分が除去された処
理水は、隔膜電解工程の陽極室に循環する。本発明に使
用する隔膜電解槽は、多孔性隔膜によって電解槽を陽極
室と陰極室に仕切り、陽極室と陰極室にはそれぞれ陽極
と陰極を設ける。多孔性隔膜としては、通常有機性精密
ろ過膜(平均細孔径0.1〜3.0μ)であるMF膜が
使用される。電極には不溶性電極であれば特に制限され
ないが、陽極及び陰極にはチタン等の基材に白金をメッ
キした電極が好適であり、陰極にはより安価なフェライ
トやステンレス電極を使用することもできる。
【0021】次に、本発明を図面を用いて説明する。図
1に、本発明の油水分離装置の1例の概略構成図を示
す。図1において、受け槽1から乳化した油分を含有す
る排水が、陽極処理液油水分離槽2に処理水導入口5か
ら導入される。陽極処理液油水分離槽2には、電熱ヒー
タ3とエア抜き弁4が備えられており、処理水は陽極処
理液出口6から送液ポンプ9によってプレフィルタ24
を通って隔膜電解槽13の陽極14を配備した陽極室1
5に供給する。隔膜電解槽13においては、隔膜18に
よって陽極室15と陰極室17とに分割され、それぞれ
の室に陽極14と陰極16を配備し、電源19から所定
の直流電流を負荷する。陽極室15に供給された前記処
理水はここで水が電解されることによって生成した水素
イオンによってアルキルスルホン酸ソーダ等のアニオン
性界面活性物質が界面活性性を失う。
【0022】酸性化された処理水は、隔膜電解槽13の
陽極室15から、気液分離器33の中間部に導入され、
上部より該液の一部を付着材が充填された充填塔25を
通り、導入口7から陽極処理液油水分離槽2に導入さ
れ、油水分離槽2において電熱ヒータ3により、非イオ
ン性界面活性剤の曇点温度以上に加熱される。また、気
液分離器の底部より抜き出された残部は、送液ポンプ9
の吸引口に循環する。陽極処理液油水分離槽2に送液さ
れた洗浄液は50〜80℃、好ましくは60〜70℃の
温度範囲に加熱するだけで、油分だけを浮上分離するこ
とができる。20分以下の滞留時間を置く程度に洗浄液
を油水分離槽2に滞留させ、分離した油分を連続的又は
間欠的に系外に分離・排出し、水相分は、陽極処理液出
口6から陽極室15に循環されながら油水分離される。
【0023】一方、陽極室15から隔膜18を通過して
陰極室17に流入した処理水は、陰極室から弁29を通
り、受け槽1に返送される。このような処理を一定期間
行うと、隔膜及び電極表面が徐々に汚染し、陽極室から
陰極室への透過水量が低下し、一定の電解電流を維持す
るための電解電圧が上昇してくる。このような状態とな
った場合は、電源19に接続した切替板32により、電
解槽13に印可している電圧の陽極と陰極を変換し、陽
極室15を陰極室に陰極室17を陽極室に、弁26、2
8、31を閉とし、弁27、29、30を開とすること
により切り替える。それにより、隔膜及び電極表面に付
着した汚染物質は除去され、透過水量及び電解電流は回
復する。
【0024】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。 実施例1 図1に従って製作した油水分離装置を試験に用いた。該
装置では、隔膜電解槽はポリプロピレン樹脂製の密閉角
型で、陽極と陰極は同じ白金メッキチタン電極で、電極
面積が0.2m2 であった。用いた多孔質隔膜は有機合
成の精密ろ過膜(MF膜)で公称孔径が0.5μmであ
った。ここで充填層として用いたのは、アドバンテック
社製で公称ろ過精度5μmのフィルターカートリッジ
(糸巻き型で糸材質はPPS)で、空塔速度(SV)を
100h-1とした。また、陽極処理液油水分離槽は内容
積が36リットルであり、気液分離器33の内容積は1
0リットルであった。
【0025】本実施例では、処理対象の乳化油分含有排
水として、W1種水溶性切削油の温水洗浄水を想定し、
該洗浄水の油水分離を連続的に行った。先ず洗浄水とし
て、市水を洗浄槽1及び陽極処理液油水分離槽2に注入
した。注入洗浄水量はトータルで240リットルであっ
た。温度は洗浄槽1に設置の電熱ヒータにより50℃に
保持した。次いで、洗浄槽1に某社製W1種1号水溶性
切削油の連続注入を開始し、注入流量を3.0ml/分
とした。洗浄槽1の洗浄水を攪拌機で攪拌し、前記水溶
性切削油を分散させた。前記洗浄水をポンプ9によって
16リットル/分の流量で、バルブ34とバルブ35の
調節により、気液分離器33から充填塔25への流量を
8リットル/分、送液ポンプ9の吸引口への循環流量を
8リットル/分とし、電流50アンペアの一定で電解を
行った。電解開始時では、電極14を陽極、電極16を
陰極とし、バルブ26、28、31を全開、バルブ2
7、29、30を全閉とした。洗浄槽1へ戻す陰極処理
液は流量が0.9リットル/分、pHが11.0近辺で
推移していた。
【0026】陽極処理液のpHが電解開始から徐々に低
下し、1時間経過時にpH5.5となった。この時点に
おいて、バルブ12を操作し流量が0.9リットル/分
となるように、陽極処理液を洗浄槽に連続的に戻した。
その後、陽極処理液のpHが6.0近辺で安定に推移し
ていた。また、12時間毎に電極の極性変換を実施し
た。一回目の極性変換の操作は、直流電源の出力極性を
切り替えると同時に、電極14を陰極、電極16を陽極
とし、バルブ26、28、31を全閉、バルブ27、2
9、30を全開とした。以降の極性変換は前回操作の逆
操作を繰り返した。上記連続試験で数時間置きに油水分
離槽2から浮上分離された油分を排出し、洗浄槽1洗浄
水の油分濃度を分析した。図3は、前記洗浄水の油分濃
度の経時変化を示したものである。
【0027】比較例1 本発明の作用をより明確にするために比較例として、気
液分離器を配備しない点を除いて、実施例1と同一の装
置と条件で、油水分離試験を行った。比較例の試験デー
タを図3に併記した。
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、次のような効果を奏す
ることができた。 (a)、充填塔及び陽極処理液油水分離槽への流量増加
をさせることなく、電解槽の隔膜の膜面流速を上げるこ
とができるので、膜汚染が一層起きにくくなった。 (b)、気液分離器において、液中に含まれた微細な電
解発生酸素気泡による油分浮上作用が得られる。 (c)、隔膜電解槽と送液ポンプを大型化するだけで、
装置全体の処理能力を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の油水分離装置の1例を示す概略構成
図。
【図2】先願の油水分離装置を示す概略構成図。
【図3】処理時間による油分濃度の経時変化を示すグラ
フ。
【符号の説明】
1:受け槽、2:陽極処理液油水分離槽、3:電熱ヒー
タ、4:エア抜き弁、5:処理水導入口、6:陽極処理
液出口、7:陽極処理液入口、8:油貯留槽、9:送液
ポンプ、10:圧力計、11:圧力調整弁、12:陽極
処理液戻しバルブ、13:隔膜電解槽、14:陽極、1
5:陽極室、16:陰極、17:陰極室、18:隔膜、
19:直流電源、20:陰極処理液油水分離槽、21:
陰極処理液入口、22:陰極処理液出口、23:エア抜
き弁、24:プレフィルタ、25:充填塔、26〜3
1:バルブ、32:切替板、33:気液分離器、34,
35:バルブ
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−187402(JP,A) 特開 平8−276187(JP,A) 特開 平1−168307(JP,A) 米国特許5164480(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01D 17/00 - 17/12

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 界面活性剤と、該界面活性剤の作用によ
    って乳化した油分とを含有する排水の油水分離方法にお
    いて、多孔性隔膜によって仕切られた陽極室と陰極室に
    それぞれ陽極と陰極を設け、該陽極と陰極の間に直流電
    圧が印可されている隔膜電解工程の陽極室に、前記排水
    を送液して電解処理し、該陽極処理液の一部を隔膜を通
    過させて陰極室から排出し、残部の陽極処理液を陽極室
    から排出して気液分離器の中間部に導入し、気液分離器
    の上部より該液の一部を抜き出し、付着材が充填された
    充填層に導入して付着材と接触させた後に、油水分離工
    程に導き油水分離すると共に、気液分離器の底部より残
    部を抜き出して、電解工程への送液中に循環することを
    特徴とする乳化油分含有排水の油水分離方法。
  2. 【請求項2】 界面活性剤と、該界面活性剤の作用によ
    って乳化した油分とを含有する排水の油水分離装置にお
    いて、多孔性隔膜によって仕切られた陽極室と陰極室に
    それぞれ陽極と陰極を設けた隔膜電解槽と、気液分離器
    と、付着材を充填した充填塔と、陽極処理液油水分離槽
    とを配備し、前記排水を陽極処理液油水分離槽に導入
    し、該油水分離槽の底部から前記隔膜電解槽の陽極室に
    送液し、該陽極室の陽極処理液の一部を隔膜を通過させ
    て陰極室から排出し、残部の陽極処理液を陽極室から気
    液分離器の中間部に導入し、気液分離器の上部より該液
    の一部を前記充填塔に上向流で導いて付着材と接触させ
    た後に、前記陽極処理液油水分離槽に循環すると共に、
    気液分離器の底部より残部を直接陽極室への送液経路に
    循環するように、それぞれを経路で接続したことを特徴
    とする乳化油分含有排水の油水分離装置。
  3. 【請求項3】 前記隔膜電解工程は、一定処理時間毎に
    電極の極性を交互に変換し、陽極室を陰極室に、陰極室
    を陽極室にそれぞれ切り替えることを特徴とする請求項
    1記載の乳化油分含有排水の油水分離方法。
  4. 【請求項4】 前記隔膜電解槽は、電極の極性を交互に
    変換でき、陽極室を陰極室に、陰極室を陽極室にそれぞ
    れ切り替えると同時に、陽極室と陰極室への接続配管を
    それぞれ切り替える構成としたことを特徴とする請求項
    2記載の乳化油分含有排水の油水分離装置。
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