JP3354240B2 - 被削性に優れた機械構造用鋼 - Google Patents

被削性に優れた機械構造用鋼

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JP3354240B2 JP28836793A JP28836793A JP3354240B2 JP 3354240 B2 JP3354240 B2 JP 3354240B2 JP 28836793 A JP28836793 A JP 28836793A JP 28836793 A JP28836793 A JP 28836793A JP 3354240 B2 JP3354240 B2 JP 3354240B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、産業機械および自動
車部品等の素材として用いられる機械構造用鋼に関し、
とくにその被削性の向上を図らんとして開発したもので
ある。
【0002】
【従来の技術】産業機械や自動車部品等に用いられる鋼
材のうち、切削加工によって所定の形状を得るものに
は、優れた被削性が要求される。かかる鋼材について
は、従来、機械構造用炭素鋼にPb, Te, Bi, P, Caおよ
びS等を単独または複合添加して、その被削性の向上を
図ってきた。中でもPbは、その添加によって鋼材の機械
的性質の劣化を伴わず、またTeやBi等に比較して経済的
なことから、快削性元素として多用されている。
【0003】しかし、Pbは人体に極めて有害であること
から、鋼材の製造工程のみならず、それを用いた機械部
品の製造工程において、大がかりな排気設備を必要と
し、また鋼材のリサイクルの上からも多大の問題があっ
た。このため従来から、Pbを添加することなしに、Pb添
加鋼と同等程度の被削性を有する鋼材の開発が望まれて
きたが、最近、Pb添加快削鋼に代わるものとして黒鉛鋼
が注目されている。
【0004】黒鉛を用いた快削鋼としては、例えば特開
昭49-67816号、特開昭49−103817号および特開昭50-964
16号各公報に開示の鋼が知られている。これらの鋼材
は、鋼中のCを黒鉛として存在させ、その切欠および潤
滑効果を利用することにより、Pbを用いることなしに被
削性を改善したものである。しかしこれらの鋼材はいず
れも、鋼中のCを黒鉛化するために、前処理として焼入
れが不可欠であり、必ずしも経済的とは言えなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上記の問
題を有利に解決するもので、Pbの添加に頼らなくとも従
来のPb添加快削鋼と同等以上の被削性を有し、一方、も
し少量のPb等の快削性元素をも加えたならば、極めて高
い快削性を示し、しかも、黒鉛化処理が容易にできる,
被削性に優れた機械構造用炭素鋼, 即ち、黒鉛複合快削
鋼を提案することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】さて発明者らは、上記の
問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、鋼中にTiおよ
びBを複合添加すると共に、鋼中のO量を抑制してやれ
ば、前処理として焼入れを行わずとも熱間圧延ままで黒
鉛化を行うことが可能となり、しかも被削性も格段に向
上することの知見を得た。この発明は、上記の知見に立
脚するものである。
【0007】すなわち、この発明の要旨構成は次のとお
りである。 1.C:0.1 〜1.5 wt%、 Mn:0.1 〜2.0 wt%、Ti:
0.005 〜0.1 wt%、B:0.0003〜0.0150wt%、O:0.00
30wt%以下、 N:0.0015〜0.0150wt%を含み, かつN
i:0.1 〜3.0 wt%、 Cu:0.1 〜3.0 wt%およびCo:
0.1 〜3.0 wt%のうちから選んだ少なくとも一種を含有
し、残部はFeおよび不可避不純物の組成になり、組織が
主としてフェライトと黒鉛からなることを特徴とする被
削性に優れた機械構造用鋼(第1発明)。
【0008】2.C:0.1 〜1.5 wt%、 Mn:0.1 〜2.
0 wt%、Ti:0.005 〜0.1 wt%、B:0.0003〜0.0150wt
%、O:0.0030wt%以下、 N:0.0015〜0.0150wt%を
含み, かつNi:0.1 〜3.0 wt%、 Cu:0.1 〜3.0 wt%
およびCo:0.1 〜3.0 wt%のうちから選んだ少なくとも
一種を含有し、さらにSi:0.02〜0.50wt%以下、Cr:0.
10超〜1.0 wt%、Mo:0.05〜0.5 wt%、 Nb:0.005
〜0.05wt%およびV:0.005 〜0.50wt%のうちから選ん
だ一種または二種以上を含有し、残部はFeおよび不可避
的不純物の組成になり、組織が主としてフェライトと黒
鉛からなることを特徴とする被削性に優れた機械構造用
鋼(第2発明)。
【0009】3.上記第1発明または第2発明の鋼にお
いて、さらにPb:0.03〜0.30wt%、 Te:0.002 〜0.
50wt%、P:0.03〜0.15wt%、 Ca:0.0002〜0.30wt
%、Bi:0.01〜0.30wt%、 Se:0.003 〜0.10wt%およ
びS:0.03〜0.25wt%のうちから選んだ1種または2種
以上を含有することを特徴とする被削性に優れた機械構
造用鋼。(第3発明)
【0010】この発明に従い、TiおよびBを複合添加す
ると共に、鋼中へのOの混入量を抑制することにより、
前処理としての焼入れの必要なしに黒鉛化が進行する機
構は、次のとおりと考えられる。 (1) 鋼中のO量を低く規制することによって、被削性に
有害な酸化物系非金属介在物の量が減少する。 (2) BおよびTiは、Nと結合して窒化物を形成するが、
この窒化物形成により、強力な鉄炭化物安定元素である
固溶N量が減少するので、間接的に鉄炭化物は不安定と
なり、その結果、焼鈍時における鉄炭化物の分解が早ま
ると同時に、上記窒化物は黒鉛の結晶化の核としても作
用する。
【0011】以上説明したように、この発明では、熱間
圧延後そのまま黒鉛化処理を施すことが可能となり、従
来黒鉛化促進のために不可欠とされた前処理としての焼
入れを施す必要なしに、従来のPb快削鋼またはPb複合快
削鋼と同等以上の被削性を有する機械構造用鋼が得られ
るのである。なお、この発明において、潤滑作用に基づ
く快削性の点からは、組織中に少なくとも10%の黒鉛相
を含有させることが望ましい。
【0012】
【作用】この発明において、成分組成を前記の範囲に限
定した理由を以下に示す。 C:0.1 〜1.5 wt% Cは、黒鉛相を形成する上で不可欠なだけでなく、機械
部品の強度を確保する上で必須の元素であるが、含有量
が 0.1wt%未満ではその効果が小さく、また 1.5wt%を
超えて多量に含有させてもその効果は飽和するので、
0.1〜1.5 wt%の範囲に限定した。
【0013】Si:0.02〜0.50wt%未満 Siは、焼もどし軟化抵抗を高め鋼の焼入、焼もどし後の
強度を向上させることから、必要に応じて添加する。ま
た、鋼の溶製時に脱酸剤として作用するとともに黒鉛化
を助長するが、0.50wt%以上添加すると靱性および延性
を阻害することから、0.50wt%未満の範囲で含有させる
ものとした。
【0014】Mn:0.1 〜2.0 wt% Mnは、鋼の溶製時に脱酸剤として有効に寄与するだけで
なく、鋼材の強度を確保する上でも有用な元素である
が、 含有量が 0.1wt%未満ではその効果に乏しく、ま
た 2.0wt%を超えて添加すると靱性の劣化を招くので、
0.1〜2.0 wt%の範囲に限定した。
【0015】Ti:0.005 〜0.1 wt% Tiは、Nと結合してTiNを形成し、鉄炭化物の安定化を
阻止すると同時に、黒鉛の結晶化における核として作用
する有用元素であり、また脱酸剤としても有効に寄与す
る。従ってTiは積極的に添加するが、含有量が 0.005wt
%未満ではその添加効果に乏しく、一方 0.1wt%を超え
て添加すると逆に黒鉛化が阻害されるので、0.005 〜0.
1 %の範囲で含有させるものとした。
【0016】B:0.0003〜0.0150wt% Bは、Nと結合してBNを形成し、鉄炭化物の安定化を阻
止すると同時に、黒鉛の結晶化における核として作用
し、黒鉛化を促進するので積極的に添加するが、0.0003
wt%未満ではその効果が小さく、また0.0150wt%を超え
て添加すると逆に黒鉛化が阻害されるので、0.0003〜0.
0150wt%の範囲で含有させるものとした。
【0017】O:0.0030wt%以下 Oは、被削性に有害な酸化物を形成することから極力低
減することが好ましいけれども、0.0030wt%までは許容
できる。
【0018】N:0.0015〜0.0150wt% Nは、TiおよびBと窒化物を形成し、これを核として黒
鉛の結晶化を促進させるので積極的に添加するが、含有
量が0.0015wt%未満ではその効果が小さく、一方0.0150
wt%を超えて添加すると逆に黒鉛化が阻害されるので、
0.0015〜0.0150wt%の範囲で含有させるものとした。
【0019】Ni:0.1 〜3.0 wt% Niは、鋼中の鉄炭化物を不安定にして黒鉛化を促進する
目的で添加する。また、鋼の焼入れ性を高め、強度の向
上を図る上でも有用な元素である。しかしながら含有量
が 0.1wt%未満ではその添加効果に乏しく、またNiは高
価な元素であり、3.0 wt%を超えて添加するとコストの
上昇を招くので、 0.1〜3.0 wt%の範囲に限定した。
【0020】Cu:0.1 〜3.0 wt% Cuも、Niと同様、鋼中の鉄炭化物を不安定にして黒鉛化
を促進する目的で添加する。また鋼の焼入れ性を高める
と共に、析出強化により強度の向上を図る上でも有用な
元素である。しかしながら、含有量が 0.1wt%に満たな
いとその添加効果に乏しく、一方 3.0wt%を超えて添加
しても効果は飽和に達するので、 0.1〜3.0 wt%の範囲
に限定した。
【0021】Co:0.1 〜3.0 wt% Coも、NiやCuと同様、鋼中の鉄炭化物を不安定にして黒
鉛化を促進する目的で添加するが、含有量が 0.1wt%未
満ではその添加効果に乏しく、一方 3.0wt%を超えて添
加しても効果は飽和に達し、むしろコストの上昇を招く
ので、 0.1〜3.0 wt%の範囲に限定した。
【0022】以上、基本成分について説明したが、この
発明では、さらに強度改善元素としてCr, Mo, Nb及びV
のうちから選んだ一種または二種以上を、以下の範囲で
含有させることができる。 Cr:0.10超〜1.0 wt% Crは、鋼の焼入れ性を高め、焼入れ・焼戻し処理による
強度の向上に有用な元素であるが、一方で黒鉛化を阻害
する元素でもあるので、多量の添加は好ましくない。含
有量が 0.1wt%以下では焼入れ性向上効果に乏しく、一
方 1.0wt%を超えて添加すると鉄炭化物が著しく安定化
し、黒鉛化が遅延するので、0.10超〜1.0 wt%の範囲に
限定した。
【0023】Mo:0.05〜0.5 wt% Moは、Crと同様、鋼の焼入れ性を高め、焼入れ・焼戻し
処理による強度の向上に有用な元素であるが、一方で黒
鉛化を阻害する元素でもある。含有量が0.05wt%未満で
はその添加効果に乏しく、一方 0.5wt%を超えて添加す
ると黒鉛化速度が低下するので、0.05〜0.5 wt%の範囲
に限定した。
【0024】Nb:0.005 〜0.05wt% Nbは、鋼の焼入れ性を高めると共に、微細なNb炭窒化物
を形成し、その析出強化によって焼入れ・焼戻し後にお
ける強度を向上させる有用元素であるが、一方で黒鉛化
を阻害する元素でもあり、多量の添加は好ましくない。
含有量が 0.005wt%に満たないとその添加効果に乏し
く、一方0.05wt%を超えて添加すると黒鉛化の遅延を招
くので、 0.005〜0.05wt%の範囲に限定した。
【0025】V:0.005 〜0.50wt% Vは、Nbと同様、鋼の焼入れ性を高めると共に、微細な
V炭窒化物を形成し、その析出強化によって焼入れ・焼
戻し後における強度を向上させる有用元素であるが、一
方で黒鉛化を阻害する元素でもあり、多量の添加は好ま
しくない。含有量が 0.005wt%に満たないとその添加効
果に乏しく、一方0.50wt%を超えて添加すると黒鉛化の
遅延を招くので、 0.005〜0.50wt%の範囲に限定した。
【0026】さらにまた本発明においては、上記各成分
の他に、下記の成分元素の内から選ばれるいずれか1種
または2種以上を含有させることができる。これらの元
素の含有は、鋼中Cの黒鉛化による被削性の向上効果と
相俟って、鋼の被削性をより一層向上させることにな
る。
【0027】Pb:0.03〜0.30wt% Pbは、融点が低いため、切削時の鋼材の発熱により溶融
し、液体潤滑効果により被削性を著しく向上させる元素
であるが、他方で黒鉛化を阻害し逆に被削性を低下させ
るので、両特性を満足させるために、0.03〜0.30wt%の
範囲内で添加する。
【0028】Te:0.002 〜0.50wt% このTeは、MnTeを形成し、これがチップブレーカーとし
て作用することにより被削性を向上させる。一方で、黒
鉛化を阻害する元素でもあるので、多量に添加すると被
削性は却って劣化する。そこで、被削性向上への寄与が
認められると同時に黒鉛化への阻害が顕著に認められな
い範囲内につき検討した結果、その適正量は0.002 〜0.
50wt%である。
【0029】P:0.03〜0.15wt% Pは、フェライト相を硬化させることにより被削性を向
上させる元素であるが、他方で黒鉛化を阻害する元素で
もある。被削性を向上させるためには、少なくとも0.03
wt%以上の添加が必要である。しかし、0.15wt%を超え
て添加すると黒鉛化を阻害して逆に被削性を低下させる
ことになるので、0.15wt%を上限として添加する。
【0030】Ca:0.0002〜0.30wt% このCaは、Ca系の酸化物を形成し、これが黒鉛化の核と
して作用し黒鉛化を促進することにより、さらに、MnS
の形態を紡錘形にすることにより被削性を改善する。こ
のような作用は、0.0002wt%未満の添加では明確に顕れ
ず、一方0.30wt%を越えて添加すると酸化物系非金属物
が多くなり、これが機械部品としての疲労強度を低下さ
せるので、このCaの添加量は0.0002〜0.30wt%の範囲と
する。
【0031】Bi:0.01〜0.30wt% Biは、Pbと同様に融点が低いため、切削時の鋼材の発熱
により溶融し、液体潤滑効果により被削性を著しく向上
させる元素であるが、他方で黒鉛化を阻害し逆に被削性
を低下させるので、両特性を満足させるために0.01〜0.
30wt%の範囲内で添加する。
【0032】Se:0.003 〜0.10wt% このSeは、Mnと結合し、MnSeを形成することによりこれ
がチップブレーカーとして作用することにより被削性を
改善する。同時に、このMnSeが黒鉛化の核となり黒鉛化
を促進することにより被削性を向上させる。この効果は
0.003wt %未満ではその効果が小さく、一方0.10wt%を
越えて添加してもその効果が飽和するので0.003 〜0.10
wt%の範囲内で添加する。
【0033】S:0.03〜0.25wt% Sは、MnSを形成し、これが切削時のチップブレーカー
として作用し被削性を向上させるとともに黒鉛化の核と
なることにより黒鉛化を促進し、その結果として被削性
を向上させる作用がある。その添加量が0.03wt%未満で
はその効果に乏しいために0.03wt%以上添加するが、一
方で0.25wt%を越えて添加しても効果が飽和するので、
上限を0.25wt%とした。
【0034】以上成分のそれぞれの作用効果と限定理由
について説明したが、本発明においては、さらに、機械
部品の強度を、焼入れ・焼もどし処理またはフェライト
相の析出強化により確保するために、上述した成分元素
以外の有効な成分元素を適宜に添加してもよい。
【0035】また、本発明においては、特に規定しない
が、被削性の改善のためにさらにSnの添加を行ってもよ
い。ただし、Snは極めて強力な黒鉛化阻害元素であるの
で、その添加量としては、0.5 wt%未満に制限する必要
がある。
【0036】なお、金属組織的には、本発明の構成は、
主として黒鉛とフェライトよりなる組織にすることが必
要であるが、添加C量の50%程度まではセメンタイトと
して存在させてもよい。
【0037】上述した基本成分組成範囲に調整すること
によって、前処理としての焼入れの必要なしに金属組織
が主にフェライトと黒鉛からなる被削性に優れた鋼材を
得ることができる。ここに、前述した自己潤滑作用によ
る被削性の確保に必要な10%以上の黒鉛相を得るには、
黒鉛化処理は 600℃〜Ac1の温度領域に5〜30hの条
件で行うのが好ましい。
【0038】次に、この発明の製造方法について説明す
る。まず素材の製造については、従来公知の転炉、電気
炉などで溶製した後、連続鋳造法または造塊・分塊法に
よってスラブまたはブルームとする。ついで熱間圧延に
より所定の形状としたのち、上記の条件下で黒鉛化焼な
ましを施して、金属組織中に所定量の黒鉛相を析出させ
る。ここで、快削元素を含む場合の熱間圧延は、1000℃
以上の加熱および850 ℃以上の圧延とするのが望まし
い。しかるのち所定の部品形状に成形後、機械部品とす
る。なお窒化処理を施して製品とする場合もある。
【0039】
【実施例】
実施例1 表1に示す化学組成の鋼を転炉にて溶製し、連続鋳造に
よりブルームとしたのち、ビレット圧延を経て、52mmφ
の棒鋼とした。ついで 700℃, 10hの加熱後、空冷によ
る黒鉛化焼なまし処理を施したのち、黒鉛化率、硬さお
よび被削性について調査した。被削性試験は、高速度工
具鋼SKH4を用いて、切り込み:2mm、送り速度:0.25mm
/rev.および切削速度:70 m/minの条件で実施し、切削
不能となるまでの時間(工具寿命)で評価した。また、
硬さについては、35mmφ×100 mml の試験片を作製し、
870 ℃, 30minの加熱保持後、焼入れ、ついで 550℃,
1hの焼戻し処理を行った後の硬さで評価した。得られ
た調査結果を表3に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】表1のNo.1〜13は発明鋼、 No.14〜18は比
較鋼、 No.19, 20は JIS規格S53CにPbを添加したPb快
削鋼である。表2から明らかなように、発明鋼はいずれ
も、黒鉛化処理後、鋼中Cは50%以上黒鉛化している。
このため被削性に優れ、 No.20のPb快削鋼と同等以上の
工具寿命が得られている。これに対し、Ni, Cu, Moのい
ずれもが添加されていないNo.14 、またTi, B,Oおよ
びNがそれぞれこの発明の適正範囲を逸脱した No.15〜
18ははいずれも、黒鉛化が十分には進行してなく、 No.
19および20と比べても被削性に劣っている。なお、焼入
れ・焼戻し後の硬さをみると、Cr, Mo, NbおよびVの一
種または二種以上を添加したNo.7〜13はいずれも、同一
のC量のNo.3に比較して焼入れ・焼戻し後の硬さが上昇
しており、QT処理後に強度確保が必要な場合に有効で
あることを示している。
【0043】実施例2 表3, 表4に示す化学組成の鋼を転炉にて溶製し、真空
脱ガス溶製後、連続鋳造によりブルームとしたのち、15
0 mm角のビレットとした後、熱間圧延により52mmφの棒
鋼とした。これらの棒鋼に 700℃×10h →空冷の黒鉛化
処理を施し、黒鉛化焼なまし後の黒鉛化率、硬さおよび
高速度工具鋼による被削性試験を実施した。被削性試験
は、高速度工具鋼SKH4を用い、切り込み:2mm、送り:
0.25mm/rev. 、切削速度:70m/min の条件で実施し、切
削不能となるまでの時間を工具寿命として評価した。得
られた結果を表5に示す。
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】
【表5】
【0047】供試鋼No.1〜12は、第3発明鋼である。ま
た、No.13 〜23は、第2発明鋼である。No.24 〜28は、
黒鉛化に必要な元素が発明の範囲外にあるものである。
さらに、No.29 および30は、JISの機械構造用炭素鋼
にPbを添加したPb快削鋼である。第3発明鋼と第2発明
鋼のNo. 13〜23とを比較すると、第3発明鋼の方が、工
具寿命は高いのみでなく、従来鋼と比較しても工具寿命
は極めて向上している。比較鋼No. 24〜28は、黒鉛化率
が低いために工具寿命は極めて短く、被削性に劣ってい
る。
【0048】
【発明の効果】かくしてこの発明によれば、Pbを用いる
ことなく、従来のPb複合快削鋼と同等の被削性を得るこ
とができるので、環境に悪影響を及ぼすことなしに機械
部品の工業的製造が可能となる。また、必要に応じて快
削性元素を添加すれば鋼中Cの黒鉛化による被削性の向
上効果とあいまって、一層被削性に優れた機械構造用鋼
を得ることが可能である。さらに、本発明鋼は、黒鉛化
焼鈍前の前処理が必ずしも必要ではなく、圧延ままで黒
鉛化が達成されるので、生産性の向上に対する寄与が極
めて大きい。
フロントページの続き (72)発明者 天野 虔一 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社技術研究本部内 (56)参考文献 特開 平2−107742(JP,A) 特開 昭49−103817(JP,A) 特開 平1−205058(JP,A) 特開 昭63−103049(JP,A) 特開 昭49−67817(JP,A) 特開 平2−111842(JP,A) 特開 昭53−18420(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C:0.1 〜1.5 wt%、 Mn:0.1 〜2.0 wt
    %、 Ti:0.005 〜0.1 wt%、B:0.0003〜0.0150wt%、 O:0.0030wt%以下、 N:0.0015〜0.0150wt% を含み, かつ Ni:0.1 〜3.0 wt%、 Cu:0.1 〜3.0 wt% およびCo:0.1 〜3.0 wt% のうちから選んだ少なくとも一種を含有し、残部はFeお
    よび不可避不純物の組成になり、組織が主としてフェラ
    イトと黒鉛からなることを特徴とする被削性に優れた機
    械構造用鋼。
  2. 【請求項2】C:0.1 〜1.5 wt%、 Mn:0.1 〜2.0 wt
    %、 Ti:0.005 〜0.1 wt%、B:0.0003〜0.0150wt%、 O:0.0030wt%以下、 N:0.0015〜0.0150wt% を含み, かつ Ni:0.1 〜3.0 wt%、 Cu:0.1 〜3.0 wt% およびCo:0.1 〜3.0 wt% のうちから選んだ少なくとも一種を含有し、さらに Si:0.02〜0.50wt%未満、Cr:0.10超〜1.0 wt%、 Mo:0.05〜0.5 wt%、 Nb:0.005 〜0.05wt% およびV:0.005 〜0.50wt% のうちから選んだ一種または二種以上を含有し、残部は
    Feおよび不可避的不純物の組成になり、組織が主として
    フェライトと黒鉛からなることを特徴とする被削性に優
    れた機械構造用鋼。
  3. 【請求項3】請求項1または2に記載の鋼において、さ
    らに Pb:0.03〜0.30wt%、 Te:0.002 〜0.50wt%、 P:0.03〜0.15wt%、 Ca:0.0002〜0.30wt%、 Bi:0.01〜0.30wt%、 Se:0.003 〜0.10wt%および S:0.03〜0.25wt% のうちから選んだ1種または2種以上を含有することを
    特徴とする被削性に優れた機械構造用鋼。
JP28836793A 1993-03-31 1993-11-17 被削性に優れた機械構造用鋼 Expired - Fee Related JP3354240B2 (ja)

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